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【黒ウィズ】アレス・ザ・ヴァンガード3 Story4

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最終更新者:にゃん



目次


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n10ユッピ~ユッピ~。

n1どうしたメルクリア。仕事中だってのに、オレに会いたくて飛んできちまったのかい?

n10そんなアホみたいな前髪の人に言われたくない☆ちょっとリークに来ただけだよ。

次のステージ、アレだから。

n1ほう。なら、オレが「木馬」になる。それでいいんだな?

n10大丈夫?いまなら変更できるけど。

n1だれに向かって言っている。オレがー度決めたことは覆らない、オレは、ゼウスⅠだからな。

n10あそ。んじゃ、よろしくね~☆


 ***


 3rdステージが終わり、勝ち残ったのは6名となった。

 アレイシア、エウブレナ、アフロディテⅨ、ゼウスⅠ、ネーレイス、そして君だ。

Aおお、すごいぞ!3分の2がヴァンガードだ!優勝はもらったも同然だね!

Nそんな甘いわけありませんわ。むしろ本番はこれからですわよ。

E通例通りなら、この先のステージは、ヒーローとしての純粋な実力が求められるはずだものね。



n104thステージ☆

 頂点を目指すヒーローも6人に絞られました。ここから先はガチモードです。というわけで今回の競技は――

トロイ戦争です☆

 トロイ戦争――それは神々の様々な思惑と謀略の末に起きた、トロイ王国とギリシャ連合軍の戦争である。

 この戦争の裏では、オリュンポス12神もトロイ側とギリシャ側に分かれ、争ったという。

n10この競技では、神話のようにふたつのチームに分かれてチームバトルをしてもらうよ。勝ったチームがファイナルステージに進出。

まあ、トップヒーローが本気で戦うわけにもいかないから、身体につけた3つの風船を割り合うとかいうお遊びだけどね。

というわけで、君たちの前に6枚のカードがあるよね?それを引いて出た絵柄に合わせてふたつのチームに分かれてちょうだい。

あ、ただし、どんなカードを引いたか、ぼくたち運営以外には見せないようにしてね☆

 君たちは並べられた6枚のカードを、思い思いに手に取る。


 結果、チーム分けは、片方がアレイシア、ゼウスⅠ、アフロディテⅨ。

 もう片方が、エウブレナ、ネーレイス、そして君となった。

Nこれは……厳しすぎませんこと?相手チーム、全部ナンバーズですわ。アレイシアまで敵だなんて……。

E……いえ、どのみち優勝できるのはひとり。相手がだれであれ、勝つ気がないなら、参加しなければよかっただけよ。

Aエウさん、よう言うた!よっしゃあ、久しぶりに拳の語り合いじゃあ!今度こそ勝ぁつ!

n10はいはい、はしゃぐのはいいけど、ルール説明、終わってないからね。トロイ戦争だから、ありますよ、「トロイの木馬」。

引いたカードに木馬が描かれてた人、いるよね?その人、実は敵側のスパイで~す☆

 トロイ戦争は、ギリシヤ側が兵を潜ませた巨大木馬を、敵の市内に騙し入れ、敵地を内部から攻めることで終結した。

 トロイ戦争を題にとる以上、「木馬に当たる内通者」の存在は必然である。

n10味方だと思っていた相手に背後から刺されて終了。よくあることだよね~。最近もあったとか?あ、これ秘密だった☆

とにかく、この「トロイの木馬」が、勝敗の分け目だから、木馬役の人はせいぜいバレないようにしてね☆

 各自がカードを再確認し、微妙な空気が流れる。チーム戦となれば、背中を預けなくてはならない、だが、裏切り者がどこかにいるのだ。

n1面白くなってきたじゃないか。さあ、早く始めようぜ!面白くなってきたからな!

