清瀧 藍
【キャラ一覧(無印 / AIR / STAR / AMAZON / CRYSTAL / PARADISE / NEW / SUN)】
【スキル一覧(~PARADISE LOST)】【マップ一覧】
※ここはCHUNITHM PARADISE LOST以前に実装されたキャラクターのページです。
- このページに記載されているすべてのスキルの効果は、CHUNITHM PARADISE LOSTまでのものです(限界突破の証系を除き、NEW以降で入手・使用できません)。
- 専用スキル装備時に名前とグラフィックが変化していたキャラクター(いわゆるトランスフォーム対応キャラ)は、RANK 15にすることで該当グラフィックを自由に選択可能となります。
通常 | ケガレバライ |
---|
Illustrator:ナナカワ
名前 | 清瀧 藍(きよたき あい) |
---|---|
コードネーム | 青蛇(あおへび) |
年齢 | 18歳 |
職業 | 探偵事務所の助手(アルバイト) |
- 2017年8月24日追加
- STAR ep.Iマップ6完走で入手。<終了済>
- 入手方法:2020/3/5~4/15開催の「「太陽は燃えている ~愛のカンツォーネ~」ガチャ」<終了済>
- 入手方法:2020/10/1~11/11開催の「「バトルメタヴァース大運動会」ガチャ」<終了済>
- 入手方法:2021/8/5~9/1開催の「「失った仲間へ。それは、償いか。決意か。」ガチャ」<終了済>
- 専用スキル「龍の鼓動」を装備することで「清瀧 藍/ケガレバライ」へと名前とグラフィックが変化する。
- 対応楽曲は「立川浄穢捕物帳」。
妖魔と化した人間による事件の解決を専門とする探偵事務所に勤める、穢れ祓いの少女。
スキル
- エヴォリューションスパイク [NORMAL]
- キャラクターのRANKによって効果が変わるスキル。RANK11以上で上昇率が上がる代わりにATTACKにペナルティが付く。
- 240は0本時のMISSの2/3、6本時のMISSの1/3に相当する(HOLD・SLIDEの場合は割合が倍になり、2本未満の場合はATTACKの方がダメージが多くなってしまう)。
- RANK11以上のキャラで使用するのがメインだが、RANK10以下でも同GRADEのゲージブーストと同じ効果なので、全く使えないことはない。
- 新規プレイヤーの場合、PARADISE稼働時点では筐体内マップにゲージブースト系の汎用スキル所有者がほとんどいないため、イングリットを早い段階で入手してRANK10以下のキャラで安定的に4本を確保するスキルとして運用していくことも視野に入れたい。(課題曲等で5本以上が必要な場合、クリアランクS取得を前提にボーダーブースト・Sの入手・使用を検討されたし)
- +8になるとRANK10以下で6本、RANK11以上で7本到達可能になる。ただし、+8時点では理論値必須なので、実用には最大GRADE(+9)がほぼ必須。
- 同じくATTACK判定にリスクを持ち、近いゲージ上昇量を持つアタックブレイクと比較すると、以下の違いがある。
- ATTACK判定で受けるダメージが小さい(アタックブレイクはMISSに書き換えられる=MISSと同値のダメージになる)。
- ATTACK判定を書き換えないので、スコアやフルコンボに影響しない。
- キャラのRANKが11以上でないと効果が落ちるため、低RANKのキャラクターを育成しながら使うのに難がある。
- タイプがNORMALとMANIACで異なる。マップボーナス目当てで使う場合は競合しない。
- 筐体内の入手方法(2021/8/5時点):
- 筐体内では入手できない。
RANK11未満の時 ゲージ上昇UP (130%) RANK11以上の時 ゲージ上昇UP (190%) ATTACKでダメージ -240 |
プレイ環境 | 最大 | |
---|---|---|
開始時期 | ガチャ | |
