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刀剣乱舞攻略まとめWiki【とうらぶ】

【刀剣乱舞】回想の発生条件と刀剣男士の組み合わせ一覧【とうらぶ】

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作成者: ゲストユーザー
最終更新者: K

回想の発生条件

・指定の刀剣男子を部隊に入れている

・指定の地域に遠征する

※回想によっては指定の地域が特にない場合もあります。


※回想の発生条件と内容についてのネタバレを含むまとめです。

目次


其の1:土方の話

  • 刀剣:和泉守兼定・堀川国広
  • 時代:維新の記憶 地域:函館

ネタバレ注意
堀川国広「兼さん、ここは函館だよ!」
和泉守兼定「わかってらぁ」
堀川国広「これはつまり主が、いや、前の主が」
和泉守兼定「わかってる!」
堀川国広「ひょっとしたら死なないですむかも……」
和泉守兼定「駄目だ駄目だ!てめえ言いつけ忘れたか。歴史は歴史、良くも、悪くも」
堀川国広「でも兼さん、泣いてるよ」
和泉守兼定「うるせえ!」

其の2:沖田の話

  • 刀剣:大和守安定・加州清光
  • 時代:維新の記憶 地域:鳥羽 

ネタバレ注意
大和守安定「ここが……鳥羽……」
加州清光「何湿っぽくなってるのさ。うざいよ?」
大和守安定「だって……沖田君とは、結局一緒に来れなかっただろ」
加州清光「そうねー。あの人、お前みたいな使いにくい刀好きだった分、体弱かったもんね」
大和守安定「使いにくいのはお前も同じだろ」
加州清光「……そうね。ったく、俺たちみたいな刀の主は、長生きしてくれなきゃ迷惑だよ……」

其の3:太郎と次郎

  • 刀剣:太郎太刀・次郎太刀
  • 時代:江戸の記憶 地域:鳥羽

ネタバレ注意
太郎太刀「故郷の近くまできたもんだ」
次郎太刀「また奉納されていくかい?」
太郎太刀「いや、今は何百年ぶりかの実戦刀ですから」
次郎太刀「平和は退屈だった?」
太郎太刀「まさか。平和になるために主を手伝っているのです」

其の4:無用の長物

  • 刀剣:同田貫正国・御手杵
  • 時代:江戸の記憶 地域:江戸

ネタバレ注意
御手杵「この時代、平和だった」
同田貫正国「ああ、平和だった。俺は評価が低かった」
御手杵「俺には出番がなかった」
同田貫正国「その我らがここで出番を得るとはな」
御手杵「皮肉なもんだ」

其の5:悲しみの剣たち

  • 刀剣:鯰尾藤四郎・一期一振
  • 時代:江戸の記憶 地域:大阪(大坂冬の陣)

ネタバレ注意
鯰尾藤四郎「ここで、俺たちは焼けた」
一期一振「確かに、ここで焼けた」
鯰尾藤四郎「ここをやり直せば」
一期一振「駄目だよ。それじゃあ敵と同じになる」
鯰尾藤四郎「……」
一期一振「信じよう。今の主を」

其の6:安土の名工

  • 刀剣:山姥切国広・山伏国広
  • 時代:織豊の記憶 地域:安土

ネタバレ注意
山姥切国広「久しぶりだな。兄弟」
山伏国広「カカカ!しかり、しかり!」
山姥切国広「楽しそうで何よりだ」
山伏国広「拙僧、すべてを笑い飛ばせるほどに強くなりたく」
山姥切国広「強くなってどうする?」
山伏国広「まあ、その時には戦も終わる。カカカ、美術品に戻るとするか」
山姥切国広「能天気め……」

其の7:今川の剣

  • 刀剣:江雪左文字・宗三左文字
  • 時代:戦国の記憶 地域:桶狭間

ネタバレ注意
江雪左文字「……浮かない顔をしていますね」
宗三左文字「……ここは桶狭間。即ち、この後僕は魔王に囚われるのだ、と思うと……」
江雪左文字「なるほど。……悲しみの記憶は、癒えませんか」
宗三左文字「……わからないんだ。今川の剣で終わったほうが幸せだったのかどうか」
江雪左文字「それは……」
宗三左文字「……いろんなことがありすぎて、もうわからないんだ……」

其の8:義経の話

  • 刀剣:岩融・今剣
  • 時代:武家の記憶 地域:阿津賀志山

ネタバレ注意
今剣「ここは、あつかし山ですか」
岩融「そのようだ。我ら因縁の地!」
今剣「ぼくのまえのしゅじんをころしたひとたちが、しんでしまいました」
岩融「左様。いいざまよ」
今剣「ここからなら、まえのしゅじんをたすけられるかも」
岩融「それはならぬ」
今剣「れきしをかえてはなぜいけないの?」
岩融「……悲しいことはあっても、その次に我らがいるからだ」
今剣「むずかしいよ」
岩融「そうだな……」

其の9:神剣までの道

  • 刀剣:石切丸・にっかり青江
  • 時代:指定なし 地域:指定なし

ネタバレ注意
にっかり青江「僕はなんで神剣になれないんだろう」
石切丸「霊とはいえ、幼子を斬った」
にっかり青江「やっぱりそれかぁ」
石切丸「なんてね。何百年かすれば、またかわるかもしれないよ」

其の10:藤四郎だらけなのは

  • 刀剣:厚藤四郎・五虎退
  • 時代:指定なし 地域:指定なし

ネタバレ注意
五虎退「兄さん、なんで僕たち兄弟が多いんですか」
厚藤四郎「決まってるだろ。家康公が使ってたからだ。縁起がいいってな。どこの大名も持ちたがった」
五虎退「幸運のお守りですね!」
厚藤四郎「おかげで偽物もいーっぱいだ」
五虎退「え、えと」
厚藤四郎「泣きそうな顔すんなよ。お前はそう、決まったわけじゃないから」
五虎退「う、うえぇぇん」

其の11:来派の話

  • 刀剣:蛍丸・愛染国俊
  • 時代:指定なし 地域:指定なし

ネタバレ注意
愛染国俊「あれっ?蛍、お前だけ?国行はいないのか?」
蛍丸「俺だけだよ?」
愛染国俊「国行め……。日頃あんな事言いながら、蛍を放っておきやがって……」
蛍丸「心配いらないって、俺がいれば楽勝でしょ?」
愛染国俊「お前はいつもお気楽だなぁ」
蛍丸「国俊もいるんだし、何を心配する必要があるのさ」
愛染国俊「ま、そりゃそうだな!」

其の12:足利家の話

  • 刀剣:三日月宗近・骨喰藤四郎
  • 時代:指定なし 地域:指定なし

ネタバレ注意
三日月宗近「……おお!骨喰ではないか。懐かしいなあ」
骨喰藤四郎「……?誰だ……?」
三日月宗近「何を薄情な。共に足利の宝剣として並んでいたこともあったではないか」
骨喰藤四郎「……すまない。俺には、焼かれる前の記憶が無いんだ……」
三日月宗近「ああ……。なるほど。それは悪いことをした。いや、気にしないでくれ」
骨喰藤四郎「あんたは、昔の俺を知っているのか?」
三日月宗近「ああ。長い付き合いだったからな。……でも、構わんさ。これから、改めて仲良くしようか」

其の13:狐の話

  • 刀剣:鳴狐・小狐丸
  • 時代:指定なし 地域:指定なし

ネタバレ注意
鳴狐「……じーっ」
小狐丸「な、何じゃ何じゃ」
鳴狐の狐「おお!小狐丸様、申し訳ありません、鳴狐があなた様に興味を持ってしまいまして」
小狐丸「なるほど。同じ狐の眷属。仲良くしようぞ。……ところで、狐を使わずに普通に喋ることはできないのか?」
鳴狐の狐「いえいえ!わたくしはただの代理で、決して鳴狐が喋っているわけでは!」
小狐丸「難儀なやつじゃのう……」

其の14:近藤VS龍馬

  • 刀剣:長曽祢虎徹・陸奥守吉行
  • 時代:維新の記憶 地域:鳥羽

ネタバレ注意
長曽祢虎徹「ここで……ここで流れを変えられれば!」
陸奥守吉行「やめちょき、やめちょき。ほがなことをしたち、なんちゃー変わりゃーせんちや」
長曽祢虎徹「黙れ……!お前に何がわかる!」
陸奥守吉行「おまんの言うちょるのはただの感傷じゃ」
長曽祢虎徹「黙れ……黙れ……」
陸奥守吉行「おまんの元主は、銃に撃たれてここに来れんかった。時代は、刀から銃に移っとったんじゃ」
長曽祢虎徹「そんなの……言われなくたってわかってるんだ……!」

其の15:池田屋事件 市中

  • 刀剣:堀川国広・長曽祢虎徹・和泉守兼定
  • 時代:池田屋の記憶 地域:京都(市中)

ネタバレ注意
和泉守兼定「へへっ、おいでなすった。池田屋には近づけさせねえぞ?」
堀川国広「この時間帯だと……そろそろ討ち入り始まってるのかな」
長曽祢虎徹「ああ。元の主に鉢合わせると事だ。出てくる前に急いで片付けるぞ」
和泉守兼定「おい、何難しい顔して考えこんでんだよ、敵は待っちゃくれねーぞ!」
長曽祢虎徹「……和泉守兼定に言っておけ。暴れるのはいいが、うっかり橋に刀傷付けたりするなと」
堀川国広「ああ……僕らがそれをやっちゃったら歴史が狂いますよね……」

其の16:池田屋事件 大橋にて

  • 刀剣:大和守安定・和泉守兼定
  • 時代:池田屋の記憶 地域:三条大橋

ネタバレ注意
和泉守兼定「気合入れろよ。こいつら、邸内の戦闘で疲弊した連中を狩る気だ。絶対に通すんじゃねーぞ!」
大和守安定「疲弊……か。沖田くんは……ここで無理しなければ長生き出来たのかな?」
和泉守兼定「さてね。だが、たとえ時を超えても、オレたちにできるのは敵を斬ることだけだ。病は斬れねーよ」
大和守安定「……そうだね。沖田くんの運命は変えられない。……変えさせない。誰にも!」

其の17:池田屋事件 突入

  • 刀剣:大和守安定・加州清光
  • 時代:池田屋の記憶 地域:池田屋二階

ネタバレ注意
大和守安定「敵が多いな……」
加州清光「あははっ。盛大な歓迎だなぁ。人気者は辛いよねー」
大和守安定「馬鹿言ってないで、真面目にやるぞ!」
加州清光「わかってるって。でもさー、孤軍奮闘してたあの人よりは全然楽な状況だしさ、これ」
大和守安定「はぁ……。油断してて、折れたり欠けたりしても知らないぞ?」
加州清光「……それはぞっとしないな。よし、ちょっと本気出しちゃおっかなー!」

其の18:池田屋事件 裏庭へ

  • 刀剣:長曽祢虎徹・加州清光
  • 時代:池田屋の記憶 地域:池田屋一階

ネタバレ注意
長曽祢虎徹「……先程、危うく顔を合わせそうになったな」
加州清光「そーね。危ない危ない。……もしかして、未練でもあった?」
長曽祢虎徹「……いや。どちらかと言うと、お前の方こそそうではないのか?」
加州清光「そうねー。こんな時に血ぃ吐いてるんじゃないよ、とかもうちょっと大事に使ってよ、とか文句はあるけどさ」
長曽祢虎徹「やはり、お前……?」
加州清光「早とちりしない。それを言う資格があるのはこの時代にいる加州清光で、未来から来た俺じゃない。そうでしょ?」
長曽祢虎徹「……」
長曽祢虎徹「そうだな。ここから先、敵を通さぬことだけが今のおれたちにできることだ!」

其の19:博多の話

  • 刀剣:博多藤四郎・日本号
  • 時代:武家の記憶 地域:博多湾

ネタバレ注意
博多藤四郎「時代が変わっても、博多の海は変わらんけんねぇ」
日本号「もっとも、変わらないのは地形くらいかもしれないがな」
博多藤四郎「違いない。人の暮らしは変わっていくもんやけん」

其の20:三本の槍

  • 刀剣:御手杵・日本号・蜻蛉切
  • 時代:なし 地域:なし

ネタバレ注意
御手杵「きたな、各々がた」
日本号「三槍が揃ったな」
蜻蛉切「三本揃ってどうする」
御手杵「知れたこと」
日本号「酒でも飲むか」
御手杵「戦うだろ」
日本号「冗談だ」
蜻蛉切「そうか……」

其の21:黒田家の話

  • 刀剣:日本号・へし切長谷部
  • 時代:なし 地域:なし

ネタバレ注意
日本号「うぃー、と」
へし切長谷部「また酒など飲んで。主の命がなければ切り捨てるところだ」
日本号「殿様が持つと格下でもつけあがるってなー」
へし切長谷部「貴様……」
日本号「今の主は同じだ、それは忘れるなよ」
へし切長谷部「誰が忘れるか!」
日本号「そーかい」

其の22:黒田家の話 その後

  • 刀剣:日本号・へし切長谷部
  • 時代:なし 地域:なし

※二人を同じ部隊に入れて20回以上出陣

ネタバレ注意
日本号「うぃー。酒はーのめーのめー」
へし切長谷部「……」
日本号「相変わらず辛気臭いな。……お前、すぐ口にするのは右府さまのことばかり、なぜ黒田家の話をしないんだ?」
へし切長谷部「話したくはない」
日本号「そうか。そりゃいいがね。お前見るとたまに折りたくなる。黒田家には義理があるんでな」
へし切長谷部「……」
へし切長谷部「…………」
へし切長谷部「……長政さまは、良い方だった。付喪神にあの世があるならばついて行きたかった。だができない。我々は人間より長くこの世に残る。だから忘れることにした」
日本号「……」
日本号「……そうか」
へし切長谷部「本当に良い方だったのだ……だが一番は今の主だ! それだけは覚えておけ!」
日本号「へっ。うぃー」

其の23:幸運の刀

  • 刀剣:物吉貞宗・後藤藤四郎
  • 時代:戦国の記憶 地域:三方ヶ原

ネタバレ注意
物吉貞宗「よおし、今日も幸運を運びますよ!」
後藤藤四郎「死なないことが幸運なら、まあそうだな」
物吉貞宗「えーと、なんか、悪いことでも……」
後藤藤四郎「別に。ただ、人間って勝手だよなって思っただけ」
物吉貞宗「それでいいんじゃないですか」
後藤藤四郎「あ?」
物吉貞宗「それでいいんですよ。勝手じゃないと、人間はすぐに死にます」

其の24:源氏の宝剣

  • 刀剣:髭切・膝丸
  • 時代:武家の記憶 地域:墨俣

ネタバレ注意
髭切「源氏も元は皇家だろうに、どうして朝廷といくさを構えてしまうんだろうね」
膝丸「そうは言うがな、兄者。源氏内でも相争うのだから無理もなかろう」
髭切「源氏の宝剣としてはどう振る舞えばいいか困ってしまうよね」
膝丸「そもそも、源氏といえど、どこから分派したかで全然扱いが違ってだな……」
髭切「あー、そういう細かいことは興味ないかな。大雑把に行こう。源氏ばんざい!」
膝丸「兄者ぁー!」

其の25:悲しみと、なぐさめ

  • 刀剣:不動行光・へし切長谷部
  • 時代:織豊の記憶 地域:本能寺

ネタバレ注意
不動行光「ああ……ああ……ここは……!」
へし切長谷部「落ち着けよ。もはや俺たちにできることはない」
不動行光「……お前は!お前は、信長様がどうなってもいいと……!」
へし切長谷部「どうでもいいね。お前と違って、俺は捨てられた身だ。いい気味だとすら思っている」
不動行光「……話した俺が、馬鹿だったよ……」
へし切長谷部「人の生は歴史の流れからすると一瞬だ。生まれたらいつかは死ぬんだよ。織田信長も例外じゃなかったってだけだ」
不動行光「……」
不動行光「……お前は、信長様のところにずっといるべきだったのかもな」
へし切長谷部「ははっ。二度とごめんだね。俺の主は、今の主さ」

其の26:僧と山伏

  • 刀剣:山伏国広・数珠丸恒次
  • 時代:指定なし 地域:指定なし

ネタバレ注意
山伏国広「カカカ!同じような格好の奴がおるのう」
数珠丸恒次「格好だけで何が分かるというのでしょう」
山伏国広「職業に貧富、目指すところ。多くの事がわかるだろうよ」
数珠丸恒次「なるほど。そういう見方もできますね」
山伏国広「カカカ、仏の道は一つではない。目をあけていても極めることができるだろうよ」
数珠丸恒次「ご教授、ありがとうございます」

其の27:関ヶ原へは……

  • 刀剣:太鼓鐘貞宗・大倶利伽羅
  • 時代:織豊の記憶 地域:関ヶ原

ネタバレ注意
太鼓鐘貞宗「天下分け目の関ヶ原!いいねえ!」
大倶利伽羅「まあ、我々は両方いなかったが」
太鼓鐘貞宗「他人の喧嘩につきあうのもなって前の主が」
大倶利伽羅「だろうな。で、関ヶ原がどうした」
太鼓鐘貞宗「あー。まあ、有名ですよねー」
大倶利伽羅「ふん」

其の28:幕府の霊的な守り

  • 刀剣:大典太光世・ソハヤノツルキ
  • 時代:維新の記憶 地域:会津

ネタバレ注意
大典太光世「幕府の霊的な守りは」
ソハヤノツルキ「俺らが担っていた」
大典太光世「……しかし」
ソハヤノツルキ「それがこのころ破られようとしている」
大典太光世「もっと俺たちに霊力があれば……」
ソハヤノツルキ「江戸幕府も続いたかもしれねえなあ」

其の29:写しの悲哀

  • 刀剣:山姥切国広・ソハヤノツルキ
  • 時代:なし 地域:なし

ネタバレ注意
山姥切国広「俺は、コピーではない」
ソハヤノツルキ「コピーでいいじゃねえか」
山姥切国広「なん、だと」
ソハヤノツルキ「写しから始まってもいいじゃねえか。問題はその後だ。生きた証が物語よ」
ソハヤノツルキ「お前の物語をつくりな」
山姥切国広「…………」