 4thステージはメインスタジアムで行われる。負けた選手たちは、サブスタジアムに移動し、モニターで観戦をしていた。

n11こういう戦いこそ、君の実力が発揮できるというのに、残念でならないねえ。

n7仕方あるまい。観覧車は楽しすぎた。メリーゴーランドもな。

n11そうだけどさあ、君こそ最高のヒーローだって、みんなに認めさせたかったねえ。

n7自分の未熟さはわかっている。だが、いま歩んでいる遭は間違っていないと、そう思えた。それで充分だ。

n11……そうだね。

n7ところで、このチーズティーというものは実に美味しいな。あとでまた飲みたいのだが、どこで売っていたのだ?

n11そこで待っていてよ!いま、買い占めてくるからね!

n7ま、待て!そんなには飲まな……。行ってしまった。ふふ……仕方のないやつだ。

Vなんか向こうは楽しそうだね。

n6私も、年甲斐もなく浮かれているよ。若い世代の躍進は喜ばしいことだ。

V……もしかして、負けたのって、わざと?

n6まさか。勝負に手を抜いて相手を侮辱するほと、私は傲慢な人間てはない。

だが、負けても良いとは思っていたかもしれんな。市民は新たな希望を求めている。私が優勝したところで、なにも変わらない。

Vなるほどね。となるとエウブレナかネーレイスが優勝するのがベストだけど……難しいだろうね。

n6Ⅸがいつになく本気なのもあるが、Ⅰもー筋縄ではいかぬ男だからな。

V今のⅠのこと、あんま知らないんだけどさ。ゼウス神のどスケベ引き継いでんでしょ?大丈夫なの?

n6懸念といえば懸念だが、問題ないと言えば問題はない。なにせ――


n10というわけで、いよいよ4thステージのスタート!

今回も、ぼくがいい感じに解説サボるために、客席から適当に人を連れてきたよ☆

どうも~。アレスちゃん応援団の団長です。皆さん、優勝はどなただと思いますか?私はアレスちゃんだと思います。

n10だよね☆ぼくも優勝はアレスちゃんで間違いないと思うな。ぼく、アレスちゃんには詳しいからね~。

あなたに彼女のなにがわかると言うのですか?いかほどの覚悟をもって、いまの言葉を口にしたのでしょう?

どれだけ詳しいか、精査しないといけません。後でお時間いただけますか?

n10やだ、この人、同担拒否……。はい、それじゃカメラさん、フィールド映しちゃって~☆


 君たちはフィールドに降り立ち、両サイドに分かれていた。

 君のチームは、エウブレナとネーレイス。相手のチームはアレイシア、ゼウスⅠ、アフロディテⅨ。不利だ。

 だが、どこかにひとり「トロイの木馬」――スパイがいる。いま見えているものはあてにならない。

Nどういう作戦でいきますの?

Eひとつだけ確かなことがあるわ。アレイシアは、一番強い相手に向かう。つまり――貴方よ、魔法使いさん。

だから魔法使いさんはアレイシアを止めて。ネーレイス、私たちはコンビを崩さず、2対2で戦いましょう。

Nわたくしとエウブレナのコンビネーションは、ヴァンガードでも随ーですものね。

n10はい、作戦会阻は終了~☆それじゃあ、トロイ戦争……開戦!

Aうおおぉぉぉぉぉぉぉぉ!いくぞぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!


 ***


 エウブレナの推測は当たっていた。

A魔法使いさぁぁぁぁぁぁぁぁん!勝負じゃあぁぁぁぁぁぁぁ!

 実はこのカーニバルが始まってから、アレイシアは全力を出していない。

 他のゴッド・ナンバーズは神器を預けることで、能力に制限がかかっているが、アレイシアの力は己のものであり、神器は関係ない。

 そのため、以前の戦いで学んだアレス神の力を自主的に制限していたのだ。

 同様に、神器を使っていないため、普段と変わらない参加者がもうひとりいる。君だ。

 全力の戦いを好むアレイシアが、君を相手に選ぶのは当然と言えた。

Aいつもサポートしてもろうたが、おんしが強いことはようわかっちょる!さあ、拳と拳の話り合いじゃあああい!

キミ、アレイシアの気持ちに応えるにゃ!

