【プロフィール】謎の書物
エピソード
X月 XX日
研究室にはじめて挨拶に行く。
教授は見た目通り優しいおじいちゃんで良かった。
だけど、ひとりコワいオーラを放つ先輩がいた。
構内でも有名な天才さんらしい。
挨拶したのに、ちょっとこっちを見るだけで
無視されたので、きっとコミュニケーションが
苦手な人なのだと思う。
X月 XX日
天才さんのレジュメを読む。
数式と理論がとても美しかった。
物理で感動するという経験を初めてしてしまった。
私はもしかすると、
とんでもない人に毎日挨拶を
無視されているのかもしれない。
X月 XX日
ついに天才さんに挨拶を返してもらうことに成功。
粘り勝ち。
X月 XX日
私の自信作の理論を天才さんに見せた。
「荒はあるが、面白い理論だ。
正直言って、君は馬鹿だと思っていた」
正直すぎると思った。
その後、的確かつ辛辣なアドバイスを頂戴したので、
改めて理論構築をしたいと思う。
あと、
「いい加減、僕のことを天才さんと呼ぶのをやめてくれ。
馬鹿にしてるのか」
と怒られたので、今後はきちんと助教と呼ぼうと思う。
挨拶を返してもらえてなかったのには、
私にも原因があった模様。反省。
X月 XX日
助教の今日のカロリー摂取量が
180kcalであることが発覚。
お弁当作戦を始動する。
X月 XX日
助教にお弁当を渡したら、非常に怪訝な顔をされた。
ひどいと思った。
いつも理論を見てもらっているお礼です、
と言ったら、真顔で
「何を言っている、礼を言われる筋合いはない。
君の理論には僕もいい刺激を受けているんだ」
と言われてしまった。
なんだかとても嬉しくて泣きそうになったけれど、
無理やりお弁当を勧めたので
何とか誤魔化せたと思う。
「料理の腕は普通だな」
なんだかとても腹が立ってたので、
明日のお弁当はおいしいと言わせると誓った。