No.9_ニナ
通常 | ラビットキラー |
---|
Illustrator:LAM
名前 | 佐治 仁苗(さじ になえ) |
---|---|
年齢 | 15歳 |
職業 | 中学3年生 |
特徴 | 重度のブラコン |
- 2019年10月24日追加
- CRYSTAL ep.Iマップ2(PARADISE時点で25マス/累計30マス)完走で入手。<終了済>
- 入手方法:2021/12/9~2022/1/5開催の「「優しいキャロルが流れる頃には」ガチャ」<終了済>
- 対応楽曲は「ツクヨミステップ」。
- maimaiでらっくすUNiVERSE PLUSで開催されたイベント「CHUNITHMちほー」では、対応曲とともにつあーメンバー(キャラクター)として追加された。
重度のブラコンなごくごく普通の女子中学生。
No.9_ニナ【 通常 / パステルウォーカー 】
大好きな弟に誘われ、世界的に大流行しているMMOFPSを始めたのだが…?
- 専用スキル「パルスガトリング」を装備することで「No.9_ニナ/ラビットキラー」へと名前とグラフィックが変化する。
スキル
RANK | スキル |
---|---|
1 | コンボエッジ |
5 | |
10 | パルスガトリング |
15 |
include:共通スキル
- コンボエッジ [TECHNICAL]
- ゲージ5本まで到達可能。MISSが多発する場合、ゲージブーストなどのゲージ上昇率で稼ぐスキルよりも、こちらの方が上回る場合がある。「200コンボはできるがMISSしやすい」という譜面でゲージ4本を狙う時に使えるかもしれない。
- +9以上であれば、「最大200コンボ以上、ゲージ2本で終了」が達成できればゲージ4本に到達する。
- +17まで上げると、何と上位版のコンボエッジ・シャープの初期値のボーナス量にまで届いてしまう。
- 競合相手としては、終了時ボーナスが無条件で貰えボーナス値も近い天使の息吹が存在するが、入手が完全にCARD MAKER頼みであるという大きな問題がある。一方、こちらはコンボ条件こそあるものの所有者が定期的に追加されており、入手に困らない。200コンボ達成できるという前提は必要だが、天使の息吹の所有者を十分に揃えられない場合はこちらの使用を推奨する。
- 筐体内の入手方法(2021/8/5時点):
- 筐体内では入手できない。
プレイ環境 | 最大 | |
---|---|---|
開始時期 | ガチャ | |
PARADISE× (2021/8/5~) | 無し | × |
あり | +5 | |
PARADISE (~2021/8/4) | 無し | +3 |
あり | +17 | |
CRYSTAL | 無し | +5 |
あり | +17 | |
AMAZON | 無し | +7 |
あり | +17 | |
STAR+以前 |
GRADE | 効果 | |
---|---|---|
▼以降はCARD MAKERで入手するキャラが必要 | ||
初期値 | 200コンボを達成した場合 ゲーム終了時にボーナス +25000 | |
+1 | 〃 +26000 | |
+2 | 〃 +27000 | |
+3 | 〃 +28000 | |
+4 | 〃 +29000 | |
+5 | 〃 +30000 | |
▼以降はCARD MAKERで入手するキャラが必要 (2021/8/5以降では未登場) | ||
+6 | 〃 +31000 | |
+7 | 〃 +32000 | |
+8 | 〃 +33000 | |
+9 | 〃 +34000 | |
+10 | 〃 +35000 | |
+11 | 〃 +36000 | |
+12 | 〃 +37000 | |
+13 | 〃 +38000 | |
+14 | 〃 +39000 | |
+15 | 〃 +40000 | |
+16 | 〃 +41000 | |
+17 | 〃 +42000 | |
理論値:88000(5本+8000/22k)[+3] | ||
理論値:90000(5本+10000/22k)[+5] | ||
理論値:92000(5本+12000/22k)[+7] | ||
理論値:102000(6本+0/24k)[+17] |
所有キャラ【 メルヴィア / クレメンス / 星河 うた(1,5) / シロタ(1,5) / 橘 伸吾(1,5) / No.9_ニナ(1,5) / クラウン(1,5) 】
AIRバージョンからノルマが軽減され、ボーナス量が増加した。同時に、所有者が増加した。
初期値 | 250コンボを達成した場合ゲーム終了時にボーナス +25000 |
---|---|
GRADE UP | コンボ達成ボーナス +500増加(最大+28500) |
- パルスガトリング [TECHNICAL] ※専用スキル
- 上昇率+10%のマインドチャクラム。ノーツ数次第だが、初期値でもゲージ6本は不可能ではない。
GRADE | 効果 |
---|---|
初期値 | ゲージ上昇UP (150%) 100コンボごとにボーナス +1000 |
+1 | 〃 (150%) 〃 +1500 |
参考理論値:144000(7本+18000/26k) [条件:Kattobi KEIKYU Rider[MASTER]] | |
参考理論値Ω:189000(9本+9000/30k) [条件:イロドリミドリ杯花映塚全一決定戦 公式テーマソング『ウソテイ』 [WORLD'S END 嘘]] |
- 5本はコンボボーナスに関係なく到達可能なため省略。
- 水色の部分はWORLD'S ENDの特定譜面でのみ到達可能。
- 灰色の部分は到達不能。
GRADE | 6本 | 7本 | 8本 | 9本 | 10本 |
---|---|---|---|---|---|
初期値 | 12 | 36 | 62 | 90 | 120 |
+1 | 8 | 24 | 42 | 60 | 80 |
ランクテーブル
1 | 2 | 3 | 4 | 5 |
スキル | Ep.1 | Ep.2 | Ep.3 | スキル |
6 | 7 | 8 | 9 | 10 |
Ep.4 | Ep.5 | Ep.6 | Ep.7 | スキル |
11 | 12 | 13 | 14 | 15 |
Ep.8 | Ep.9 | Ep.10 | Ep.11 | スキル |
16 | 17 | 18 | 19 | 20 |
21 | 22 | 23 | 24 | 25 |
スキル |
STORY
あたしの名前は『佐治 仁苗(さじ になえ)』。
15歳のごくごく普通の女子中学生。
周りからはよく頼られて……特に後輩からは『お姉さま』なんて呼ばれることもある。
そう呼んでいいのは弟だけだって言っても全然聞きやしないから困ったものね。
肝心の弟からは「そんな呼び方恥ずかしいよ」って呼んでくれないのに。
そう……弟。
名前は『光人(みつと)』って言うんだけど、これがもう可愛くて可愛くて!