 君はうなずき、カードに魔力をこめてアレイシアを迎え撃った。


 ***


 戦争とはいっても、風船を割るだけだ。本気の闘争ではない。

 ――などという甘い気持ちは、ー瞬で消えた。

Aアルティメット・ナックルスマァァァァッシュ!!

 真っ向正面からの全カストレートバンチ。固く張った防御障壁が砕け散り、君の身体につけた風船がひとつ、弾けとぶ。

Aしゃぁぁぁぁぁ!どがいじゃああぁぁぁ!

 わかってはいたが、自分の身で受けると想像を遥かに超える熱いパンチだ。でも――

 拳の熱さなら、こちらも負けてないよ、と君はカードを取り出し、叫ぶ。

 覇劫の廃帝――クィントゥス・ジルヴァ

Aうおぉぉぉぉぉぉ!HEATじゃあぁぁぁぁぁ!

 正面から魔法を受けたアレイシアが後退り、風船がひとつ割れる。

やっはおんしの魔法はHEARTがLⅣEじゃあ!燃えてきたぁ!

 それはこっちのセリフだよ、と君は言い、飛び込んでくるアレイシアに向けて、カードを構えた。


さすがアレスちゃんですね。ー見ただの力任せに見えますが、重心移動が完璧に行われている事が、おわかりになるでしょうか?

それと突進する時の速度にご注目ください。コンマ敗秒、毎回速さが変わっています。これにより、相手の防御がわずかに狂うのです。

それと突進する時の速度にご注目ください。コンマ敗秒、毎回速さが変わっています。これにより、相手の防御がわずかに狂うのです。

膨大な基礎訓練の積み重ねの上に、戦うために生まれたとも言える戦闘センスが加わり、彼女の強さを支えているのですね。

ですが、彼女の戦いの魅力は、そうした理屈よりも心で感じ取るものです。私、HEARTが叫びたくてたまりません。

皆様も観ていて我慢ができなくなったのではないでしょうか?それでは、遠慮なくご唱和ください。せ~の――

アレスちゃ~~~~~~ん!

n10……ぼくが楽できるのはいいけど、さすがにちょっと引くね、この人……。

 店長(あだ名)の熱弁が続く中、君とアレイシアの激しい戦いは続く――


E(厄介な状況ね。)

 君がアレイシアを引きつけているため、エウブレナ&ネーレイス対アフロディテⅨ&ゼウスⅠの図式が出来ていた。

 ただでさえ実力では劣る。加えて厄介なのは特殊ルールの「トロイの木馬」だ。味方側に敵が混じっているかもしれない。

 「木馬」役は正体がばれぬように敵陣で振る舞わねばならないし、そのうえで味方に自分が「木馬」だと伝えねばならない。

E(つまり、これは単純な戦闘ではなく、「木馬」をどう見出し、対処するかという、観察力と判断力が試されるゲーム……)

n9ごちゃごちゃ考えすぎ。

 エウブレナの風船が、ひとつ割れる。

 まるで思考の隙間を縫うように、アフロディテⅨの細剣が飛んできたのだ。

n9アンタってさ、普段からそーゆーとこあんよね。いろんなことに気を回して、目の前のことを忘れがち。

アレイシアちゃんの影響で、ちょっとは変わったかと思ったんだけど、ね!

E速い!避けられ……。

Nカリュプディス!!!

E助かったわ!

Nしっかりしなさ……。

n1オレをひとりにするとは、つれないじゃないか。

Nきゃあ!

 飛び込んできたゼウスⅠの拳がネーレイスを吹き飛ばし、風船をひとつ割る。

E(競技用の人造神器であの威力……!?これが、ゼウスⅠ……。)

n9Ⅰ、こっち任せっから。

n1オレはいい男といい女の頼みしか聞かないことにしている。つまり、OKだ。

 アフロディテⅨはエウブレナから離れ、ネーレイスの方へと向かう。

E(これは……危険な展開だわ)

 分断されて1対1の実力勝負に持ち込まれるのは一番望ましくない。なんとか合流しなければならないが――

n1そう不安そうな顔をするな。たっぷりと可愛かってやるさ。

 眼前のゼウスⅠはそれを阻むように両手を広げ、挑発的な視線を向けている。

Eやるしかないわね!いくわよ!!


