Divine Dragon’s Saga Story後編
初回開催 2015/7/17~2015/8/10
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憎しみと悲しみの変貌
キャトラ
な、なにこれ……?
エクセリア
そんな……
一体なにが……
山間にある城塞都市。
そこは激しい破壊の痕が残る
廃墟と化していた……
竜狩り
遅かったですね、
ドラグナー御一行様方。
キャトラ
! 出たわね、竜狩り!
もう逃がさな……
アイリス
待って! あれは……!
???
グガァァァーーー!!!
アイリスが示した先には、
宮殿の頂上にまたがり、
天に向かって咆哮をあげる
巨大な竜の姿があったーー
キャトラ
な、なによ、あれ……
あれもドラゴン……なの?
ゲオルグ
……あれは、
破壊の衝動に目覚めた
竜の成れの果てーー<邪竜>だ。
エクセリア
まさか……あの邪竜は……!
竜狩り
お察しのとおり、あの邪竜こそ、
あなた方が探していた白竜――
その今の姿です。
キャトラ
え……え?
あれがラピュセルのお母さんって
……ウソでしょ!?
アイリス
(この<気配>……まさか……!)
竜狩り
竜も所詮は獣にすぎません。
些細なきっかけで、
こうも簡単に人へ牙をむくのです。
おわかりいただけましたか?
エクセリア
っ! そんなことはありません!
そもそもあなたたちが白竜を……!
竜狩り
それよりも、みなさん。
よろしければ、あれの討伐に
協力させてくれませんか?
キャトラ
は? なに言ってんのよ!
アタシたちはあのドラゴンを
助けにきたのよ!
竜狩り
おや、そうですか。
ですが、ドラグナーのみなさんは
やる気のようですよ。
エクセリア
……っ!
ゲオルグ
…………
キャトラ
ど、どうしたのよ、二人とも!
なんで黙ってるのよ!
竜狩り
――! 静かにっ!
邪竜はゆっくりと動き出し、
瓦礫の割れ目から
宮殿内部へと姿を消した……
竜狩り
ちっ、逃がすか……!
エクセリア
ま、待ちなさい!
くっ……!
追いかけましょう、ゲオルグ!
ゲオルグ
……姫様、その前に
彼らに伝えなければ
ならないことがあります。
ゲオルグ
皆、聞いてくれ!
これより我々は、あの白竜を……
いや、あの邪竜の……
ゲオルグ
『討伐』に向かう!
ドラグナーたちの覚悟
エクセリア
ドラグナーは、竜狩りから
竜を守ることが務め。
ですが、逆もまた然りなのです。
キャトラ
……つまり、
あのドラゴンを倒すってことね……
エクセリア
……はい。
キャトラ
でも、相手は
ラピュセルのお母さんなのに……
ゲオルグ
……かつて、
<竜の国>領内の僻地で
大規模な『白竜狩り』があった。
ゲオルグ
あの白竜は、そこから落ち延びた
数少ない生き残り。
以来、行方はようとして知れず……
ゲオルグ
自分が辛うじて救えたのは
たった一匹の幼体だけだった……
アイリス
その幼体って……もしかして……
ラピュセル
…………
ゲオルグ
あのときほど自分の無力を
痛感したことはなかった。
ゲオルグ
だが今度こそ……今度こそは
救えるはずだと思っていた。
なのに……くっ!!
エクセリア
ゲオルグ……
キャトラ
……どうして邪竜になんて
なっちゃったのかしら……
カグツチ
眷属を狩られ、仔すらも失った
白竜の憎しみの深さは
我々の想像を絶するだろう。
カグツチ
憎悪にかられ、外道に堕すのは
人も竜も同じことよ。
……認めたくはないが、な。
ゲオルグ
……しかし、
今回はいささか妙でもある。
キャトラ
妙って、なにが?
ゲオルグ
自分は過去に、何度か邪竜と
対峙したことがある。
今回のような状況も、
初めてではない。
ゲオルグ
だが、竜が憎しみだけで
あれほど強大な邪竜になった
前例はない。なにか他に要因は……
アイリス
それは……おそらく、
<闇>の仕業だと思います。
エクセリア
<闇>……ですか?
アイリス
はい。私はあのとき、
確かに<闇>の気配を感じました。
アイリス
白竜さんの強い憎しみが
<闇>を呼び寄せて、
おそらく、それが邪竜に……
エクセリア
アイリスさん、その<闇>から
白竜を救う方法は……!
