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【白猫】ワールドエンド Story5

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最終更新者:にゃん


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story32 老兵の憂鬱



ぐっ……ここは……

気がついたみたいね。

そうか、失敗したか……

主人公とシェリルに感謝しなさいよ。

どうにかつかむの間に合った……めちゃんこ疲れた……

…………

アンタねー、一緒に魔幻獣を倒そうって話だったでしょ!

……その約定を破っただけだ。生かしておく価値はない。なぜ、殺さん?

いい歳して開き直ってんじゃないわよー!

……殺せ。

エレノアはどうするの?

ここで死なないのなら、エレノア様の望みを叶えるだけだ。主人公を斬り、世界の破滅とやらを阻止する。

世界の破滅?アンタ、なに言ってんの?


 ***


エレノアが未来の光の王!?

ロイドは世界を滅ぼそうとしている。主人公がロイドに殺されてもロイドを殺しても、この世界は滅ぶそうだ。

だから、お前さんの力を奪われる前に殺さねばならん。

アンタ、その話を信じたの?

真偽などどうでもよい。主命ならば、ただ従うのみ。それが騎士というものだよ。

でも、かなり眉唾じゃない。

信じる信じないは、好きにしろ。アイリスは信じたぞ。

ここでワシを殺さねば、何度でもお前さんを狙う。

……殺せ。それが無理なら、さっさと立ち去れ。

嫌だよ。母ちゃんがお年寄りは大切にしろって言うてたよ?だって、今まですっごくがんばってきた人たちだからって。

ワシはお前さんたちの敵だ。

だからって放っておけるわけないでしょ。

そうだよ!博士がこんせんさすが大事って言うてたし。

でも、こんせんさすって意味がわかんない!!

合意をとるとか、そういう意味よ。

なるほど!でも、どうしてわけわかんない言葉を使うの!?

……いかんな。子供がいると毒気が抜ける。

……お人好しは寿命を縮めるぞ?

でも、今まで、それでうまくいってたし、問題ないわ!

それに、アンタ、エレノアを一人にすんじゃないわよ!騎士ならお姫様、守りなさい!

エレノア様のために主人公を斬ろうとしたんだぞ?

それはダメだけど!ダメだけど、アンタはいい奴だもの!

……ケガが治れば、ワシはお前さんを斬るぞ。それでも、助けるというのか?

――

甘いな……



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story33 胸中の絶望



Zzz……


…………

……まだ起きていたかね?残念だ。チャンスだと思ったんだがな。

<――あの時、死ぬつもりだったのか?>

ああ、そうだよ。縁あってエレノア様と主従の関係を結んだが、本気で望んだものではない。

全て思い出したよ。姫様のことを……

死のうと思ったが、エレノア様に止められた。

だが、この感情が消えるわけではない。今も気が狂いそうなほど、苦しい。

姫様の無念を思うと、涙が止まらぬ。まだオバケを信じるような子供だったのだぞ……

今も姫様の声がするのだ。どうして助けてくれなかったのかと姫様が言っている。

……どうしてだ?考えに考えても、わからない。ワシはどうしたら姫様を救えたのだ?

これなら、壊れたままでよかったよ……

<壊れてでも、あなたは生きていた――

――それは、あなたが生きようとしていたからだ。>

そうか……

……だったら、ワシは不忠者だ。


 ***


づ~が~れ~だ~……

アンタ、飛べるんだし、近くに街がないか、調べてきてよ。

たぶん無理っぽい。最近、気づいたんだけど、あれ、めちゃんこ疲れる。

寝ても寝ても、寝たりぐー……

あらあら、歩きながら寝るなんて器用ね……でも、もう少し我慢しなさいな。

あ!街が見える!!キャトラ、行こう!行って寝よう!!