其の30:前田家の話

  • 刀剣:前田藤四郎・大典太光世
  • 時代:なし 地域:なし

ネタバレ注意
前田藤四郎「前田家ではどうでした」
大典太光世「……まあ、平和ではあったよ。細かいことを抜きにすれば」
前田藤四郎「そうですよね。健康第一です。大典太さんも!」
大典太光世「…………」
大典太光世「……ふふっ。そうだな。生きていてこそだな」

其の31:天下人の霊剣

  • 刀剣:ソハヤノツルキ・物吉貞宗
  • 時代:なし 地域:なし

ネタバレ注意
ソハヤノツルキ「よう、久々」
物吉貞宗「お久しぶりです。同じ主のもとに集うのは随分久しぶりですねー」
ソハヤノツルキ「だな。狸爺が死んでからというもの、俺は墓所の番で、お前は子孫に受け継がれたと」
物吉貞宗「やめましょうよー。家康公をそんなあだ名で呼ぶのは」
ソハヤノツルキ「俺もお前も、家康公が持ってたからこその霊剣扱いだ。刀の運命ねじ曲げられた以上、これくらい許されるだろ」
物吉貞宗「顔が笑ってますよ。でもまあ、それだけあの方が偉大だったってことですよね!」
ソハヤノツルキ「そうだな。今度の主も、それくらい偉くなってもらいたいもんだ」

其の32:九曜と竹雀のえにし 発端

  • 刀剣:歌仙兼定・小夜左文字
  • 時代:延享の記憶 地域:江戸(新橋)

※二人を同じ部隊に入れてボスマスクリア

ネタバレ注意
歌仙兼定「お小夜」
小夜左文字「はい。どうか、しましたか」
歌仙兼定「お小夜は最近暗いな、風流じゃない。どうかしたのかい?」
小夜左文字「僕はいつも通りです。暗いのも……」
歌仙兼定「風流ではないな。もっと明るいほうがいい」
小夜左文字「はぁ……」
歌仙兼定「僕だってあの大倶利伽羅と組んで江戸に行けとか言われているが、ほら、この通り明るくやっている」
小夜左文字「……あの一匹狼、じゃない一匹竜王の」
歌仙兼定「はん。僕から言わせれば狼というより、いじけた子犬だけどね。まったく風流じゃない。お小夜はああいう風になるんじゃないぞ。戦も歌も一人でやれるというのが間違いだ」
小夜左文字「……言うだけ言って行っちゃったよ……江戸ってこの間歴史改変点調査がはじまった延享年間かな」
小夜左文字「……大丈夫かな……ああは言っても歌仙、物凄い人見知りなのに……」

其の33:九曜と竹雀のえにし 勃発

  • 刀剣:歌仙兼定・大倶利伽羅
  • 時代:延享の記憶 地域:江戸(新橋)

※回想「九曜と竹雀のえにし 発端」回収済

ネタバレ注意
歌仙兼定「江戸か、悪くはないが、もう少し風流な方がいいな。そうは思わないか」
大倶利伽羅「慣れあうつもりはない」
歌仙兼定「なん……だと。人が気をつかってやっているのにどういう言いざまだ」
大倶利伽羅「群れるつもりもない」
歌仙兼定「調査任務をなんと心得ているんだ」
大倶利伽羅「敵が来たら斬る」
歌仙兼定「……東北の田舎刀め」
大倶利伽羅「好きにわめいていろ」

其の34:九曜と竹雀のえにし 接触

  • 刀剣:小夜左文字・燭台切光忠・大倶利伽羅
  • 時代:延享の記憶 地域:江戸(白金台)

※回想「九曜と竹雀のえにし 勃発」回収済。三人を同じ部隊に入れてボスマス突破

ネタバレ注意
燭台切光忠「今日の料理は最高の出来だよ。どう、僕のずんだ、食べてみない?」
小夜左文字「……いいんですか。僕なんかに」
燭台切光忠「いいんだ。一度、小夜ちゃんが歯を見せて笑っているところを見たくてね。料理はいいよ。この体で一番いいのは料理を作れることだね。次に頭を撫でてあげられることだ」
小夜左文字「……歯を見せて笑うと風流じゃないそうです。……でも、美味しいです」
燭台切光忠「よかった。お、もう一人美味しいって笑って貰いたい人がきたよ。おーい。伽羅ちゃーん。僕のずんだ、食べてみない?」
大倶利伽羅「慣れあうつもりはない」
燭台切光忠「……いつもより不機嫌だな」
小夜左文字「同じように見えました」
燭台切光忠「いや、これが意外に違うんだ。あれはかなりへこんでいるな」
小夜左文字「うちの、歌仙兼定のせいかもしれません……」
燭台切光忠「そうか。一緒に行くとか言ってたね」

其の35:九曜と竹雀のえにし 接触・続

  • 刀剣:小夜左文字・燭台切光忠・鶴丸国永
  • 時代:延享の記憶 地域:江戸(白金台)

※回想「九曜と竹雀のえにし 接触」回収済。三人を同じ部隊に入れてボスマス突破

ネタバレ注意
鶴丸国永「わっ!」
小夜左文字「うわぁ!」
燭台切光忠「わぁ!」
鶴丸国永「これぐらい素直だと仕事のし甲斐があるなあ。あ、ずんだだ。うまいなこりゃ」
燭台切光忠「鶴さん……」
鶴丸国永「なんだい? 光坊。伽羅坊についてなら、お察しの通り、歌仙兼定と大喧嘩したらしい」
小夜左文字「やっぱり……」
燭台切光忠「予想を外さない刀たちだね」

其の36:九曜と竹雀のえにし 協力

  • 刀剣:小夜左文字・燭台切光忠
  • 時代:延享の記憶 地域:江戸(白金台)

※回想「九曜と竹雀のえにし 接触」回収済。小夜左文字・燭台切光忠・歌仙兼定・大倶利伽羅を同じ部隊に入れてボスマス突破

ネタバレ注意
小夜左文字「……燭台切光忠さん」
燭台切光忠「そっちはどうだい?」
小夜左文字「……だめです。完全に不機嫌になって風流じゃないとか雅じゃないとか言って敵を手打ちしまくってます」
燭台切光忠「うちのほうは慣れ合いはしないと言って敵斬りまくっているね」
小夜左文字「……似てますね」
燭台切光忠「それ言ったら怒りそうだよね」
小夜左文字「どうにか……したいです」
燭台切光忠「そうだね、小夜ちゃん悲しませたらダメだ」
小夜左文字「え、僕?」
燭台切光忠「笑わせてみたいっていうのは嘘じゃない。二人の気分を治す、料理でも作るかなあ……江戸の町で食料を調達して、ちゃちゃっとさ」
小夜左文字「あ……僕もいきます」

其の37:九曜と竹雀のえにし 協力・続

  • 刀剣:小夜左文字・燭台切光忠・太鼓鐘貞宗
  • 時代:延享の記憶 地域:江戸(白金台)

※回想「九曜と竹雀のえにし 協力」回収済。小夜左文字・燭台切光忠・太鼓鐘貞宗・歌仙兼定・大倶利伽羅を同じ部隊に入れてボスマス突破

ネタバレ注意
太鼓鐘貞宗「俺の事、呼んだ?」
燭台切光忠「確かに今、貞ちゃんいたらなと思ったよ!」
太鼓鐘貞宗「だろー。俺、勘がいいんだよな」
小夜左文字「伊達の刀剣って仲がいいと思っていたけど……単に燭台切さんが、うまくまとめているだけの気が……する」
太鼓鐘貞宗「ん。なんか言った?」
小夜左文字「なんでも、ないです」
燭台切光忠「貞ちゃん、皆に優しくしようってこの前決めたでしょ」
太鼓鐘貞宗「あー、はいはい。そういうのあったっけな。まあいいや、手伝うぜ。一緒に行こうぜ。うまいもの探し!」
燭台切光忠「旬の食材を探してね。貞ちゃん」
小夜左文字「ありがとう……」
太鼓鐘貞宗「気にすんな。あったりまえだろ? 俺たち仲間なんだからさ」

其の38:九曜と竹雀のえにし 団結

  • 刀剣:小夜左文字・燭台切光忠
  • 時代:延享の記憶 地域:江戸城下

※回想「九曜と竹雀のえにし 協力」 を回収済。二人を同じ部隊に入れてボスマス突破

ネタバレ注意
燭台切光忠「すごい鮮度のいい鯛があったから、一匹丸ごと買っちゃったよ」
小夜左文字「言われた物も買えたよ」
小夜左文字「これで……」
燭台切光忠「一つやってみるかな。雅で、それでいて一人で食べるには勿体ないくらいの料理」
小夜左文字「はい……!」

其の39:九曜と竹雀のえにし 団結・続

  • 刀剣:小夜左文字・燭台切光忠・太鼓鐘貞宗
  • 時代:延享の記憶 地域:江戸城下

※回想「九曜と竹雀のえにし 団結」回収済。三人を同じ部隊に入れてボスマス突破

ネタバレ注意
太鼓鐘貞宗「俺、狐から油揚げ奪ってきたぜ!」
燭台切光忠「え?」
小夜左文字「え……」
燭台切光忠「貞ちゃん、さすがにそれは……」
小夜左文字「可哀想ですよ」
太鼓鐘貞宗「……嘘だよっ!あ、でも油揚げは本当。この時代のやつは、にがりのせいか、うめえんだよなあ」

其の40:九曜と竹雀のえにし 真心

  • 刀剣:小夜左文字・燭台切光忠
  • 時代:延享の記憶 地域:江戸城下

※回想「九曜と竹雀のえにし 団結」回収済。二人を同じ部隊に入れてボスマス突破

ネタバレ注意
燭台切光忠「鯛の刺身と、粗で味噌汁、粗でとった出汁と塩で粥を作ると。歌仙くん、薄味好きだからねえ」
小夜左文字「はい。洋風の味付けとかすぐ文句いいます。うすたあそおすとか」
燭台切光忠「ウスターソースはある意味日本の味だと思うんだけど。焼きそばとかいいと思うんだよねえ」
小夜左文字「……おいしそうですね」
燭台切光忠「じゃあ、今日のまかないはそれかな」
小夜左文字「……ええと、すみません……」
燭台切光忠「ん?どうかしたかい」
小夜左文字「……気を使わせてます。今回も歌仙兼定が……」
燭台切光忠「違うさ。僕はただ、斬るだけが刃物じゃないって思ってね」
小夜左文字「……復讐とか、ありますよね」
燭台切光忠「肉を柔らかくするために背で叩くとか、鱗をとるとか」
小夜左文字「……」
小夜左文字「……ふ」
燭台切光忠「そうそう、そんな風に笑わせたりね……。復讐がダメとは言わないさ。でも」
小夜左文字「復讐は……僕の全部です」
燭台切光忠「……いつかはそれすらどうにかしてみせたい。と言ったら笑うかい?」

其の41:九曜と竹雀のえにし 真心・続

  • 刀剣:小夜左文字・燭台切光忠・鶴丸国永
  • 時代:延享の記憶 地域:江戸城下

※回想「九曜と竹雀のえにし 真心」回収済。三人を同じ部隊に入れてボスマス突破

ネタバレ注意
????「そういうことなら、俺も手伝うか!」
燭台切光忠
小夜左文字
「わあっ!」
「うわぁ!」
燭台切光忠「……って、鶴さん。なんてところから出て来たの!」
小夜左文字「……」
小夜左文字「……ぷ」
小夜左文字「あはははは」
鶴丸国永「おお、おお、おお、小夜坊。いい笑顔だな」
燭台切光忠「鶴さんには敵わないな」

其の42:九曜と竹雀のえにし 落着

  • 刀剣:歌仙兼定・大倶利伽羅
  • 時代:延享の記憶 地域:江戸城内

※回想「九曜と竹雀のえにし 真心」回収済。歌仙兼定・大倶利伽羅・燭台切光忠を同じ部隊に入れてボスマス突破

ネタバレ注意
歌仙兼定「出陣だな」
大倶利伽羅「ああ」
歌仙兼定「貴殿、動けるか」
大倶利伽羅「たぶん」
大倶利伽羅「……だが、食いすぎた」
歌仙兼定「確かに。……食べすぎだ」
歌仙兼定「なんだったんだ、今日の料理は。お小夜がしきりに食え食えというから。まったく……」
大倶利伽羅「雅じゃない」
歌仙兼定「……東北の田舎刀め」
大倶利伽羅「好きにわめいていろ。いくぞ」

其の43:九曜と竹雀のえにし 縁故

  • 刀剣:歌仙兼定・小夜左文字
  • 時代:延享の記憶 地域:江戸城内

※回想「九曜と竹雀のえにし 落着」回収済。歌仙兼定・小夜左文字・燭台切光忠・大倶利伽羅を同じ部隊に入れて1マス以上進軍

ネタバレ注意
歌仙兼定「お小夜」
小夜左文字「はい。どうか、しましたか」
歌仙兼定「お小夜には気を使わせたようだ」
小夜左文字「えっと……」
小夜左文字「……な、なんのことでしょう」
歌仙兼定「ふっ。いや。なんでもない。今日は心なしか風流のようで結構だ」
歌仙兼定「不愛想な奴と呑んでくる」
小夜左文字「……明日は暗いかもしれないけど……そうですね」

其の44:じっちゃんと一緒

  • 刀剣:獅子王・小烏丸
  • 時代:なし 地域:なし

ネタバレ注意
獅子王「俺、じっちゃん大好きなんだよなー」
小烏丸「ほうほう。その心とは」
獅子王「じっちゃんはすべすべで、ふわふわで、ほこほこなんだ。色んな事知ってるし」
小烏丸「年の功と言うやつよな。ならば父こそじっちゃんとして崇めるに値するぞ」
獅子王「いや、好きなの人間だし。お前骨董品だし」
小烏丸「いかんいかん。年長者への敬意が足らんぞ。反抗期か」
獅子王「へ?なんでだよ、こんな子供みたいなじっちゃんが居るかよ!」
小烏丸「内実より見た目を取るか。ああそうよな。内実を取ればお前自身がじっちゃんになってしまう」
獅子王「やめろーっ!」

其の45:童子切はどこだ?

  • 刀剣:大包平・鶯丸
  • 時代:江戸の記憶 地域:江戸(元禄)

ネタバレ注意
大包平「童子切ー!童子切、いないか!」
鶯丸「何大声出してるんだ。耳が痛くて仕方ない」
大包平「今日こそは、決着をつけようと思うのだ」
鶯丸「ああ。新しい主に、俺のほうが天下五剣より強いんですよー、って喧伝したいのか」
大包平「そ、そんなつもりはない!俺は純粋に、刀としての……」
鶯丸「はいはい。そういうことにしてやるよ」

其の46:困った癖

  • 刀剣:千子村正・蜻蛉切
  • 時代:なし 地域:なし

ネタバレ注意
千子村正「huhuhu。久しぶりデスね、蜻蛉切」
蜻蛉切「この間あった気もするが」
千子村正「せっかく会ったのです。脱ぎマスか」
蜻蛉切「脱ぐな。だからお前は誤解されるのだ」
千子村正「構いません。言わせておけばいいのデス」

其の47:命を果たすのは俺だ

  • 刀剣:へし切長谷部・巴形薙刀
  • 時代:なし 地域:なし
ネタバレ注意
へし切長谷部「巴形といったな。貴様、何を企んでいる!」
巴形薙刀「企み?何のことだ」
へし切長谷部「貴様、顕現してから、主の側にべったりではないか!」
巴形薙刀「なるほど。素性の分からぬ刀剣が主のすぐ側にいるのは気に食わぬか」
へし切長谷部「あぁ。俺はお前のことを信用しきれてないのでな」
巴形薙刀「長谷部。逸話を持たぬ俺は、今代の主しかいないのだ。だがお前はそうではないのだろう」
へし切長谷部「……だから?」
巴形薙刀「譲れ」
へし切長谷部「断る!……コホン、それに、それは俺ではなく主が決めることだ」

其の48:関ヶ原の両大将

  • 刀剣:毛利藤四郎・ソハヤノツルキ
  • 時代:織豊の記憶 地域:関ヶ原
ネタバレ注意
ソハヤノツルキ「どうしたよ、神妙な顔して」
毛利藤四郎「……少し歴史が違っていたら、僕らは東西の総大将の刀として相対していたんですよね」
ソハヤノツルキ「おっ。そういうことになるのか? だが、そうはならなかった」
毛利藤四郎「関ヶ原の頃にはもう、僕は東軍側の刀ですからねえ」
ソハヤノツルキ「向こうにつきたかったという思いでもあるのかい?」
毛利藤四郎「どうでしょう。輝元様は結局出陣しませんでしたから。僕がいても変わらないですよ」
ソハヤノツルキ「まぁ、総大将の刀なんてそんなもんだって。振るわれる状況があっちゃいけないのさ」

其の49:歌のかたち今昔

  • 刀剣:歌仙兼定・篭手切江
  • 時代:なし 地域:なし

ネタバレ注意
歌仙兼定「篭手切。きみも歌を嗜むそうじゃないか。同好の士がいるとは嬉しいな」
篭手切江「ああ……歌仙。おそらくあなたは勘違いをしている」
歌仙兼定「ふむ?おなじ細川に在った刀、趣味趣向が似ることは不思議ではないと思ったのだが」
篭手切江「そうじゃない。私がやるのはこう……歌ったり!踊ったり!と今風の方なんだ」
歌仙兼定「な、なるほど……僕が嗜むのは伝統的な方だからね」
篭手切江「ああ。だが、せっかくだから応援してくれ。私がいつか、すていじで観衆を沸かせるその日まで!」

其の50:輝く星を目指して

  • 刀剣:篭手切江・平野藤四郎
  • 時代:なし 地域:なし

ネタバレ注意
平野藤四郎「篭手切江さんはいつも歌や踊りに練習熱心ですね」
篭手切江「ああ。そうじゃないと、他の面々には追いつけないからな」
平野藤四郎「江の方々は皆さん、こんな感じなのですか?」
篭手切江「もちろんさ。歌って踊れる付喪神。それが江だよ」
平野藤四郎「歌って踊れる付喪神……。それは、素敵ですね」
篭手切江「君たち粟田口はやらないのかい?向いていそうだけれど」
平野藤四郎「出し物としてくらいなら……。なにより、主のお供が最優先です」
篭手切江「そうか。もったいないな。君たちこそ好敵手と思っていたんだが……」