 ***


Eケルベロス・オニュクス!オルトロス・キノドンタス!

n1ケラウノ・ストライク!!!

Eそんな……ー撃で……。

 以前、ナンバーズのひとりであるヘパイストスⅪとは戦っている。だがⅪの本分は技術者。戦闘タイプではない。

 対して目の前にいるゼウスⅠは、格闘戦特化のヒーローだ。その戦い方は、ただただ速く、力強い。

Eこれが……ゴッド・ナンバーズ……。いえ、気持ちで負けていてはダメ!

n1好きなだけ抵抗すればいいさ。戦いが終わったら、ー晩中でも抱いてやる。観客どもに見せてやろうじゃないか。

Eなっ……それがヒーローのいうこと!?恥を知りなさい!

 気合を入れ直し、人造神器を握る手に力を込める。だが、すでに遅かった。

n1安心しろ。

 目線を切っていないはずなのに、ゼウスⅠが目の前にいた。

n1痛くないよう、優しくしてやるさ。

 次の瞬間、エウブレナは吹き飛ばされ、風船がまたひとつ割れた。

 ゼウスⅠが放ったのは――デコピンだった。

Eど、どういう力……!

 なんとか着地するが、足に力が入らない。回復まで、数秒はかかる。

E(まずい!残りの風船はひとつ。いま追撃されたら、終わり……!)

 なんとか顔だけをあげて、敵の動向をうかがう。ゼウスⅠは――なぜかそっぽを向いて、微動だにしていなかった。

n1肩だ。

 言われて、エウブレナは己の肩を見る。衣装が少しずれて、肩の露出が増えていた。とはいえ、脱げる心配はないのだが。

Eえ……?あの……ありがとうございます……。

 礼を言い、衣装を直して、立ち上がる。

Eあの……直しましたけど……。

 ゼウスⅠはチラッと見て確認してから、悠然とエウブレナに向き直った。

n1いい恰好になったじゃないか。さあ続きといこうか。観客も、オレがお前を抱く姿を見たがってる。

Eまだくだらないことを……!そんな姿、見せるもんですか!

n1いいや、オリュンポリス中に見せつけてやるさ。

オレがお前を、抱っこする姿をな!!!


 ***


V純情?ゼウスⅠが?

n6そうだ。

Vいやいや。ゼウス神の好色を継いでいるんでしょ?それで純情って……。

n6今のゼウスⅠ、ユピテリオスを育てたのは、初代Ⅰだ。お前も覚えているだろう?あの方が、どれだけ厳格であったか。

10歳のころから初代のもとで修行をはじめ、神器を継ぐために10年以上も純粋培養されていたのだ。結果――

Vだれよりも強力にゼウスの好色を引きながら、その手の知識がなにもない男に育っちゃったってこと?

n6そういうことだ。

Vいや、でもさあ。あいつ、口癖みたいに言ってるじゃない。「抱いてやる」って。

n6それは言葉の通り、ただの抱っこだ。

V……赤ちゃんとかにする?

n6そうだ。昔、私がお前にしていたやつだ。

V……もしかしてあいつ、普通にいい奴?

n6当たり前だろう、ヒーローなのだぞ?とはいえ、老若男女を問わず抱っこしたがるのは、少々問題だ。

Vいい歳した大人の男が抱っこしたがるって……。なんか楽しいのかな、それ……。

n6気持ちはわからないでもないぞ。私もお前を抱いた腕の感触を思い出し、切なさを感じることがあるからな。

V……お兄ちゃん、ちょっと言い方変えない?なんかこう……ね?

n6なぜだ?お前の抱き心地は素晴らしかった。無理強いをするつもりはないが、私はいまでもお前を抱きたいと思っているぞ。

Vだから言い方ね、言い方。


 ***


E抱っこ……?……いや、あの……結構です。いりません。

n1なん……だと……?オレの抱っこがいらない……?それは、オレの抱っこがいらないからか?