PARADISE× (2021/8/5~) | 無し | × |
あり | +1 | |
PARADISE (~2021/8/4) | 無し | |
あり | +9 | |
CRYSTAL | 無し | +5 |
あり | +9 | |
AMAZON+以前 |
GRADE | 効果 | |
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RANK11未満の時 | RANK11以上の時 | |
▼以降はCARD MAKERで入手するキャラが必要 | ||
共通 | (なし) | ATTACKでダメージ -240 |
初期値 | ゲージ上昇UP (130%) | ゲージ上昇UP (190%) |
+1 | 〃 (135%) | 〃 (195%) |
▼以降はCARD MAKERで入手するキャラが必要 (2021/8/5以降では未登場) | ||
+2 | 〃 (140%) | 〃 (200%) |
+3 | 〃 (145%) | 〃 (205%) |
+4 | 〃 (150%) | 〃 (206%) |
+5 | 〃 (155%) | 〃 (207%) |
+6 | 〃 (160%) | 〃 (208%) |
+7 | 〃 (165%) | 〃 (209%) |
+8 | 〃 (170%) | 〃 (210%) |
+9 | 〃 (175%) | 〃 (211%) |
理論値1:81000(5本+1000/22k)[RANK10以下/+1] 理論値2:117000(6本+15000/24k)[RANK11以上/+1] | ||
理論値1:93000(5本+13000/22k)[RANK10以下/+5] 理論値2:124200(6本+22200/24k)[RANK11以上/+5] | ||
理論値1:105000(6本+3000/24k)[RANK10以下/+9] 理論値2:126600(7本+600/26k)[RANK11以上/+9] |
所有キャラ【 清瀧 藍(1,5) / エルルーン(10,15) / 京極院 桜花 / イングリット(1,5) 】
- 龍の鼓動 [ABSOLUTE] ※専用スキル
- ローリスクローリターンになった背水の陣。オーバージャッジとどちらが良いかは腕前とGRADE次第。
ゲージ上昇量は2回MISSするごとに35%ずつ減少する模様。
GRADE | 効果 |
---|---|
初期値 | MISSが少ないほど ゲージ上昇UP (245~105%) MISS判定10回で強制終了 |
+1 | 〃 (255~115%) 〃 |
理論値:153000(8本+1000/28k)[初期値] |
GRADE | MISS回数 | |||||
---|---|---|---|---|---|---|
0~1 | 2~3 | 4~5 | 6~7 | 8~9 | 10 | |
初期値 | 245% | 210% | 175% | 140% | 105% | 強制 終了 |
+1 | 255% | 220% | 185% | 150% | 115% |
下位判定を何回か出すごとにゲージ上昇率が減少し、一定回数で強制終了するスキル。
分類は彼女を新しい道に~のみ[HARD]、他は[ABSOLUTE]。
スキル名 | 上昇量(初期値/下限) 減少条件/減少量 強制終了条件 理論値(ゲージ換算) |
---|---|
背水の陣+5 | 290%/130% ATTACK以下1回/-40% ATTACK以下5回 174000(8本+22000/28k) |
龍の鼓動+1 | 255%/115% MISS2回/-35% MISS10回 153000(8本+1000/28k) |
彼女は正直な、 本物の幸せの 高まりを感じた+3 | 255%/100% ATTACK以下4回/-35% (最初のみ3回/下限100%) ATTACK以下20回 153000(8本+1000/28k) |