こらこら、そんなにはしゃぐと転ぶわよー。


主人公、仮初めとはいえ、ワシはエレノア様の騎士だ。

あの子が生きろと言うのなら、ワシは主命に従う。再びお前さんに剣を向けることもあるだろう。

どれだけの覚悟があろうとも、どれだけの決意があろうとも、こぼれ落ちてしまうものはある。

悪鬼が如く人を斬り、幾多の命を踏み越えてでさえ、守れないものがあった。

願いや誓いで奇跡は起こせん。この世界は残酷だ。

お前さんは、取りこぼすなよ。

<――あなたも取りこぼさないでほしい。>

今さらなにを取りこぼすなと?

<未来を――>

……もう未来を語れる歳ではないよ。


 ***


街だー……ぐー……

安心した瞬間、寝ちゃったわね。グラハム、シェリルをお願いね。

ああ、宿屋まで連れていこう。


あら、こんなところで奇遇ね。


フィオナじゃない!こんなところでどうしたの!?

そうね、一言でいえば――

近くにある遺跡を調査していたら、かなり大きいものだとわかった。じっくり調べようと思ってた矢先、なんと暴れる魔神像の噂を聞いてしまったの。今度こそ保護しようと思って、ここで準備していた。

――ということよ。

魔神像とは?

魔幻獣のことよ。

あのね、フィオナ、言っとくけど、保護なんてできないわよ。

あ~、あ~、聞こえな~い。

聞きなさい!アタシたちは、アレを破壊するわ!

だいたいね、魔幻獣はアンタが思ってるようなものじゃないのよ。

そもそも壊したら消えたでしょ!ソウル的ななにかが、どうにかなってるなにかなのよー!

…………

どうにかなんないかしら?ねえ、どうにかしましょうよ?

どうにもなんないわね。

……そこをなんとか。

しつこーい!!



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story34 信じること



 お願い、力を貸して――


(あの時の声――あれは……私なの?

あの時、力がわいてきた。エレノアと出会ってから調子は悪かったのに……

それに、あの声――――泣いていた)


 ***


アイリス様、少しいいでしょうか?

ええ。

あの時、助けていただいて、ありがとうございました。

あれは、私の力じゃない。その未来のルーンに込められた想いのおかげ。

……どちらにせよ、アイリス様のおかげです。

そう、やはり私なのね?

はい。

……アイリス様にとって主人公さんが大切な人なのは、わかっています。

…………

それでも私には他の手段が思いつきません。

私は、この世界だけでも救わなければなりません。だから、飛行艇から降りるべきだと思います。

……主人公を倒さなくてもいい方法だってあるはずよ。

ですが、その間もロイドの暴走は止まりません。彼を止めるためには、主人公さんを……

…………

これ以上、アイリス様たちと一緒にいたら、私の決心が鈍ってしまいます。

アイリス様、よく笑っているから……

……あなたの知ってる私は、笑わなかったの?

悲しげにしか笑いませんでした。私はアイリス様に救われたから、あの人を救いたかった。

でも、私には救えなかった。今は、もう、あの人の最後の願いを叶えることしかできない。

……でも、わからないんです。どうしたらいいのか……私は王なのに……

エレノア……

――

誰ですか!?

乙女の秘密を盗み聞くほど無粋ではないつもりなのだが、どうにも気になってな。許せ。

アンジェラさん……

ロイド・イングラムの暴走とはなんだ?どうして主人公を殺す必要がある?

隠さず話せ。無体なことはしたくない。


 ***


……なるほどな。たしかに荒唐無稽で信じるに値しない話だ。

…………

だが、信じよう。半分だけだが。

……どうしてですか?そんな簡単に信じてもらえる話ではありませんよ?

お前の語った話が、私の思いつく限り、最低最悪の事態だからだ。

それに、お前の話が嘘なら嘘でかまわん。世界は滅ばないのだからな。

よし、この話を皆にして打開策を論じ合おう!

ですが……信じてもらえないと思います。

それはお前の決めることじゃない。それとも、これ以上、他人を巻き込みたくないか?

