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【白猫】Brave The Lion 3 Story5

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最終更新者:にゃん

目次


Story28 検問突破

Story29 もう一人の同行者

Story30 王城のふもと

Story31 変装潜入

Story32 幸福な婚儀

Story33 獅子の目覚め

Story34 繰りましょうクリクリと

Story35 厨房を見つけた少年

Story36 病んだソウル

Story37 法王の到着

Story38 王と王妃

Story39 カンで言ってみた

Story40 腹を割らんか

Story41 狙いは別々じゃが

Story42 教師の夢

Story43 嘘




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story28 検問突破




そろそろいいかしらね?

もう少し待ちましょう。

そろそろいいんじゃないかしら!!

待ってくださいって!まだ連絡が来て――

ちょっと見てくるわ!

…………

……だいじょぶそうね。

でも、まだ見張りがいるなでも、まだ見張りがいるなぁ……う~ん……

ここから先は、我々だけでとうにかするほかないかもしれぬな。

あら、アンタもそう思う?そうよね、味方に頼ってばっかりじゃ。

キャトラ……!もっと慎重に……!

みんな来たわね。さあ、どうしましょう。

アタシだけなら、ぎにゃっと駆け抜けることもできるけど……

……キャトラに倣うか。

狙撃がなければ、見張りの目を逃れるだけでやり過ごせる理屈だ。

……そうですね……!それくらい、やれなくちゃ……!

よし。やるか。



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story27 もう一人の同行者



貫く。

蜂の巣じゃ~。

はぁっ!

片付いた。

”この天才のナビのおかげかしら。”

高所に狙撃兵とはセオリー通りじゃの~。

凡手ね。呆気ないものだわ。

いらっしゃい。

……何者じゃ?ここは魔物の基地じゃろう?

さっきまでね。あなたたちが殲滅したでしょう?

かような問答は好かぬ。

ふふ……私はハーブ。覚えておいて。

覚えた。

質問に答えなさい。あなたは何者?どうしてここに?

調査をしていたの。

……調査?

この島には、病んだソウルー瘴気が多すぎる。

だから私は来た。

その原因なら知っている。<闇>の魔物が巣くっているからだ。

それだけじゃないわ……幾つかの、瘴気で滅びた島と同じ予兆がある……

それは?

あら……?あなた、その腕……?

これか。<荒ぶる神>を滅した際に被った、禁呪に冒されている。

見せてもらえない?

構わないが。

”ちょっと!そんなあやしい奴と何を馴れ馴れしくしてるのよ!?

私はあやしくないわ。法王オズマと同じチームよ。

なんじゃと……?7甲7]ユーリエ、ファルファラ。会うのは初めてだったわね。

私は先にこの島に潜入していた。ここからの作戦に同行させて頂戴。

信用出来ると思う?

ええ。<情報>を握っているから。

教えてもらおうかのう?

自分の身を守るためのものでもあるわ。全部を一遍には。だけど……

この島に連れて来られた孤児たちは、<闇>へと引き渡される。


!!

<子さらい>ナーペル……奴が定期的に出入りしていた痕跡があるわ。

奴は今も!?答えなさい!!

残念ながら。

……くっ……!

!!定期的にってことは……!

そう。この島には、子供たちが捕えられている気配がある。おそらく、王宮のあたり。

王宮に……!

どう?信じてくれるかしら?連れていってくれれば、道案内出来るわ。

信用するかはおいおいじゃ。……ほっと。

これでええじゃろ。ここの<監視のルーン>に細工をしたぞえ。これでごまけるはずじゃ。

手際がいいわね。

娘っ子にはそう見えるかの。こんくらい朝飯前じゃて。

よし。行こう。

いいのね?

……ええ。でも、もし、騙していたとしたら、そのときは……!

大丈夫よ。そんな怖い目しないで。

…………

ファルファラ。彼女なら大丈夫だと思う。

ルーグ?

あの目なら大丈夫だ。

……あなたのことだって、そこまで信頼してるわけじゃないんだけど?

わかっている。俺も努力をする。

……なら、いいわ。

決まりね♪



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story28 王城のふもと



――しょっと。みんな、来てる?

私はいるぞ。

ミッション達成。

はぁ……はぁ……!危なかった……

も~、主人公!ちゃんとアイリスを見ててあげてね!

