3000万回のラッキーチャンス! Story
開催期間 : 3/16 ~ 4/10
目次
Story1 二人の天使
アイリス
冒険家、たっくさん増えたね♪
キャトラ
いやはやさんぜんまんとはね~……
まったく、アタシがぴょっと
目をはなしてたスキに……
アイリス
はなしてたんだ……
キャトラ
あら? ディオニスだ。
ディオニス
うぐぐ……俺としたことが、
戦闘用の鎧で
一週間も政務をしてしまうとは……
ディオニス
忙しかったとはいえ、ぬかった……
もってくれ、我が鎧よ……!
ディオニス
うっ! 御大の店まで
あと少しだというのに、
鎧の留め具が外れそうだ!
このままではあられもない姿に……
キャトラ
ぎ、ギニャー! やめれー!
???
ラッキープレゼント!
ディオニス
うぉっ!?
唐突に足元を駆け抜けた
うりぼうにつまづいて転ぶぞ!
ディオニス
こ、これは……!
倒れた衝撃で、鎧の留め具が
がっちりはまっただと……!?
ディオニス
なんたるラッキー……!
???
…………
ディオニス
……ん?
???
……どう?
ディオニス
んん?
???
ハッピー?
ディオニス
んむう?
???
鎧脱げなくて、どう?
ハッピーじゃない?
ディオニス
まあ、な。
これで万全の装甲で
御大の店へ行けるしな。
???
うん。
うんうんうんうん。そうよね。
よかったよかった!
ディオニス
……?
よくわからんが、忙しい身でな。
失礼!
???
いや~……いいことするって
スガスガしいなぁ~……!
キャトラ
いまのうりぼう、
アンタが呼んだの……?
アンタ、どちらさま?
マール
あ、こんにちは。あたしはマール。
幸運の女神さまにおつかえする
天使だよー。
???
おい。
???
あんな鎧男に<<幸運>>をやることは
なかっただろう、マール
マール
んー、でもねー、
かなり苦労してる様子だったよ?
若そうなのに、むーって顔でさー。
???
フン。
まつりごととはそういうものだ。
するべき努力は努力と呼べん。
キャトラ
こっちも羽だ……天使が二人……?
アイリス
こんにちは。
私はアイリスといいます。
あなたは?
???
……なんだ? 人間?
馴れ馴れしく声をかけるな。
キャトラ
ちょっとぉ!
礼儀正しく
アイサツしたでしょぉ!?
ガレア
フン。俺はガレア。
人間風情に名乗る名などない。
ガレア
行くぞ。マール。
人間どもの街で、いつまでも
遊んでいる暇などない。
キャトラ
ムッ! ずいぶんないいぐさ!
アンタたち!
ちょっと待ちなさいよ!
ガレア
お前たちに付き合っている
時間などない。用があるなら
横にくっついて歩きながら話せ。
キャトラ
おいてこうったって
そうはいかないわ、
横にくっついて歩きながら……
……アレ?
ガレア
どうした?
そうするのであれば、
止める手立てもないわけだが。
キャトラ
うん……じゃあ、ついてくわよ。
マール
さ~って、本日の
<報われない人>はどこかなー?
ラッキーあげちゃうよ~♪
Story2 働き者のリーゼント
テツヤ
ちっ、あのオヤジ、
久々に顔見せたと思ったら
コキ使いやがって……
テツヤ
上まぶたと下まぶたが
タイマンしそーだっつーの!
ねみーぜちくしょー!
フラフラ歩くテツヤの頭上に、
突然の落石が迫る!
マール
ラッキープレゼント!
掛け声とともに放たれた
マールの不思議な力が、
テツヤのリーゼントを鋼に変える!
落石は、リーゼントに砕かれ、
粉々になって地面に散らばった……
テツヤ
……お?
マール
……どう?
テツヤ
……あぁ?
マール
鋼鉄のリーゼント、ハッピー?
テツヤ
……あん? わかんねーけど……
岩、防いでくれたってことか?
マール
うん。
テツヤ
……おぅ。
さ、サンキュー……
……じゃ、じゃあな!
マール
うんうん!
ラッキーでハッピー♪
キャトラ
……ふむふむ。
つまり、二人はこうして
人助けをしてまわってるってこと?
ガレア
俺たちの仕事を
人間なんぞに話してなんになる。
キャトラ
アタシは猫よ!
ガレア
同じことだ。
キャトラ
おなっ……!?
ちがうと思うけどっ!?
