クーデルカ・プルミエール
通常 | 黒鳥の騎士 |
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Illustrator:桑島 黎音(くわしま れいん)
名前 | クーデルカ・プルミエール |
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年齢 | 18歳 |
職業 | 白聖騎士団団長、聖騎士 |
CV | 今井麻美 ※デュエルで入手可能なシステムボイス |
- 2019年9月5日追加
- AMAZON ep.VIIマップ2完走で入手。<終了済>
- 入手方法:2021/6/10~7/7開催の「「幸せを願う、白のマリアージュ3」ガチャ」<終了済>
- 入手方法:2022/2/3~2022/3/2開催の「「最後の物語。約束はあなたと共に」ガチャ」<終了済>
- 専用スキル「アナザーマインド」を装備することで「黒鳥の騎士 クーデルカ」へと名前とグラフィックが変化する。
- 対応楽曲は「Black Swan Lake」。
代々王国へと仕える歌闘士一族・プルミエール家の長女。
争いを好まない彼女だが、一族の使命として無情にも戦地へと赴かねばならぬのだった。
※ストーリー・デュエル・システムボイスは曲と裏腹にかなりの鬱要素が存在します。取り扱いは注意と覚悟が必要です。
- デュエル進行中(状況:戦闘中)
登場 | もうひとりの私も私ですから、やはり私を恨んでいるのですね…… |
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攻撃 | もう、戦いたくなんて……ないのに…… |
あぁ……、近づかないで……お願い、やめて | |
……!! うぅッ……ッ!! | |
撃破 | ……これは何? 私はどうしてこんなところにいるの……? あっ……あぁぁぁぁぁぁ! |
- リザルト
SSS | ――終わったよ |
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SS | それなら、ワタシがやってあげる |
S | 諦めよう? 世の中思い通りになんて、行かないんだもの |
A-AAA | そうか……もうひとりの私が……やってしまったのか…… |
B-BBB | そんな道理がまかり通るなんて……私は……私には、できない…… |
C | もう、もうやめて!お願い……お願いだから…… |
D | ……わぁ、あの鳥さんたちはどこへ行くの? |
- その他(NEW~)
マップ選択 | マップを選択してください |
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チケット選択 | チケットを選択してください |
コース選択 | |
クラスエンブレム更新 | |
ソート変更 | |
クエストクリア | |
限界突破 | ……殲滅だ。火を放ち皆殺しにしろ! 気にする事はないわ、自分の身を守れないのがいけないのよ |
コンティニュー? | コンティニューしますか? |
コンティニュー | ご苦労様です |
終了 | シーユーネクストプレイ |
スキル
RANK | スキル |
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1 | 運命の螺旋 |
5 | |
10 | アナザーマインド |
15 |
include:共通スキル
スキルinclude:運命の螺旋
- アナザーマインド [ABSOLUTE] ※専用スキル
- ラストスパイクの亜種。分岐タイミングが1/2からになり効果も強力になったが、その分、後半にJUSTICE以下30回以内という重い制約が課されている。
- 前半のゲージ上昇は平均すると150%。5本分と少し程度でしかない上、曲の前半はノーツが少ない譜面の方が多いので、基本的には後半のコンボボーナスで稼ぐ必要がある。
