【白猫】フィオナ・思い出
古美術商兼探検家 フィオナ・オルブライト CV:豊口めぐみ 古美術商を営む探検家の女性。 文化遺産の調査と保全に心血を注ぐ。 |
思い出1
うぅ……気持ちわるい……
あら、フィオナじゃない。……なんか、ぐあいわるそうね。
私の三半規管はね、飛行艇という文明の利器には対応してないのよ……
だ、大丈夫ですか……?
じきに良くなるから、平気よ。
船酔いしてまできてくれるなんて、ありがたいわね~。
ようこそ飛行島へ、フィオナさん♪
……まさか、この世界にこんな島があったなんてね。驚きだわ……
古代に作られたもので、まず間違いはないでしょう。飛行のメカニズムがわかれば、年代にある程度アタリをつけられるはず……
みんな、早速で悪いけど、この島探検させてもらうわね。
まちんしゃい!
……ガラカス島の遺跡じゃ、まともに話す機会もなかったでしょ?
まずは、アンタのこと聞かせて~ン♪
……そういえば、ちゃんとした自己紹介もしてなかったわね。ごめんなさい。
フィオナさんは、探検家なんですよね。
ええ。一言でいうと、文化遺産の調査と保全ね。
秘められた過去の歴史や文化をひも解くだけじゃなくて、なるべく当時の状態のままで世に残す……
それが、私の仕事ってわけ。
大変そうね。神経つかいそうで……
ま、好きでやってることだからね。大変さも含めて、楽しんでるわ。
でも、遺跡のお宝をゲットできないんじゃ、もーからないんじゃないの?
もう、キャトラったら……
ふふふ、そうね。探検家だけじゃ、フトコロ事情は厳しい時も多いわね。
だから私、古美術商もやってるの。
美術品を売りたいって人と買いたいって人を仲介してあげるのよ。
作品を鑑定して、値段を定めて、売る。……これも、結構大変なのよねー。
でも、色んな美術品を見れるのは、フィオナさんにとっていいことですよね。
その通りよ。探検寥の活動に繋がるような知識もつくし、一石二鳥なのよ。
それに、遺跡から盗掘された品を発見できる場合もあるしね……
ということで、自己紹介おわり! これからよろしくね、みんな。
よろしく~ン♪
じゃ、飛行島を探検させてもらっていいかしら?
どうぞ~。
***
……ダメね。いくら調べても年代が特定できない。どうなってるの、これ?
フフッ……なるほど。つまり……全然わからなくなってきたわ。
まだやってた!
思い出2
フィオナったら、―晩中飛行島を探検してたのよ。
ごめんなさい、つい。
アンタって、いつもそんなカンジなの?
昔からそうね。気づいたら朝になってた、なんていつもの事だし。
子どもの頃から、探検がお好きだったんですか?
父が考古学者だったのよ。その影響ね。
だった……?
発掘作業中の事故で、ね。……突然だったわ。
でも、私にたくさんのものを遺してくれた。今でも私の糧となっている、大事なものをね。
あ、そうそう。私が持っているこの剣も、父が私に遺してくれたもののーつなの。
その剣が?
汎用多目的作業用刀剣。これでも立派な古代遺産なのよ。
かみそうな名前ね。
多目的ってことは、色々な用途があるんでしょうか?
戦闘はもちろん、掃除洗濯料理と日常生活でも大活躍の一品よ!
万能ね! でも、高いんじゃない?
ところがどっこい、今なら40億ゴールドから!
ぎにゃー! ホントに高い!
はい、あとはこうやってもみ洗いして……
本当に、洗濯できてますね……!
なんで刀身から洗剤が出てくんのよ。
環境にとってもいい洗剤なのよ。お皿も洗えるし、髪も洗えるし、体も洗えるし、食べられるし。
食べられるの!?
水あめでも作ろうか?
……ていうかさ。それ、古代遺産なんでしょ?
そうよ。
それを守るのがアンタの仕事なら、使っちゃダメじゃない?