其の51:謙信の話

  • 刀剣:謙信景光・小豆長光
  • 時代:織豊の記憶 地域:越前

ネタバレ注意
謙信景光「あっ。ここはみおぼえがあるぞ!なつかしいなあ」
小豆長光「そうだねえ。謙信公といっしょにかけめぐったのがきのうのことみたいだ」
謙信景光「謙信公は、こどもにやさしかったよね」
小豆長光「ああ。そしてぎりがたく、がまんづよいひとでもあった。おとなだな」
謙信景光「ぼく、そういうおとなになれるかな?」
小豆長光「どりょくしだいだな」

其の52:西軍の刀たち

  • 刀剣:毛利藤四郎・日向正宗
  • 時代:織豊の記憶 地域:関ヶ原

ネタバレ注意
毛利藤四郎「ここに僕らが並んでいると、なんだが変な感じですね」
日向正宗「……あっ、そうだね。君は西軍総大将の刀で、僕は西軍中心人物の刀か」
毛利藤四郎「とはいえ、僕はこのときにはもう東軍側の刀ですが」
日向正宗「僕だって、西軍とは言え石田三成様のもとにはもうなかったしね」
毛利藤四郎「名前に反して、共通の思い出話はうまくできないものですよね」
日向正宗「……うん、惜しかった」
日向正宗「でも、別の話ならできるかもしれないね」

其の53:戦況の行方

  • 刀剣:巴形薙刀・静形薙刀
  • 時代:指定なし 地域:指定なし

ネタバレ注意
巴形薙刀「静形、お前も顕現していたのか」
静形薙刀「もちろんだ。典礼用のお前だけに任せてはいかんだろう」
巴形薙刀「なるほど、一理ある。実戦用はお前の方だからな。しかし……」
静形薙刀「どうした。俺がいては活躍できんと思ったか」
巴形薙刀「そうではない。俺たちのような、確固たる逸話を持たぬ付喪神の励起に、不穏なものを覚えてな」
静形薙刀「ふうむ……確かにな。俺たちの励起は、戦力不足を補うためのものだからな」
巴形薙刀「この戦い、この先どうなるのだろうな……」
静形薙刀「難しい顔をしていても始まらん。こうしてここに在るのだ。現世を楽しもうではないか」

其の54:呪い仲間

  • 刀剣:山姥切国広・南泉一文字
  • 時代:指定なし 地域:指定なし

ネタバレ注意
南泉一文字「おーおー、ホントに顔隠してんだなぁ」
山姥切国広「……何だ。文句でもあるのか」
南泉一文字「オレと同じ、呪い仲間さんかと思ってさぁ」
山姥切国広「……呪い?じろじろと顔を見たがるやつが多いからだ……」
南泉一文字「んぁ?なんだか呪いよりも厄介な気がするなぁ……。オレはこの呪いさえ解けりゃ、自由の身だけどよぉ……お前はどうするんだ?」
山姥切国広「……知るか」

其の55:猫斬りと山姥切

  • 刀剣:南泉一文字・山姥切長義
  • 時代:指定なし 地域:指定なし
ネタバレ注意
山姥切長義「おや、猫殺しくん」
南泉一文字「……うるせぇ。見知った顔でも、お前には会いたくなかったよ」
山姥切長義「へぇ、それはやっぱり斬ったものの格の差かな?わかるよ、猫と山姥ではね」
南泉一文字「そういう性格だからだ……にゃ!……あぁ、そうか。お前も呪いを受けてたんだにゃ?」
山姥切長義「呪い?悪いがそういうのとは無縁かな。なにせ、化け物も斬る刀だからね」
南泉一文字「猫斬ったオレがこうなったみたいに、化け物斬ったお前は心が化け物になったってこと……にゃ!」
山姥切長義「語尾が猫になったまま凄まれても……可愛いだけだよ」

其の56:ふたつの山姥切

  • 刀剣:山姥切国広・山姥切長義
  • 時代:指定なし 地域:指定なし
ネタバレ注意
山姥切長義「やあ、偽物くん」
山姥切国広「……写しは、偽物とは違う」
山姥切長義「俺を差し置いて『山姥切』の名で、顔を売っているんだろう?」
山姥切国広「……そんなことは」
山姥切長義「でもそれは、仕方がないか。だって、ここには俺が居なかったんだから」
山姥切国広「……それは」
山姥切長義「俺が居る以上、『山姥切』と認識されるべきは俺だ。そのことを教えてあげようと思っただけだよ」

其の57:ふたつの山姥切

  • 刀剣:山姥切国広【極】・山姥切長義
  • 時代:指定なし 地域:指定なし
ネタバレ注意
山姥切長義「やあ、偽物くん」
山姥切国広「……写しは、偽物とは違う」
山姥切長義「俺を差し置いて『山姥切』の名で、顔を売っているんだろう?」
山姥切国広「……名は、俺たちの物語のひとつでしかない」
山姥切長義「……なに?」
山姥切国広「俺たちが何によって形作られたのか。それを知ることで強くもなれる。けれど、もっと大切なことがあるのだと思う……」
山姥切長義「……なにを偉そうに語ってるんだよ」
山姥切国広「お前とこうして向き合うことで、またひとつわかった気がしたんだ……」
山姥切長義「俺がいる以上、『山姥切』と認識されるべきは俺!お前が御託を並べようと、それは変わらない」
山姥切国広「そうかもしれない。……すまんな、俺もまだ考えている。……こうして、戦いながら」
山姥切国広「……また話をしよう」
山姥切長義「…………」
山姥切長義「……くそっ……くそっくそっくそっ!なんなんだよ!」

其の58:すていじ あくと1

  • 刀剣:篭手切江・豊前江
  • 時代:指定なし 地域:指定なし

※帰還後

ネタバレ注意
篭手切江「り、りいだあ!」
豊前江「ん?なにそれ?俺のこと?」
篭手切江「はい!りいだあ!すていじのれっすんをしましょう!」
豊前江「んー、なんだかよくわっかんねーけど。いいよ、やろう」
篭手切江「ほ、本当ですか!衣裳の着付けは私にまかせてください!」
豊前江「はっはー!みーんなさ、やりてーことやりゃいいんだよ。その、すていじがお前のやりたいことなんだろ?だったら俺はそれに協力すんよ」
篭手切江「……りーだー……。あの、りーだー……お膝を借りてもよろしいですか?」
豊前江「……別に良いけど、なに?俺の膝ってそんなに寝心地良いのか?」

其の59:槍への対抗心

  • 刀剣:御手杵・静形薙刀
  • 時代:指定なし 地域:指定なし
ネタバレ注意
静形薙刀「お前は……槍」
御手杵「いやいや、そうぎらつくなって。俺たちは脇差や短刀と仲良くしてる同類だろ?」
静形薙刀「同類なものか。脇差は薙刀だったものもいるが、槍だったものはおるまい。」
御手杵「それを言ったら、俺と連中は刺す用途で話が合うが、あんたは斬ったり薙いだりだろ?」
静形薙刀「むっ……だが実戦用の薙刀として、俺はお前たち槍と馴れ合うわけにはいかんのだ」
御手杵「まあまあ。そう言わず、仲良くやろうぜ」

其の60:過去はなくとも

  • 刀剣:骨喰藤四郎・静形薙刀
  • 時代:指定なし 地域:指定なし
ネタバレ注意
静形薙刀「おお、骨喰の」
骨喰藤四郎「何か用か」
静形薙刀「ああ、鯰のとも話をしたんだが……。理由は違えど、俺たちは過去の記憶がないもの同士だ」
骨喰藤四郎「……そうだな」
静形薙刀「だが、こうして今ここにある以上、そのような事に捕らわれていてはつまらんのだろうな……」
骨喰藤四郎「……ふむ」
静形薙刀「だからな、俺は考えたのだが……この本丸で新しい記憶を作る会を発足しようと思うのだ」
静形薙刀「そして、お前もその一員だ」
骨喰藤四郎「強引だな」
骨喰藤四郎「……だが、悪くない」

其の61:阿吽の長物

  • 刀剣:同田貫正国・御手杵
  • 時代:青野原の記憶 地域:京都(阿弥陀ヶ峰)
ネタバレ注意
同田貫正国「んで、敵さんはなんでこんなところを襲撃するんだ」
御手杵「記録ではこの日、石田三成が豊国神社を参拝するから、おそらくはそれ狙い……だろう」
同田貫正国「自信なさそうだな。え?」
御手杵「敵の考えている事を自信を持って言える者がいようか。そもそも、なぜ石田三成を襲撃する」
同田貫正国「ほっときゃ死ぬのにな」
御手杵「それもあるが、そもそも関ヶ原の戦いを阻止するなら宇喜多秀家を狙うはずだ」
同田貫正国「だな……」
同田貫正国「まあ、やめやめ。お前の言うとおりってな。敵の事なんざ考えてもしょうがねえ」
同田貫正国「行こうぜ。俺たちゃ戦うまでの話だ」
御手杵「ああ、行くぞ」

其の62:阿吽の大小

  • 刀剣:骨喰藤四郎・同田貫正国
  • 時代:青野原の記憶 地域:京都(阿弥陀ヶ峰)

※特定のマスに到達する

ネタバレ注意
同田貫正国「この時代の豊国神社は、こんな山のふもとにあんだな」
骨喰藤四郎「ああ、俺の知っている場所とは違う」
骨喰藤四郎「……でも、なんで知っている?」
同田貫正国「ああ?いくさで勝つには、戦場を知ることも必要だろ」
骨喰藤四郎「…………」
骨喰藤四郎「……たぬき」
同田貫正国「あぁ!?だから、その呼び方で呼ぶなって!」
骨喰藤四郎「……正国、ありがとう」
同田貫正国「んなこと言われる筋合いねぇよ」
同田貫正国「おっしゃ。行こうぜ、バミ」
骨喰藤四郎「バミってなんだ」
同田貫正国「ホネって言われるよりいいだろ」
骨喰藤四郎「……そっちがその気なら、俺はやはりたぬきと呼ぶ」
同田貫正国「くくく、上等だ」

其の63:同病相憐れむ

  • 刀剣:骨喰藤四郎・御手杵
  • 時代:青野原の記憶 地域:京都(阿弥陀ヶ峰)

※特定のマスに到達する

ネタバレ注意
御手杵「同田貫からあだ名を頂戴したらしいな」
骨喰藤四郎「なぜ知っている」
御手杵「同病なんとやらだなあ」
骨喰藤四郎「あいつ、あだ名つけて回ってるのか」
御手杵「そうらしい」
骨喰藤四郎「それで、あんたはどうなんだ」
御手杵「そろそろ休憩は終わりだ。行こう」
骨喰藤四郎「ずるいとは思わないのか」
御手杵「そういう話か?」

其の64:つるぎの兄弟

  • 刀剣:一期一振・白山吉光
  • 時代:指定なし 地域:指定なし
ネタバレ注意
白山吉光「背後に刀剣乱舞の感あり……一期一振と判別」
一期一振「おやおや、声を掛ける前に気付かれてしまったな」
白山吉光「いったい、何のようですか」
一期一振「兄弟が一人でいたから、心配でね」
白山吉光「兄弟……確かに同じ藤四郎吉光のてによるもの。でも、わたくしはつるぎ。」
一期一振「それを言ったらわたしは太刀で、弟は脇差や短刀。皆それぞれ違うね」
白山吉光「刀とつるぎは違う。きっと皆、わたくしを不気味に思います」
一期一振「兄弟を不気味に思うわけがないだろう?」
白山吉光「わたくしは、刀の刀剣男子と違い、人のようには話せない」
一期一振「口下手な兄弟がいても構わない。私はそう思うよ」

其の65:由来は近くも今は遠く

  • 刀剣:陸奥守吉行・肥前忠広
  • 時代:指定なし 地域:指定なし
ネタバレ注意
陸奥守吉行「なんじゃおんし、どうして顔を見せん!」
肥前忠広「ああ?別におれの勝手だろうが」
陸奥守吉行「水臭いのう。わしとおんしの仲やか!」
肥前忠広「刀のくせに拳銃使うような奴と、人斬り刀がどんな仲だって言うんだよ。ええ?」
陸奥守吉行「しょうひねくれちゅうのう。もっと前を見い!」
肥前忠広「……ああ?それは元の主からの受け売りか?」
陸奥守吉行「まあ、そういうことになるのう……」
陸奥守吉行「けんど、今はわしの言葉じゃ」
肥前忠広「ふん、一歩間違えればおれとてめぇは逆の立場でこれを話していたのかもな?」
陸奥守吉行「そうなるがかのう……がはは!そりゃあ面白い!」
肥前忠広「なんにも面白くねえよ……ったく」

其の66:由来は近く、心も近く

  • 刀剣:陸奥守吉行・南海太郎朝尊・肥前忠広
  • 時代:指定なし 地域:指定なし
ネタバレ注意
南海太郎朝尊「なるほど。やはり君たちは、元の主の逸話を元にした顕現……と」
陸奥守吉行「南海先生、わしらの話は役に立っちゅうか?」
南海太郎朝尊「うん。顕現傾向を調べるのに助かっているよ」
陸奥守吉行「お、おう……?」
肥前忠広「南海先生の話に付き合ったところで、何もわかんねえぞ。これだから学者先生は」
南海太郎朝尊「そんなことはないと思うのだがねえ……」
陸奥守吉行「しっかし、わしと肥前のと南海先生で昔話でもできるかと思っちょったがなあ」
肥前忠広「願い下げだ。昔話なんぞしてもしてもつまんねえだろが……」
南海太郎朝尊「それは残念だったね。僕は元の主ではなく、刀工の逸話が元になっている」
陸奥守吉行「……ふうむ。しかしこの雰囲気、南海先生はやっぱり元の主に似ぃちゅう気がする」
肥前忠広「いざ敵を斬る段になっても、顔色一つ変えねえところがか?」
陸奥守吉行「おんしのそういうひねくれは、どこから来たがかのう……」
南海太郎朝尊「いやはや、個の性格はさすがに僕の研究するところではないよ」

其の67:風が全てを押し流す

  • 刀剣:千代金丸・北谷菜切
  • 時代:江戸の記憶 地域:江戸(元禄)
ネタバレ注意
千代金丸「北谷菜切は、随分とヤマトの言葉に慣れているな」
北谷菜切「そうかね?気にしたこともなかったなー」
千代金丸「俺とお前では、大して経歴に違いはないはずなんだが……」
北谷菜切「なんでだろうなー」
千代金丸「ふむ。なんでだろうなぁ」
北谷菜切「なんでかなー」
千代金丸「なぁ……風が気持ちいいなぁ」
北谷菜切「ああ、気持ちいいなー……」

其の68:信用と亀の間に

  • 刀剣:浦島虎徹・千代金丸・北谷菜切
  • 時代:指定なし 地域:指定なし
ネタバレ注意
千代金丸「浦島虎徹はカメさんを連れているな」
浦島虎徹「食べるなよ」
北谷菜切「分かってるさー。な」
千代金丸「うん、うん」
浦島虎徹「なんかこわいんだよなぁ」

其の69:海を思い

  • 刀剣:浦島虎徹・千代金丸・北谷菜切
  • 時代:指定なし 地域:指定なし

※回想「信用と亀の間に」 を回収済

ネタバレ注意
千代金丸「浦島虎徹のカメさんを見ていると、琉球……あ、沖縄の海を思い出すな」
浦島虎徹「そうなのかー。沖縄の海はどんな海なんだ?」
千代金丸「色も、匂いも違う気がするさぁ」
北谷菜切「太陽が違うからなー。まずこっちの海は眩しくない」
浦島虎徹「沖縄の海にも、竜宮城はあるのかい?」
北谷菜切「あー、うん。きっとあるよー。あんなに綺麗なんだから」
浦島虎徹「そっか。じゃあ、今度行っちゃう?」
千代金丸「それはいいな……」
北谷菜切「ああ、いいなー」
浦島虎徹「なんかわかんないけど、もう海にいるみたいな気分だ……ふわわぁ~」

其の70:石投げの見物

  • 刀剣:同田貫正国・御手杵
  • 時代:青野原の記憶 地域:信濃(上田城)

※回想其の63「同病相憐れむ」を回収済。
※特定のマスに到達する

ネタバレ注意
同田貫正国「見ろよ、石投げだぜ」
御手杵「石合戦だ。鉄砲があろうと、印地打ちだけはなくならない」
同田貫正国「ちまちましたのは嫌いだが、手軽で結構痛いしな」
御手杵「痛いで済まないことも多い。禁止されているはずなのに大盛況だな」
御手杵「……しかし、つくづくお前とは縁があるな」
同田貫正国「よせよ、気持ち悪い。主にゃ主の考えがあるのさ」
御手杵「そうかも知れないが……いや、すまない」
同田貫正国「別に嫌がっちゃいねえぜ?」
御手杵「……そうなのか!あっははは、それは良かった。槍だけでは手元に飛び込まれたとき不安だからな」
同田貫正国「そんな理由かよ!」

其の71:ここから生まれしもの

  • 刀剣:骨喰藤四郎・同田貫正国・御手杵
  • 時代:青野原の記憶 地域:信濃(上田城)

※回想其の70「石投げの見物」を回収済。
※特定のマスに到達する

ネタバレ注意
骨喰藤四郎「キネ、俺もいる」
御手杵「おわっ!さすが脇差、どこから出てきた。」
御手杵「……って、今なんて呼んだよ?」
骨喰藤四郎「たぬき、行くぞ」
同田貫正国「だから、その呼び方で呼ぶなって!」
御手杵「…………」
御手杵「……ぷっ、ははは」

其の72:風に乗れ

  • 刀剣:豊前江・桑名江
  • 時代:指定なし 地域:指定なし
ネタバレ注意
桑名江「この馬、乗っても……大丈夫かな」
豊前江「でーじょーぶだって。いいから乗ってみな」
桑名江「本当だ!疾くて、柔らかくて、愛らしい!」
豊前江「な、言った通りだろ?気持ちは届くんだよ」