彼女を新しい道に 導いた欠片を 連れて歩き出した+3 | 215%/100% MISS4回/-25% (最初のみ3回/下限100%) MISS20回 129000(7本+3000/26k) |
[END]
ランクテーブル
1 | 2 | 3 | 4 | 5 | |
スキル | Ep.1 | Ep.2 | Ep.3 | スキル | |
6 | 7 | 8 | 9 | 10 | |
Ep.4 | Ep.5 | Ep.6 | Ep.7 | スキル | |
11 | 12 | 13 | 14 | 15 | |
Ep.8 | Ep.9 | Ep.10 | Ep.11 | スキル | |
16 | 17 | 18 | 19 | 20 | |
- | - | - | - | - | |
21 | 22 | 23 | 24 | 25 | |
- | - | - | - | スキル | |
~50 | |||||
スキル | |||||
~100 | |||||
スキル |
STORY
白き月が女王の如く君臨する凍れる夜……月光よりも一際明るく白刃が煌めいた。
「うぐわぁぁああああーーッ!!」
断末魔の悲鳴をあげながら倒れた男は、明らかに常軌を逸した姿をしていた。見るだけで瘴気に汚染されるような悍ましい姿……『穢れ』『あやかし』あるいは『妖怪』と呼ばれるモノだ。
そんな見るも悍ましい穢れの死体を前にして、その少女は眉一つ動かさなかった。
「……こいつも違ったか」
そう言うと少女は手にした日本刀の血を払い、鞘に納める。
少女の名は『清瀧 藍』。
青島探偵事務所でアルバイトとして働いている女子高生だ。
青島探偵事務所は通常の探偵事務所とは、大きく異なった仕事を専門としている。
『穢れ祓い』……妖魔と化した人間の起こした事件の解決と始末。これが青島探偵事務所の専門なのだ。
そこで働く藍もまた『青蛇』と呼ばれる穢れ祓いなのだった。
「……どこにいるんだ。『穢れ使い』ッ!」
藍には幼い頃から『幽霊』や『妖怪』といったモノたちの姿が見え、怯えてよく泣き出していた。そんな時彼女の父『辰雄』は豪快に笑いながら藍を抱きしめた。
辰雄にはこの世ならざるモノの姿は見えなかったが、それらが確かに存在するということは知っていた。
辰雄は警察官だった。それも普通の事件ではなく、妖怪や穢れ、人の負の思念に寄って引き起こされる超常的な事件を専門に調査する部署に所属していたのだ。
だがそれらの事件は警察や司法では裁くことが難しいことも多く、専門の知識と技術を持った外部機関……。『穢れ祓い』たちに協力を求めることも多かった。
青島が所長を務める『青島探偵事務所』もそんな穢れ祓いを専門とする機関の1つだ。
青島と辰雄は気が合ったらしく、私生活でも親しくしており、藍も青島に可愛がってもらっていた。
「藍、大きくなったら僕のお嫁さんにならないか?」
子供の頃によくある他愛もない話だ。藍は青島にそっぽを向くと、辰雄のもとに駆け寄る。
「えー……私はお父さんと同じ警察官になるの!」
「ははは! だ、そうだ。残念だったな! 青島!」
母親は亡くなっていたが、父親と青島との生活に藍は満足しており、幸せな日がいつまでも続くと思っていた。……父が『穢れ使い』に殺されるまでは。
父を殺された藍は警察官になる夢を諦めた。
そして彼女は父の形見の日本刀とニューナンブを片手に青島探偵事務所の扉を叩いた。穢れ使いに直接この手で裁きを下すのは、それしかなかったのだ。
最初青島は藍が常に身の危険が伴う、穢れ祓いになることに反対をした。しかし彼女の決意が本物だと
知ると、自ら彼女の指導に当たった。
こうして厳しい訓練の後、藍は穢れ祓い『青蛇』になったのだった。
その日、藍が放課後いつも通りに青島探偵事務所に向かうとそこには見慣れない同年代の少女の姿があった。
「藍、ちょうど良かった。彼女が今回の依頼人だ」
「……この子が?」
女子高生が1人で依頼にやってくるとは珍しい。だが彼女は確かに特殊なインクで細工がされている紹介状を手にしていた。
