【黒ウィズ】アルティメットハロウィンガールズ Story6
story
<敷地面積だけでいえば、トワカントリーは最大のアトラクションだった。>
<ソフィとウィズが見合っていた。>
<確かにストラマーラグーンからまっすぐ行ったほうが楽だったように思える。>
<怖いことを言わないでほしい。>
<アリエッタ他殺説もふまえ、調べられるものは調べておきたいのに、モチベーションを維持できない。>
<ふいにあたりを見回して思ったが、アリエッタが亡くなったのに、皆が皆すっかり立ち直って割り切っている気がした。>
<大切な友人を亡くしたというのに、少しドライすぎるのではないか。君はそれを少し不満に思っていた。>
<そういうものなのだろうか。だとしても、やはり残念なことに変わりない。>
<あれだろうか。ヒモとかいうやつだろうか。>
<それともあれだろうか。やはりソフィは金で解決すればいいと思っているのだろうか……?>
<気にはなったが、ふたりの関係に踏み込むのはためらわれた。>
<焦る気持ちもわかるよ、と君は言う。>
<エリスは責任感の強い子だから、目の前の問題を早く解決したいのだろう。>
<ウィズはアトラクションに飽きてきたようだ。>
<ほかの面々はそうでもないようだが、1日ずっといれば疲労もたまる。>
<エターナル・ロアがあそこにいるから、魔道石の影も進行が遅いのかもしれません。>
<称号をもらってご満悦のウィズがずいぶんと上から目線で言う。>
<ありがたくもらった薬をしまいこんで、君は前を見た。>
<危険な空気が漂うが、ここまで来て引き下がることもできない。>
***
<ここは、アトラクションというよりも、農場といった風である。>
<かぼちゃのキャストが道案内をしてくれたり、大根を引き抜く体験ができたりと、やれること自体は多い。>
<魔道士らしき装いをした骨が、ひとつだけ横たわっていた。>
<イーニアは何か気になることがあるらしかった。>
<しかしなんというか……。>
<先ほどから周囲を囲むように色違いのアリエッタたちが歩いているのが気にかかる。>
<変わり果てたアリエッタの姿を見て、君は涙を禁じ得ない……気がしていたがそうでもなかった。>
<自己紹介しているのが視界に映っているからだ。>
<何かに取り憑かれたままで……と君は言う。>
<エリスが神妙な面持ちで君の顔を覗き込む。>
あなたから禍々しい気配が漂ってるわ。
<そう!まさしくそう!ここが正念場と踏んだ君は力説する。>
<最後に頼れるのはエリスだけだよ、と君は言う。>
<そういえば……敵と勘違いして返り討ちにあった。>
<違う……違うんだ、エリス……そう言いたかったが、霊がどうのといって信じてもらえないことはわかっていた。>
<そんなことはないよ、と言う。>
<死にたくない……と君は言う。>
<ゾンビエッタたちが群れをなして突っ込んでくる。>
<困ったことにこっちも相手にしなければいけないようだった。>
<いい加減疲れたよ、と君はぼやく。>
<今まで襲ってきた子たちはそんなことはなかったが、アリエッタならそれ言いそう、と君は思った。>
<そしてついに、ゾンビエッタたちが君たちに向かって飛び込んできた。>
***
<さすがアリエッタ……いや、ゾンビエッタ。>
<物量攻めをされてしまっては、なかなか前へ進むことができない。>
<君はわかった、と頷く。>
<相手の足をすくい、動きを鈍らせながら、ゾンビエッタたちの意識をこちらに向ける。>
<リルムの攻撃によって、少し余裕が出てきた。>
<適当に撃ち込んでいるように見えて、さすがの破壊力である。>
<さすがに大魔道士になれると言われる子だけはある。>
<エリスの魔法が、さらにゾンビエッタの動きを鈍らせる。>
<首肯するや否や、君は渾身の力で魔法を放った。>
<そんなアバウトな指示が――君は咄嵯に魔法で障壁を展開した。>
<各々で、と言われたのに、いつのまにか君は魔法少女たちに囲まれていた。>
<レナが指を向けた先は、爆音と炎に包まれた。>
<大きな振動と、煙が巻き起こる。>
<この防壁もあと少しで破られるところだった。>
<周囲のことはお構いなしの魔法に君は冷や汗をかいた。>
story
ふいぃぃ……だいぶ広がった。あとは魔道生コンを流し込んで……。
<ゾンビエッタを倒した先、小さな部屋にはなんとアリエッタがいた。>
<君は驚き目をみはる。>
<イーニアの呟きを聞き逃さなかった君は、本当にとは、と尋ねた。>
<大ざっぱなひとに責められ、君はついごめん、と言った。>
<睡眠中の夢のことだよ、と君は言った。混乱してきたので、ソフィの頭痛薬を飲む。>
<ふとアリエッタが振り返り、君たちに気づいた。>
わはは、エリスだー!顔煤けてるー!