ノーツの分布が平坦な場合初期値だと11回、+1ならば10回発動で8本に届く。前半のボーナス減少を考慮すると13~15回発動が現実的な8本ラインだろうか。
GRADE | 効果 |
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共通 | 1/2経過までゲージ上昇UP (200%) 1/2経過からJUSTICE以下30回で強制終了 |
初期値 | 1/2経過から 100コンボごとにボーナス +6000 |
+1 | 〃 +6250 |
理論値:不定(譜面依存) |
ランクテーブル
1 | 2 | 3 | 4 | 5 | |
スキル | Ep.1 | Ep.2 | Ep.3 | スキル | |
6 | 7 | 8 | 9 | 10 | |
Ep.4 | Ep.5 | Ep.6 | Ep.7 | スキル | |
11 | 12 | 13 | 14 | 15 | |
Ep.8 | Ep.9 | Ep.10 | Ep.11 | スキル | |
16 | 17 | 18 | 19 | 20 | |
21 | 22 | 23 | 24 | 25 | |
スキル | |||||
~50 | |||||
スキル | |||||
~100 | |||||
スキル |
STORY
歌闘士――それは、音や歌を物理的、精神的な力に変えることができる能力を持つ者のことを言う。
聖王国ファルネリア……
覇王ファルネリア二世の下にルヴェリア大陸北部の諸国が併合され生まれた大陸の覇を唱える強国。
ところが、その成り立ちから戦に塗れた聖王国は周囲の国との争いが絶えず、強力な歌闘士たちが率いる13の騎士団を用いて武力による治世を行っていた。
プルミエール家は歌闘士の一族として王家に代々仕え、直属の騎士団を率いる運命を持った貴族であった。
その長女として生まれたクーデルカは、歌によって人々を鼓舞する指揮の歌声を持つ歌闘士として、王家の庇護のもと聖騎士となるべくして育てられた。
けれど彼女は心優しく争いを好まない性格をしていた。それ故に、敵味方問わず多くの血が流れ、人命が失われる戦争になど関わりたくはなかった。
しかし今、騎士となったクーデルカは王家直属騎士団である『白聖騎士団』に所属し、戦地を渡り歩き、戦い続けていた。
「どうして、争わなければならないの……。どうして、私は戦っているの……」
戦場に立つたびに彼女は思う。望まぬ戦いにどうして自分が身を投じなければならないのかを……。
それは、彼女が仕える国と、受け継がれてきた一族の役目、そして戦況によるものだった。
プルミエール家は指揮の歌闘士を輩出し続けた名門。戦場にて兵士たちを鼓舞し、指揮官として彼らを率いてきた。
高い歌闘士の能力を受け継ぐ男児が代々聖騎士となり、やがて騎士団を率いることが約束されていた。
だが、クーデルカの出生以降女児しか生まれず、世継ぎが居ない状況下で国は新たなる戦火を巻き起こす。
広がりゆく戦火の中で、白聖騎士団を率いていたプルミエール家当主であり、父親でもあるアルフォンス・プルミエールが戦死。
その先代となる祖父セオドア・プルミエールが当主を一時的に引き継いだが、高齢のため戦地で兵を指揮することは叶わない。
こうしてプルミエール家に残されたのはクーデルカ、アルミナ、セシリア、シャルロッテの四姉妹のみとなってしまった。
その長女であり色濃く歌闘士の才能を受け継いでしまったクーデルカは、国のため、家族を守るためだと言われ、指揮の歌声とともに望まぬ戦いへ身を投じていく。
「もう、戦いたくなんて……ないのに……」
普通の娘であれば青春を謳歌する年頃であろう時に、クーデルカは軍を率い、初めて歌闘士として戦場に立った。
だが、彼女の初陣は散々なものだった。
それもそのはず。歌闘士として育てられたとはいえ、戦ったことすらない優しくか弱い乙女が、戦地で指揮など取れるはずもない。
そんなクーデルカが戦地で目にしたのは、人の命がいともたやすく潰えていく光景と見るも無残な戦火の傷跡だった。
その凄惨で受け入れがたい現実を前に彼女は、恐怖で震える足と流れる涙を止めることすらできなかった。
