【白猫】ペルマナ・思い出
優しき従者 ペルマナ cv.嶺内ともみ シローの従者を務めるアンドロイド。 穏やかで優しく我慢強い性格だが、ひとたび怒らせると……? |
2020/04/15
Runaway Horizon
思い出1
<――五年前――>
<雲海に隠されたその島に住むのは、古の英雄の血を最も濃く受け継ぐ子ら――
その一人である少年――シロー・メナスに寄り添い、そして守護するのは――
彼の従者のアンドロイド。名を――ペルマナ。
彼女の朝は、早い。>
うとうと……
<――早い。>
……はっ。起きなくちゃ。
……ふぁぁ……
………………アンドロイドのあくびって、どういうことなんだろう?
***
おはようございます、アサガオさーん。お水の時間ですよー。
シロー様とクロカ様、競争してるそうなんです。どっちのアサガオがおっきく育つかって。
だから、がんばっておっきくなってくださいね。
なんちゃって。
なにアサガオに話しかけてんだい。
おはようございます。植物にしゃべりかけてあげると、よく育つという説を聞いて……
眉唾ねえ……って言いたいトコだけど、世の中にはしゃべる植物もいるって聞くしねえ。
そうなんですか?
そんなことよりハイ、これ。
とうもろこしですか?こんなにたくさん……!
こないだ、ウチの屋根直してくれただろ?
そのお礼さね♪
わあ、ありがとうございます♪
***
シロー様、おはようございます。朝ですよー。
んーぃ。
ほら、起きてください。お布団干しますから。
んーぅ。
起きてくださーい。シロー様ー……
んぉぉう……
……起きない。もう……!
こうなったら……!じーーーー-。
じーーーーーーーー。
……なんか背中、むずむずするぅ……
シロー様の背中を凝視し続けています。
ひたすら、じーーーーーーーーー。
……なんかきもちわるい…………起きるぜぃ……
はい、おはようございます♪
思い出2
修行にそなえて、しっかり朝食、食べてくださいね。
いただき魔神風車固め。
お行儀。
いただきます。
よろしい。どうぞ召し上がれ♪
んー。……あれ、ペルマナさー。また新しい料理おぼえた?
この間メモリを整理したので、空き領域にレシピを追加してみました。
食べたら感想、お願いしますね♪
おっけ。ペルマナって、料理得意だよな。
得意というか、好きというか……どうしたんです、いきなり?
こないだクロカがさー。ピラウの朝ご飯、おんなじのばっかでちょっと飽きたっつってて。
あー……ピラウはもっと、事務的ないろいろに容量割いてますから……
ニコイチのアンドロイドなのに、なんか正反対だよなー。
ふふ、そんなものです。ボディの規格はほぼ共通でも――
心はちゃんと、それぞれべつべつ。それがピラウと私です。
そんなもんかー。
それよりほら、早く召し上がらないと――
シー-ーーロ-ーーー!しゅーーーぎょーーーろーーーー!
あ、クロカ様、来ちゃいましたね。
寝坊しちったからなー。かくなるうえは……!
え、シロー様?そんな、全部混ぜちゃったら味がわかんなく……
むぐむぐ!むぐぐぐ!!むぐむぐ!むぐぐぐ!!
あーあー……台無し……
らいようむ。むあい。
もう……!
んぐ……っと、ごち!……怒ってる?
…………
……怒ってる?
ぷんすこ。
プンスコすんない。うまかったのはホントだぜ!
……もう作ってあげません。
はーーーよーーーーせーーーー!!
あ、やべ。じゃ、いってきキャメルクラッチ。
やり直しです。いちにーはい。
いてきまーす!
今日の付さ添いはピラウー人ですから、困らせちゃだめですよ?アピス様のことも……
場合によるな!んじゃ!
ふふ、いってらっしゃいませ♪
思い出3
じーーーーーーーー。
ペルちゃんよ。
はい。
タイムセール始まるの、三十分後よ?
知っています。じーーーーーーーーーー。
いや。じーーー―ってされても、まだ値下げできんし。
待っているだけですのでどうかお気になさらず。タイムセールは初速が命ですから。
ですからあらかじめ、こうして陳列された獲物を吟味してどれを買うか決めておくんです。じーーーー……
あそう……
……暇じゃない?
忍耐力が取り柄ですので!
そういうことじゃなくてね。……まあいいや。
シロー様、近ごろはますます食欲旺盛で……
家計のやりくりにもー苦労なんですよね……
日に日にでっかくなってるもんな。
ですから、安売りの好機は逃せないのです。
ほかにも生活費がいろいろとかかりますし、油断してるとあっという間に首が回らなくなってしまいます。
大変だなぁ。
そういえば私、首回せるんですよ。ぐるぐる。
いやいいよ別に。やんなくて。
……まあ、やりくりがんばんなよ。あとでこっそりおまけしてやっから。
***
(これでお買い物は完了と。帰ったら植木のお手入れして、洗濯物を取り込んで、お夕飯の仕込みして……)
はーいそこゆくみなさーん。安売りやってまーすよー。
(服屋さん……そういえば、なにか買い忘れていたような?)
……ぴこーん。
***
(シロー様の下着の替え、安いうちにまとめ買いしておこう。
えぇと……あ、ピチってしてる、これこれ。いつものやつ。
……でもそういえばシロー様、もうこの下着イヤだって、ずっと言ってるんだよなあ。
いまのやつは、お友だちに笑われるからって……
ああこれかな?とらんくす。いまの子はみんなコレはいてるって言ってたなあ。
……ちょっと高いなあ。それに、こんなゆるゆるで、ちゃんと守れるのかな?
