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エヴァ・ラグエル

最終更新日時 :
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作成者: ゲストユーザー
最終更新者: ゲストユーザー


通常天告

Illustrator:岩本ゼロゴ


名前エヴァ・ラグエル
年齢28歳
職業修道女
  • 2022年6月9日追加
  • NEW ep.Vマップ3(進行度1/NEW+時点で375マス/累計825マス*1)課題曲「Breakthrough」クリアで入手。
  • トランスフォーム*2することにより「エヴァ・ラグエル/天告」へと名前とグラフィックが変化する。

村の教会兼孤児院のシスターにして用心棒。

子供達に手を出す罪人を、神に代わって裁く。

スキル

RANK獲得スキルシード個数
1勇気のしるし×5
5×1
10×5
15×1

include:共通スキル(NEW)


スキルinclude:勇気のしるし(NEW)

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ランクテーブル

12345
スキルスキル
678910
スキル
1112131415
スキル
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スキル

include:上位ランクテーブル仮置き


STORY

EPISODE1 EVA RAGUEL「どいつもこいつも神様神様言いやがって、神様ってのはいてもいなくても同じなんだよ」

 神は人を見捨てたのだ――

 世界を巻き込んだ争いで大切な人を奪われた人はそう嘆いた。


 神は我々を祝福してくださる――

 貧しい生活の中で温かい食事を得られた人はそう感謝した。


 必ず神の救いがあるはずだ――

 乗り越えることのできない困難に直面した人はそう願った。


 人々は時に、神へ感謝し、失望し、懇願する。

 まったく、なんでもかんでも神様神様って言いやがって、本当に身勝手な連中だね。

 ろくに神への祈りも捧げてないくせに。

 文句や言いたいことがあるなら、毎日祈りやがれってんだ、まったく。


 「だいたい、神頼みしたところで争いが終わるわけねえっつうの」

 「ねえ、エヴァは今日もお祈りしてないの~?」

 「あ? いいんだよ。神様なんてのは祈ってなくても適当に見てんだ。なんせ、神様なんだからな」

 「えー、わたしたちには毎日しなさいって言うのに!」

 「うるさいねえ。騒ぐ元気があるんだったら、外で遊んできな。あと、いつも言ってるけど、アタシのことはシスターと呼びな」

 「はーい!」


 どこにでもある小さな村の小さな教会。

 アタシはこの教会兼孤児院のシスターとしてここに務めている。

 まあ、教会に来るのなんて、年寄りか、ガキンチョくらいだけどな。

 そもそも、この村に大人はほとんどいない。

 年中、雪が消えない上、作物もろくにないやせ細った土地だが、それでもここで暮らしている人間は多い。

 争いから逃げてきた者がほとんどだが、大人は出稼ぎに出ている。

 だから、この教会は自然と子供たちが集まってくるようになっていた。


 「エヴァもいっしょにあそぼー!」

 「お前らだけで遊んでな、アタシはお勤めで忙しいんだ」

 「ねえねえ、シスター!」

 「ったく、こういうときだけシスターって呼びやがって。……少しだけだからな、あとでちゃんと勉強もするんだよ」

 「やったー!」


 ガキンチョ共の遊びに付き合うこと小一時間。

 本当にガキっていうのはどんなときでも元気があり余ってて付き合うこっちが大変だ。


 「ほら、今日はこの辺にしときな。遊びすぎると司祭様にしかられちまうよ」

 「はーい!」


 ガキどもが揃って孤児院へと戻っていく。

 それと入れ違いに、司祭のヴィンス様がアタシの方へと歩いてきた。


 「子供たちの相手をしてくれていたのですね、とても良いことだと思います」

