蟠龍菜・物語
一 星の移ろい・壱
◆主人公【男性】の場合◆
(逆の場合の差分は募集中)
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ゲーム部の部室。裏面を上にしてカードが机に並べられ、4人が無言でそれを囲んで座っている。
【選択肢】
・……
・先にしゃべった人が負けのゲームでもしてるの?
選択肢
……
炸紫酥肉
「なんで通りかかった◯◯まで無言になるのさ?」
蟠龍菜
「いっそ、ゲームが終わるまでだまっていましょうか。」
炸紫酥肉
「これじゃあ、ゲームを始めることすらできないよ⋯⋯」
先にしゃべった人が負けのゲームでもしてるの?
臘味合蒸
「ハハハ、じゃあ君の負けだな!」
蟠龍菜
「……」
臘味合蒸
「ん?私にジェスチャーしてるってことは――私も負けだって!?
って、違うだろ!いつからそんなルールになったんだ!」
蟠龍菜
「情勢は目まぐるしく変化します。油断しちゃだめですよ。」
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魚香肉絲
「おいおい、さっきから〇〇が死んだような目で睨んでるよ!いい加減にしないと。」
「こうなったら、「ゲームはなんだ」っていうゲームをするのはどう?
炸紫酥肉
「想像するに、次に入って来た人が「私たちが何のゲームか当てているのを当てる」というゲームになるわけだな。やがて九連環みたいに次々と繋がって、空桑全体まで巻き込むことができる。」
臘味合蒸
「わぁ。話がますます複雑に……」
蟠龍菜
「それも面白いですが、〇〇が加わることでどんな不確定要素がもたらされるか見てみたいですね。」
彼は小さな箱を2つ取り出した。中には机の上に置かれたものとほぼ同じカードが入っている。
蟠龍菜
「私たちは今、「脚本ゲーム」で遊んでいるんです。全員、「身分」と「目標」が書かれたカードを引き、順番に物語を作るんですよ。」
「作る物語は設定を守らなきゃいけません。自分の身分がばれないようにしながら、ほかの人の身分を当てた人が勝ちです。」
「つまり……一番早く口を開いた人が、先に情報をさらすことになります。順番が後ろになればなるほど得られる情報が多くなって有利なんですよ。」
「それで……勝つために、みんなしゃべらないことを選択しているというわけです。」
「どうです?あなたも参加しませんか?この硬直した状況が打破できるかも。」
蟠龍菜
「いま〇〇もカードを引きましたよ。あなたの物語を話してください。」
【選択肢】
・国内外の伝説を物語の素材にする
・訓練のスケジュールを物語の素材にする
選択肢
国内外の伝説を物語の素材にする
蟠龍菜
「えっと、あなたのキャラクターはかつて……"化け物が「キノコよ扉を開けろ」と叫ぶと、岩に突き刺さった宝剣を手に入れ、民衆を捨てて一人で太陽を追いかけた皇帝を討伐した"ですって?」
魚香肉絲
「そのストーリーはちょっと聞き覚えがあるなぁ。焦先生のマイブームの「大乱闘」みたいだ。
蟠龍菜
「要素は多いですが、無駄を省いて重要な部分だけを残せば味わい深い物語になるでしょう。」
訓練のスケジュールを物語の素材にする
蟠龍菜
「あなたのキャラクターは、”毎日仕事に励み、朝早く家を出て夜遅くに帰って来る。スケートボードに乗ってリンゴの皮を切れないようにむき、左右の手で交互に麺の記事を伸ばすように同じ厚さにしなければならない”……?」
「そのキャラクターって、あなた自身なんじゃないですか?」
「あなたの身分と任務を、私に割り出せないか、ですって?」
「私は常に天機を試算しているわけではありません。それに、ゲームにそんなにまじめになる必要もありませんよ。」
「とりあえず、席の順番通り、次は私が物語を作る番です。うん……少し考えさせてください。」
「私が引いた身分は超常現象にやや関係があります。じゃあ1つ――怪物の物語を話しましょう。」
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蟠龍菜
「私は常に天機を試算しているわけではありません。それに、ゲームにそんなにまじめになる必要もありませんよ。」