小さい頃、気が弱くてあたしの後ろに隠れがちで、歩くときでさえ後ろにくっついて、まるで離れようともしなかったのを、あたしは今でも鮮明に覚えてる。
今じゃ一緒にお風呂だって入ってくれないんだけど。
これが反抗期ってやつかなぁ。
顔を真っ赤にして
「中学生にもなってそんなことカッコ悪いじゃん!」
って怒る姿もまた可愛いからいいんだけどね。
ブラコンだなんて冷やかされることはあるけど、それは自覚してるつもり。そしてそれが、あたしの一方的な愛情だということも。
光人にとってあたしが一番じゃなくても、あたしにとっての一番は光人。
そんな光人に誘われて始めることになった、VRMMOFPS『アルカディス』。
まさかそれが、あたしの一番大切なものを脅かす存在になるなんて、この時のあたしはまだ知らなかった。
VRMMOFPS『アルカディス』。
瞬く間に世界的な流行を見せたそれは、ヘッドセットとゴーグルが合わさった形の専用の端末をつけることで、本当にその世界で過ごしているかのようなリアルな体験ができるゲームで、あたしと光人を虜にするには十分な魅力があった。
光人なんかは家に居る間、お風呂やご飯、トイレ以外の時間は常にログインしている状態だ。
まるでゲームの中で生活しているみたいに。
反対にあたしは普段ゲームなんてやらなくて、始めたのも光人に誘われたから。
光人と同じ景色を見れるというのは、あたしとしては嬉しいことだったからね。
それともう一つ。
「お姉ちゃん、絶対初心者じゃないだろ。今日もオレより敵多く倒してたし」
「あたしが普段ゲームやらないって知ってるでしょ。あと、ゲームの中でお姉ちゃんはやめなさい」
「うっ……わかったよ、『ニナ』」
『ニナ』──それがこの世界でのあたしの呼び名。
仁苗から取ったその呼び名は、光人に無理なくあたしの名前を呼ばせることに成功していた。
仕方なくといった様子の光人もなんて可愛いんだろう。
そんな風にゲームを楽しんでいたある日、『アルカディス』の開発者が亡くなったというニュースが流れた。
同時に、ゲーム内でその開発者の遺言となるメッセージが全てのプレイヤーに送られてきた。
「このメッセージを読んでいるということは、既に私は君たちの世界には居ないのだろう。しかしそれは悲観すべきことではない。なぜなら私は、素晴らしき夢の世界へと、辿り着くことができたのだから。最後に、この世界に私の資産へとアクセスできる鍵を遺した。『アルカディス』を最も愛したプレイヤーに、その鍵を渡そう」
届いたメッセージのことは当然ニュースで報道され、すぐに世界中で話題となった。開発者の遺産は数十億ほどらしく、現実離れした額は夢物語としか思えなかった。
こういうものは、あたしたちのような一般的な民間人の手に渡ることなんてない。
埋蔵金みたいなものよね。期待するだけ無駄だわ。
ただ心配なのは、メッセージを見てから光人がずっと上の空だったということだ。
メッセージが公開されてから、『アルカディス』は大きく荒れた。開発者の言っていた遺産を求めて、プレイヤー数が大幅に増えてしまったからだ。
純粋にゲームを楽しむ人なんてそれこそ一握りで、ほとんどのユーザーが我先にと遺産を求めて争うようになったのだ。
あたしも光人も遺産探しには乗り気ではないけど、争いに巻き込まれて光人がKILLされそうになる度に、光人を守るために返り討ちにしていた。
あたしの大事な弟に手出しなんかさせないってのよ。
それと時を同じくして、ゲームに接続したまま意識を失い眠り続けているのに、ゲーム内でキャラクターだけが動き続ける。
なんていう奇妙な噂がプレイヤーの間で広まっていた。
プレイヤーがゲームプレイ中に意識を失って、なのにゲームの中でキャラクターが動き続けるなんて、映画や小説ならともかく現実にあるはずがない。
あるはずはないと思うけど、もし、万が一にも光人がそんな目に遭ってしまったら……。
「しばらくゲームはしない方がいいかもしれないわ。何かあってからじゃ遅いし」
怖くなったあたしは、夕飯を食べながら光人にそう言うと、キョトンとした表情を返された。
「え、どうして?」