アイリス
ごめんなさい……
その方法は、私にも……
エクセリア
……そうですか。
ゲオルグ
……姫様、我らは我らの務めを
果たさなければなりません。
ゲオルグ
邪竜は天災に匹敵する脅威。
ここで討たなければ、
さらなる犠牲が出るでしょう。
そうなる前に……
カグツチ
竜を守ると散々豪語しておいて、
結局ラピュセルの母竜を討つか……
ゲオルグ
……道を外した者に、
竜も人も関係ない。
もし自分が道を外したら、
遠慮なく自分を討つといい。
カグツチ
ほう……
その言葉、決して忘れるなよ。
エクセリア
……大丈夫よ、ゲオルグ。
ドラグナーの使命に殉じることに、
異論などあるはずもないわ。
エクセリア
(だけど……)
エクセリア
(怖いのね、ラピュセル。
当然だわ。やっと再開した母親が
あんなことになっていたら……)
エクセリア
(やっぱりこの子に母親を傷つける
ような真似はさせたくない。
もちろん傷つけさせもしない。)
エクセリア
(私がこの子を守らないと……!)
謎の女と狂乱する邪竜
キャトラ
見て、竜狩りが……!
竜狩り
破ァァァーー!!
邪竜
グガァッ!?
竜狩り
獲ったッ!
竜狩り
ぐあっ!? な……に……
だれ……だ……き、さま……
ウィユ
ごめんなさい……
ごめんなさい……
キャトラ
な、なんなのよアイツ!?
いきなり襲ってきたわ!
アイリス
うう、この気配……!
間違いない、<闇>よ!
ゲオルグ
なに! あの者が<闇>だと!?
ではまさか……奴が……!
ウィユ
『<愉快な道化の影芝居>――
<シャッテンシュピール>』
ウィユ・プロサーユ……です。
ウィユ
この竜を……
助けたいんですよね……?
エクセリア
っ! 当然です!
私たちはそのために
ここへ来たんですから!
ウィユ
そうですよね……
助けたいですよね……
ウィユ
……わかりました。
それじゃあ……
邪竜
グォ……ガガガァ!
ウィユ
もっと<闇>の力を……
あたしにはこれしか
できないから……
アイリス
これは……!
<闇>が限界まで高まって……
いけない、このままじゃ……!
邪竜
グルアァァァーーー!!!
アイリス&キャトラ
きゃあああ!!
ゲオルグ
姫様ぁーー!!
エクセリア
きゃあっ!!
禍々しい気をまとった邪竜の
すさまじい力の波動によって
主人公たちは
大きく吹き飛ばされた。
エクセリア
ラピュセル……みんな……!
うっ、痛っ! あ、足が……!
ウィユ
ごめんなさい、ごめんなさい……
こんなこと、本当は
したくないんです……
ウィユ
でもあなたたちが、この竜を
助けたいだなんて言うから……
仕方がなかったんです……
エクセリア
……狂ってるわ!
許せない……あなただけは、
絶対に……!
ラピュセル
…………
邪竜
ぐぅぅぅ……
エクセリア
ラピュセル!近づいちゃダメ!
その竜はもうあなたの母親じゃ……
邪竜
グルアァ!
ラピュセル
ギャウーー!
エクセリア
いやぁー! ラピュセル―!
エクセリア
ああ……あああ!
おねがい、やめて!
やめて……やめてよぉ……
ウィユ
自分の子供をあんなに
痛めつけて、ひどいよね……
このままじゃ死んじゃうよね……
エクセリア
ラピュセル……ラピュセル―!!
ゲオルグ
うおおおおーー!!
邪竜
ガァッ!?
キャトラ
エクセリア! 大丈夫!?
エクセリア
ラピュセル!
ああ、こんなに傷ついて……
ごめんなさい……
本当にごめんなさい……
ウィユ
よかった、生きてて……
邪竜も、そこの二匹も……
お願い、どうか死なないで……
ゲオルグ
……この外道がッ!
まずは貴様から討つ!!
ウィユ
ごめんなさい……
あなたたちとは戦えない……
せっかく用意した舞台が
台無しになっちゃう……
ウィユ
だから……ごめんなさい……
ゲオルグ
おのれ<闇>め!
逃げるつもりか!
邪竜
グルアァァァーーー!!!
キャトラ
ちょ! その前にあれを
なんとかしないと!