…………

お前は優しいのだろう。だからこそ、余計に全てを背負いこもうとする。

たしかに、お前にしかできないこともあるのだろう。だが、お前じゃなくてもできることはある。

…………

頼れ。人を信じろ。どれだけの人材を扱えるかが、王の器というものだ。

…………

信じましょう。一人では無理でも力をあわせれば、超えられることもある。

私は今までの旅で、そのことだけは胸を張って言えるから。

…………

……わかりました。皆さんを信じます。


 ***


――これがこの時代に来た理由です。

光の王と闇の王子……黒の王国と白の王国。そこまではいい。

だが、未来から来たとなると……

僕は信じてもいいと思います。というか、個人的には信じたいですね。

どうして?

そもそも魔幻獣というデタラメな兵器があるんですよ?

あんなものを作る文明なら僕らの常識を無視する技術を有していてもおかしくはありません。

それにタイムトラベルなんてロマンの塊じゃないですか!あったほうが絶対楽しい!

楽しいってあんたなぁ……

タイムトラベルの話は置いておくとして……ロイド博士ならやりかねない、と思ったのが大きな理由です。それなら備えたほうが建設的ですよ。

なるほどな……ヴィシャス、お前はどう思う?

愚問だな。出会う前から信じている。

お前、そんなんだから女に編されるんだぞ……ノエル、お前は?

嘘かどうかわからないよ。でも、エレノアは困ってるんでしょ?だったら助けるのがアレスの男じゃないの?

…………

お前はどうするんだ?ディラン。

今回はお前らの目を信じることにするよ。俺も力を貸そう。使ってくれ。


エマはどうだ?

エレノアさんと、あの人なら、迷わずエレノアさんを信じます。それに、友達ですから。

エマさん……

ハッハッハ!言ったろ?人間というのは、存外、捨てたものじゃないんだ。

みなさん、ありがとうございます……

力を合わせましょう!未来を救うために。ロイド・イングラムの野望を打ちくだくために。



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story35 絶対零度



魔幻獣が暴れてるって聞いて、来てみたけど……

なんか、大変なことになってるわね!

想像以上ね。まさか、ここまでだなんて……

ここに魔幻獣ってのがいたの?

ええ、そうよ。

街の人は?

避難ずみよ。さすがに原因の魔神像を倒さないと帰ってこないでしょうね。

は~……やっぱり破壊か……

その魔幻獣はリンツ島のものと同じくらいの大きさなのか?

あそこまで大きくないけど、けっこうな大きさだったわね。

ぎにゃー!いきなり氷が降ってきた!!

これは魔神像の!

さっきまでいなかったのに!

ぎにゃー!なんか、景色も変わった!?

幻術か……気をつけろ!!他に誰かいるぞ!!

主人公!逃げて!!

氷を斬ったの!?

アレに主人公を殺されるわけにはいかん。ここは共闘だ。力を貸す。

でも、前は古代の大砲のおかけで破壊できたのよ?

どういうことだね?

見えない壁があるの。その壁を壊さないことには、魔神像は破壊できないわ。

主人公のいうとおりよ!シェリルの力ならいけるんじゃない!?

オッケー!たくさん寝たから、今なら行ける!

ちょらっしゃー!

効いてる!効いてるわよ!!

はあ……やっぱり破壊する運命なのね……悲しいわ………

シェリル!もう一撃だ!!

……もうちょい待って。力、溜めるから。

私たちでシェリルから注意を逸らすわよ!!


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story36 嘘幻の力




ちょらっしゃおらー!!

社長道その五!掃除は大事っ!!超大事!!

やったみたいね。

あーうー……づがれだー……

すばらしい。実にすばらしい戦いだった。見事なチームワークだ!

ロイド……先ほどの幻術は貴様の仕業か?

少々趣向を凝らしてみた。楽しんでいただけたかな?

誰?

忘れるなんてつれないな。フィオナ・オルブライト。

ドーリー!?

