【白猫】帝国戦旗Ⅱchapter1 帝国編 Story2
2018/03/16 ~ 04/09
帝国戦旗2 Story01 序章・帝国
帝国戦旗2 Story02 序章・連邦
帝国戦旗2 Story1 帝国編
帝国戦旗2 Story2
帝国戦旗2 Story3 連邦編
帝国戦旗2 Story5 決戦
帝国戦旗2 Story6 アフターストーリー
後日談
目次
story6 埋葬者
<パイドパイパー>拠点
<アイシャは……資料の山に手を伸ばす……>
<施設内では、ルーンの使用そのものが封じられている。
また、魔法を使った通信は、傍受される危険性が高い――>
――どうする――
<アイシャは、周囲を見渡す――>
そういう、ことか――)
<アイシャは、ジェリービーンズの瓶を子供たちに渡した……>
<その男は――忽然と、その場に現れた――>
お久しぶりです、ジュダ様……
秘密情報部・対連邦部局長エグベルト・ヘルマン……!
帝国の機密保持の名目で、島一つ、まるごと消した。
ですが、いずれわかるでしょう。私が正しかったことが……
圧倒的な存在でありながら、あなたは帝国にその身を捧げている。
あなたほどに献身的な存在を、私は知らない――
このルーンは、我儘を暴走させ、我欲の強さに応じた力を与えるといいます……
<ジュダはその場に、倒れ伏した……>
しかしあなたは、己の我儘を抑え続けている……!
――ソウル圧、推定九七億アニムス。島どころじゃない。海域がまるごと消滅するか……
――ジュダ。君にはまだ――伝えていない言葉がある……だがそれは、別れの言葉ではない。
世界の我儘よ――お前が世界に存在することを――!!
拒絶する!!
<ジュダの体は……突如現れた影に呑まれ――>
<アイシャは――その場に崩れ落ちる――>
待っている……
story7 我がために
<荒地>
<影は――平原のただなかで、ジュダを吐き出した――
――あの女、俺の影を――いいように使ってくれたな――
<弔い手は……ゆっくりと立ち上がる。>
<拳を握るが――力が入らない――>
<いつ以来の屈辱であろう――
仮面の道化に、<我儘>を混ぜられた時以来か――
簒奪者に帝国を奪われたあの時であろうか――
小さなネズミの獣人が、己の骨を投げた時であろうか――>
<否。
これ以上の屈辱が――これ以上の怒りが――
だが、弔い手の怒りが向けられているのは――己であった――
<ひらひらと、蝶は舞う。そして――狼の耳元でささやく。>
――誰よりも我儘なあなたが――
<帝国の貴族である元老院。彼らは神獣の血を引く、人外の怪物でもある……
その彼らさえも恐れさせる、<夜会の青い蝶>その存在もまた伝説――>
そんなあなたが、我儘を抑えながら戦うところも素敵……
あなたたちの仕事でしょ?ともあれ、パーティーは御開き。作戦は終了ね……
<ジュダは息を荒げた……立っているのがやっとの状況。>
私ならその鎖を――解いてあげられる。
――嫉妬するわ。あの子に――
<狼は、歩き出す――その歩みは、這うように遅い。
青い蝶は、その背中を見つめる。>
あなたは忘れてしまった……夜の世界を……
…………
……
<ヴェーザーベルク城、研究区画――>
<アイシャはパイトバイパーに捕らえられていた――>
好きにしていいのは死体だけです。生命活動を停止させなさい。
story8 ゆるやかに効く毒
『この花は美しいが毒がある。手折るならば注意したまえ』
…………
……
<影が運んだのは、島の辺境……陰謀が渦巻く城とは、遠く離れていた――>
<狼は進む――>
<その脚こそが、残された最後の武器――>
<獲物に牙を突き立てるまで、狼は止まらない……>
「――なあジュダ。君は棺を運ぶ弔い手だ。もし私が死んだら――
どんな棺を送ってくれるんだい?」
<弔い手の影が――刹那、じろりと蠢いた……
<こんな森ではなかったか――
ジュダが、皇帝と呼ばれる男と出会ったのは……>
数年前に能力強化手術を受けたといっているな。
<助手は、計器を見た……>
<――その時、助手が隠し持った伝声のルーンが、音声を伝えた――>
……あの子供たちを……助けないと……
ゼラニウムの花のことは、知らない――そう言っている。意味はわからん。
ああ、よろしく……
<六つの花に、六つの花びら、反りかえる六つの花糸。比類なき異形の美。
不思議なほどに鮮やかな赤は、燃える炎か、それとも鮮血か。
――花は、毒を秘めている。ゆるやかに効く毒を……>
story9 地に伏して
ヴェルガ王国、<黒煙の島>大使館。
<ブランド大佐は、秘密裏に送られた一通の手紙に目を通していた……
誰かは知らんが……冥福を祈らせてもらうよ……
…………
……
<……路地裏を通りがかった老人は、通りに面した小さなほこらに目をやった。
ほこらには小さな女神の像……そして一冊の本が置かれている。老人は本を手に取った。>
<本には、黒煙の島が帝国の諜報員に向けたメッセージが書かれている――
諜報員は、そのように思い込んでるであろう。だが全ては罠であった。>
<>
<みすぼらしい老人は、その場に倒れた――
構成員は、目標の絶命を確認する――>
<倒れた老人は、何かを持っていた。>
<さきほど自分が発射した、銃弾である――
――諜報員は撃たれていない。弾が当たる前に受け止め、死んだふりを――>
<老人の一撃で、構成員は意識を失う……>
<ジュダは構成員の体をまさぐる……>
<ジュダが手にしたのは、伝声のルーンであった。>
<通信は切れた――>
<そこでは今、連邦の行く末を決める会議が催されているはずだった――>
まだ――やることが残っている――
<ジュダは、歩を速めた。>
story10 手紙
<アイシャの身柄は、研究所から監房に移されていた……>
<アイシャは、トイレットペーパーに己の血を使って、文字を書く。>
<アイシャは手紙を、丸めて、食べ残しのスープに入ったポテトの中に押し込む。>
さあ、どうする?)