 「遊んでくれってしつこかったんだ。じゃなきゃ、仕事でもないのにこんなことしないよ」

 「あなたが暇だということは、この村が平和だという証拠ですよ。最近は不届きな人たちも来ませんから」

 「まあ、用心棒としては、バカが来てくれたほうがシスター業をしなくて楽なんだけどね」


 このご時世、こんな寂れた村でも襲おうとするバカな連中が出てくる。

 そんなバカを神に代わって仕置きをするのが、シスターと兼任している用心棒という仕事だ。


 「違いますよ、用心棒ではなく、護衛です」

 「どっちも同じだよ。アタシは我らがありがたい神様の代わりに愚か者を殴り飛ばしてるだけなんだ」

 「……あまり物騒な言葉遣いは控えてくださいね、子供たちの中にはあなたに憧れて真似をする子もいますから」

 「アタシに? んな大層なもんじゃないんだけどね」

 「あなたの強さは皆がよく知っていますから。ああ、そういえばあなたを慕う子らの中には、あなたを天使様だと思っているものもいるとかいないとか」

 「……ハ、買い被りもいいところだね」

 「ですから、みなさんのお手本になるよう心掛けてくださいね?」

 「はいはい……」


 まったく、好き勝手言ってくれちゃってさ。

 正直、ガキどもに好かれるようなことなんて、これっぽっちもした覚えがない。

 でもまあ、強い者に惹かれるっていうのは、わからなくもないけどね。


 「さあ、お勤めの続きを始めましょうか。子供たちと遊んでいて、今日はまだなのでしょう?」

 「……チッ、バレてたのかよ」


 これは逃げられないだろうな、と思いながら、アタシは礼拝堂へと向かう司祭様の後をついていく。

 アタシが村に来て早数ヶ月。

 バカな連中はたまに現れるけど、思っていた以上にこの村は平和そうだ。

 ……これが続いてくれるといいんだけどね。

EPISODE2 TheSANCTUARY「あのガキンチョども……物覚えはいいくせに、いつまでたっても直さないときたもんだ」

 孤児院ではガキどもに社会へ出るための教育を行っている。

 みんな揃って仲良く並んでお勉強となれば面倒はないんだが、ここは年齢に合わせた教育方法をわざわざとっていた。

 司祭様曰く、自立して生きていくための知識を得るには、この方法が一番だということ。

 そのおかげか、ここの子供たちは長くても3~4年で孤児院を巣立っていく。

 それも全て、この孤児院の教育のおかげだ。

 アタシも一応、シスターとして教育するように言われてはいるんだが。


 「ねえ、エヴァ。お勉強教えてよー!」

 「うるさいねえ。そういうのは他のシスターに頼むんだね、アタシは専門外だ。あとシスターって呼びな」

 「今日こそは護身術教えてもらうから!」

 「アンタにはまだ早いよ。筋肉もついてなけりゃ、体力もないじゃないか。まずは基礎がついてから出直してきな」


 あまりにも性に合わない。

 人に物事を教えるほど、アタシはえらくもなけりゃ、大したこともやってきてないからね。

 なにより、ガキの面倒を見るのはごめんだ。

 そうやってなんとか今まではガキどもの面倒を見ないように逃げてきた。

 だが、そうやって逃げ続けることもできない。

 人間っていうのは時間と共に成長しやがるが、その中でもガキはとびきり成長が早いときたもんだ。


 「エヴァ! 前に教えてくれたトレーニング、ちゃんと全部できるようになったよ!」

 「見て見て! この問題解けるようになったんだ!」

 「それができるようになったからって、どうしたっていうんだい。見てやるとは言ってないよ」

 「えー!?」


 まあ、こうやって適当なことを言ってかわすんだが。


 「シスターエヴァ、それは少々、乱暴ではありませんか?」

 「げっ……」


 ガキどもを追い返そうとした時、その後ろから現れたのは司祭様だった。


 「この子たちの面倒を見てもらえますか。あなたの知識はこの子たちが巣立つ際にとても役に立ちますからね」

 「くっ……」

 「あなたたちもこういうときは引き下がらずに粘ってみなさい。彼女はこう見えて、とても押しに弱いのですから」