「とりあえず、席の順番通り、次は私が物語を作る番です。うん……少し考えさせてください。」
「私が引いた身分は超常現象にやや関係があります。じゃあ1つ――怪物の物語を話しましょう。」
晩秋の頃、風がビュービューと白き九重の塔を巻き込み、軒の上の鈴をガラガラと鳴らした。さらに塔の下の広場を巻き込み、無数の落ち葉を拭き上げた。
子供たち
「高梁(カオリャン)挽いて~、麺にしよ~。東の街では目をむいて~、西の街では磨扇(モーシャン)食う~。アニキが小麦粉食べたけりゃ~、来年の夏まで待ってくりょ~!」
度胸のある子どもたちは、この広々とした遊び場が好きで、歌ったり飛び跳ねたりしてはしゃいでいる。
中年女性A
「小宝!昨日お前に何て言った?またここでわめいてるのか!お前が歌うと事故が起きるってことがわからないのか!」」
婦人乙
「次男!お前は良い事だけ覚えて、悪い事は忘れる。ここ数日懲らしめられてもまだ足りないのか!?」
親たちが飛び出してくる様子を見ると、子どもたちはわぁっと言って四方へ逃げた。しかし最初の男の子は、耳を引っ張られてムスっとした。」
次男
「こんなに広いし、邪魔者だっていないのに、なんでここに遊びに来ちゃいけないんだ!」
婦人乙
「バカ!ここがどんな場所か知ってるのかい?あの塔が見える?中から妖怪が出てきて、お前を丸のみにするんだよ!」
次男
「この塔は古いだけで、別に何もないよ。扉を叩いたことがあるけど、返事もなかった。」
婦人は怒って、息子の頭をこつんと叩いた。
婦人乙
「あのねぇ、年寄りが言ってたのよ!妖怪を鎮めるために、皇帝の命令で建てられたって。皇帝がすることに、ウソなんである?」
「言い伝えじゃ、何か災いを口にしただけで、その妖怪が災いを連れてくるんだってさ。数十年前の飢饉も、妖怪のせいだったそうよ。あんたがまた騒いで妖怪が出てきたら、一体どれほどの命が犠牲になるか……」
婦人がくどくど説教する声は、次第に遠ざかっていった。白い九重の塔の上で、フッと、ため息が風の中に消えた。
二 星の移ろい・弐
◆主人公【男性】の場合◆
(逆の場合の差分は募集中)
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臘味合蒸
「終わり?この物語は訳が分からない。どうやって当てればいいの?」
炸紫酥肉
「ゲームのルールに長さの制限はない。設定に一致していればいい。でも、蟠龍、一つ欠けていることがない?物語の中で、君が演じているキャラクターは一度も出てこなかった。」
蟠龍菜
「おや、やっぱりあなたたちも誤魔化すことはできないみたいですね。」
【選択肢】
・やっぱり誤魔化すつもりだったんだ
・蟠龍が物語を話すのが下手だってことをばらさないで
選択肢
やっぱり誤魔化すつもりだったんだ
蟠龍菜
「〇〇、やっぱりあなたは要点をとらえるのが得意ですね。」
「慌てないで。物語はちょっと長いので、少しずつ話しますよ。」
蟠龍が物語を話すのが下手だってことをばらさないで
蟠龍菜
「お気遣いありがとうございます。もっと上手になるように、毎日私の物語を聞いてくださいね?」
「ひとまず承諾してもらったということにして、残りの2段落を話しますよ。」
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西苑は厳かでひっそりとしている。いくつかのろうそくの火が、美しい龍と虎の彫刻を照らしている。昼間は権勢と威風を象徴する八面の獣虎は、暗闇の中ではなぜか恐ろしく感じる。
皇帝
「お――お前、できないと言ったのか!?」
幾重にも重なる幕の後ろで、この国の最高権力者が、怒りを抑えながら低い声で怒鳴った。まだそれほど老いてはないが、不思議な丹薬と老いへの恐怖が、次第に彼の体を蝕んでいた。
皇帝
「朕は権勢で天下を圧倒し、天下で最も裕福である!国中の力を傾け、なぜ己の命を永らえ、王朝を延々と存続させることができぬ?」
蟠龍菜
「陛下、生死というものは自然の摂理であり、人の力で変えることはできません。」
皇帝
「国師よ、運命に抗うのはそなたが最も得意とすることではないのか?そなたは朕をよく助けてくれた。なぜこれを助けてくれぬのだ?朕が在位したその時は、必ずそなたに多大なる権勢を与えると承諾したはずだ。」