Eはい……。私も子供じゃありませんし…、よく知らない人相手はちょっと……。

n1そうか……わかった。

照れてるんだな?いけない子だ。知らないというなら、よーく教えてやるよ。このゼウスⅠの抱っこの昧をな!

E(こ、この人、本気だ!)

 かつてない危機感を抱いたエウブレナは、全力でゼウスⅠを迎え撃つ。



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 アフロディテⅨは、戦闘しながらおこなっていた観察の結果を出す。

n9なにが「トロイの木馬」だっての。いないじゃん。

 全員の性格は把握している。嘘をついていたらわかる自信があった。

 そもそも3対3でひとり裏切ったら、有利すぎっしょ。ペナルティもないし。

n9Ⅹのお遊び……。いや、心の乱れを誘発させる仕込み、ね。ろくなことしないっての。

 ー方で、ネーレイスは必死に思考していた。

N(わたくし以外のだれかは「木馬」。ならば、ひとりは本気で戦っていないはず。ですのに、全員、ガチですわ、これ。

いえ、手を抜いているのがわかれば、「木馬」だと見抜かれてしまう……。巧妙に周囲を瑞している人間がいるはず……。

アレイシア……が嘘をつけるはずないですわ。エウブレナ……はわたくしを騙さないはず。魔法使いさん……は嘘をつけない顔ですわ。

ならゼウスⅠ様かアフロディテⅨ様が「木馬」で実際はわたくしたちの味方ということ?どちらが嘘をついていそうかで言えば……。

n9慣れないことしてんじゃん。エンチャント・アンテロス!!

Nえ、ちょっ……!

 宝帯を模した人造神器が伸びてくるのを、ネーレイスは辛うじて防ぐ。

n9アンテロスが効くほど甘くはないか。ま、期待してなかったけど!

 踏み込んで、刺突が3度、あわてて水流を呼び出し、飛んでくる。それを防ぐ。

N(接近戦じゃ不利ですわ!離れないと……)

 呼び出した水流に身を任せ、アフロディテⅨから距離をとる。同時に、別の水流を呼び出し、波として放つ。

Nプリミラ!!!

n9エンチャンドエロス!

 アフロディテⅨは宝帯を振ってレイピアを強化。襲ってくる波を切り裂いた。

 だがアフロディテⅨは間合いを詰めようとせず、レイピアの切っ先を軽く揺らす。

n9この距離なら、そっちの間合いっしょ?いいよ、仕掛けてみな。叩き潰してあげっから。

N……なら、還慮なくいかせてもらいますわ!


 ***


 ポセイドンヒーローの強みは、水流操作と海魔の力を組み合わせた、その戦法の自在さにある。

英雄大戦後、未熟さを思い知ったネーレイスは、これまで蔑ろにしていた技の修練に励んだ。だが――

Nそんな……まったく通じないなんて……。

 すべてレイピアと宝帯に捌かれ、アフロディテⅨを揺るがせることすらできなかった。

n9あーしさ、美人じゃん。

Nえ……?それは、まあ、そうですけど……。

n9男でも女でもたまにいるじゃん?「自分もあんな顔に生まれていたら」とか言う奴。

ちゃけ、舐めてんでしょ。素材がいいだけで微笑み続けてくれるほど、美の女神アフロディテは甘くないわけ。

体型維持、お肌のケア、メイクの研究。やらなきゃいけない自分磨きは無限。おまけに中身が腐ったら顔にも出るし。

サボった瞬間、もうおしまい。そういう毎日を乗り越えたその瞬間にだけ、美は宿り、Ⅸの数字を継ぐ資格が得られる。

あーしはさ、ヒーローになると決めた時から、その覚悟を持って生きてた。

ネーレイス。アンタ、素材は最高だよ。けど、ヒーローとしての軸はなに?

