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【黒ウィズ】アルティメットハロウィンガールズ Story6

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作成者: にゃん
最終更新者: にゃん



story



<敷地面積だけでいえば、トワカントリーは最大のアトラクションだった。>

上から見たところ、特におかしなものはありませんでした。

ありがとう、ソフィ。

魔道士だというのにこの中で立派に飛ぶのはソフィぐらいのものだ。

それは偏見だと思うなー、先生。今時の魔道士は飛べなくても移動手段もあるし。

嘆かわしい。私の時代は、皆が皆、こぞってどれほど高く飛べるか、どれほど速く飛べるかを競っていた。

ヴォルフラムの魔法書……どういうものなのかな……。

アリエッタの遺したものの回収も忘れちゃいけないにゃ。

え?

え?

<ソフィとウィズが見合っていた。>

それじゃあ、行ってみますか。

おっけー。



かぼちゃ……?

〈トリック・オア・トリート〉が近いからかしら。

ハーネットランドを通る必要、あったか?

<確かにストラマーラグーンからまっすぐ行ったほうが楽だったように思える。>

ついにここまで来たか……ここは死ぬよ。

<怖いことを言わないでほしい。>

<アリエッタ他殺説もふまえ、調べられるものは調べておきたいのに、モチベーションを維持できない。>

<ふいにあたりを見回して思ったが、アリエッタが亡くなったのに、皆が皆すっかり立ち直って割り切っている気がした。>

<大切な友人を亡くしたというのに、少しドライすぎるのではないか。君はそれを少し不満に思っていた。>

きっと異界の人たちの思想があるにゃ。

<そういうものなのだろうか。だとしても、やはり残念なことに変わりない。>

前の〈トリック・オア・トリート〉で壊した城門は、ついこの前修繕が完了したって。

壊したっけ?

あ、それとリルムちゃん、今月の分は、魔道口座に振り込んでおいたよ。

へへ、さっすがソフィちゃん!

<あれだろうか。ヒモとかいうやつだろうか。>

<それともあれだろうか。やはりソフィは金で解決すればいいと思っているのだろうか……?>

<気にはなったが、ふたりの関係に踏み込むのはためらわれた。>

行きましょう。とにかく魔道石をどうにかするのが先決よ……ってさっきからこればかり言っているわね。

<焦る気持ちもわかるよ、と君は言う。>

<エリスは責任感の強い子だから、目の前の問題を早く解決したいのだろう。>

ここが最後にゃ。さっさと終わらせるにゃ。

<ウィズはアトラクションに飽きてきたようだ。>

<ほかの面々はそうでもないようだが、1日ずっといれば疲労もたまる。>

それにしても尋常じゃない魔力量ね。これだけのアトラクションを稼働させ続けるなんて、疲れないのかしら……。

エターナル・ロアを突き刺しておけば、同じものをもうひとつぐらい作れそうだ。

杖のひとかー。なにしてるんだろ。

リルムちゃんが投げちゃったんだよ……。

<エターナル・ロアがあそこにいるから、魔道石の影も進行が遅いのかもしれません。>

だといいがな。

燃やしちゃおうよ。

やめろ。

そうにゃ。レナはもう爆炎じゃないにゃ。後ろでサポートでもしてればいいにゃ。

<称号をもらってご満悦のウィズがずいぶんと上から目線で言う。>

はぁぁぁ……頭が痛い。ソフィ、薬ちょうだい。

あまり飲み過ぎはよくないですよ?

それ何の薬にゃ?

頭痛薬。はい、ふたりにも。

<ありがたくもらった薬をしまいこんで、君は前を見た。>

<危険な空気が漂うが、ここまで来て引き下がることもできない。>

死ぬなよ、黒猫のひと。


 ***


<ここは、アトラクションというよりも、農場といった風である。>

<かぼちゃのキャストが道案内をしてくれたり、大根を引き抜く体験ができたりと、やれること自体は多い。>

<魔道士らしき装いをした骨が、ひとつだけ横たわっていた。>


この骨……そしてこの服装……。

<イーニアは何か気になることがあるらしかった。>

<しかしなんというか……。>

<先ほどから周囲を囲むように色違いのアリエッタたちが歩いているのが気にかかる。>

<変わり果てたアリエッタの姿を見て、君は涙を禁じ得ない……気がしていたがそうでもなかった。>

zゾンビエッタ。

<自己紹介しているのが視界に映っているからだ。>

どうしたの?あなた、顔色悪いわよ。


<何かに取り憑かれたままで……と君は言う。>

…………。

<エリスが神妙な面持ちで君の顔を覗き込む。>

さっきから思っていたけど、あながち嘘ではないみたいね。

あなたから禍々しい気配が漂ってるわ。

<そう!まさしくそう!ここが正念場と踏んだ君は力説する。>

<最後に頼れるのはエリスだけだよ、と君は言う。>

……けど、あなたに私の魔法を使ったとき、その怪しい気配のものを取り払えてないのよね。

<そういえば……敵と勘違いして返り討ちにあった。>

あなた魔道石を持ち続けていたみたいだし、その気が残っているのかもしれないわね。

<違う……違うんだ、エリス……そう言いたかったが、霊がどうのといって信じてもらえないことはわかっていた。>

魔道石は持っているだけなら危なくないから、数日でその気も霧散するはずよ。安心して。

わたしを消そうとしたな?な?