ガレア
<幸運>の女神はきまぐれだが、
努力した人間が
不幸になることは望まない。
ガレア
そこでマールが遣わされ、
不当な不運に見舞われた者に
<幸運>を与えているのだ。
アイリス
(この人やっぱり親切だわ……!)
キャトラ
ふうん……?
ガレアは黒いけどさ、
アンタもマールと同じなの?
ガレア
俺は<奪う>側だ。
過剰な<幸運>を――
――あるいは不運をな。
キャトラ
……なるほどー。
ひょうりいったいってわけね。
マール
でもねー、誰にでも簡単に
ラッキーをあげるわけじゃないよ。
これは努力へのごほーびなんだ!
キャトラ
……さっきのテツヤはなんの努力?
マール
あんなにフラフラになるまで
働いてたんなら、うん。
それは、努力でしょう!
キャトラ
(意外とハードルは
低いみたいね……)
ガレア
……マール、
いつも言っているだろう。
もっと厳格に審査しろ。
マール
いいじゃない~、
みんなハッピーになる分には~?
ガレア
そう簡単なことではない。
いいか、過ぎたる<幸運>は……
マール
ハイハイ、わかったよー。
それじゃ、
本来のターゲットを探そっか。
ガレア
……フン。まアイリスい、行くぞ。
道中には魔物も多いが、
幸い味方も得たことだしな。
キャトラ
えっ!?
アタシたちのこと!?
ガレア
……知らぬまに俺は、
おまえたちに対し、ある程度
本心を語っていた……
ガレア
それは、俺自身が<ダチ>だと
認めたからなのではないか、
ということに気づいたのだ。
キャトラ
いつのまにか
勝手に友達認定されてた……
アイリス
いいじゃないキャトラ。
お手伝いしましょ?
ガレア
サンキュー。
では、行くとしよう。
Story3 ふるえるこいぬ
タロー
キュゥン……
コヨミ
しょげないよ、タロー……
せっかく、やっと見つけたのに……
落としちゃった<雪のルーン>、
だれかひろって届けてくれるよ……
コヨミ
……ぶるる……
寒いね、タロー……
タロー
キュン……
コヨミ
……枯れ枝、集めてくれたの……?
……たきびね……でも……
……火がないんだぁ……
タロー
キュゥゥン……
コヨミ
……タロー……
……私、もうくたくただよ……
キャトラ
マール! マール! マールゥ!!
マール
ら、ら、ら、
ラッキープレゼントぉ!!!
マールの杖から放たれた
温かい光が、
コヨミとタローを包む……
コヨミ
……あれ……?
……おむかえ、なの……?
タロー
キュン、キュン……
コヨミ
……うふふふふ……
……あっち、とってもあかるいね、
タロー……
キャトラ
マールゥゥゥウ!!!
マール
ら、ら、ら、ら、
ラッピープレゼントゥア……!
再びマールが
ふりかざそうとした杖を、
ガレアが止めた。
ガレア
待て。
ガレアはコヨミへと歩み寄ると、
そっと手をさしのべた。
ガレア
……こんなところに
ペタンと座ってちゃダメだ。
さあ、宿まで送ろう。
ガレアはコヨミの手を引いて、
近くの宿に送り届け……
戻ってきた。
キャトラ
……すんごい近くに宿あったね……
ガレア
ああ。
マール
ガレア~、そんなことしなくても、
ラッキーにしちゃえばいいよー?
マール
そうすれば幸せだもん。
ごほーびの出し惜しみを
することなんてないんじゃないー?
ガレア
…………
アイリス
ガレアさん……?
マール
……気をとりなおして、
次に行きましょっか!
アンラッキーな人どこ~?
ガレア
…………
キャトラ
ガレア? どうして黙ってるの?
ガレア
……マールはまだ、
わかっていない……。
<幸運>というものを……
ガレア
……ともかく、
もう少しついてきてくれるか?
アイリス
はい。マールさんを追いましょう?
ガレア
サンキュー、ブロウ……!
Story4 みすぼらしい少年
少年
……これだけじゃ
とても足りません……
家には妹もいるんです……
商人
自分だけ特別だと思うなよ。
闇の魔物のせいで、
苦しんでる人は大勢いる。
商人
半人前以下のお前の働きに、
これだけの食糧を渡すんだ。
商人
感謝されこそすれ、
不満を並べるのは
おかど違いだな!
少年
……リィナ……
マール
なんなのあのおじさん!?
あんなイジワルないよ!?
マール
あの子を救わなきゃ!