「どうして、こんな……私は……私は……」
何もできずに戻ったクーデルカを、副官や祖父は『最初は仕方ない』などと励ました。
その場では平静を装い謝罪と反省を口にしたものの、部屋でひとりになった途端、堰を切ったように泣いた。
戦地の惨状に対する悲痛な思いと、命を落としていく自国の兵士を目前に、何もできなかった自分への悔しさで耐えきれなくなった感情が、涙となって押し寄せた。
ひとしきり泣いたことで少し落ち着きを取り戻したクーデルカは、逃げ出したい感情を押し殺し、戦い続けることを選択する。幼い妹たち、そして家族を守るために、無理矢理心を殺したのだ。
これが、後の悲劇に繋がるとは知らずに……。
戦争は嫌いです……。
私は人の命を奪うことなどしたくはないのに……。
でも、戦わなければ生きられぬ今の世もわかっているつもりです。
それならば、罪のない命が失われないよう戦火を最小限に抑えて勝ち続けるしかない。
私はそう答えを出しました。
彼女が戦い抜いた戦役は、後にハイアン戦役と呼ばれる、聖王国ファルネリアが併合した都市国家ハイアンにおいて、独立を勝ち取るため決起した解放軍による反乱が発生。
王国はいくつかの騎士団を派遣し、事態の鎮静を計ろうとした。
しかし、第一身分であるファルネリア民たちと、第三身分であるハイアン民を中心とした解放軍の戦いは凄惨たるもので、後の歴史書では歴史の暗部として記されることとなる。
そんな凄惨な戦場の中で戦いを続け、多大なる功績を挙げながら成長していくクーデルカ。
それを副官や祖父は大いに評価していた。だが、当のクーデルカには何も響かない。
「多くの人命を奪ってまで得る評価なんて……そんなものはいらない。私は戦いたくない……争いの血なんて、見たくない……」
戦いが終わるたびに、クーデルカは自室の窓から見える夜空を見ながら静かに涙を流していた。
敵味方問わず血を見たくないと強く願うクーデルカ。彼女は戦いを繰り返していく中で、次第に解放軍へ投降を勧めるようになっていった。
騎士団の中には生ぬるいと声を上げる者もいたが、クーデルカの積み上げてきている実績の前では、そうした声が大きくなることはなかった。
「このまま降伏を勧めながら進軍していけば、きっと血を流さずに戦いが終わってくれる。平和で穏やかな生活がくる……」
クーデルカはそう信じて進軍していった。
「誰か! 助けてくれッ! 捕虜が反乱を起こしたぞ!」
ひとりの兵士が大声で叫んだ。
声を聞いて大勢の兵士がその場へ駆けつけると、そこでは牢獄を破った多くの捕虜たちが、一斉に兵士へ襲いかかっていた。
「どうして……反乱なんて……彼らは降伏していたのに……」
前線のクーデルカにその報告が届いたのは、反乱勃発から少し時間が経過した頃だった。
クーデルカは一転した状況に驚きと悲しさを顕にする。
後方部隊とはいえ戦力が整っているクーデルカ率いる白聖騎士団はなんとか反乱の鎮圧に成功したが、それでも、仲間の兵士たちに大きな被害が出てしまった。
この、ある種クーデルカの失態とも言える反乱により、一度は沈んでいた反感の声が再び浮上する。
「こんなことになるなら、捕虜になどせず殺しておけばよかったんだ!」
「俺は前々から生ぬるいと思ってたんだ。やっぱりこうなった」
味方であるはずの兵士たちからの声に、クーデルカは耳を塞ぐしかなかった。
さらに、クーデルカへ追い打ちをかけるかのように、本国から残酷な通達が届く、そこにはこう書かれていた。
「今後一切、捕虜の受け入れは認めない」
それは簡潔ながらも、彼女のこれまでの行いを否定し、以降は彼女の手により血の雨を降らせることを約束させる残酷な報せであった。
この本国からの決定により、現在残っている無抵抗な捕虜を生かすことができなくなってしまった。
反乱を起こした者たちではないにも関わらず……。
「そんな……そんな道理がまかり通るなんて……私は……私には、できない……」
「私に……、私にこの手を血に染めろというの……?」
クーデルカは崩れるように地面へ膝をつくと、その書状を握りしめ、自分の立場とやがて訪れる無情な決断に涙を流し続けた。
