【白猫】クウ・思い出
空手家の半竜少女 クウ・マクラギ cv.諏訪彩花 空手家として育てられた半竜の少女。 だが、空手は苦手だ。 |
思い出1
クウだ! 世話になる!
なかなか気合のはいったあいさつね。
あら? そのツノ……そのシッポ……もしかして半竜ってやつかしら?
らしい!
らしいってどういうことですか?
私は捨て子だ! そこにいるヤナギさんに育てられた!
えっ?
…………
あ、あの……
ヤナギさんは無口だ! 気にするな!
アンタたちってふだんなにやってんの?
私はヤナギさんと一緒に世界中を旅している!
なんのために?
空手の稽古をするためだ!
からてって?
格闘技だ!
いや、見た目的になんとなくそれはわかるわよ。
アタシが聞いてるのはそういうことじゃなくて……
うるさい!!!
えっ? ヤナギさん……
ヤナギさんは考えているんだ! 今日の稽古のメニューを!
は、はあ……
ヤナギは突然、カナヅチと木材を用意した。
よし、クウ……犬小屋をつくれ。
はい! ヤナギさん!
これが稽古なの?
知らん! でもやるしかないんだ!
なんなのよこいつら……わけがわからん……
思い出2
ドオォォーーーラァーーーー!!!
クウが手刀で大木をなぎたおした。
ぎにゃー!? なにやってんのよアンター!
稽古だ! 大会が近いからな!
大会って空手の?
そうだ!今度こそ初勝利を目指す!
一度も勝ったことないの?
ない!
どうして? とっても強そうなのに……
常に反則負けだからな!
反則って……なにしたのよ?
火を吹いたり、シッポで殴ったり、ツノで剌したりだ!
それは確かに反則っぽいわね……
ルールにのっとって戦わないの?
それは無理だ! この体は空手には向いていない! 動きづらくてかなわん!
かといって一方的に殴られると腹が立つ! だったら反則でも負けたほうがいい!
じゃあ空手なんてやめればいいじゃない……
それも無理だ! ヤナギさんが許しはしない!
ヤナギさんは私が試合に勝つことで、なにかを教えようとしているのだから!
…………
あら、ヤナギさんだわ。
クウのつくった犬小屋をじっと見つめているわね。
ふん!
ヤナギが犬小屋を飛行島の外へ投げ捨てた。
ちょっと!? なんてことすんのよー!
まあ、持て猫! きっとあれには特別な意味がある!
そうだよな! ヤナギさん!
通行の邪魔だ。
思い出3
空手大会に向けてクウは、自分を追い込むため主人公たちと一緒に海へ来ていた。
あれ? ヤナギさんは一緒じゃないの?
ヤナギさんは入院した!
う、うそ!? なにやったのよ?
一緒にロッククライミングをしていたのだが……
もしかしてロープが……
いや、休憩中にバナナを食べたら傷んでいてな……
そ、それはお気の毒ね……
それで一人では心細くてな……君たちを稽古に誘ったというわけなんだ!
なるほどね~。やすいごようよ。
恩にきる! ヤナギさんを励ますためにも大会で優勝しなけれぱな!
それはそうと、どうしてアタシたち小舟に乗ってるの?
バランス感覚を鍛えるためだ!
ふむ。足場のわるいこの状況を利用するわけね。
そうだ……こ、ここでの稽古はひじょうに効果的で……
どうしたのクウちゃん? 震えてるけど……
私は泳げないからな……
クウにも弱点があったのね。
ああ、さらに水に濡れてシッポの火が消えると体の調子がすこぶる悪くなる……
場合によっては死にいたる……
なにサラッと危ないこといってんのよ! 稽古なんかやめなさい!
ヤナギさんのためだ……やるしかないだろう……
クウは左足を大きく振り上げた。
どわ!? ゆ、揺らさないで!
これぞ<フラミンゴの型>!
竜は関係ないのね……
やはりこの体はダメだ……シッポのせいでバランスがとれん……
おっとっととと……
ぎにゃー! クウが海に落ちたわ!
思い出4
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イケイケの音楽に合わせて男女が踊り狂っている。
主人公たちはクウに誘われ、イベン島で開催されているクラプイベントに来ていた。
ここがうわさのクラブハウスね……
で、体の調子はどうなのよクウ?
浅瀬とはいえ海に落ちて、シッポの炎がちょっと消えちゃったし……
うう……寒気がする……クラブにいるというのに気持ちが高ぶらないとは……
やはり、ヤナギさんがよく連れていってくれたお立ち台のある店でないと……
(ヤナギさんって意外とアクティブなのね……!)
まあ、命には別状なさそうだしよかったわよ。
君たちの応急処置のおかげだ……礼をいう。
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「やい反則女! まさかこんなところで出くわすとはな!
誰だ?
