【白猫】帝国戦旗Ⅱ アフターストーリー
2018/03/16 ~ 04/09
帝国戦旗2 Story01 序章・帝国
帝国戦旗2 Story02 序章・連邦
帝国戦旗2 Story1 帝国編
帝国戦旗2 Story3 連邦編
帝国戦旗2 Story5 決戦
帝国戦旗2 Story6 アフターストーリー
後日談
目次
story1 スターティングハンド
<ヴェルガ王国の一角――そこに、影に生きる者たちが再び集っていた。>
……ヘビーな展開だ。
そんな……
当然だろう?今後君たち組織にはあらゆる圧力が加えられる。
(――レヴナントに関する情報の交換のはずがー妙な流れになってきたな――)
味方だっているはずだろうが……!
そうだな……だが、君たちを支持してくれそうな実力者には、すでに悪い虫がついている。
ブギーマンか。
――フン、レヴナントのことを、そう呼ぶのか。
感じがでていいだろ、ワンワン?
ええっと、偉い人たちは。レヴナントに弱みを握られている可能性が高いんだよね?
鎖をつけられていたか。
悪い虫を退治。恩を売る。
そういうこったな……
ふふ、君たちは話が早くていい。
具体的には、どんな弱みを握られてるのかな?
金だよ。それが、一番手っ取り早い。
…………
……
<一行は、魔都として知られる街バビロンにやってきた……!>
この街のカジノに……レヴナントが……!?
嫌な匂いの街だ……
そうだ。カモに借金を押しつけ、自分たちの手駒にしている。
ウラは取れているのか?
情報源について、聞きたいかな?
今はやめておく。
締め上げるのは、カジノの胴元か……?
そうとは限らないさ。怪しいのは……いつも絶対に負けないやつだ……
負けない??すっごく運がいいのかな?
ちげえよ。そういうのは……イカサマってやつだ。
くだらん小細工をしかけているのが、標的か――
面白そうだ。よし、俺はアイシャと組むぜ。
えっ?そ、そうなの?
なるほど、面白い趣向だ。ジュダ、エリスをエスコートしてやってくれ。
えーっ!?
ガルルルゥ……
――俺はバックアップ。サーチ&デストロイ……
…………
……
……へぇ。なかなか楽しめそうな場所じゃねえの。
ああ、そうだとも……実に楽しめそうだ。
思わせぶりだなアイシャ……いつもそうやって、男を翻弄してるのか?
男に限らないがね……
ポーカーフェイスの裏は、どれくらい情熱的なのかな……
それを知ったものは燃え尽きる。
試してみたいもんだ。
story2 ダブル・ダウン
さすが、バビロンのカジノだ……なんでもありだな。
いいねえ、目移りしちまう……
遊ぶ相手は選びたまえ。夜は短い。
バカラで運試しってのは、どうかな……?
それはいいんだが……君、今いくらもってるんだい?
……せっかちだなアイシャ。欲しがり屋さんは、嫌いじゃないが……
さっき財布をスったときは、1000ゴールドしか入ってなかったんだが……
手癖の悪いネーチャンだな。
まさか全財産ではないだろうね?
金には翼がある。だが、この俺は金に愛されてる。
やれやれ……派手に金を使って敵の目を引き付ける作戦じゃなかったのか?
……あんたら、紅茶を売って稼いだ金があるんだろ?
<帝国は紅茶で名高い。つまりサイファーは帝国の資金をあてにしていたのだ。>
資金には困っていないが、ここで使うことは想定してない。
財布のひもを緩める時だぜ?
仕方ない……ブラックジャックのテーブルに混ざる。頬杖をついたらこれだけ賭けろ。
10万ゴールド。グウィドーの10年物が買えるね。
しくじるなよ、色男。
…………
……
ヒュー、100万ゴールド……なんだ?今日の俺はついてるんじゃねえの!?
君の手番に手が入るよう、仕掛けただけだ。
……だろうな。
ではその金、派手に使ってこい。
シャンパンタワーはどうだ?
100万じゃ、きかないと思うがね……
…………
……
おい、ポーカーのテーブル……
ビッグゲームだ。今日はヤバイな。
何を考えてるんだ……派手に使えとはいったが……
問題があったか?
<サイファーの背中ごしに、シャンパンタワーがきらめいている……!>
1000万ゴールドだと……?増やしてどうする!