「どうしてって……ほら、アレよ。今噂になってる意識を失うってやつ。光人も同じ目に遭うかもしれないのよ?」
「あははっ、お姉ちゃんあんな噂信じてるの? オカルト好きだったっけ?」
「好きじゃないし。もしもの話をしてるのよ」
「大丈夫だよ。もし本当ならきっと、今頃世界中大騒ぎになってるだろうし」
光人はあまり心配していないみたいで、笑みを向けられて、あたしは言葉を詰まらせた。
確かに信ぴょう性も何もないただの噂でしかない。それを真に受けてしまうのもどうかしているのかもしれないわね。
それに、何かあったらあたしが光人を守ってあげればいいんだ。
『アルカディス』をプレイ中に意識を失うプレイヤーという噂は未だに消えずに、いつしか『未帰還者』と呼ばれるようになっていた。
一定回数殺されるだとか、バグを抱えた敵NPCに倒されるだとか、噂に不安を感じている人と、それを煽るような人たちのおかげで、そんな噂は絶えない。
死んだ回数が原因なら、あたしも光人も含めてたくさんのユーザーが『未帰還者』になってそれこそニュースになるだろうし、バグを持ったNPCの話なんて聞いたこともない。
だから、所詮は噂。
きっと開発者の遺産を狙うプレイヤーが、ライバルを少しでも減らしたくて、そんな噂を流しているんだろう。
そんな程度に思っていた。
だけど、その時は不意にやってきてしまった。
いつも通りに学校から帰ってくると、お母さんの悲鳴が聞こえてきた。
その意味を頭で理解するより早く、あたしは悲鳴の聞こえてきた部屋へと走る。
ダラリと力なく項垂れる光人と、そんな光人を揺さぶるお母さん。二人を見て、あたしは目の前が真っ暗になった。
気がつけば、光人は病院へと搬送されていた。
お母さんも付き添いで一緒に……。
光人の部屋にはあたし1人だ。
「あたしのせいだ……あたしがちゃんと光人を止めていれば……!」
不安に思った時にちゃんと止めておけばよかった……なんていうのは今さらで、あたしも光人も、噂を噂と思って信じていなかったのが全ての原因だ。
本当に意識を失うなんて……『未帰還者』になってしまうだなんて、思うわけないじゃない……!
「ごめんね、光人……お姉ちゃんがちゃんとしていなかったから……」
光人がゲームに使っていたゴーグルを見ると、おかしなことに気がついた。
ゲームがまだ起動している。
光人を搬送する時に、電源を落とし忘れたのかもしれない。
何か手掛かりが見つかるかもしれない。
そう思ってゴーグルを手にしてみると、そこには開発者からのメッセージが表示されていた。
「おめでとう! このメッセージを読んでいるということは、君は私がこの世界に遺した鍵を得る資格があると判断されたのだ。『レベル:S』に辿り着き、私が用意した3つのミッションを最初にクリアしたプレイヤーに、私が遺したものを授けよう。この世界で生き、この世界を愛してくれた君であれば、きっと達成することができるだろう。だがしかし、この誘いに乗るか退くか、それを選択するのは他でもない、君だ」
『挑戦する』と言うボタンが選択されたらしく、そのボタンが光っていた。
「何……これ……?」
つまり、光人は開発者の遺産のために意識を失ったっていうの……?
もしかして、他に居るかもしれない『未帰還者』も、遺産を得る資格を与えられたから意識を失ったってこと?
メッセージを見る限りだと、きっとそういうことなんだろう。
噂を思い出す。
『未帰還者』になったプレイヤーはたしか、意識を失ってもゲームの中で動き続けているのよね。
「待っていてね、光人。あたしが絶対に、助けてあげるから……」
光人はきっと、今でもこの世界の中に居るんだ。
そう信じながらあたしは自分の部屋に戻ると、『アルカディス』を起動した。
光人は──『未帰還者』となったプレイヤーは、今も『アルカディス』の中で動き続けている。
噂ではそう聞いていたけど、フレンドリスト上では光人はログアウトしていることになっていて、ここから場所を探すことはできそうにない。
どこに居て、何をしているのか?
ゲームの世界に閉じ込められて、不安に思っていないだろうか?
