レインボー・グラフィティ Story
レインボー・グラフィティ
2015/8/31~9/7
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グラフィティ・ライジング
スー
よーし、ノってきた!!
アートフェスにようこそ!
スーは巨大な看板にグラフィティを
書き始めた!
アイリス
見て見て主人公
とっても元気な絵ね!
キャトラ
さすがスーだわ。
勢いがあるわね!
スーだけでなく、多くの人々が
アートを作り上げ、展示している。
アイリス
面白いお祭りですね、
スーさん!
スー
でしょー?
このフェスで、たくさんの人に
私のアートをみてもらうんだー!
アイリス
これは星たぬきの彫刻ね。
キャトラ
これもアートなわけ?
スー
イッツ・ショー・ターイム!
スーは、看板に巨大な
ラクガキを描いた。
スー
完成っ!
キャトラ
うわ、なんかふてぶてしい
ラクガキだわね。
スー
カッコいいでしょー!
アイリス
なんだかカワイイですね。
ブローカー
ああ、なんだこりゃヒッドイなあ。
評論家
クレバーなアプローチでは
ありませんね。
コンセプトをはきちがえている。
ブローカー
モチーフが悪いな……
いまどきこんなテーマ通用しない。
スー
……きびしいなあ。
評論家
インスタレーションの意味がない。
ただのパフォーマンスだ。
時間の無駄ですね。
ブローカー
見るべきものがないというのは
注目すべきかもしれないがな。
キャトラ
ちょっと! あんたら
ひどくない!?
スー
だめだよキャトラ。
感想をもれえるだけでも、
ありがたいんだからねー!
アイリス
スーさん!
ラクガキ
……はあ。しょうがねえなあ。
ダンス・ウィズ・ソルト
スー
……はあ。
パルヴァネ
あなた、悲しそうな顔を
しているけど、どうしたの?
スー
えっ? 別に、何でもないよー!
パルヴァネ
落ち込んでいるのね。
スー
あはは、そんなことないってばー
パルヴァネ
そう?だったらいいけど。
スー
あなたもアーティストなの?
なんか雰囲気ある~!
パルヴァネ
絵描きさんではないけど、
ある意味ではね?
bgcolor;(#CC9966){…………}
bgcolor;(#CC9966){……}
クルーシャ
ええっと……ここに盛り塩をしてと。
クルーシャ
よーし、これでこのアートフェスも
成功間違いなしですね!
ラクガキ
ヒューッ、なんてマブイ
ねーちゃんだ。
惚れたぜ。
クルーシャ
えっ、今誰か話しかけました?
ラクガキ
俺だよ俺。ねーちゃん。
クルーシャ
ら、ラクガキがしゃべってますー!!
てててーい!!
ラクガキ
オイオイ、塩をぶつけるなや。
クルーシャ
ご、ごめんなさい……
悪霊かと思ったので。
ラクガキ
オイオイ、ひでえなあ。
俺のどこが悪霊に見えるよ。
どうみてもラクガキだろ。
クルーシャ
確かにひらぺったいですね。
ふふふ~
…………
……
広場の仮設ステージの周りに、人だかりができている……
キャトラ
あっ、見て見て!
パルヴァネとレンファよ!
アイリス
踊りもあるのね、アートフェスって。
キャトラ
ふむふむ、舞台芸術ってやつみたい。
スー
へー、これがパルヴァネの
ステージねえ。
パルヴァネ
さあ、語りましょう。
旅人たちの物語を。
レンファ
はあー、えーらいやっちゃ
えーらいやっちゃー
パルヴァネ
黄金の砂漠を照らす、
銀色の月……そこは美しき
オアシスの島……
レンファ
どっこいしょー、
どっこいしょー、
ほーやれほー。
スー
おっ、いいね~
アーティスト心がくすぐられるよ!
キャトラ
ブラボーだわ!
アイリス
綺麗でした、
パルヴァネさん、レンファさん。
レンファ
パル姉さん~しばらくぶりぃ。
パルヴァネ
ふふ、久しぶりね、
レンファちゃん。
スー
パルヴァネ!! よかったよ!
パルヴァネ
ふふっ。ありがとう。
スーちゃん。
スー
そうだね! 私も楽しまなくっちゃ!
パルヴァネ
ふふっ、その意気その意気。
フォーリン・ラブ
スー
よーし、
もっとたくさん描くぞ!
でもあのグラフィティ……
スー
……コンセプト……モチーフ……
やっぱり書き直そう!
キャトラ
あれって、クルーシャじゃない?