遺跡では世話になったね。君たちとの探検は波乱万丈!振り回されっぱなしだったよ。

軽く殺意がわいたが、それも今となっては、いい思い出だ。

ちょっと待って?わからないわ。なに?これ、トラップ?

あいつが姿を変えて、いろんな奴に変身してたの。ドーリーって姿も、そのうちの一つよ。

……それで、どうして、偽ドーリーがここに?

主人公に用があってね。

悪いが、さっさと死んでくれないか?

させると思うか?

……なにか引っかかるな、グラハム・オウガスタ。なにかが引っかかる。

君は弱きを助け、強きを挫く男だ。特に女性に対しては、いささか過保護でさえある。そのトラウマ故にね。

ここなら、シェリルやフィオナを守るべきなのに、どうして主人公を背にして立つ?

…………

クックック……やはりなにか勘づいているな?当ててやろう!あの少女だろう!?

……表情でわかるぞ。私に嘘はつけない。

まあ、いい。あれがなんであれ、軌道修正は既に終えた。すべて想定の範囲内だよ。

<◆※…*!●=>

ああっ!私と社長さんが倒したやつだ!!しかも場所まで変わった!?

さてさて、いい加減、終わりにしよう。もう終わりにしよう!さあ、終わりにしよう!!


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story37 政変の真実



ぎにゃー!シェリル、ビームは!?

もう変形できないよ……疲れちゃって……

はああああああっ!!

――

剣も通らん!

グラハム・オウガスタ!お前は私と遊ぼう!!

……いちいち癩に障る男だ。

<●!□◆○?!……>

私の汎用多目的作業用刀剣なら、たぶんいけるわ。

でも、私じゃあ、近づけない。

主人公、あなたに任せていい?

もうちょいがんばって援護すんよー!

いけいけー!!

ふむ……どうした?やる気がないようだな、ガリウスの護剣よ。

……寄る年波に勝てんだけだ。

なら、やる気の出る話をしてやろう。


君の故郷であるガリウスで政変を起こした男の話だ。

その男は人をいがみ合わせるのが得意だった。集団をコントロールすることに長けていた。

人を動かすのに必要なのは不満の種だ。自分が誰かより不幸だ、恵まれていない。そんな妬みと嫉みをばら撒けばいい。

ガリウスのような貴族と平民という対比があれば、それは簡単だ。少し工夫をこらせば、誰にだってできる。


まさか……

とはいえ、人間は理性的でね。善意や常識というブレーキがかかる。熱狂は常にバカが起こす。

みんなをバカにするため、男は薬を使うことにした。男が生成した特殊な麻薬だ。

本当に……

あふれる不満とタガの外れた群衆。あとは少し背中を押してやればいい。それで狂乱は野火のように広がる!

楽しかったよ、あの惨劇は!実にすばらしかった!何も知らない子供を、善良な一般人が叫びながら吊るしあげていく。

貴族だからという理由だけで!人間というのは、実に美しい!あのときは感動したよ!歓喜に打ち震えた!!

…………

まだ愚かな老人にはわからないか?わからないかもな?現実を拒絶していた老人には。だったら、教えてあげよう。

政変を起こしたのは私だ。ちょっとした暇つぶしだったが、なかなかの作品になった。

マルグリット・ガリウスを吊るしたのは、この私の手だ。ほら、見たまえ。綺麗なものだろ?

ぬうぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!


 ***


(攻撃が激しい――)

来た来た来た!いっくっぞー!

今よ!!

グラハムのほうは……



ああ、実に美しい顔をしてるよ。まさか、あの政変で君のような作品ができるとは、思わなかった!!

君の喪失も絶望も、その怒りも私が作った。褒めてくれ、喜んでくれ。今の君は私が作ったんだ。

ぬぐぅぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!

いいなぁ、いいよ。実にいい!ああ……最高だ。君のその絶望と怒りは!!

殺す……

貴様だけはあああああっ!!

ぐっ……バカな……

姫様……仇は取りましたぞ……姫様……

な~んちゃって♪

がっ!!

