魚腹蔵羊・物語
安心できる場所・一
◆主人公男女共通◆
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屠蘇は長いこと部屋をにらんでいた。
溜まった怒りは今にも爆発しそうだったが、薬を取りに来るはずの魚腹蔵羊は見当たらなかった。
屠蘇
「また薬をもらう時間を忘れやがって。あいつの舌もいらないようだな。
俺の時間と薬剤にもムダにして。こんなにだらしないなら、味覚がなくなるのもいい教訓になるだろう!」
【選択肢】
・ひどいことだ
・様子を見てこよう
選択肢
ひどいことだ
屠蘇
「人のことを言えるか、君の五禽戯もあんまり練習してないだろ。
まあいい。練習は後回しだ。魚腹蔵羊に伝言を頼む。」
様子を見てこよう
屠蘇
「薬はテーブルの上にある。
魚腹蔵羊に伝えてくれ。味覚を直したければ、この次はないぞって!」
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それで、私は薬を持って魚腹蔵羊の部屋のドアをノックした。
返事はなかったが、ノックのせいで少し隙間が開いた。
見回してみると、部屋の中央のベッドにきれいに置かれた手紙が目を引いた。
魚腹蔵羊
「〇〇、この手紙をお前が読むころ、おれはもう空桑から遠く離れているだろう。怒らないでくれよ!前に手紙で伝えた過去のことを覚えてるか――おれを裏切った友人のことだ。
数日前にそいつから手紙を受け取った。当時のことを後悔して、一度会ってお茶でも飲みながら話がしたいと。
ちゃんと反省しているみたいだし、おれはチャンスを与えることにしたんだ!ずいぶん昔のことで、そいつの動機もずっとおれの心に引っかかってた……
考えた末、行ってみることにしたんだ。お前は心配しなくていい。お前も知ってた通り、渡世の経験なら、おれに勝るヤツはいないって!
安心してくれ、ちょっと出かけるだけだ。途中で何かあったらすぐに連絡する。おいしいものや楽しいことがあったら、お土産に買ってやるよ~」
手紙のそばにはお菓子のリストも置いてあった。
「お前はいつもおれの過去を知りたがってたな。だが、このことはやっぱ手紙に書いて伝えることにした。かつて、腕試しで知り合った友人がいた。そいつはおれの事情を知ると家にかくまってくれた。けどひそかに易牙を呼び寄せて……」
空桑から追いかけた者は、魚腹蔵羊の手紙の内容を確認するのに夢中で、周囲の木々の異変に気づいていなかった――
「見つけ……うっ……」
いきなり草むらから飛び出した食魘は、目の前の人をにらみながら、ポツポツと言葉を吐き出した。
「魚羊……魚羊……コロス……
コロス!!人間……コロス!!コロス、コロス、コロス!!
コロス、コロス、コロス!!」
黒い火がかすめ、食魘の襲撃を退けた。
???
「間に合ったぜ!」
足音が草原の上を猛スピードで近づいてきた。
魚腹蔵羊
「〇〇、大丈夫か!?
〇〇に襲いかかろうとするとは。やっぱりこいつは罠だったのか?」
【選択肢】
・罠?
・どうしてここに?
選択肢
罠?
魚腹蔵羊
「ゴホン、説明は後だ……今は、目の前のヤツを片づけることが先決だ。」
どうしてここに?
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「裏切り……者……
魚羊……コロス!」
魚腹蔵羊
「もうお前の指図は受けない!」
黒い炎が魚腹蔵羊の手のひらに渦巻いた。
しばらくして激しい炎の塊になると、燃え広がって食魘に襲いかかった。
魚腹蔵羊
「ひとまず追い払ったか……」
【選択肢】
・魅力的だから、食魘に追いかけられるんだ
・ずっと追われてるみたいだけど
選択肢
魅力的だから、食魘に追いかけられるんだ
魚腹蔵羊
「ハハッ、それは事実だな。まぁ、おれなんか褒めても何も出ないんだぞ~
冗談はその辺にしようぜ……まぁ、こっそり出ていくことはあやまる。こいつらもおれの魅力に引き寄せられてるんじゃない。むしろ……」
ずっと追われてるみたいだけど
魚腹蔵羊
「それに関して、お前もいろいろ聞いてたはずだ。おれは確かにずっと易牙に追われてる。」
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魚腹蔵羊
「長年逃亡と流浪を繰り返してきた。易牙はずっとおれを連れ戻そうとしてやがる。しつこくてもほどがあるぜ」
春秋時代
???
