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【白猫】ダークラグナロク Story1

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作成者: にゃん
最終更新者: にゃん


2019/07/14





story



世界で一番大切な人を見殺しにしたあたしは――

そのまま、いつとも覚めることのない、眠りにつき――

そして想像もつかないほど、ずっとずっと長い時間が経って、そして――


…………

目覚めたか。

……あんたは?

アルカマル家当主、ネロ・アルカマル。

アルカマル……

この波蝕の島にて、貴様の目覚めを待っていた。

時が来たぞ、後継者たちよ。

後継者……たち?

…………

誰よ、あんた。

ヴァイス・グリーガー。

グリーガーって……、まさか。

黒の王国六大貴族、グリーガー家の、闇の王の後継者だ。

貴様が眠りについた後、我が一族のご先祖様が、グリーガー家に協力を仰いだのだ。

貴様の力になってくれ、とな。

オレには王になる資格はない。

だが、王の後継者である以上、務めは果たす。

悪しき王が君臨し、打倒しなければならないなら、その使命に手を貸そう。

闇の王を倒す算段はついた。

だがまずは、貴様自身の力を伸ばしてもらう。まだ王を討つには足りん。

手加減するつもりはないぞ。後継者。

……言われなくても、わかってるわ。

ほう。

あたしも誓ったから。……ネロ。あんたのご先祖さまに……

(アマリアに託されたんだ……あたしはそれに応えなくちゃ、いけないんだ。

……やってやる!)

期待してくれて構わないわ! あたしに任せてよ。

話が進んでいるところ悪いんだが、オレはあんたの名前も知らない。

手を貸すのはいいが、それくらいは教えてくれるか。

……セレナ。

あたしは、セレナ・アルカマル。

聞くぞ、セレナ。お前は後継者としての使命、果たせるのか?

決まってんでしょ。

果たしてやるわ! あたしが、闇の王をぶっ倒す!



>まずは実力を見せてもらおうか。

>あたしが、闇の王を……

>どれくらい眠ってたんだ?


>ここ波蝕の村?

>どうかしたのか?

>別の島みたいだと思って……


>まずは、これからどうする?

>まずは貴様らの力を見たい。



>行くって、どこによ。

>乱世の島タイカンだ。

>タイカン……?

>何しに行くの?

>闇に対抗する仲間を集める。

ケンセイという男に会いに行くぞ。



Chapter3




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story



<目覚めたセレナたちは闇の王を討つ力を鍛えながら、共に戦う仲間を探す旅に出た。

そしてタイカンにたどりつき、覇王ケンセイに協力を仰ぐ。

タイカン統一に力を貸す代わりに、闇の勢力に対抗する力となってほしい、と。>


<見事タイカン統一を果たし、主人公たちと合流した一行は波蝕の島へと向かい……

決戦の時が、訪れた。>


……これで全員が揃った!

帝国、連邦、タイカン。三大国の連合軍と闇の後継者が、闇と戦うために集結したのだ!

この波蝕の島で、人と闇、世界の未来を決める戦争を始めるぞ!


…………

……



ケンセイとリーランがタイカン、帝国、連邦、三国の軍編成に入る。

我らは我らの準備を進める。ついて来い、後継者たちよ。

……これから、闇と戦うのね。

……うん。

早速だが闇の王子よ。貴様について来て欲しい場所がある。

どこに行くの?

波蝕の祠だ。

そこで貴様には、セレナとヴァイスと共に、後継者としての力を引き出してもらう。

力を引き出すって、いったい何するつもりなのよ。

危ないことするつもりなら、ほいほいついてけないわ。

それでも……できなければ、王には勝てん。

波蝕の祠とは何なんですか?

濃い闇の溜まる場所だ。

黒の王国時代の闇は濃い。この時代とは比べ物にならん。

より濃い闇に触れることで、黒の民の持つ潜在能力を解放するのだ。

気づいているか、セレナ。

何が?

主人公。闇の王子と呼ばれるだけはある。

わかるわよ。そんなん、ひと目見たら……


……主人公。

……セレナ! 何をっ!?

主人公! 大丈夫!?