この程度で私が死ぬとでも?四体分の魔幻獣と等しい力を持っているのだぞ?甘いなぁ、甘すぎるよ。実に甘い。

さて、前座との戯れは終わりだ。そこそこ愉快な催しだったよ。

主人公、君は私にどんな感情を見せてくれる?

ロイドの姿が……

なに?この感じ……怖い……

さあ、見せてくれ、闇の王子。君の妄執を――


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story38 光と虚無



そろそろ指定された座標だ。

アレは……

魔幻獣ですよ!

消えた!?

誰かが戦ってるの?

……まさか。主人公さんが?

急ぎましょう。

おい、あれ!

主人公!……キャトラ!!

シェリル!グラハムさん!まさか、みんな……

まさか……

ロイド・イングラム……

これはこれは、光の王とその従者たち。そして、謎の少女。

アイ……リス……逃げ……

キャトラ!

悪い悪い。足元にあったから蹴ってしまった。

キャトラになにをするんだ!?

ノエル、待て!!

うわっ!!

ノエル!

必要なコマが出揃ったのはいいが、邪魔なものも多いな……

ノエル!ヴィシャス!!てめえっ!!

落ち着け、ディラン。不用意に近づけば、被害が増えるだけだ。

たしかエレノアと言ったかな?君はなぜ私のことを知っているのだね?

君のことは記憶にないし、私は自分の野望を誰かに話したこともない。この老人は、最後まで口を割らなかった。

グラハム……さん……

安心したまえ。まだ生きている。いや、生かしている。

こ……ろ……す……

実にいい執念だ。妄執だ。だが、もう不要だ。

<破壊>の刃!!

生ぬるい……やはり殺す気はないか?

どうして私の目的を知っている?どこで、その情報を得た?

交換条件だ。この問いに答えてくれるのなら、君の質問にも答えよう。

……あなたの日記を読んだからです。

日記……そんなものは書いていない。いや、書こうとは思っていたが……

私はあなたが破壊した未来から来ました。

ほう……なるほど、なるほど、それは想定外だった。当然だ。考えつくわけがない。

常理を超えた故に生じた二人の王!不条理の原因は不条理ということか!なんであれ、非常に興味深い!

私の目的は達成されたのかね?誰が破壊した?この世界を虚無にしたのは誰だ!?

闇の王子か?そうだろう?そんな気はしていた。ああ、実にいい!

君が死んでも、私か死んでも、これで世界が滅ぶことが約束された。


私からの質問です。あなたの野望を阻止する手段はありますか?

彼のなかにある<闇>と私のなかにある<虚無>が混ざらなければいい。知ってるのではないかね?

さてさて、望む答えは得た。そろそろ終わりにしよう。すべてご破算にしよう!

まずい!主人公を守らなければ!

ああ、行くぞ!



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story39 始祖の光



生まれて初めて感情を知った。楽しいという気持ちを理解できた!!

だから私は人を破壊し続けた。大量に素早く効率的に!村を街を島を国家を!

破壊とは、私にとっての作品だ。アートだ!唯一無二の癒やしであり救済だ!

だが、壊しても壊しても、人間というのは湧いて出てくる。この広大な世界を壊すには個人の力は短小すぎる。

私は心の底から笑いたかった。多くの人生を破壊し、狂わせ、命の無価値さを証明したかった。大量に!一斉に!平等に!殺したかった……

私は完璧な作品を求めた!その答えを探した!!そして、みつけた!!

おとぎ話のなかに答えがあったのだ。わかるだろ?世界をご破算にした光の王ならば。

憧れたよ、君たちに!言うなれば、私は君たちのファンなんだ!

はじめて会った時は感動した。憧れの人物が目の前にいたのだからね!

…………

私は……

……私たちは同じ過ちを繰り返したりはしない。

いやいや、無駄だ。すでに世界の消滅は約束されている。君たちの詰みだよ。

まだ、終わってないわ。終わらせない!