それを思うだけで胸が苦しくなる。
ゲームプレイ中に意識を失ってしまう。
そんな都市伝説のような噂が身近に起きてしまったからなのだろうか。
この世界を駆け抜けるプレイヤーが全て、現実では意識を失い、ゲームの世界に捕らわれている『未帰還者』に思えてしまって、すごく不気味に感じた。
「とにかく、早くみつけてあげないと……」
光人に繋がる手掛かりは、光人のゴーグルで見た開発者のメッセージだけ。
レベルSに辿り着いて、3つのミッションをクリアする。
きっと光人もそれを目指して動いているはず。
確証はないけど、今はそう信じて、光人を捜しながら自分のレベルを上げるために、ミッションを繰り返していった。
光人を探してゲーム内を巡り、様々なミッションをクリアしていく内に、あたしはいつの間にかレベルA──上位のプレイヤーとして他のプレイヤーに名前が知られるようになっていた。
女性プレイヤーというのもあるのか、絡まれることもうざったいことに増えてしまった。
無視してしまいたかったけど、使えるものはなんだって使う。
少しでも光人の情報を集めたかったから。
あまりにしつこい人も居たし、挙句の果てには体に触れようとしてくる奴も居て、そういう奴らにはお望み通りに、鉛弾をプレゼントしてあげた。
あたしに触れていいのは光人だけなんだからね。
レベルSまであともう少し。
また何か手掛かりはないかと、あたしは光人の着けていたゴーグルの画面を覗く。
光人が『未帰還者』となって病院に運ばれてからも、このゴーグルは装着者が居ないまま、画面だけは常に動いていた。
このゴーグルだけが、ゲームの世界に捕らわれているとはいえ、まだ光人が無事だと思える唯一の手掛かり。
画面を見ることで、光人が今どこに居て何をしているのか、そのヒントになっていた。
藁にもすがる思いで画面を覗いていると、画面に何かのメッセージが表示される。
「おめでとう、ついに君は『レベル:S』へと到達した! 私が用意した3つのミッションはどれも今までとは比べ物にならない程に難易度の高いものになっている。だがしかし、ここまで来た君になら、きっと乗り越えることができるだろう。全てのミッションをクリアした時、兎が君を私の下まで導いてくれる。そこで『レベル:HEAVEN』と『レベル:REAL』に至る権利を授けよう」
「光人はもう、レベルSに……」
それはあの開発者からのメッセージ。
あたしから光人を奪おうとするやつのメッセージに嫌悪感を抱きながら、あたしは光人のレベルに目を見開いた。
早くしないと、光人に追いつくことができないかもしれない。
光人が、もしくは他のプレイヤーがクリアすることで、それで全員が解放されるならそれでもいい。
だけど、そうならなかったら?
このままゲームの世界に捕らわれたままかもしれない。
意識が戻らないまま、永遠に会うことができなくなってしまうかもしれない。
「そんなの……絶対にイヤ……!」
そうならないために、あたしも早くレベルSに上がらないといけない。
1秒でも惜しくて、あたしはすぐにゲームの世界に飛び込んだ。
それにしても、「兎が私の下まで導いてくれる」っていうのは、どういうことなんだろう?
「仁苗、あなたもあのゲームをするのは止めなさい」
「大丈夫だよ、お母さん。あたしが絶対光人を元に戻すから」
あたしはそう言うと、すぐに『アルカディス』に接続する。
お母さんをこれ以上心配させないためにも、早く光人を取り戻さなきゃ!
必死に光人を追いかけていたあたしは、ようやくレベルAからレベルSに到達していた。
ようやく光人に追いつくことができたと思ったけど、開発者のメッセージにあった3つのミッションの項目は、いくら探してもどこにも見当たらなくて、あたしは愕然とした。
まさか3つのミッションは、『未帰還者』しかプレイすることができないっていうの?
これじゃ光人を捜すことも、ミッションを手伝うこともできない。
「いっそのこと、あたしも『未帰還者』になっちゃえば、光人と一緒に居られるのに……」
なんて、そんなことになっちゃったら、お父さんもお母さんも今以上に心配させてしまう。
光人は何らかの理由で開発者に認められて、あのメッセージを受信した。
そしてそのメッセージに返答するようにボタンを押したことで、『未帰還者』になった。
ボタンを押しただけで意識不明になるだなんて、どういう仕組みなのかしら。
運営に問いただしてやろうか……って、運営に言っても無駄か。
「……開発者に言ったら、何かレスポンスあるのかな」
もう既に死んでしまっている人に送っても、意味はないと思う。
けど、1つ文句でも言ってやりたい気分で、あたしはメッセージ送信する。
内容はただ一言。
「光人を返してよ……」
『メッセージを送信しました』という文字が目の前に表示される。
きっと意味はないし、別にこれで気持ちがスッキリするというわけでもない。
だけど、次の瞬間ピコンという音と共に、目の前に『メッセージを受信しました』という文字が表示された。
まさかと心音が高鳴るのを感じながら開いてみると、受信していたのは開発者からのメッセージ。
「君は招かれざる客だ。だが、できると思うのであればやってみるといい」
気づけば呼吸が浅くなっていた。
このボタンを押せば、光人のところへ行くことができる。
きっと後戻りはできないだろうけど、迷うことなんてない。
光人を助けるためなら、なんだってしてやる。
意を決してボタンを押すと、視界にノイズが走った。
でもそれは一瞬で、すぐに収まるといつもと変わらない光景が広がっているだけだ。
何か変わったんだろうか。
あたしも『未帰還者』になってしまったのかな。
そう思いながらミッションを確認してみると、さっきまで見つけることができなかった3つのミッションが表示されていた。
1つ目はNPCを全て倒す殲滅戦。
2つ目はこれもNPCを相手にして、拠点を一定時間守る防衛戦。
そして最後3つ目は、他の2つをクリアしたプレイヤー100人だけが参加できるバトルロイヤル。
その3つのミッションをクリアした時、光人のゴーグルで見たメッセージ通りなら、兎が現れるらしい。
レベルSのミッションの難易度はとても高く、未だに2つクリアしているプレイヤーは100人に達していないみたいだった。
遅れてレベルSになったあたしでも今からでも追いつける可能性は十分にある。
けど、あまり時間はかけていられないわね。
ミッションに参加する中で、戦いながら光人のアバターも同時に捜していた。
同じレベル帯なら、同じミッションに参加しているなら見つけられるはず。
その考えはどうやら正解だったみたいで、防衛戦に参加している中で、光人のアバターをようやく見つけることができた。
見つけた時の光人はNPCに追い詰められていて、あと少しで殺されてしまうという状況だった。
「その子はあたしのなの。手出さないでくれる?」
NPCが光人に攻撃を仕掛けるよりも早く、あたしはライフルを乱射する。
不意を突かれたNPCは、抵抗する間もなく光の粒子となって消え去った。
「光人、ようやく会えた……」
「み、つと……? キミはいったい……?」
光人の様子に、あたしは愕然とした。
あたしのことがわからないっていうの?