こんな日など、訪れてほしくはなかった。
私は広場に集められて身動きが取れなくなっている捕虜たちの前に、副官とともに立たされている。
捕虜たちの顔は見たくない。見ることなんて、できない……。
「クーデルカ様、ご準備の方は?」
副官がクーデルカを気にして話しかけるが、クーデルカは何も答えず俯いたままだった。
すると捕虜のひとりがクーデルカに向けて叫んだ。
「なぁ! 助けてくれるはずじゃなかったのか!?」
その言葉に顔を上げたクーデルカは、咄嗟に言い訳のような言葉を発する。
「そ、それは……あなたたちの仲間が……反乱を、起こしたから……」
捕虜はすぐさまクーデルカの言葉に反論した。
「そんなの俺たちには関係ないじゃないか!」
その反論を皮切りに、捕虜たちが口々に声をあげる。
「お願いだ! 助けてくれよ!」
「俺たちはなにもしちゃあいないだろ?」
「降伏すれば殺さないって、言ったよなぁ? あれは嘘だったのか!?」
「聖女みたいな真似して安心させて、俺たちをこうして見せしめに殺すことは最初から決まってたんだろ!?」
捕虜たちから浴びせられる言葉に耐えられなくなったクーデルカは、息苦しくなり思わずよろめくが、それを副官が支える。
だが、支えた副官の手には剣が握られていた。
「クーデルカ様……」
副官はそれ以上何も言わずに剣をクーデルカに握らせる。
「そんな……や、やめて……私は……嫌です……」
涙ぐんで怯えるクーデルカは、握った剣をガタガタと震わせる。
その時だった。
クーデルカの頭の中で声が響き、クーデルカは意識を失った。
「それなら、ワタシがやってあげる」
「誰も、誰もワタシを責めることはできない……そうでしょう?」
「見事でした。クーデルカ様」
副官の言葉でクーデルカの視界は開け、ハッと意識を取り戻す。
クーデルカには何が起こっているのかわからなかった。
しかし前方に目をやると、刑を執行された捕虜たちが、青空の下で見せしめのようにその躰を晒していた。
カラカラに乾いた空気がクーデルカを包み、骸たちを見つめる彼女の視界はぐらりと歪んだ。
「なっ……そ、んな……」
放心気味のクーデルカは、自分の手が不意に重く、そして暖かい湿気を帯びていることに気がつき、不意に視線を下げた。
剣を離すまいと力強く握ったその手は、目の前の骸たちのものであろう鮮血で赤黒く染まっていた。
「……えっ?」
唖然とし、小さく声を漏らすクーデルカ。その姿を見て、副官が平然と話しかける。
「いかがなされましたか? クーデルカ様は兵たちに先立ち、自ら正義をお示しになったのです。これで我が白聖騎士団の士気も……クーデルカ様?」
何が起きたのか、そして自分が何をしたのか、その状況を一気に理解した。
するとクーデルカは顔面蒼白でガタガタと身体を震わせ、剣を地面に落とし、自らの手で無抵抗な人間を殺した罪悪感と恐怖に苛まれる。
「……!! うぅッ……ッ!!」
クーデルカはたまらずその場にしゃがみ込み、堪えきれず涙を流しながら嘔吐した。
そしてまた、頭の中に声が響いた。
「――終わったよ」
「諦めよう? 世の中思い通りになんて、行かないんだもの」
捕虜をこの手にかけた後から、私は戦場で時折記憶が途切れるようになった。
でも、倒れるわけでも気を失うわけでもなく、記憶がない間も私は戦い、勝利を続けていた。
そうして気づいた。私だけが知らない私が私の中にいると……。
「此度の戦いも見事でした。クーデルカ様」
副官が誇らしげに言うが、クーデルカには戦っている最中の記憶がなく、勝利した実感など欠片もない。
あるのは自分ではないもうひとりの自分がいることと、もうひとりの自分は戦いや殺戮を恐れることなく、むしろそれを楽しんでいる悪魔のような存在だということだけだ。
けれど、戦の中で現れるもうひとりのクーデルカは、歌闘士としての能力だけでなく指揮官としても類まれなる才能を持つ優秀な存在だった。
時には自ら剣を振るい戦う女神だともてはやされ、憧れの目すら向けられていた。
