【白猫】ファクティス・思い出
ファクティス・イギスドラム CV:寺島拓篤 神出鬼没で大胆不敵。 他人の価値観を盗む伝説の怪盗。 | ||
2018/08/14 |
怪盗ピアナと贋作王の壷
思い出1
あの、こちらは飛行島で合っていますか?
はい、そうですよ。どうかされましたか?
ええ、このカードを渡すように頼まれていまして。
ありがとうございます。えっと、これは……
パーティーとかの招待状だったら、喜んで受け取るわよ!
ふふ、招待状ではありません。
――予告状だ。
だ、誰よアンタ急に!
誰だと問うことに、意味はあるのか? 真実を口にするとは限らない。
それはそーかもだけど!
俺の名はファクティス。
言うんかい!
アイリスです。
アタシはキャトラよ!
ファクティスさん、予告状っていったいなんのことですか?
飛行島には多くの冒険家が集まると聞いた。
そうね、色々な人がいるわよ。
風の噂で知った。ここには揺さぶるものがある。
揺さぶる? どゆこと?
すべて口にしろと? 興が削がれる。カードを見ろ。
なんて書いてあるの、アイリス。
飛行島の揺るぎない煌めき、頂戴いたします。怪盗ファクティス――だって。
怪盗? 本物なの~?
さぁ、どうかな? 本物だと言うのは簡単だ。――たとえ偽物でもな。
その感じ、モノホンっぽいわね!
けどお生憎様よ! 盗みたくなる美術品とか宝石だとかは、すっかんぴんだからね!
たぶんだけど!
そんなもんあったら、アタシが欲しいくらいだわ!
たしかに、ファクティスさんが狙うようなものはないと思います。
お前たちが言っているのは泥棒だ。
何が違うのよ。
美学。
怪盗にあり泥棒には存在しない。
一国を買える値がつこうとも、俺のターゲットにはなりえない。
じゃあ何よ、アンタが盗みたいものって。
お前たちの大切なもの。それ以外、ありえない。
先に言っておく。俺は一度宣言したら必ず奪う。
本気でなんか盗むつもりなのね、アンタ。
ああ。
例えば、上等な魚肉を練ったアレが盗まれたら、どうだ?
なんで知ってるの! 特上カニカマね! アタシのお宝を狙うつもりね!
ただの挨拶だ。
そうはさせるもんですか!
なら俺がカニカマを盗めるか、ゲームするか?
受けて立つわ! 絶対に盗まれないんだから!
思い出2
さぁ、いつでもきなさい!
見えない光に触ると、デッカイ音鳴らす鈴!
トラップの定番、落とし穴!
まきびし! かんしゃく玉! ペイントボール!
だ、大丈夫?
特上カニカマを取られるわけにはいかないわ!
死守するわ! 死守!
ファクティスさんを調べたんだけど、伝説の怪盗一家の一員らしいわ。
伝説の怪盗―家がなんなのよ! アタシはトラップの専門家のレクチャー受けたもん!
盗めるものなら、盗んでみなさいなんだから!
主人公、アイリス、トラップをすべて起動するわ。
危ないからこの部屋から離れてて。
キャトラは?
守るわ、カニカマを。カニカマと一緒に、この部屋に残るわ!
わかったわ。ご飯の時間には呼んでもいい?
いいわ!
***
さぁショータイムだ、子猫ちゃん。
***
スースー。もう食べれないわ……
……は!
つい寝ちゃったわ! カニカマは――
ない!!
――面白いトラップだった。独創性を感じるな。
真正面から受けるスタイル、怪盗冥利に尽きたぞ。
そんな! どうやって。
いい好敵手となれるな、俺たちは。
好敵手なんかならないわよ!
カニカマ返しなさい!
あえて悪い言葉を使おう。
カニカマ程度にそこまでの愛を注げる熱。
きっとお前は、関わると決めたすべてに全力で接しているのだろうな。
カニカマー!
このカニカマを盗んだところで、揺さぶられることはないだろ?
揺さぶられてるわよ! 大荒れよ!
よくわかんないけど返しなさい! アタシのカニカマ!
舐めてみろ、自分の口周り。
ぺろり。カニカマの風味!? これは特上カニカマの味!
俺が来た時、すでにカニカマはなくなっていた。
寝てる間に食べたのね……アタシ!
ぎにゃー!
思い出3
……ふぅ。
お洗濯、手伝ってくれてありがとう。
あ、服がほつれてるわ。
すぐに済むから、先に直しちゃおっか。
あれ? お裁縫セットが見当たらない。
裁縫道具は日常。なくてはならないもの。
お前にとって、そうだろう?
裁縫道具がなくなったとき、さあ、どう変わる?
ファクティスさん、ボタンが取れかかってますよ。
なに?
よかったら、直しましょうか?
くく、はははは!!
こんな失態、二度目だな。
もしかすると、お前の持つ空気に緩んでしまったのかもしれない。
二度目、ですか?
ああ。
…………
俺にとって盗むことは、呼吸と同じだ。
意識することもない、つまらないもの。
じゃあ、盗む必要なんて――
つまらないもの、だった。ある作品と出会うまではな。
本物と見分けのつかないほどの贋作。俺が犯した初めてのミスだった。
どういうことですか?
盗むことで、変えられるものもある。
怪盗という行為に飽きていた俺は、贋作に価値観を歪められたのさ。
だから決めている。
――俺は、価値観を盗む。
盗むものが高いか安いか、希少か夥多なのか………客観的な価値などに興味はない。
思いいれのあるもの。無くして初めて気がつくもの。盗まれたことで、変わるもの。
<いつの間にかアイリスの手に中に裁縫道具があった、>
俺が盗むものはそういうものだけだ。
返してくれて、ありがとうございます。
だか変わるべきじゃないものも、あるんだな。
アイリス。俺の価値観が盗まれた。
あんたのような者ばかりだと、俺は廃業になるかもな。
きっと怪盗じゃなくても、ファクティスさんなら何だってできると思います。
そうはいかない。俺は怪盗だ。
飛行島の煌めき、盗ませてもらう。
思い出4
次のターゲットは、お前だ。
主人公、どんな価値観を持っている?