「彭鏗、「羊方蔵魚」のレシピは、徹底的に研究した。
この「魚腹蔵羊」は、さらに上回るようだ!
魚腹蔵羊、お前は私が作ったモノ。今後は私の言うことを聞くんだな!」
魚腹蔵羊
「っ……はい。」
魚腹蔵羊
「今日、訪ねた食魂は雉羹という奴だ……おれと同じ料理から化霊したらしい。いい友達になれそうだぜ。
今度は手作りの点心でも持って訪ねてもよさそうだぜ!」
数日後――
魚腹蔵羊
「鵠羹も雉羹も……長時間かけて自然に化霊したんだが。なぜおれだけ……
近ごろ目の奥の痛みがひどくなってきやがる……おれにくっついてる黒炎と関係あるのか?おれがみんなと違った原因を……調べる必要があるようだな。」
宴仙壇で、魚腹蔵羊は自分を作った恩人と対峙したせいで、部屋に閉じ込められ、反省するように命じられた。
魚腹蔵羊
「最近のおれの行動が怪しいだと?お前こそ、おれになにを隠してやがる!
ハハッ……おれはお前に忠実で、何でも言うことを聞かなければならないって
おれを作ったお前はおれを壊すこともできるって!?
いいさ。お前にとっておれはただの「道具」に過ぎないんだろ!」
薄暗い地下牢の奥で、不気味な気配に包まれた食魘が大量に生み出されていた。
諸悪の根源は、そばにいる易牙だった!
魚腹蔵羊
「食魘を作ってやがったのは、お前だったのか!
この不吉な力、能力不足で化霊が不完全なせいだと思ってたが、まさか、こんな体になっちまったのはお前のせいだったとは!お前の欲望を満たすだけのために!
易牙、お前は大きく口を開けた野獣だ。今から、おれは二度とお前に操られない。
地の果てまで逃げても、これから、おれは自分のために生きる!」
安心できる場所・二
◆主人公【女性】の場合◆
(逆の場合の差分は募集中)
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回想が終わると、さらに多くの食魘に囲まれ、だんだん追いつめられていった。
そばにいる人の安全を気にしながら、魚腹蔵羊はより強力は炎を操った。
精神はさらに高ぶっていた。
黒炎は食魘を撃退したものの、魚腹蔵羊も黒炎の力に飲み込まれている。
この苦しめられている異常の感覚、彼はよく知っている。
魚腹蔵羊
「――!!!
おれに近寄るな!
危ない……言うことを聞け……なぜ急におれの手を引いてたんだ!?
このとめどない浄化の力……うっ……」
暫くそのまま経って、魚腹蔵羊の状態はだんだん落ち着いてきた。
魚腹蔵羊
「まただ……お前が近づくと、おれの目と体内の痛みは消えやがる。
こないだのあの暴走も……気がつくと、お前がそばにいた。
もしかして、お前がおれの特効薬か?」
【選択肢】
・運がいいだけかも
・それより本題に入ろう
選択肢
運がいいだけかも
魚腹蔵羊
「それもそうだな。お前はあんなに高い空から落ちてきやがるのに、木の枝に引っかかってケガ一つもしなかった。そしてこのおれと出会った。
運がいいどころか、良すぎるだろ!
だったら、これからはおれと一緒に伝説の食材を探しないか!
もしかしたら、運がいいお前がいれば、普通に出かけても夢にまで見た伝説の食材に出くわすかも。」
それより本題に入ろう
魚腹蔵羊
「本題?
