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蟹釀橙・物語

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一 心の在処・壱

◆主人公【男性】の場合◆

(逆の場合の差分は募集中)

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ガジガジ、召喚召喚――


押し合う木槿の花の中から、規則正しく木を切る音が聞こえる。

幾重にも重なる花を押しのければ、よく知っている姿が踞座し、熱心に彼のからくりを弄っている。


蟹釀橙

「……」

「……」

「助手の絡繰兎甲、かんなを持ってきてくれ」

「助手の絡繰兎乙、のみを探してきてくれ」

「助手の絡繰兎丙――」

体の任意の位置に触れる

触れ合い

頭に触れる(後ろから彼の目を覆う)

蟹釀橙

「……」

「○○、まだ「だーれだ」ごっこをやるのか?」

「そのゲームのどこが面白いかがよく分からない。

 そんなに近づけば、体の匂いと温度はちゃんと感知できるから、当てる必要もない」

体に触れる(彼の肩の花を払い落とす)

蟹釀橙

「○○か、何か用か?」

「花が私の肩に落ちた?ありがとう」

「あ、形が完璧なムクゲだ。

 よく見ると、花の構造も不思議だ。萼、花冠、花床、花蕊、まるで精巧な絡繰のようだ」

「心の構造はどのようだろうか」

手に触れる(かんなを取ってあげる)

蟹釀橙

「ありがとう。後で人参味のオイルをあげよう、レタス味もあるぞ」

「助手の絡繰兎甲、お前の足はなんだか……暖かいな?」

「あ!○○だったか、いつ来たんだ?」

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蟹釀橙

「私か?私は非命を点検修理している。

 ちょっと出かけたいんだが、事前にきちんと用意をしないとな」


蟹釀橙は突然鋸を置き、僕をじっと見つめる――


蟹釀橙

「今回は心のつくり方を探したいんだ。

 最近はずっとこのことを研究していた」

「絡繰の術はとても強く、心臓がなくても私はこうして生きられるが。

 私が欲しいのは、これだけじゃない」

「たくさんの本を読んでいたが、白先生から借りてきた本で、このようなことを読んだ――」

「かつてある絡繰術士がいた。彼は恋人の早死により鬱病になった。

 その後、彼は身につけた絡繰術を用いて彼女の姿を再構築した」

「でもその絡繰人形は私と同じく、最も大事な部分が欠けていた。それは心だ」

「そのため、絡繰術士は昼も夜もなく研究して、ようやく心の作り方を手に入れた」

「ついには、彼は完全な恋人を取り戻し、彼女と山に引っ越して、自由で楽しい生活を送ったそうだ」

【選択肢】

・それはただの自己満足でしょう?

・感動させる話だ

選択肢

それはただの自己満足でしょう?

蟹釀橙

「自己満足?

 その感情は私にとって、複雑すぎるかもしれない」

感動させる話だ

蟹釀橙

「感動させる?

 泣きたくなるということか?」

「マシンオイルを漏らさない限り、私の目からは液体が出ない。

 だからその感情は私にとっては、少し分かりづらいな」

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蟹釀橙

「人の感情は、やはり一番複雑なからくりより難しいと思う」

「たとえば心の作り方を手に入れれば、この何もない胸の中に動く心があれば、その感情をより容易く理解できるようになるのか?」

「とにかく彼が隠れ住んでいた場所で、何か使える手がかりがあるかを探してみたい」

「え?いつ出発するって?

 その顔、期待しているのか?」

「ちょうどお前を誘うつもりだった。お前は冒険などに興味があるという覚えがある。

 もしお前に黙って一人で出かければ、お前は不機嫌になるだろう?」

「不機嫌くらいのことならわかる。

 その様はどこかの小さな部品が壊れたようだ。お前にはそうなって欲しくない」

「だから――

 私と一緒に非命に乗ってくれ、今すぐ出発する!」





二人は非命に乗って、まばゆい万象陣を通り、ぼんやりと霞んでいる雲を通り抜け、うっそうとした森林を通り抜けた。

そして、ようやく麓の空き地に止まった。蟹釀橙は草と葉っぱで非命を覆い隠して、地図を開けた――


蟹釀橙

「どれどれ、あの本の記載によると、この近くにあるはずだ――」

「○○、ちょっと待て」

「よし。髪に木の葉がついてるだけだ、もう払い落とした」

「道に荷を担いでいる村人がいるな。彼らに尋ねてみたらどうだろうか?」




蟹釀橙

「すみません、おじさん、この山に――」


村人甲

「山に入るつもりか?それはいけん!」


村人乙

「若者よ、忠告を聞いておくれ、この山に化け物がいるんだよ!

