【黒ウィズ】空戦のドルキマス4 Story1
空戦のドルキマス4 Story1 脱出
空戦のドルキマス4 Story2 殲滅兵器
空戦のドルキマス4 Story3 ボーディス奪還作戦
空戦のドルキマス4 Story4 黒衣の襲撃
空戦のドルキマス4 Story5 王都決戦
空戦のドルキマス4 Story6 ドルキマス
目次
story1-1 前線の兵士たち
何者かに奪われたグラールの原石を求めて君たちは旅を続けていた。
君もウィズも、この異界の空模様にすっかり馴染んでしまった。
かといって喜んでもいられない。
聖なる石の〈原石〉を奪い返さないことには、クエス=アリアスに戻れないのだから。
気流が乱れてきた。嵐が来そうだ。
いったん地上に降りてやり過ごそう。君は魔道艇を着陸させることにした。
浜辺のちっぽけな村で、軍服姿の男たちが横暴に振る舞っている。
言われる前に君は、村の人たちを助けるために歩き出していた。
君は、音のない足さばきでドルキマス兵を名乗るならず者たちに接近し――
散々に懲らしめた。
通りすがりの魔道士だよ、と君は答える。
軍規の乱れは、軍の弱さに繋がる――
ディートリヒは、略奪や占領地での兵たちの振る舞いを厳しく取り締まっていた。
そのディートリヒはドルキマス軍から姿を消した。どこにいるのか、いまだに行方が知れない。
だとしたら〈原石〉は、いま誰の手元にある?あの男以外に考えられないのだが……。
〈原石〉を追っていけば、自然と失踪したディートリヒにたどり着けるんじゃないかという淡い期待はあった。
だが、いまのところどちらも空振りがつづいている。
やあ、ジーク。相変わらず元気そうだね、と君はさりげなく師匠を奪い返す。
取り引き?師匠を譲れという要求以外なら話を聞くけど?
発作が起きたようにジークは悶えはじめた。とても辛そうだ。
鬼気迫る表情で師匠にすがりつこうとするジークの横面を、君は思いっきりビンタした。
story1-2 ドルキマスの膨張
ローヴィに連れられて、ジークはドルキマス王宮にやってきた。
ドルキマス国王アルトゥールは、玉座を下りて目の前に控えていた弟王子の手を取った。
会えてとても嬉しい。
ローヴィ・フロイセ。よくぞ、ジークユーベルを連れ戻してくれた。
ドルキマスの国民と伝統を守るためにお前の力を貸してほしい。
ドルキマスがどうとか、王子がどうとか、どうでもいい。俺には、関係ない。
だが、ある墓守が言っていた。俺の母親リントが生きてこの城にいると――
俺は、クレーエ族の生き残りとして同胞を救いに来ただけだ。ドルキマスのことなど知ったことではない。
母親に会えるかどうかは、空賊の真似事などやめて、お前次第だ。我が覇業を手助けすると誓え。
合図と共に、ジークの子分たち。空賊ナハト・クレーエの面々が引っ立てられてきた。
言葉を失うほどの凍り付いた視線が向けられた。まるで母と子分たちの命は、自分のー存で決まると言わんばかりだった。
ジークの堅く握りしめた拳が、怒りで打ち震えた。
今更、この生き方を変えるつもりはない――
アルトゥール王よ。このジーク・クレーエを敵に回したこと、いつか後悔させてやろう。
***
ドルキマス兵から軍服を奪い、変装して逃げてきたのだと言う。
軍服を奪って着るのは、いかにも空賊らしい、と君は思った。
人質を取ってしたがわせようなど、アルトゥール王のやり方は確かに汚い。
でも、ジークひとりで、あのドルキマスに対抗できるわけがない、と君は言う。
イグノビリウムとの戦いで大陸の各国は戦力を大幅に失った。今や、まともな空軍戦力を持っているのは、ドルキマスぐらいだ。
イグノビリウム戦後、空軍戦力を喪失した各国の空にドルキマスは艦隊を派遣した。