ちょっと! いきなり何すんのよ!

…………

理由を説明してくれますか?……セレナさん。

あんたが闇の王子って呼ばれるに相応しいか、あたしが試してあげる。

ケンカは反対よ! ね、主人公!

……ケンカじゃないわ。挨拶よ、ア・イ・サ・ツ!

だから教えてよ。あんたがどんくらいの覚悟で、闇の王をぶっ倒すつもりでいるか。

……

見せてよ! あんたの力!



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>はぁあああ!!

>セレナのやつ、本気だな。

>まったく……



story5


甘い!! あたしは剣だけじゃないわよ!

主人公! ――セレナさん!

ちょっと、やりすぎじゃない?

それがあんたの実力? だったら期待はずれだわ! そんな剣で何が守れるっていうの?

見せなさいよ! あんたの本気を!!

――

ちょっと! 主人公まで本気になっちゃって……!

このままじゃ危ない! 止めなくちゃ!

……ヴァイス。

――ああ。

剣を納めろ。それ以上やるなら、まとめて相手してやろう。

ふたりを、あっという間に止めちゃったわ!

今の動き、いったい……

ヴァイスは黒の王国最強の武芸者。最も闇の王に近い、王の後継者と言われた男だ。

まあ欠点もあるがな。

欠点?

そもそもお前たち、なぜ戦う?オレたちは仲間のはずだ。だから力をあわせて……

いや、互いの真の実力を測りたいなら、止めないほうがよかったのか?

…………

戦え!! 死力を尽くせ!!

戦う以外のことに関しては、まるでバカなんだ。

……反応に困るわ。

……うん。

すまなかったな。主人公。非礼を詫びよう。

セレナ、貴様の思うところもわかる。だが、謝れ。

……やだ。

やだとはなんだ。謝れ馬鹿者。

やだもん。悪いことしてないし。

あーあ、すぐ怒るんだから。ストレスは美容の大敵なんだよ。

貴様。恥を知れ愚か者が……

わかったわよ。ちょっとからかっただけだって。謝るから……

…………

あ! あそこに闇の王がっ!

なにっ!?

……いるわけなかろう!

先行ってるからー! 後でね~!

すまない、主人公よ、必ず謝罪させる。

悪い奴じゃないんだ。それは信じてくれ。

💬

……感謝する。では我らも行こう。波蝕の祠へ。


>ついて来てくれ。

>迷わないか心配だ。


>あのバカ者はどこだ!

>本当に先に行ったみたいだな。


>……悪いことしたかな。

だめだめ! こんなんじゃ!

ちゃんとしなくちゃ!

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Chapter4



story6



……やっと、ここまで来た。

待ってて、アマリア。あと少しだから……



着いたぞ。ここだ。

やっと来た。遅いわよ。

一緒に来ればよかっただろう。何を焦ってるんだ?

焦る? 焦ってなんかないわよ。

……そうは見えないけどな。

なによ、急に。あたしはいつもどーりだし。

ねえ、アイリス。

うん、とても闇が濃いわ……

この<闇>に身を委ねるのだ。

そして闇の王の後継者が持つ、黒の王国時代の力を引き出す。

具体的にはどうするんだ?

……なぜ貴様が聞く。

いや、本当に知らないから……

黙ってろ。

はい。

……この先は黒の王国時代から停止していた空間だ。近づけば、古の時代の濃密な闇が寄ってくる。

それって、大丈夫なの?

常人が触れればただではすまん。

だが黒の民であり、後継者の器なら最も闇の濃い時代の力を取り戻すことができるだろう。

上等よ。さっさと行きましょう。

主人公、待ってるから。

「」

油断はするなよ。心に隙があれば、貴様らとて無事ではすまん。

……ふん。 誰に向かって言ってんのよ! あたしは天才美少女で、 闇の王の後継者、セレナ様よ!

力なんて、サクッと 引き出してやろうじゃない!


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story



……!

やはり闇が濃いな。お前たち、大丈夫か?

💬

余計なお世話だってば。へーきよ、へーき。

……っ!