よくぞ私について来たな。皆、やるではないか。

ジョニーが来てない。

”いや~、すいません。万が一にも見つかるわけにはいかないと思い……”

ジョニー!なにやってんのよ!さては臆したわね!?

”まあ、そう言わないで。ここからでも、みなさんのサポートは出来ますから。”

どうやってこっちの状況を見てんの?

”<感知>のルーンで。おおよその敵の位置くらいもわかりますし。”

便利ねぇ……

”ですので、支障はありません。脱出経路の確保もそろそろ動かないとですし。

”脱出……ってことは最終的には逃げなきゃダメ!?

”王宮に乗り込む予定ですから。いくらこっちか正義でも、一時撤退はしなくちゃですね。”

……王宮……!そこに、あの女が……!

…………

あら?

なんだか偉いカンジのひとが多くなってきたわね。

建国及び婚礼式典に、各国から要人を招いているという話だったな。

ウウシシシ……♪これに紛れていけば、案外簡単に王宮に――

いたぞ!

そうもいかないようだな!

みなさま!ご心配なく!賊は我ら親衛隊がただちにひっとらえます!

むぐ……!面倒なことになりそげ……!

まずは撤くぞ!対策はそれからだ!



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story29 変装潜入



……きにゃー……

なんとか逃げ切れたけど……う~ん……どうしたものかしら……

冒険家の風体では、式典に紛れ込むのは難しいな。

あっ!閃いたわ!

変装するかぁ!?

れよ!

それか!

”それなら、近くに貸し衣装屋があるみたいですね。”

都合いいわね!?

式典で急に需要が増えたのだろう。

なるほど!よし!みんな、おこづかいの準備はいい?

変装するわよ!


…………

……


あら……♪

ふふふ……♪主人公、キマってるね♪カッコイイよ♪

持たせたな。

グレイヴさん♪いいですね!

うむ。

コテツさん!?

こうして二本足で立てば、獣人に見えるであろう。

あ、アンタ……!器用ね……!

馬子にも衣装だな、俺。

自分で言うんかい。さては気に入ったわね?

ふふ、似合ってますよ♪

……あ、ありがとう……

ご、ごほん!さあ、これで大分雰囲気を変えられただろう。

私の存在がかなり大きいように思うぞ。

そうだな。獣人と一緒にいるというのはデカい。一味の印象が全然違う。

さすが私だと言わざるを得ない。

アタシも獣人に化けようかな~。

できるの!?

できないけども~♪

よ、よかった……

では……行くぞ。



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story30 幸福な婚儀



見てください、あそこ。

どうした?

結婚式を挙げてます。

あら……ふふ。いいわね。

……幸せになるといいな。

……♪

……婚礼、か……

なあ。国主の婚礼って、住民にとってはいいことなんだよな?

国を挙げて、盛大に祝うだろうな。

……なんか、参るな。

参るな。

どっちだ?

参っている場合じゃない。……裏があるのだからな。

姉ちゃんは――誰かに操られてるのか?

自分から望んだとは思い難いわね。

そう思うか!……根拠は?

あなたに一言も告げないなんてあるわけないじゃない。

だよなぁ!……と、思うんだが……

なんか事情があって黙ってた、とかじゃねえ……よな……?

何を弱気になっている?

だってよ……オレだって、姉ちゃんのこと何でも知ってるわけじゃねえし……

心配するな。クロエが正気である可能性は低い。

そうだよな?

ダグラスさんは、お姉さんのことが大切なんですね……

ああ……仕込まれた、なんて言われたこともあったけどよ……

あの人を大事だ、って思うこの感情を……作り物だとは思えねえよ……

いや、たとえそうだとしても。オレは姉ちゃんを守る。姉ちゃんが本意じゃないなら、全部ぶっ潰してやる!

熱いですね……いいと思います。

おい、ショウ。何を口に入れている?

あふ!?ほ、ほれは……

結婚式のご馳走?

あのなぁ……

……んぐっ!

いや、違うんす!誰でも食べて良さそうだったんで……!

手癖の悪いガキだ。

すんません……つい……

向こうお店があるわ。向こう、お店があるわ。入らない?またこんな真似されても困るし。

……ハァ……だな。

……?セラさん、店って……どこですか……?

向こうにあるじゃない。

……あ!あった!よくあんな遠くの建物が、ごはんやさんてわかりますね……

目が良くてね。



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story33 獅子の目覚め



うめーっす!うめーっす!