ドルキマス軍は、容易く大陸各国の制空権を手中に収めることができた。
いま思えば、この状況を作ることすら、ディートリヒの作戦のうちだったのか、とすら思えてくる。
もちろんタダでとは言わん。取り引きだ。俺は、聖なる石の〈原石〉の行方を知っている。
***
執務室に入って来たのは、第3艦隊提督クラリアと、副官のロレッティのふたり。
クラリアは、失踪したディートリヒ元帥が手塩に掛けて育てた子飼いの提督のひとりである。
ひいては、ドルキマス王アルトゥール陛下の名誉も揺らぎかねない。
クラリアは、机に身を乗り出してカミルを睨み付けた。それをロレッティが後ろから制する。
***
現在、ドルキマス軍の大陸支配は、すべてあのカミルという男の指揮で行なわれている。
アルトゥールとユリウスは、カミルの能力を買っているらしく、全幅の信頼を置いてると聞く。
元帥閣下の時代が懐かしい……。昔に戻りたい。
story1-3 レベッカのアジト
それは君ががっちり、ウィズをキープしているからだ。
いきなり大口の取引先ができてよ。普通じゃさばけないような高額なパーツを大量に買ってくれるお嬢さんがいるんだ。
なんでもドルキマス南方の孤島で、人知れず研究に没頭したいそうで、どの国からも援助を受けずにやってるらしい。
少ない情報だが、君には思い当たる人物がいた。
ドルキマス研究主任レベッカ・アーレント。
聞いた話では、ディートリヒ失踪後、しばらくして彼女もまたドルキマスから姿を消したそうだ。
自分に正しい評価を下してくれる場所。やりたい研究を自由にやらせてくれる場所なら、どこへでも行くだろう。
と、ジークは誰も居ない場所に向かって声をかけた。
いつもー緒にいるはずの子分たちは、ドルキマスにとらわれの身だったことを思いだす。
悲しげなジークに、君もウィズも同情を寄せる。
お客さんが来るって言ってあったでしょ?
君たちは、孤島にある洞窟に足を踏み入れた。内部は設備が整った研究所になっていた。
聖なる石の〈原石〉?それとも失踪したディートリヒ・ベルク?
やはりここにディートリヒがいるんだね、早く彼に会わせて欲しいと、君は食いつく。
それに、その研究は、ディートリヒ元帥閣下の依頼でもあるのよ。
レベッカは、背後にある巨大な設備を指差している。
部屋ー面を埋めるその巨大な物体は、この研究所の主のように鎮座している。
それが何に使うものなのか、君には皆目見当がつかなかった。
story1-4 目覚め
ひとつは――〈高出力エネルギー砲〉。前の大戦で作った対イグノビリウム兵器の巨大版とでも言えばいいのかしら。
ー撃で都市ひとつを消滅させることができるほどの威力を発揮するわ。
でも、私の研究では、異世界へ向かうには、次元の壁を越えなきゃいけない。
それには、膨大なエネルギーを高濃度に圧縮し、空間の歪みを人為的に発生させる必要があるの。
まさか、ディートリヒとレベッカは、異界に渡ろうとしているのか?
私がひとことビシッと言ってやるにゃ!
ディートリヒは、いったいどこにいる?ルヴァルは、この大陸のどこからも気配を感じないと言っていた。
この研究所にも、レベッカ以外の人の存在を感じないが……。
いったいどこに……。
そういえば、先程から師匠は、巨大な箱のようなものに座っている。
君は、師匠を少しどけてみる。
それは箱ではなかった。硝子張りになっている蓋のついた――一言で言うと棺桶だった。
中で眠り続けているのは、あの――
そうしてくれと言ったのは、元帥閣下よ。
君には、ディートリヒの気持ちがわかるような気がした。もう、戦争や政治のごたごたに巻き込まれたくないのだろう。
まさかあとを付けられたのか?と、君はー瞬考えたが、ジークが尾行に気付かないはずがない。
魔法使いは、どっちがいい?