「……近頃、立川を中心に深夜帰宅中の会社員が襲われるという事件を知っているかい?」
「ああ……確か『立川会社員連続殺人事件』とかマスコミ報道されている事件でしょ?」
「彼女はその事件の目撃者なんだ」
「その事件、深夜に起こってるんでしょ?女子高生がそんな時間に外をうろつくって……人のこと言えないけど」
恐らくその辺の事情が原因で彼女は1人でここにやってきたのだろう。藍は気を取り直して質問した。
「それで? ここに依頼が回ってくるってことは、犯人もしくは被害者が『普通』じゃないってこと?」
「わ、私見たんです……犯人の姿! いきなり身体が膨張して、男の人に襲い掛かって……。あんなの人間じゃありませんっ!」
「……ということだ。彼女は犯人にとって都合の悪い目撃者。護衛しつつ、彼女を狙ってきた犯人を捕まえろ……いいな? 『青蛇』」
「分かったわ……それで捕まえる相手の状態は?」
「いつも通りだよ」
いつも通り。それは『生死は問わない』ということだ。藍は黙って頷き、彼女の護衛を開始した。
藍は目撃者と共に、現場の住宅街にやってきていた。
「……被害者と貴女は何か関係があったの?」
「ご近所さんでした。でもこう言うのは何ですが、私はあの人のこと、あまり好きじゃなかったんです。
あの人の家からは、いつも小さな子供の泣き声がしていましたし……怖いっていうか」
藍が気のない返事をすると少女はそれ以降黙り込んだ。そしてしばらく経った後、藍は突然足を止めた。
「……そろそろ姿を現したらどう?」
藍の言葉に物陰から1人の少年が姿を現した。少年は酷く痩せすぎで、不健康そうだった。
「……どうして俺のことが分かった?」
「穢れに侵された人間の瘴気は独特だからね」
藍は日本刀を構えると少年に問いかける。
「一応聞いておくけど、なぜ事件を起こしたの?」
「金が欲しかったからだ……俺は親から虐待されて、放置されてきた。生きていくためには金が必要だった。だから、俺の親と同じクズ共から奪うことにした!『あいつ』からもらったこの『力』でなッ!」
少年が叫ぶと同時に黒霧のような瘴気が爆発し、身体が異形のモノへと変化して藍たちに襲い掛かってくる!
「下がって!」
藍は少女を逃がすと正眼の構えを取った。
「……アンタにも言い分があるんでしょうけど。それでも人には手放しちゃいけないものがあるのよ!」
「うるせえ、うるせえ、うるせえーーッ!!」
すれ違いざまに藍の刀は怪異の喉元に突き刺さる。
瘴気に侵された鋭い爪が藍の頬を掠めるが、藍はそのままの勢いに任せて身体を二つに切り裂いていく。
「因果応報の理を知れ。穢れよ――」
「俺はッ……ただ……ゲハッ」
真っ黒な瘴気に覆われた少年は、悲痛な叫びとも聞こえる声を上げながら、その生命活動に終わりを告げた。
こうして『立川会社員連続殺人事件』の幕は下りた。
『立川会社員連続殺人事件』の犯人は、穢れに侵され妖怪化していたものの、藍の追う穢れ使いではなかった。
(あの時奴は『あいつ』から力をもらったと言っていた。『力』を伝染させている穢れ使いがいるということか……)
藍が青島探偵事務所のデスクでそんなことを考えていると、所長の青島が彼女を呼ぶ声がした。
藍が応接室に行くと、そこには喪服に身を包み、目を赤く腫らした妙齢の婦人が待っていた。
「今回は主人の死の真相が知りたくて、こちらに伺いました。主人は先日、急性虫垂炎で手術を受けました。そして無事に退院したのですが、数日後に急激に体調を崩しまして再び入院……帰らぬ人となりました」
「……旦那さんのことは気の毒だけど」
夫人の話からは不審な点は見つからない。もし仮に医療事故などがあったとしても、それはこの探偵事務所の仕事の範疇ではないのだ。
藍の言わんとしていることが分かったのか、婦人は軽く頷くとさらに続けた。
「……亡くなった主人の身体に見慣れない傷があったんです。急性虫垂炎の手術とは関係ない場所に」
「……奥さんが知らなかっただけじゃない?」
「それはありません。夫婦には分かるものですから」
