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【黒ウィズ】アスモデウス・トビト

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作成者: にゃん
最終更新者: にゃん

アスモデウス・トビト

2014/04/11


バックストリー



奈落の覇帝 アスモデウス・トビトは、クエス=アリアスという魔力にあふれた豊かな異界を、その狂気を宿した瞳でジッと見つめていた。


──異界を一つ滅ぼすことなど彼にとっては造作もない。

彼はこれまで幾度と無く異界を奈落の底へと引きずり落とし、そこにある魔力を貪ってきた。

彼にとって異界とは、ただの玩具であり、怒りを鎮める薬であり、嗜虐心を満足させるための存在に過ぎなかった。


眼前に転がる獲物の運命を踏みにじり、脳髄が痺れるほどの全能感を味わうことだけが、彼の知る唯一の楽しみだった。


……だがその異界は、何か妙な力によってアスモデウスを拒否していたのだ。

見えない柔らかい壁に阻まれているような、穏やかで、それでいて有無を言わせない圧力。

その力がどこからやって来ているのか、アスモデウスは歯噛みをしながら意識を研ぎ澄ませる。


果たして、それはすぐに見つけることができた。

予想だにしなかった強大な力を持つ存在。

あるいは概念とでも言える存在が、彼の奈落を覗きこんでいる。


無感情な、それでいて穏やかに微笑んでいるような瞳で。


「ずいぶんと探したよ。お前が誰かは知らないが──」


そんな言葉が、彼の頭上から聞こえてくる。

誰にも見えないように開けた奈落を覗きこむ、天使の声が。


「──我が名はアウラ・アマタ……神々の手となり、裁きを下す者。奈落に蠢くものよ、今ここで絶え果てよ」


鋭い眼光を燃やしながら、アスモデウスは立ち上がる。

──俺を誰だと思っている。

神だろうがなんだろうが、邪魔をする輩は捨て置けん。


奈落から見える空は青く、目の前に立ちふさがる天使は眩しかった。

しかしそれがかえって、彼の憎悪をかきたたせる。


「……食い尽くしてやる」

天を仰いだまま、彼は静かにつぶやいた。




人物紹介
画像説明登場日
アウラ・アマタアウラ・アマタ
アスモデウス・トビトアスモデウス・トビト2014/04/11
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