なぜ食魘がお前を狙ってるのかって?ハァ、お前ってヤツは……
おれの部屋にいたから、お前にはおれの気配がしみついた。
それで、見分けがつかなくなったんだろう。
尾行されていることに途中で気づいてよかったぜ。
だが、今回おれが予想したとおり、罠だったんだ。」
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魚腹蔵羊は塩を取り出して口に放り込んだ。
魚腹蔵羊
「味覚がまた……
「味覚喪失」の薬を持ってきてくれたか?
しまった。きょうは屠先生から薬をもらう日だった。うっかり忘れたぜ。だからお前がおれの部屋に来たのか。
ハァ、戻ったら謝りに行かないと……
行こう。目的地の村はこの近くだ。せっかく来たんだ。ついでに案内してやる。」
入り組んだ野原の中に、かやぶき屋根が点在していて、長いこと風雨にさらされてずいぶん寂しかったようだ。
まばらな人影がゆっくりと往来している。
魚腹蔵羊
「おかしい……」
【選択肢】
・また道に迷ったの?
・また罠があるの?
選択肢
また道に迷ったの?
魚腹蔵羊
「おれに迷うわけがないだろ!
おれの記憶に間違いはずがない。ここに近づいたら、目の奥が確かに痛くなってきたぞ。
考えてたんだ。村は来たばかりのころよりずいぶん荒れ果てた。前ほどのにぎわいもない。」
また罠があるの?
魚腹蔵羊
「いや、罠の可能性もあるだろうけど。
おれが気になるのはそのことじゃない。
村は明らかにさびれてる。前ほどのにぎわいもないようだ。」
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魚腹蔵羊
とりあえずあいさつでもして、厨房を借りて薬を作らせてもらうって?
はいはい、言うとおりにするよ。」
村人と簡単に交流すると、宿屋を経営する親切な人が遠路はるばるやってきた2人のよそ者に厨房を貸してくれた。
魚腹蔵羊は部屋で休みながら、厨房で薬を作る同行者の帰りを待っていた。
宿屋の主人
「見ない顔だし、高価な衣装を身につけている。遠くの都からやってきたんでしょう?
まぁ、この村で客を迎えるのはずいぶん久しぶりのことなんですよ。こんな遠くまでやってきて、あなたの友達も早く薬を飲まなければならないし。きっと何か事情があるのでしょう。
私もかつては人に恩を受けました。苦難のつらさも知っています。
これはあの方への私なりの恩返しでもあるのです。とりあえずゆっくり休んでください。私は失礼します。
魚腹蔵羊
「ご主人、待ってくれ!人を探してるんだ。」
宿屋の主人
「人を探して?」
魚腹蔵羊は過去のことを少し隠しながら、ことを宿屋の主人に打ち明けた。
宿屋の主人
「……。
お客さんの言葉には誠意がこもっていて、デタラメではないと思います。その人なら、確かに知っています。ただ……
彼はもうずいぶん前にお亡くなりました。」
魚腹蔵羊
「――!」
魚腹蔵羊
「あとはこの雑草を片付けば、ここもきれいになる。〇〇、手伝ってくれてありがろう。
はぁ……」
旧友が亡くなったことは、きれいに整頓された墓碑に証明された。
魚腹蔵羊は長いこと墓前に立ちつくし、ゆっくり口を開いた。
魚腹蔵羊
「お前に昔の話をしたことはあるけど、詳しくは言わなかったな。
あれはおれが易牙の支配から抜け出し、三界を放浪し始めたころのこと……」
街の料理人
「ここを行き交う人々は、みんな腹を満たすのに必死だ。長年店をやってるが、あんたみたいに料理の作り方を教えてくれとわめくのは初めてだ。」
魚腹蔵羊
「ハァ、遠くにいてもここの料理のいい香りがした。錦箱を金の代わり交換したけど、お前の料理はすばらしいと思ったぜ!