 「お、おい、なにを!」

 「へー、そうなんだ!」

 「彼女はあなたたちと仲良くなると別れが辛くなると思っていて、そもそも内心ではあなたたちに教えを説くのを――」

 「余計なこと言わなくていいんだよ! ったく、ほらガキども。教えてもらいたいことがあるんならとっととついてきな!」

 「ああっ、待ってよ!」


 これ以上、司祭様に余計なことを言われたらたまらない。

 アタシがその場から逃げるように立ち去ると、ガキどももその後を走って追いかけてきた。

 司祭様はいい人かもしれないが、たまに口が過ぎる。


 「エヴァはわたしたちとお別れするの寂しい?」

 「はあぁ? そんなわけないだろ。面倒を見なくてよくなるから、清々するよ。だから、アンタたちもさっさと一人前になりな」

 「うん! エヴァにたくさん習って、一人前になるよ!」

 「……ったく、シスターと呼びな。まずは年上に対して敬意を払うところからだね」


 アタシがこの孤児院に来てから、何人かのガキどもが巣立っていった。

 確かに司祭様の言う通り、別にガキどもの相手をするのが嫌なわけではない。

 アタシの知識が役に立つなら、なんて思ってもないわけではなかったりする。

 ただ、別れってのがとにかく苦手なんだ。

 巣立っていくガキどもは誇らしくもあるが、心配でもある。

 そういう余計な考えをすることがアタシはあまり好きじゃないってだけなんだ。


 ホント、人間の情ってやつは厄介なもんだね。

EPISODE3 Hearsay「独り立ちしたってアタシからすりゃガキなんだよ」

 この世界で変わらないモノなんて求めることはできない。

 人にとって良い変化もあれば、悪い変化もある。それが当たり前のことだから。

 たとえば、人との出会いがあれば別れがあるように。


 「巣立っていきやがったか。アタシから見たら、まだまだ毛も生えてないガキンチョだってのによ」


 空っぽになった部屋の片付けをしながら、ここにいたガキどものことを思い出していた。

 アタシも何度か勉強を見てやったやつらだ。

 珍しくアタシをちゃんとシスターって呼んで慕ってくれたガキどもだったな。


 「……そういや、出てった連中は、今頃なにやってんだろうね」


 今日はなにかと仕入れなきゃいけないものもあって、近くの街へ出ることになっている。

 ここから巣立ったガキどもの何人かが、そこへ行っていたはずだ。

 たまには顔を見に行ってやるとするか、買い物のついでにな。


 村から移動して一時間と少し。

 アタシは村から一番近い街まで出かけてきた。

 村では手に入らない、バカな連中を撃退するためのアレやコレやはここで揃える。


 「さてと、確かこの辺りだったね」


 買い物を終えて、アタシは街にいるガキどもの何人かに会った。

 見つからないように様子を見るつもりだったが、どうしても見つかってしまう。

 アタシに会えてなにが嬉しいのか知らないが、来てくれたことを喜んでいたな。

 まあ、全員、元気そうにやってんならアタシはいいんだが。


 そして、最後に訪れたのがガキが住み込みで働いているという商店。

 ここも見つからないように外から店内の様子をそっと覗き見てみる。

 だが、そこにガキの姿はなく、しばらく様子を見てみたが働いている様子はない。

 隠れて様子を見ようと思ってたが、やむを得ないな。


 「……は? ここにはいないだと?」

 「ええ、なんでも他にいい働き場所が見つかったとかでね。残念ながら、どこで働いてるかまでは知らないなー」

 「そうかい、ありがとよ」


 まあ、稼ぎのいい仕事があるなら構わないが、変えたなら変えたで連絡くらい寄越せってんだ。

 とんだ無駄足になったが、とりあえず目的は果たせたな。


 「便りがないのは元気な証拠、とはよく言ったもんだよ。まったく、これだからガキンチョは……」


 どこで働いているのか気になったが、アタシは街を後にして村への帰路につく。

 そのうち、ひょっこりと顔を出すだろう。

 街へ来る機会は少なくない、きっとまたどこかで出会える。

