ちび太・思い出
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思い出1
ちび太
なるほど。ここが飛行島だね。
アイリス
ええ。歓迎しますね、ちび太さん。
キャトラ
空の上の感想はいかがかしら?
ちび太
爽快の一語に尽さる。
君たちは恵まれた
旅をしているなぁ。
キャトラ
そーお?
意識したことは
あんまなかったケド……
アイリス
ちび太さんは、
広いところが好きなんですか?
ちび太
もちろんだとも。
私は猫だ、動物だからね。
ちび太
もっとも、家の中も好きさ。
『猫はこたつで丸くなる』とは
よく言ったものだよね。
キャトラ
こたつ?
ちび太
あったかいヤツさ。
キャトラ
あったかいところで
丸くなって寝るのは、
アタシも大得意よ!
アイリス
キャトラったら……
ちび太
いやいや、猫はそれでいいのさ。
私も平素はほとんど寝ているんだ。
もう若くはないからねぇ……
キャトラ
あんまりそうは見えないけど?
ちび太
これでも、家では
長老と呼ぱれているんだよ。
キャトラ
ふ~ん……
キャトラ
アイリス!じゃらし!
アイリス
がってん!
ちび太
わ~い! ねこじゃらしだ~!
じゃれるぞじゃれるぞ、
じゃれつき倒すぞ~♪
キャトラ
……長老よ。
ちび太
‥‥‥ハッ!?
キャトラ
じぃ~……
ちび太
……ふっ。この私も、
長老である前に、猫だった……
と、いうことかな。
キャトラ
な~にが
『と、いうことかな』
なんだか。
思い出2
ちび太
私の自慢は、この白い毛並なんだ。
ええ、とっても綺麗だと思います。
ちび太
二人とも、ありがとう。
キャトラ
ちょっと待ったあ!
白い猫といったら、
このキャトラさんじゃないのお!?
ちび太
キャトラくんの毛並も素敵だよ。
私には及ばないけどね。
キャトラ
及ぶもの!
アタシのほうがピチピチだもの!
どっちも綺麗ってことで
いいんじゃないかしら……?
キャトラ
そうはいかないわ!
自分の毛並がだれより一番!
キャトラ
それが猫なんだから!
キャトラ
勝負よちび太!
ちび太
いいだろう。受けて立とう。
勝負……?
キャトラ
お互いに、
自分の毛並をけづくろい対決よ!
よーい、ドン!
キャトラ
べろべろぺろぺろ……
ちび太
ふっ……!
キャトラ
べろ?
ちび太
こんなこともあろうかと、
私は常にこれを
持ち歩いていてね!
そう言うと、ちび太はブラシを
取り出した!
キャトラ
べろべろ!(ひきょうよ!)
ちび太
なにを言つてるのさ。
これは紳士のたしなみだろう?
ちび太
スッスッ、ササササ!
キャトラ
べろ!(負けないんだから!)
キャトラ
べろべろべろべろべろべろべろべろ
べろべろべろべろべろべろべろべろ
べろべろべろべろべろぺろぺろ……
ちび太
くっ……! やはり、
光沢の面では遅れをとるか!?
ちび太
べろ……!
キャトラ
ずる禁止!
ちび太
なっ!
キャトラ
アタシはそれないんだから!
かわりにアンタは、
なめるの禁止!
ちび太
……もっともな要求だ!
仕方ない……!
ちび太
スッスッス!サッサッサ!
キャトラ
べろべろぺろぺろ……
………………………
…………
………
キャトラ
ヤッター! 勝ったー!
ちび太
くぅ……!
あと少しだったのに……!
……キャトラってすごいね……
思い出3
ちび太
おしりという部位についての
話なのだが。
キャトラ
いきなりおげれつな話!?
ちび太
そうではない。
そもそもおしりって、
なんだと思う?
アイリス
なんだ、と聞かれても……
キャトラ
……座るところかな?
アイリス
そうだね。
ちび太
それもあるだろうね。
キャトラ
ほかになにがあるの?
ちび太
体の中でも、比較的
鈍い部位である、
ということかな。
キャトラ
ほほう?
ちび太
つまり、ある程度ぶたれても、
おしりであれば
へっちゃらだってことさ。
キャトラ
……だから?
ちび太
ためしに私のおしりを
ぶってくれないか?
キャトラ
ナゼ?
ちび太
だからためしに。
キャトラ
うーん……
ためしてみる意味が
わからないんだけど……
ちび太
そこをためすのがためしだろう?
ほら、いいから、早く。
キャトラ
……主人公。
どうする?
意を決して、
ちび太のおしりを叩いてみる。
ちび太
お! いいぞ!
ばっちこーい!
ちび太
ほら、もっと!
ここを! ここをこう!
ここをこうこうこう!
ちび太
ぼっちこ一い!
いいぞぉ、ノってきたぁ!
ちび太
ばっちこーい!
さあさあ、アゲイン!
ばっちこーい!
アイリス
主人公……
キャトラ
…………
ちび太
ああっ!? なぜやめる!?
キャトラ
なぜじゃねえ。
思い出4
ちび太
ここは楽しいところだね。
アイリス
あら、どうしたんですか?
ちび太
このあいだ、
おしりについて思案しながら
歩いていたときのことだ。
キャトラ
なにを考えてるのよ……
まあ、あたまの中は
見えないからいいけど……
ちび太
ところが、顔に出てたんだろうね。
キャトラ
どう出るわけっ!?