いや、あたしだけじゃない。自分の名前でさえ……。
「あたしは、あんたを助けに──」
その時突然、視界が揺れた。
この感覚は、そう……誰かに撃たれたんだ。
視界がブラックアウトして、気づいた時には、あたしはミッション出撃前のホームタウンに戻されていた。
「そんな……ようやく会えたのに……」
力が入らなくて、あたしはその場に膝から崩れ落ちる。
ようやく会えたのに、ちゃんと話もできないまま、また離れ離れになってしまった。
「光人、自分が誰だかもわかっていなかった……?」
声をかけた時、誰のことを言っているのかわかっていないように見えた。
あたしのことも覚えていなかったみたいだし……ゲームの世界に捕らわれた影響で、記憶もなくなってしまったの?
「でも……そんなことで諦めてられない……!」
たとえ記憶がなくなってしまっているのだとしても、光人は絶対にあたしが元の世界に返すんだ。
その思いを胸に立ち上がると、再びミッションへと出撃した。
光人を元の世界に返したい。
ただその思いだけで、あたしはレベルSのミッションを突き進む。
敵を残さず倒せばいい殲滅戦と、敵から拠点を一定時間守る防衛戦。
ある程度自分でも敵を倒さなければならないのは変わらないけど、そのどちらも最終的には自分が生き残っていればいいんだ。
だからあたしは、何が何でも生き残ることを優先した。
決して深追いはせず、着実に1体ずつ敵を消していく。
時には味方すら盾にして逃げ延びて、敵を倒すチャンスを見つけたら味方ごと撃ち抜くこともした。
悪手ではあるけど、あたしが勝ち抜く方法はそれしか見つけられなかったの。
心の中でごめんなさいと謝りながら、それでもそんな汚い手を使うことで、あたしはレベルSの2つのミッションをクリアすることができた。
ミッションをクリアしてホームタウンに戻ってくるのと同時に、目の前にポップアップが表示される。
内容は、レベルS最後のミッションに出撃するか否かというもの。
どうやらあたしはギリギリ100人の中に滑り込めたみたい。
光人がその中に入っているかはわからないけど、ミッションに行かない選択肢はあたしにはない。
出撃のボタンを押すと、瞬時に戦場へと転送が始まる。
このミッションは100人でランダムに2人一組の50組で行われるバトルロイヤル。
最後の一組になったプレイヤーたちが勝者。
簡単なルールだ。
戦場に転送されたけど、近くに人の姿は見えなくて、全員がバラバラの場所に転送されているらしい。
ペアのプレイヤーの場所は視界に映るミニマップで確認できるようだけど、同じ場所に転送してくれてもいいじゃないの。
プレイヤーの名前さえ表示されていないし、ずいぶんと不親切だ。
とりあえずペアのプレイヤーと合流するために動こうとすると、視界にチラリと人影を見つけてしまい、あたしはとっさに物陰に隠れた。
レベルSの2つのミッションで悪い意味で目立ってしまったからなのか、それともただ近くに転送されたからなのか、さっそく狙われているみたい。
厄介そうなやつは早めに消しておくに限る。
その通りだと思うけど、あたしだってそう簡単に死ぬわけにはいかないのよ!