こら、ショウ……!

姉貴も食えって!

ええい!落ち着かんか!

ははは、なんだソレ?

……いえ……

…………

あ、あの……

大丈夫よ。

セラの目に狂いはない。食べていいぞ。

あ、はい……!

?なんか優しいな?

俺はいつも優しい。厳しさもその裏返しだ。

自分で言うなよ……

……なあ、妙じゃねえか?どうして追手が消える?あんだけ派手にやったのによ?

統制が取れてないのかもね。

……ンな話があるか?

あるいは――

!!

こいつら……!

――やはりか。戦力をまとめていたようだな。

なにこれ!?ダグラスさんが……!?

……二度と、会いたくなかったぜ……

故郷を、思い出しちまうじゃねえか……!

好き勝手しやがって……!バイパー!油断だな!店ン中で襲われるなんてよ!

面倒だからこうしてわざと隙を作ったのだ。

これも『陽動』さ。

へっ、そうかよ!

なんだよ……!こんなことまでする奴らなのか……?

怖い?

ムカつきますね……!

自慢出来ねえようなことして育ってきた俺だけど……こんなクソみてえなやり口は見たことがねえ……!

それが<闇>だ。そして、それと手を組んだ馬鹿どものやり方だ。

生命の尊厳を踏みにじっている許すわけにはいかない!

おめえら、ありがとよ……!

さあ……ぶちかますぜ!

客や店員は俺たちが守る。

あなたたちは、敵を!



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story34 繰りましょうクリクリと



――ぶちかます!

おらぁああああ!

ここで果てろ!

よし!外へ出るぞ!

おう!

注意して!まだいるわよ!

はい!



うおおおお!

どきゃーがれぇえ!

乾坤一擲!

攻囲を抜けるぜ!

ええ!

しゃれこうべを売り歩いております。お一ついかがでしょうか。

てめぇはっ……!

おや、皆さま。お安くしておきますよ。なにせ、原価がかかりません。

――てめぇらの頭蓋骨を使うんだからナァアア!?

<影繰>……!しつこい奴……!

おお、しつこいのがお好みで?ならば繰りましょう、クリクリと。

影が……!

ううむ、好かぬ。得意技だけを披露するのは楽しくありませんな。

そこな蒼腿めた死神は、瘴気を食すことが出来るとか出来まいとか?

ああ!?なにがだ!?

喰ろたらどうです。王宮に溜まりたる瘴気を。

!?

腹一杯になれば、強くなりまっしゃろ?おお、これは素晴らしい提案だ。

おい……どういうことだ?王宮には、姉ちゃんも……!

…………

……てめぇ!今言ったこと、本当か!?

来い、魔物ども!

聞けやァ!!!

借り物の軍隊は楽ですなあ、外様の私めの号令でも、整然と動きまするゆえ。

ワケわかんねんだよ!!!

冷静に。奴が魔物の指揮官であるようよ……

……なら……『陽動』ですね……

ええ……!

ちっ……!

やれェ!!!

コイツマジで急だ……!


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story35 厨房を見つけた少年



おかーさーん!

はぁ!?

待ってよおかあさん!ボクを置いてかないで!

狂ってる……!

くくく……いつまで逃げます?いつまで走るのですか、馬よ?

己は馬ではない。馬に乗る者だ!

思い上がりも甚だしい。貴方を乗せる方は災難ですなぁ。

なんだと!

……どこまで引きつける?

ずっとこうしているのも悪くはないが……

ここへましませ我が影よ、斜陽に伸びて死神を捕えるのです。

キリがねえっつうか……コイツ一人ならいいがよ、他にもいるんだろ?

ふむ……ここは一つ、攻撃的撤退といくか。

なんだって?

あの水路。王宮へとつながってそうじゃないか?

あてずっぽうかよ!?

悪かったな。つながっている。あそこへ逃げ込むぞ。

そうか……!よし!

おや死神。厨房を見つけた少年のような眼差しでどうしましたか。

はぁぁぁぁぁっ……!

<獅子が気を吐く。手にした剣が、虹色の光を帯びる!>

おぉ……!美しい……!

牙よ……噛み砕けっ!!!

いまだ!ショウ、ケイ!

はい!

ダグラス、いそげ!

はぐれないでね!

おう!

理に叶っていますな。さて。

追います。




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story36 病んだソウル



ユーリエ、平気か?

どしたんじゃ?