……くくく。やるじゃないか、若造……
おっさんの隣の女を見ろ。
……ほう。
顔に殴られた跡がある。女に手を上げる奴は、許しちゃおかねえ。
そうか……気に入ったよ。
<アイシャは、サイファーの傍らに寄り添う……>
ヒューッ……
<サイファーはアイシャの腰に手を回した……>
幸運の女神様だ。
勝負といこうせ?
story3 ポーカー・フェイス
大したギャンブラーだな君は。
俺が、何かやったか?
完全に、店の者に目をつけられているわけだがね。
お目当ては……女神様のおみ足だと思うがな。
さりげなく、というわけにはいかなかったのかい?
苦手なんだよ。レディ相手には特にな。
シャンパンはどうだ?ご一同様?
1億ゴールド……!どういう心臓してるんだよ……
見事なブラフだ……面白い客じゃないか。
……サマを打ってるそぶりはありません……
戦術と勝負勘だけでゲームを組み立てている――今のところは、な。
何か、仕掛けてくると――
すでに、仕掛けられているのかもな……
ひぃ、ひいいい~。ひゃ~ははははは~っ!!まぁ~けたぁ~!!
よ、ようし……この1000ゴールドで、もう一度勝負だぁ~!!
哀れですね……
ああいうつまらなそうな男も変えちまうのが、ギャンブルの魔力ってやつだ。
一勝負……いかがですか?
あんたは……!
おやおや……
(ベルシュタインー連邦有数のプロギャンブラーね。
こいつがブギーマンの仕掛け人かよ――)
退屈はさせませんよ……
いいね……受けよう……
<サイファーの顔から、笑みが消えている――>
何を呑まれてるんだい?
……奴はプロだ。
君はどうなんだ?
女神に愛された男……
幸運を。
story4 ハイ・ローラー
<フロアは、ざわついていた……>
おいおい……もう5000万が吹っ飛んだぜ……
ベルシュタイン……あいつに目をつけられたら終わりだ……
……あんなテーブルには、座りたくないぜ……見てるだけで、ヒリヒリする……
(……なるほど……カードを見ているようで……その実、サイファーを観察している。
……観察力が武器か……いや、違う。膨大な蓄積から組み上げたノウハウこそ――
この男が頼みとする武器だ)
ミスター、ショーダウンを。
……ツイてないな。
ベルシュタイン様の勝ちです。
(苦労を当然と考える思考。おそらく幼少期に固まった傾向。血に染みついた宿命……
この男は敗れる宿命にある。幼いころから染みついた、負け犬の習性……
それは、損害を少なくしようという思考。つまり保身だ……)
……占ってみようか。
<アイシャは、ジェリービーンズの入った瓶を取り出した……>
これは……キャラメル味だな。裏切りの暗示だ――
レイズ――
……コールだ……
(5連続コール……フォールドしたいだろう……?負け犬……!)
<テーブルの上で、お互いの手札が公開された……!
ベルシュタイン、Aのスリーカード……!
…………
<サイファー手札……9のスリーカード……
そして、10のペア――
数字の10の、0が重なる。ダブルオー……
(――何)
いい手だろ?
……ブラフ……?この俺が――
ウイスキー2、スイートベルモット1アロマチック・ビターズ1ダッシュ。
<夕暮れの風>ですな。嵐の国のご出身ですか?
チェリーもつけてくれよ。
さて……ゲームもいいが……そろそろ……
<異変に気付いたのは――同時だった。>
ば、バカな……!?10億だって!?
なっ……!?10億だと――!?
<人々の視線は、あらぬ方へと注がれる……>
……女神様。
どうやら……あっちが本命だな。
story5 スネーク・アイズ
ジュダさん、よろしくね!
ああ。
サイファーから聞いてるよ。ハナが利くんだって?
そうだ。俺は狼……影に潜み、獲物を追う……
かっこいい!
……お前は、アイシャと同じ概念使いだったな?
うん。<支配>……それがあたしの力だよ。
…………
あ、心配しないで!仲良くなっても操ったりなんてしないから!
仲良くなる?俺と?
なにかおかしい?
お前は……諜報員らしくないな。
ずっとお茶くみ専門だったしね。こういうトコも、来るの初めてだし。
……ここは欲望と欺陥の匂いに満ちている。ハナが曲がりそうだ。
ぎまん??
お前はどう思う?
あたしには場違いな気がするよ。
獲物を追っていれば、カジノに来る機会もあるだろう。今のうちに慣れておくことだな。
わかった!
では、俺たちも遊ぶとするか。……まずはカネをチップに替える。
お金ならあるよ。別れる前にサイファーがおこづかいくれたの。
はい、10万ゴールド。
……大層なおこづかいだな。それは使わずにとっておけ。
<ジュダは同じ額の金をチップに替えた。>
ジュダさんにだけ出させるなんて、悪いよ。あたしも出すよ。
気にするな。金持ちネズミのヘソクリ(・・・・)だからな。
???