現実を目の前に自分自身を欺こうとした結果生まれたもうひとりの『ワタシ』に、いつの間にか欺かれていた彼女は誰かに救いを求めることすらできず、ただ悲しみを背負うことしかできなかった。
「あれは、本当の私じゃない……。私が生み出してしまったんだ……自分で……」
クーデルカは、もうひとりの自分という存在のことを、自分の弱い心が生み出した逃避場所のようなものだと自覚していた。
そうして戦いを続けていくクーデルカ、本来の自分の記憶が曖昧になり、知らない自分が自分を覆い隠していく感覚だけが積もり続ける。
それはまるで、白く美しい翼を持つ天使が次第に闇へと堕ち、悪魔のような黒き堕天使に変貌していくようだった。
終わらない戦争ともうひとりの自分によってクーデルカの心は鷲掴みにされ、ゆっくりと締めつけられていった。
その姿なき悪魔の恐怖に耐えかねたクーデルカは、意を決して副官にすべてを打ち明けた。
泣きながら副官にすべてを告白し、懺悔するクーデルカ。
その姿を見た副官は自分のこれまでの行いを省みた。
「涙をお拭きくださいクーデルカ様。……私は勘違いをしておりました。クーデルカ様は度重なる戦いの中で立派に成長し、家名に恥じない騎士になられた……そう思っておりました。でも、それは間違いだったのですね」
およそすぐには信じられないような話にも関わらず、クーデルカの境遇に同情し、身を案じる副官の優しさは、クーデルカにとって忘れかけていたものだった。
だがここは戦地。
クーデルカたちは後戻りなどできるはずもなく、それでも前へ進まなければならない。
そして、その出来事があってからというもの、副官はクーデルカに辛い決断をさせず、可能な限り凄惨な現場を見せまいと、精一杯努力を続けた。
その甲斐もあり、もうひとりの自分になることは減っていたが、自身の心をじりじりと侵食する黒く深い闇を押しとどめることはできなかった……。
それは手から零れ落ち、すくいきれないもののように。心に闇を抱えたまま、彼女は進むしかなかった。
激化する戦いの中、クーデルカが率いる騎士団は、ついに解放軍の拠点である首都ハインヴァルまでたどり着いた。
指揮を執るクーデルカは解放軍に対して全面降伏を迫るが、聞く耳を持たない彼らは徹底抗戦の意を表する。
そうして取った行動は、女子供関係なく市民をも前線で戦わせる、なりふり構わない戦略とも呼べぬ無謀な行動だった。
「もう、もうやめて! あなたたちが戦うことはないのです! 武器を捨てて降伏してください! お願い……お願いだから……」
戦火の中で懇願するクーデルカの声は誰にも届かない。
周囲では騎士団の兵士たちが解放軍の兵士はもちろん、一般市民すらこともなげに惨殺していく。
クーデルカの意ではない。彼らを駆り立てたのは戦功という野心と欲望か、豚のように横たわるのは力なき者たちだった。
そんな地獄のような現実に、クーデルカの心は限界を迎えた。
「あぁ……あぁ……、近づかないで……お願い、やめて」
黒く深い闇が、クーデルカの心を覆う。景色が歪み、ゆっくりと暗く染まっていくのを彼女はただただ眺め続けるしかなかった。
「クーデルカ様! クーデルカ様ぁ!!」
クーデルカの異変に気づいた副官が叫ぶが、クーデルカの返事はない。わずかに見えたクーデルカの顔は、氷のような微笑を携え、冷たい眼差しを副官へ向ける。
あの戦を嫌う、心優しき白き鳥のようなクーデルカの美しい顔は、見る影もなくなっていた。
「……殲滅だ。火を放ち皆殺しにしろ」
そうつぶやくと、黒き翼を宿したクーデルカは、眼の前に立ちはだかるものを焼き尽くし、怯える人々に死を与え、戦場を駆ける……。
その姿は、何もかもを黒く焼き尽くし、終りを告げる……死を運ぶ黒い鳥そのものだった。
あれから何が起こったのか、私にはわからない。けれど、気がつくと私の周囲には無残な死体が散らばっていた。
「そうか……もうひとりの私が……やってしまったのか……」
戦場に飛び出してきたハイアンの人々は皆、家族を守ろうと必死だった。