人魚のあなたに、登山は辛くはないか?

ほっほっほ、心配いらんて。ルーグちゃんは優しいのう。

おぶさるか?

なら私を背負いなさい。

……撤回!私はまだまだピッチピチよ!こんな山くらい楽勝だわ!

わしもピチピチしとるがのう。主にヒレが。

ふむ……辛くなったらいつでも言ってくれていい。

…………

あまり離れないで。見つかると面倒だから。

そんなヘマはしないわ。

あなたを監視もしてる。

ええ、どうぞ。

……やっぱり……

なにが?

王宮へ近づくほどに、瘴気が濃くなっている。

当然ね。<闇>の本拠地だもの。

瘴気というのは、<病んだソウル>よ。

……?

<病>に白も黒もない……魔物さえ、<闇>さえ冒すこともある。

瘴気の発生はく闇>の十八番だと思ってたけど。

そうね。瘴気に冒されたからといって、<闇>に害はない。

<病んだソウル>は、冒したものに力を与える……急激な細胞の死滅と引き換えにね。

でも、<闇>に寿命はない。彼らは、その主がいる限り、無限のエネルギーが供給される。

……ということは、瘴気を取り込むほど、<闇>は、より強く……?

不公平よね。人間にとっての害が、向こうには得でしかない。

この話は……?

世間に知られてはいないわね。気落ちしちゃうから。

……ねえ、もしかして、ルーグの腕も……

瘴気……とは、また別かもしれないけど。似てる部分は多いかもね。

あんたたち!何をチンタラ歩いてるの!

あら、ごめんなさい。

いま行くわ。




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story37 法王の到着



お待ちしておりました。法王様……

皆に、白の加護あれ。

はっ……!

ご案内させて頂きます……

…………



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story38 王と王妃



…………

法王が到着した。

……<白眼の狗>……

そうだ。のうのうと、たいしたツラの皮だと見える。

…………

痛快なものだな。<黒の飛行艇>を率いるあの男が、成す術なく祝いに来るとは……!

ええ……そうね。

あの男だけは……始末するか?計画とは違うが、どうだ?

馬鹿なことを……それならなんのためにこんなことを。

冗談だ。怒るな、怒るな……

…………

式が楽しみだ。

…………


愚かな男……♪……です、ねェ……♪



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story39 カンで言ってみた




……見つかってないみたいね。

そうそうたる顔ぶれだな……

知り合いいるの?

いや、全くわからんが。そうなんだろ?カンで言ってみた。

そうね。アタシのカンも、ここにいるのはいろんな国の偉い人だと告げているわ。

おっと、失礼を。

……!?

しかし、盛大な式典ですねえ。楽しみです。歴史的瞬間に立ち会えますよ。

では……


ウ……ウ……!

……コテツ?

ウゥゥ……アァ……!

頭痛いの?人混み苦手?

……ムゥゥゥ……!大丈夫だ……!

……どうした?

……グレイヴ……

ん?

<使命>……だ……

衛兵たちがザワついてるわ……

……他チームも、王宮周辺への展開を開始しました。

……気をつけてください……一網打尽にされたら全部オジャンですよ……

はい、気をつけます……!はい、気をつけます……!

……そうだったのか…………私は……!



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story40 腹を割らんか



本丸が見えてきたのう。

あの王宮のどこかに……!

警備も厳重だと予測される。

わかってる。先走ってミスなんかしたくないわ。

<機>を見て……突入する。で、いいのよね?

ええ。他のチームとも連携して、タイミングを図るわ。

タイミング、か……なら号令は坊主の役目じゃの。

坊主?

法王の坊主じゃ。あやつ、なんか知らんがタイミングに恵まれておるからのう。

そうですね。憎たらしいですけど。

彼を坊主、って……なんだか面白いわね。

あんなチョビヒゲ、幾つになってもわしから見れば坊主じゃて。

私も呼んでみようっと。

なんでよ。関係性が違うでしょ。

もう少しだけ擦りあわせておかないか。

ん?

最優先で狙う目標を。

ふむ……そうじゃの。

互いに腹を割るとするか……

……ええ。

……いいわよ。

わしが個人的に狙いたいのは、古い人魚族の連中じゃ。

特に――アムシェル。人魚族の活動の中心に、そういう奴がおる。なんとしても仕留めたい。

人魚族の活動?