ラッキープレゼン――!
ガレア
待て!
マール、軽卒な行動はよせ!
マール
止めないで!
あの子を幸せにしなくっちゃ!
ラッキー……!
マール
――!?
杖を振りかざしたマールが
突然ひざから崩れ落ちた。
キャトラ
マールっ!?
ガレア
……大丈夫だ。
……少し<幸運>の供給を
<止めた>だけだ。
アイリス
<幸運>を……とめた……?
キャトラ
ガレア……どういうこと……?
ガレア
…………
少年
う、うわあぁぁあっ!?
ガレア
しまった、あの子の不運が
魔物を呼び寄せたか……!
行くぞ!
キャトラ
まってよ、マールは!?
ガレア
……!
ガレアの白い翼から
放たれた光を受け、
マールはうっすらと瞳を開いた。
マール
……あれ?
ガレア
さっきの少年が
魔物に襲われている。
助けに行くぞ。
マール
!?
だからラッキーをあげれば
よかったんだよ!
マール
慎重すぎるのも考えものだよ!
ちょっと冷たいじゃないガレア!?
ぼやぼやしないで急ぐよ!
ガレア
…………
アイリス
ガレアさん……
Story5 幼い妹
――魔物を退けると、
助けられた少年は
ぺこりと頭を下げた。
少年
ありがとうございます、旅の方……
マール
気にしないで。
ラッキープレゼントォ!!!
ガレア
ばっ……!
マール
ありったけのラッキー、
あなたにあげるよ!
幸せになってね!
少年
えっ? えっ?
マールの杖から
一際眩い光が放たれ、
少年の全身を包み込んだ。
ガレア
……!
少年
えっ? あれっ?
いまのは……?
ガレア
……忘れろ。
少年
そんな、忘れろったって……?
少女の声
……おにいちゃーん……!
少年
リィナ!
……すみません、失礼します。
忘れません、ありがとう!
キャトラ
これであの子は、
幸せになるってこと……?
マール
もちろんでしょ!
だってあたし、ラッキーをあげて
ハッピーにする天使だもん。
ガレア
……本当にそれがあの子のためか?
マール
え?
ガレア
……見てみるがいい。
……お前が、
何をしてしまったかを……
マール
え……?
…………
……
少年
ただいま、リィナ。
すぐに食事の支度をするよ。
少女
! まって、おにいちゃん、
それっぽっちなの……?
それだけじゃ……
少年
……おにいちゃんは、
だんなさまのお屋敷で
食べてきたからいらないよ。
少女
……うそ。
そんなのうそだよ!
あの人、ケチだもん!
少年
こら、だんなさまの悪口はよせ。
少女
みんな言ってるもん!
あの人、自分だけもうけて、
まわりにぜんぜんあげてないって!
少女
あたしがもっとたべもの
もらってくる!
少年
待て、リィナ!
ガレア
まずい!
マール
え? どうしたのよ急に?
ガレア
あの子たちは食べ物を
手に入れるぞ!
ガレア
それはどこからだ!?
マール
…………
……! まさか……!?
…………
……
商人
……50人からの従業員に
配る分を引いて、残りの食糧は
これだけか……
商人
……くそっ、闇め……!
仕入れが滞らなければ、
こんなことには……!
商人
ふん。見栄を張らなくなったら
あきんどはおしまい、か……
辛いところだな!
ちっ、うるさい腹の虫だ!
商人
なんだと!?
どうしてここに魔物が!?
くそ……どういうことだ!?
Story6 見栄を張った商人
少年の声
――なんで門が開いて……?
それに誰もいないし……?
少女の声
――たべものいっぱいだよ!
もってかえろ、おにいちゃん!
少年の声
――リィナ……
――魔物を蹴散らし、
屋敷の奥へ到達すると、
商人が横たわっていた……
ガレア
……遅かったか……
これが不運の末路だ……
マール
これ……?
そんな、どうして……!?
ガレア
マール。お前はあの少年に、
<幸運>を与えすぎてしまった。
マール
なにそれ……?だって、
ラッキーをあげるのが、
あたしの役目……!
マール
『努力した人間が、
報われないのは間違ってる』
マール
だから女神さまはあたしたちを
遣わせたんだって、
ガレアは言ってたよね!?
ガレア
そうだ。
<報われない>のは間違っている。
そう考えている。
ガレア
だが……それだけだ。
過剰な<幸運>を手にしたものが
どうなるか……!
ガレア
行くぞ、マール。
これだけでは済まないだろう……!