……でもなあ。シロー様もお年頃だしなあ。男の子って意外と繊細だし。
……向こう五日分の夕食を妥協すれば……
……いや代償が大きいなあ。栄養バランスが……う~~~ん……!)
おかーさん。
なぁに?
あのおねいさん、両手にぱんつもったままブルブルしてるの。
思い出4
(……午後のお仕事、さくっと終わってしまった。
シロー様が帰ってくるまで、まだ結構あるなあ……
……うん、スキマ時間には…………リフレッシュ!)
<ペルマナは椅子に体を預け、思考機能を少しずつカットしていく――>
はふぅぅぅ……
<――メモリのメンテナンスである。>
<蓄積した情報をこまめに整埋・整噸することで、機能を万全に保っための措置だ。>
<ただし、メンテ中は――>
ペルマナ?
びくっ。
アピス様に急な所用ができてな。今日は早々に切り上げになった。
たまにはー緒に夕食を、と思ったんだが――
こくこく。
……メンテ中だったか。すまない、間が悪かった。
ふるふる。
ぺこり。
あ、もしかしてリフレッシュ中?
ぺこぺこ。
……これやってる間、ちゃんとしゃべれなくなんだよな。
メンテ中はセーフモードに入るからな。
なんでだっけ、それ?
必要最低限の機能以外カットして、メンテの効率を上げるんだ。
いそいそ。
いい。終わるまでじっとしていろ。下ごしらえは私が――
突然ですが、ペルマナとオノマトペで対決してみようのコーナー!!
どんぱふー!!
ぎざびっくり。
……おい。くだらないことを――
ズドドドドドドド!!
ア”ア”ァァワ”ワ”ワ”ワ”!
もじゃもじゃ。
俺とクロカの頂上決戦……僅差で……クロカだな。ペルマナはビリつけつだ!
がーん。
勝敗の基準はどこなんだ。
キョン”フゥゥゥ!キョン”フゥゥゥ!
ンバッ!ンバッ!
ずきゅーん。
今度は俺の圧勝だな!
くそぅ!
しょぼん。
…………
ショオーッ!ショオオーツ!!
デュクシ!デュクシ!
…………
アチョー。
……完敗だ。
……!?
思い出5
今日のお夕飯はカレーです。
煮付けにする?塩焼きにする?それともム・二・エ・ル?
カレイじゃないですよ?
さてはカレーだー!やったたー!!
出来上がるまで、二人は勉強だ。集中!
ふふ、美味しいですか?
ペルマナのおうちカレーは、昔から変わらない味でほっとする。
カレーのレシピ、もうずうっと更新してないですからねえ。
料理好きなのになー。
なんか、いまさら変えにくくて……
長く愛用したものには、信頼が伴うからな。
おうちカレーといやあクロカさー、こないだケーちゃんちでさー、むぐむぐ。
口に入れたまましゃべらない。
んぐ、っと。こないだもケーちゃんちでカレーごちそうになったじゃん?
あそこの家、遊びいくたんびに夕飯食べさせてくれるんよなー。
今度、お礼をしないとですね。
ああ、土産でも買ってこよう。
でな、あのおうちのカレーなー、毎回毎回、味とか具が変わるんだぜ!
そうなんです?
日によってソースが入ってたり、しょーゆが入ってたり、辛かったり甘かったり、前の日の残り物が入ってたり。
こないだは、チクワとおでんのだしが入ってた。
あの母ちゃん、エキセントリックだよなー。
……美味いのか、それは。
ケーちゃんはいつも文句言ってっけど、俺は好きだぜー。おもろくて。
……ええと、もしかして、飽きちゃいました?私のカレー……
否。うまい。無限に食べれる。
むぐむぐ。なんで?
いえ、なんでも……
思い出6
<――深夜。>
<ペルマナの目の前には、できたてのカレーがいくつも並んでいる――>
(何回作ってもおんなじ……たぶん、昧もまったくー緒……)
(当然だ。私の料理は、メモリにあるレシピと演算機能の出力結果でしかないんだし……)
(……カレーのレシピ、更新しようかなあ)
(でもきっと、そういうことじゃないんだろうなー……)
しょんぼり。
あ、シロー様……起こしてしまいましたか?
ん~……寝てたらなんか、いい匂いして……
……んで、なんでそんなたくさんカレー作ってんの?
……おんなじメニューでも、こうして何度も作ったら、ふと何かが変わる瞬間があるかも、と思って……
人の作るお料理って、そういうものじゃないですか……?たぶんですけど……
ちょっとした差というか、人間らしい揺らぎ、みたいな……?
あー……もしや、さっさの話……
なんか、そういうのが、ふつうのおうちの、ふつうのお母さんなのかなーって、アンドロイドの私ではでさないことなのかなーって……
考えれば考えるほど、もにゃもにゃーって……してしまって……
めんご、ペルマナ!!夕飯んとき、むしんけーなこと言った!
ええ!?ち、違いますよ!シロー様とクロカ様のせいではー……
……んとさ。次カレー作るとき、俺も手伝うわ。
そーすりゃ、イヤでも味、変わるだろーし。
師匠も言ってたぜ?良いことも悪いことも、ー朝ー夕じゃ変わらぬと。
だからペルマナひとりで、急に変わろうとする必要なくね?
……はい♪
それはともかく、明日から毎日カレーパラダイスだぜい!!
駄目ですよ。食べきる前に傷んじゃいます。
明日ふたりで、ご近所さんにおすそ分けして回りましょうか。
やぶさかじゃないぜ。ご近所付き合いは大事だしな。
はい♪では今日はもう、ベッドに戻ってください。明日も修行ですよ。
おーとも。おやすみなー、ペルマナ。
……はい、おやすみなさい♪
覚醒絵・覚醒画像
幼き可能性を護りし盾 ペルマナ・ゼルプスト
その他