目覚めし真なる絆
邪竜
グルアァァァーーー!!!
アイリス
ううう……
キャトラ
きゅう……
エクセリア
がはっ!!
ゲオルグ
ゲオルグ! みんなっ!
邪竜
グルルルルゥ……
エクセリア
これが邪竜の力……
ダメだわ……私だけじゃ
とても敵わない……
エクセリア
(っ! それでも
私は、退けない……! これ以上
この子に傷ついてほしくない……!)
エクセリア
……ラピュセル、
私が血路をひらくわ。
エクセリア
大丈夫、あなたのことは
私が命に代えても守ってみせる。
エクセリア
だから……生きて!
邪竜
グルアァァァーーー!!!
カグツチ
……いいんだな。
ゲオルグ
……ああ!
ゲオルグ
うおおおお! カグツチィーー!!
エクセリア
……ゲオ、ルグ……?
キャトラ
うう、まだ目が回るわ……って、
なにが起きたの!?
アイリス
ゲオルグさんが、
邪竜を弾き飛ばした……?
ゲオルグ
……姫様、これが自分とカグツチ、
人と竜が真なる絆を交わした
ドラグナーの力です。
エクセリア
ゲオルグ……私は……
ゲオルグ
この馬鹿者がッ!
エクセリア
――ーっ!
ゲオルグ
己の竜を信じずして
なにがドラグナーか!
お前たちの絆は
その程度のものだったのか!
エクセリア
で、でも! 私は……
ラピュセルを傷つけたくなくて……
あの子を傷つけたくなくて……
ゲオルグ
大切に想うだけが絆ではない!
ときには命を預け合うこともまた
『絆』なのだ!
なぜそれがわからないのだ!!
エクセリア
それでも! ラピュセルに
母親を討たせるなんて……
だから私が……!
カグツチ
自己犠牲が美徳とでも思ったか?
それで絆が芽生えると?
そんなものはお前の傲慢に過ぎん。
エクセリア
カグツチ……
カグツチ
……だが、
竜を心からおもいやるお前の意志は
……正直、我は嫌いではない。
エクセリア
……え?
カグツチ
竜と盟約を結びし王家の末裔よ。
人と竜の真なる絆を
今こそ見せてみろ!
エクセリア
っ! 真の絆……
……私は……!
エクセリア
……ラピュセル!
エクセリア
ごめんなさい……
せっかく母親に会えたのに。
みんなで<竜の国>に帰ろうって
私、言ったのにね……
ラピュセル
…………
エクセリア
でも……それでも私、
あなたのことが大好きなの。
あなたのことを守りたい。
だから……
エクセリア
あなたの力を、私に貸して!
私と一緒に戦って欲しいの!
ラピュセル
……ワ……
エクセリア
……え?
ラピュセル
ワ……ワタシ、モ……
アナタ、ガ……好キ……
エクセリア
――っ!
あなた、言葉を……!
ラピュセル
ワタシ……モ、戦ウ……
アナタノ……タメ、ニ……
戦イ……タイ……!
エクセリア
ああ、ラピュセル……ありがとう!
一緒に、いきましょう!
邪竜
グルアァァァーーー!!!
アイリス
エクセリアさん、危ない!
エクセリア
今なら……いけるわ!
翔んで、ラピュセル!
邪竜
グルゥッ!?
キャトラ
おお、攻撃を跳ね返したわ!
アイリス
すごい、まるで
さっきのゲオルグさんみたい……
エクセリア
私とラピュセルが出ます!
ゲオルグ、あなたも続いて
波状攻撃を!
ゲオルグ
姫様……はっ!
いくぞ、ゲオルグ!
今こそ我らの真の力を見せるのだ!
人と竜がもたらす未来
邪竜
グ……ガ……ガァ……
エクセリア
……ごめんなさい。
もっと早くあなたを
見つけていればこんなことには……
ゲオルグ
姫様、我らの務めは
まだ終わってはいません
エクセリア
……そうでしたね。
ゲオルグ、お願いできますか?
ゲオルグ
……御意。
ゲオルグは懐から、
不思議な紋章が刻まれた
石を取り出した。
アイリス
それは……ルーンですか?