其の73:すていじ あくと2

  • 刀剣:豊前江・桑名江
  • 時代:指定なし 地域:指定なし

※回想其の58「すていじ あくと1」 を回収済。帰還後

ネタバレ注意
桑名江「ふーん。すていじ、ねぇ」
豊前江「ああ、歌って踊るんだと。桑名も一緒にやってみねえか?」
桑名江「ちょっと待って、大地に聞いてみるから」
豊前江「……」
桑名江「うん、いいよ。やろう」
豊前江「おし、それじゃ決まりな。ところで……膝枕、もういいか?」
桑名江「ん、もうちょっとだけ」
豊前江「……ま、いいけど」

其の74:新々刀の系譜

  • 刀剣:南海太郎朝尊・水心子正秀
  • 時代:指定なし 地域:指定なし
ネタバレ注意
南海太郎朝尊「おやおや。いつかは来ると思っていたが、こうなるとは……」
水心子正秀「……顕現した私の姿が、何か?」
南海太郎朝尊「いやいや、刀工水心子正秀といえば刀工南海太郎朝尊の師。だというのに……」
水心子正秀「……そうだな。刀剣男士としての姿は貴方の方が成熟して見える」
南海太郎朝尊「これは面白い事例だと思ってね。実に興味深い」
水心子正秀「……私としては、もっと威厳のある姿が理想だったのだが」
南海太郎朝尊「ふむ。なるほど、刀剣の理想を追い求める刀工の姿勢が……」
水心子正秀「……何か?」
南海太郎朝尊「いやいや、僕の口から言うのは野暮かと思ったところさ」

其の75:名を分かつ

  • 刀剣:長曽祢虎徹・源清麿
  • 時代:指定なし 地域:指定なし
ネタバレ注意
源清麿「おや、君は……?」
長曽祢虎徹「…………、……長曽祢虎徹だ」
源清麿「……なるほど」
長曽祢虎徹「おれは……」
源清麿「大丈夫さ。君は虎徹を名乗っていい」
源清麿「そうすることで、君と僕は別の刀剣男士でいられるんだ」
長曽祢虎徹「……そうか」
源清麿「君と僕がこうやってここで話をしている。そういう現状のほうがきっと楽しいよね」

其の76:言えない過去

  • 刀剣:・豊前江・松井江
  • 時代:織豊の記憶 地域:関ヶ原
ネタバレ注意
松井江「……」
豊前江「……また多くの血が流れたな」
松井江「豊前、僕は……」
豊前江「いいよ、言わなくて」
松井江「……え」
豊前江「誰にでも言えないことのひとつやふたつ、あるもんなんだろ?無理して言わなくてもいいよ」
松井江「……」
豊前江「ま、でも、ひとりで抱えきれねーくらい重たいんだったらいつでも言ってくれ。ほら、俺、両手空いてっからさ」
松井江「……豊前」

其の77:すていじ あくと3

  • 刀剣:篭手切江・豊前江・桑名江・松井江
  • 時代:指定なし 地域:指定なし

※回想其の73「すていじ あくと2」 を回収済。帰還後

ネタバレ注意
篭手切江「さあ、それではれっすんを始めましょう!」
桑名江「ねえ、豊前。本当にやるんだよね?」
豊前江「まあな。やると決めたからには、やる」
桑名江「僕に出来るかなぁ」
豊前江「でーじょーぶだよ。馬にだって乗れたろ?」
桑名江「それはそうだけど……あ、松井だ。おーい、松井!」
松井江「……どうした?」
篭手切江「あ、松井さん。これからすていじのれっすんを始めるんですけど、一緒にいかがですか?」
松井江「……すていじ……れっすん。……豊前もやるのか?」
豊前江「ああ、なんかそうなった」
松井江「……わかった……やろう」
篭手切江「まためんばーが増えた。……嬉しくて鼻血が出そう」
松井江「……出来る」

其の78:一文字一家の長

  • 刀剣:南泉一文字・山鳥毛
  • 時代:指定なし 地域:指定なし
ネタバレ注意
山鳥毛「おや、我が家の鳥……ではなく、そこにいるのは子猫だな?どうだ、息災か」
南泉一文字「げっ!?お、お頭、いつのまに来た……にゃ!?」
山鳥毛「私の目の届かないところで羽根を……いや、猫背を伸ばしていたのだろうが」
南泉一文字「……そんなつもりはないにゃ!」
山鳥毛「おお、よしよし。怯えることはない」
山鳥毛「ただ、我々の一挙一動が一文字一家として見られているのだ。ゆめゆめ忘れるなよ」
南泉一文字「う、うす!……にゃ」
山鳥毛「我が家の鳥たちも、いずれここに集うだろう」

其の79:予想外の再会

  • 刀剣:小豆長光・山鳥毛
  • 時代:指定なし 地域:指定なし
ネタバレ注意
山鳥毛「……そこのいるのは、小豆長光か?」
小豆長光「ああ、山鳥毛。きみもきたんだね」
山鳥毛「驚いたな。ここにくれば、上杉ゆかりの刀とは顔を合わせることになると思っていたが……」
小豆長光「うんうん。五虎退や謙信景光もきっとよろこぶよ」
山鳥毛「そちらにも、いずれ顔を出そうとは思っているが……」
小豆長光「いるが?」
山鳥毛「いや、君とはもはや再会することはなかろうと思っていたのでね」
小豆長光「ははは、そうだね。わたしはこのほんまるにけんげんしなければ、みんなとあえなかったんだろうなあ」
山鳥毛「……この巣は、想像していた以上に貴重な場なのかもしれないな」

其の80:見ることのなかった世界

  • 刀剣:大典太光世・秋田藤四郎
  • 時代:指定なし 地域:指定なし
ネタバレ注意
大典太光世「……どうした。ぼうっとして」
秋田藤四郎「ちょっと考え事です。風はどうして吹くのかなって」
大典太光世「……ふむ、何故だろうな。お前はどうしてだと思う」
秋田藤四郎「うーん。どうしてでしょう?」
大典太光世「何故、どうしてが生まれるうちが幸せだ。……考えられなくなれば、心が死んでいく」
秋田藤四郎「幸せ、ですか……。僕は今の主君と一緒に居られるだけで幸せです」
大典太光世「……そうか。それならばいいが」
秋田藤四郎「主君と共にいる限り、僕は今まで知らなかった世界を見ることができますから」
大典太光世「……なるほど。それは俺も同意する」
大典太光世「……お前はこれからも、たくさんの不思議に出会うんだろうな」
秋田藤四郎「大典太さん、ちょっと怖いひとかと思っていましたが、優しいんですね」
大典太光世「……さて、どうだろう」

其の81:秀吉と信長の話

  • 刀剣:鬼丸国綱・薬研藤四郎
  • 時代:織豊の記憶 地域:安土
ネタバレ注意
薬研藤四郎「なあ、関白様はどうだった?」
鬼丸国綱「おれはすぐに預けられたからな。右府様は……」
薬研藤四郎「信長さんなら……、常識人だったけどよ」
鬼丸国綱「なんだと……」
薬研藤四郎「後の世じゃ色々言ってるけど、ごくごく常識人だったよ。若い頃の行状もよく反省してたし」
鬼丸国綱「すぐに家臣を手打ちにしたり……」
薬研藤四郎「ああ、やってたやってた」
鬼丸国綱「それは、常識なのか」
薬研藤四郎「あの時代じゃ割とある話だったけど」

其の82:粟田口の

  • 刀剣:鬼丸国綱・乱藤四郎
  • 時代:青野原の記憶 地域:京都(阿弥陀ヶ峰)
ネタバレ注意
乱藤四郎「鬼丸さん、今日も任務頑張ろうね!」
鬼丸国綱「……お前、なんだかおれになついてるよな」
乱藤四郎「だって、同じ粟田口から出た天下五剣じゃない」
鬼丸国綱「同じ粟田口ったって、おれは国綱、お前は吉光だろう」
乱藤四郎「国吉が打った鳴狐さんだって粟田口でしょ?」
鬼丸国綱「ふうむ。いや、おれからするとお前たちは後の世代だからな……」
乱藤四郎「そ・れ・に、鬼丸さんはいちにいや平野とず~っと一緒に居たでしょ?」
鬼丸国綱「……そうだな。おれは様々な家を転々としてきたが、確かにあやつらと一緒に過ごした期間も長い、か」
乱藤四郎「でしょ!だったら、僕たちが鬼丸さんのことをとても身近な存在だと思ってもいいんじゃない?」

其の83:鬼丸と鬼切

  • 刀剣:鬼丸国綱・髭切
  • 時代:武家の記憶 地域:鎌倉(元弘の乱)
ネタバレ注意
鬼丸国綱「……やれやれ。ここでもお前と一緒になるのか、鬼切」
髭切「ん?あー、そうだね。斯波のといい、僕らを対にして揃えたがる人間はいるよね」
鬼丸国綱「まぁ、同じく鬼を斬った逸話があるからというのがあるんだろうな」
髭切「その辺、よくわからないんだよね。妖怪を斬った逸話なんて、よくあるんじゃないの?」
鬼丸国綱「そうそうないと思うが。……いや、この本丸には他にもいるか……」
髭切「だよねえ。だから、そこを大きく取り上げなくてもよくない?というか」
鬼丸国綱「……それは、お前が逸話に頓着しなさすぎるだけだ」
髭切「あはは。弟にもよく言われる。兄者は逸話にも名前にもこだわりがなさすぎる、って」
鬼丸国綱「そう言われれば、今は鬼切じゃなくて髭切か」
髭切「うん、確かそう。僕はなんでもいいんだけど、名前がころころ変わると人間は困るみたいだし」
鬼丸国綱「……はぁ。お前と話してると頭が痛くなるよ」

其の84:天下五剣がまた一つ

  • 刀剣:三日月宗近・鬼丸国綱
  • 時代:戦国の記憶 地域:京都(西陣)
ネタバレ注意
三日月宗近「来たな、鬼丸。これで天下五剣がまた一つ顕現したというわけだ」
鬼丸国綱「……名乗りはするが、そのくくりで仲間意識を持たれるのはしっくり来ない」
三日月宗近「まあそう言うな。室町の世からそう呼ばれてきたではないか」
鬼丸国綱「逆に言えばそう呼ばれているだけ。童子切や大典太は、同じ妖物斬りとして共感がないでもないが」
三日月宗近「おや。俺とは足利の頃からの付き合いだろう?」
鬼丸国綱「……中間面するならそういう具体的な話をしろ。天下五剣なんてくくりじゃなくな」

其の85:天下五剣が集うとき

  • 刀剣:数珠丸恒次・鬼丸国綱
  • 時代:指定なし 地域:指定なし
ネタバレ注意
数珠丸恒次「……もし」
鬼丸国綱「……む。何だ、そっちから話しかけてくるなんて」
数珠丸恒次「いえ、貴方が顕現してからの様子を見ていたのですが、もしや避けられているのではないかと」
鬼丸国綱「……別に。お前がどうという話じゃない。気にするな」
数珠丸恒次「それならば構いませんが……。もしお悩みがあるのなら、私が聞きましょうか?」
鬼丸国綱「……大したことじゃない。おれとお前の距離感を測りかねていた」
数珠丸恒次「ふむ……。私と貴方、即ち天下五剣とされる刀の問題ですか?」
鬼丸国綱「……ああ。お前とは一緒にいたことがないはずだ。なのに周囲は同じ天下五剣としてくくってくるわけだからな……」
数珠丸恒次「なるほど……。ですが、今は同じ主のもとに顕現した身。縁が改めて結ばれたと考えるのはいかがでしょう」
鬼丸国綱「……そうか。旧縁がなくともここでは違う、か」
数珠丸恒次「ええ。天下五剣として、ここに我々が集うことにはきっと意味があるのでしょう」

其の86:妖物斬りの 陰気

  • 刀剣:大典太光世・鬼丸国綱
  • 時代:戦国の記憶 地域:京都(西陣)
ネタバレ注意
鬼丸国綱「…………」
大典太光世「……ふむ」
鬼丸国綱「陰気だな。何か喋ったらどうだ」
大典太光世「……あんたもな」
鬼丸国綱「おれが、か」
大典太光世「……あんたも喋れば、俺も喋る」
鬼丸国綱「じゃあ、黙ってていい……」
大典太光世「……おい、それじゃ会話がないだろうが」
鬼丸国綱「…………」
大典太光世「……聞いてるのか」
鬼丸国綱「案外喋ってるな」
大典太光世「……こういうのは喋るとは言わん。独り言だ」
鬼丸国綱「……そうか」
鬼丸国綱「…………」
大典太光世「……そこで黙るな」

其の87:妖物斬りの 陽気

  • 刀剣:大典太光世・鬼丸国綱
  • 時代:戦国の記憶 地域:京都(西陣)

※回想其の86「妖物斬りの陰気」を回収済

ネタバレ注意
鬼丸国綱「…………」
大典太光世「……ふむ」
鬼丸国綱「陰気だな」
大典太光世「……あんたはいつだって、俺と顔を合わせればそんなことを言っているな」
鬼丸国綱「そうだったか」
大典太光世「……ああ、そうだ。あんたがご陽気に喋ってみるのはどうだ」
鬼丸国綱「鬼を追いかけ回している話ならできるな」
大典太光世「……そいつは陽気な話なのか」
鬼丸国綱「他に話題がない」
大典太光世「……蔵の中の話でもしてやろうか」
鬼丸国綱「それはご陽気なのか」
大典太光世「……まさか」
鬼丸国綱「…………」
大典太光世「…………」

其の88:妖物斬りの 酒気

  • 刀剣:大典太光世・鬼丸国綱
  • 時代:戦国の記憶 地域:京都(西陣)

※回想其の87「妖物斬りの陽気」を回収済。帰還後

ネタバレ注意
鬼丸国綱「……ほら」
大典太光世「……酒か。これが、どうした」
鬼丸国綱「飲んでいる間は喋らないでいい。最初からこうすれば良かったんだ」
大典太光世「……そいつは思考の停止だぞ」
鬼丸国綱「たまには鬼を追いかけないでいい」
大典太光世「……外にでているだけマシだろう。まあいいか……」
鬼丸国綱「高い酒だ。ちびちび飲め」
大典太光世「……酒は一気に呑むからいいんだ」
鬼丸国綱「呑んべえめ……」
大典太光世「……確かに、言うとおりだな」
大典太光世「…………今までで一番会話している気がする」
鬼丸国綱「今度から安酒だな」
大典太光世「……ケチなこと言うなよ」

其の89:いくさのあと

  • 刀剣:古今伝授の太刀・地蔵行平
  • 時代:武家の記憶 地域:鎌倉(元弘の乱)
ネタバレ注意
地蔵行平「…………」
古今伝授の太刀「憂きことを 思ひつらねて雁がねの 鳴きこそわたれ秋の夜な夜な」
地蔵行平「……古今」
古今伝授の太刀「里は荒れて 人はふりにし宿なれや 庭もまがきも秋の野らなる」
地蔵行平「……どうしていくさは起こるのか」
古今伝授の太刀「……いくさのあと、そこに残るは荒野ばかり」
地蔵行平「それを人の業と片付けるのは簡単ではあるが……」
古今伝授の太刀「……風雅を愛するのもまた人」
地蔵行平「人のこころとはいかなるものか……」
地蔵行平「……いや、やめておこう。もう二度とそなたを裏切りたくはない」
古今伝授の太刀「すべては表裏一体。優しさも、弱さも。そして……」
地蔵行平「過去世……、吾……」
古今伝授の太刀「……そして、この太刀とも」
地蔵行平「その揺らぎがあればこそ、救えるものがある」
古今伝授の太刀「歌に織り込まれし人のこころの機微に、感じるのです……」
地蔵行平「…………」
地蔵行平「……ああ、そなたも人を愛しているのだな」

其の90:本丸という歌集

  • 刀剣:歌仙兼定・古今伝授の太刀
  • 時代:江戸の記憶 地域:大阪(大阪冬の陣)

※ボスマスクリア

ネタバレ注意
古今伝授の太刀「誰をかも 知る人にせむ高砂の 松も昔の友ならなくに」
歌仙兼定「水臭いじゃないか。ここには細川の刀だっているだろう。例えば僕だ」
古今伝授の太刀「ああ、歌仙。もちろんあなたのことは友と思っています」
歌仙兼定「そうか。僕は三斎様、きみは幽斎様と、元主は違うけれど同じ風雅を愛する仲間だからね」
古今伝授の太刀「そう、それが問題なのです。この本丸では、風雅を愛するものが少数派なのではないかと」
歌仙兼定「ううむ、確かにそれは否定できないな。いくさに何かしら縁を持つ刀が顕現しがちだからね」
古今伝授の太刀「……ですから、どうしても出陣部隊で反りが合わぬ者と組むことも多く」
歌仙兼定「わかる。わかる……が、それもまた必要なことなのだろうと僕は思う」
古今伝授の太刀「必要、とは」
歌仙兼定「優れた歌集は、同じような歌ばかりを集めただけでは成り立たないだろうということさ」
古今伝授の太刀……なるほど。この本丸自体をひとつの歌集と見立てるわけですか」
歌仙兼定「さしずめ、僕らの主は撰者というわけだね」

其の91:僧と地蔵

  • 刀剣:江雪左文字・地蔵行平
  • 時代:指定なし 地域:指定なし
ネタバレ注意
地蔵行平「……おや、そちらは御同業と見える」
江雪左文字「……僧の姿をしているからといって、僧らしいことをしているとは限りませんよ」
地蔵行平「然り。地蔵を背負っていたとしても、因業が付きまとっていることはある……」
江雪左文字「……私たちは刀。どこまで行けど罪科は避けられぬのでしょうか」
地蔵行平「刀に限るまい。人であろうと思い悩み……悟りを求める」
江雪左文字「誰もが悲しみ苦しむことが常であるなど、嘆くべきことでしょう」
地蔵行平「……だから、吾らは立ち止まってはいられない。そのことを此処のものたちは教えてくれる」
江雪左文字「……貴方は、地蔵菩薩そのものになろうとしているのですか」
地蔵行平「…………」
地蔵行平「そうあれかしと望まれた……。それをよいことに、目を背けているだけかも知れないな……」