 これもまた神のみぞ知る巡り合わせなのだから。

EPISODE4 Lost「手紙なんていらないよ、無事ならそれでいい」

 アタシのふとした疑問から生まれた違和感。

 以前、会いに行ったガキンチョ同様に、手紙の一つも寄越さずに仕事を変えたやつがいるんじゃないか。

 ふとした思いつきで孤児院のシスターたちに聞いてみたことがきっかけだった。


 「……行方不明?」

 「まあ、行方不明っていうと大袈裟なんだけどね。孤児院を出てから、どこへ行ったのかわからない子が何人かいるの」

 「そんなの、アタシは聞いたことないよ」

 「あら、そうだったの。昔からそういうことがあってね。まあ、時代が時代だから、連絡が取れなくなることなんてよくあることだから……」

 「そうだったのか……」


 他のシスターや村の住人たちに話を聞いてみると、同じような話を聞くことになる。

 どうやら、話を聞く限りでは何年も前から、孤児院を出た子供がいなくなることがあるらしい。

 そう簡単に人がいなくなるわけないってのに。

 だが、他の連中が言う通り、今の時代で行方がわからなくなることは珍しくない。

 ただでさえ、お互いの状況を確認するのにわざわざ会うか、手紙を送るくらいしかないんだからな。


 だとしても、行方がわからないというのなら、なにかしらの事件に巻き込まれている可能性がある。

 なにも起きていないのなら、それでいい。


 「なんだって? 調査を打ち切ってるってどういうことだい!」

 「そう言われましてもねー」


 街に出て警察を訪れていたのだが、子供たちの名前で調べてもらったところ、全てが行方不明。

 その上、調査は打ち切られていた。


 「行方不明や行き倒れなんて珍しくないでしょ?そんなのいちいち調べてたらキリがないんだよね」

 「なんだいそれは! 人の命だってのに、無責任すぎやしないか!」

 「私に言われてもね。資料によると、そういうことになってるんだよ。悪いけど、これ以上はなにも答えられないな」

 「チッ……」


 関係者とはいえ、ただのシスターが得られる情報なんてたかが知れてる。

 詳しい内容とあれば尚更だ。


 「そもそも、この捜査も形式的なものだけだったみたいだしね」

 「そいつはどういうことだい?」

 「行方不明として終わらせるために必要な資料しかないってことだよ。まあ、お前さんには悪いが、さっさと打ち切りたかったんじゃないのか」

 「……」

 「まあ、そういうことだから。こっちでもなにかわかったら教えてあげるよ。期待はしないほうがいいけどな」


 警察署を後にして、アタシは孤児院の自室に戻った。

 行方不明になっている人間がいるってのに、なんで捜査が適当にやられた上、打ち切られてるんだよ。

 孤児院上がりのやつは、心配する価値もないってのかい。


 「エヴァ、大丈夫?」

 「ん? アンタたちは……」


 目を向けると、部屋のドアを開けてこちらの様子を見ているガキどもの姿があった。

 アタシに声をかけると、ぞろぞろと部屋に入ってくる。


 「大丈夫って、なにがだよ」

 「だって、すごく怖い顔をしてたから。なにかあったのかなって……」

 「ふん、怖い顔はいつもじゃないか。この顔見て、最初に泣いたのはどこのどいつだい」

 「そ、それはそうだけど……!」


 どうやら、考え事をしすぎて眉間にシワでも寄ってたんだろうね。

 まさかガキどもに心配されちまうとは、情けない。


 「アタシは大丈夫だよ。アンタらが心配することじゃないからね」

 「なら、いいんだけど……無理しないでよ!」

 「なに言ってんだい。アタシを無理させたくなけりゃしかられないよういい子にしてるんだね」

 「うん、わかったよ、シスターエヴァ!」

 「じゃあ、とっとと部屋に戻りな。明日も勉強とかいろいろあんだろ」

 「はーい!」


 心配事がなくなったのか、ガキどもはいつもの笑顔に戻り、アタシの部屋を出ていく。

 笑顔を見せてくれたおかげか、いくぶんか気がマシになった。

 そして、アタシがやるべきことも、はっきりした。


 「警察が当てにならないんじゃ、アタシがなんとかするしかないね」