言うとらんかったか?人魚はのう、世界中の貨幣経済を裏で牛耳っておるんじゃよー。

なんだと……?大事件じゃないのか?

遥か昔からのことじゃからの……知ってる者は少ないが、常識みたいになっておるでのう。

ヘンだと思う者はあまりおらんようじゃ。

タブーなのよね。そこへ意見を言うことは。

なにせ、人魚族の縄張りは世界中の海……それは、強大な圧力だわ。

…………

そうだったのか……

じゃが、わしはヘンじゃと思う。しかも、<闇>とも癒着しておる……

!!

……その、癒着の先……<闇>の窓口をしている、<子さらい>ナーペル……

それが私の標的。精霊を悪用して子供たちを惑わす、外道よ……!

あいつがいる限り、世界中の子供たちには危険がつきまとう……!

……そうじゃな。

奴はかなり慎重という噂ね。顔を見たことがある者を聞いたこともないわ。

私はある。決して忘れはしない……!

…………

……でも、もうこの島は去ったでしょうね。おそらく。

だけど、あいつに繋がる誰かを仕留められれば……!

……うむ。

それに、子供たちが捕らわれているなら、必ず全員助け出すわ。

そうだな。異存はない。

あなたはどうなの?

…………

瘴気を調査している……だけ?それとも、追っている仇でもいるの?

聞かせてもらいたいわ。どちらにせよ<闇>の一派なら、私が戦う理由もある。

……そうね。話しましょう。

私の故郷は、瘴気で滅んだの。


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story41 狙いは別々じゃが



瘴気は、持ちこめる。……そんな結論に至ったのは、ずいぶん時が経った後だったけど。

その島は、美しい自然、清らかなソウルに満ち満ちていた。

――あの日までは。


どこかで見たことがある顔だと思った。そう、あれは……

島の大部分が瘴気に冒されてしまったという、エデン島の領主の娘――

――ルエル・サクラリッジ――

亡くなったはずのあいつが島に現れて、ほんの数日後のことだった。

私の故郷が、異常発生した瘴気に包み込まれたのは――


……私は一命を取りとめた。そして、瘴気に関する研究を始めた。

いまでは……ある程度なら、瘴気に冒された生命に治療を施すことも出来るわ。

へえ……すごいじゃない。世間に発表しなさいよ。

そうね。だけど、治療だけじゃ、瘴気の拡散被害を止めることは出来ない。

……ルエル。私の狙いは、あいつよ。

あの壊れた子供ね……

そいつがこの島に?

予兆はある。いまはまだ抑えられているけど、王宮をとりまく瘴気の量が異常よ。

そこに奴がいる可能性は、低くないわ。

……そう。

手を貸すわ。

ありがとう。

うむ……すまんかったな。疑ってしもうて。

気にしないで。……私も、一度瘴気に冒された身だから。

その気配がく闇>に近いと感じるのも、無理のないことだわ……

…………

…………何を考え込んでるのよ?

俺は、知らなかった。この世には、これほど悪が多かったのか。

そうよ。

なのに、人同士でも争う。

うんざりするでしょ。

おかしい!

な、なによ?

俺は、燃えてきた。

自分の呪いのことだけを考えていては駄目だ。

この力を……悪を討っために使わなくては……!

正義の味方みたいなことを言い出したわねぇ……

あなたは違うのか?

私は科学者!天才の!

そして正義の味方だ。これは矛盾しない。

うるさいわね!私は私の研究が全てなのよ!

だが……

いいんじゃよ、ルーグちゃん。

そうか。わかった。

さて……それぞれ、一番に狙う相手は別じゃが……

それら全ての『上』に、おるヤツがいるのう……

そんなやつがいるのか?一体、誰だ?

<闇まとう道化>……あらゆる生命を手玉に取る、悪の演出家……

――エピタフじゃ。



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story42 教師の夢



少し距離を稼げたか。

ここまで来ちまったら、もう乗り込むしかねえな。

そうだな。ここからは『集結』を目指す。

はい!

おっしゃあ!表舞台へ駆け上がるぜ!

待ち合わせは嫌いなのです。意気揚々と駆けていくと、己の孤独に直面します。

憎くてやっておるわけではないのです。憎くてやっておるわけではないのです。

美談で終われば最上でしょう。しかし泥もすすらねば、観客の心は動かぬのです。

意味わかんねえ!誰が観客だ!

