【白猫】シオン・思い出
清廉なる兵器 シオン・ロスベルク cv.早見沙織 レヴナントに創られし、共鳴の概念使い。 他者と共鳴することで、世界を知っていく。 |
Flower of Grace ~花咲く竜の島~
フラワーオブグレース
思い出1
こんにちは。
シオンさん。いらっしゃい。
あれ?アンタひとりなの?
ええ。ここへ来たのは、私個人の用だから。
ふ~ん。それで、アンタの用ってなんなの?
あなた達に相談があって。聞いてくれる?
いいわよ。言ってみなさいな。
私たちで力になれるなら、よろこんで。
……ありがとう。来てよかった。
それで相談って、どんなことなの?
私の……ここにあるもののこと。
<シオンは自分の胸の上に、そっと手をあてた。>
ここにって……なにもないみたいだけど?
ある。ここには<共鳴>で得た、私の知らない<思い>が響いてる。
<共鳴>で得た<思い>……?
私は<共鳴の概念>で、相手のことを知ることが出来る。
でも万能じゃない。時には、私の理解できないモノと共鳴する時がある。
ふむふむ。たとえば、なにがわかんないの?
他人の感情。――思いというもの。
……それがわからないんですか?
<共鳴>で得ることはできる。有ることもわかる。でもそれは、理解とは違う。
自分で経験・体験して得たものでないのは、特に難しい。
ふ~ん。なんか面倒なのね。
少し前……ハーヴェイとディーラ、レナの<思い>と<共鳴>した。
私はそれを得たけど……この<思い>を知らなかった。
……シオンさんが、経験したことのない気持ちだったんですね。
そう。私には、こんなに強く熱く、あたたかで柔らかい<思い>は生まれたことがない。
だから、この思いの呼び方も知らない。
……シオンさんは、ハーヴェイさんたちの思いを、理解したいんですね?
そう。私は理解したい。でも方法がわからない……
だから相談に来た。
わかりました。私たちがお手伝いします。
どーんとまかせておきなさい。
ありがとう……よろしくお願いする。
思い出2
よーし!それじゃ、早速いろいろやってくわよ!
わかった。なにをすればいいのか、教えてほしい。
キャトラ、自信満々だけど……どうするつもりなの?
どうするって経験をつませるのよ。
足りないのは自分での体験なんだから、当然でしょ。
……そうだけど、それをどうやってつむの?
それは得意なものからでいいんじゃない?
私の得意なもの……?
そりゃ、戦闘でしょ。だから、森まで来たワケだし。
……そうね。戦闘はたしかに私の得意なものね。
『ガアアァァアア!!』
さっそく出たわねっ!シオン、いっちゃいなさい!
<シオンは襲いくる魔物の前に立ちふさがり剣を振るう!>
これでいいの?
いいんだけど、ちょっと余裕がありすぎね。
そう言われても……困る。
じゃあ……そうね、アタシのこと、レナだと思いなさい。
……キャトラをレナだと?
そうよ。ここにハーヴェイたちはいないわ。
今はアンタだけなの!だからアンタがレナを守るの!
アンタはレナのお姉ちゃんでしょ!
私だけ……私が負けたら、レナが……ッ!?これ――
『ガアアァァアア!!』
って、話してたら、コッチキター!
キャトラっ!?
――させない。レナには……触れさせない。
<シオンは襲いくる全ての魔物を、
尋常ではない殺気を込めて次々に斬り伏せた。>
フゥ……フゥ……
す、すごい……
レナ……キャトラ、大丈夫?
う、うん。大丈夫よ。ありがとうシオン。
いいの。おかけで少し、理解ができたみたいだから。
えっ、ほんとに?!
レナのことを守らないとって、そう考えたら――胸の<思い>に似た熱さが湧いてきて……
アタシは『そう思え』って言っただけなんだけど……アンタ……すごく単じゅ――
シオンさんは、とても素直なんですね。
素直……?私が……?
まあ、そのおかけで少し前進したみたいだし、結果オーライよ!
……そうね。私も、少しだけでも理解できた事は嬉しい。
また、協力してほしい。
はい。もちろんです。
思い出3
キャトラ。次はなにをしたらいい?
