【白猫】蒼空の竜騎士2 Story0
2019/03/29 |
むかしむかし、あるところに、とても強くて恐ろしい、一匹の竜がいました。
その竜は、世界を自分のものにしようとたくらむ、とても悪い竜でした。
他の竜たちは、人間たちと力をあわせて、立ちむかいます。
しかし、その悪い竜があまりにも強すぎて、手も足も出ませんでした。
その時です。どこからともなく、白き光を放つ戦士と竜が現れ、悪い竜に戦いを挑みました。
とても強くて勇ましい姿。他の竜と人間たちは、二人が固い絆で結ばれていることを知りました。
長い戦いの末……竜と戦士は、自分たちの命を引き換えにして、悪い竜をうち倒しました。
悪い竜を倒し世界を守ることが、彼らの<使命>だったのです。
他の竜と人間たちは、彼らを英雄と称え、その地に国を作り、ともに生きようと約束しました。
それが、私たちの国。
竜と人が共存する、<竜の国>のはじまりなのよ。
あー!わかった!そのわるい竜ってゆーのがー
えっとねー。ふぁ、ふぁる、ふぁぼ……
ファブニール!
そーそー。あのときはほんと、こわかったなー。
でも、姫さまがやっつけてくれたんだよね!
ゲオルクや竜たち、そして私を助けてくれた、心優しい友人のおかげよ。
ありがとう、姫さま!あとおじさんも!
おじさんだと!?
自分は……おじさん……
……なのか?カグツヂ。
我に聞くな。
気にしすぎよ、ゲオルグ。
……ラピュセルはどう思う?
竜族からすれば、またまだ赤ん坊ですよ。
うむ……そうだな!それを聞いて安心した。
竜族の基準で安心するな。
それよりも、もうすぐね!<ドラグナーズ・カップ>。
……ええ。姫様の努力が、実を結ぶときがきましたな。
「……我が国で、レース競技を開催したい?
「はい!ドラグナー同士、誰がいちばん速いかを決めるんです。
名づけて<ドラグナーズ・カップ>!
「ふむ……
「国のことや、奄のこと。なにより、竜と人の絆のこと――
たくさんの人に知ってもらえる、いい機会だと思いませんか?
「面白い発想ではある。
「では――
「おまえに、よい縁談が来ている。
……が、そういうことなら、私の方から丁重にお断りしておこう。
「お父様……
「エクセリア。……もはや、うるさくは言わぬ。
やりたいことを、やってみるかよい。
が、責任はきちんと持つのだぞ。それが大人というものだ。
「……はい!
ゲオルグ、準備を手伝ってくれてありがとう。本当に助かったわ。
自分などは、なにも。
ふん。レースなどくたらぬ。
満足に飛ぶことも出来ぬ、未熟なドラグナーも参加するようだしな。
団長、ここにいましたか。
セルジュか。
陛下がお呼びです。来賓の件で確認したいことがあるそうです。
了解だ、副団長。
もう……やめてくださいよ。
セルジュさん。改めて、昇進おめでとうごさいます。
ありがとうございます、姫様。
……でも正直、やることはこれまでとあんまり変わらないんですけどね。
昇進は昇進だ。これからも、しっかり頼むぞ。
はい、団長。
…………
なんだかうれしそうね、ゲオルグ。
……ファブニールを倒してからというもの……
姫様はラピュセルとの絆を深められ、ますますご立派になられました。
竜騎士団には、新しい仲間が。……いまはまだ未熟ですが、将来はきっと一人前のドラグナーとなってくれるはずです。
そしていま、セルジュは副団長に就任。国では姫様主導による一大行事が開催されようとしている―そこまで考えて、つい頬が緩んでしまいましてな。
たるんでるな、ゲオルグ。レースは我一人の方が良いかもしれぬ。
くだらないんじゃなかったのか?
story
早朝。
竜騎士団の訓練場にて――
よし、いくぞ、アスタ。だいじょぶ。今度はきっと、たいじょぶだから。
ルオォ……
ていうか、だいじょばなかったら、出場できないし……
ルオォ?
……だいじょぶ。自分を信じるんだ。
ルォ?
まって。心の準備をする。
こわくない、こわくない。高いところはこわくない。高いところはきっと卜モダチ!
ルォーーーーン!
下を見るな下を見るな下を見るなああぁぁぁぁぁ!たかあぁぁぁい!
ルオッ……!ルオォッ……!
フ、フラフラしないでえ……!
ル……ルオォ!
わあぁぁぁっ!
しぬかと思った……
……はあ。
「胸に傷があるだろう?竜狩りにやられたものだ。
(お、おまえは……!)
「ルォーン。
「……守るんだ……
「ルオォン……
「この子は、あたしが守る!
あれから、ずいぶん経ったけど……あたし、まだまだだなあ……
おはよう、ナギ。
ギギィ。
モニカ先輩!おはようございます!
朝早くから、熱心だな。
……だが、単独での飛行訓練は感心しないな。落ちたらどうすんたよ。
す、すみません。もうすぐレースだから、その……
ルオォォーン。
……どうしても参加したいんです。地上から見てるだけなんて……
……無理はするなよ。
はい!
あ、そうだ。おまえがずっと会いたがってたやつが、いましがた到着したぜ。
えっ?
おーーーい!こっちだーーー!
ナギ!ひさしぶりね!
シエラ……!
同胞よ。人間にいじめられてなどいませんでしたか?
ルオォォーン!
……大きくなりましたね。
story
それで、修行のほうはどう?順調?