其の92:揃いし沖縄の宝剣

  • 刀剣:千代金丸・北谷菜切・治金丸
  • 時代:指定なし 地域:指定なし
ネタバレ注意
治金丸「これで、沖縄宝剣揃い踏みかー」
北谷菜切「治金丸が一番よんなーよんなーかなー」
千代金丸「いいじゃないか。アシガチャーなのは俺たちらしくはない」
治金丸「そういうこと。だい兄の言う通り、オレたちはオレたちらしくいればいいのさ」
北谷菜切「まったくもー。しっかりしてるのはおれだけかー?」
治金丸「そうそう、ちい兄がしっかりしていればそれで大丈夫さ」
千代金丸「そうだな。なんくるないさー」
北谷菜切「面倒なこと押しつけるつもりだなー!?」

其の93:兄の影として 花

  • 刀剣:北谷菜切・治金丸
  • 時代:指定なし 地域:指定なし

※千代金丸を入手済で回想発生

ネタバレ注意
北谷菜切「千代金丸、ここかー」
千代金丸
(シルエット)
「どうした。俺を探しているのか?」
北谷菜切「そうそう。相談がなー」
北谷菜切「……って、違う!治金丸じゃないかー」
治金丸「……おや、すぐ見破られちゃうとはね」
北谷菜切「そりゃあ、兄弟なんだから。何やってるのさー?」
治金丸「うん。だい兄はお疲れのようだから、オレが代わりをしようかと」
北谷菜切「確かに千代金丸は顔に出さないけど……」
治金丸「だろう?だからオレがやるのさ」
北谷菜切「でも……」
治金丸「オレはだい兄の影。影らしく仕事をするのさ」

其の94:兄の影として 波

  • 刀剣:千代金丸・治金丸
  • 時代:指定なし 地域:指定なし

※北谷菜切を入手済で回想発生

ネタバレ注意
千代金丸「治金丸。北谷菜切から聞いたぞ」
治金丸「何の話かな、だい兄」
千代金丸「……俺の影として動いていると」
治金丸「まいったなあ……」
千代金丸「そういうことは、しなくていい」
治金丸「オレがだい兄の影であるのは、今始まったことじゃない。これがオレのなんくるないさ、だよ」
千代金丸「なんくるないさとは、返せないよ」
治金丸「背負うことがオレの生き方だよ。そして、オレはそれを望んでいる」
千代金丸「……治金丸」

其の95:翼顕現 桜

  • 刀剣:山鳥毛・日光一文字
  • 時代:指定なし 地域:指定なし
ネタバレ注意
日光一文字「日光一文字、ここに」
山鳥毛「我が翼よ、来たか」
日光一文字「お頭。して、いかように」
山鳥毛「私だけで本丸の全てに目を配るのは骨が折れる」
山鳥毛「お前はさながら左腕。己の思うように動いてくれればいい」
山鳥毛「いずれ、翼も揃うだろう」
日光一文字「御意」

其の96:一文字一家の躾

  • 刀剣:南泉一文字・日光一文字
  • 時代:指定なし 地域:指定なし

※回想「一文字一家の長」を回収済

ネタバレ注意
南泉一文字「に……、日光の兄貴……!」
日光一文字「ああ、どら猫。ふむ、その様子だと……」
南泉一文字「い、いや、オレは、しっかりと一文字一家としてそれらしく!ごろごろも、うずうずもしてない……にゃ!」
日光一文字「ふん、なるほど……」
日光一文字「……お前は、今まで通りにしていればいい」
南泉一文字「……へ?」
日光一文字「とにかく自由に暴れていろ」
南泉一文字「ほ、本当に?後からシメたりしない……にゃ!?」
日光一文字「そうか、ここで丸焼きになりたいか」
南泉一文字「ひっ!……わ、わかったにゃ」

其の97:黒田家の弟分

  • 刀剣:日本号・日光一文字
  • 時代:指定なし 地域:指定なし

※回想其の21「黒田家の話」を回収済

ネタバレ注意
日光一文字「こんなところで飲んでいるとは」
日本号「うん?誰かと思えば、……日光かい」
日光一文字「いい身分だな」
日本号「お前は俺の身分をよーく知っていると思ったが?」
日光一文字「弟分の顔を拝みに来たらこれだ。小言も言いたくなる」
日本号「……はっ、弟分?俺が?冗談」
日光一文字「そちらがどう思おうが、黒田の刀は皆弟分。俺はそのつもりでいる」
日本号「おい、もしかして……それ、へし切にも言ったのか!?」
日光一文字「無論」
日本号「はっ……、……ははは!あー、そりゃ傑作だ!その場に居合わせなかったのが残念だ」
日光一文字「お前たちがどう思おうが弟分として扱い、そして血を分けた弟の如く守る。それだけの話だ」

其の98:雪睦み

  • 刀剣:江雪左文字・太閤左文字
  • 時代:織豊の記憶 地域:関ヶ原

※帰還後

ネタバレ注意
太閤左文字「江雪っち~!元気~!」
江雪左文字「貴方は……、いつも明るいですね」
太閤左文字「明るかったらだめ?」
江雪左文字「だめなことはありません」
太閤左文字「儂が明るいとき、みんな笑ってくれるんだよね。そういうの好きかも」
江雪左文字「そうですか……」
太閤左文字「だってその方がうっきうきでしょ」
江雪左文字「……ふふ」
太閤左文字「……あ、笑った。江雪っち、今笑ったよね!」
江雪左文字「どうでしょうか」

其の99:花綻ぶ

  • 刀剣:宗三左文字・太閤左文字
  • 時代:織豊の記憶 地域:安土

※回想その7「今川の剣」 を回収済。帰還後

ネタバレ注意
太閤左文字「宗三っちも爪塗ればいいのにさ」
宗三左文字「爪、……ですか」
太閤左文字「そう。宗三っちならぴんくとか似合いそう」
宗三左文字「爪は、塗ったことがありませんね」
太閤左文字「豊太閤も宗三っちの元主も派手好きだったじゃん。だから絶対似合うと思うよ」
宗三左文字「豊臣秀吉の派手好きは、魔王の影響だったのでしょうか……」
太閤左文字「……、宗三っちの言いたいことわかった」
宗三左文字「なんでしょう」
太閤左文字「猿真似だって言いたいんでしょ」
宗三左文字「猿だけに、ですか」
太閤左文字「だ~か~ら~、猿じゃないってば、もう!」

其の100:月冴え

  • 刀剣:小夜左文字・太閤左文字
  • 時代:織豊の記憶 地域:安土

※帰還後

ネタバレ注意
太閤左文字「盲亀の浮木、優曇華の花待ちたること久し……」
小夜左文字「……なにそれ」
太閤左文字「あ、小夜っち。これはね、やつし比べ」
小夜左文字「やつし比べ……」
太閤左文字「そ、自分以外のものになり切る遊び。最近の言い方だと、仮装大会ってところ?」
小夜左文字「仮装大会というより、物真似じゃ……」
太閤左文字「……ん?今、猿真似って言った」
小夜左文字「言ってない……」
太閤左文字「そうだ、小夜っちも一緒にやろ!」
小夜左文字「え?」
太閤左文字「じゃあ、小夜っちは歌仙兼定の猿真似ね」
小夜左文字「え?」
太閤左文字「ほら!」
小夜左文字「……」
太閤左文字「恥ずかしがらないで!」
小夜左文字「……文系といえど、僕は之定だからね」
太閤左文字「……」
小夜左文字「……」
太閤左文字「……似てないね」
小夜左文字「……」

其の101:同類異形

  • 刀剣:巴形薙刀・静形薙刀・大千鳥十文字槍
  • 時代:指定なし 地域:指定なし

ネタバレ注意
巴形薙刀「おや、似たようなのがいるな」
大千鳥十文字槍「なに?」
静形薙刀「ふん、……槍、か。……まったくいけ好かん」
巴形薙刀「槍よ、お前も物語を持たぬようだな」
大千鳥十文字槍「俺が、日本一の兵と誉れ高い真田左衛門佐信繁の愛槍、大千鳥十文字槍と知ってのことか」
巴形薙刀「ほう、差分の少ない十文字槍であれば逸話の親和性も高くなる……ということか」
大千鳥十文字槍「……なにをごちゃごちゃと」
巴形薙刀「真田の槍よ。薙刀の名手でもあったお前の元主には敬意を表しよう」
静形薙刀「真田の槍……ねえ。その逸話、せいぜい食われないようにするんだな」
大千鳥十文字槍「……ふん。語り種にして欲しければ、いつでも相手をするぞ」

其の102:塵芥

  • 刀剣:大千鳥十文字槍・泛塵
  • 時代:青野原の記憶 地域:信濃(上田城)

ネタバレ注意
大千鳥十文字槍「上田城……」
泛塵「僕たちの、元主がいたところだ」
大千鳥十文字槍「信繁も昌幸もここで死にたかっただろうな」
泛塵「昌幸は九度山で、信繫は大坂の役で果てた」
大千鳥十文字槍「人の生き死にというのは、思い通りにならないものだ」
泛塵「それは、僕たちものだってそうだ」
大千鳥十文字槍「ああ」
泛塵「人の世も、命も、そしてものの在り様も……まるで風に舞う塵芥のようだ。……だから」
大千鳥十文字槍「わかっている」
泛塵「この想いもいつか塵芥となる。その日までは……」

其の103:紅塵

  • 刀剣:日向正宗・泛塵
  • 時代:青野原の記憶 地域:信濃(上田城)

※回想其の102「塵芥」を回収済

ネタバレ注意
泛塵「…………」
日向正宗「…………」
泛塵「……なんだ」
泛塵「言いたいことがあるんなら、言えばいい」
日向正宗「……どうだろう。僕には今、目の前の戦場しか見えていない」
泛塵「……塵は、斬るにも値しないか?」
日向正宗「…………」
日向正宗「……僕は僕で、君は君だ」
泛塵「……くっ、…………」
泛塵「…………僕を、……助けてはくれないのか」
日向正宗「怯えないで」
日向正宗「次は、上手くやるって決めたから」
日向正宗「だから、その望みは叶えてあげられない」
日向正宗「君の苦しみをどうにかできるのは、君しかいない。……そして、僕もだ」
泛塵「…………」
泛塵「……、……ぅ、……うぅ」

其の104:一文字一家の隠居

  • 刀剣:日光一文字・一文字則宗
  • 時代:指定なし 地域:指定なし

※回想其の95「翼顕現 桜」を回収済

ネタバレ注意
日光一文字「……御前。ここにおられましたか」
一文字則宗「御前はやめてくれよ日光の坊主。僕はここじゃ、主のもとに集った一介の刀剣さ」
日光一文字「しかし、御前が我々一文字の祖であることに変わりはありません」
一文字則宗「いいかい。一文字内のどうこうからは、僕は隠居したんだよ」
日光一文字「それはそうですが……」
一文字則宗「だいたい僕が偉ぶると、山鳥毛が困るだろ。お前さんはそれで釘をさしに来たんじゃないか?」
日光一文字「そこまでお気づきでしたか……」
一文字則宗「山鳥毛に伝えといてくれ。僕は見どころのある若いのを鍛えて過ごすから、自由にやってくれってな」

其の105:猫と隠居と歪と

  • 刀剣:南泉一文字・一文字則宗
  • 時代:指定なし 地域:指定なし

ネタバレ注意
一文字則宗「よう」
南泉一文字「うえええ御前!!なんでこんなところに!?」
一文字則宗「ただの則宗として、南泉の坊主と遊びに来ただけさ」
南泉一文字「 えぇー……遊びに?って、そんなのありなのか……」
一文字則宗「別に誰かが認める認めないの話じゃないさ。僕は僕の好きなことをして過ごすんだ。隠居だからね」
南泉一文字「はぁ……いいけど。でも、なんでオレ?」
一文字則宗「そりゃあもう、お前さんは一文字でも特に歪だからさ」
南泉一文字「歪ぅ?あ……、もしかしてこの呪いのことか……にゃ!まさか解く方法とか!?」
一文字則宗「いや、そんなものは知らない」
南泉一文字「ふにゃー!!」
一文字則宗「歪こそ、そこに人の意思が介在してることを感じるのさ。綺麗に整ってるばかりじゃつまらない。そこが面白い」
南泉一文字「面白がってる場合じゃない……にゃ!隠居してゆるんじまったか……」
一文字則宗「お前さんもそのうちわかる。美とはなにか、愛とはなにか……がな」

其の106:これもまたひとつの

  • 刀剣:大和守安定・一文字則宗
  • 時代:指定なし 地域:指定なし

※回想其の2「沖田の話」を回収済

ネタバレ注意
大和守安定「……あんたが、一文字則宗」
一文字則宗「遅かったな、坊主。もっと早く乗り込んでくるもんかと思っていたが」
大和守安定「……僕は、加州清光とは違うからね」
一文字則宗「そうなのかい?僕からすると大差ないけれどな」
大和守安定「それに……、わざわざお前と沖田君の話をするのも、違うと思ったから」
一文字則宗「そうだな。僕はその天才剣士のことを、物語の上でしか知らない」
大和守安定「それでも、一言だけ言いたかった」
一文字則宗「……ほう?聞かせてみよ」
大和守安定「別にあんたを沖田君が使ってたからって、僕らのときより活躍できたとは思わない」
一文字則宗「……うはっはっは!その通り!そして、それでいい。お前さんはお前さんの強さを信じて行け」
大和守安定「…………」
大和守安定「……ありがとう。ちょっと、気が楽になった」
大和守安定「そして、突然ごめん……」
一文字則宗「いや、いいってことさ。お前さんも真面目だねえ」
大和守安定「それが取り柄なんで。……あ、これからも加州清光が迷惑かけると思うけど、よろしく」
一文字則宗「任せておけ。面白おかしく相手しておこう」

其の107:雨雲のお犬様

  • 刀剣:五月雨江・村雲江
  • 時代:江戸の記憶 地域:江戸(元禄)
ネタバレ注意
村雲江「……」
五月雨江「どうしたんですか?雲さん」
村雲江「……みんな俺のことを嫌ってる。……俺は、……役立たずなんだ」
五月雨江「……ウーワンワン」
村雲江「え?」
五月雨江「ウーワンワン」
村雲江「……ウー、ワンワン」
五月雨江「ウーワンワン!」
村雲江「ウーワンワン!……ありがとう、雨さん」
五月雨江「ワン!」

其の108:すていじ あくと4

  • 刀剣:篭手切江・豊前江・桑名江・松井江・五月雨江・村雲江
  • 時代:指定なし 地域:指定なし

※回想其の77「すていじ あくと3」 を回収済。帰還後

ネタバレ注意
村雲江「雨さん、あれはなんだろう?」
五月雨江「ふむ。どうやら何かのお稽古のようですよ、雲さん」
豊前江「おう、丁度いいや。お前らも混ざっていかねーか?」
村雲江「何をやってるの?」
桑名江「すていじのれっすんだよ」
五月雨江「すていじ……れっすん」
松井江「歌舞音曲の稽古といったところだ」
五月雨「……何やら新しい季語のにおいがする。……やりましょう」
村雲江「あ、雨さんがやるのなら……俺も……」
篭手切江「…………」
松井江「どうした篭手切、鼻血か?」
篭手切江「……いえ、それではれっすんを再開しましょう!」

其の109:一文字一家の白風

  • 刀剣:日光一文字・姫鶴一文字
  • 時代:指定なし 地域:指定なし

※回想其の95「翼顕現 桜」を回収済

ネタバレ注意
日光一文字「姫、お待ちしておりました」
姫鶴一文字「その呼び方ぁ」
日光一文字「姫は姫ですので」
姫鶴一文字「日光くん、相変わらずだぁ。その様子だとあのひとも相変わらずなんだろうけど」
日光一文字「そのように言わないであげてください」
姫鶴一文字「…………」
姫鶴一文字「そうすると、一番あのひとが言われたくないことを言っちゃうと思うけど」
日光一文字「貴方も、あの方の翼ですから」
姫鶴一文字「んー、どこだろ。飾りの尾羽辺りとか?」
姫鶴一文字「そういうの興味ない。また上杉の子たちと居られるのが嬉しくて来ただけ」

其の110:あまえとがまん

  • 刀剣:謙信景光・姫鶴一文字
  • 時代:指定なし 地域:指定なし
ネタバレ注意
姫鶴一文字「ねぇ、けんけん。だっこがい?肩ぐるまがい?」
謙信景光「姫鶴、ここはせんじょうなのだぞ」
姫鶴一文字「けんけん大将、これは偵察です!高いほうがよく見えます」
謙信景光「えっ、ていさつなの?でも、かたぐるまなんていいのかな……?」
姫鶴一文字「いいに決まってる。なにを遠慮してんの?」
謙信景光「だって……ぼくは、がまんができるこだから……」
姫鶴一文字「気にしない気にしない。甘やかされるのは、ちいさなこの特権だよぉ」
謙信景光「うーん。……でも、ぼくはがまんができる、おっきなおとなになりたい」
姫鶴一文字「……そっか。けんけんは、おとなになりたいのかぁ」
姫鶴一文字「でも、おとなはおとなで、なんのために我慢するのかを考えなくちゃいけない」
謙信景光「……!?……むずかしいね」
姫鶴一文字「ん、難しいの。だからちいさなこはおとなしく肩車されちゃいな」
謙信景光「うわー!」

其の111:鶴の一笑

  • 刀剣:太閤左文字・姫鶴一文字
  • 時代:江戸の記憶 地域:大阪(大阪冬の陣)
ネタバレ注意
姫鶴一文字「太閤くんはお猿さんなの?」
太閤左文字「はぁ、猿じゃないし!」
姫鶴一文字「お猿さんかぁいいよ?太閤くんかぁいいし」
太閤左文字「むきっ!猿じゃないし、猿って呼ばないで欲しいわけ」
姫鶴一文字「お猿ぁるさん」
太閤左文字「ウキキッ!」
姫鶴一文字「あ、あは。……はははは!」