ちょ、ちょっと落ち着きなさい。こういうのは焦ったらダメなのよ。
なにせ、ココロの問題なんだから!
(キャトラ……今日はなんだか、頼りになるわ……)
焦りは禁物……わかった。
たしかに少し、性急だった。反省する。
わかればいいのよ。じゃ、今回は平和的にいきましょ。
平和的……?
そう、平和的。シオン、アンタの趣味とか好きなこと教えなさい。
……なぜ?それになにか意味があるの?
あるわ!
……そう。あるなら答える。趣味……好きなこと……
レナと遊ぶこと。あと、料理と……音を聞くこと……
ふむふむ……って、音を聞くことってなに?
そのままの意味。音を聞く。
風の音、雨の音、たき火の音……
自然の音を聞くということですか?音楽ではなく……
音楽を聞くのも好き。ただ演奏は聞く機会が、ほとんどない。
なるほど。それで普通の音なのね。
そうなる。
シオンさんの、一番好きな音ってなんですか?
一番好きな音……?
はい。特別だって思えるような、そんな音です。
特別な音……私の特別な……
……うの……と……
……え?
心臓の……音――
<シオンはキャトラに手を伸ばし、そっと抱きしめた。>
え?えっ?!なに、これ?!
どういうこと??!
……違う。これじゃない……
アンタねえ!
いきなり抱きしめといて、これじゃないとか失礼でしょ!?
……ごめんなさい。
でも、私が好きなのは、あなたの音じゃなかった。
だったら誰のがお気に召すのよ?!
レナ。
即答っ!?
あとディーラ、それにハーヴェイの音も……聞いていると安心する。
心臓の音を聞くと、生きているのを感じる……あたたかくて、優しくなれる……
……シオンさんには、安らぐことのできる音なんですね。
安らぎ……そう……この気持ちが――<安らぎ>
……キャトラ。
なによ?
私はキャトラに感謝してる。でも、この気持ちは生まれなかった。
ごめんなさい。
わかったけど、ごめんなさいはやめなさいよ!
なんかちょっと傷つくでしょー!!
思い出4
……ハァ……ハァ……ッ。
シオンさん?!
<シオンは返事をすることもなく、崩れるように座り込んだ。>
ちょっと!アンタ、ケガしてるじゃない!アイリス!
<*×○■!&%$…………>
……手間をかけさせてごめんなさい。
そんなこと気にしないでください。
それより、どうして傷だらけに……
ギルドの魔物討伐依頼を受けたので。
まさかそれ、ひとりで行ってきたの?!
危ないじゃない?!
でも……私には、これしかないの。
これしかなんて……どういうことですか?
ここへ来て気づいた。あなた達はなんでも知っているし、なんでもできる。
ハーヴェイたちと同じ……私にはできないことがたくさんできる。
でも私にできるのは――
戦うことだけ。だから私は戦って強くならないと……
だからって、ひとりはムボーよ。
でも弱い私は、ここに……
ハーヴェイたちの側に存在する価値がない。
シオンさん……それは違うと思います。
違う?なにが……違うの?
シオンさんの価値は、たとえ弱くても失われるものじゃありません。
そうね。大事なのは力じゃなくて、シオン自身だからね。
……私、自身……?
はい。私たちには、ここにシオンさんがいるだけで、十分な価値があるんです。
だから、ひとりで無茶すんじゃないの。心配するでしょ。
この感じ……胸の中の<思い>に……似てる。
……え?
……あなた達はどうして、私を……そんなに心配するの……?
仲間なんだから当然でしょ。
仲間……私は仲間?
私たちはそう思ってます。だから心配するのも当たり前なんです。
そう……これが仲間の心配……ハーヴェイたちと同じ心……
わかった。もう無理はしない。約束する。
あら。いきなり、いい返事するじゃない。
仲間に心配はかけてはダメ。なんでしょ?
はい。これからはお願いしますね♪
ええ。……心配してくれて、ありがとう。
思い出5
見つけた。ここにいたのね。
もしかして私たちのこと探していたんですか?
そう。なかなか見つからなくて、少し困った。
わかってるわよ。アンタが早くハーヴェイたちのこと理解したいって思ってるのは。
でも、あわてちゃダメよ。こういうのは少しずつ――
キャトラ。
――え?あ、うん。なに?