<エリスも混乱しているようだった。>
<そもそも何してるの、と訊いた。>
<アリエッタは素っ頓狂な声を上げる。>
<あれって何?と君は尋ねる。>
それをね、試したときにちょっと死んでみた。
人とか動物とかを殺すわけにはいかないからね。
でもダメだ。これはダメ。使っちゃダメなやつに分類しといたよ。
<聞くところによると、古代の魔法書を見つけたアリエッタは、その危険度を察知しこの部屋を作ったという。>
<魔道仕分けで試した魔法が失敗したとき、危険な魔法が外部に漏れないようにした。>
<イーニア日く、それがヴォルフラムの魔法書ということらしい。>
このあたりに隠れ潜んでいたが、やがて命尽きた……ということだろう。
<そうして隠れ場所を怪獣に荒らされた、と。なんとも報われない話である。>
<普通の友だち感覚で盛り上がっていた。>
ぷぷぷ、海苔の佃煮が広がる魔法なんだー。無限にご飯が食べられるよ。
黒猫のひと、海苔の佃煮好き顔してるね。
<好きではないけど……と言ったところで、ふと思い出した。>
<この視界を塞ぐアリエッタのことを。>
アトラクション防衛兼ハードモード化魔道機構「防衛ッタ」だよ。
<取り払ってほしい、と伝える。>
アトラクションハードモードどうだった?
<最悪すぎてハイになっていたとだけ言って、君は溜め息をつく。>
<ことの重大さを知らないアリエッタは、ただ普通に仕事をしていただけだという。>
<倒れそうになるエリスに肩を貸してあげて、あいたほうの手でアリエッタの手をつかむ。>
<この子をとりあえず連れ出すのが先決だろう。>
<君は頷いて歩き出す。>
<散々な目に遭ってしまったが……アリエッタも生きていたことだしよしとしよう。>
<何かまだ忘れていたことがあったような……ぼんやりとしているので、思い出すのは諦めた。>
<とりあえず今は、クエス=アリアスに戻るまでにこの視界のアリエッタが消えてくれることを願うばかりである。>
エピローグ
「戻ってこられたにゃ。
アトラクションから街に行ったのが間違いだったにゃ。」
君はげっそりとした表情で、そうだね、と言う。
アリエッタのアトラクションから戻った君は、その後、〈トリック・オア・トリート〉でレナと戦うことになってしまった。
街の中心に信じられないほど大きな穴があいた。それはご愛嬌ということにしてもらった。
「エターナル・ロア回収が面倒だったにゃ。」
海苔の佃煮に埋もれてマジ泣きしていたエターナル・ロアを慰め、リルムのもとへ連れ帰った。
――最も大変だったのが視界アリエッタに塞がれてる現象だった。
あれのせいでレナに5度ぐらい殺されかけた。
「生きててよかったにゃ。
死んでも戻ってこられるみたいだし、本当に死って何にゃ?」
なんでもいいと言って、君は帰路につく。
できればしばらくは休みたい……そんなことを思いながら。