バラ撒かれる銃弾の雨を駆け抜ける……なんてことはしない。スモークやグレネードを使って敵を炙り出して、確実に仕留めて敵の数を減らしていく。
それでも簡単なんてことはなくて、いくつかの敵を倒す中であたしも被弾を繰り返してしまう。
幸運なことに回復アイテムを拾うことができたけど、身を潜めてそれを使うのと同時にあたしに近づいてくる足音が聞こえてきた。
回復アイテムは使うのに数秒かかるんだ。
このままじゃ無防備のまま殺されてしまう。
一か八か、あたしは回復アイテムの使用を止めて、物陰から出て近づいてきたプレイヤーに銃を向ける。
そこに居たのは光人で、いきなりあたしが出てきたからなのか、光人も銃をあたしに向けたまま驚いているようだった。
「キミは、誰なの?」
口を開いた光人の声は震えていて、あたしも驚いてしまった。
大きく深呼吸してから辺りを見回して敵が居ないことを確認すると、光人に駆け寄ってその体を抱きしめた。
「あたしは『ニナ』。あんたのお姉ちゃんで、その大切な弟を助けに来たんだよ」
あたしとペアのプレイヤーはミニマップ上であたしの目の前──つまり、光人があたしとペアということになる。
100人居る中であたしと光人がペアになるなんて奇跡だ。
弟を返して……そう言ったあたしに開発者はできるものならやってみろと言っていたし、もしかしたら仕組まれたのかもしれないわね。
どちらにしても、光人と撃ち合う心配がなくなったのはホッとした。
やっとこうすることができて安堵していると、光人の反応がないことに気づく。
どうしたのかと見てみると、目を見開いて涙を流していた。
「ちょっと、こっち来な」
そんな姿の光人を見て、あたしは手を引いて今いた物陰に隠れる。
「これで涙拭いて」
ポケットから一枚の布切れを取り出すと、光人の手に握らせる。
ゴシゴシと強く目元を拭う光人に、あたしの心は痛みを感じた。
「ごめん、ありがとう」
「あたしの方こそ……こんな辛い目に遭わせちゃって……」
少しでも光人を安心させるように、あたしは手を握った。
「あんたは少し前から、このゲームの世界に閉じ込められているの。あたしは、そんなあんたを助けるためにここまできた」
「助けるって……そんな、どうやって……?」
「3つのミッションをクリアすることができたプレイヤーには『レベル:HEAVEN』と『レベル:REAL』に至る権利が与えられる」
「それって……」
「開発者からのメッセージよ。このミッションをクリアすることができれば、元の世界に帰ることができると思うの。だからあたしは、あんたをどうしても勝たせたいの」
そこまで言っても、光人はまだ戸惑っているようだった。
やっぱり、あたしのこと……今はわからないのかな?
「今はあたしのことはお姉ちゃんだなんて思わなくていい。けど、あたしはあんたの、光人の味方だから。それだけはわかって、ほしいな……」
「……キミがオレのお姉ちゃんだとかは……突然過ぎて正直よくわからないよ。けど、オレの記憶の中に、忘れたくない大切な人の記憶があるんだ。ぼやけてしまってそれが誰なのかわからないけど、きっと元の世界に戻れば思い出せるはず……。だから、今はニナに協力するよ」
まだ戸惑っているようだけど、光人はあたしの目を見つめると力強く頷いた。
光人に信じてもらえないのは少し辛いけど、それもこのミッションをクリアして、現実世界に帰るまでの辛抱だ。
光人と話し終えてから、あたしは持っていた回復アイテムを使う。
話しながら使っていれば良かったんだけどね、手痛いタイムロスになるかもしれない。
あたしたちが話している間にも戦いは進んでいたみたいで、視界に映る残りの生存組数のカウントは10組を下回っていた。
隠れていたとはいえ、狙われなかったのは奇跡と言ってもいいわね。
特にあたしなんか銃弾を掠っただけでも脱落しそうな体力だったから余計に。
「あたしがあんたを絶対に勝たせる。最悪危ない時はあたしを盾にしてもいいから」
「そ、そんなこと……」
「いいから、あんたは自分が生き残ることを優先にしなさい」
いつまでも物陰に居るわけにはいかなくて、あたしたちは周囲を警戒しながら移動を始めることにした。
耳を澄ませ、聞こえてくる銃声。その方向に進む。
敵に近づくのは危険かもしれないけど、勝つためには動かないとね。
「ニナ! 危ない!」
突然そんな声と共に後ろから衝撃がきて、あたしは受け身すら取れずに地面に倒れてしまった。
直後、近くで響き渡る銃声。
しばらくして銃声が止むと、光人に身を起こされる。
どうやらあたしが狙われたのに気づいた光人が、あたしを突き飛ばして応戦したようで、血の気が引いていくのを感じた。
「光人は、怪我はない?」
「オレは大丈夫」
どうやら光人は被弾していないようで、あたしはホッと息をつく。
「あたしのことは盾にしていいって言ったのに」
「チーム戦で味方を手放すのは悪手だと思うけど」
「それは、そうかもしれないけど……」
2人一組のチーム戦で、片方が死んでしまい1人になるのはかなり不利な状況だ。光人が言うのはもっともね。
「まぁいいわ。仕留め損なったやつを始末するわよ」
鬱憤を晴らすように、あたしは先程光人が撃っていた方へとグレネードを投げつける。
爆発する直前、隠れていたプレイヤーが走って出てくると、あたしと光人は同時に銃弾を放つ。
2人分の銃弾を浴びて一瞬で体力を削られたプレイヤーは、光の粒子となって消え去った。
それを確認してから、あたしたちは走り出す。
銃声と爆発音。
音に敏感なプレイヤーならすぐに位置を見破られてしまうだろう。
走りながら生存組数を確認すると、残りは5組。
あたしと光人を除けばあと4組だ。
もう少し、あともう少しだ……!
はやる気持ちを抑えつつ、プレイヤーを見つけ次第銃のトリガーを引く。
あたしたち以外の銃声も近くから聞こえる。
残りのプレイヤーは全員近い場所に居るんだろう。
1人、また1人とプレイヤーの人数が減っていく。
走っている間に残り2組になった。
物陰に隠れながら慎重に進んでいると、残っているプレイヤーのうち1人の姿を発見して、あたしはすぐに銃弾を放つ。
と、前のプレイヤーとは違う方向からも銃弾が飛んできた。
「ニナ、後ろにも居る!」
「……挟まれたみたいね」
前に1人、後ろにも1人。
どちらにしても、あたしたちのやることは変わらないんだ。
「あたしが突貫するから、あんたは自分の身を守ることだけを優先しなさい」
「と、突貫って……それじゃあニナが……」
「こいつらを倒せば終わるんだ。相打ち覚悟で倒してあんたが生き残るならそれでいいわ」
「ニナッ!」
光人の制止も聞かずに、あたしはひとまず前のプレイヤーに向かって走り出す。
それと同時に前のプレイヤーがこちらに向けてグレネードを投げていた。
これじゃあ光人が爆発に巻き込まれる!