ラクガキ
……確かに俺はラクガキだ。
厚さがないペラペラな男だ。
ラクガキ
でも、俺はお前を愛している。
クルーシャ
ありがとうございます……
で、でも出会ったばかりの人に、
そんなこといわれましても……
ラクガキ
そうかね? いきなり始まって、
自分じゃあもう
止められないのが恋だ。
クルーシャ
ラクガキさんて、詩人なんですね。
ラクガキ
詩人っていうか、ラクガキだな。
キャトラ
クルーシャがラクガキに
口説かれてる。
スー
あっ、喋り出した。
あははは。こんなことも
起こるんだね~。
クルーシャ
あ、あの……この方を
ご存じなのでしょうか。
スー
私の書いたグラフィティだよ“
この<グラフィティのルーン>が
絵に命を与えてくれるの!
クルーシャ
まあそうなの。変わった悪霊かと
思いました。
ラクガキ
オイオイ、こんなハンサムな
悪霊がいるもんか。
ちっとばかし厚さは
足りないがな。
スー
それはいいか。
あんた、ちょっと書き直すから、
じっとしていて。
ラクガキ
ちょっとまった。この俺を
書き直すのか?
スー
……コンセプトとか、
テーマとか、モチーフとか、
いろいろあってね。
ラクガキ
ハア!? やなこった。
スー
なんで?
あんた私の絵じゃない!
ラクガキ
そーかもしれねえが、
コンセプトだ? そんな
わけのわからん理由で
書き直されてやれるかよ。
スー
……わけわかんないって。
そんなの……
ラクガキ
なあアンタ。
今の俺はそんなにダメか?
書き直されなきゃならんほど?
スー
そんなことは……ないけど。
ラクガキ
じゃあ、人から批判されたから、
なんて理由で書き直されるのは
ゴメンこうむるぜ。
スー
でも私は、
もっとうまく描きたいの!
ラクガキ
うまく描きたいって?
フン、今のお前にゃ無理だ。
スー
そんなこと……!
ラクガキ
あるさ。顔洗って出直してきな。
スー
……わかったわ。
じゃあね!
キャトラ
あっ、スーったらどこ行くの?
クルーシャ
ラクガキさん、今のはひどいんじゃ。
ラクガキ
フン、あいつにゃいい薬だよ。
レインボー・アゲイン
スーは、荷物から一枚のフレームを
取り出して見つめた。
そこには複雑な抽象画が
描かれている。
スー
この絵を描いてくれた
あの子みたいに、誰かを元気に
したくって、グラフィティを
始めたけど……
スー
なんだか、楽しくないなあ。
アートって一体何なんだろう?
パステル
……いまのスケートの子……?
…………
……
パルヴァネ
レンファちゃん。あの子のアート、
どう思う?
レンファ
ウチにはよくわからないけど、
元気でカラフルなのはいいわね。
でもなんか足りないかな?
パルヴァネ
そうね。作品には、もっといろんな
気持ちをこめてもいいと思うの。
ラクガキ
アートってえのは、気持ちを
伝えるもんだ。だから楽しさを
伝えたいってのは。間違ってねえ。
ラクガキ
でも、アートに必要なのは楽しさ
だけじゃねえ。苦しさも辛さも
悲しさも必要なんだよ。
キャトラ
……それが、気持ちをこめるって
ことなのかもね……
ラクガキ
ところでアンタ、その塩でできた
バケモノはなんだよ。
クルーシャ
みんながアートを作ってるから、
私も塩アートを!
スーは、インラインスケートで、
会場を走り回っている。
スー
すごい作品ばっかり!
本当にいいイベントだね~
パステル
みなさーん、
みていってくださいね!
ブローカー
……ふーむ、高名な風景画家の
クールベリル氏のポートレートか。
評論家
どうして彼女は人物画にだけ
抽象的表現を用いると思います?
ブローカー
彼女は初期から表現主義に
傾倒している。支配的概念への
抵抗は彼女の世代のクリシェだな。
評論家
私はむしろ構造主義的な
アプローチかと思いますね。
女の子
お姉ちゃん、へたっぴだね!
パステル
そうなの。……へたっぴなんだよ。
スー
……この絵。
パステル
あ、そこの人も、ぜひ見に行ってね!
スー
このタッチ、見たことがある!
パステル
どう? 新作なんだよ?
スー
あの時の女の子!
絵を描き続けてたら、
いつか会えるって思ってたよ!
パステル
わわっ!?
いきなりハグ!?