<見れば……壁には子供の書いたものらしいラクガキが描いてある。>
だとしたら――
<アイシャは室内を見回す。そして――見つけた。
壁にあいた穴に押し込まれた、紙片……
トイレットペーパーに、血で書かれた文字……
このてがみを、みつけてくれて ありがとう。
あたしはもう、わたしのなまえが、おもいだせません。
なんねんも、なんねんも……ずっとここにいるような きがしています。
わたしたちは、えらばれたせんしになりました。それはとてもすてきなこと。
イヤ!ちがう!あたしはそんなのになりたくない!
……ごめんなさい。あなたに、おねがいがあります。
みんなを、たすけて。
あたしは、もう、だめだから。はいきしょぶん だから。
だから、おねがいします。みんなを、さいふぁーのところに。
<手紙はそこで途切れた――>
そして私の腹も決まった。今回ばかりは……少し私情を挟ませてもらう。
「大丈夫、あたしが今すぐ助けてあげるー――」
…………
……
ヴェルガ王国、首都――
「嵐が来る……この国に……
この国がどれだけ乱れるか。どれだけ命が奪われるか……
帝国のたどるべき道も、それによって決まる――
我らは均衡の守護者――なーんてね……」
…………
……
<埋葬者は、捕らえた帝国の諜報員がポテトの中に隠した手紙に目を通す――
文章は支離滅裂であったが――ここでもゼラニウムの花について触れられていた。
あれは、ボリスが適当に決めた符丁だったはず――
それらしい合言葉で、意味などないはずでは――
<埋葬者がボリスに与えたのは、リストと……帝国側が計画するとある計画について。
ボリスにはそれが、帝国内部でのクーデターに関する情報だと思い込ませてあった。>
だが、別の符丁だとしたら――
<ボリスが最初から――帝国に通じていたら――?埋葬者は疑いを抱いた。>
こちらの弱みを握られた可能性がありますね――
<例えば――帝国内に忍ばせた、本当の裏切り者のリストが――>
…………
……
<アイシャは……再び拘束されていた……>
<絆>を設定する時間がありません。作戦への投入は控えるべきかと――
<研究員は、伝声のルーンを手にしている――>
この女は幼いころに、兄弟を戦争で失ってます。調整を行えば……
<研究員は、アイシャの首筋に、注射を打った――
アイシャは、意識を失う――
…………
……
<構成員が目を覚ましたのは、ヴェルガ王国の街角……>
<見れば……王国の衛兵である。>
<>
…………
……
<黒煙の島が、取引に使っていた工場にて――>
<>
「――ゼラニウムの花――意味を知りたくないか?」
<狼は――凄まじい笑みを浮かべる――>
story11 餓狼
<ジュダは、生き残りの男の、首を締め上げる……>
<男の体はそのまま地面に叩きつけられた――
ぐっ……
<ジュダは、片膝をついて耐えた――>
…………
……
……ずいぶんと長引くな……まったくお偉いさん方は……
えっ……?
<警護兵が――己の心臓が止まる数秒前に見たのは――
人の姿をした怪物――
<始まるのは絶望――>
さあ、牙をむきなさい。死よ、我が同胞よ――
今のあなたは完璧……語られざる神話の続きを高らかに語りなさい――
…………
……
音もなく現れた死神たちは――
ヴェルガ王国の首都で、死をまヴェルガ王国の首都で、死をまさ散らす――
その速さ、その火力――人外の領域。
<いや――>
<人外以上――>
<ジュダは、ためらいなく――人外の兵たちの前に進む。>
――弔ってやろう。この俺が――
白猫 mark