ゲオルグ
これは<竜葬のルーン>。
我ら<竜の国>に伝わる、
特別なルーンだ。
ゲオルグ
古の盟約の名のもとに、
終わりゆく器より魂を解き放つ。
命は天に、骸は地にーー
ゲオルグが呪文を唱えると、
ルーンは淡く輝き、同時に
邪竜の亡骸も燐光を放つ。
ゲオルグ
邪竜の亡骸は、
その地に呪いをもたらす。
竜狩りに暴かれる危険もある。
ゲオルグ
ゆえに我らドラグナーは、
このルーンを使って、
死した竜を大地へと還すのだ。
エクセリア
白竜……あなたの子には
私がずっとついています。
どうか安心して眠りに
ついてください……
ラピュセル
…………
竜狩り
やれやれ……
すでに邪竜は処理済でしたか。
これは無駄足でしたね。
キャトラ
ア、 アンタ! 生きてたの!?
竜狩り
あなたたちが力尽きたあとで、
獲物をいただくつもりでしたが……
竜狩り
どうやら私の見込み違いでした。
まさか竜の姫君に
あそこまでの力があったとは。
エクセリア
私だけの力じゃありません。
彼らの助力が
あったからこその力です。
竜狩り
ふふ……あなたちドラグナーは
いつだってそうですね。
竜狩り
口を開けば、仲間だの
絆だの獣相手にそんな虫唾が
走るようなことを平気で言う。
エクセリア
あなたたち竜狩りに、
私たちドラグナーの信念は
決して理解できないでしょう。
竜狩り
……これを見ても、
まだそんなことが言えますか?
竜狩りは、兜の面を開け、
その素顔を一瞬だけさらした。
エクセリア
……っ!
ゲオルグ
……竜の炎にやられたか。
竜狩り
私がまだ幼い頃に、ね。
友人や家族は一瞬で消し炭に。
私は『運悪く』生き残り、
こんなザマですよ。
竜狩り
あなた方の隣にいる竜が
竜のすべてではないのです。
よく覚えておくことですね。
エクセリア
……それでも私は信じ続けます。
ラピュセルのこと……
人と竜の絆がもたらす未来を。
竜狩り
頑固な姫君だ。
もはや愚かですらありますね。
カグツチ
くだらん。
そんな傷で語った気になるな。
竜狩り
……でしたら、あなたの主にも
つけて差し上げましょうか?
ゲオルグ
傷ならば、すでにある。
竜狩り
なら、私の気持ちも少しは
わかっていただけるのでは
ないですか?
ゲオルグ
見当もつかんな。
自分は貴様とは違う道を
歩んできた。
竜狩り
……そうですか。では、これで。
二度と会わないことを
祈ってますよ。
ゲオルグ
自分は構わない。
何度でも貴様のもとに赴き、
何度でも止めてみせるぞ。
竜狩り
……ふん。
カグツチ
時間を無駄にしたな。
所詮、人と竜とは
相容れぬ生き物よ。
ゲオルグ
……ゲオルグ。
ならば自分たちは
なんだというのだ?
カグツチ
……我らは、人と竜の間に立つ者、
<ドラグナー>だーー
(場面転換)
キャトラ
……今更だけど、アイツにも
イロイロ事情があったのかしら。
エクセリア
ええ……彼らのような
犠牲者を出さないためにも、
私たちが人と竜の架け橋に
ならなければなりません。
エクセリア
そうよね、ラピュセル。
ラピュセル
…………
エクセリア
……ラピュセル?
っ! あなた、言葉が……
エクセリア
そんな……!
ラピュセル、どうして……!
カグツチ
ふん、お前たちのような
未熟者が、一日で我らのように
なれるわけがなかろう。
エクセリア
ラピュセルが人語を使いこなせるようになるのは、
今後の姫様たちの成長次第ですな。
キャトラ
あせらなくても、
アンタたちならきっとできるわよ。
アイリス
エクセリアさん、ラピュセルさん、
がんばってください!
エクセリア
……はい!
私、きっと一人前の
ドラグナーになってみせます!
ゲオルグ
姫様、此度の白竜と<闇>の一件、
これで終わりとは思えません。
自分はこの地にとどまり、
あの<闇>の者を追います。
エクセリア
……私もいきます。
ドラグナーとして、竜と人のために
ここでなすべきことを果たします。
カグツチ
懲りない小娘だ……
もういい、勝手にしろ。
だが次は見捨てるぞ、いいな。
キャトラ
それじゃあ、みんな、
飛行島に帰りましょ!
エクセリア
ええ!
さあ、いくわよ、ラピュセル。
一緒に、飛び立ちましょう!