どうやらお喋りも、ここまでみたいだな。

主人公。セレナ。後で会おう。

……うん。



 ***


…………

後継者としての力、か……

やめておけ。

これはお前が望んだ戦いなのか?

もしこの戦いに負ければ、すべてが終わる。

彼女との約束を、果たせなくてもいいのか?

お前が望む世界に届くのか?


――

道を示してくれた人がいる。

力を磨いてくれた人がいる。

夢を託してくれた人がいる。

共に歩んでくれる人がいる。


自分一人でここまで来た訳じゃない。

だから、進まなくちゃいけない。


思いを背負って――

進むんだ!!



…………

だったら――


お前が闇に飲まれるか、そうでないのか、試してやる。



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story8 敗北者



…………

ご丁寧な挨拶だな。

お前は武だけを極めた。なぜ後継者であることを放棄する。

…………

黒の王国の時代、お前は誰にも負けなかった。お前は最強の後継者だった。

……いや、すまん。間違えたよ。

負けたな、お前は。黒の魔術士<モルデウス>に。

…………

だからだろ? 強いことだけが取り柄のお前には、たしかに資格などないな。後継者を名乗る資格など……

このオレだとは思えぬ凋落ぶり。見下げ果てたぞ。

よくもまあ、闇の王の後継者を名乗り、目覚めることができたな。

何を言いたいのかわからん。

…………

ひとつ、言っておこう。オレに後継者の資格はないが、そもそも王になりたいとも思わない。

…………

確かにオレは負けた。武だけを極めたオレが敗北したら、何も残らない。

そのとおりだ。敗北したお前に、存在意義などない!

だからなぜ負けたのか、ずっと考えている。

答えは出ないだろう?

ああ、出ない。

なら、諦めろ。答えを持たないお前は、いつか力に飲まれる。

考えることをやめれば、それこそ力に飲まれるだろ。

……屁理屈だな。そんなもの自分を騙すための言い訳だ。

そうかもな。だとしたら――

屁理屈かどうか、試してみよう。

…………

かかってこい。



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story


くっ……! ……はぁはぁはぁ。どうして、こんな……! なんで、勝てないの……!?

ふふっ……

あたしはあんたの生み出した闇。あんたが抱える、闇。勝つって何? ふふふ……

何が、おかしいのよ。

おかしい? 変なこと言うのね。おかしいと思ってるのは、どっちかしら?

あたしは……!

大切な人を救えなかった。見殺しにしたんだよ。闇の王に逆らおうとしなければ、殺されなかったんじゃない?

本当に、どうにかできると思ってる?

……うるさい!! 黙れ!!

剣を交えてわからない?あんたは闇の王子には及ばない。もちろん、ヴァイスにも。

その程度で、何かできるの? 本当は気づいてるでしょ。

あんたに何かが守れるの?

だ、黙れ……! そんなこと……! あたしは……!

そもそも、誰が期待してるの?

それは……

本当は気づいてるくせに。

ネロも……アマリアも、失望してるわよ。

うるさい……うるさい…… !

ふふ……

バカに、するなあぁああ!!


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story



…………

三人とも、大丈夫かな?

セレナとヴァイスは、仮にも後継者として認められた奴らだ。きっと乗り越える。

主人公に関しては、心配ないだろう。

どうして言い切れるのよ。

闇の王の後継者の力量については、ある程度わかっているつもりだ。

主人公は、王たるに相応しい器だ。既に闇に飲まれることを案ずる領域にはない。

それに比べてセレナは……まったく情けない……

……ネロさん。

アタシたちから言うのは、おかしな話かもしれないけど、そんなこと言っていいの?

私には後継者を守り、闇の王を倒すという使命がある。そこに私情は挟まん。

だがセレナを支えると、先祖に誓っているのも事実でな。そういう意味では、お前たちには悪いが……

主人公が、闇の王に相応しいと思うのは、現時点での話だ。

未熟だが、あの馬鹿者の力を信じていてな。

ネロさんの思いは、セレナさんに伝わってると思います。

そーよ! だから張り切ってるのよ、セレナも。

さぁ、どうだろうな。

楽しそうに話してるな。オレも混ぜてくれ。

主人公! その姿……!