 ただのシスターがどこまで調べられるかわからないがやれるところまでやってみるしかない。

 なにより、アタシの仕事はシスターでもあり、この孤児院の用心棒なんだからね。

 もしも、ガキンチョどもに手を出すような輩がいるんだとしたら。


 「神に代わって、アタシが裁いてやるよ」

EPISODE5 Wirepuller「本当に、この世は地獄よりも酷い場所だよ。どうして平気なツラしてその手を汚せるんだい」

 尽くせる手は全て尽くした。

 通常では手に入らないような情報も、あまり表には出せないような方法で手に入れた。

 おかげでアタシは裏社会で少し顔が知られてしまうことになったが、そんなものは些細なことだ。

 だけど、おかげで普通では手に入らないような情報も得ることができた。

 孤児院を出た子供たちや、仕事先から消えた子供たちのこと。


 だからこそ真実へと繋がる手がかりを得ることができた。


 「……まったく、この世に比べたら、地獄のほうがまだマシだね」


 調査の結果、ガキどもがどこへ行っているのか、大方の見当がついた。


 人身売買。

 こんな不況じゃ、子供の奴隷なんて言いたくはないが、手に入れようと思えば簡単に手に入れることができる。

 だが、それは質のいい奴隷とは言えない。

 知識もなければ、身体もまだできていない、本当にただの子供だからだ。

 しかし、知識も、技術も、身体も整った質の高い奴隷がいたとしたらどうだろうか。

 さぞかし、いい値段で売れることだろう。


 ……だから、この孤児院が選ばれた。

 街から離れ、人目につきにくい村。

 教育を行うに十分な人員。

 孤児だから、消えたとしても誰も疑問に思わない。

 まったくもって胸糞悪い話だ。

 誰にもバレず、そして疑われず、ことを成す。

 そんなことができる人間は、この孤児院に一人しかいない。


 「ふっ、なにが司祭だ。腹の中は真っ黒じゃないか」


 しかし、捕まえるにしても証拠が足りていない。

 アタシのはただ、司祭なら可能だという推測にしか過ぎないのだから。

 おまけに警察に突き出したところで、真っ当な裁きを受けるかどうかも怪しい。

 人身売買なんて、教会の司祭だけで簡単にできることじゃないからな。

 そのへんの連中が一枚噛んでたとしてもおかしくはない。


 「どうしたもんかね……」


 考え事をしていると、すっと部屋のドアが開くのが視界に入る。

 夜も更けたこんな時間に訪ねてくるやつなんてそういない。

 咄嗟に身構えるが、そこにいたのはアタシを消そうとする殺し屋でもなければ、インチキ司祭でもなかった。


 「シスターエヴァ……」


 なにかあるとすぐアタシの服の裾をつかんでくる、甘えたでおとなしい子供だった。


 「なんだ、ガキンチョかい。夜遅くに男が女の部屋に入ってくるんじゃないよ」

 「あの……明日、ここを出ることになったんだけど緊張しちゃって、それで……」

 「寝付けなくて来るのがアタシのところなのかい? まったく、マセたガキだね。いいよ、こっちに来な」


 アタシのところへ駆け寄ってきた子供をベッドへと招き入れる。

 子供はベッドに入るなり、しがみつくように顔をうずめてきた。相当ビビってるのか、アタシにも伝わってくるくらい、身体が震えている。

 追い返すのもなんだし、一緒にいてやるとするか。

 今は誰かいてくれたほうが、アタシも気が紛れるってもんだしね。


 「そういや、明日出るって話だが、どこに行くか決まったのか?」

 「うん。司祭様がね、ぼくにいいところがあるから紹介してあげるって」

 「……そうかい」


 司祭はこの子を次の商品にするつもりなんだね。

 アタシが調べ回っていたから、警戒されてると思っていたけど、それでも売買をやるってことはいくらでも白を切る方法があるってわけか。

 アタシも、なめられたもんだねえ。


 「どうしたの、シスター?」

 「いや、なんでもない。それより、夜は遅いんだ。明日は大事な日になるんだろ、ちゃんと寝ないとダメじゃないか」

 「うん……」