…………
……
スネークアイスに1万!
何だと。わかって言ってるのか?
1と1が出ればいいんだよね?
それっ!
<二個のダイスがコロコロと転がる。>
……8です。
あちゃー。ぜんぜんダメだ。
……クラップスは終わりだ。ゲームを変える。
はあい。
……これだ……!
ルーレット?
story6 ストリート・ベット
グルウゥゥゥ……
ジュダさん!?
<ジュダは、ルーレットをじっと見つめている……>
こい、こい、こおぉぉぉい……!
赤でいい……!赤でいいの……!
<……いや!>
……!…………!………………!
<円盤上をグルグルと回転する小さな球を、ひたすら目で追っている……!>
(……おおかみだから?)
ま、回ってるね、ボール……
ああ。回っている……!
……楽しい?
一日中でも見ていられる。
<ジュダは、うずうずしだした……!>
……ボール、取っちゃダメだよ?
わかっている……!
お客さま、参加されますか?
あ、はい!
……賭けはお前にまかせる……
…………
……
赤の32!
……ま、また当たった……!
調子がよろしいようで。
……ジュダさん。……3万が……
3万が、250万になったよ……!
あそこに落ちると思った。
……ボールしか見てないのに、よくわかるね……
(標的、ここに来ると思う?)
(ルーレットにプレイヤー同士の勝負はない……)
(……もしかして、ボールが回るのを見たかっただけなの?)
(……そうだ)
(…………)
(移動するぞ。本命はポーカーだ。これだけ元があれば――)
……ああっ……また負けたぁ……
…………
球を交換いたします。
<ディーラーが、球を新しいものへと替える……>
さあ、賭けてください!
おかしい……今日はツキがあるはずじゃなかったのか……?
あたしはこのへんで――
……エリス。
(このまま賭けを続けろ。そしてここからは、強気でいけ)
(え……う、うん、わかった。でもなんで?)
(……今なら、当たるかもしれん)
ディーラーさん!13、14、15のストレートに全部!
ヒュウ!当たれば3000万か。
おいおい、マジか……
では、いきます――
story7 ストレート・アップ
なんてこった……!
すげえ!こんなの、初めてみたぜ!
んだよ、うるせーな……
どうやら、大勝ちしたお客様がいらっしゃるようで。
大勝ち?そういやさっき、3000万とか何とか聞こえたな……
……けっ。3000万なんて、豪遊すりゃ一瞬で溶けて――
いえ、10億だそうです。
……は?
<ほんの数分前――>
……支配人の承認が下りました。この賭け、受けさせていただきます。
おいおい、大変なことになったぜ……
お嬢さん、勇気あるねえ。
(ジュダさん、やっぱりやめようよ!3000万だよ!キャンディいっぱい買えるよ!)
行け。
では……参ります!
<球が投入された。観客で埋め尽くされたテーブルが、異様な静けさに包まれる……>
…………
…………
…………
あ……赤の……
赤の1!――的中ですっ!!
……フ。
……じゅ、じゅうお、じゅうおく……じゅうおく?
――ひぅ。
<エリスは気を失ってしまった。>
うおおおおおおおおおおっ!
……言葉が出ないね。
エリス、起きろ。
……は!ジュダさん!!10億!!ジュダさん!!
(勝負は、ここからだ)
…………
はい?
(おかしいと思わないか?
球の交換。お前の隣にいる男の登場。――タイミングだ)
……あ。
(それから匂いが変わった。恐らく――標的はヤツらだ)
(……だから、あたしに賭けさせたの?
あれ……でも、勝ったよ、あたし?どういうこと?)
(考えがある……)
長いヒソヒソ話だね。10億の使い道でも相談してるのか……?
次のベットを開始します。お客さま、どうなさいますか?
ま、さすがにもう終わりだろーな。
くっそー、いいなー。100万ぐらい分けてくんねーかなー。
……わかった、ジュダさん。
えっと、まだ賭けます。
お、お嬢さん、もうやめといた方が……
いいえ、大丈夫!ツキはあたしに回ってきてるもん!
今ならぜったい、負けなしだもんね!
……ギャンブルってのは、こわいねえ。
それに――
あたしには、幸運のおおかみさんがついてるから!