主人公のその姿、どこか懐かしいような気もする。

なんだか、変な感じだね。

どうやらうまくいったようだな。貴様はどうだ?

……何も変わらん。どうやらオレは、今のままでいいらしい。

ふっ。まったく底の知れんヤツだな。貴様は。

あとはセレナだけね。

……ヤツが戻ってきたら、後は貴様たちの力で闇をこの島に集める。

もう後戻りはできんぞ。

最初から、戻るつもりなんてないだろ。

……そうだな。

セレナ!

……っ。

セレナさん!?

ちょっと、大丈夫?

……ごめん。……あたし……

引き出せなかったのか、力を。

…………

……ごめんなさい。



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>本陣に向かう。

>…………


>セレナ、大丈夫?

>……うん。

>戻れたことだけでも、奇跡です。

本当によかった。

>……ありがと。


>気に病むなよ。

>気にしてないし。

へーきよ、へーき。

>……もうすぐ本陣だ。



Chapter5



story



ケンセイ様、皆様、揃いました。

いいんだな、ネロ?

ああ。少し問題もあったが……

構わない。後継者たちの準備も整った。

…………

……わかった。

まずは参戦に感謝する。帝国と連邦の将軍よ。


インヘルミナ様の命を受け、此度の戦争に参加する。

連邦加盟国<冬の国>ガランド軍を指揮する、パラケス将軍だ。

連邦の将軍はロボなのか。かっこいいな……


此度は皇帝陛下の命により帝国の翼たる我が参じた!

我こそは帝国軍鳥人飛行団! ビルド将軍である! クエー!!

帝国の将軍は、トリなのか……! 飛ぶとこが見たいぞ!

喋るなバカ者。

リーラン。

ハッ。……此度の戦争は、闇そのものとの戦いです。

勝利にはタイカン、連邦、帝国、三国の連携は必須。――私から作戦について、ご説明させていただきます。

了解した。元より連合軍結成は、タイカンの発案だ。

聞いてやろう。ただし! 腑抜けた戦術ならば我が練り直す。よいな!?

構いません。作戦自体は単純です。闇を集める魔術<波蝕>にて闇を集めます。そして闇を、連合軍で一気に殲滅します。

ただし、ただ闇を討つだけとはなりません。闇は統率のとれた軍勢として、我らに牙をむきましょう。

闇の王が軍勢を率いて来る、ということか?

……ちがう。闇の軍師、シンラだ。

闇の王がこの地に現れるまでにこの者の妨害が予測されます。

我ら連合軍の最大の目的は、闇の王の到着までに、可能な限りの闇を滅し、闇の軍師シンラを討つこととなります。

敵の妨害も至極当然。闇の王が来るまでに、闇の力を削ぎ切るということだな。

では、集まり続ける闇を削ぎ切った後の対応は?

連合軍といえど、闇の手勢を相手にすれば、もはや余力はないだろう。

後継者達に任せるとしても、王が来たらどう倒す? 確実に王を討てるという根拠がなければ、勝算があるとは言えないぞ。

それにつきましてはネロ様、お願いします。

これを使う。

虚無のルーンだ。

!!

虚無の――!? それってまさか――!!

そのルーン、どこで手に入れたのですか?

これは私の先祖と、魔術の祖と呼ばれる大魔術士が生み出したものを。アルカマル家が研究を続け、数代前に完成したと聞いている。

虚無のルーンについて、何か知ってるのか?

似たやつをね。いい思い出じゃないわ。

…………

お前たちの知っているそれが、どういったものかはわからないが……

関係があるとすれば、魔術の祖たる大魔術士の研究に関わる何か、ということだろう。

では、そのルーンで何ができる?