 アタシも子供に寄り添って眠る。

 寝付けないとか言いながら、適当に頭を撫でてやっていたら、すぐに寝息を立て始めた。


 「……天使、様……」

 「やれやれ、アンタだったのかい」


 ったく、こんな形でアタシを天使呼ばわりしてたガキが見つかるなんてね。

 まあいい、安心してゆっくり眠りな。

 明日はきっと、全てのことに決着がつく日なんだから。

EPISODE6 Guardian「できればこの力を使うつもりはなかったんだけど、もうそんなこと言ってる場合じゃあないね」

 フフ、今日は素晴らしい一日になる。

 私は子供を連れて、取引の場所へと向かっていた。


 「準備はできましたか? 皆さんへのお別れは?」

 「はい、司祭様。ちゃんと準備もできましたし、挨拶もしてきました」

 「わかりました。では、出発しましょう」

 「……」

 「不安がる必要はありませんよ。この孤児院を出たとしても、あなたの家はここなのですから。辛くなったら、いつでも戻ってきていいのですからね」

 「は、はい!」


 新しい門出に対する希望の中にも少しの不安がある。

 この孤児院を出るときの子たちはみんなそう。


 本当に笑えますね、商品に希望なんてものがあるわけないのに。


 今回の顧客はとても金払いがいいですからね。

 この子も商品としてはかなりの上物。

 おかげで、高値で売れる。神なんてくだらないものがいるとしたら感謝しなければ。

 私に司祭という天職を与えてくださったことに。


 私たちが乗った馬車が孤児院を離れて、さらに街を越えていく。

 そして、街道をしばらく移動して、どんどん民家も消えていった。


 「あ、あの、司祭様? 街は抜けちゃいましたけど、ぼくはどこへ向かっているんでしょうか?」

 「心配しなくて良いのですよ。ほら、お迎えが来ました」

 「え……?」


 正面から別の馬車がやってきて、私たちの馬車の前で停まる。

 そこから降りてきたのは、いかにも裕福そうな身なりをした一人の男だった。


 「さあ、降りなさい」

 「は、はい……」


 商品と共に馬車を降りて、その男性に挨拶をする。

 そう、彼こそが今回の取引相手だ。


 「遠路はるばるご苦労さまでした。自ら商品を見てみたいと仰られたときは少々、驚きましたよ」

 「私は自分の買い物は自分の目で見て決めたいのでね。……なるほど、これがイチオシの商品か」

 「ええ、いかがでしょう」

 「よく顔を見せろ」

 「あの、こ、この人は……?」

 「いいから、顔をよく見せなさい」


 男性は子供の顔や身体をじっくりと見ていく。

 何人も見てきたからこそわかる、この男は私の商品を気に入っているのだと。


 「気に入ったぞ。これは私が貰っていこう、金はこれで足りるかな」


 使用人の男が私にかばんを持ってくる。

 中には金がびっしりと入っていて、子供一人にしては十分すぎるほどだった。


 「ええ、問題ありません。商品が壊れましたら、またご利用ください。あなた様に神のご祝福があらんことを」

 「し、司祭様、これはどういう!」

 「お前はその方に買われたのですよ、奴隷としてね」

 「ど、奴隷? ……やだ……っ」


 逃げようとする商品を使用人たちが取り押さえて、馬車へ連れ込もうとする。

 下手に抵抗しなければいいものを。


 「では、私は戻りますね。孤児院を長く空けると疑われてしまいますので」

 「ま、待ってください、司祭様っ!?」


 商品の呼ぶ声を無視して、馬車へ乗り込もうとする。

 ――しかし、その瞬間、辺り一面を光が包み込んだ。


 「な、なんだ!?」


 あまりの眩しさに目を開けていられない。

 いったい、なにが起こっているというのか。

 光はすぐに収まり、私たちは周りを見回すと、どこからか声が聞こえてきた。


 「神に仕える司祭という立場でありながら、人を人と思わぬ所業。許されるものではありません」

 「だ、誰ですか! 隠れてないで出てきなさい!」

 「いいでしょう、我が身をその目に焼き付けなさい」


 すると一点に光が集中し、ゆっくりと空から何かが降って――いや、降りてくる。

