【白猫】メルヴィン・思い出
2017/02/13 |
メインストーリー
メルヴィン・ブラックウェル cv.河本啓佑 忠実だが仕事振りは残念な執事。 母親譲りの優しい心を持つ。 |
思い出1
??? |
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初めましてみなさま~。執事のメルヴィンと申します。
ホンワカした人だわね。
なぜだか、そのように評されることが多いですね~。なぜでしょう。
こういうのって自覚ないのよね。
それはそうと私は執事ですので~。みな様にお仕えさせていただきます。
お仕えですか? お気持ちはありがたいんですが……
かえってご迷惑でしたでしょうか……
お手伝いはありがたいけど、もっとお気楽でいいのよ?
……! 私めに、お気遣いいただき、ありがとうございます。
べつにお気遣いなんかしてないけど……?
それではさっそく、肩でもおもみしましょうか?
肩もみから入るのね?
それでは、足をおもみしましょうか?
次は足なのね?
なるほど~。わかりました。腰をおもみすればよろしいですか?
もむことにこだわるわね~。
こだわりは~ないんですが~。おもみするくらいでしたら、この私でもと思い……
お気持ちは嬉しいのよ。嬉しいけどね。
ああ、そうですね……! いきなりご主人様の体に触れるなど……!
申し訳ありません。では、椅子になります。
エッ!?
この私めが椅子になります。
メルヴィン。
なんでしょうかキャトラ様。
ちょっと……ステイ!
かしこまりました~。おや?
<ちょうちょが飛んできた……
あ、ちょうちょだ。ウフフフフ……
あれ? メルヴィン? どこ行くの?
<メルヴィンは、蝶を追って行ってしまった……?
思い出2
<メルヴィンが、掃除をしている……>
びっちゃびちゃ……
もう、キャトラったら……
えっと、これは違うの。
アイリス様~何か御用でしょうか?
あっ……メルヴィンさんだったんですか……!
メルヴィン見て。床が大洪水よ。
こ、これは……! 大変な失礼を!
どーしてこーなったのよもー! アラ? アンタぞうきん絞ってないじゃないのよー!
なんと……! ぞうきんは絞ってから使うものだったのですね!
アンタほんとに執事なの?
では……ちゃんと絞ってから、バケツの水につけて……
水につけてからしぼるのよ!
***
このマキを割ればよろしいのですね。承りました。
マキ割りはいけるわよね。
当然です~。はっ! おや?
割れませんね。どうしたんでしょう。
はっ! はっ! おかしいですね?
アンター!! 刃の向きが逆ー!! 逆よー!
***
お、お皿を……ああ、ちょっと怖いけど! お皿を拭いてちょうだい!
かしこまりました。キャトラ様。
……わかってる?
わかっております。大切にお拭きしますとも。
お願いします。メルヴィンさん。
割っちゃダメよ!
このメルヴィン、命に代えても……!
***
いかがでしょうか、キャトラ様。
お皿割れてない……しかもピカピカ! やったわね!
もったいないお言葉です。
でもね?
はい。
もう真夜中よ! どんだけかかってんのよ!
申し訳ありません……
思い出3
私は……ダメ執事です……!
慰めていただけるのですか……ご主人様……!
アンタ……はっきりいうけど、執事むいてないわ……!
わかっているのです……! ですが私には、夢があるのです。
世界一の執事になり、あの方にご恩返しをするという夢が……
もっと他のことで恩返しをしたらいいと思うわ!
ですが、それでは……!
何か理由があるんですか?
私がお仕えしておりますヘレフォード家は……現在、苦しいお立場にございます。
苦しいお立場……?
所領を奪われ……財産も差し押さえられ……! 名誉ある家名も泥にまみれ……!
アンタのご主人様、大変なのね。どうしてそんなことに……?
我が一族、ブラックウェル家に既められ、謀られたのです。
いちぞくって……アンタの家族ってこと……?
はい。お伝えするのも心苦しいお話ですが……
陰謀を仕組んだのは私の父。そして父の弟――。私の叔父です。
アンタのおとーさんが……
父は他の大貴族と共謀し、ヘレフォード家を取り潰してその財を奪おうと画策しました。
計画は……成功したんですね。
私の罪は、とうてい贖えるものではありません……! せめてこの身がすりきれるまで、お仕えする他は……!
主人公……!
<主人公は、メルヴィンにモップを渡した!>
まずは、モップがけから――?
モップって……!
お仕事をすれば、気が紛れると思います♪
お見苦しいところをお見せしてしまいました……!
不肖メルヴィン、執事の本懐を果たさせていただきます!
<メルヴィンはモップを握り締めた……!>
思い出4
もがー! お皿を下げる時は、『お下げします』って声をかけてからよー!
申し訳ありません、キャトラ様……!
でもアンタ……だんだんさまになってきたわね……!
(特訓しましたもんね、メルヴィンさん……!)
というわけで! 今日はアンタに、紅茶をいれてもらうわ!
こ、紅茶を……!
やってみなさいな……!
わかりました。このメルヴィン一命を賭して!
そこまでの意気込みでなくてもいいわ……!
***
本日の茶葉はオレンジペコ……理想的な抽出時間は4分前後!
幸い今日は、四分きっかり計れる砂時計を用意しています。これで完璧ですね。
というわけで、あたしも来たわ♪
お嬢様……!
メルヴィン、実力を見せてあげて。
緊張します……
――
あ、ちょうちょだ、まてまて~。
集中せんかい!