ちび太
突然、ツノを生やした男性に
声をかけられてね。
ちび太
『貴様、いま、
でんぶのことについて
考えているであろう?』って。
キャトラ
ものすごい呼び止め方も
あったもんだわ……
ちび太
なぜわかったのか尋ねるよりも、
私はこう返した。
『もしや、あなたも?』と。
ちび太
彼は『うむ』とうなずいた。
キャトラ
なにその流れ……
ちび太
するとそこへ、見事なふとももの
霊長の末裔という戦士も
通りかかった。
キャトラ
なにその流れ……!
ちび太
そして言った。
『俺もー緒に踊ろう』
キャトラ
なにその流れ!
ちび太
『貴様ら、見事なステップだな』
『帝王として当然である』
『猫のワルツをお見せましょう』
アイリス
すごい……!
なんか、わからないけど、
なにかがすごいわ……!
ちび太
……とまあ、
そんなことがあってね。
キャトラ
ただの
変態の饗宴じゃないのよさ……
ちび太
そんなことはない。
それぞれが使命を背負った
ー人前の男だったさ……
キャトラ
アンタなんか背負ってたっけ?
ちび太
特には。
思い出5
ちび太
なあ、君たち。
アイリス
なんでしょうちび太さん?
ちび太
うわさで聞いたのだけど、
なんでも叶えてくれる
ルーンの光があるそうだね?
キャトラ
……どーゆーウワサなのかしら……
まあ、そんなに
間違つちゃいないけどさ……
ちび太
私の願いも叶えてくれるのだろう?
キャトラ
願い次第よ。
ちび太
そうなのか?
アイリス
と、いうよりは……
困っている背中を押してくれる、
みたいなものなのですが……
ちび太
私は特に困っていないんだ。
こうして元気に過ごしていて、
そんなこと言ったらバチが当たる。
キャトラ
それ自体は
悪いことじゃないけど……
じゃあ願いってなんなの?
ちび太
あんまり変なことだと……
ちび太
若返りたいんだ。
キャトラ
それは無理じゃない?
ちび太
全部じゃなくていい。
毛ヅヤを取り戻したいんだ。
あの頃のような、光り鐸き、
水滴を弾く毛ヅヤを……
アイリス
毛ヅヤを……?
ちび太
ご存じの通り、先日の対決では
僅差でキャトラくんに
負けてしまった……
キャトラ
ううん。
ダブルスコアだったわ。
アイリス
キャトラったら……
ちび太
私は飼い猫だ。
ご主人様を喜ばせるのが仕事だ。
ちび太
だから、年をとって
色あせてきた毛並を……
見せたくはないんだ……
アイリス
そんなこと……
しょこたんは思わないと
思いますが……
キャトラ
かもしれないけど……
猫として、アタシは気持ち、
わかんなくもないわ……
ちび太
どうだろう、
主人公?
ちび太
私の願い、
叶えてくれないだろうか……?
思い出6
これはっ……!?
ちび太の毛並が
ルーンの光を浴び、
つやつやと光り輝く……!
アイリス
ちび太さん……!
ちび太
……どうだい?
アイリス
キレイです……!
キャトラ
う~む、アタシも認めるわ……
三日三晩ナメたみたいに
ぴかぴかだわよ……
ちび太
やった……やったぞ……!
アイリス
よかったですね、ちび太さん♪
アイリス
これはご主人様喜ぶわよ~♪
ちび太
これでしょこたんも、
私のおしりをぶってくれる!
キャトラ
へ?
ちび太
この美しいおしりなら……!
ふふふ……ばっちこーい!
キャトラ
ちょちよ、待って!
それが狙いだったの!
ちび太
いや、副次的な恩恵だが、
でもそうだろう?
ちび太
これだけ美しい毛並であれば、
逆におしりを
ぶちたくもなるだろう!?
キャトラ
それとこれとは別だと思うの!
ちび太
いいや、別のようでー緒さ。
『ちび太どうしたの?
超カワユス~!』となるだろう?
ちび太
それから、おしりを
バチコーン! といくだろう!
キャトラ
どんな理論よ!
ちび太
これは理論を超えているのさ!
この美しいおしりには、
そうさせるだけの魔力がある!
ちび太
ほら、主人公!
吸い込まれそうだろう!?
叩きたくなるだろう!?
ちび太
ほら! ほらほら!
遠慮しないで、ばっちこーい!
キャトラ
あんたねえ……
ちび太
ばっちこーい!
いつでもいいぞ!
いくらでも来い!
ちび太
ばっちこーい!
ちび太
ほらほらどうした!
ばっちこーい!
ちび太
ほら、ばっちこーい! これ、
ぶたないと終わらないヤツだぞ?
無限ループするぞ?
ちび太
さあ、どうした!
こい、ばっちこーい!
ちび太
OH!
そうそう、いいぞ!
どんどん続けてぱっちこーい!
…………
………
――かくして、陽は没し――
おしりをはらしたちび太は、
誇らしげに宣言した。
ちび太
では、さらばだ!
またいつでも、おしりを
ぶちたくなったら呼んでくれ!
ちび太
さ~て、待っていてくれよ、
しょこたん!
アイリスとキャトラは、
とっくに帰っていたのだった。