正直、おれも料理について詳しいんだが。じゃあこうしよう。おれと料理で勝負すっか。おれが勝ったら、お前の料理のレシピを教えてくれ。」
街の料理人
「面白い。あんたみたいな旅人は初めてみだ。じゃああんたが負けたらどうする?」
魚腹蔵羊
「負けたらお前の弟子になってやる。まぁ、これで料理も覚えられるしな!」
街の料理人
「いいだろう。ちょうど注文の料理ができ上ったところだ。お客さんたちにも楽しんでもらおう!」
魚腹蔵羊
「そいつはおれが放浪に出てから、珍しく意気投合した友人だった。あまりのうれしさに、「秘密」を打ち明けてしまった。
その秘密とは、空桑に来て、お前に話したことがある――
おれは他人と勝負して作った料理を食べると、味覚喪失が収まるんだ。
だが収まるのは一時的で、完治するわけじゃない。俺が暴走したら、味覚がまた喪失する。だからおれはずっと他人と勝負しなくちゃいけないんだ。
それ以来、おれはその友人と連絡を撮り続けた。だがその後、おれはまた多くの土地を練り歩いた。いろんな食材、いろんな技巧、いろんな人や風景に出会った。
勝負はもはやおれの症状を癒す「必要なプロセス」として人生の一部となり、
欠かせないものとなった。
村に戻ったのは、しばらく外を旅した後のことだ。」
魚腹蔵羊
「手紙を読んだ。また新しいメニューを作ったらしいな。おれと勝負するつもりか?面白いぜ!」
街の料理人
「ああ、本当に来たのか……そうだ。久しぶりだな。昔話でもしよう。
中に入って座ったらどうだ?お茶でも飲みながら……話そう……久しぶりだ……別に今勝負しなくてもいいじゃないか。とりあえず、座ってくれ。」
魚腹蔵羊
「……。」
その友人はずっと目を合わせず、おれは疑念を抱いた。
やがれおれは、外でなじみのある気配が近づいて来るのを感じた。
安心できる場所・三
◆主人公【女性】の場合◆
(逆の場合の差分は募集中)
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魚腹蔵羊
「それから、おれは村を飛び出して、二度と彼とは連絡を取らなかった。
いまだにその理由を考えられない……あいつ、なぜあんなことをしたのか……おれを裏切り、易牙を呼び寄せた。」
【選択肢】
・私のことは完全に信じていいよ
・やむを得ない理由があったのかも
選択肢
私のことは完全に信じていいよ
魚腹蔵羊
「もうずいぶん助けてもらっちまったんだ。もちろん信じてるさ。
暴走したおれを見て……飛びかかってきたのはお前が初めてだぜ。」
やむを得ない理由があったのかも
魚腹蔵羊
「かもな。その疑問がずっと心に引っかかってるんだ。もともと、この度は罠だと思ってたが、この疑問さえ解ければ、悪いことでもない……
なるほど……時間はこんなに経ったんだな。」
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魚腹蔵羊はふとそばにいる人の顔に目を向けた。
魚腹蔵羊
「あと数年もすれば、お前はどんなふうに成長するのか、楽しみにしてるぞ。
お前の料理の腕前が年とともに落ちないといいんだが。まぁ、いいライバルがいないと困るからな。
ハハハ、冗談はよそう。今回の目的は果たせなかったし、そろそろ引き返そう……このままここに残る理由もない。」
???
