【白猫】クロー(ギャラクティカ)・思い出
スオウ・クロー・ヨシヤス CV:樋口智透 正気を取り戻した歌舞伎役者の男。 己の無力を知り、芸道を更に進んで行く。 | ||
2017/06/26 |
フォースター☆PJギャラクティカ Rainbow
思い出1
クロー!? クローよね!?
おう、おめぇさんらかい。どした? ハトが豆鉄砲喰らったようなツラあして?
どーしたのよその髪の色!? そんなにショックだったの!?
なにがでぇ?
なにがって…… !
いろいろ……!
いろいろが……!
はは、いらねえ心配をかけちまったようだな。
この髪は、歌舞伎の舞台化粧よ。いわゆる連獅子ってヤツでな。
あ……そうなの? でも、前はさ、もっと赤っぽかったじゃない?
なんで白なの?
一から出直そうと思ってよ。
俺ぁ、一人じゃなんにも出来やしねぇ。それを痛感してなぁ。
もう一度、まっさらなところから、自分を鍛え上げようと思ったのさ。
いまからゼロからやり直すの?
なぁに、長え人生、何かを始めるのに遅いってこたねえよ。
それで、どうして白なの?
赤い連獅子は子供。白い髪は、親さ。
出直すって言いながら、外見は親に成長するってとこに、洒落が利いてると思わねえかい?
わかりづらいわ!
ま、そこは俺らしさとでも思ってもらいたいねえ。
……それにしても、わざわざはじめからやり直すことは……
ん。
クローさんは、歌舞伎役者としてとても人気があると思いますが……
いままですがってたソレも、一旦、ナシだ。
男、スオウ・クローヨシヤスは、芸についても、最初から学び直すつもりよ。
じゃあな!
クローさん、本気みたいね……
一ついいこと言ってたわね。
『人生、何かを始めるのに遅いなんてことはない』
その信念があるのなら、クローはきっと、以前よりももっともっと成長するわね。
……うん、そうだね♪
――完――
な、なにが!? 急にどうしたのキャトラ!?
ごめんごめん……なんだか言いたくなっちゃって……
思い出2
ん~~~……
クローじゃない。ウンウンうなってどうしたの?
いやな。一から、芸を学び直すためによ。
ふんふん。
どっかの役者の付き人になるところから始めようと思ったんだが。
誰も雇っちゃくれやしねぇ。なんでなのかねぇ?
アンタ派手だからよ。
なんだってぇ?
付き人の方が派手なんてヤでしょ。それともアンタ、地味なカッコウする?
うんにゃ、そいつあ俺の流儀じゃあねぇ。
ゼイタクねぇ。
誠心誠意、頭を下げて頼み込んだんだがなぁ。
いくら腰が低くても、クローさんからはオーラがにじみ出てますし……
そうよねえ。
なんてぇこった。俺ぁ、出直すことも出来やしねえってのかい……
だから、髪とか服とか落ち着ければ……
そいつぁ無理な相談だ。
ゼイタクねぇ。これ二回目よ?
ただのゼイタクでこんなナリしてるわけでもねえんだって。
こいつぁ俺なりの、覚悟の証だかんなぁ。
覚悟の?
この見た目をしてりゃあ、逃げも隠れも出来ねぇ。俺あいつ何時でも、邪悪と見たら戦うぜ。
それとは別に、常に衆目を意識した振る舞いも必要になる。これは役者としちゃ大事なことだ。
そういった意味もあったのねぇ。
伊達や粋狂で傾いてんじゃねえぜ?
嘘おっしゃい。歌舞伎ってのは伊達と粋狂の塊でしょ。
はっはっは! こいつあ一本取られたぜ!
やったわ! 一本ゲット!
冗談はさておき、どうしたもんかな……誰にも弟子入り出来ねえし……
そんなら仕方ないじゃない。しばらくは、自分一人で芸を磨いてたら?
一から出直すったって、これまでの経験もあるんだし。練習の仕方くらい知ってるでしょ?
お、こいつあ目からウロコだぜ。それもそうだな。ひとまず、一人稽古に励むとするか!
思い出3
…………
一人稽古をするっていうんで来てみれば……
クローさん、ずっとああして黙ったまま、動かないね……
……ちょっと! クロー!
