ディーネ・思い出

ディーネの思い出とボイス

思い出1

アイリス

キャトラ、待って。

そんなに走ったら危ないわよ。

キャトラ

だいじょうぶだいじょ……

ぎにゃー！？

ナレーション

キャトラは、足を踏み外して

飛行島の池に落ちてしまった！

キャトラ―！？

ナレーション

池の中から、あぶくが

ブクブクと上がってくる……

ざっざーん！！

ナレーション

突如、池の中から

勢いよく女性が現れた！！

アイリス

あ、あなたは！？

？？？

あなたが落としたのは

金のキャトラですか？

銀のキャトラですか？

アイリス

え？

？？？

さあ、正直に答えるのですわ。

金のキャトラですか？

それとも銀のキャトラ？

アイリス

い、いえ。

普通の……白いキャトラです。

？？？

よろしい。

では、本物をお渡ししますわ。

キャトラ

ア、アイリスぅー……

アイリス

キャトラ、よかった、無事で！

ありがとうございます。

？？？

正直なあなたには、

この金と銀キャトラも

さしあげましょう。

アイリス

え、別に、私は……

？？？

遠慮することはありませんわ。

さ、お受け取りなさい。

アイリス

は、はあ……

？？？

では、もう、

湖に不法投棄してはいけませんよ。

キャトラ

な、なによ不法投棄って！

ちょっとー！

ナレーション

女性は再び、

水の中に沈んでいく……

アイリス

あ、行っちゃった……

キャトラ

なんだったのよ、今の……

思い出2

キャトラ

ふっふっふ。

いいこと思いついたわ。

キャトラ

この間はうっかりしてたけど、

転んでもただでは起きないのが

アタシなのよ！

キャトラ

池に落ちたら、

アタシが出てきた。

つまり……

キャトラ

この池になにか投げ込んで

正直に答えれば

なんでも３倍になるのよね？

キャトラ

さっそくカニカマを

投げ込んでみましょ！

えいっ！

キャトラ

わくわく…

ざっざーん！！

キャトラ

出たー！

はいはい！

カニカマを落としたのはアタシよ！

？？？

そうですか。

あなたは正直ですね。

？？？

不法投棄はダメって言ったでしょ！

ナレーション

池の中の女性が

キャトラにカニカマを投げつける！

ガニーッ！？

？？？

まったく、わたくしの故郷でも

こういうイタズラがはやって、

困りましたわ。

キャトラ

なんでー！？

カニカマ

増やしてくれるんじゃないの？

？？？

そう都合よくはいきませんわ。

キャトラ

ううっ、

最初に投げ込んだカニカマが

水にふやけちゃった……

アイリス

キャトラ、泣かないで、

カニカマなら、まだあるからね。

アイリス

ところで、あなたは、

なぜこんなところに？

ディーネ

わたくしはディーネ。

湖の精霊ですわ。

ディーネ

わけあって、

故郷を旅立ったのですが、

この池で休憩していたのです。

ディーネ

この島の水は

きれいでいいですわね。

リフレッシュできますわ。

キャトラ

池を貸してあげるんだから、

カニカマくらい

増やしてくれればいいのに……

ディーネ

いーえ、どこであれ、

水を汚すのは許しませんわよ。

ディーネ

では、わたくしはこれで。

ナレーション

ディーネは再び池へと沈んでいく……

キャトラ

もう、なんなのよー！

思い出3

ディーネ

主人公さんは

剣士なのですわよね？

ディーネ

わたくし、どうしても、ある方に

返したい剣がありますの。

この剣です。

アイリス

わあ、立派な剣ですね。

キャトラ

どうせ、その剣も、湖に

投げ込まれたんじゃないの？

ディーネ

そのとおりですわ。

よくわかりましたわね。

キャトラ

これでもし

『普通に借りた』とかなら

その方が驚きだわ。

ディーネ

この剣を落とした剣士は、

正直者だったので、

すぐにお返ししたのです。

ディーネ

なのに、気づいたら、

またこの剣が

落ちていたのですわ！

ディーネ

主人公さん、

この剣の持ち主に

心当たりはありませんか？

ディーネ

そうですか……

ご存じないようですわね。

アイリス

まさか、ディーネさん、

剣の持ち主を探して旅を？

ディーネ

ええ、絶対にお返しいたしますわ！

キャトラ

律儀というか……

そこまでしてやることなの？

ディーネ

正直者に

落し物を返せないなんて、

湖の精霊の名折れですもの！

アイリス

そうですね。

落とした剣士さんも

困っているかもしれませんし、

キャトラ

取りにこないんだから、

いらなくなって

捨てたのかもしれないわよ？

ディーネ

いずれにせよ、

湖に不法投棄されて

黙っていられませんわ！

ディーネ

絶対に、世界の果てまで

追いつめてでも、

剣をお返しします！

ディーネ

そして、不法投棄をしたこと、

文句を言ってやりますわ！

キャトラ

ディーネって

優しいんだか、なんなんだか、

よくわかんないわねえ。

思い出4

ディーネ

まったく、人間というのは

理解に苦しみますわね。

キャトラ

どうしたのよ、ブツブツ言って……

うぐっ！？

ナレーション

ディーネが

大量のごみの中にいる。

キャトラ

なにこれ！

アンタの方が理解に苦しむわよっ！

アイリス

ディーネさん、このゴミ、