「ちょっと待ったーー!」
大きな呼び声と疾走する足音が追いかけてきた。
宿屋の主人
「待って、2人とも、待ってください。思い出しました……ゼエ、ゼエ……」
魚腹蔵羊
「ご主人、どうした?」
宿屋の主人
「ふと思い出した。2人に大事な話があるんです。」
魚腹蔵羊
「大事な話?」
宿屋の主人
「そうそう。前にも言ったとおり、私はある方に助けてもらいました。
だから村の収益が日増しに悪くなっても、住民たちは村を捨てず、私もここに残って、助けが必要な人を助けているんです。
その方とは、今目の前のお墓で眠っている人……あなたたちが探している人なんです。」
魚腹蔵羊
「なにっ…!?」
宿屋の主人
「彼に親族がいたという話は聞いたことがなかったので、うっかり忘れていました。申し訳ありません。
実は、その方から頼まれたことがあるんです――
もし黒い服を着て「鮮」という眼帯をつけた侠客が恩人を探しにきたら、錦箱のことを伝えてほしいと。
何度も見てやっと思いついたのですが、あの方が言っていたのはあなたのことでしょう……その錦箱は、墓の隣の盛り土に埋められています。」
魚腹蔵羊
「錦箱……?」
宿屋の主人の言葉に魚腹蔵羊は考え込んでいた。
宿屋の主人
「話は以上です。あとは……ご自由にどうぞ。何かあったら、宿屋まで来てください。」
魚腹蔵羊
「そんなこと……聞いたこともない……」
【選択肢】
・手伝ってあげる
・やっぱりムダではなかった
選択肢
手伝ってあげる
魚腹蔵羊
「土を掘るのは、おれがやる。お前が手にケガでもしたら鵠羹に合わせる顔がないぜ。
ここまで付き合ってくれただけで、おれは十分だ。」
やっぱりムダではなかった
魚腹蔵羊
「ハァ、危険に出くわしてもお前は学習するつもりはないな。
お前と初めて会った時もそうだった。いつも自分より他人のことを心配してやがる。やさしいとほめるべきか、身の守り方を知らないな、お前は……
でも、今回は付き合ってくれてありがとうな。」
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魚腹蔵羊は慎重にとなりの盛り土を掘った。
すると雲の模様が刻まれた錦箱がきれいに埋められていた。
街の物売り
「そういえば、どうしていつも黒い服を着てるんだ?」
魚腹蔵羊
「そんなことも知らないのか!おれは風のように天下を吹き渡り、世間では「余大侠」と呼ばれてるぜ。全身黒ずくめはおれの印なんだ。」
街の物売り
「なるほど。私も多くの旅人から「余大侠」のことを聞いたことがある。ここ数年、ずいぶん気ままに過ごしているようだな。
でもずっとフラフラしているのも、いいこととは限らない……安住できる場所を探してみては?」
魚腹蔵羊
「いつか見つかったら、自然と落ち着くだろう!お前こそ、これからどうするつもりだ?」
街の物売り
「うちの村は隊商の通り道もなっている。だから宿屋を開いて、整理、会計、手配、調理を自分でやる。そうすれば金も稼げるし、料理を続けることもできる。
あんたが戻ってきたら、改めて勝負しよう!今度こそ負けないからな!」
魚腹蔵羊
「しっかりしてるな。じゃあがんばれよ!次の勝負を楽しみにしてるぞ!
その錦箱はお前が持っていてくれ。いつかお互いの願いかなったら、おれは取りに来る。」
魚腹蔵羊
「なるほど、あの宿屋はあいつが開いたのか……あいつの夢はかなったようだな。」
【選択肢】
・錦箱を開けてみない?
・あなたの願いもかなったな
選択肢
錦箱を開けてみない?