ん?
これのどこが稽古なのよ?
自然の観察は立派な稽古だぜ? 木の葉のそよぎ、鳥のさえずり。そういった中にも演技のヒントは山ほどあんのさ。
期待してたのと違うの! もっと、発声練習とかすると思ってたのに!
まあ、それも基本だがな。だがよ、声っつうのも突き詰めりや究極、人に伝えるためのもんだ。
逆に言やぁ、どんなに滑舌のいい大声でも、人に伝わらなけりゃ意味がねえ。
かもしれないけど、基本でしょ!それもやりなさいよ!
キャトラったら……
そうだな。適量、やるか。
……す~……ふ~……
あーあー! はっはっは!
終わり。
終わらないでぇ~!
なんでぇ?
アタシが期待してたのはアレなの! 『アクーア青いなアイウエオ!』みたいなヤツなのよぅ!
いや、知らねぇよ……
もっとこう! 早口言葉的な練習をアタシに見せて~!
キャトラって、演劇のことに意欲的なものですから……
おかしな猫もいたもんだなあ。ま、構わねえよ。そんじゃ……
『ウイロー売り』って知ってるか?
ういろーうり!
とある薬の売り口上だがよ。よく滑舌の稽古に使われんのさ。じゃあ、そっから一節。
――来るは来るは何か来る、高野の山のおこけら小僧、狸百匹箸百膳、天目百杯棒八百本。
武具馬具武具馬具三武具馬具、合わせて武具馬具六武具馬具。
っとくらぁ。
おおー! ぶぐばぐ! アタシそれ得意だわ!
お?
ぶぐばぐぶぐばぐぶぐばぐぶぐばぐ
ぶぐばぐぶぐばぐぶぐばぐぶぐばぐ
ぶぐばぐぶぐばぐぶぐばぐぶぐばぐ
ぶぐばぐぶぐばぐぶぐばぐぶぐばぐ
ぶぐばぐぶぐばぐぶぐばぐぶぐばぐ
おぉおっ!? す、すげぇな……!
えっへんってなモンよ!
(キャトラ……!いまのはズルいわよ……!)
思い出4
クロー! 芝居のこと教えて!
俺のは<歌舞伎>だぜ?
芝居は芝居だもの! こんぽんはいっしょだわ!
いつか来る日のために、アタシは演劇的な知識を溜めこまなきゃならないの!
……ホントにコイツ、興味があんだな……
……はい…………ご迷惑をおかけします……
や、迷惑ってこたねぇよ。そうだな。弟子入りも叶わなかったし。
教えるにゃあ、三倍の理解が必要たってなよくある話だ。いいぜ、板の上でのことなら、なんでも教えてやらぁ。
やったー!
じゃあまず、基本の立ち姿勢を――
ううん、応用でいいわ! だいたいアタシ猫だから、ひとの骨格とも違うし!
ああ~? 基本を疎かにする奴ぁ、ロクな芝居出来やしねぇぞ?
アンタもこないだ基本をすっ飛はしたじゃない! アタシもそれと一緒よ!
クルクルよく回る舌だぜ……俺ぁ、基本をないがしろにしてるわけじゃねえんだが……
ま、いい。そうまで言うなら、応用的な部分を教えてやらぁ。
オーケー! とはいえ、歌舞伎だけじゃなく、フツーのお芝居にも使えるコツをお願い!
へいへい。じゃあ、そうだな。
『舞台は上手から下手にゆるやかに風が吹いている』
知ってるか?
ホホーウ! 知らなかったわ! そーゆーのそーゆーの!
それってどういうこと!?
人の動きの自然きとか、難しく言えば色々あるんだが……
ま、強引に結論を言やぁ、同じことをするんでも、上手に立つのと下手に立つのじゃ見え方が違ってくるってことだ。
聞いてもわかりづれぇだろうし、実際に見せてやるよ。
お願いするわ!
お~い。
お~い。
……?
それぞれ、どう見えた?
お~いって言ってたわ。
どんな状況だと思った?
……???
あ、なんとなくわかったかも……
じゃ、もっぺんだ。
お~い。
お~い。
微妙な違い、わかったか?
はい!