この剣はね、使えば使うほど壊れにくくなるのよ。
よく言うでしょ? 人がいない家は傷むのが早いって。それと同じよ。
ムム……イミわからんけど、さすが古代遺産ね……
……あら? 主人公。ソデがほつれてるわ。
あとで縫ってあげるね。
私にまかせて。この剣、裁縫も出来るから。
<剣から針と糸が!>
どこまで多機能なの……
思い出3
そういえば、探検家のアンタに聞きたいことがあるんだったわ。
なに?
遺跡のトラップって、なんであんなにイラッとするの?
良い質問ね、キャトラ。
確かにトラップは、肉体のみならず精神にもダメージを与えてくる、遺跡の名脇役よ。
め、めいわきやく?
いいわ。今日はみんなにトラップの素晴らしさを教えてあげる。
……へ?
みんなは、遺跡を調査する時、トラップについてどれくらい考えるかしら?
そ、そうですね……「やたらとトラバサミが多い」とか、考えたりはしますね。
いい着眼点よ、アイリス!
―概にトラップといってもね、当時の時代背景や文明レベル、島ごとの文化の違いによって、その傾向は全くといっていいほど違ってくるの。
えっと、つまり?
トラップにもブームがあるということよ。
……話がかわってきた気がする……
いくつか例をあげましょう。まず、5000年前に栄えた<ハミール文明>の毒矢ブームね。
この頃は世界的にも飛び道具を用いたトラップが主流になってたみたいでね。その中でも、パミール文明の毒矢トラップは侵入者に対して非常に効果的だったの。
毒矢の作製から仕込みまでを行う専門業者までいたそうよ。
2500年前の第三次落とし穴ブームも外せないわね。
第三次落とし穴ブーム!?
小さな島から世界中に伝播していったこのブームは、円熟期を迎えていたトラップの効率性と費用対効果を再構築したとも言われる、回帰的ブームだった。
ある島の遺跡では、落とし穴の中に落とし穴を仕糾ける二段構造型もあったそうよ。
ひどい!!
あ! それから、4500年前の第二次丸太ブームもおさえておきましょう。
…………
……
ウニトラップは、漁師の子どもが殼を投げあって遊んでいたことが始まりとされているの。
す~……す~……
(キャトラが寝ちゃった……)
この頃はいかに精神にダメージを与えるかという事に神経をさいていたみたいで、イヤからせが得意な人間を集めて定期的にミーティングをしていたらしき記述も――
<……この話……
面白い――!>
思い出4
みんな、私ちょっと出かけてくるから。
お仕事ですか?
ええ。ある無人島で遺跡が発見されてね。私に調査依頼が来たの。
無人島の遺跡……? おもしろそうね! ついていっていーい?
いいけど、危険よ?
たいじょーぶ! アタシたちだって素人じゃないもの。
そうだったわね。じゃあ、行きましょうか。
***
<遺跡に到着した主人公たちだったが……>
…………
いやな感じがしますね……
<とても重苦しい雰囲気だ。胸が、ざわざわする――>
……のろわれてたり?
その可能性もあるわね。……けど、それとはまた違う感じもする。
ま、調査してみればわかるわよね。すすめすすめー!
***
どうやら、魔獣はいないようですね。
意外と中はこぢんまりしてるし、調査はすぐに終わりそうね。
いいえ、見てキャトラ。あそこ……
……なんの変哲もない扉だけど。
恐らくトラップが仕掛けられているわ。
……回り通しますか?
ちょっとハマってくる。
え!?
<フィオナは躊躇なく歩みを進め、扉を開け――奥へ踏み込んだ>
!!
<フィオナの姿が消えた――>
***
あ、いたいた。
フィオナー! 心配したわよ!
大丈夫でしたか!?
扉を開けると作動する落とし穴ね。ニセモノの地面がとてもよく出来ている。
落ちた先はたたの小部屋たったわ。ワラのようなものが厚く敷き詰められていた跡があったから、ダメージを与える意図はないものと推測できる。
部屋の出口はーつで、その先の階段をのぼっていくと元の場所に戻れるという仕組みよ。
……もしかして、トラップを分析するためにわざとハマったの?
一流の探検家は、罠を楽しむのよ。
…………
フィオナさん?
このトラップ、扉の内側に仕込まれていたの。
うちがわ?