いったいどうしたんですか？

ディーネ

どうもこうもありませんわ。

全部、人間の捨てた物です。

ディーネ

さきほど別の島におりた時、

川や海に捨ててあったのですわ。

アイリス

もしかして、ディーネさんが、

たっとひとりでお掃除を？

ディーネ

ええ、

水中の異物をまとめるくらいは

ぞうさもありませんわ。

ディーネ

自分の湖ではありませんが、

放っておけなかったのです。

ディーネ

水が汚れたら、

魚や貝、水草たちも

生きていけません。

ディーネ

以前、わたくしの湖も、

水質汚染がひどくなって……

ディーネ

あやうく魚たちが

魔物になるところでしたのよ。

アイリス

そんなことが……

キャトラ

だからって、

こんなゴミの山を

飛行島に持ってこないでよ！

ディーネ

大丈夫ですわ。

このゴミは全部、

捨てた方々にお返しします。

ディーネ

環境保全のため、

人間が捨てた物は全部返す。

ディーネ

それがわたくしの

ポリシーですもの。

キャトラ

じゃあ、そのゴミはまた、

捨てた人たちのところに？

ディーネ

ええ。

必ず個人を特定しますわ。

不法投棄は許しません！

キャトラ

うわあ……

ディーネ

『みんなやってるから』

『少しならいいと思った』

なんて理屈は通りませんわよ。

キャトラ

でも、早く片付けてよ？

このままだと飛行島が

ものすごいニオイよ！

思い出5

ディーネ

主人公さん、

どうかされましたか…

ディーネ

きゃ……！？

ナレーション

突如として、

ディーネの持つ剣が光始める……

キャトラ

ちょっとちょっと！？

どうしたの？

ディーネ

わかりませんわ、

今までこんなこと、一度も……

ディーネ

金の剣でも

銀の剣でもないのに、

どうして光るのでしょう？

ナレーション

ディーネの剣は、

さらなる強い光を放つ！

ディーネ

くっ……！？

キャトラ

ま、まぶしい…

ナレーション

そして、剣から、

金属の響きのような、

硬貨の音がする……

ディーネ

な、何ですの？

キャトラ

剣が、音を立ててる？

ディーネ

音が、強くなってきてますわ……！

ディーネ

もしかして、この剣……

何か伝えようと？

アイリス

そうですね。

主人公、

お願い。

思い出6

ナレーション

剣の光が、

ディーネの目の前に、

何かを映し出す……

ディーネ

これは……わたくしの湖？

ディーネ

あれは、この剣の持ち主！

わたくしから剣を受け取って

去っていきますわ。

ディーネ

もしや、これは、過去の光景？

ディーネ

これは、

わたくしが剣を返した後の様子

……あれは！？

ナレーション

異形の魔物が

湖に近づいてくる……

ディーネ

え！？

あんなもの、

見たことありませんわ！

ナレーション

さきほどの剣士が

魔物に向かって

走っていく……！

ディーネ

ダメ、ひとりでは危険ですわ！

ああっ！！

ナレーション

剣士は自らも

血まみれになりつつも、

魔物に痛烈な打撃を与えた。

ナレーション

魔物は剣士に

威嚇するように咆哮をあげ、

後ずさりする……

ディーネ

もういいですわ、

剣士さんも逃げて……！

ナレーション

剣士は最後の気力を振り絞り、

手負いの魔物を追う。

ディーネ

まさか…

手負いになって危険な魔物を

湖や人里に近づけないため？

ディーネ

どうしてです？

あなたはこの土地の

人間ではないのに、

どうしてここまで……

ナレーション

魔物は、覚悟を決めた剣士の

全力の剣戟を受け、

ついに崖を背にする。

ナレーション

崖際の魔物へ肉薄した、

剣士のとどめの一撃と同時に、

漆黒の爪が剣士の胸に

突き立てられる……！

ナレーション

不気味な断末魔が響く中、

魔物と剣士は

ともに断崖へと落下する。

ディーネ

…………

ナレーション

そして、剣だけが、

谷底の川に落ち……

湖に流れ着いた。

ディーネ

剣士さん、あなたは……

ディーネ

命をかけ、湖と

周囲の集落の人々を、

守ってくださったのですね……

ナレーション

ディーネが、

剣をそっと抱きしめる。

アイリス

ディーネさん…

ディーネ

わたくし……決めましたわ！

アイリス

え……？

ディーネ

この剣は、

湖を守ってくださった

剣士さんからの大切な預かり物。

ディーネ

ならば、なおさら、

剣士さんに返さなければ。

キャトラ

でも…

ディーネ

剣士さんは、剣を落としただけ……

生きていますわ。

ディーネ

きっと、この剣も、

持ち主のところに

帰りたかったのでしょう。

ディーネ

だから、このような光景を

見せたのではないでしょうか？

キャトラ

……そうかもしれないわね。

ディーネ

ならば、わたくしが責任を持って、

お返しいたしましょう。

アイリス

ディーネさん…

キャトラ

もしかして、また池に住むの？

ディーネ

いいえ。

わたくしは、湖の精霊ですもの。

ディーネ

飛行島の池は

今日から湖ですわ。

キャトラ

いや、アンタが住んだからって

池は池でしょ？

ボイス

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