しかし、死を告げる黒い鳥のようなもうひとりの自分は、指揮の歌で兵士たちを無理やり鼓舞し、暴虐の限りを尽くした。そして、自らも嬉々として無抵抗な人々を虐げ、殺戮者と呼ぶにふさわしい姿を兵士たちに晒していた。
その結果、まだ戦いが各所で続いてはいるものの、白聖騎士団の勝利は揺るぎないものとなっていた。
我に返ったクーデルカは、呆然としながらも戦いが終焉に向かっていると確信し、心のどこかで安堵していた。
だがその時、どこからともなく子供の叫び声が聞こえる。
「うわあぁぁぁぁぁぁ!」
その声と同時に力ない石礫がクーデルカに降り注ぐ。
クーデルカが目をやると、そこに居たのは幼子だった。そして、幼子のそばには親と思われる女性が大量の血を流して倒れていた。
それは紛れもなく、もうひとりのクーデルカに殺された肉親と、親の仇であるクーデルカを恨む子供の姿だった。
「あぁ、もうひとりの私を恨んでいるのですね……。いいえ、違う。もうひとりの私も私ですから、やはり私を恨んでいるのですね……」
とめどなく投げつけられる石礫を浴びるクーデルカは、無表情のままその場で微動だにしない。
クーデルカの周囲にいる兵士たちも、幼子を前に一瞬ためらいを隠せずにいた。
そんな時、拾った剣を突き出して、クーデルカの側面へ駆け寄る子供の姿が副官の目に入る。
「……ッ!! いけません、クーデルカ様ッ!!」
副官は咄嗟にクーデルカを庇い、その刃に倒れる。
凶刃の前に崩れ落ちる副官の姿を目の当たりに、大義名分の元、戦意を取り戻した兵士たちは反撃を開始。
周囲にいるすべての幼子たちを危険因子と見なし、容赦なくその剣を向けた。
呆然と立ち尽くすクーデルカの目には、自分の横で倒れる副官と、幼子たちがゆっくりと、そして残酷に命を散らしていく姿が映っていた。
「……これは何? 私はどうしてこんなところにいるの……? あっ……あぁぁぁぁぁぁ!」
もっと、別の方法があったはずだ、手を取り合って戦いを避ける未来が、どこで間違えたというのか。
けれど、もうすべてが遅い……。
クーデルカの中で、何かが砕ける音がした。それは、自身の心を繋ぎ止めていたものが粉々に砕けた音だった。
かくして戦争はクーデルカ率いる白聖騎士団の活躍により、プルミエール家が仕える聖王国ファルネリアが勝利することとなった。
独立を掲げ決起したハイアンは首都ハインヴァルを失う形で名実ともに消滅した……。
後の記録ではハインヴァル攻防戦での生存者はわずか数百名、戦死者は万を越えるという歴史上稀に見る凄惨で悲惨な、惨たらしい戦いだったと語られている。
終戦後、生存者たちは下層身分の奴隷として働かされ、ハイアンが所有していた領地は、聖王国ファルネリアの直轄領となった。
――記録には残されていないが、その戦争で女子供にも容赦なく手にかけ、残虐非道の限りを尽くしたひとりの美しき乙女がいたということが、まことしやかに囁かれていた。
ある者はその美しき乙女が笑みを浮かべながら殺戮を指揮したと話し、ある者は涙を流しながら戦場を駆けていたと話していた。
また、白く美しい翼を持っていたと語る者や、逆に漆黒の翼を持っていたと語る者もいたが、どれも一貫性の無い噂話として広まった。
そんな噂話は、いつしか一部の人々が語り継ぐ絵物語と化していた。
果たして何が本当なのか……。今となっては知る由もない。
あの戦争が終結してから数年が経過し、多くの者は平穏な日常を手に入れていた。
プルミエール家はその後もファルネリア王家に仕え続けているが、いまだ世継ぎが居ないため、現在も先代の祖父セオドアが当主を続け、次女と三女がそれを補佐している。
そして……。
「お姉さま。ほら、海鳥が飛んでいきますわ」
私はお姉さまにそう言った。しかし、お姉さまは抑揚のない声で答える。
「……わぁ、あの鳥さんたちはどこへ行くの?」
どこに行くのかはわからない。そこで私は、そのまま思ったことを口にした。
「どこでしょうね。きっと楽しい場所ですわ」
お姉さまは言葉を紡ぐこともなく、無表情のままその海鳥を見ていた。
――私の名前はシャルロッテ、シャルロッテ・プルミエール。
プルミエール家の末妹で、今はこの海の見える修道院で、お姉さまと共に暮らしている。