アイリスも、それから主人公も。
ありがとう。私なんかの相談にのってくれて。
なに、いきなり……あらたまってどうしたのよ?
……あ!もしかしてシオンさん、ハーヴェイさんたちの気持ちを理解できたんですか?
全てではないけど……あなた達のおかげで、理解は深められたと思う。
ほうほう。なるほどなるほど。それは良かったじゃない♪
それならきっと、すぐに全部理解できるようになりますよ♪
そう。あなた達なら、きっと近い内にそうなると思う。でも、私は私だから……
私は、あの場所から……ハーヴェイたちのところから離れることにした。
!?
あなた達ともお別れ。
ただお世話になったから、お礼だけでも言いたかった。
それじゃ、さようなら。本当にありがとう。
ちょ、ちょっと待ちなさい!
どういうこと?!意味がわかんないんだけど?!
?どういうことと言われても……
アタシたちは、アンタみたいに<共鳴>とかできないの!ちゃんと説明しなさい!
説明……
どうしてシオンさんは、ハーヴェイさんたちのところから、離れようと思ったんですか?
私では無理だから。
……無理?
あなた達に、これだけ協力してもらっても、私はまだ<思い>の全てを理解できない。
それを私は、この<思い>を、私には持つことのできないものだと理解したの。
シオンさん……
ハーヴェイたちがくれるのと、同じぬくもりを返せない私では……家族になれない。
だからハーヴェイたちと一緒にはいられない。
…………
そんな顔をしなくていい。
ハーヴェイたちとは違うと解っただけで、十分な成果。あなた達には感謝しかない。
家族と呼んでもらえて、嬉しかったけれど……このまま、どこかへ去るわ。
アンタ、そんなんで本当にいいの?
ええ。私は……あの、あたたかな家族には、相応しくないから……
思い出6 (友情覚醒)
この光……ルーンの――っ!
<共鳴>?!なんで……こんなにあたたかい……
これはあなた達ね……<心配>と<怒り>……
そう。知ってる。二度目……
私を仲聞だと思って、心配して叱ってくれている。
わかってるなら、ちょっとアタシたちの話を聞きなさい。
気持ちは嬉しい。でもキャトラ、私はもう……
アンタは<共鳴>で知ると、それが全部正解だって思い込むわねぇ……
たしかに、その傾向はあるかもしれぬな。
…………え?
<声に驚いて振り向くと、いつの間にかハーヴェイたちが、側まで来ていた。>
アンタたち、なにしにきたの?
シオンが戻ってこないのでな。方々を探して回っていたのだ。
おねーちゃん、みーつけた♪
レナ……ハーヴェイ……ディーラも……どうして……
どうしてもなにもなかろう。家族が戻らぬのだ。探すのは当然だぞ。
家族……でも、私にその資格はありません。
ん?資格がないとは、どういうことだ?
ああ、それなんだけど、シオンが共鳴で、アンタたちの気持ちを知ったらしいのよ。
それは……つまり、我らが気に入らぬから家族ではない。
と、いう遠回しの拒絶か?
違うっ!本当に資格がないのは私の方!
……私の方……なの……
……シオンさん……
私には、ハーヴェイたちが向けてくれるような――
熱くて優しくて心を満たす……あたたかな思いを返せない。
そんな私が、あなた達の家族に、なれるわけがないの……
……シオン……
…………
聞け、シオン……私はお前に言ったな。
私達が互いに、寄る辺無き身だと。
だから共に生きることに、なんら差支えはないと。
……言った……
なら、お前は『なれるわけがない』と不安にならずともいい。ただ――
『なりたい』と願いさえすれば、私達は家族だ。
っ……本当に……それだけでいいの?
私はなにもできないのに……
ああ、それだけでいい。
レナもっ!レナも、おねーちゃんといっしょだよ!
言わずともわかるだろうが……我も言おう。
それで良い。我らはすでに家族だ。
お前はどうだ?シオン……
ッ……う……わ……私は……
私も――家族で、いたいっ……ッ!
ああ。安心しろ。私達は家族だ。もう心配をさせるな。
ッ……うんッ!!
…………
もう大丈夫そうね……
ええ。あとは家族にまかせましょう。
♪
森羅共鳴 シオン・ロスベルク
その他