蟠龍菜
「宇宙は広大で、この世の物事は複雑です。人の力には限界があります。したくないのではなく、できないのです。」
皇帝
「人の力……?ハハ……ハハハ……」
「国師よ、そなたは朕に仕えて数十年になるが、容姿や体型が少しも衰えていない……なぜ朕に若さを永遠に保つ秘法を教えてくれぬのだ?まさか、朕の息子や臣下の方が、より高額の金を出したのか?」
「よもや、そなたはすでに朕が必ず衰えることを予見し、朕を捨てようとしているのであろう?」
蟠龍菜
「はっきり申し上げることをお許しください。陛下はすでに疑いと嫉妬に心を欺かれ、私のことを信じられなくなてしまわれました。
私がどんな諫言をしようと、陛下は謀反の証拠と見なすでしょう。」
皇帝
「ハハハ……さすが国師。その通りだ。朕はそなたを信じられぬどころか、恐怖すら感じ始めている。」
「そなたは天意と時勢を見抜いて一歩一歩と主導権を握り、誰もが不思議だと思うことを現実にすることができる。それに……朕はすでに白髪だが、そなたは初めて出会った頃と変わらぬ。」
「そなたのような人材を朕のために用いれるということは、当然大きな喜びだ。だが、もし――朕を助けぬのなら、間違いなく朕や、朕の子孫の最大の敵となるだろう。」
「それに、朕が出会ったどの方士(ほうし)にも、そなたのように正確に天災を予言し、明示できる者はいなかった。すべての物事が朕を疑いへと向かわせる……」
暗い城の中で、皇帝のつぶやきをこだまする。
皇帝
「国師、そなたは――本当に人間なのか?」
蟠龍菜
「……」
近侍
「ご報告します――王爺さま、皇帝の葬儀の知らせです!」
父を亡くしたばかりで、まだ服喪中の少年である王爺は、一瞬驚愕し、続いて苦笑した。
王爺
「それは……ちょうどいい。喪服を脱がなくていい。」
近侍
「……」
王爺
「で、ほかに何か?」
近侍
「私はただ、すべての事が蟠龍さんが言った事と同じであることに驚いて……」
王爺
「彼は府中の門客だろう?彼は何と言ったのだ?」
近侍
「王爺さま、まずは私めの大きな不敬の罪をお許しください……彼は、あなたが将来、皇帝になると言いました。」
王爺
「!!!」
閉ざされた部屋の中、少年は緊張と恐怖と秘めた興奮を帯び、低い声で問い詰めた。
王爺
「そ……そなた、なぜそのような大逆無道な事を口にする。」
蟠龍菜
「私が府内で門客となってから随分待ち、王爺さまには恩があります。これぞまさに恩返しする好機!信じぬのであれば、なぜ尋ねにいらしたのですか?」
王爺
「実はな、現皇帝は節度なく遊びほうけていた。宦官を寵愛し、各地で武力暴動を起こし、天下を動揺させた。私は天下を粛清したいと思いながら、力を発揮できる道がないことを苦しんでいたのだ。」
「決してそなたを信じていないのではない。現皇帝に跡継ぎがいないとはいえ、後続の親戚や兵権がある者、人脈がある者がいるというのに、なぜ私のようなただの少年に、その役目が回ってくるのだ?」
蟠龍菜
「ハハハ、流れに逆らうのは私が最も得意とする事です。私は観気の術を学んでおり、運命を押し動かし、事の道理を変えることができます。私の策略があれば、必ずや王爺さまが皇帝の地位に就く助けとなるでしょう。」
彼は相手が思わず明らかな疑惑の表情を見せてしまうほど長い間、意味深長に少年を見つめた。
蟠龍菜
「私はただ成功したその時に、王爺さまが今日の天下を一掃するという決意を忘れないでいただけたら、それでいい。」
三 星の移ろい・参
◆主人公【男性】の場合◆
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蟠龍菜が物語を話し終わり、みんなが彼の身分と物語の真相について考えた。
魚香肉絲
「つまり……あなたが演じているのは偉大な国師?国の苦しみ、愚鈍な皇帝、そして新王による暴政の転覆。正義の物語だね。」
炸紫酥肉
「前の大局からの直感なんだけど……いま私たちが聞いた物語には、罠があるのかもしれない。」
蟠龍菜
「ほう?今回は逆に方法を変えて、すべて包み隠さず打ち明けましたよ。それなのに、罠だと思ったんでしょうか?」
【選択肢】
・そんなに簡単じゃない
・順番だ!