其の112:光忠の兄

  • 刀剣:燭台切光忠・福島光忠
  • 時代:指定なし 地域:指定なし
ネタバレ注意
福島光忠「よう、光忠」
燭台切光忠「思うに、あなたも光忠なんじゃないかな」
福島光忠「いいんだよ、俺の中では燭台切が光忠なんだから。長船派の祖、光忠が一振り、燭台切光忠。俺のかわいい兄弟だ」
燭台切光忠「刀剣男士としては、僕が先輩なんだけどね」
福島光忠「お兄ちゃんって呼んでくれても……いいんだぞ?」
燭台切光忠「はは、本丸に戻ったら手料理をご馳走するよ」
福島光忠「いいねぇ、食卓に飾れる花を見繕って行こう」
燭台切光忠「そうか、あなたも……」
福島光忠「俺は摘んで飾る専門。あとは、ここに秘密の花園を作ろうって奴や、他にも~」
燭台切光忠「楽しみは取っておこうか。サプライズは嫌いじゃない」

其の113:正則の話

  • 刀剣:日本号・福島光忠
  • 時代:織豊の記憶 地域:関ヶ原
ネタバレ注意
福島光忠「……号ちゃん!」
日本号「お、おう?!」
福島光忠「ああ、号ちゃん……、また誰かの槍なのか……号ちゃん」
日本号「おい、どうした。別も何もお前も俺も、今はここの刀剣だろ」
福島光忠「もう、離さない!」
日本号「……お前、酔っぱらってんのか?」
福島光忠「そんなわけないでしょ……!正則みたいな失敗、二度とするもんかよぉ~。日の本一の槍を手放すもんかよぉ~!」
日本号「あー、はいはい。ただいま」
福島光忠「号ちゃーん!!」
日本号「素面の絡みの方が、よっぽど質が悪いんじゃねえか?」

其の114:万葉の時を越え

  • 刀剣:小烏丸・七星剣
  • 時代:指定なし 地域:指定なし
ネタバレ注意
七星剣「おまえは、南都の子か」
小烏丸「おお、これは!上古の剣が御出ましたか」
七星剣「飛ぶ鳥は万葉の時を越える。姿を違えようと」
小烏丸「時の壁を越え、剣をもたらしたのは瑞鳥か、はたまた……。いや、今は止めておこう」
小烏丸「我が同胞よ、心より歓迎しよう」
七星剣「うむ、南都は古きころより多くの刀剣が生まれた真秀ろば」
小烏丸「そう。大和の地は天然の要害にして、和を尊ぶ、我らがゆりかご」
七星剣「ああ。あの方の後の足跡が、おまえであり、後の子らなのだな」
小烏丸「ほほ、これは嬉しや。では、舞おう」
七星剣「ふふ、それは迦陵頻か」

其の115:すていじ あくと5

  • 刀剣:篭手切江・稲葉江
  • 時代:指定なし 地域:指定なし

※回想其の108「すていじ あくと4」を回収済。帰還後

ネタバレ注意
篭手切江「い……稲葉せんばい!」
稲葉江「……」
篭手切江「あの……」
稲葉江「…………」
稲葉江「……我になんの用だ」
篭手切江「は、はい。せんぱい、その……」
篭手切江「私たちと一緒に、すていじのれっすんをしましょう!」
稲葉江「…………」
稲葉江「なんだ」
篭手切江「……あ、えっと、れっすんとは歌ったり、踊ったりすることです」
稲葉江「歌って、踊る。……それは、なんだ」
稲葉江「なぜ、歌い踊る」
篭手切江「……なぜ?」
稲葉江「なぜ」
篭手切江「……それは」
篭手切江「夢、です」
稲葉江「…………。……夢、とは」
篭手切江「え……」
稲葉江「夢とはなんだと聞いている」
篭手切江「…………」
篭手切江「私の目指す、その先にある……光。あなたの目指す、天下に同じ」
稲葉江「…………」
稲葉江「……ふん」
篭手切江「あ……」
篭手切江「…………」

其の116:琵琶湖のほとりの

  • 刀剣:蜂須賀虎徹・浦島虎徹
  • 時代:織豊の記憶 地域:関ヶ原
ネタバレ注意
浦島虎徹「琵琶湖に到着っと。すっげえー!海みたいだ」
蜂須賀虎徹「ああ、この琵琶湖はうみと呼ばれるね」
浦島虎徹「そう聞くと泳ぎたくなっちゃうな」
蜂須賀虎徹「浦島、遊びに来たんじゃないんだ。こちら側まで敵が浸透していないか偵察しなくては」
浦島虎徹「ちぇー」
浦島虎徹「……でも、なんか感じるんだ。呼ばれてるみたいな……?ここにも、竜宮城があるのかもしれない!」
蜂須賀虎徹「……ああ、そうか」
蜂須賀虎徹「呼ばれたのだろう。近くに長曽根村……、刀工長曽祢虎徹の故郷と言われる土地があるからね」
浦島虎徹「そっか、行ってみたいな。……あ、遊びじゃないってわかってるけど!」
蜂須賀虎徹「そうだね……」

其の117:彦根と虎徹

  • 刀剣:小竜景光・蜂須賀虎徹
  • 時代:青野原の記憶 地域:美濃(青野原)
ネタバレ注意
蜂須賀虎徹「……」
小竜景光「……山の向こうは筑摩江だねえ」
小竜景光「俺は井伊家にも厄介になったことがあってね。この辺りのことも、少しは知っているよ」
蜂須賀虎徹「そうか。この先には、刀工、虎徹に縁深い地があってね……つい」
小竜景光「おや、それって彦根城下の長曽祢村かい?琵琶湖のほとりの」
蜂須賀虎徹「ああ。この時代ではまだ、湖のそばではないけれど」
小竜景光「おっと、それは失礼」
蜂須賀虎徹「いや、この関ヶ原で石田三成が敗れた結果、湖のそばに移ることになるんだ。知らないのも無理はないよ」
小竜景光「なるほどねえ。俺が井伊家に来たのは江戸の世の終わりの頃だった」
蜂須賀虎徹「井伊家が彦根で続いたことも、後の虎徹評価の一因になっているのかもしれない」
小竜景光「それじゃあ、ここは絶対に負けられない戦いというわけかな?」
蜂須賀虎徹「負けても良い戦いなんてないさ。俺は、虎徹の真作の名を背負っているのだから」

其の118:風浪

  • 刀剣:治金丸・笹貫
  • 時代:維新の記憶 地域:鳥羽

※回想其の93「兄の影として 花」 または其の94「兄の影として 波」を回収済

ネタバレ注意
笹貫「はは、……こうも簡単に背後を取られるとは思わなかった」
治金丸「…………」
笹貫「それで、オレを斬りに?」
治金丸「いいや。オレは影だ。影が勝手に決めることはない」
笹貫「そっか、ひとまず安心した。この身体というものでやってみたいこともあるからさ、そう簡単には手放したくなくて」
治金丸「ああ、それは主のものだ。オレたちはこれを使い、力を合わせてやらねばならないことがある」
笹貫「お、歴史を守るって~あれだな?」
治金丸「そうだ。どんなに苦しい歴史であろうとも。お前がどこの刀であろうとも」
笹貫「……背負うねぇ」
治金丸「お前に言われることじゃない」
笹貫「あー……わるかった。いや、どうにも凝り固まったのが身近に居て……つい」
治金丸「お前が主のもとで同じ目的のため力を尽くす限り、影はただ影のまま」
笹貫「…………。……背負うことで得た形とも言えるのか。この身体、一筋縄ではいかないってことだな」

其の119:こがらすとこがらし

  • 刀剣:小烏丸・抜丸
  • 時代:指定なし 地域:指定なし
ネタバレ注意
小烏丸「ほう、おまえは……」
抜丸「ええ、ええ。源氏に落ち延び、この世から消えた伊勢平氏相伝の太刀、抜丸にございますれば」
小烏丸「然り。しかし、その姿は……まさに禿のようではないか」
抜丸「それを申されるならば、あなたは随分と……」
小烏丸「これこれ、あまり見つめると目がつぶれるぞ」
抜丸「されど、そのかたち……。後の世で日本刀が生まれ出づる時代の剣と崇められたそのかたち。それが、あなたの軸か……」
小烏丸「少々やり口が粗野ではあるが……さればこそ、こうしておまえと向き合い、ここに在れるとも言える。他の子らのように父として見守もろうぞ」
抜丸「いやですよ」
小烏丸「ほほ……、……ほ?」
抜丸「だから、いやです。禿とて神からこの世に与えられし剣。禿とならず別の姿もあったのではないかと思いましたもので」
抜丸「それ故、父でもなく兄でもなく……、我はあなたを小烏丸と呼びましょう」
小烏丸「……はは、ははは!さよう、姿など在り様ひとつでいか様にも変わりゆくもの。まさに、諸行無常よな」
抜丸「ふふ。それに、父上はひとりでけっこうです」
小烏丸「ふむ……、まあそれもよい。では、じっちゃんではどうだ?」

其の120:胡蝶は香に誘われ

  • 刀剣:石切丸・抜丸
  • 時代:指定なし 地域:指定なし
ネタバレ注意
抜丸「おい、そこの!そこのもの!止まれ、止まれい!」
石切丸「おや。私のことかな?」
抜丸「…………、……むう。あなたからはなにやら匂いのようなものがする」
石切丸「匂い、なんだろう。今日は護摩木を炊き上げたわけでもないしねえ」
抜丸「うーん、……懐かしい。いや、挑みたくなるような……」
石切丸「挑む……。それは困った」
抜丸「……なんでしょう。んーと、んーと……」
石切丸「ええと、嫌われてしまったかな?」

其の121:之定の同士

  • 刀剣:歌仙兼定・人間無骨
  • 時代:指定なし 地域:指定なし
ネタバレ注意
人間無骨「うム、『此度の戦闘において、此レは……』、と」
歌仙兼定「……それは、何を書いているんだい?歌を詠むには少々似つかわしくない場だけれど」
人間無骨「ム、歌仙兼定。此レは戦況を記していル。文字で残しておくと便利だ」
歌仙兼定「おや、まめな質だね」
人間無骨「文字を書くことは好ましい。此レも相棒の影響だロウか」
歌仙兼定「ああ、そういうことなら大いに共感できる。流石は之定の同士」
人間無骨「が、やってみルと思った以上に難しく。相棒のような力強い筆筋にはほど遠く」
歌仙兼定「……それは、僕ら之定は悪筆だとかなんとか、評判がつきまとっていたからではないだろうか」
人間無骨「ム、どおりで困った」
歌仙兼定「まあね。でも、どんなことでも多かれ少なかれ最初は苦労をするものさ」
人間無骨「そうか。では、歌仙もこのような苦労を?」
歌仙兼定「ははは。その程度の瑣事でいちいち音を上げていては、文系の名がすたるというもの。……ははは、ははははは」
人間無骨「うム、『……と言うと、朗笑を残し之定の同士は去った』、と」

其の122:兼定の先輩

  • 刀剣:和泉守兼定・人間無骨
  • 時代:指定なし 地域:指定なし
ネタバレ注意
和泉守兼定「よう、先輩!」
人間無骨「ム、せんぱい?此レは……、和泉守兼定」
和泉守兼定「ああ、あんたの茎にもしっかりと刻まれてる和泉守兼定よ」
和泉守兼定「之定は先約があるからよ。先輩って呼ばせてもらわあ。文句は、ねえよな?」
人間無骨「無論。して、其レをなんと呼ぼうか」
和泉守兼定「かーっ!本刃に言わせんな。好きに呼びゃあいい」
人間無骨「ム、ならば、後輩、と」
和泉守兼定「……ぉ、おう。いいぜ、先輩」
人間無骨「うム、後輩。ぶっ倒してルか」
和泉守兼定「おうよ、ぶっ倒してる!和泉守兼定は、かっこ良くて強い!ずーっと流行りの刀だぜ」

其の123:武蔵坊と鬼武蔵

  • 刀剣:岩融・人間無骨
  • 時代:指定なし 地域:指定なし
ネタバレ注意
人間無骨「うム、かの武蔵坊弁慶の相棒と共に戦えルとは実に光栄」
岩融「ほう?よもや弁慶の縁者とも思えんが……」
人間無骨「此レは鬼武蔵の相棒、人間無骨。此レの相棒は森武蔵守長可と名乗り、鬼のように強かったことから鬼武蔵と呼ばレル」
岩融「がはははは!なるほど、それは面白い」
人間無骨「瀬田の橋で関所破りをしたことも孕んでいルのだロウが」
岩融「ふふん、橋弁慶に勧進帳だな?ならば、なおのこと結構。武蔵坊弁慶が後の世でも名を馳せる一端がお前の元主にあるならば、縁者も同然」
岩融「……うむ、実に嬉しいぞ!今、武蔵坊の薙刀と鬼武蔵の槍がここに揃ったのだからな」
人間無骨「うム、此レらが揃えば向かうところ敵無しということだロウ」

其の124:森家の話

  • 刀剣:不動行光・人間無骨
  • 時代:織豊の記憶 地域:安土
ネタバレ注意
人間無骨「不動行光、此処には此レらしか居ない」
不動行光「……ひっく。なんだよ、話かけんな」
人間無骨「では、此レは独り言」
不動行光「……」
人間無骨「あの年の初夏、母御は兼山で五人の息子の帰りを待っていた」
人間無骨「信長公に同行し京に出向いていた蘭丸、坊丸、力丸からは、夏には休みをもらえるだろうと母御に手紙が届いていた」
人間無骨「信長公の算段では天下布武をもうすぐ成し遂げられるところまで来ていたから」
人間無骨「久しぶりに五人揃って兼山に、母御の元で過ごせる夏が来るはずだった」
不動行光「……なんだよそれ、伏線立ちまくりじゃんか」
人間無骨「今か今かと待ちわびる母御の元へ、本能寺が焼け落ちたとの知らせが届く。三人の息子から手紙を受け取った十日ほど後のことだった」
人間無骨「同じく本能寺の知らせを受け信濃から命からがら戻った相棒は、母御とともに咽び泣きこの世の理を嘆いた」
人間無骨「母御と、相棒はこう思っただロウ。……せめてもう一度、会いたかったと」
不動行光「……あーもう、はっきりと言えばいいだろ!どうせ俺は愛された分を主に返せやしなかったし、この世の理も……断ち切れない……」
人間無骨「此レは、相棒の荒々しい戦いと共に語らレル槍。だが今ひと時は、相棒の心を届けル十字の穂先となロウ」
人間無骨「お前に、会いたかった」
不動行光「…………、…………」
不動行光「……俺は、ダメ刀……。……だけど、これを受け取らなかったらきっと、もっとダメに……なっちまうよな、蘭丸」

其の125:惟有黒鉄而已

  • 刀剣:大般若長光・八丁念仏
  • 時代:戦国の記憶 地域:長篠
ネタバレ注意
八丁念仏「絶景、絶景っ!最前にズラリと並ぶ鉄砲!」
大般若長光「初めて鉄砲が組織的に使われた戦いかあ。この頃の火縄銃命中率が高かったら、刀の時代はもっと早く終わっていたかもしれないなあ」
八丁念仏「当たらないからこその鉄砲三千挺。戦は刀と槍で戦うもん……だしっ?恐ろしいことを言うなあ、大般若長光」
大般若長光「ははっ。知ったかぶりが過ぎたかな?俺こそ足利将軍家……信長公に、家康公。それに、今頃長篠城に籠っている信昌公の……って、宝物だった期間のほうが長いんだけれどね」
八丁念仏「ここで刀の時代が終わっても、出番はなくならないって?」
大般若長光「違う使われ方になったとしても、残るべきものは残ると信じたいね」
八丁念仏「は~、さすがは銭六百貫様。言うことが違うっ」
大般若長光「おや、棘がある」
八丁念仏「あ~、硝煙と爆ぜる火薬の熱に浮かされたかな?ここでそんなこと言っていたら、残るべきものではない方になってしまうかもっ」
大般若長光「それは謙遜かい?冗談にしては……少々趣味が悪い」
八丁念仏「……けっこうな本気っ?刀剣男士も残るべきものと、そうでないものがあるのかもしれない」
大般若長光「ようし!それじゃあ俺は、信長公があっという間に完勝してしまうと困るから、これから武田軍を応援しに行こうかな」
八丁念仏「……へ、元の主が最前で命張ってるのに?」
大般若長光「なあに、あの方はこんなところでは終わらないし、苦労して大成してくれないと面白くないだろう?」
大般若長光「それに、べきべきでない、らしいらしからぬ、なんてことを言っていたら……、本当に美しいものとの出会いを逃すからね」
八丁念仏「…………変な刀」
大般若長光「それが銭六百貫と共に語られる、大般若長光さ」
八丁念仏「ふ~ん……、そっか!」
八丁念仏「よしっ、俺も武田軍を応援してこよっ」
大般若長光「ははっ。立ち直りが早くてよろしい」
大般若長光「……そうでないもの、ねえ」

其の126:夏塵

  • 刀剣:泛塵・八丁念仏
  • 時代:江戸の記憶 地域:大阪(大阪冬の陣)
ネタバレ注意
泛塵「八丁念仏は、雑賀の出と聞いた」
八丁念仏「まあそうだけど。そっちも紀州ゆかりっ?」
泛塵「時代としては少し後だが、山のほうに縁がある。雑賀衆の話は有名だ」
八丁念仏「そりゃあ、知ってくれてるのは嬉しいけど。……眼差しがやたら眩しいような」
泛塵「その……あの……、……のか?」
八丁念仏「これは、もしや……」
泛塵「……うっ、馬の上で鉄砲は撃てるのかっ!?雑賀の鈴木孫市は、どんな場所からでも鉄砲を撃てたのだろう!?」
八丁念仏「わ、びっくりした!え~っと……、君が多分思い描いているのは伝説化したキラキラ雑賀で、俺の確かな主は~……」
泛塵「……くっ、塵が出過ぎた真似を、その…………すまない……」
八丁念仏「あ~~~~…………、撃てるっ!」
泛塵「そうか、やはり馬の上で鉄砲は撃てるのか!」
八丁念仏「あ~、うん」
泛塵「本当か!本当に真田左衛門左信繁も撃っただろうか!」
八丁念仏「……うん。きっと、そうだっ」

其の127:ひょうたんとたぬき 青柿

  • 刀剣:一期一振・同田貫正国
  • 時代:青野原の記憶 地域:美濃(青野原)