降伏は絶対にしない。ドルキマスに仮死状態のディートリヒを渡すわけにはいかない。
ドルキマス軍のすべてを知り尽している男が、君のすぐ傍で眠っている。
場合によっては、この大陸に今以上の混乱を招いてしまうことになる……かもしれない。
施設全体が揺れ動いた。敵は、威嚇のための砲撃を行なっているらしい。
レベッカの発明が完成する前に起こしてしまったら、激怒されるかもしれない。
怖い……。
けど、このままでは、研究所ごと吹き飛ばされてしまう。
悩みに悩んだあげく、君はレベッカに教えてもらった解除ボタンに指を置いた――
story1-5 追っ手
ついに突き止めた。元帥閣下の居場所を……。
??? |
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***
冷凍睡眠状態から復帰したディートリヒは、取り乱すでもなく、落ち着いた様子で状況の把握に努めていた。
差し出されたタオルを受け取ってから、ディートリヒは、相手に気付いた。
無理なのはわかっている。でも、この研究所には〈原石〉がある。それをドルキマスの手に渡したくない。
それにディートリヒの身も危ない。ドルキマスに捕まるのは、本意ではないはずだ。
こういうこともあろうかと、海底を通って別の孤島から出撃できる滑走路を用意しておいたの。
その計画書は、不慮の事故ですべて燃えたことにしたわ。10年前のことだから、覚えてる人はほとんど居ないだろうし。
10年前から、準備を進めていたというのか。
となると――レベッカさんはいま何歳なんですか、と君は曇りなき眼で訊ねた。
〈メカシャルルリェアー改2〉に尖った爪で引っ掻かれた!?
その言葉の裏に潜む圧力は強烈だった。君は、とんでもないことになったと後悔した。
***
なにごとだ!?
いや、元帥閣下のことだ。はじめから、我々を翻弄する気だったのかもしれん。
狼狽えるな。すぐさま反転して、敵を追撃するぞ。
黒猫の魔法使いが乗っていた魔道艇……。となると、元帥閣下はあの艦に。
反転しろ!背後の所属不明艦を追撃する!
***
魔道艇なら、大型の戦艦よりも速度がでる。敵を上回る速度で飛び回ることができる。
けれども、ドルキマス軍も簡単に逃してはくれない。しつこく追いすがり、砲撃を加えてくる。
冷凍状態から目覚めたばかりのディートリヒは体調とか大丈夫なの、と君は訊ねた。
ドルキマス第3王子。テオドリク・ハイリヒベルク。それが、空軍元帥ディートリヒの本名だ。
突然、周囲の霧が濃くなった。ジークの持っているアーティファクトの効果が発動したのだ。
この際に君たちは、逃げ出した。
***
船渠には、君の魔道艇とナハト・クレーエ号が並んで停泊している。
こうしてみると、この2隻は形が似ている。そして、ドルキマスのどの艦にも似ていない。
ドタバタに巻き込まれて〈原石〉は、いまだレベッカの手元にある。
完全には取り戻せていないが、ありかがわかっただけでも、前進したと言える……のか?
あんたが眠っている間、アルトゥールは、実にドルキマスの王らしくなった。
前のドルキマス王は、人心を踏みにじるひどい王だった。アルトゥールも似てきたと言いたいのだろう。
ずっと気だるげだったテオドリクの瞳に、わずかに生気が戻ったように見えた。
奴らをぶっ潰すには、ドルキマス軍の内情に通じているあんたの頭脳が役に立つ。
俺に力を貸せ。
貴君の目的が達成したら起こしてくれ。花でも贈ろう。
アルトゥールやいまの支配体制を守るために、みずから身を引いた。そういうことか?
それがディートリヒの本心ではない……と君は信じているが、ディートリヒは、否定も肯定もしなかった。
それとも、貴君が王や皇帝になって、この世界を統べるかね?
でも、ジークには平和を愛する心がある、と君は口を挟む。
ジークは、軍人たちに支配されている空から、空賊たちが飛び回れる自由な空を取り戻したいと言った。
つまり、戦争をなくしてしまえば、その願いは叶うのでは?と君は言う。
どうすればいいのか、わからないけどね、と、君は笑って誤魔化す。
いや、今のはほんの冗談で――と君は咄嵯に取り消そうとした。
私を目覚めさせた代償として平和が欲しいという魔法使いの願い、叶えてやってもいい。
そんな夢叶えることができるのか?ディートリヒ……いや、できそうな気がする。
だが俺は、ドルキマスを叩きのめし、人質を助けられればそれでいい。手を組もう。
〈原石〉を取り戻したかっただけなのに、話が大事になってしまった。
この先、波瀾万丈の予感しかしなかった。
空戦のドルキマス4 Story1 脱出
空戦のドルキマス4 Story2 殲滅兵器
空戦のドルキマス4 Story3 ボーディス奪還作戦
空戦のドルキマス4 Story4 黒衣の襲撃
空戦のドルキマス4 Story5 王都決戦
空戦のドルキマス4 Story6 ドルキマス