父親みたいになりたい?幼馴染のエウブレナに負けたくない?ま、そんなとこでしょ?

薄っぺらいんだよ、アンタは。我は張ってても自分がない。

そんなアンタが、アレイシアと肩を並べて戦えると、ホントに思ってんの?ちゃけ、ふざけてるっしょ。

 それはネーレイスの本質を突く言葉だ。ヴァンガードに所属してから、ずっと思っていた。

N(そう、私には足りないのですわ。アレイシアのような熱い正義の心も、エウブレナのように偉大な父を越える気概も。

恵まれた環境で生まれ、育ち、甘やかされたままのお嬢様。それがわたくし……。)

n9その顔、わかりみって感じ?じゃ、もう終わらせよっか!

 踏み込み、レイピアが伸びてくる。切っ先はネーレイスの風船を的確に狙っている。ネーレイスはそれを避けることもなく――

Nだっしゃしょかですわぁぁぁぁぁぁ!

 自らも踏み込み、槍と化した水流を放った。

 ネーレイスの風船が割れる。同時にアフロディテⅨの風船も割れる。

N確かにわたくしはあまちゃんのお嬢様ですわ。辛い過去とか、果たすべき使命とか、なんにもありませんわ。

それがどうしたというんですの?暗い人生を送ってなければ、ヒーローになれないとでも?ちゃんちゃらおかしいですわ!

守りたいという想いがあり!守るだけの強さがあれば!それはもうヒーロー!

わたくしはわたくしのまま!アレイシアやエウブレナに並んてみせますわ!

 その決意の叫びは、同じフィールドで戦う君たちにも届いた。

Aええ気合じゃ、ネーさん!!魔法使いさん!ワシらも負けちゃおれんのう!

 そうだね、と君はうなずき、次のカードに魔力を込める。

Aアルティメット・ドロップキィィィィィック!

 拳に秘めた情熱――リアラ・ローム


Eまったく……ネーレイスったら……。そんなこと叫ばれたら、私が負けるわけにはいかないじゃない!

サーベラス・クロウ!

n1こいつは驚いた。このゼウスⅠにー撃入れるとは、言ってみりゃこいつは驚きだ。


 戦いは白熱し、スタジアムは歓声に包まれた。

 そのころ、特別展示室でも異変が起きていた。神器〈トライデント〉が光を放ったのだ。


素晴らしい……素晴らしい戦いてす、アレスちゃんの戦いは、いっても私たちのHEARTにHEATを灯します!

n10ねえねえ、ちょっとここ任せていい?ちょっとお花を摘みに行きたいんだけど。

いま目が離せないところなんです!やる気のない人はどこへでも行ってください!

n10あ、はい……じゃあ、行ってきます。



 ヘルメスXが向かったのは、特別展示室だった。

 そこには輝く神器〈トライデント〉を前に、目を細めるポセイドンがいた。

n10あ、やっぱなんか起きてた。おじいちゃん、これってもしかして……。

n2うむ。どうやら〈トライデント〉は、ネーレイスを正式な使い手として認めてくれたようだ。

n10うわ、神器までエコ贔屓するんだ。ずっるいなあ。

n2そう言ってくれるな。力はまだ足りぬが、神器が認めた以上、立派に育つだろうて。わしもこれで、肩の荷が降ろせるというもの。

ふふ……正式な引き継ぎが済んだら、あやつと茶でも飲むとするかな。

それで、Ⅹよ。なにをしに来たのだ?放送中ではなかったのか?

n10あ、いやいや、たいした用じゃないんだけどね。予定通り、計画も進んでるみたいだから――

枯れかけのお花を摘みに来ました☆


 そして、異変は起きた。

n10メルクリウス・スフィア。


な……馬鹿な……これは……。そんなはずはない!いるはずがない!……だが、この力は間違いなく……!

そこにいるのか、悪戯の神――ヘルメスよ!

n10さあ、本当のゲームのスタートだよ。




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