通路側ではなく部屋側から作動するように作られていたのよ。
ケガをさせない、閉じ込めない、迷わせもしないトラップ。……これかどういうことかわかる?
……え一と……
このトラップは、侵入者を阻むためのものではない、ということよ。
思い出5
侵入者を阻むためのトラップではない……?
どーゆうこと?
…………
ぎにゃー! びっくりした! どっから現れたのよ、アンタ!
あなたたちは……?
この遺跡を調査しに来たの。私は、探検家のフィオナ。
……遺跡……調査……
アンタもそうなの?
にしては、服装からしくないわね。
……そう。やっと、見つかったのね……!
……?
お願い。この遺跡を、壊して……!
何ですって?
この暖炉も、テーブルも、イスも、壁も床も、何もかも……!
暖炉? テーブル? ア、アンタ、なにをいってるの?
あの、わけを話してもらえませんか?
……話せないわ。話したくもない!
ねえ、どんな事情があるのかわからないけれど……それは出来ないわ。
どうしてよ!
文化遺産を守るのが、私の仕事だからよ。
……鳥かごなんて守ったって、どうしようもないじゃない!
鳥かご……?
(ねえ……このひと、ちょっとヘンじゃない?)
……あ、ちょっと、どこいくのよ。
<女性は、通路の奥へと消えていった……>
待ちなさい!
<女性を追ったその先に――ひとつの、部屋があった>
いない……どこにいったの?
…………
<フィオナはまず地面を、それから天井を、最後に壁を照らした>
!!
<壁には、びっしりと文字が刻まれていた>
こ、これは……
……<エシュリカ文字>。かつてこの地域で栄えていた文明の言葉よ。
<フィオナはじっと、刻まれた文字を目で追う>
ねえ、なんて書いてあるの?
……夫が死んだ。冶るはずの病で、死んだ。
息を引き取った時の、頬に流れた一筋の涙が、まだ脳裏に焼き付いている。
……今となっては、無実の罪を晴らすことなど、望むべくもない。
私たちは、かごの中の鳥なのだから。
……私も、あの人のところへ行こう。
そこはきっと、私たちを縛るものなど何もない、自由な世界だ。
s…………
私たちの言葉がわかるのね。
ここは……終の棲家だったのね?
そして、私たちの墓よ。
思い出6 (友情覚醒)
アンタ……
…………
エシュリカ文明の王族が没落した理由は、ずっと謎のままだったの。
……あなたが、最後の王妃さまね?
大罪を被せられ、無人島に幽閉され、死を待つだけだった私たちの気持ち……
少しはわかったかしら?
…………
わかったなら、ここを跡形もなく壊して。……そして、私たちを、解放して。
……それでも、どうか。どうかここを、残させてください。
どうして。
伝えなければいけないからです。
…………
あなた方の身に起こった出来事は、後世まで、諸り継がなければならない。
なぜ……!
同じ過ちを、繰り返さないように。
……繰り返すわ。それが人というものよ。
でも、きっと、変化は起きる。それが例えどんなに小さくても――
正しい方へ向かう変化だって、私は信じてる。
…………
任せてみないか?
あなた……
この人との出会いは、きっと、偶然ではない。
で、でも……
私たちは、充分、待った。……もう、いいだろう?
…………
お穣さん。信じて、いいんだね?
はい。
……あなたは、それでいいのね?
ああ……だからおまえも、私を信じてくれ。
……わかりました。
きっと、伝えてくれ。この、負の遺産を。
そして、私たちが、どのように生きたかを。
必ず――
…………
……
<それからしばらくして――>
<フィオナたちは、遺跡の傍に小さな慰霊碑を建てた>
…………
……祈りましょう。
これで……よかったのよね。
人の歴史は、過ちの歴史でもある。私たちは、それを伝えていかなくてはいけない。
過去を知ろうとする者は、その責任を負う事を忘れるな。……父が私に遺してくれた言葉よ。
うん……
『私たちは、忘れない』
<フィオナは、自身の手で刻んだ銘文を眺める>
……そろそろ、行きましょうか。
この世界にはまだまだ、知られざる過去が眠ってるんだから――
フィオナ・オルブライト 悠久の歴史を守る者
その他