 どうか命を落とさないようにね!」


蟹釀橙

「化け物?面白い、詳しく教えてもらえないか?」


村人甲

「面白いだと?この若者はどういうことだ?

 彼女にあったら、面白くなどと言ってられんぞ!」


蟹釀橙

「なぜ彼女が化け物であることが分かるんだ?

 三つの耳と八つの口がついているのか?それとも四本の腕と六本の足があるのか?」


村人甲

「俺らは山で芝刈りしてた時に、森の中で一人の女を見た。

 彼女は白い服を着て、胸元に一束の赤い花が飾られていて、とても綺麗だった」


村人乙

「彼女はなぜ一人で山をほっつき歩くのか疑問に思っていた時、彼女が俺らに気づいたんだ」

「全てが突然で、彼女は急に凶悪な顔つきで俺らに突っ込んできた。

 そのときにようやく分かったのさ、彼女の白い服にあるのは花ではなく、血だ!

 彼女は人を食う化け物だ!ってね」


村人甲

「俺らは必死に走って、やっと彼女を振り切ったんだ。

 彼女が化け物じゃなければ、いったいなんだっていうんだ?」


二人の村人は話しながら蟹釀橙の顔色を観察していたが、蟹釀橙の顔に恐怖は少しもなかった。

それどころか、興奮に似たような表情を見せている。それを見て二人は頭を振った――


蟹釀橙

「これは、実に面白い」


村人甲

「ば、バカにしてんのか?信じないなら好きにしやがれ!」


村人乙

「帰ろう!やつらを説得するのはやめよう!

 「忠言を言えども死にたがりは救えぬ」って言うだろう。やつらは好きにさせればいいさ!」


蟹釀橙

「おじさん、どうして行ってしまったんだろうか?」

「○○、私は何か間違ったことを言ったか?

 彼らが話したことは本当に面白かった」


蟹釀橙

「あれ!○○、なんでお前まで行ってしまうのか?」


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二 心の在処・弍

◆主人公男女共通◆

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 蟹釀橙と一緒に四時間くらい山を歩き回りーー


蟹釀橙

「〇〇、疲れたか?」

「そうだな、人間は長い時間山道を歩けば、きっと疲れを感じる。」

「ごめん、そのことを考えなかった。

あそこの木の下で休むとするか?」

「既に絡繰兎甲、乙、丙に探索させているから、もうしばらくしたら戻ってくるはずだ。」


話が終わらないうちに、草むらから二つの長い耳が出てきた、絡繰兎だった。


蟹釀橙

「探索していた絡繰兎甲だ。何か見つけたようだ。」





絡繰兎は飛び跳ねて、二人を一つの山の洞穴の前に連れてきたーー


蟹釀橙

「……。」

「この洞穴の外に人間の行動の跡があるな。中に入って見てみよう。」


蟹釀橙はどこから正方形の「木」を取り出し、少し弄るとそれは灯篭になった。


【選択肢】

・先生、絡繰術を勉強したいです!

・何このブラックテクノロジー、凄い。

選択肢

先生、絡繰術を勉強したいです!

蟹釀橙

「これは複雑な絡繰じゃないぞ。作りたいなら戻ったら教えよう。」

「でも、なぜ私のことを先生と呼ぶのか?」


何このブラックテクノロジー、凄い。

蟹釀橙

「ブラック……テクノロジー?テクノロジーは白と黒に分かれるのか?」

「どうやらまた私が分からない人間の常識に触れたな、興味がある。

戻ったら私に教えてくれるか?」





蟹釀橙は火打ち石を使い、灯篭に火をつけた。二人は共に奥深い洞穴へと入っていった。


蟹釀橙

「〇〇、私の後ろをついてくるように。」





数十歩歩くと、狭い通路が急に広くなった。石室だ。

室内に石でできた腰掛け、机、寝台があり、そして一つの水たまりがあって、渓流で外と繋がっている。


石壁には何かがびっしりと刻まれている。蟹釀橙は近づいて注意深く見るとーー


蟹釀橙

「私の予想通り、ここがあの絡繰術士が隠れ住んでいた場所だ。

ただこの壁の刻まれている絡繰の図に心の作り方はないな。」

「これは……?」


突然、蟹釀橙は小さい声を出した。彼が指さす方向に沿って目をやると、床に人の形の骨がある。

その骨は男の服を着て、胸に七首が刺されている。


どこからか陰湿な風が吹いてきて、とっさに、寒さが背中に沿って頭のてっぺんまで登ったーー

体の任意の位置に触れる

触れ合い

頭に触れる(彼の首を抱き寄せる)