マール
……!
アイリス
……ねえ(主人公)……
あの二人って……
キャトラ
……うん。なにかありそうね。
乙女のカンで。乙女じゃない
(主人公)はどう?
キャトラ
(主人公)も
そう思うのね……
アイリス
……ついていってみましょう。
まだ魔物もいるし、
最後までお手伝いしなきゃ……
Story7 声をかけてしまった者
少女
りょうてじゃかかえきれない♪
こんないっぱいのたべもの
はじめて♪
少年
ああ、そうだな……
ガラの悪い男
……おい、ガキども。
いい物持ってるじゃねえか。
ガラの悪い男
闇の魔物のせいで、
食糧が足りなてねぇのに、
羨ましいぜ。分けてくれよ?
少女
やだ、はなしてっ!
少年
リィナ!?
おい、その手をはなせっ!
ガラの悪い男
――!?
――そのとき、一本の木が倒れ、
ごろつきが下敷きとなった……
少年
な、なんだよこれ……!
少女
……!
あたし悪くないもん……
悪くないもん!
少年
ま、待てよ、リィナ!
マール
そんな!? どうして、
あっちの人に
アンラッキーが……!?
ガレア
少年と対峙した結果だ。
彼は不運に
なってしまったのだ。
マール
違う! あたしは
<ラッキー>をあげただけ!
誰からも奪ったりなんかしてない!
ガレア
異常なほどの<幸運>は、
他者の<幸運>をも引き寄せ、奪う。
ガレア
<運>がゼロになれば、
その人間は生きていられない。
マール
そんな……!
そんなの、知らなかった……
マール
どうして……?
あたしは、人をハッピーに
してあげたいだけなのに……
ガレア
……幸福、か……
…………
少女
あたし悪くない、
悪くないもん……!
兵士
おい、そこの子供たち。
なんだその食糧は?
どこから持ってきた?
少女
これはあたしたちのだもん!
兵士
どこからか盗みでもしたか……?
話を聞かせてもらおう。
さあ、ついて来い!
少女
やっ、いやだーっ!
これはあたしたちのだもん!
少年
リィナ!
兵士
――なっ!?
どうしてこんなところに
魔物の群れが!?
少女
あたし悪くない、
悪くないもん!
アイリス
魔物の唸り声が!
ガレア
行くぞ!
マール
こんなことになるなんて、
あたし……
ガレア
わかっている!
まだ取り戻せる!
マール
……でも……
ガレア
前を向け、マール!
……たった一度の失敗で
立ち直れなくなる……
ガレア
そんな天使に、
だれを幸せに出来る!?
マール
……!
キャトラ
……イイコトいうじゃん、ガレア。
アイリス
ええ……!
私たちも力を貸します。
さあ、急いで!
マール
……うん!
Story8 後悔する天使と反省中の神
魔物を倒した跡に、
少年と少女が立っている。
兵士が倒れている……
マール
…………
少年
あなたたちは……前に会った……
ガレア
……、、
、
少年
なにか、したんですか、僕に……?
マール
あの……
少年
…………
マール
ど……
マール
…………
少年
……?
ガレア
……どう、だ?
少年
……どう、って……
少年
……あまり……
いい気持ちじゃありません……
マール
…………
ガレア
……君にとっての幸せを、
聞かせてくれないか?
少年
……リィナと一緒に
暮らせることです。
ガレア
それだけか?
少年
それだけです。
他に望みなんてありません。
……リィナ! それ返しに行こう。
少女
おにいちゃん……?
少年
ははは、捨てるわけじゃないよ。
でも、独り占めって、
気分は良くないよな?
少年
リィナの分はもうあるし……
……余ったらまたもらえばいいさ!
そうしよう!
少女
……うん。
少年
いい子だ。
マール
…………
少年
……お願いします。
ガレア
……いいんだな。
少年
はい。
意思を秘めた瞳で頷いた少年。
ガレアの黒翼が、少年から
<運>を吸い取る……
無言で頭を下げ、
兄妹は立ち去った。
ガレア
…………
ガレアはマールに向き直ると、
白い翼から<幸運>を受け渡す。
マール
…………
ガレア
これでまた、お前は他者に
分け与えられる
<幸運>を得た。
マール
……あたし、いい気になってた……
自分勝手に<ラッキー>を……
<幸運>をばらまいてただけで……
マール
……こんな力があっても、
あたしはうまく扱えない……
誰も幸せには出来ないから……
ガレア
……言い忘れていたが、
被害者たちは、まだ息がある。
……<運>が良ければ助かるな。
マール
! それを早く言ってよ!