<ファクティスの手には、主人公の剣が握られていた。>
返してほしいなら、奪い取れ。
これはゲームだ。俺に触れることができたら、剣は返そう。
残念、それは光の屈折が生み出した幻影。
――
人形だよ、身代わりの。
――
ほう、素晴らしい動きだ。
♪
これをやろう。
?
俺の顔写真だ。
誤解するなよ。そういうことじゃない。
イギスドラム家。伝説の怪盗一家。……古巣だ。
俺の家族は親兄弟、等しく怪盗だ。
未だに誰も捕まったことがない。
どこで何をやっていて、なぜ怪盗なのか、手がかりは何も残さない……
姿を見た者がいても形に残せない。怪盗とは神出鬼没。自分の姿を、写真に撮られるヘマはしない。
だからイギスドラム家の顔がわかる写真は高く売れる。
然るべき筋に売れば、一生道んで暮らせるぞ。
…………
剣は返さない。その金で、もっといい剣を買え。
金じゃない、か。ありきたりな言葉だ。
写真を売れば、俺を捕まえたい連中から感謝されるぞ。
褒め称えられ、称賛の美酒に酔い、手元には金が残る。
手頃な悦に浸ればいい。
…………
頑固な男だな。
<いつの間にか、剣は元の場所に収まっていた!>
だが嫌いじゃない。
知っていることと、実行できることの隔たりは大きい。いい価値観だ。
写真は返さなくていい。戦士の誇りを弄んだ対価だ。
俺に返すのか? ……なぜ?
写真に撮られたことのない、俺の価値を、損ねる、と?
くくく、はははは!!
お前の心が揺さぶられる瞬間、盗みたいものだな。
ああ、まだ終わりじゃないさ。ここまでは仕掛け。
ポアソンまではフルスコア。
ヴィヤンドが楽しみだ。
お前たちの価値観、必ず盗んでやる。
!
<主人公の手には、一枚のカードが残されていた……>
思い出5
招待に応じてくれたこと、感謝しよう。
せっかく呼んでくれたんたしね。
予告状じゃなくて招待状で、いいんですよね?
ああ、招待状だ。
俺から直接、予告したくてな。
てことはまだ盗むの?
怪盗が他になにをしろと?
やめるわけにはいかないさ。完成させるまでは。
なにをよ。
俺を解放してくれた瞬間の、天地の反転するような、衝撃。
あの衝撃と再び出会うために、俺は伝えなくてはならない。
どゆこと?
俺を超える才能を見つけてな。
才能の花を開かせたい。
ファクティスを超える怪盗? アンタ、怪盗業界じゃバリバリのナンバーワンでしょ。
(なんで怪盗業界のことを……)
もしかして、ファクティスさんのご家族の方ですか?
俺の家族?
あいつらはフォーマル過ぎる。官僚主義の怪盗に魅力は感じない。
官僚主義で怪盗って……じゃあ一体誰なの。
俺の価値観を盗んだ贋作。その贋作を作った贋作王。
じゃあその贋作王さんを?
その娘さ。
高いポテンシャルを秘めている。あの才能、目覚めた瞬間を思うと、楽しみだな。
であるなら、俺は一流の怪盗で在り続けなくてはならない。
だから怪盗をやめるつもりはないってわけね。
盗むに値するものが存在する限り。
俺の見る世界の色彩は、曇りなき鮮やかさを求めるだろう。
ファクティスさん……
むむむ、でもどのよーな理由があろーと、やっぱり盗みは推奨できないわ!
飛行島の風紀をとりしまるキャトラさんは、見逃さないわよ!
主人公、盗みをやめるよう説得しちゃって!
思い出6 (友情覚醒)
ルーンの光が……
なんで!? 消えちゃったわ!
消えたんじゃない――
盗んだのさ。
飛行島を訪れる冒険家達が浴びる、美しい煌めき。
……ルーンの光。
じゃあアンタか盗もうとしてたものって……
――……フッ。
怪盗ファクティス、ルーンの光を頂くため、今宵参上した。
さあ、お前たちの価値観、どう変わる?
変わると言われても、ねえ。
……うん。
数多の冒険家の価値観に影響を与えた光だぞ。
それが盗まれて、どうも思わないのか?
どうも思わないというか……
ここに来る冒険家って、一癖も二癖もあるのばっかりだからねぇ。
初めてではないのだな。光が盗まれたのは。
盗まれたというか、そーゆー時もあるとゆーか。
残念ながら、そんなに驚くことでもないわね。
……そうか、囚われていたのは俺か。
迂閥だった。初歩的なミスだ。まるで、あの時と、同じような……
くく、ははは!
なによ急に笑いだして。
面白い、気に入ったぞ。
俄然、興味が湧いたよ。
やはりお前たちの価値観、必ず俺が盗む。
じゃあまだ怪盗を続けるってわけ?
このまま引き下がったのなら、俺の美学に反する。
だが安心しろ。
無闇矢鱈に盗むつもりもない。
俺が盗みたいのは、あくまでお前たちの価値観だ。
その価値観が変わるその時まで、飛行島に留まらせてもらう!
よくわかんないけど、応援するわ。
よろしくお願いします、ファクティスさん。
いずれ盗まれ、知るがいい。怪盗の美学をな。
怪盗を導く怪盗
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