ねえ、それが、あなたの望みなのでしょう?

なんだ、この光……

そこにいるんでしょう?おねがい、私に力を貸して――

今の力……あれはなんだ?莫大な光の奔流……

なんだ、それは!?なんだ、その力は!?まさか、エレノアから奪ったのか!?

奪ってはいない。元の場所に還ってきただけ……

ロイド・イングラム。王として――

――あなたを倒します。



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story40 虚ろな牙



七つの力がうちの一つ、<慈愛>の光よ――

エレノア……

これが、光の王の力か!!デタラメじゃないか!!フハハハハハハ!!

フハハハハハハハ!!これが!これがこれがこれがこれが!!


無理はしないで。傷はふさがりきっていないから。

アイリス様!くっ!

――傷つき倒れし戦士を救え。


……はい。申し訳ございません。私が力不足なばかりに……

もう少し、この力を借りさせてください。

未来の私から力を借りました。姿を変えても、彼女は、まだ消えてはいません。

そのお姿は?



こんなに面白いことはないっ!!

フハハハハハハ!ああ、最高だ!最高だ最高だ最高だ最高だ!

<慈愛>の檻よ!!

それは違う。彼女が、あなたに――


だが、私には!!

仲間を守りながらでは!満足に戦うこともできまい!!

だが、甘い!それが敗因だよ、貴様の!!

くっ……


――その隙だけで充分だ。

くっ!<破壊>の刃よ!!

こんなにも頼り甲斐のあるしもべがいるぞ!殺せ!殺せ殺せ殺せ殺せ!捻り潰せ!八つ裂きにしろ!!


おや、聞いてなかったのか?虚無のソウルは、光を浸食する。まだ不完全だが、それでも君にとっては有害だ。

まだ、戦え――あぐっ!!

アイリス様!!

きゃあああああっ!!


――誰の記憶だ?

――これは、なんの記憶だ?

支えたいと思っていた人の声が――

声がする――

きゃああああ!

残念だったな、光の王よ。もともと君では私に勝てない。

くっ……!



――君の涙は見たくない。

でも――

――わからない。思い出せない。消えていく。

ごめん……なさい――

「そんな――


まだまだ遊べそうだな!闇の王子!!

そのケガで、よく立てるな。妄執のなせる業か?それとも愛か!?

主人公……


フハハハハハハ!そうだ、それでこそだ!それでこそ正当なる器の資格だ。

もっと力を寄こせ――!

アイリスを守るために――

もっとだ――

ダメ……です。それでは……

 全然、足りない――

 まだ、足りない――

まだまだぁぁぁっ!!

 ――わきあがってくる。

 力が――

フハハハハ!いいぞっ!それでこそ、器の力だ!!


――この世界の終焉(おわり)を!

さあ、はじめようか――


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story41 終わりの始まり



いいぞっ!もっとだ!!もっともっともっともっとぉぉ!!

アハハハハハハハ!


 ――力がみなぎる。

 ロイドと剣を交えるたびに力が流れこんでくる――


 ダメだ――これは――

 なにかが抑えきれなく――


フハハハハハハ!!

 これは――

死ねぇぇぇぇぇぇぇぇぇっ!!


<主人公の剣がロイドの胸を貫いた。>


……ああ、そうなるか。やはり……予想どおりだ。

……わかるかね?……私の力が君の……なかに……

……計画……に……変更を……くわえた。

前倒し……だ。いささか……不完全では……あるが……

……君の餌は……目の前に……二つもある……

食らえ……


 これ……は……?

 あ……たま……が……われ……る……


そんな……

みんなを守らないと!!エレノア! <慈愛>の檻を!合わせて!!