演者でなければ全てが。いや、もしかすると演者自身も?わけがわかりません。

自分で言ってんじゃねーよ!

ヒャァッハハァ~♪

くっ!

受け止めますか、これはいい。

このっ……!7

だが、このまま膂力(りょりょく)で吹っ飛ばすことが出来ます。やってもいいですか?

やってみやがれ!

では……えいっ!

バーカ!わかってきたぞ!

ワケわかんねえ言葉で惑わしてきても、攻撃は単調だ!やられるかっつーの!

おや……私めのおまもりが……

へん!これだろ!?

<ショウがかすめとったナイフを高々と掲げる。>

よくやった、弟よ!

やーい!返さねーぜ!

いいよ。それ影だもん。

へ?

<ショウが手にしたナイフが黒く変色し、ドロリと消える!>

わー!?

くくくく……見事、見事。合格点をつけて差し上げましょう。

いらねーよ!

うぉ!?

はぁっ!

良いフォローですね。こちらにも点数を上げましょう。

いらんわ!

私めは教師になるのが夢だったのです。

はぁ?

まわりを取り巻く子供たち……私めは、ドロップを配りながら頭を撫でてあげるのです。

さあ、かかっておいでなさい、私めは教師です、反抗をぶつけなさい!

貴様を師と仰ぐ気はない!ここで果てよ!

おいおい、挑発に乗るなよ?

いえ……やらせてください!

……フン。

気をつけて。

いくぞ、姉貴!

おう!


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story43 嘘



おぉらぁーっ!!!

たーーーッ!!!

……よそう。

あぁ!?

弟たちを思い出してしまいます。

おお、弟よ、妹よ……いまの兄の姿を見て、お前たちは嘆くだろう……

この兄の様を見よ……血で汚れ、泥で汚れ、見る影もなかろうにのう……

どうせ嘘だろ?

なんと賢いおぼっちゃま。のちは大臣ですかな?

いいかげんにしろ!

口を開けば嘘ばかり……もう慣れたんだよ!

悲しいな。

なにが!?

子供が嘘に慣れるなんて、なんて世の中だ。

どうする。他の連中はオレのようにわかる嘘はついてはくれんぞ。

……だからどうした。

悲しいと言っている。可哀そうだと言っている。

人生は長く、辛いぞ?嘘を嘘だと思わぬ方が、賢く生きれると思わないか?

賢く生きようなど、思わぬな。

ほう?

我らに何を説くかと思えば……知っておるわ。人間の醜さくらい。

我らは捨てられたのだからな。

姉貴……

この島のように豊かではなかった。人が一人、食うということが、並大抵のことではなかったのだ。

恨みなどない。口など少ない方が良い。その島では、当然の考えなのだ。

……姉貴……

ふん。そうだな。ここで論ずることではないか。

……貴様。貴様に憐れまれる覚えなどない!

真も偽も己で判断する!嘘に塗れている世の中なら、それもよかろう!

己がそれに染まらねば良いだけよ!

めそめそめそめそ。

!?

か~わ~い~そ~う~だ~よ~!

なんだ……?

どうせ演技だろ!バイパーさん、いまのうちに!

うむ……

なんでこんなことになっちゃうんだよお~!?

悪を倒せば平和になる、そんな単純な世界であってよぉ~!!!

なんなんだよ?その悪が、てめぇじゃねえか!

<黒>は悪か?

あぁ!?

ただの色だ。ならばどうして<白>のみ賛美する?

知らねぇよ!割合的に<黒>の方が悪人が多いんじゃねえの!

おぉ……馬鹿の発言だ。しかし……的を射ている。

演者の責務を果たさねば。

クソッ!ホントにしつけえな!

<穿つ>!!

おぅ!?

もういいでしよ?子供たちは純粋だから。これ以上聞かせないで。

聞きたくない声にも耳を澄まさねばなりません。しからは大人と認められます。

あなたの言葉はややこしすぎるの。

ワザとやってんだけどな。

そうでしょうね。だから……止める!

くぅっ!?的確ですな……参りました、やや苦手ですぞ。

あなたたち!先に行きなさい!

セラ!?

大丈夫。好きじゃないけど得意なの。時間稼ぎ、ってね。

行って!

……任せた。

セラさん……!

頼みましたっす!

……やられんなよ?

ええ。あなたを最後まで見届けなきゃいけないし。

へっ……



……さあ。

降参です。



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