蟹釀橙

「ーー!!」

「急に後ろから首を抱かれたから、誰かに襲われたと思って、防御モードを起動するところだった。」

「怖いか?手を握るか?

いろんな本にこう書かれているからな。」

体に触れる(彼の体を抱き寄せる)

蟹釀橙

「〇〇、怖がっているのか?大丈夫だ、彼はもうずいぶん前に死んだから、お前を傷つけることはできない。」

「え?死んだからこそ怖い?よく分からないが。」

「そんなに怖いなら、私の手を握るといい。」

手に触れる(彼の腕を抱き寄せる)

蟹釀橙

「ーー!!」

「危ない、灯篭を落とすところだった。」

「〇〇、怖がっているのか?では私の手を握るといい。

いろんな本にこう書かれているからな。理由はよく分からないが。」

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蟹釀橙

「彼の手に何かが握られているようだ。死ぬ寸前にあんなに強く握るとは、もしかして彼が心血を注ぎ尽くした傑作が中に記載されているのか?」

「……。」

「女の肖像だーー」


話が終わらないうちに、強い風が襲ってくる。

二人には避ける余裕がなく、倒されたーー


うす暗い灯りが犯人も姿を照らした。あれは白い服を着た女だ。

彼女は肖像の女と同じ顔をしている。


???

「ガオーー!!」


野獣のような怒号がこんなか弱い躯から出てくるとは、とても想像できなかった。


蟹釀橙

「〇〇、怪我はないか?

幸い、いいタイミングで防御モードを起動した。」

「これがあの二人の村人が話した化け物か?暴走した絡繰人形か。

どうやら、彼女があの絡繰術士が作った「奇跡」だよな?」

「ん?彼女は……肖像を見ている?」


女はぼんやりとあの地面に落ちた肖像を見ているーー


絡繰人形

「……。」


彼女の顔色は雪のように融け、そしてまた一瞬で氷になった。

短かったが、その変化のおかげで、彼女は暴走した野獣ではなく、人のように見えるようになった。


彼女はゆっくりと口を開き、冷たい口調で話したーー


絡繰人形

「彼を探しに来たの?」

「彼は死んだ。本当に死んだの。あれは夢だと思ってたわ。」

「思い出した、私が彼を……」


蟹釀橙

「……。」


絡繰人形

「彼が何回目かわからないけどあの肖像を開いて、そっと撫でる時に。」

「私は……とうとう我慢できなくて、彼を……」

「笑っちゃうでしょ。最初の日々は、肖像に描かれている女は私だと思ってたの。」


蟹釀橙

「ここで隠れ住み、自由で楽しい生活を送っていなかったのか?」


絡繰人形

「自由で楽しい生活?

あれは彼が勝手に見せてくれた素敵な偽りの未来だったわ。」

「彼が愛して、想っているのは全く別の女よ。肖像にある女、私と同じ顔持っている女。

けど私は、彼に作られた、彼を慰めるための物にすぎない。」

「もし私がただの物で、最初から何も感じられない石や木だったら良かったのに。

そうだったら、私は求めても手に入れられない苦しみを体験をしなくて済むし、嫉妬に痛めつけられて狂わなくても済んだ。」

「全てこの心があったせいなのよ。」

「絡繰術士さん、あなたは心の秘密を探すためにここに来たのかしら?」


蟹釀橙

「その通りだ。」


絡繰人形

「誰に感情を悟らせたいの?この苦しみを……誰に押し付けたいの?」


蟹釀橙

「もしそれが「苦しみ」をもたらすというのなら、私は喜んでその苦しみを受け入れる。」


絡繰人形

「その首、そして四肢……」

「なるほど……はははは、なるほどね!あなたは絡繰術士なんかじゃないわ。洞穴の入り口で飛び跳ねてた絡繰兎に惑わされたわ……あなたは私を同じ物よ!どうしてそんなバカなことをするの!」