 それを見た瞬間、私は衝撃で声もあげられず、ただただ見ることしかできなかったのだ。

 その姿はまるで――天使だった。


 「な、なんだ、あれは……!?」


 この世ならざるものを前にして、買い手の男たちから戸惑いの声が上がる。

 ただ、私はそこにいるものが異常なものということよりも、その姿に驚きが隠せない。


 「あ、あなたは……!」

 「シスターエヴァ!」


 ――ありえない、彼女はただのシスターだったはず。

 だが、あの天使はどう見ても、エヴァその人に違いない。


 「今、ここで悔い改めるのであれば、その罪は軽くなるでしょう。ですが、認めないのであれば、神に代わり私が裁きを下します」

 「ふ、ふざけるな! 私は商品を買っただけだ。悔いることなどなにもない!」

 「そうですか……」

 「おい、お前たち! あれを撃ち落せ!」


 買い手の男が護衛として連れて来ていたのか、使用人と思われる男たちが手に銃を持って現れる。

 そして、エヴァに向けてその銃を発砲し始めた。

 ――だが、その弾は彼女には届かない。


 「なっ!? 銃弾が止まって……!」

 「……貴方の答えはわかりました。貴方はどうしますか、司祭ヴィンス?」

 「わ、私はただ子供を売っただけ! どうせ、身寄りも価値もない子供だ。それを引き取って育ててやったんだ、どうしようと私の勝手だろ!」

 「それが貴方の答えですか。よくわかりました、貴方が救いようのない罪人であるということが」


 エヴァが手をかざすと、そこに現れたのは見たことのない楽器。

 弦を張っているようだが、私の知っているヴァイオリンなどの弦楽器とはまるで違っていた。


 「奏でましょう、罪人へと贈る断罪の旋律を!」


 エヴァが楽器を奏でると雷のような光が彼女の周囲を取り巻く。

 激しく奏でていくと、その光は武器を持った男たちを次々と貫いていった。


 「うあああああっ!?」

 「な、なんだ? 逃げろ!」


 取引場所だった街道が、阿鼻叫喚の地獄へと化していく。

 エヴァへと果敢にも反撃する男たちだったが、その弾は一つも彼女には届かない。

 光に貫かれ、光に焼かれていく男たち。

 彼女が今、彼らに気を取られている隙に逃げなければならない。

 でなければ、私も殺されて――


 「どこへ行くのですか」

 「ひいっ!? ゆ、許してくれ。ちょっと、ちょっと魔が差しただけなんだ!」

 「魔が差した、ですか」

 「そ、そうなんだ、シスターエヴァ! 私は悔い改めると誓おう! だから――」

 「では、神のもとで悔い改めなさい」

 「え?」

 「日頃、神に祈りを捧げているのです。神もきっと貴方のことを許してくださいますよ」

 「や、やめ――」

 「さようなら、“クソ”司祭」


 最後の記憶は、光の中で我が身が焼かれる苦痛だった。

EPISODE7 FallenAngel「アタシのしてることは、所詮はただの偽善さ。でもまあ、アタシみたいな奴がいたっていいだろ?」

 ――遠い昔、天界からある村を守る天使がいました。

 天使は四枚の羽を羽ばたかせ、空から、時には陸から人の子らを見守ります。

 村人は神さまを信奉し、神さまの教えを守り生きていましたが、暮らしは裕福ではありません。

 ですが、村人同士で手を取り合い、慎ましい生活を送っていました。


 村人からは天使の姿は見えませんが、それは天使にとって些細なこと。

 村人たちの生活を見ているだけで幸せだったのです。


 お互いに干渉することのない生活。

 それでも天使はその土地を守護する者として村人たちを見守り続けます。


 しかし、穏やかな日々はそう長く続きませんでした。

 突如としてその村に訪れた悪意が、村人たちを傷つけ、生活を壊してしまったのです。

 罪なき村人が悪意によって、命を、尊厳を奪われていく。

 その光景を前にした天使は、ただただ、それを見ていることしかできません。

 なぜなら、天使には神さまと交わした“約束”があったのです。


 天使は、けして人に干渉してはならない。