選択肢
そんなに簡単じゃない
蟠龍菜
「〇〇まで私を疑うなんて。賢いと褒めるべきなのか、傷つくべきなのか。」
「ほう?ある盲点を見つけた。それは――順番ですって?」
順番だ!
蟠龍菜
「ふむふむ、あなたがそれに気づいてくれて……とても嬉しいです。」
「いえ、わたしにはわかりません……
美人、その理由をぜひわたしに教えてください。」
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臘味合蒸
「順番……そうだ!物語は3部あるとは言ったが、3つの物語が順番通りに起きたとは言っていない!」
魚香肉絲
「そういうことだったのか~。逆から見てみると、ある人物が帝位に就けるよう助けたが、次第に畏れ疑われ、怪物と貶められ、高い塔の上に監禁された――ハハハ。これでやっと話の筋が通った。」
蟠龍菜
「その通り。「高い場所にある金の籠の中で万人から崇拝される神」と、「天下に居場所がなく万人から軽蔑される怪物」が、そもそも同じだったというわけです。」
ふとした瞬間、彼の笑顔にどこかはかなさを感じた。笑ってはいるが、喜びも悲しみもない神のようだった。一瞬、彼がゲームの中の物語を話しているのか、別の何かを話しているのかよくわからなくなった。
もう一度見ると、彼はどこもおかしい様子はなく、ゲームの結果を発表していた。まるでさっきの感覚が、ただの錯覚だったかのように。
蟠龍菜
「このゲームの中での私の身分は表裏一体です。おめでとう、〇〇。一番早く手がかりを見つけて勝利しましたね。」
蟠龍菜
「部屋の片付けが終わって、ほかの方々はもう帰ったのに、どうしてまだここにいるんですか?まさか……私を慰めるためにわざわざ残ったんですか?」
【選択肢】
・後悔してる?
・もう一度やり直せるなら、どの道を選ぶ?
選択肢
後悔してる?
蟠龍菜
「もちろん――していません。たとえそうなる運命だと分かっていても、目標を変えるつもりはありません。なぜ運命のために目標を妥協しなければならないのです?」
「すべてを知って、すべてを変えることは、より楽しく、より意義があるのでは?」
「たとえ変えられなかったとしても、己の無力さを知ることもまたある種の進歩です。」
もう一度やり直せるなら、どの道を選ぶ?
蟠龍菜
「神か怪物かと聞いているのですか?」
「私は……より人が選ばない道を選びます。」
「ハハハ。自分の身分を定義するよりも、その方が面白くありませんか?」
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蟠龍菜
「私はよく、「運命を変える」ということも「運命の内に入る」ことなのではないかと思うんです。」
「あなたに本音を話したのは……意識的なのか、無意識なのか?」
彼は近寄ってきた。まるで目の前の人物の顔から、何かを確かめようとしているようだ。けれど彼は、すぐにまた笑いながら首を振る。自分の考えをあざ笑うかのごとく。
蟠龍菜
「ところで、いつ物語のほころびに気づいたんですか?」
【選択肢】
・話す過程から明らかだった
・服の色から明らかだった
選択肢
話す過程から明らかだった
蟠龍菜
「わざわざ3つに分けて話したのは、そのつながりを断つためだったと?正解です。」
「あなたが勝利した理由を、なぜ私にわからないのか、ですって?」
「ふふふ……ある事に関して、あなた自身の口から答えを聞いてみたかったのですよ。」
服の色から明らかだった
蟠龍菜
「服の……色?」
「4人の中で、私だけ紫色の服じゃなかったから、絶対に私が怪しいと?」
「プッ……ハハハハ――」
「まったく、これからもずっと私に予想外の出来事と変数をもたらしてくれることを願うばかりです。」
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運命の奔流の中で、彼は多くの事を変えようとしてきた。そしてこの人物と出会ったという運命のめぐり合わせだけは、できることなら永遠に変わらないでほしいと願った。
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