そう思ったあたしは、投げられてまだ爆発しないグレネードを空中で掴むと、投げたプレイヤーに向かって投げ返す。
当然プレイヤーまでは届かずに途中で爆発したけど、あたしはさらにもう1つ、自分が持っていた最後のグレネードを投げ込む。
爆発したグレネードの煙の中からグレネードが飛んでくるとは思わなくて避けられなかったんだろう。
もう一度爆発音が聞こえたところで、残りのプレイヤー数が3人になった。
それを確認すると同時に踵を返してもう1人残ったプレイヤーへと走る。
銃声が聞こえるから光人が応戦しているんだろうけど、これ以上光人に手出しはさせない。
あたしが光人のところに戻ってくると、相手はまた先程と同じようにグレネードを投げてきて、同時に銃を構えてこちらに突撃してきた。
「あっちも捨て身で来たっ!?」
横で慌てる光人。
反対に、あたしは不思議と冷静さを保っていた。
あいつを倒せば、全て終わる。
だから……あたしは光人の盾になるように立つと、同時に宙を舞うグレネードを撃ち抜いて爆発させる。
これで光人が爆発に巻き込まれることはない。
あたしがグレネードを処理している間にも、敵はあたしに向かって銃弾を放つ。
相手は焦っているのか照準はまばらで、致命的なダメージにはならないけど、着実にあたしの体力は減っていく。
だけど、体力が無くなる前にあいつを撃てれば、あたしたちの勝ちだ……!
撃たれ続けながらも、敵の頭部に照準を合わせ引き金を引く。
放たれた銃弾は敵プレイヤーの頭部に直撃すると、プレイヤーの動きは止まり、光の粒子となって消え去った。
最後のプレイヤーを倒すと、目の前に『ミッションクリア』の文字が現れる。
危ない局面もあったけど、あたしたちは勝ったんだ……。これで、光人を元の世界に帰してあげられる!
「やったんだ、ニナ! オレたち、勝ったんだ!」
勝ち残ったことを喜んでいる光人に、あたしも笑顔を向ける。
そうしていると、真っ白い兎があたしたちの目の前に現れた。
そいつはまるで着いてこいと言わんばかりに、あたしたちを見ると飛び跳ねて去っていく。
「追うわよっ!」
「う、うん!」
光人の手を引いて、兎を追いかける。
しばらく走っていると、いつの間にか辺りの景色が変わっていて、気がつけばどこかの、随分と古風な家の中に居た。
「ここは?」
「ようこそ、私の空間へ」
そこで待っていたのは白衣を着た老人。
こいつがこのゲームの開発者……思わず銃を向けようとしたけど、あたしが持っていた装備はいつの間にかどこかに消えていた。
「まずはおめでとう! 君たちは私が用意したレベルSの3つのミッションをクリアした! もっとも、1人は招かれざる客だがね」
「挑発してここに入れたのはあんたでしょ。あたしはそのルールの中で戦って勝ったんだから、問題ないはずよ」
「それもそうだが、まぁいい。さて、それでは君たちに……いや、君に最後の選択の時間だ。あまり長ったらしく話すこともないだろう?」
開発者はあたしを無視するように、光人にそう問いかけた。
「選択?」
「私の遺産を持って辛く苦しい現実世界に帰るのか、それとも夢のような楽園の世界を永遠に楽しむのか。君はどっちを選ぶ?」
メッセージにあった『レベル:REAL』と『レベル:HEAVEN』は、文字通り現実世界に戻るかこの世界で行き続けるか、そういう意味だったのね。
「あたしを無視して話を進めないでくれる?」
「君を招いたのは確かに私だ。弟を助けたいというその一心で、どれだけのことができるのか。私はただそれが見たかっただけなのだ。結果、君は弟を勝利に導いた。それで君の役割は終わったのだ。イリーガルな存在である君には回答する権利はない」
ふざけないで!