「どこで一部の感情を体験したのか分からないけれど、それを深く求めない方がいいわ。これ以上あれを求めるのはやめて。あれは私たちのような物が手に入れるものじゃないわ。でないと、あなたは私と同じ道を歩むの。」

【選択肢】

・彼はあなたと違う

・バカなことじゃない

選択肢

彼はあなたと違う

蟹釀橙

「〇〇の言った通り、私は私。

私は独立の存在だ。自分の道は自分で選ぶべきだろう。」

バカなことじゃない

蟹釀橙

「〇〇の言った通り、これはバカなことではなく、私がずっと考えていたことだ。」

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蟹釀橙

「人間の霊性は数え切れない可能性を作り出すことができる。私が求めたいのは、果てなき可能性だ。

これが私がここに来た理由。決してお前に惑わされない。」

「お前に苦しみをもたらしたのはその心ではなく、何か別のものだ。

お前はその苦しみを恐れて自分の感情と心を否定して、それがもたらす可能性を否定するのは間違っている。」

「どうか心の作り方を教えてくれ。」

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三 心の在処・参

◆主人公【男性】の場合◆

(逆の場合の差分は募集中)

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絡繰人形

「そんなもの、知らないわよ!」

「……」


絡繰人形は大声を出し、そして急に黙り込んだ。

彼女は何かを見たように、手をほこりが積もった骨に入れて、ぴかぴかするものを取り出した。

それを見た瞬間、彼女の表情は以前より狂ったように見えた――


絡繰人形

「死ぬ前に、彼はあの女の腕輪を持っていたなんて……」

「彼は私が彼にあげた香袋玉の装身具は惜しげもなく捨てたのに、この腕輪を宝物のように大事にしていた」

「苦しい……胸元が苦しい!」


蟹釀橙

「しまった、彼女はまた暴走した、○○、気をつけろ!」


絡繰人形

「心なんてなかったら良かったのに! こんなもの……こんなものなんて、壊せばいいのよ!」


女は野獣のような鳴き声を上げて、その「心」という名の絡繰を躯から引き剝がした。

そして力を込めて隣の深い水たまりに投げ込んだ。

意識よりも先に体が動いた。体は素早く走り出した。

あの女に憎まれて、蟹釀橙に求められる物に飛びかかった――

そして、それを手に握った瞬間、バランスを失い、水たまりに落ちてしまった。


蟹釀橙

「○○――!!」


体が冷たい水に包まれ、落ちていく。

息ができない。ただ無意識に手にある物をぎゅっと握る……

どれくらいの時間が経ったのか分からない。暗闇の中でぼんやりとする人の姿が目の前に現れた――

その――

【選択肢】

・力を尽くして手を伸ばす

・……

選択肢

力を尽くして手を伸ばす

力を尽くしてあの姿に手を伸ばしたら――

手首を暖かくて力がある手にぎゅっと握られた。その後すぐに、体も上へと引っ張られていく。

……

少しも力が出ない。ただあの人がこちらに向かって泳いでくるのを見ている……

そして、手首はようやく暖かくて力がある手にぎゅっと握られた。体も上へと引っ張り上げられた。

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誰?これは…あの人?

でもなぜ彼の手がこんなに暖かいの?

混乱する頭が答えを出す前に、意識が闇に沈んだ……


蟹釀橙

「……○○……きて……」


蟹釀橙

「○○、やっと気がついた。

 どこか具合が悪いか?」


冷たいはずの絡繰の掌がおでこを撫でる時、暖かく感じた。

先ほどの冷たい混沌の中で触れた暖かさはやはり幻覚ではなかった――


蟹釀橙

「何を笑っているんだ?私の手が……暖かい?お前が冷たい水たまりから出てきたばかりだから、それが原因かもしれないな」

「でも、この体に温度調節の絡繰を追加するのはありだと思う」

【選択肢】

・助けてくれたのはあなた?

・心を手に入れた?

選択肢

助けてくれたのはあなた?

蟹釀橙

「お前を水から引き上げたのは確かに私だが、それは「助ける」ではないと思う」


蟹釀橙は掌を開いた。あの小さい絡繰が掌に転がっている――


蟹釀橙

「お前は自分の危険を顧みず、私のためにこの心を取ってきたから。私は決してお前を見捨てたりしない」

「私の肩に怪我がある?