その場にあるソウルと闇を、消滅させる。

ただし一度起動すれば、ルーンを止める方法はない。

タイミングを見計らい、連合軍は即時撤退し――

闇を集めし魔術<波蝕>の展開装置を応用し、島と外の空間を切り分ける。そして闇の王を閉じ込め、虚無のルーンにより消滅させる。

……作戦は、以上となります。

……ふん!奥の手はある、ということか。

了解した。であるなら、言うことはない。

ならば各軍の配置に入る。ビルド、パラケス、お前たちの軍を今から示す場所に動かしてもらいたい。

よかろう。

了解。

リーラン。タイカン兵の布陣は任せる。

承知しました。

……セレナ。

話がある。お前は俺と来い。



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>ついて来い。

>どこ行くのよ。


>いい天気よねー。

>闇が集まれば、見えなくなる。

>そうだけど……

>世間話をするつもりはない。

ついて来い。

>……わかったわよ。

ついていけばいーんでしょ!

story12


……話って、なに?

力を引き出せなかったようだな。

……でも<波蝕>の起動はできる。役目は果たせるわ。

連合軍の総大将として命ずる。

戦争が始まったら、お前は前線に立つな。予備隊として後方に控えろ。

ちょっと待ってよ!何言ってるの?冗談でしょ?

…………

理由は?

これは闇との戦争だ。お前の焦り、気負い、それはすべて闇の餌食となる。

お前は闇に負けた。

前線に出ればよくて死ぬ。最悪、敵に利用されて連合軍を敗北に追い込む。

いやだ。

あたしは、戦わなくちゃいけないの!

じゃなきゃ何のために、ここにいるの!?

……だったらなぜ力を引き出せなかった?

それは……

まだ足りないものがあるからだ。

そんな欠けた状態で、この戦争を乗り切れると本気で思うのか?

そんなのやってみなくちゃ、わかんないじゃない!

これ以上誰かが犠牲になるのを見てるなんて、絶対に嫌よ!

だったら、口先に見合う実力をつけろ。

それとも、無様に死にたいか?

そんなの、あんたが決めないでよ。

可能かどうか、すべて俺が決める。

あたしはやれる!

無理だ。

……ケンセイ。あたしと勝負して。

…………

あたしがあんたに勝ったら、あたしは最前線で戦う。

……いいだろう。

剣を抜く以上、手を抜くつもりはない。死力を尽くす。


「手を抜こうものなら許しません。剣を抜く以上、力の限りを尽くすこと。」


……できる。力なんか引き出せなくても、あたしは、戦えるんだ!

あんたを、認めさせてやる!!

来い、セレナ。



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story




……っ!!

<重く、速く、鋭い覇王の斬撃に、為す術もなく――>

……はぁ、はぁ、はぁ……

約束だ。お前は予備隊に回す。

…………

なぜ闇に負けたのか、考えろ。そして答えを見つけろ。

お前の覚悟はわかっている。それでも力を引き出せないなら、やはりお前には足りねえんだよ。

足りない……? あたしが……?

そんなわけない! だってこの時のために、ずっと、努力してきた! これ以上、何か足りないのよ!!

言っただろう、自分で考えろ。努力する、力を鍛える、それだけじゃ意味がねえ

考えて、見つけろ。お前自身の答えを。

そんなの、わかんないわよ……




「……のぞき見とは趣味が悪いな。」

「出る幕ではないと思ってな。

礼を言おう、ケンセイ。本来なら私から言うべきだった。」

「気にするな。」

「……セレナは早く眠り過ぎた。本来なら、王の後継者として測りきれん素養を備えているのだ。濃い闇に触れる時間が、あまりにも短かった。」

「だがセレナは闇に飲まれながら、戻ってきた。

黒の民といえど、ありえるのか?」

「……不可能だろう。だからこそ私の一族は、セレナに託したのかもしれんな。」

「ネロ、提案だ。

この戦争が終わったら、セレナを俺に預けろ。

鍛えてやろう。後継者の名に恥じねえヤツに。」

「ケンセイ、……なぜ、今やお前は大国の王。そこまで肩入れする?」

「似てるんだよ。

国を滅ぼされ、王でもなく、人でもなかった、ガキだったころの、俺にな。」

「…………」

「それとも可愛い後継者が取られちまうのは妬けてくるか?」

「たわけたことを抜かすな。

……その時は頼む。それがセレナの為となるなら、是非もない。」

「任せな。

さて、ジジババ臭え話は終わりだ。俺たちも行くぞ、ネロ。」

「ああ、そうだな。」

「始めるぞ、闇を滅する戦争を。」



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