「「顕現せよ!<慈愛>の檻!!」」

ぐっ……

なんてこと……

……ありえません。どうして、まだ闇の王は残ってるのに……

主人公……

どうして……いったい、なんのために……私は……

エレノア、切り替えて。今の私たちは二人で光の王。

……はい。

<慈愛>の光でみんなの傷を治します。守らなくちゃ……

……わかりました。


「「七つの力がうちの一つ、<慈愛>の光よ――

――傷つき倒れし戦士を救えっ!」」




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story42 できることを……



なんて……力……

それでも、私たちで止めないと……

これは……治癒魔法か?

いったい、なにが……って、なんですか!?この惨状は!?

これがエレノアの言ってた世界のおしまいってやつか?

二人が戦ってるのは……主人公か?

闇の王も取り込まないといけないんじゃなかったの?

わからない。いったい、なにが起きてるんだ?

魔幻獣もデタラメたったけど、これもひどいわね……どうすんのよ、これ……

キャトラはー?

ここよ。さすがに今回は死ぬかと思ったわね。

おじさんは……?

あれが主人公ならば既に……

…………

 (エレノア様への誓いに背き、剣をむけたところで仇も取れんかったか……無様だな)

さて、ディラン、貴殿は状況をどう見る?

尻尾巻いて逃げるのが妥当だな。勝ち目はない。

と、言いたいところだが……

みなを置いて逃げるなど……

男として絶対にありえない!

フィオナ、ルーファス、シェリル、エマ……グラハム。お前らはどうする?

ここまで来たら、やるしかないでしょ?放っておいたら、近くの遺跡まで壊されそうだし。

冒険家として一緒に戦いますよ。こういうのに憧れてましたし!

とーぜん、たたかうよ!

おじさんの起こしたことです。このまま逃げることはできません。

……老人だけ長生きしても詮無いことだ。アンジェラ殿、貴殿はどうする?

一兵卒ならば理想や衿持に殉ずるのもよかろう。だが、私はそういう立場にない。

故に、この必敗の現状を受け入れたうえで、案を出せ。私もギリギリまではつきあってやる。

あの三人の戦いに介入できそうな戦力は……

僕のこの武器とシェリルの力……

まっかせてー!

私の汎用多目的作業用刀剣も使えると思うわ。

武器や力で主人公を助けられるの?

安心しろ、キャトラ。殺すことはできない。それでは世界が滅んでしまう。

主人公を倒せば、闇に光は侵食され、世界は虚無になる……だったか。

現状、問題点は魔幻獣の力をエネルギー源に大暴れする主人公さん……

それと彼を倒した時に放出されるであろう虚無のソウル。彼は世界を破滅させる毒を体のなかに入れている。

体力切れるまで暴れさせるか?

悪くないアプローチです。ただ、ソウルの総量から考えるに、百年以上は稼働できると思います。

その頃には世界なんて更地ね……

じゃあ、封印とかはどう?

直接は無理だと思います。あの力を別の器に移し替えるなら……いや、やはり総量の問題がある。

現在の技術力で、あの量のエネルギーを封じられる器の製造は不可能ですね。

……では、なぜ主人公は壊れずに動いている?

それは……無機物より生体のほうがソウルの器として……いや、でも……

なるほど。もういい、わかった。

これより戦闘に介入する!ディラン、貴殿はルーファスの持つ兵装を使え。

かまわないが……大丈夫か?

従わないのならエマに役割を振る。貴様らは好きにしろ。

……わかった。やるよ。

グラハム、貴殿はフィオナの武器を使え。シェリル、お前の力も借りるぞ。

……了解した。

おっけー!

当作戦の目的は主人公の注意を貴様らに引きつけ、その隙にエレノアと話をする時間を作ることだ。

他の者は矢面に立つ三人を援護し、私がエレノアと話したいことがあると伝えてくれ。

連れてくるのはエレノアさんだけでいいの?

……ああ、アイリスも主人公を抑える戦力として数えている。

アタシは!?

……お前は私のそばにいてくれ。

待ってください、アンジェラさん!もしかして……

黙れ!時間が惜しい!準備が終わり次第、作戦開始だ!!

おおっ!!






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