お姉さまは戦火の中で変わってしまわれた。大人たちの大義や理想のもとに、美しく聡明だったお姉さまはおとぎ話の中の悪魔のような存在に……。
そうして、私たちのもとに戻られた時、お姉さまの中にお姉さまは残っていなかった……。
でも私は、私たちは知っている。あの優しかったお姉さまのぬくもりを。
だから私は、神様に言った。
「どうして……どうしてお姉さまだけがこのような目に合わなければならないのです!?」
何度も何度も、そう言った。そして、願った。
「神様……お願いです。いつの日か私たちのお姉さまを、返してください……」
末妹シャルロッテの悲しみが、ゆっくりと沈みこむような凪の海と、不愉快なほど青い空の向こうへと、海鳥たちはただただ飛び続けるのであった。
チュウニズム大戦
レーベル | 難易度 | スコア | |
---|---|---|---|
スキル名/効果/備考 | |||
◆ジェネ | BASIC | 0 / 160 / 320 | |
チェインリミットダウン(上限点数-200) | |||
CHAIN時発動。 全プレイヤーは上限点数が「-200」される。 |
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チュウニズムな名無し
262022年10月26日 19:21 ID:bm8wstejコース選択
「コースを選択してください」
クラスエンブレム更新
「クラスエンブレムを更新しました」
ソート変更
「○○順でソートしました」
クエストクリア
「クエストクリア!」
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チュウニズムな名無し
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チュウニズムな名無し
242022年10月12日 17:43 ID:db26pikfそれならワタシがやってあげるっ!!(代行)
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チュウニズムな名無し
232022年10月12日 17:10 ID:m34e8n9m全リザルトの台詞等をまとめた動画をTwitterで聞いたけど、鬱過ぎるよ…特にDなんてもう……
これはmiss1・デンジャー称号狙う際はこのボイスに設定しない方がいい……
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チュウニズムな名無し
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チュウニズムな名無し
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チュウニズムな名無し
202022年10月07日 16:27 ID:papz2f8r俺の過去ツイートに「クーデルカ公募やるなら〜」みたいな話してるのがあったんだけど
クーデルカに公募の話なんてあったっけ()
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チュウニズムな名無し
192022年09月23日 12:34 ID:js07wr6e鳥Sの時のボイス短過ぎてワロタ
でも可愛いからいいか
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チュウニズムな名無し
182021年05月19日 15:22 ID:e2b1bhpiこの子のストーリー読んだ後にセイクリッドルインやると、「運命を辿り君の心守る」の重みみたいなのを感じられてとても好きです
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チュウニズムな名無し
172019年10月17日 12:13 ID:cq7a8g1mどうして可愛い女の子をひどい目に合わせるんですか(半ギレ)