「独戦の双剣士」アール_include

主人公「誰か仲間になってくれそうな人は……、」

メルク「みゅ～、なかなか見つからないのですね～。」

主人公「あっ、紹介所のカウンターに座ってるあの人は……、って、今は寝てるみたいだな……。」

アール「……。（って、おい！　通り過ぎるな！

そこは起こすだろ！ただの寝たふりなんだよ、気づいてくれよ！

ああ～っ！本当に行っちまったし……。けど、俺から話しかけるなんてできねー……

はあ……、せっかく友達作りのために王国の紹介所まで来たのに……

なんだよ、仲間と出会うために来てんだったら寝ててもグイグイ起こして仲間に誘うくらいしろよぉ……！）

アール（なんてな……。わかってるよ、オレが悪いんだって……

そりゃ、寝てたら普通話しかけないよな。オレだってそうするわ……

つーか、オレの場合、起きてても話しかけられねーけど……、

ハハッ……、ハッ……

ぐすっ……）

メルク「みゅっ、主人公さん！さっきの人がどうやら起きたみたいなのです！仲間に誘ってみてはどうなのですよ？」

アール（ハッ！い、いつのまにか寝たふりをするのを忘れていた……！

まずい、このままでは話しかけられちまう……！

って、それでいいんだよ！さっき読んだ『友達の作り方』にもまずは話すことが大事って書いてたし！）

アール（いやでも、オレ、いっつも会話で失敗して友達作れてないし……、

けど、うーん……）

主人公「あの……、」

アール「（ああ～っ！悩んでるうちに話しかけられてしまった……！

ええい、ままよ！とにかく仲間にしてもらえれば、友達にランクアップする日も来るだろ！

いや、お願いします、来てください！）……なんの用だよ？」

主人公「あっ、その……、俺たちの仲間になってほしいんですけど……、」

アール「へーえ、お前みたいなちんちくりんがオレを仲間にしたいって？（ハイ、喜んで！）

まあ、お前弱そうだし、オレみたいなやつに守ってもらわないと旅もできないってのもわかるわ。」

アール「ふん、せいぜいオレの足を引っ張らないように気をつけろよな。」

主人公「は、はい……。」

アール「……。……。（うわあああああ……！

やっちまったあああああ！オレのバカ！

テンパるとつい憎まれ口叩いちゃう癖、どうにかしろよ！

……どうしよう。次会う時が気まずい……

でも、せっかく仲間になれたんだし、このチャンス、逃すわけにはいかねー！

待ってろよ、オレの未来のベストフレンズ……！）」

主人公「な、なんだかちょっと近寄りがたい人だったな……。ん？本が落ちてる……？」

メルク「きっとさっきの人が落としたのですよ！」

主人公「なになに？『やさしい友達の作り方・初級編』……。」

メルク・主人公『……。』

主人公「だからさっき、だんだん早歩きになって去って行ったのか……。」

メルク「なんだか、あの物言いも可愛く思えてきたのですよ……。」