……アスタには、乗れるようにはなった。でも、まだちゃんとは飛べなくて……
そうなの……
立派なドラグナーになるには、またまだ修行不足だよ……
うう……もうすぐレースがあるのに……
最初は、みんな同じよ。私だってそうだったもの。
初めて乗ったとさのあなたの泣き顔は見ものでした。
初めてであんなに速く飛ばれたら、誰だって泣くわよ……
ねえ、シエラもレースに出るんだよね?
もちろん!そのために来たのよ。
……でも、いいのかしら?私、団員じゃないのに……
無諭だ。君は竜騎士団の名誉ドラグナーだからな。
名誉ドラグナー……
いっそのこと名誉も取っ払い、正式に迎え入れたいところだ。
団長の件はあきらめたが、自分はまだ、君をあきらめてはいないぞ!シエラ!
なんだか、ちがった意味に聞こえますね。
ちがった意味とはどういう意味だ?
ともかく、出るからには全力でいくからね。
フレイヤ。お前は乗り気なのか?
……同胞と飛行速度を競うという点では。
なれば、我も本気を出さざるを得んな。
私だって負けません。
僕たちも頑張ろうね、マクリル!
キュウ♪
うーん……!盛り上がってきたわ!
そうですね!あたしはとにかく完走をめざします!
ナギ。……本当に大丈夫か?
はい!地面すれすれの低空飛行なら、なんとかなるかと……
「実況と解説ならおまかせなさい!」
キャトラグナー軍団、とーちゃくよ!
みなさん、お久しぶりです!
(キャトラグナーってなんたろう?)
みんなも来てくれたんだ!
運営のお手伝いをお願いしたの。レースには、私も出場するから。
会場のほうは頼んだぞ、主人公。
ではさっそく、準備をはじめましょう。
…………
……
キャトラー-ー!こんな感じーーー?
もうちょっとみぎよー-!
みぎみぎーーー!
……あーーー、ちょっとみぎすぎーーー!
先輩、天幕が足りないみたいです。
オッケ、あとで取ってくる。
ルォーン♪
あっ、アスタ!幕で遊んじゃダメだよ!
ははは、アスタは子どもたなあ。
ルォ?
ほら、いい子だから。こっちきて、手伝って。
ルオォォーン。
…………
モニカ、ちょっといいか。
なんですか、団長?
ナギとアスタのことだ。……やはり、心配でな。
……飛ぶための体は、とっくにできているハズなんです。
ナギはもともと鍛えていた方でしたし、アスタも見違えるほどにたくましくなりましたから。
となると……問題は心のほう、か。
高いところがまだニガテってのも、もちろんあるんですけどね。
本当の問題は、そこじゃないと思うんです。
……相手を信じ、託す。言葉にするたけなら容易だが、真の意味を理解するのは、とても難しいことだ。
どうすればいいんでしょう?
答えは自分の中にしかない。きっかけ(・・・・)を待つしかないだろう。……みな、そうだった。
そう、ですね……
story
「ブタども整列!
塗れてるわねああ汚い。なんなのよそのシケたツラはあ!」
「カシラ、お言葉ですが、ツラは見えないかと。」
「口答えまでシケてるわね。……よし、揃ったな。」
「いつでも行けます。」
「当日は観光客が多数来島する。近衛の警備は浅い。入国に問題はないだろう。
潜伏後は指示があるまで待機。空振りに終わる可能性もあるが、各班準備を進めておけ。」
「カシラ、質問があります。」
「なんだブタ2号。」
「5号です。
略奪はアリですか?」
「脳みそ足らずのクソ間抜け。その滾ったツラを引っ込めろ。
作戦行助に支障をきたさない範囲であれば許可する。」
「了解。」
「さあ、従順なクソブタども。エサ(褒美)はたっぷりくれてやるぞ。
おらぁ、散れぇー!
アトモス様。アタシも、出発いたしますので。」
「ああ。」
「……あの、聞いてもいいですか?どうしてあんな小娘を――」
「…………」
「あっ……!も、申し訳ありません!不躾なマネを……」
「お前は俺の駒だ。俺だけを見て、俺だけのために動け。」
「ああぁぁ……かしこまりました……」
「合図を見逃すなよ、クライン。」
「あなた様の目の瞬きも、唇の動さも、息の匂いも、発する声も、いつだって、ぜんぶぜんぶ、感じております。見逃すなんてこと、絶対にありません……
それと……アタシのような俗物などは……どうそ<メスイヌ>と呼び、蔑んでくださいませ……」
「行け。」
「はい……アトモス様!」
「俺たちは明朝に発つ。」
『ひとつ、聞こう。』
「なんだ。」
『お前は何を得る。』
「……希望。」
『正しくは幻想だ。』
「お前の思想こそ幻想ではないのか。」
『…………』
「……竜はすべて、俺が滅する。そのため(・・・・)に――
いつか必ず、貴様を殺す。ウロボロス。」
『アトモス――自己矛盾を抱えた、俺の玩具よ。壊れるにはまだまだ早い。
力は、貸してやろう。』
「…………」
ちゃんと、おいかけてきてね!
わかってるよ。きょうこそ、おまえに――
おいついてみせるから――!
「今度は俺が――
お前を、連れていく。」
一大行事
ナギとアスタ
キャトラグナー軍団、到着!
希望
ドラグナーズ・カップ
レーススタート!
黒き男と黒き竜
アトモスとナギ
宣戦布告
副団長とモニカたち
乱戦の中で
追い続けた背中
ソウくん
みなぎるクライン
市街地の戦い
ともに生きる道
極秘任務
ノスタルジー
バルテリオスの角
邪竜の血
力の解放
女狐
竜の山へ
メスイヌ
目的
ウロボロス
少年と邪竜
生と死の誓い
ナギの覚悟
ふたりの心
希望