<そんなことはないよ、と言う。>

そんなことあるわよ。大丈夫。心配ならこのあと処置してあげるから。

黒猫のひと、落ち着いて聞いて。わたしを消したら黒猫のひとが死ぬ。

<死にたくない……と君は言う。>

死なないわよ。どれだけ心配症なのよ。

あ。ゾンビエッタが近づいてきてる。

……どうしてこのタイミングで。

<ゾンビエッタたちが群れをなして突っ込んでくる。>

<困ったことにこっちも相手にしなければいけないようだった。>

<いい加減疲れたよ、と君はぼやく。>

ならば死ねえい!

<今まで襲ってきた子たちはそんなことはなかったが、アリエッタならそれ言いそう、と君は思った。>

やっぱりあれなのかな……〈トリック・オア・トリート〉だからなのかな……。

〈トリック・オア・トリート〉ってそういうやつ?

昔はそういう風習もあったって聞くけど……。

アトラクションには、刺激がつきものだー!わはは!

<そしてついに、ゾンビエッタたちが君たちに向かって飛び込んできた。>


 ***



ちょっと相手が多いわね……。

<さすがアリエッタ……いや、ゾンビエッタ。>

<物量攻めをされてしまっては、なかなか前へ進むことができない。>

ちょっと魔力をためるから、魔法使いさん足止めよろしく。

<君はわかった、と頷く。>

<相手の足をすくい、動きを鈍らせながら、ゾンビエッタたちの意識をこちらに向ける。>

隙あり!

<リルムの攻撃によって、少し余裕が出てきた。>

<適当に撃ち込んでいるように見えて、さすがの破壊力である。>

<さすがに大魔道士になれると言われる子だけはある。>

いや、待てリルム。杖はなくてもいいのか?

杖は邪魔だからいらない。

きっとロアちゃんも泣いてるよ……。

援護するわ。

<エリスの魔法が、さらにゾンビエッタの動きを鈍らせる。>

ウィッチリンク!

キミも攻めるにゃ!

<首肯するや否や、君は渾身の力で魔法を放った。>

来た!魔力集まった!

よーし、みなレナの魔法に巻き込まれないよう各々で防ぐんだぞー。

<そんなアバウトな指示が――君は咄嵯に魔法で障壁を展開した。>

こっちに隠れろー!

<各々で、と言われたのに、いつのまにか君は魔法少女たちに囲まれていた。>

――全部まとめて燃えつきろ!

<レナが指を向けた先は、爆音と炎に包まれた。>

<大きな振動と、煙が巻き起こる。>

やった!爆発最っ高!

<この防壁もあと少しで破られるところだった。>

<周囲のことはお構いなしの魔法に君は冷や汗をかいた。>

さ、行くわよ。

おー!




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story




よいしょ……んしょ……っと。

ふいぃぃ……だいぶ広がった。あとは魔道生コンを流し込んで……。

<ゾンビエッタを倒した先、小さな部屋にはなんとアリエッタがいた。>

<君は驚き目をみはる。>

あ、アリエッタ……!?

本当に生きていたのか。

<イーニアの呟きを聞き逃さなかった君は、本当にとは、と尋ねた。>

黒猫のひと、私の話聞いてなかったの?

<大ざっぱなひとに責められ、君はついごめん、と言った。>

あの世に行ってきたら、アリエッタなんて人は来てないよって追い返されたんだ。

あの世って何にゃ?

<睡眠中の夢のことだよ、と君は言った。混乱してきたので、ソフィの頭痛薬を飲む。>

<ふとアリエッタが振り返り、君たちに気づいた。>

みんなー!どうしたの?

わはは、エリスだー!顔煤けてるー!

ど、どうしたってあなた……え、っと……その、ええ……?

<エリスも混乱しているようだった。>

あ、ちょっと待ってね。魔道生コンを流し込んで、ここを固めるから。

魔道生コンを流し込む前に聞け、アリエッタ。

<そもそも何してるの、と訊いた。>

研究所が手狭になってきたから、広げてるんだが?

研究所?

魔道仕分けの研究所だが?

あ、あなた……ずっと仕事してたの……?