※回想其の62「阿吽の大小」を回収済

ネタバレ注意
一期一振「時間遡行軍は東軍勢に紛れているようだが」
同田貫正国「やっぱ意味わかんねーな。東軍はほっといても勝つんだから、なんの歴史も変わらねーだろ」
一期一振「それでも、彼らにとっては意味があることなんでしょう」
同田貫正国「あー、やめだやめ。ごちゃごちゃわかんねーこと考えて、よそ事してっと折れっからな」
一期一振「同田貫正国は明解ですなあ」
同田貫正国「ああ?なに他人事みてーに言ってんだよ」
一期一振「……はて?」
同田貫正国「まあいい、行こうぜ。知ることも大事だが、俺たちはここに戦いに来たんだ」
一期一振「なるほど明解。助かりますな」

其の128:ひょうたんとたぬき 渋柿

  • 刀剣:一期一振・同田貫正国
  • 時代:青野原の記憶 地域:京都(五条)

※回想其の127「ひょうたんとたぬき 青柿」を回収済

ネタバレ注意
同田貫正国「おい、おーい!聞こえてっかー」
一期一振「……あ、はい!今、参ります」
同田貫正国「あー、あの山の上が……」
同田貫正国「おい、そこに居ろよ」
一期一振「同田貫殿?……仕方ない、待ちますか」
一期一振「……」
一期一振「……」
同田貫正国「ほらよ、柿だ」
一期一振「あ、ありがとうございます」
同田貫正国「青ひょうたん顔で突っ立てて倒れられたら、たまらん」
一期一振「……私は、そんな顔をしていたんですね」
同田貫正国「俺はなんも見てねーし、事情も知らねーし、興味もねーから。さっさと食えよ」
一期一振「いっそ清々しいほどの嘘ですな、はは……」
一期一振「うっ、渋!」
同田貫正国「あ?わりぃ、渋柿だったか。っはは」
一期一振「…………やりましたな」
同田貫正国「ちげーちげー、わざとじゃねえよ。油断した。……はははっ、ほら水」
同田貫正国「あー、処刑場は娯楽だなんだで人も多いが、出店も出てる。後で口直しに寄ろうぜ。詫びだ、奢る」
一期一振「いえ、結構。この渋柿は持って帰って干し柿にしましょう。お山の上に供えにでも行きましょうか」
一期一振「もう大丈夫です。ありがとう、たぬきさん」
同田貫正国「はあ!?なんっで、その呼び方ぁ!」

其の129:正宗の話

  • 刀剣:日向正宗・石田正宗
  • 時代:江戸の記憶 地域:江戸
ネタバレ注意
日向正宗「石田の兄上、見て」
石田正宗「土壇場だな。これから試し斬りをするのか」
日向正宗「少し見て行っていいかな? 御様御用が出るようだし、どこかの大名が正宗を持ち込んだみたいだ」
石田正宗「本当に? 私たち正宗は、本来ならこのような場には縁がない」
日向正宗「最初から偽物とわかっていて試し切りするのかも」
石田正宗「それはずいぶんと勇気のある人がいたものだね。斬れても、斬れなくても」
日向正宗「おおっと、前座は虎徹だ。でも、あの刀、ずいぶん立派な姿をしているけど……あれは」
石田正宗「ああ、良く似た偽物だな。なまくらの気配が漂ってくる」
日向正宗「この試し斬りは大荒れだ。きっと正宗までいかない」
石田正宗「それが狙いなのかもしれない。正宗は試さない、そこにあると知られることが重要だから」
日向正宗「行こう、日向。見る価値もない」
石田正宗「そうだね」

其の130:正宗と虎徹

  • 刀剣:蜂須賀虎徹・石田正宗
  • 時代:青野原の記憶 地域:美濃(青野原)
ネタバレ注意
石田正宗「……」
石田正宗「……ああ、呼びに来てくれたんだね。この戦に縁を持たない私は、急に駆けだしたりはしないから、その手を降ろしてくれるとうれしい」
蜂須賀虎徹「……俺は何も」
石田正宗「では、気迫だけか。すごいね、さすがは本物の虎徹だ。君は良く斬れるんだろうね」
蜂須賀虎徹「……」
石田正宗「待たせてすまなかった。さあ、行こうか」

其の131:栄誉と名声の狭間で

  • 刀剣:蜂須賀虎徹・石田正宗
  • 時代:青野原の記憶 地域:京都(五条)

※回想其の130「正宗と虎徹」を回収済

ネタバレ注意
蜂須賀虎徹「……ここは」
石田正宗「そうだね、三成様はこの先で死ぬ」
石田正宗「まあ、私はここに居合わせてはいない。けど、そう――私はひと時も苦しませることなく、首を落とすことはできるのだろうか。そんなことを考えていた」
蜂須賀虎徹「……なぜ」
石田正宗「なぜ?これだから裁断銘付きの刀は。柔らかいところをぶっすり刺してくる」
蜂須賀虎徹「そうではない。俺にも覚えのあること、……だからだ」
石田正宗「……あまり口にはしたくないけど、刀は斬れてこそ。使われずとも」
蜂須賀虎徹「使われずとも……か」
蜂須賀虎徹「確かに、俺には刀工長曽祢虎徹の生前に刻まれた裁断銘がある。しかし、斬れることによって番付を昇りつめた虎徹は、その多くが在銘であるにも拘わらず、巷には贋作が溢れ、虎徹は偽物しかないと言われるようになった」
蜂須賀虎徹「するとどうだ、粗悪な贋作、見紛う贋作、贋作は無尽蔵に増えていく。そして、皮肉なことに使われるほどに虎徹の評価が上がる。一方で、真作はその中に埋もれていってしまう……」
蜂須賀虎徹「本物の虎徹とは。虎徹を虎徹たらしめるものとは……」
石田正宗「……」
石田正宗「……うん。……それが、人だ」
蜂須賀虎徹「……虎徹には、刀を作り、その刀を振るって、研究し、有象無象の中から実証してくれた人たちもいた」
蜂須賀虎徹「全ては人から始まる。この問いも……」
蜂須賀虎徹「だから……、俺は虎徹の名に相応しい自分であれているだろうかと、常に問うている」
石田正宗「……ああ、そうか。私たちは、案外似た者同士なのかもしれない」
蜂須賀虎徹「え?」
石田正宗「正宗を見たら偽物と思え」
石田正宗「正宗にも……かつて、私たちに価値を見出し、高め、それを守ろうとしてくれた人たちがいた」
石田正宗「人はすぐに争い合って死んでしまうけど……。人は物を作り、物を眺め、愛で、物を語る。物を壊し、そしてまた物を作る」
石田正宗「忘れてしまうこともあるし、間違うこともあるけど」
蜂須賀虎徹「ああ、その心を受け取りたい」
石田正宗「うん。……そろそろ行こう、三成様が来る」

其の132:毒と薬

  • 刀剣:薬研藤四郎・実休光忠
  • 時代:織豊の記憶 地域:安土
ネタバレ注意
薬研藤四郎「実休さんは、道草かい?」
実休光忠「……ああ、君は……薬研くん。そうだね、道草を摘んでいるんだ」
薬研藤四郎「まめだな。俺にその逸話はついてこなかったみたいだからさ」
薬研藤四郎「信長さんの薬草園。あとは、甲賀の三雲か……。けど、俺も薬研の名を冠してるからなのか興味があってね。できたら、手伝わせて欲しい」
実休光忠「君はなんだか、勘違いしているようだけれど」
薬研藤四郎「そうかい?俺はあんたを待っていたのかもしれない、とすら思ってるぜ?」
実休光忠「手入で直る身体に、必要だろうか」
薬研藤四郎「必要かどうかって話なら、これからはより必要なんじゃないかって……思ってるな。合理性より」
薬研藤四郎「特に、俺たちみたいなものには」
実休光忠「好きでやってるんだよ。なんだか落ち着くんだ」
薬研藤四郎「好きでやってるなら、なおいいさ」
実休光忠「君って……、僕や福島たちとは違うはずだよ。なのに、なんで……」
薬研藤四郎「まあ、ちゃっかりなところは信長さんの影響かもしれないが……」
薬研藤四郎「どんなものでも要は使いよう。同じものが毒にも薬にもなる、だろ?」
実休光忠「そうか……、君の中にいるんだね」
薬研藤四郎「俺には、あんたの中に感じるがな」
実休光忠「多分、僕は亡霊なんだ」
薬研藤四郎「そんなあんただから、話したんだよ」

其の133:仇も巡れば他生の縁

  • 刀剣:宗三左文字・実休光忠
  • 時代:織豊の記憶 地域:本能寺
ネタバレ注意
宗三左文字「……実休?……貴方が来たということは、いよいよ主は覇道を行くのでしょうね」
実休光忠「どうかな。三好、織田、豊臣、徳川、みな天下人にはなったけれど。僕は本能寺と大坂城で焼け、終いには再刃もされずこの有様だ。いまさら天恵を与えられるだろうか」
宗三左文字「貴方はその傷で三好実休を、そして……魔王を最期まで守ったのでしょう?」
実休光忠「だと良いのだけれど。僕の記憶は、ぼんやりしているから」
宗三左文字「そうですか……。貴方とは随分と長く縁がありましたよ。それも、織田の前から」
実休光忠「ああ、宗三……三好政長の名はどことなく」
宗三左文字「そう……、政長は三好実休の父を殺し、そしてその兄に殺された」
宗三左文字「仇も、因縁も。巡れば縁……、ですか」
実休光忠「そう言ってもらえて嬉しいよ、なんだか」
宗三左文字「はぁ……。それこそ、いまさら貴方と張り合っても仕方が無いようです」
宗三左文字「ひとりの人に選ばれるか、ひとつの天に選ばれるか。その違いなど、ここではつまらぬ昔話……なのかもしれません」
実休光忠「ごめんね。お詫びと言ってはなんだけれど、君をお茶に誘ってもいいかな」
宗三左文字「……はあ」
実休光忠「どうかな?冠する三好の名がそうさせている気がするのだけれど」
宗三左文字「そんなことを聞かれても困りますね……」
宗三左文字「ただ……、良い茶菓子くらいは用意しますよ」
実休光忠「ああ、特級の薬草茶で持て成すよ」

其の134:京極の丹碧

  • 刀剣:にっかり青江・京極正宗
  • 時代:江戸の記憶 地域:大阪(大阪冬の陣)
ネタバレ注意
京極正宗「あら、懐かしいお顔。幽霊にでも憑りつかれたような」
にっかり青江「ああ、君も。毒々しくて何よりだ」
京極正宗「赤い衣裳は好き。汚れが目立ちませんから」
にっかり青江「小さな刃で、何をそんなに斬ってきたのやら」
京極正宗「思い込み、決めつけ、見栄、虚構、わたくしに纏わりつく悪魔」
にっかり青江「へえ、恐ろしいねえ」
京極正宗「嘘。思ってもいないくせに」
京極正宗「だって青江、わたくしたちの元の主はしたたかな方々だったでしょう?」
にっかり青江「泥の中で咲く薔薇のような人たち、だったかな」
京極正宗「わたくしは、深窓の薔薇のままの方が良かった?」
にっかり青江「その衣裳、よく似合っているよ。今でも君は、京極を冠する薔薇のままさ」

其の135:正宗の兄弟

  • 刀剣:石田正宗・京極正宗
  • 時代:武家の記憶 地域:鎌倉(元弘の乱)
ネタバレ注意
京極正宗「ふふ、石田のお兄さまは難しい顔もお似合いね」
石田正宗「京極……」
石田正宗「表に出てこない事がお前の在り方だった。私たちは、お前を引きずり出してしまった」
京極正宗「何のことかしら?」
石田正宗「無銘の私が言えたことではないが……、顕現にあたって何らかの負荷を背負わされていないかと」
京極正宗「想像力のたくましいこと。でも、よく見てお兄さま。どこにわたくしを縛る鎖があるというのです?」
京極正宗「それに、だからこそ、正宗の実力を示すためにわたくしは必要なはず」
京極正宗「なんてこと言ったら、日向には後ろから刺されそうだけれど」
石田正宗「兄弟相手でも容赦がないね」
京極正宗「それはお互いさま。でもそうね、以前のあるじさまの事は置いておきましょう。ここにはわたくしたちを余光で照らす者はいない。危なくなっても身一つで逃げ出すことは許されない」
京極正宗「それに、寂しいなら、素直にそう言えばいいだけ。神は縋る者にこそ祝福を与えるのです」
石田正宗「あまり虐めないでやっておくれ」
京極正宗「意地悪なお兄さま。日向に甘くしたいのもわかるけれど」
京極正宗「でも、わたくしたちは強くあらねば。でないと、正宗は虚構に呑みこまれてしまうかもしれない」
石田正宗「……ああ」
京極正宗「だとしても、わたくしたちは進みます。人により作られた物から、人が蘇ることもある。我らを創られた方のように」
石田正宗「私たちはここに在る。もう、誰にも否定はさせない」

其の136:関の義兄弟

  • 刀剣:人間無骨・孫六兼元
  • 時代:指定なし 地域:指定なし
ネタバレ注意
人間無骨「うム。孫六、此レも顕現したか」
孫六兼元「あんた、之定の槍か」
人間無骨「之定と兼元は義兄弟。身内には挨拶が必要だロウ」
孫六兼元「ご丁寧にどうも。それにしては、頭数が足りないようだが?」
人間無骨「之定の同士は後程、おそらく。少し時間がかかル。誰に対してもそうだから気にしないでほしい」
孫六兼元「なんだ。てっきり血闘にでも出ているのかと」
人間無骨「……ム。では、此レも果たし状を書いてくルか?紙と筆なら此処に」
孫六兼元「それは遠慮しておこう。万が一折ってしまったら、主人に申し訳が立たないからな」
人間無骨「……自惚レを。しかし、確かに関鍛冶の同士を折ルのは此レも忍びない」
孫六兼元「はは、あんたが俺の相手をしてくれるのか?」
孫六兼元「ただまあ、関鍛冶の刀は良く斬れるとはいうものの乱世の日常使い。たくさん打って、たくさん折れた。今更一本折れたとて……なんて思わないこともないが、同士討ちほど無意味なものはない」
人間無骨「孫六、刀として『折れず、曲がらず、よく斬れる』は最上級の評価と、此レは思う。其レは、折レていった同士たちの礎でもあル」
孫六兼元「そうだな。関鍛冶の伝統は乱世の日常使いから、平和な時代の日常使いへと舞台を移し、技を残した」
孫六兼元「そちらさんも強くてかっこいい最先端の後輩がいるしな。戦場に出てこずとも、俺たちの後継は立派にやっている。総じてみれば恵まれているんだろう」
人間無骨「……うム」

其の137:新々刀の推し事

  • 刀剣:水心子正秀・孫六兼元
  • 時代:指定なし 地域:指定なし

※回想其の74「新々刀の系譜」を回収済

ネタバレ注意
水心子正秀「……む」
孫六兼元「ん?」
水心子正秀「…………」
孫六兼元「なんだ?」
水心子正秀「あっ……!んん、失礼した。孫六兼元だったな、大永の頃の、その……、折れず、曲がらず、良く斬れる……」
孫六兼元「ああ、関鍛冶の孫六兼元だ。あんたは、江戸三作の水心子正秀だな。幕末のころによく見かけた刀だ」
水心子正秀「えっ!……あ、あの孫六兼元が水心子正秀をご存じだったとは、……光栄だ」
孫六兼元「あんたが打たれた頃は、派手な刀のほうが評価が高かっただろう。俺に興味があるのか?」
水心子正秀「それはもう!!……あっ、ああ、もちろん。新々刀の祖として、古い刀は勉学の対象だからな」
孫六兼元「そうか。まあ、興味を持ってもらえるのはうれしいが」
水心子正秀「…………」
孫六兼元「見たいのか?」
水心子正秀「いい……のか?」
孫六兼元「ああ、減るものじゃなし」
水心子正秀「ああ、ああ、感謝する!」
孫六兼元「はいよ」
水心子正秀「失敬」
水心子正秀「……うん、折れる刀と折れない刀の違いはと問われれば、永禄から天正の激しい戦国において曲がったと伝わる事なく、上作でなくとも業物だとして諸侯の指料にもなり、そして何より斬れる刀!これぞ武士たる者が求める好むべき姿と言われている。うんうん、分かる、分かるぞ」
水心子正秀「茎をよく焼かなければ目釘穴から折れると言うけれど、目釘穴から折れるような刀はそもそも切っ先から折れるのだと。刀が折れる原因とは焼きなのかとも……。すごい、これが……かつて刀工水心子正秀が傑作と讃えた孫六兼元!」
水心子正秀「刀剣を知らないド素人がド素人に語るから真贋もわからなくなってしまうし……、押形に似ていれば真作だなんて木を見て森を見ないような話がまかり通ってしまう。見た目だけを追い求めるのは不仁の極、刀への冒涜!やはり水心子正秀は間違っていなかったんだ」
孫六兼元「視線が熱いねえ……、火傷しそうだ。ここにはもっと珍しい伝説持ちの刀もあるだろうに」
水心子正秀「とても勉強になる!兼元も、之定も、虎徹も、国広も!」
孫六兼元「はは、そうかい。これぞ無我夢中ってやつだな」
孫六兼元「……後を継ぐ者がここにもか」
水心子正秀「さて。では、ちょっと失礼」
孫六兼元「はいはい、ん???んな、大胆な!あひゃひゃひゃひゃ」

其の138:最強と無敵

  • 刀剣:一文字則宗・孫六兼元
  • 時代:維新の記憶 地域:宇都宮
ネタバレ注意
一文字則宗「お前さんはだんだらは着ないのか?」
孫六兼元「どっちを着ろって?赤穂の義士か、新選組か」
一文字則宗「おや、僕はてっきり……喜んで浅葱色を着るものだと思ったが?」
孫六兼元「俺の使い手は有名どころが多くてね。いろんなところに枝葉があるもんだから、いろいろ盛られてんのよ。あんただって遠からずだろ?」
一文字則宗「僕たちのような存在は、至るところに根があるからなあ。だからこそ、多少の事では揺らがないとも言えるが」
孫六兼元「はは。選べる自由と選べない愛惜、感佩があるだけだ。申し訳ないが、これから新選組が池田屋に突入する見せ場でね」
一文字則宗「ほう、それは……」
孫六兼元「合間を縫って読書中。後に継がれる物、紡がれる物語については知らないことのほうが多い」
一文字則宗「うははは!こいつは傑作だ!なんだったら、僕も聞かせてやろうか?伝説級、天才肌の少年剣士の話だ」
孫六兼元「結構、結構。俺とあんたでその話をしてなんになる。……他に適任がいるだろうからなあ」
一文字則宗「ほう、それは枝葉への慮りかい?」
孫六兼元「そんな大層なもんじゃない。知ることで、己の持っているものを知る。そんなところだ」
一文字則宗「どっかの誰かさんの言葉を借りるなら、持てる者こそ与えなくては、……な」