 天使は約束に従い、村が壊され、悪意が去る時まで、全てをただじっと見つめ続けていました。

 村人たちは嘆きました。


 神は我々を見捨てたのだ――

 大切な人の亡骸を抱えながら、泣き叫ぶ。


 神は我々に祝福をくださる――

 あらゆるものを奪い、悪意が高笑いする。


 我々に必ず神の救いがあるはずだ――

 祈りを捧げ続けていれば、救われる。


 ですが、すべてにおいて平等な神さまが手を差しのべることはありませんでした。


 天使は、奏でました。

 罪深き悪意を持つものを、断罪するための旋律を。

 掟を破り、その手を汚してしまうことになっても、天使には人の子を見捨てることはできなかったのです。


 ――約束を破った天使は、罰を与えられました。

 それは、天使の羽を奪い人の身として生きること。


 すると天使は、自ら羽をむしり取り始めました。


 「確かに捧げましたよ、ではごきげんよう」


 こうして、天使は地上へと降りていったのです。


 ――天界に、二枚の羽を残して。

EPISODE8 ΝewJourney「これだからガキンチョはきらいなんだよ。いっちょ前に自分の武器をわかってやがるからな」

 荷物をまとめて、アタシはかばんを手に取る。

 もともと、大して荷物が多いわけじゃない。


 「それじゃあ、行きますかね」


 司祭の件から数日。

 アタシは警察でも隠蔽がしようがないほどの物証と司祭や買い手の男を突き出してやった。

 本当ならまとめて焼き払ってやってもよかったが、それじゃ生ぬるい。

 人が犯した罪は、人の手によって裁かれるべきだ。

 天使のアタシがやっていいことじゃない、力で解決したらこいつらと同じだからね。

 司祭たちが捕まったことで、多方面でかなり騒ぎになっている。

 まあ、それだけ大きく動いてたってことだな。


 その影響は、この孤児院も例外ではない。

 もともとは司祭が人身売買のために作り上げた施設。

 隠したくてたまらない、いろいろなものが眠っているだろう。

 だから、ここにいる子供たちは一時的に別の施設へと送られることとなった。


 ――そして、アタシも。


 「さて、次はどこに行こうか。特に決めてないんだよね」


 アタシは村を離れて、旅に出ることにした。

 まあ、もろもろ信じてもらうために天使の姿であちこち行ったからな。

 信奉が消えていない以上、天使っていう肩書は使いやすい。

 まったくもって、神様様だ。


 「エヴァ!」

 「ん? お前たち……」


 振り返ると孤児院のガキンチョたちがアタシの方へと走ってきていた。

 気付かれないように早朝に出てきたんだが、まさかバレてたなんてね。


 「ねえ、本当に行っちゃうの!?」

 「ああ。アタシの雇い主はあの司祭だったからね。タダ働きするのはごめんだよ」

 「だったら、ぼくたちが雇うよ! ちゃんと稼いで、お金払うから!」

 「ったく、そういう問題じゃないんだよ」

 「ちゃんとシスターエヴァって言うから!!」

 「今更なに言ってんだい。それに、アタシがいたら本物の天使がいるって、バカどもが押し寄せてくるよ」

 「そんな……行かないでよ……えばぁ……」


 ガキンチョどものすすり泣く声が聞こえてくる。

 まったく、泣けばどうにかなると思ってるのが甘っちょろいんだよ。


 「アンタたちの面倒を見るのはしんどかったけどさ。なかなか、悪くなかったよ」


 アタシは荷物を手にして、天使の羽を展開する。


 「ま、たまには顔を出してやるさ。だから、あんまり悪さするんじゃないよ」


 子供たちから声が上がるが、そんなことは気にせず、アタシは空へと飛んでいく。


 「またな、ガキンチョども! 天使サマはいつでもお前たちを見守ってるぜ!」

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脚注
  • *1 マップ短縮50マスを含む
  • *2 RANK15で解放
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