 あ、痛くないから気づかなかった」

心を手に入れた?

蟹釀橙は掌を開いた。あの小さい絡繰が掌に転がっている――


蟹釀橙

「ああ、取れたぞ」

「お前を水から引き上げた時、お前はこの絡繰を力強く握っていた。指までそのトゲに刺されてるぞ――」

「動くな、傷口を包んだばかりだ」

「私も肩に怪我をしている? あ、痛くないから気づかなかった」

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「壊れた部品は変えればいい」

「ただこの「心臓」は。いいや、この絡繰は……」


(回想)

蟹釀橙

「○○――!!」


絡繰人形

「行かないで!」

「なんでこんなことになったのよ? 心を捨てたのに、どうして胸は相変わらずこんなに苦しいの――」

「あなたも絡繰術の秘密を知っているんでしょう?ねえ、早く教えて、どうしてこうなったの? 体のどの部分を捨てれば、この全てを……忘れられるというの?」


蟹釀橙

「……」

「この中の秘密を教えることができない。絡繰術より奥が深くて難しいから」

「今はあの秘密を教えられる人を助けに行くから」

「離してくれ」

(回想終わり)


蟹釀橙

「あの絡繰人形に感情を持たせたのは、絡繰術師が心血を注ぎ尽くして作った「心臓」ではなかった」

「これはただのごく普通の、なんの特別のところもない絡繰だ。彼女に感情を獲得させたのは、もっと秘められた微妙な何かだ……」

「お前を背負って石室に戻ったら、あの絡繰人形は既に骨の隣に倒れていた。部品が地面に散らかっていて、知らないうちに「死んだ」。」

「工事の絡繰兎に彼女とあの骨を埋めてもらった」

「心に関する噂は嘘だったが、私はお前が取り戻したこの「心」を大事にしよう」

「だって、この心のおかげで貴重な体験ができたからな――」

「お前の後に続いて、深い水たまりの中でお前を探していた時、私の胸元から奇妙な感覚が溢れてきた」

「あれは今までと全く違って、「秘密で微妙な」ものと言える感覚だ。あれが私の体内の各絡繰、各部品の中で走り抜け、それらを震えさせた……」

「今の私はまだ理解できないが、でも、お前のそばにいれば、いつかきっと理解できるようになるだろう」

「なぜなら、私を秘密で微妙な感覚を体験させたのはお前だ。

 人間の限りのない可能性を見せてくれたのもお前だ」



非命は二人を乗せて、紺色の夜空を飛ぶ。

月明かりはぼんやりとする霧のように万物を覆う。遠くから優しい歌声が聞こえてきた――


えび餃子

「¥「Fly me to the moon Let me play among the stars

Let me see what spring is like On Jupiter and Mars~♪」"」

「¥「Fill my with song

and let me sing forever more~♪¥」


蟹釀橙

「えび餃子の歌声が聞こえる。もうすぐ着くぞ」

「以前に金絲少爺から聞いたんだが、「moon」は「月」という意味らしいな? ということは、これは月を賛美する歌なのか?」

【選択肢】

・そう言ってもいい

・それだけじゃない

選択肢

そう言ってもいい

蟹釀橙

「人間が作った曲はとても不思議だと思う。歌詞が分からずとも、その中に含まれる感情に影響を受ける」

「この歌を聞いたら、急にお前と一緒に月を見に行きたくなった。

 あそこは私たちが初めて会った場所だからな」

それだけじゃない

蟹釀橙

「白先生は言っていた、人間が月について話す時、月のことのみを話したいわけではなく、あることを月に託すのかもしれない、と」

「この歌にどんな感情が託されたんだろうか?」

「私はただ、この歌を聞いたら、急にお前と一緒に月を見に行きたくなったことしか分からない。

 あそこは私たちが初めて会った場所だから」

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「ん?お前もそう思っているのか?これが人間がよく言う「心が通じ合う」ということか?」

「心か……かつてあの月の上で形ある心を失ったが……

 今は、この胸の中は徐々に形ない何かで満たされている……」

「それじゃあ、○○、まずは絡繰りハトに私たちの無事をみんなに知らせてもらおう」

「非命、路線変更! 今は月に向かい、出発!」


二人は非命に乗って、清らかに輝いている月へと飛んでいった。

空から降り注ぐ雪色の月の光が二人の顔を照らした……


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