「……他にもこの婦人が持ってきた紹介状には、問題の病院で不審死が続いているという話だ。実際に僕が調査に行ったら、うっすらと瘴気を感じた。何らかの妖魔が活動をしているのは間違いないだろう。『青蛇』、君は問題の病院に潜入調査をしてくれ」
「潜入調査って? どうやって?」
「決まってるだろう?」
青島は藍に向かってニヤリと笑った。
藍は問題の病院に『新人ナース』として潜入していた。
青島には妙な茶目っ気があり、藍は彼の冗談に巻き込まれることがあった。今回もそういうことだろう。
(まったく……所長ときたら)
青島への不満を飲み込んで、藍は研修生として先輩や患者たちに聞きこみ調査を続けていた。
確かに依頼人の夫以外にも、最近この病院では突然体調を崩し、亡くなる患者が増えているようだし、青島が言った通り院内には瘴気が漂い薄暗さすら覚える。
(でも、それだけじゃ何とも言えないね)
これだけの大病院で亡くなる患者は少なくないだろうし、瘴気が発生しやすい土地や建物というのは存在する。
藍は『妖魔が事件を起こしている』という決定的な証拠をまだ掴めていなかった。
「清瀧さん。患者の部屋の移動、手伝ってくれる?」
「はい……どちらに移動するんですか?」
患者の移動先は、重病患者や末期の患者ばかりがいる階層だった。藍は思わず質問をする。
「そんな重病の患者には見えないですけど……」
「ええ。でも先生がそう判断したのよ……ってあら?先日も似たような患者の移動を行っているわ」
「……その先生って、どんな方なんですか?」
「何? 怖い目をして……確かにあの先生の担当している患者さんで、急激に悪化する方は増えているかもしれないけど、でもそれは病院では珍しいことじゃないわ。それにあの方は家族思いで腕のいい医師よ」
「……そうですか」
藍はそれ以上の追求は止め、先輩の仕事を手伝うことに専念した。
――真夜中のとある手術室。緊急でもない限り、この時間に手術が行われるわけはない。だが手術台の上には患者が寝かされ、まさに手術が開始されようとしていた。
「……やっぱり先生、貴方が犯人だったんだね」
「なにっ!?」
「ようやく尻尾を掴んだよ。この穢れ野郎!」
奇襲に成功した藍は、愛用の日本刀を医師に向ける。その時視界が霞み、眼の奥に突き刺すような痛みが走った。
「これは……ッ! いったい何がッ……頭がッ!!」
激しい頭痛に襲われ、よろける藍。
医師はその隙を見逃さず、藍を押し退けて手術室を飛び出し、脱兎の如く駆け抜けていく。
程なく息を整え、すぐさま後を追う藍。
運動能力には歴然な差があり、地下駐車場へ着く頃には医師は息も絶え絶えになっていた。
「ま、待ってくれ! 私には心臓病の娘がいて助かるには心臓移植をするしかない。だから臓器ブローカーの言う通りに患者の臓器を奪うしかなかったんだ!」
「アンタが娘を思うのと同じように、被害者たちも家族から愛されていたんだ。情状酌量の余地はないね」
「ぐっ、そ、それでも僕はッ――!!」
医師から瘴気が立ち上り、身体を包み込む刹那、眉間に撃ち込まれる一発の弾丸が、藍のニューナンブから放たれた。
それは命の天秤を傾けた者の運命を終わらせる裁きの一撃であった。
――後日、藍は事件の後処理のために病院を訪れた。するとまた謎の頭痛に襲われ、思わずよろめいてしまう。
「……大丈夫? お姉ちゃん。頭、痛いの?」
「えっ? ……あ、ああ。もう大丈夫。ありがとう」
「私のパパはお医者さんだから、きっとお姉ちゃんの頭痛も治してくれるよ! あ、私の名前は……」
名乗った少女は藍が撃った医師と同じ苗字をしていた。
「……君、お父さんのこと好きなんだね」
「うん! 最近あんまり会えてないけど大好き!」
藍の胸にわずかな痛みが走る。その痛みも罪も全てを背負い、彼女は少女に別れを告げた。
藍は青島探偵事務所の自分のデスクにぐったりと突っ伏していた。
(頭痛なんて今まで無かったのに、穢れを祓うこととこの痛みには何か関係が……いや、私の気のせいかな?)