それなら……それなら……!
命が助かるなら……!
マール
いいよね!? 幸せだよね!?
あたしはそうだと思うもの!
あげるわあたしの<幸運>を!
マール
ラッキープレゼント!
兵士
……う……?
マール
あとあとあと、さっきの人と、
商人の人と!
急がなきゃ!
ガレア
……フン。
せっかちな奴だ。
キャトラ
ねえ、さっきの子さあ、
こーうん取っちゃったら、
またふうんになるんじゃないの?
ガレア
余分な不運も奪っておいた。
アイリス
もしかして、そのぶんガレアさんが
不運になるんですか?
ガレア
それはない。
俺はな。
ガレア
<幸運>の神さまなんだよ、実は。
キャトラ
えぇっ!?
ガレア
女神じゃなくて残念だったか?
キャトラ
ウン、ソーネ、
サギダトオモウワ……
ガレア
現実を受け入れろ。
さて、マールを追うか。
魔物もまだいるだろうしな。
最終話 前をむいた天使
マール
ラッキープレゼント!
ガラの悪い男
……いてててて……
マール
ラッキープレゼント!
商人
……ん……
ガレア
長居は無用だ。行くぞ。
キャトラ
そーね。
マール
……ガレア……
ガレア
なんだ。
マール
……ごめんなさい!
あたしが軽々しく、<幸運>を
あげちゃったせいで……!
マール
みんなに迷惑かけて……
……ガレアにも……
マール
……本当にごめんなさい!
ガレア
……いいさ。
マール
……でも、一つだけ教えて。
<幸運>は、他人の不幸の
上にあるものなの……?
ガレア
…………
ガレア
(……みんなが幸せになる
<幸運>……<ラッキー>も、
きっとある……はず……と言うか、
あって欲しいし、ないのもアレだし
希望は捨ててないっていうか……)
キャトラ
なんだかもごもご
歯切れ悪いわねぇ~?
ガレア
…………
ガレア
現に、お前は……
マール
え?
ヴィルフリート
む。連日の謁見で疲労が。
我としたことが、
つのが木のフシに挟まるなどと……!
マール
あっ! がんばってるのに
報われてない人発見!
<幸運>あげなきゃ!
ガレア
おいっ!?
マール
量をセーブすれば
だいじょうぶなんでしょ~?
ガレア
……やれやれ。
お人よしな性格は
直りそうもないな……
キャトラ
いいじゃない。あんなカンジで
ちょこちょこやるぶんには、
だれにも迷惑かかんないんでしょ?
ガレア
まあな。
……よくそこに気づいた。
やるな、キャトラ。
アイリス
ガレアさん、聞いていいですか?
マールさんに<幸運>を
供給してるって……
アイリス
それは、どういうことなんですか?
ガレア
……そうだな。ダチには、
隠し事はしたくないしな。
ガレア
マールは一度死んだ。俺の過失で。
俺は自分の<幸運>の半分を分け、
彼女を甦らせたんだ。
キャトラ
えっ……!?
ガレア
……今回の彼女と同じように、
考えなしに<幸運>を与え、
その被害者にしてしまったんだ。
ガレア
俺の<幸運>の半分を得て、
彼女は天使として生まれ変わった。
いや、俺とほぼ同じ存在だから、
<<幸運>の女神>と呼べるかもな。
キャトラ
そうだったんだ……
ガレア
マールと一緒に世界を周るのは、
彼女への罪滅ぼしと……
ガレア
<幸運>は、本当に
<幸運>なのか……?
それを考えるためなんだ。
キャトラ
<幸運>の神様でも、
そこはわかんないんだ?
ガレア
……神だって、完全じゃない。
ガレア
俺たちも、迷って悩んで、
試行錯誤して、
努力して生きてるのさ……
キャトラ
あんま変わんないのねえ、
アタシたちと……
マールの声
ラッキープレゼント!
ヴィルフリート
む。無事だった逆の角に、
鳥のフンが落ちただと。
マールの声
あ、あれ……?
ヴィルフリート
喜ばしいことだ。
おもしろハプニングが重なった。
もう一声……!
マールの声
え!? なんだこの人~!?
それがラッキーなわけ~!?
キャトラ
マールにいたっては、
ほんとに全然未熟な
神さまだねぇ。
ガレア
……お恥ずかしい限りだ……
アイリス
ふふふ……