…………
……
スー
パステル、この絵、緑がとっても
綺麗だね!
パステル
ありがとう。この絵、
緑だけが綺麗に出たの。
スー
そういう時ってあるよね~
スー
ところで、パステル……
ちょっと相談乗って
くれると、嬉しいんだけど。
スー
なになに?
グラフィティ・ライオット
ラクガキ
……ところでお前ら、俺が
看板から出られないって
思ってんだろ?
キャトラ
出られるわけないわ。
アンタ、絵じゃん。
ラクガキ
残念だったね~。俺は物の表面を
移動できるんだよ!
ラクガキは地面に移動した!
ラクガキ
これで、デートができるぜ、
ハニー。
クルーシャ
ええっと……いつの間に
私たちそんな関係に。
ラクガキ
行こうぜ。なにしろ俺には
時間がないからな~
クルーシャ
え、時間って?
ラクガキ
まあ、こっちのこった。
…………
……
スー
あれ?私のグラフィティは?
キャトラ
えーっと、アイツは……
パルヴァネ
デートにいっちゃったわ?
ふふふ。
スー
デートに?ははは~
さすが私のアートね。
パルヴァネ
そういうものよね。
作ったものの手を離れて、
勝手に走っていっちゃうもの。
パルヴァネ
スーちゃん、何かをつかめたのね。
スー
つかめちゃったかも。
さあ、アイツを捕まえて、
今度こそ完成させないとね!
アイ・ビリーブ・マイ・スタイル
ブローカーと評論家は、
一枚の風景画を見ている。
ブローカー
ふうむ、先代クールベリルの
絵に、これほどの値が
つくとはな。
評論家
ポスト表現主義の時代にも
クールベリルの先進性は
揺るぎませんね。
ブローカー
んんっ……? あ、なんだこの
汚れは?
風景画に、ラクガキが映り込んだ!
ブローカー
なっ!? クールベリルの名画が!!
評論家
だ、台無しに!?
ラクガキ
ハン、お前らにアートなんぞ
百万年早いぜ。
クルーシャ
ラクガキさん、ダメですよー!
ラクガキ
あー、つまんねえな。
いっそのことこんな会場、
滅茶苦茶にしてやろーか。
スー
待ってー!
ラクガキ
あおう、嬢ちゃんか。
俺が今から面白くして……
スー
あんた、今から書き直すから。
スー
あーん!?
スー
あんたには、もっといろんなこと
書き込みたいの。
スー
苦しい気持ちや、つらい気持ち、
悲しい気持ちもね。
ラクガキ
フーン……
クックック。
いい顔になったじゃねえの。
ラクガキ
いいぜ、やってみな
ヘタクソなお前の、ありったけの
心をこめてみろよ。
…………
……
キャトラ
なんか、うまく言えないけど……
アイリス
かっこいいです!
パステル
良くなったね!
スー
ありがとう!
パステルのおかげだよ!
ラクガキ
フン、まあまあだな。
クルーシャ
でも、まんざらでも
なさそうですね?
ラクガキ
そうだな。……思ってたよりも
悪くねえ。
スー
ねっ、いいでしょ~。
ラクガキ
じゃ、まあ……
お披露目と行くかね。
ラクガキは看板の表面を
滑って、地面に移動した。
…………
……
男の子
うわーい、ラクガキ怪獣だー!
女の子
わーいわーい!
ブローカー
に、にげろ!
&color(#ffffff,#669900){{評論家
こ、こんなアート認められるか!
キャトラ
大人気ね……あのラクガキ。
スー
あはは、みんな、
喜んでくれてるね!
ラクガキ
そろそろ時間か……
楽しかったぜ、ハニー。
ラクガキは看板に戻る。
クルーシャ
ラクガキ……さん?
ラクガキ
……がんばれ、よ……
ヘタクソ。
ラクガキは……動かなくなった。
キャトラ
えっ……どうして……
スー
<グラフィティのルーン>で
ラクガキが動かせるのは、
数時間が限界なんだよ。
スー
そのあとは、ただのラクガキに
もどっちゃうんだ。
クルーシャ
……そうだったんですね。
スー
……ありがとうね。
私、もっともっと
いっぱい描くよ!
パステル
私も頑張るよ。いつかきっと、
心の色を描いて見せる!
スー
私はアートが大好き!
この気持ちを、みんなに
伝えたいから!
パルヴァネ
……悩める絵師さんと、
わがままでふてぶてしい絵。
パルヴァネ
ふふふ。
……とても不思議で、
素敵なお話しね……