はい~。それでは~お湯を注ぎます!
ゴクリ……
メルヴィンさん、がんばって!
<砂時計の砂が落ち切った!>
今ですね~。さあ、カップに注いで……どうぞ、お嬢様~。ご主人様~。
いただくわ。
どう? 主人公?
――
これは……お湯だわ! 紅茶色のお湯だわ!
そんなはずは……!
メルヴィン、その砂時計、ちょっと早いんじゃないの?
……まさか! あ、これはまさか……2分の砂時計?
私はダメ執事です……ダメダメの極みです……
思い出5
メルヴィン、落ち込んでる?
いえいえ。私にそのような余裕はございません。
なんなりと御用をお申しつけくださいませ。
無理しないでください。メルヴィンさん。
そーよメルヴィン……あれ、そのカバンどうしたの?
こちらは昨日購入したカバンでございます~。
でもあれって特売品のスゴイ安い奴よ……? アンタのそれ、高級品じゃない。
いいえ、こちらは先日のカバンでございます。
えっ!?
少々手をくわえまして、高級そうな見た目にしているだけでございます……
あらあらスッゴイわね。くまなく細工が入って、ゴージャスな仕上がりよ?
ありがとうございます~。キャトラ様♪
職人さんになれそうだわ。
見た目だけでも、ご主人様には高級なものを手にしていただきたく思いまして……
それで技を磨いたってわけね。見直したわ!
すべてはご恩返しのためです。世界のどこにも行き場のないこの私を……
ヘレフォード家の方々は、快く迎えてくれたのです。このご恩は返しきれません。
行き場が……ない? それってどういうこと?
私はすでに……死んでいる人間なのです。
私の父は、悪党です……ですが、叔父はそれ以上の悪党でした。
ヘレフォード家を陥れる計画を進める最中……叔父は各所に根回しをして、自分に利権が集中するように謀りました。
そのことが父にばれたことで、叔父と父は険悪になりました。
そこで、ある男が……叔父にこう吹きこんだのです――
父を亡き者にすれば、もう邪魔者はいなくなる、と。
まさか……あんたの父さん……!
父は殺されました――母も、父をかばって……二人の死は不慮の事故と発表されました。
叔父は、真相に気づいた私も、亡き者にしようとしました。
私を殺しに来たのは、我が家に幼い頃から仕えてくれた、執事でした――
ですが私は死にませんでした。執事は私の死を偽装し、逃がしてくれたのです。
私は最後に一言詫びるため、ヘレフォードの家を訪れました。ですが、かの家の皆様は私を――
身を挺して、匿ってくれたのです。今私がいるのは、多くの人の優しさのおかげなのです。
だからメルヴィンさんは、執事になったんですね……
アンタのろくでもない叔父さんをたきつけたのは誰!
――私の、七つ上の兄です。
なんてこと……!
兄は……非のうちどころのない優れた人でした……少なくとも私は、そう思っておりました。
しかし兄は、父の利権が欲しかったからという理由で、叔父をそそのかしたのです。
人間のやることじゃないわね。
私にも……同じ血が、流れているのです……! 奴らと同じ血が!
思い出6 (友情覚醒)
……ご主人様、この光は……?
なんだろう……この……この気持ちは――
<メルヴィンの目の前に、ちょうちょが飛んできた……>
「はっ……? 私は……いったい……?」
メルヴィンは、目を疑った。そこには、もう二度と目にしたくなかったものがあった。
舞い飛ぶ、無数の蝶の群れ。そして一対の墓石――
「これは――」
墓碑銘を前に、メルヴィンは立ち尽くした――
蝶は、メルヴィンの手に止まった。
「そう……いつもずっと……僕が泣き止むまで――
どうして……どうしてあんな男をかばって……!」
***
メルヴィンさん……どうしたの?
おやおや~? ああ、みな様~。私は、どうしたんでしょうか?
主人公が、メルヴィンさんの想いでルーンを輝かせたんです。
想いで……なるほどそれで、私はあのような白昼夢を……
大丈夫? 人によっては、嫌なものをみることも……
確かにあれは……私にとって、もう二度と見たくはないものでした――
ありがとうございます。主人公様。
私は……己の蹟罪にかまけて、執事にとって最も大事なことを忘れていたようです。
私が執事をしているのは――そう、
大切な人のためなのです。
***
「――うー、しくじったわ! 油断して足ひねるなんてね!」
マヤが、メルヴィンに背負われている……
「弱い魔物相手だからって、油断しちゃダメってことね。」
「ご自愛ください、お嬢様。」
「ねえメルヴィン……あの時、みたいだね。」
「ええと。ちいさいお嬢様を~。おんぶして家に帰った時ですね。」
「その前に、魔獣から助けてくれたでしょ?」
「棒を振って暴れただけです~。いやあ、魔獣が逃げてくれて本当によかったなあ~。」
「メルヴィン、あなたはきっと、お母さんに似たのね。」
「私が~。そういえば、そうかもしれません。」
「あなたのお母さんは、とても優しそうな方だったもの……」
「はい……私が泣いていると、……泣き止むまで、側にいてくれました。」
(あなたはその優しさを、受け継いでるのね……)
「お嬢様。家に戻りましたら、私の紅茶を……飲んでいただけますか?」
「喜んで。」
蝶は空へと飛んでいく。二人の背中を見守りながら……
限りない献身と慈愛 メルヴィン・ブラックウェル
その他