「俺はマングース会のハブだ! 忘れたとは言わせねえぞ!
知らん。
「てめえ……俺はな。去年の大会で、てめえの回し蹴りをくらって大火傷を負ったんだ!
ああ、あのときの……しかしあれは君が審判に見えないように隠し持った武器で攻撃しようとしたので仕方なく……
うるせえ! 俺はそのせいで11ヶ月の病院生活だ!
おかげでうちの門下生たちはみんな別の道場に流れていってなあ……俺の人生メチャクチャだ……
すまん。
謝ってすむ問題じゃねえ! 俺は絶対てめえを許さねえからな!
どうすればいい?
なーに、次の大会で俺と真剣勝負をすればいい。エントリーはしてんだろ?
そのことだが今回は辞退することにした……体調がすぐれなくてな……
ふざけんな! てめえに拒否権はねえんだよ!
…………
俺は知ってるぜ! てめえは後一回でも反則行為をすりゃあ、
空手協会から干されて二度と大会には出られねえってことをな!
…………
はっ、ビビってんのか! 試合でなら俺が有利だかんな!
てめえはおとなしく俺のサンドバッグになりゃいいんだよ! はん!
ハブはショットグラスを地面に叩きつけ、クラブハウスを後にした。
クウ……どうして大会に出ないの? あそこまで言われたら……
…………
クウ?
思い出5
ホテルの窓ガラスが割られている……
***
クウは箸で銃弾を受けとめた。
立ち食いソバの最中になんてことを……
***
――ということがあってな。
ハブの仕業ね……脅迫してクウを大会に出させる気だわ。
これだけならまだいいがな。今朝、ヤナギさんの病室にフルーツの盛り合わせが1000カゴ届いた。
なんてインケンな……
最後の忠告ってとこだろう。いつでもヤナギさんには危害をくわえられる……というな。
うーん……やっぱり大会に出たほうがいいんじゃ……
体調がまだ戻ってないかもしれないけど、このまま嫌がらせが続くよりかは……
…………
空手は自分を守るためにある……
どういうこと?
争いのために空手をやってはいけないとヤナギさんに教えられた……
ハブには腹が立つ。だが、教えを破るわけにはいかない。
さんざん反則しといてなにいってるのよ。
それはそれ。これはこれだ。
困ったわねえ……
思い出6 (友情覚醒)
なんだこの光は……体が燃えたぎるように熟く……
気持ちは受けとった! これはもう大会に出るしかないな!
***
それではこれより、第36回無差別級実践空手交流試合、一回戦を行います!
西、クウ選手!東、ハブ選手!
両者!前へ!
まさかいきなりアイツと当たるなんてね……
がんばってクウちゃん!そのまま優勝しちゃえー!
ああ! まかせろ!
おや? ハブ選手の姿が見えませんね?
ハブ選手ー!ハブ選手ー!
待たせたな!
なんだ、そこにいらし……えっ?
さあやろうぜ!俺のメリケンがはやく血を吸いてえってよお!
なんですかその格好は! 凶器の持ち込みは反則ですよ!
っるせー! んなもん知ったことか!
ハブ……貴様……!
ヒハハ!さあどうする!
真面目に空手で戦って俺に勝てるか!いんや勝てないね!
てめえの選択肢は2つぅ!
俺に再起不能になるまでボコられるか反則行為で二度と大会に出られなくなるかだ!
くっ……
いいんだぜ俺はてめえに勝ち星をゆずっても!
どうせこの先、俺に未来はねえ!
ただそんときゃてめえも道づれよ!
…………
ほらほら俺を殴りな!たがよ!
ヤナギのジジイが悲しむだろうな!
夢がついえちまうんたからよお!
…………
こら君!失格にするよ!
「なにいってんだ! 俺はまだ手を出しちゃいねえだろ!
いいとこなんたから邪魔すんじゃねえ!
…………
空手に先手は無い……
「あん?
ヤナギさんの教えだ!
クウの体が怒りの炎に包まれた!
「な、なにぃいいー!?
だが!それはそれ! これはこれだ!
「おいよせ!いいのかよ、そんなことしたら二度と大会には!
ドォォオオォォラァァアアア!!!
クウは炎をまとった豪快な回し蹴りをハブに放った!
「ぐわあああっちいいいいいっ!!!
…………
ふん!
クウとハブはルール違反により、両者失格となった。
二人には空手協会から除名処分がくだされた。
これでよかったの? アンタたちの夢は……
いいんだ!空手は大会に出ることかすべてではない……
おそらくヤナギさんは、私が試合に勝つことでそれを教えたかったのであろう……
そのとおりだ。
ヤナギさんだわ! よかった、退院したんですね……
ではさっそく稽古をはじめるとしよう! ヤナギさん、とびきりきついのを頼む!
きっとそこに、意味があると思うから!
空手に終わりはない
その他