うん。

……それならそうと、ちゃんと報告しなさいよ。みんな死んだと思ってあなたのこと……。

え?私?

<アリエッタは素っ頓狂な声を上げる。>

もしかしてあれか?あれなのか?

<あれって何?と君は尋ねる。>

古代の魔法書を見つけて、そこに死者蘇生の魔法があったんだー!

それをね、試したときにちょっと死んでみた。

人とか動物とかを殺すわけにはいかないからね。

でもダメだ。これはダメ。使っちゃダメなやつに分類しといたよ。

アリエッタの魔力が消えたのは……。

それはこの部屋にいたからだね!中の魔法が漏れないようになってるよ!

<聞くところによると、古代の魔法書を見つけたアリエッタは、その危険度を察知しこの部屋を作ったという。>

<魔道仕分けで試した魔法が失敗したとき、危険な魔法が外部に漏れないようにした。>

<イーニア日く、それがヴォルフラムの魔法書ということらしい。>

道中倒れていた骨……あれがヴォルフラムだ。

このあたりに隠れ潜んでいたが、やがて命尽きた……ということだろう。

<そうして隠れ場所を怪獣に荒らされた、と。なんとも報われない話である。>

あ、アリエッタ……あなたじゃあ、ずっとひとりで仕事してたの?

いまは部屋の拡張エ事をしてたよ。

アリエッタも死んだことあるの?

うん。

骨のひと見た?

ちょっとだけ見たよ。でもそっちに行く前に生き返った。

杖のひと使えばすぐ生き返れるよ。

わはは!すごーい!

<普通の友だち感覚で盛り上がっていた。>

あ、あのね、アリエッタ。あなたが死んだって聞いたから、その……ここであなたのものを……。

魔道アトラクション楽しかった?

すごくよかった。でも改良の余地ありかな。

レナは厳しい。

あ!そうだわ。あなたこれぐらいの魔道石を埋めた?

あー、あれな。あれはなー……あの影もアリエッタ的にNGだから、海苔の佃煮に変えておいたよ。

ぷぷぷ、海苔の佃煮が広がる魔法なんだー。無限にご飯が食べられるよ。

黒猫のひと、海苔の佃煮好き顔してるね。

<好きではないけど……と言ったところで、ふと思い出した。>

<この視界を塞ぐアリエッタのことを。>

あ、それ?わはは、びっくりした?

アトラクション防衛兼ハードモード化魔道機構「防衛ッタ」だよ。

<取り払ってほしい、と伝える。>

無理だよ。1ヶ月ぐらいくっついたままだよ。

アトラクションハードモードどうだった?

<最悪すぎてハイになっていたとだけ言って、君は溜め息をつく。>

……とりあえずもう帰るにゃ。

ええ、そうね……疲れたし。

わたし、まだ魔道仕分け残ってるから、もうちょっとここにいるよ!

いや、ダメだアリエッタ。お前は1度外に出てこい。

えー?

<ことの重大さを知らないアリエッタは、ただ普通に仕事をしていただけだという。>

あー……痛い……胃が痛い……。

<倒れそうになるエリスに肩を貸してあげて、あいたほうの手でアリエッタの手をつかむ。>

<この子をとりあえず連れ出すのが先決だろう。>


あれ、何か忘れてる気がするなー。

皿うどんのアタリでしょ。

それか!ねー、エリスさん、皿うどん食べて帰ってもいいですか。

好きにして……。

それじゃまあ、帰りますか。

<君は頷いて歩き出す。>

<散々な目に遭ってしまったが……アリエッタも生きていたことだしよしとしよう。>

<何かまだ忘れていたことがあったような……ぼんやりとしているので、思い出すのは諦めた。>

<とりあえず今は、クエス=アリアスに戻るまでにこの視界のアリエッタが消えてくれることを願うばかりである。>



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エピローグ



「戻ってこられたにゃ。

アトラクションから街に行ったのが間違いだったにゃ。」

君はげっそりとした表情で、そうだね、と言う。

アリエッタのアトラクションから戻った君は、その後、〈トリック・オア・トリート〉でレナと戦うことになってしまった。

街の中心に信じられないほど大きな穴があいた。それはご愛嬌ということにしてもらった。


「エターナル・ロア回収が面倒だったにゃ。」

海苔の佃煮に埋もれてマジ泣きしていたエターナル・ロアを慰め、リルムのもとへ連れ帰った。

――最も大変だったのが視界アリエッタに塞がれてる現象だった。

あれのせいでレナに5度ぐらい殺されかけた。

「生きててよかったにゃ。

死んでも戻ってこられるみたいだし、本当に死って何にゃ?」

なんでもいいと言って、君は帰路につく。

できればしばらくは休みたい……そんなことを思いながら。





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