「藍……大丈夫かい? 顔色が悪いようだが」
「青島所長……大丈夫。大したことない。それよりも何か用?」
「ああ。警察からの依頼なんだ。あるサークルについて調べて欲しいということなんだが」
「サークル? ……趣味の集まりみたいなもの?」
「ああ……だが、こいつを『趣味』というのはいささか性質が悪いね。なんせこのサークルの目的は『自殺』なんだから」
青島の話によると、最近若者たちが『自殺サークル』というオフ会を開き、集団自殺を遂げるというのが『ブーム』になっているらしい。その若者たちは年齢、性別、出身地などに共通点は何もなく、共に自殺するまで顔すら知らないケースも多かったようだ。
被害者たちの家族や友人は『自殺をするなんて信じられない』と声を揃えて証言をする謎の多い事件だった。
唯一の共通点として、亡くなる前にあるサイトを見ていたことが、被害者たちのPCの履歴を調べた警察の調査で分かったのだ。
「そのサイトは一見普通の旅行サイトだったが、解析したところ、特定の波長の人間に『憑き物』を降ろす悪質な呪詛が編み込まれていた……しかもこれは『奴』が好む術式だ」
「『奴』ってまさか……!」
「ああ……『穢れ使い』だよ」
藍は憎い父の仇である穢れ使いに出会うため、『謎の集団自殺事件』について必死に調べた。
調査の末、彼女は問題の『自殺オフ会』の日程と場所を突き止める。
(これで奴に……穢れ使いに会えるッ!)
藍は瞳を憎悪の炎に揺らし、来たるべき時に備えた。
「藍……くれぐれも気を付けろよ」
「分かっている。絶対に……絶対逃さないッ!」
青島は藍を見つめ、さらに言葉をかけようとしたが、結局何も言わずにその場を去った。
自殺オフ会当日。集合場所には藍を始め、乗客30人程度の姿があり、時間と共にやってきたバスに乗り込んだ。
誰も彼もが夢現という表情で、穢れ使いの呪詛に洗脳されているのは明らかだった。
(どこだ……どこにいるッ! 穢れ使いッ!)
やがてバスは人気の無い山中に辿り着くと止まった。
「諸君、よく来てくれた……。苦しみばかりのこの世のしがらみを捨て、極楽浄土へ上る選ばれし子供たちよ……」
陰気な声がバスに響くと、フロントガラスには複雑な術式が輝く。そしてフロントガラスが液体のように蠢めいたかと思うと、その中からフードを姿の男が現れた。
(奴が……間違いない、奴が穢れ使いッ!)
「……だが、その前に招かざる客にご退場願わないといけない……そうだね? 清瀧さん?」
穢れ使いが合図をすると、バスの中にいた乗客、全てが藍に向かって襲ってきた!
「し、しまった! バレていたの!?」
乗客は穢れ使いに操られているだけだ。防戦しか選ぶことのできない藍は窮地に立たされた。
罪の無い人々を傷つけるわけにはいかない。
藍は乗客の攻撃に為す術もなく捕えられてしまった。
「美しい……とても良い姿だぞ。穢れ祓い」
「くっ……なぜだ、お前の目的は一体何なんだッ!?」
藍は力を振り絞って、穢れ使いに問いかける。
「なに、実験だよ。我々の大いなる目的のためには多くの業(カルマ)が必要なのだ。阿佐ヶ谷を始め、様々な実験をしたが、禁忌となる自死を集団で行う……これが1番効率的だっただけのこと……」
押さえつけられた藍が穢れ使いに対して尋ねる。
「……8年前に刑事を殺したのを覚えているか?」
「んン~? 刑事……あぁ、いたよ?持たざる者の分際で私たちの周辺を嗅ぎまわっていた刑事、そうかあれも清瀧といったか」
「お前が……お前がッ! 下種めッ!」
「そろそろお喋りはここまでにしよう……終わりだ」
穢れ使いが手に持ったナイフを藍の鳩尾へ突き出す。
(もう駄目だッ!)
藍は自分の最期を覚悟し、思わず目を瞑るその瞬間――
(藍……お前のお母さんは……)
藍の脳裏に懐かしい記憶が蘇る。
それと同時に藍の髪と瞳は真っ青に染まった。
(よく分からないけど、力が溢れてくるッ!)