そう言おうとしたけど、声がでてこなかった。
体もなぜか思うように動いてくれない。
こいつ、話している間にあたしに何かしたんだ……。
体は動かないけれど、視線を光人に向ける。
光人はあたしに笑いかけると小さく頷いた。
「さぁ、少年。選びたまえ」
「その前に、聞きたいことがあるんですけど」
「なぜこの世界に取り込まれたのか、かな?」
「……はい」
質問の内容を開発者に先回りされて、光人はたじろぐ。
「簡単だよ。君はこの世界をもう1つの現実として楽しんでくれた。ただそれだけさ」
「は?」
「心のどこかではそう感じていたはずだ。もちろん、君以外のプレイヤーもね。だから招待したのさ、この楽園に!」
他のプレイヤーのことはよく知らない。
けど、光人がこの世界を、『アルカディス』を心の底から楽しんでいたのは、あたしも知っている。
それこそこの世界で生きているかのように没頭していたと、あたしには感じた。
だから、開発者に、この世界に選ばれたのね……。
「ちなみに、君がどちらの選択をしようとも、君たちの言う『未帰還者』は全員現実の世界へと戻る。そのことに関して、君が気に留める必要はない。だから自由に選ぶといい。君が本当に生きたい世界を!」
光人は、どちらを選ぶんだろう。
一緒に現実の世界に帰ってくれるはず。
そう思っているけど、もしもこの世界で生き続けたいと言ったら……。
怖いけれど、光人を信じて言葉を待つ。
「確かにこの世界はとても楽しかった。戦場を駆け抜けるスリルとか、いろんな風景を目の当たりにできて、最高だった。でも、オレは思い出したいんだ。記憶の中に居る、優しくて、強くて、カッコいい人に、オレは会いたい。だからオレは、現実の世界に帰りたい!」
光人がそう答えると、開発者は大きなため息をついた。
同時に、あたしの体は動くようになって、声も出せるようになる。
帰りたい。
そう答えてくれた光人を、思わず抱きしめた。
「良かった……光人、良かった……」
嬉しくて涙が止まらない。
これでやっと……光人とまた現実の世界で会えるんだ……。
「現実に帰るという選択、後悔しないようにしてくれたまえよ」
視界が光に包まれていく。
最後に見た開発者は、満足したような表情を浮かべていたように見えた。
光人が無事に現実世界で意識を取り戻してから、早いことに一週間が過ぎた。
目覚めた光人は、ひとまず健康に問題はないそうで、入院生活は思ったいたよりも早く終わりを迎えて、今は元通りの元気な姿を見せてくれている。
ゲームの世界では記憶があやふやだったみたいだけど、今の光人はちゃんと前のままだ。
あの世界に捕らわれていた時の記憶も消えずにちゃんと残っている。
「そういえばあの開発者、どうして現実に戻るか、あの世界で生き続けるのか選ばせたんだろう?」
まだ本調子ではないけど、退院して少しでも体を動かそうと散歩に出かけた光人に付き添っていたあたしは、ふとそんなことを問いかけていた。
「現実は苦しいって言ってても、開発者も本当は現実世界のことは嫌いじゃなかったんだよ、きっと」
「どうして?」
「えっと……現実じゃないと美味しいものが食べられない、とか?」
「確かにあの世界じゃ何を食べてもお腹は膨れないけど……」
なんだっていいとは思うけど、そんな単純な理由であってほしくない。
他の『未帰還者』となってしまったプレイヤーが今どうなっているのかは詳しくは知らない。
けど、光人がこうやって意識を取り戻したんだから、他のプレイヤーも現実の世界に帰ってきてるわよね。
ゲームも今だって変わらずに稼働している。
開発者の遺産を得られなくなったから、あの頃よりもユーザー数は激減してるけど、それでも人気は変わっていないみたい。
そうそう、光人の選択の結果、私たちは開発者の遺産を受け取ることになった。
個人で受け取るには膨大すぎて、いろいろ面倒な手続きがあるみたい。
詳しいことはあたしも聞いてないからわからないけどね。
というわけで、開発者の遺言を達成した光人は今や時の人だ。
日々マスコミに付け狙われたりするけど、その度にあたしが追い返している。
散歩に付き合っているのも、あたしが一緒に居たいからというのもあるけど、ボディガードという理由もあるのだ。
光人の平穏はあたしが守らなきゃね。
「そういえば、あんたゲームの中で『大切な人』って言ってたけど、誰?」
「うぇ!? い、言ったかなそんなこと……お、思い出せない……」
「とぼけるんじゃないの! 怒らないからちゃんと言いなさい!」
「もう怒ってんじゃん! 勘弁してよ、お姉ちゃん!」
問い詰めながら、あたしは光人をぎゅっと抱きしめる。
こうしてちょっとしたケンカみたいなことができる。
いつも通りの穏やかな日常が戻ってきて、そんな今がとても幸せに思えた。
チュウニズム大戦
レーベル | 難易度 | スコア | |
---|---|---|---|
スキル名/効果/備考 | |||
●リレイ | BASIC | 0 / 140 / 280 | |
リザルトダウン(手札/最終点数計算時-100) | |||
最終点数計算時、このカードが手札にある時公開 してもよい。その場合、自分の点数を-100にする。 |
-
-
アイウエオ
182020年06月16日 23:22 ID:qmuzngkyかわいい
-
-
AYUZY
-
-
チュウニズムな名無し
162019年12月11日 15:59 ID:mldnk5dd+1
推定値通り
6本は8回発動
7は24
8は42
9は60
10は80
です
-
-
チュウニズムな名無し
-
-
チュウニズムな名無し
142019年11月21日 13:04 ID:lqrgjtdwスプラシューター
バレルスピナー
-
-
チュウニズムな名無し
132019年11月13日 07:25 ID:murx9g59ストーリー、普通に面白かったけど既視感がすごい(すごい)
-
-
チュウニズムな名無し
-
-
チュウニズムな名無し
112019年11月01日 21:08 ID:pr12muzoこの子がエリザベスちゃんの妹さんですか
-
-
チュウニズムな名無し
-
-
チュウニズムな名無し