魚腹蔵羊
「いいぜ、一緒に開けようっか。もしかしたら、引っかかってた疑問の答えも錦箱の中にあるかもしれない。
まさか、謎が解けるこの時期になって、おれは不安な気持ちになるとはな。」
あなたの願いもかなったな
魚腹蔵羊
「つーか、お前に出会って、おれの生活は完全に変わったぜ。
おれはもう根無し草の遊侠じゃない……」
共通
魚腹蔵羊
「今回はムダではなかったな。」
魚腹蔵羊は錦箱を穴から拾い上げ、ついていた土を払い落とした。
魚腹蔵羊
「この錦箱は、食事と引き換えに彼に渡したものだ。易牙から逃げるため、ずっと放浪していたおれは、それほど金を持っていなかったな。」
錦箱がゆっくり開かれると、中身が見えてきた。
それは長い歳月を経て、すっかり黄ばんだ手紙だった。
封筒には、「余大侠へ」とはっきり書いてあった。
魚腹蔵羊
「……。」
【選択肢】
・あなたあての手紙だ
・この手紙は送れなかったんだね……
選択肢
あなたあての手紙だ
魚腹蔵羊
「余大侠……この呼び方ともずいぶん長い付き合いだな。
最初は味覚喪失を和らげるために勝負ばかりしてたな。いつかだんだん有名になり、自分でも楽しくなってきたぜ。
やっぱり世間って面白いところだな……」
この手紙は送れなかったんだね……
魚腹蔵羊
「その理由は……おおよそ見当がつく。
おれは三界を練り歩き、山河のもののけとも付き合いがある。情報を聞き出すのは難しくない。
だが彼は人間だ。連絡を保つには手紙を書くしかないだろ……
共通
魚腹蔵羊
「おれはいつも放浪し、定住することもなかった……のちに、彼に裏切られて連絡も途絶えた……
どうりで、この手紙はずっと送れなかった。」
魚腹蔵羊はしばらく黙っていた。
それから封筒を開けると、中の便箋が彼の手のひらに滑り落ちた。
街の物売り
「我が友、余大侠へ。
かつて、私はあなたと知り合い、あなたの過去、そしてあなたの病気のことも知っていた。
私たちもこれで親友となり、私は宿屋を開き、料理の腕を磨き続けるという夢を語った。」
黄昏の部屋の中は、家具が運び出されて少ししか残っていない。
1人の老人がテーブルの前に座り、
ロウソクの明かりを頼りに、書く内容に苦労していた。
街の物売り
「だが世の中はわからないもの。新しい販路が開拓され、行き交う商人は減るばかり。もともと山奥にある村は、すっかりさびれてしまった。
宿屋は……維持するのも難しく、値打ちがあるものは、かつての仲間に分け与えた……私は自分の世界が崩壊しつつあるのを感じた……絶望の中、私は不思議な人物に出くわした。
彼は、あなたと私の関係を知っていると言った。そして、あなたは迫害を受けてやむを得ず放浪しているのではなく……主人を裏切り、他人を欺く常習犯だと教えてくれた。
かつて私たちの勝負でも、あなたはイカサマで勝利を手に入れたと。あの人はあなたに裏切られた主人で、あなたを捕まえに来たと言った。
あなたに許してもらう資格などないことはわかっている。この手紙を書いたのは、すべてをあなたに伝えるため……いつの日か、錦箱のことを思い出したら、その答えがわかるはず。
申し訳ない。だが私は、あなたの願いがかなうに祈っている。」
魚腹蔵羊は何も言わず、首を振るだけだった。
手紙を折りたたむと、錦箱の中に戻る
それから、錦箱を墓碑の前に置いた。
魚腹蔵羊
「……。」
【選択肢】
・つらかったら言って。そばにいるから
・ハグしようか?
選択肢
つらかったら言って。そばにいるから
魚腹蔵羊
「……。」
魚腹蔵羊は声も出さず、自分の手を差し伸べるだけだった。
魚腹蔵羊
「お前の手、柔らかくて温かい……ホッとする。
お前がいる場所は……いつも心が安らかになるな。」
ハグしようか?
魚腹蔵羊
「ハグしたら……気分がよくなる……って
確かにおれがお前に言ったことだ。おれの言葉をよく覚えてたな……
ゴホン……もっとハグしてくれ……このままずっと……」
共通
しばらく沈黙して、魚腹蔵羊は首を振り、数歩ほど歩き出した。
彼は調理器具取り出すと、黒炎の力で薪に火をつけ、調理を始めようとしていた。
しばらくすると、香ばしさあふれた料理が盛りつけられ、錦箱のそばにそっと置かれた。
魚腹蔵羊
「お前の望みどおり、おれの願いもかなったぞ!」
魚腹蔵羊は急にずっと自分のそばにいる人の方を見つめている。
魚腹蔵羊
「おれはもうビクビクしながら逃亡生活を送らなくていい。なぜなら心から安心できるおれだけの家を見つけたからだ!」
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