右側にいたときは、待っていたクローさんから声をかけられた感じでした。
左側にいたときは、クローさんが後ろから追ってきて声をかけてきたように思えました。
ご名答! そういうことよ!
今みてぇに、同じセリフでも、立ち位置によってニュアンスが微妙に変化するってぇわけさ。
マニアックゥ~♪ もっとそういうのちょうだ~い♪
思い出5
…………
……思ったんだけどさ。
クロー、前よりも静かになっちゃったよね。
やっぱり……元気ないのかな……?
……あんなことがあったんだものね……
お? そんなとこに突っ立って、どした?
クロ~~~!!!
おわっ!? なんでぇ!?
アンタってば……! いいのよ! 辛いときはアタシらに頼って!
話が見えねえぞ!?
キャトラ、クローさんのことが心配になったみたいで……
あぁ!?
ごめん、アタシってば、思わず突進しちゃった。
……心配って? 何かだよ?
いや……なんというか…………未練的なものとか……
……ホラ、アンタ……あの子のこと、アレだったし……
…………
ま……そうだな。
特殊な形になっちまったが…………実らず、で、仕舞いさ。
…………
…………
よくあるこった。
……それでいいの?
ああ。それによ。。
俺自身、とんでもねえ目に遭っちまったが、役者なんてな、不幸な目に遭や遭っただけ、芝居の幅も広がるってモンよ。
いつまでもクヨクヨ悩む気はねえよ
そう……
心配してくれてありがとよ。じゃあな。
***
――さて。とはいえ、だ――
ケジメは、つけておかねぇとな――
クローは一人、闇の中で武器を構えた。
そして目をつぶり、念を凝らす。すると――
やっぱ、いるかい。あいつを呼んじまったのは、俺の弱ぇ心だもんなあ。
さてさて……己の心の影に、武芸が通用すりゃいいが――
おや、効きやがる。いや、待てよ。
容易く効くのは甘えだな。すぐに出来ると思っちまう。そいつが俺の根本か……
何をやっても、すぐに成果が出ちまった……
そんな俺のこれまでの人生に、ケリをつけるにゃあ――
クローは武器を投げ捨て、己の影に対して両手を広げた。
――こうだな。
影が振り下ろした斧が、クローの胸へ吸い込まれる――!
思い出6 (友情覚醒)
――くぅ~っ……痛ツツツ……!
フローリア
……やっぱり、いるかい。そういや、直接言っちゃいなかったな。
……あんたに、惚れてたぜ……
だがもう、思い出ン中だ。あばよ……
…………
ジュウベエ
小さい兄上は、見栄を張り過ぎなんです。
……ジュウベエか? なんでぇ、いきなり。
残酷かもしれませんが、大きい兄上は、別なんです。
兄貴……あんたは、俺とそっくりだと思ってたぜ。何でもソツなくこなしてよ。
けど、なんだかんだで俺より面倒見いいかんなあ。今もどこかで、苦労してんのかい?
蛇
……あんたか。
あんたは、俺が想像出来ねえくらい長い間、苦しんでたんだってなあ。
…………
……でも、一個、勝ったぜ。
俺は……愛して、その人を……失った。
それはあんた、経験ねぇだろ?
…………
……そうだな。
俺あ存外、ちっぽけな人間だ。小器用にゃあ生きれるが、特別な力なんぞねぇ。
人を導くカリスマもねぇ。凄惨な過去もねぇ。背負う使命もねぇ。
だからよ……人間として。
人間らしい痛みを糧に、これからも、生きてくってワケだ……
その点、誰かと比べて負けてるってことも、ねぇのかもな――
……へっ。
開き直って、生きてやらぁ!
***
……クロー! こんなトコで寝て! また酔っ払ってたの!?
思わず主人公に光ってもらっちゃったじゃない!
……おう。手間かけちまったなあ。
ふんとにもう! 原因はナニ!? ホントーに飲みすぎたったら……
ああ、ついつい過ごしちまった。
ぎにゃーっ! ゆるさーーーん!
悪い悪い。
反省の色が見えーーーん!
もう、キャトラったら……
だけど、クローさんに、明るさが戻ってきたような……?
出直した男 スオウ・クロー・ヨシヤス
その他