乗客の手を振りほどき、突き出されたナイフの切っ先を掴む藍。ナイフはまるでマッチ棒のようにへし折れた。
藍の周辺を清い風が包み、穢れた乗客を吹き飛ばす。破邪の風は一瞬でその場にいた全員の穢れを浄化した。
「何だッ! 何が起こっているんだ!?その神気はッ!?」
「この世の秩序から外れた穢れ使い、これは因果応報の理だッ!」
藍の振り下ろした日本刀は穢れ使いの眉間を捉え、その身を真っ二つに切り裂いていく。
傷跡は青い熱を帯び、ドス黒い瘴気は青い光へと浄化され、噴水のような景色が目の前に広がる。
「このッ……あ、蒼ッ……あお……あぁアアアッ!!」
掠れるような声で断末魔を上げる穢れ使い。
藍は渾身の力を持って、瘴気の原体を切り裂いたのだった。
――数日後、藍は青島と両親の眠る墓地を訪れた。
「……仇は取ったよ。父さん」
しばらく手を合わせた後、青島は静かに言った。
「生前、辰雄さんから聞いたんだ。藍、君のお母さんは青龍という神を祭る一族だと。彼女の田舎では青龍は不思議な力を持っていて、時折人の身体に降りては奇跡を起こしたらしい。しかし、その奇跡のような力はあまりにも強すぎて、憑代となった人間は耐え切れず、長生きはできない……君に降りたのが本当に青龍だとしたら……普通の日常を送っていれば、その力は目覚めることなく、君は幸せな生活を送ることができたはずだったんだ……」
「でも、私は戦いの道を選んでしまった……」
青龍を継承する者は、その大いなる力と引き換えに自身も異形と化し、やがて『妖魔』と成り果てるのだ。
「……どうりで、この間から頭痛がすると思った。あれは青龍の影響だったんだね」
「……藍、もういいじゃないか。辰雄さんの仇も討った。もう君は普通の女の子に……」
「青島のおじさん……ありがとう。心配してくれて。でも私は止まれない……穢れ使いには絶対に黒幕がいる。そいつを葬らないと……それに『普通の女の子』に戻るには、私の手は余りにも汚れている」
「藍……」
「青島のおじさん。私の信念を見守っていて……。私が私でいられる最後の日まで」
青島はしばらくの間、痛みを堪えるように黙っていたが、やがていつもの茶目っ気のある笑顔を浮かべた。
「仕方がない。僕は昔から藍のお願いには弱いからね……傍にいるよ、最期まで」
「ありがとう……」
藍の悲しい決意をそっと癒すように優しい風が2人の頬を撫でていった――。
チュウニズム大戦
レーベル | 難易度 | スコア | |
---|---|---|---|
スキル名/効果/備考 | |||
●リレイ | ADVANCED | 0 / 260 / 520 | |
レーベルバニッシュ(♥■◆♠コンボミス) | |||
COMBO/CHAIN時発動。次のプレイヤーの ♥、■、◆、♠のCOMBOは、MISSとなる。 | |||
備考:♥グミン/■メタヴ/◆ジェネ/♠アニマ |
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チュウニズムな名無し
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ClaiRe
212020年01月10日 12:21 ID:qmdqt384最近、チュウニズムを初めたものです。清瀧 藍のスキルが欲しいのですが、現在、入手方法はありませんか?
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今更だが
202019年08月28日 04:45 ID:kbp3eh4nエヴォリューションスパイク+2
推定値通りです
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チュウニズムな名無し
192018年10月02日 23:24 ID:d83njgct拙者刀持ってる女の子大好き侍
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チュウニズムな名無し
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チュウニズムな名無し
172017年10月12日 14:05 ID:dupcidz0「数日後、藍は青島と両親の眠る墓地を訪れた」の一文を読んで「青島いつ死んだの!?なんで両親と同じ墓に入ってるの!?」と思ってしまった
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チュウニズムな名無し
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チュウニズムな名無し
152017年09月28日 20:32 ID:ntlrcnox黒と青の色の組み合わせかっこよくて好き
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チュウニズムな名無し
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チュウニズムな名無し