グルゥゥ……
story8 マキシマム・ベット
<カジノの喧騒をよそに……男はひとり、バーのカウンターで酔いつぶれていた……>
ちくしょうおおお~!!今日も負けたぁ……
……懲りないねえ、お客さん……
勝てるはずなんだ……それが今日かもしれないだろ!?
ハイハイ……
(カモはみんなそういうんだ……)
それでは、次のベットを――
いつかは勝てるかも……いつかは負けるかも……
その時は来る……いつか、な……
<――男は、卑屈な笑みを浮かべた――>
(さてさて。ダックス様の仕事は、まだ終わっちゃいない……
凡俗連中にゃわかるまいが……
あのお嬢ちゃんには何かがある。……ルーンか、神や精霊の加護。もしくは俺と同じ概念……
まあ何でもいいさ――それを使ったら、お前の負け
この俺が植えつけられた、<看破>の概念は……どんなイカサマも見抜くぜ!)
(……一度成功の味を覚えたら、その味を忘れるのは至難の技……)
<このディーラーはブロである。よって、狙った場所に玉を落とせるのだ……>
あーっ、外れた~。
……フン。
い、1億溶けたぞ!?
また外れた……さっきまで調子よかったのに!
わわっ……!今度も……外れちゃった……
さ、3億……!!3億ゴールド消えた……!
(さあ、そろそろ……イカサマを使いたくなってきただろう?
使ってみろ……その時……お嬢ちゃんは俺たちの物になる!)
最終話 ショーダウン
また、外れ……さっきまで調子よかったのに~!
……ガルルゥ……
<吠えながら、ジュダは笑みをこぼす。>
楽しいですか、ジュダさん?
ああ、楽しいとも……
残りは5億ゴールド……どうする?
好きなところに賭けろ。
好きなところ……
迷うことはない。失っても、得ても。お前という人間が変わるわけではない。
――うん、わかった!
じゃあ、ここに賭ける!
<エリスはためらいなく、残りのチップを一点に賭けた――>
ほう……
やっぱり、ここだよね!
…………
……
ちょっと飲み過きちまったか?テーブルの上に幻が見える。
いいや、現実だとも。
<エリスは、ただ一点に賭けていた。
5億ゴールドという大金を……>
……あいつはあれで大物だと、わかっちゃいたんだが……
なあサイファー。金とは何だろうね。
悪酔いする酒だ。
金には価値がある。価値があると信じられているからだ。
循環論法ってやつじゃねえの?
まさにそうさ。
<ルーレットは回る――>
(舐めているのか――こんなところにこっちが落とすはずが――
いや、落ちるんだ……何をするかはわからんが、そういうイカサマ――
イカサマをした時点で、ダックスの<看破>が発動。イカサマを見破るはず……)
(……こんなバカな賭け方があるか!こんなバカげた……!
いや、もうすでに仕掛けられているのか……そんなことが……この俺の<看破>は絶対……!
見破れないはずがない……見破れないはずがっ!)
(クッ……ここは……保険に……保険をかけて……)
(……こいつは、何だ……
こいつは……いつから娘の後ろにいた!?)
<ジュダは、気配を殺していた。それはいかなる魔術でもない。獣がそなえる技であった。>
(駄目だ、見破られる……だがここで放らなければ……!)
ヒッ……!?そ、そうだ……こいつの狙いは俺だ……!俺なんだ……!
<ディーラーは倒れた……>
大丈夫ですかっ!?
なっ……何だと……!?
<エリスが賭けたのは、00――
そこに、全額であった。>
話がある。
……な、なんですかっ、旦那……?
ゲームオーバー。
…………
……
……はは、すげえな、あんたら……レヴナントのことを知っていて、俺に近づいたのか?
うん……
戦うってのか?連中と……?
そうだ。
俺は組織の末端だ……お察しの通り、カモをこっち側に引き込むのが役目。
だが俺だって、連中がどれだけイカれてるかはわかる。
どうしてレヴナントに?
同じさ。俺はカモだった……借金を背負って、概念の移植手術を受けた……
ああ、君のその記憶は、おそらくでたらめだよ。
……ハァ?そんなバカな……
身体的特徴から推察。君は自分が思ってるより、ずっと若い。
創られたのか――
俺の人生はクソ以下だった……でも、そんな人生さえも――嘘だっていうのかよ!
では、終わらせるか?
<ジュダの背後から、棺が現れる……!>
なあダックス。その人生、変えるつもりはあるか?
サイファー……!
何を――
つもりがあるなら、俺たちと来い。
ククッ……何をいいだすかと思えばよ……そんな手に、乗るはずが……
だったら、見破ってみせろや。――お前のその、能力でな。