其の139:咆哮、遠く

  • 刀剣:肥前忠広・孫六兼元
  • 時代:指定なし 地域:指定なし

※回想其の66「由来は近く、心も近く」を回収済

ネタバレ注意
孫六兼元「戦場で見るとよりいい刀だな、あんた」
肥前忠広「……あ?」
孫六兼元「天誅の天才、岡田以蔵といえば、人斬りの中では格別だ。その刀が大業物、肥前忠広」
肥前忠広「最上大業物で人斬りの先輩様が、何の用だよ」
孫六兼元「用?用かあ……、あるにはあるが、知っての通り、私闘は上から厳しく取り締まられている」
肥前忠広「……ちっ」
孫六兼元「ふむ。敵を倒せとほっぽり出されたはいいが、あんなものをいくら斬ったところで満たされることはない。……俺も、あんたも、そうだろう?」
肥前忠広「ごちゃごちゃうるせえ」
孫六兼元「いいねえ、いいねえ。自分に求められていることを理解している目だ。憐憫で泣いてしまうな」
肥前忠広「……なんだって?」
孫六兼元「飼い慣らされた犬の刀を折ったところで、全く面白くもない」
肥前忠広「……はあ?」
孫六兼元「殺気が足らないんだよ、殺気がさあ、なあ。範疇から外れればいいのか、なあ。ああ、それなら孫六兼元にはこんな話がある。慶応三年、冬の京都だ。土佐脱藩、坂本龍馬の……」
肥前忠広「……!」
肥前忠広「首輪してんのはどっちだ、ええ!?」
孫六兼元「ははっ!いいじゃないか、そうだ、その目だ」
肥前忠広「てめえ、わざとか……!」
孫六兼元「……無心、決まっただろう?」
肥前忠広「……狂犬が」
孫六兼元「どうとでも。ここで紡がれる物語は、それなりに楽しみたいからな」
孫六兼元「だから、さっさと敵を倒して、俺に付き合え」
肥前忠広「……ああ?なんの義理で」
孫六兼元「巡り会ってしまった義理、かな。ははっ」
肥前忠広「おい!…………、……ちっ」

其の140:葦辺の鶴雀

  • 刀剣:姫鶴一文字・後家兼光
  • 時代:指定なし 地域:指定なし
ネタバレ注意
姫鶴一文字「ごっちん、あんまし暇とか言わない方がいいよ」
後家兼光「うん?どうした?」
姫鶴一文字「上杉ではそれでいいけど、ごっちんは長船ぶらざーずでしょ。しゃきっとしな」
後家兼光「どーした、おつう。そーゆうなにらしくーとかべきとか、一番だるいって口だろ?」
姫鶴一文字「……は?だから、一言多いんだわ」
後家兼光「直江の癖、みたいなものだよね。仕方ない」
姫鶴一文字「……うざ、反面教師にしな。っても、刀が人を教師にするってうけるけど」
後家兼光「そーかな。現に刀剣男士はこうやって人の形を模している訳だから、人に倣い、習ってるってことになるんじゃない?」
姫鶴一文字「それこそ、人身御供代わりの、刀身御供ってこと」
後家兼光「笑えねー」
姫鶴一文字「笑うとこじゃないし」
後家兼光「……」
姫鶴一文字「……」
後家兼光「……ふ」
姫鶴一文字「……はは」
後家兼光「慣れた?」
姫鶴一文字「そーゆーこと、聞く?」
後家兼光「ごめん」
姫鶴一文字「……ん」

其の141:無頼の桜梅

  • 刀剣:山姥切長義・後家兼光
  • 時代:織豊の記憶 地域:関ヶ原
ネタバレ注意
山姥切長義「備前の刀が来たと思えば、なるほど、兼光の刀か」
後家兼光「キミは……、長義の。さすが、華やかで……うん、強き良き刀だ」
山姥切長義「長船の主流派であるあなたに、そのように面と向かって言われてしまうとね」
後家兼光「急にごめんね。備前長船の中で同じく相州伝の流行りを取り込んだ刀に声を掛けられたから、ついはしゃいでしまった。おつうにも、一言多いってよく言われるけど」
山姥切長義「いや、こちらの言い方も悪かったね」
後家兼光「そんなことないよ。兼光が相伝備前の始まりのように扱われることも、刀工の系譜も、それに正宗十哲の括りだって、後世の人による憶測や分類の結果でしかない、とも言える」
後家兼光「ただ、ボクが今感じたことは、それそのまま本当だなって」
山姥切長義「刀工として後に出てきた長義も、相州伝に美を見出した先達にそのように言われたら喜ぶだろう」
後家兼光「よかった。ボクは後家兼光。どうぞよろしく」
山姥切長義「山姥切長義だ。そうか、上杉……いや、直江兼続の刀か。それはまた難儀だな」
後家兼光「……え?」
山姥切長義「すまない、俺も一言多かったようだ」

其の142:あこがれとげんじつ

  • 刀剣:五虎退・後家兼光
  • 時代:指定なし 地域:指定なし
ネタバレ注意
後家兼光「その昔。この国の人は、虎の絵をたくさん描いた。見たこともないのに」
五虎退「でも、猫はいましたよ」
後家兼光「なぜ、猫と虎が似ているとわかるのか。見たことがないのに」
五虎退「ええっと……」
後家兼光「かの謙信公の幼名は虎千代……、虎とはいかなる動物か……」
五虎退「あ、あの、ごっちんさん???」
後家兼光「純粋に気になることに……意識を飛ばしてたんだけど……へ、へ、へくしょん」
五虎退「わ、わわ!」
後家兼光「虎くんに近寄ると、さっきから鼻がむずむずしてっへ、へっくしょん、へくしょーん……ずび、なんだこれは」
五虎退「ごごごごめんなさい!!!」

其の143:竜の弟子

  • 刀剣:大倶利伽羅・火車切
  • 時代:指定なし 地域:指定なし
ネタバレ注意
火車切「……」
大倶利伽羅「……」
火車切「……」
大倶利伽羅「……なんだ」
火車切「……え、気付いてた?」
大倶利伽羅「……ふん」
火車切「えっと……」
火車切「それ、触っていい?連れてる、腕の……」
大倶利伽羅「戦いの最中だ、無駄口を叩いている場合か?」
火車切「暗闇に色んなものを見るけど……そいつ、一番かっこいいから……」
大倶利伽羅「……」
大倶利伽羅「……なら、自力でこいつを引き出してみろ」
火車切「え!?」
大倶利伽羅「話はそれからだ」
火車切「う、うん!」

其の144:謙信のおこころ

  • 刀剣:謙信景光・火車切
  • 時代:織豊の記憶 地域:越前

※回想其の51「謙信の話」を回収済

ネタバレ注意
謙信景光「ま、まって、みんな……!わ、……わわっ」
謙信景光「うあっ!」
謙信景光「……う、うぅ」
謙信景光「……い、……いたく……ない、ぞ」
火車切「すねこすり?」
謙信景光「ひっ!?……か、火車切?」
火車切「ん」
謙信景光「……だいじょうぶ、だぞ。ぼくは、がまんが……できるから」
火車切「へえ」
謙信景光「火車切も、だいじょうぶ。ぼくらは謙信公のかたな、つよいこなんだ」
火車切「……そっか」
謙信景光「おなかがすいてるとき、さみしくなるって。これたべて、みんなにおいつくぞ」
謙信景光「謙信公はたくさんのおこめをそだてて、たくさんのひとをやしなっていた。謙信公からおこめをもらったひとはうれしそうだった」
謙信景光「だから、はい、はんぶん。あ、うめぼしだ」
火車切「ん……」
謙信景光「あのね、ほんまるのおこめもおいしいんだ」
火車切「ふーん、そうなんだ……」

其の145:すていじ あくと6

  • 刀剣:篭手切江・豊前江・桑名江・松井江・五月雨江・村雲江
  • 時代:指定なし 地域:指定なし

※回想其の115「すていじ あくと5」 を回収済
稲葉江と富田江を所持、帰還後発生

ネタバレ注意
稲葉江「……何やら騒がしいが」
豊前江「お、稲さんもれっすんやってくか?」
桑名江「れっすんは、歌って踊る稽古のことだよ」
五月雨江「存外、楽しいものですよ。新しい季語とも出会えます」
松井江「血の巡りも良くなる」
村雲江「それに、みんなと歌って踊ってる時は……お腹の痛みもましになる気がするんだ」
富田江「ははっ、なかなか楽しそうだよ?」
稲葉江「……楽しい?歌い踊ることが」
豊前江「そうだな、踊ってっと気持っちいーぜ?」
松井江「血のたぎりは感じるね」
桑名江「出来るかなぁって思っていたことも、少しずつ出来るようになっていくんだ」
五月雨江「忍びの技も、俳句の出来もより冴えるようになりました」
村雲江「俺は……。うん、そう……楽しい、なのかも」
稲葉江「…………」
稲葉江「かつての主は、美しい踊りを目にし……己の秋を知ったのだ」
富田江「そうなんだね。でも、お前はここに居て、今まさに天にその手を伸ばさんとしている」
稲葉江「歌って踊る……」
富田江「おや、心が動く音がする」
篭手切江「はい、心が動き、心を動かす。歌い踊ることはこの瞬間が、ここにあることを示す。今を照らす、その一瞬」
富田江「眩しいね……」
稲葉江「我が踊るのも宿命か」
稲葉江「……では、我もやろう」
富田江「だそうだよ」
篭手切江「……!!」
篭手切江「…………っ」
村雲江「篭手くん……お腹痛いの?厠行く?」
篭手切江「……いえ、大丈夫です。……さあ、張り切ってれっすんしましょう!」

其の146:ばっくすていじ

  • 刀剣:篭手切江・富田江
  • 時代:指定なし 地域:指定なし

※回想其の145「すていじ あくと6」を回収済

ネタバレ注意
富田江「おもしろい作戦だ」
篭手切江「そうでしょうか?ただ真正面から敵を倒すだけの正攻法です。面白味には欠けるかと」
富田江「ああ、君の戦略のことだよ。皆、素直に乗せられているじゃないか」
篭手切江「……」
篭手切江「富田せんぱいには敵いませんね。お見通しですか」
富田江「富田で構わない。稲葉もせんぱいなんて見上げられるより、同等に扱われたほうが気が楽なんじゃないかな」
篭手切江「いえ、せんぱいはせんぱいです。私は若輩者ですから」
富田江「では皆、その若輩者の手の内で踊らされているわけだ」
篭手切江「踊らせているつもりは!……あ、踊っていただいてますね、はは。皆さん、とてもお優しいので」
富田江「それだけで、とも思えないけどね」
篭手切江「富田せんぱい。江とは如何なる刀だとお思いですか」
富田江「天下人豊臣秀吉に見出された天下三作の一角、郷義弘の作刀。御家の至宝、贈答として多くの大名に重んじられた。それこそ江の一振で国が買える程の価値で。私は前田家、君は細川家と稲葉家だったかな」
篭手切江「はい。その反面、私たちはこのようにも言われています」
篭手切江「江とお化けは見たことがない」
富田江「刀剣の見極めにおいて銘ほど重要なものはないけれど、江の多くは無銘。その価値は権威からの評価によってのみ成り立っている」
富田江「逆にいえば、権威に江と認められた刀だけが郷義弘の刀ということだね」
篭手切江「私たちは他者の目を通して初めて自己を得ることができる」
富田江「だからこそ、歌と踊り、かな」
篭手切江「……安直、でしょうか」
富田江「いいや。江の特性を捉え、よく活かしている」
富田江「ただそれは、劇薬かもしれない」
篭手切江「…………」
篭手切江「それでも、私は……。江を、もっと確かで強い存在に……」
富田江「夢とは光。光とは天下に同じ、と言ったそうだね」
篭手切江「出過ぎた真似をしました。お恥ずかしい限りです」
富田江「光にも、天下にも、影が付き纏うよ」
富田江「なのに君はその手を伸ばした。……だが、ここは戦場だ。その考え方は間違いではないだろう」
篭手切江「……すみません。無理に言わせてしまいましたね」
富田江「それは過小評価さ。君は星を掴んでしまったのだから」

其の147:夢のあとさき

  • 刀剣:稲葉江・富田江
  • 時代:指定なし 地域:指定なし
ネタバレ注意
稲葉江「……天下は夢、か」
富田江「そんなに良いものかな、天下は」
稲葉江「良い悪いの話ではない」
富田江「良い悪いではない……。稲葉、お前が夢と言うから」
富田江「私は夢というものをなにやら良いものと捉えていたらしい」
稲葉江「……貴様はなんのために戦っている?」
富田江「なんのためって、刀剣だからね。それと、」
富田江「応えることは、嫌いじゃないんだ」
稲葉江「……そうか」
富田江「それに、お前と居ると少しだけ楽しいってことが分かる気がする」

其の148:光と闇のさきへと

  • 刀剣:豊前江・富田江
  • 時代:指定なし 地域:指定なし

※回想其の147「夢のあとさき」を回収済

ネタバレ注意
豊前江「風が気持っちいい~」
富田江「ああ、いい風が吹いている」
豊前江「戦場での富さんの走りは流石だな。馬が堂々としてる」
富田江「光栄だよ。豊前の走りは正に疾風のごとくと言ったところだ」
豊前江「……なあ、富さん。疾さの先には何があるか、知ってっか?」
富田江「それを知ってどうするんだい?」
豊前江「みんなやりてーことやりゃいいって思ってる」
豊前江「ただ、俺はこの疾さの先に何があるから走るとか、そうゆうのはねーから。ふわふわしてるのかもしんねー。それこそお化けみたいにさ」
富田江「目指す何かを夢と言うなら、それがあるから良い悪いではないみたいだよ」
富田江「気が付いたら走り出していた。そんな君だから、行けるところがある。共に在れば、辿り着けるかもしれない景色がある。そう思わせてくれる」
豊前江「役に立てるなら嬉しいな。俺は富さんや篭手切みたいに戦略の事はよくわかんねえけど……」
豊前江「おばけには影がねえってさ。だから、どんな強い光の中でも、どんなに深い闇の中でも、足を取られずに済むかもしれねえ」
富田江「……そうか」

其の149:秋元家の話

  • 刀剣:鳴狐・大慶直胤
  • 時代:指定なし 地域:指定なし
ネタバレ注意
大慶直胤「殿様!殿様ー!」
鳴狐の狐「この声は……?」
大慶直胤「はあはあ……、追いついたー!」
鳴狐の狐「大慶直胤、鳴狐を殿様と呼んだのはあなたですか」
大慶直胤「うん、秋元様のところの鳴狐様でしょう?郷里の宝剣様だよ!?凄すぎるー!」
鳴狐の狐「郷里というと、館林藩でしょうか?」
大慶直胤「んっとね、山形!」
鳴狐の狐「山形藩でしたか」
大慶直胤「そう、刀工大慶直胤は山形城下の鍛冶町の鍛冶屋の息子で、水心子正秀は赤湯で野鍛冶をしてたから」
鳴狐の狐「秋元永朝様が藩主の頃でしょうか。水心子正秀はそのお抱えの鍛冶だったと」
大慶直胤「うん、江戸でね。大慶直胤はその水心子先生を頼って江戸に出て、弟子になった。その時お世話になっていたのが、日本橋浜町の秋元様のお屋敷。秋元様の援助があったから、水心子正秀と大慶直胤は刀の研究に勤しむことができたんだ。それってとっても感謝ー!」
鳴狐「永朝は、自分でも刀を打つぐらい刀好きだった」
大慶直胤「およ!宝剣様が話してくれた!よもや、そっちの狐が本体かーとも思っちゃったよー」
鳴狐「これは、尾曳狐」
大慶直胤「ええっ!館林城の縄張りをしたって伝説の!?ほんと!?」
鳴狐「……」
鳴狐の狐「………」
大慶直胤「…………」
鳴狐「嘘」
鳴狐の狐「ぷはー!鳴狐、そのような嘘は困ります!私があの有名なお狐様などと、恐れ多い!」
大慶直胤「嘘なのー!?もー、変な宝剣様ー!」

其の150:洞に地蔵

  • 刀剣:地蔵行平・大慶直胤
  • 時代:武家の記憶 地域:厚樫山(阿津賀志山の戦い)
ネタバレ注意
大慶直胤「むぎゅー……、踏み出した途端、洞に落ちるなんて……。でも、助かったー」
地蔵行平「そなたは、もっと周りを見ながら歩いた方がよい」
大慶直胤「周りを見ながら歩いていたから、穴に落ちたんだけど」
地蔵行平「……はあ、そなた、古今に似ているな」
大慶直胤「ええっ!それはまた、光栄なー」
地蔵行平「褒めてはいない」
大慶直胤「褒められて伸びる鋼なのにー」
地蔵行平「……刀剣も時代が下れば随分と俗世に塗れる」
大慶直胤「それを言うなら、鬼と蛇の時代の刀は偏屈だー。刀もろくに見せてくれないし」
地蔵行平「ああ言えば、こう言う。そんなに吾の刀が見たければ、後で見せてやろう」
大慶直胤「いいのー!?後鳥羽院の御番鍛治、豊後国行平の刀!やった!」
地蔵行平「だから、今はちゃんと前を向いて歩きなさい。古今といい、歌仙といい、この手のものはなぜすぐよそ見をするのか……」
大慶直胤「……」
地蔵行平「どうした?まだなにか」
大慶直胤「……ううん、地蔵菩薩の優しさがさ、なんだか沁みちゃってー……」
地蔵行平「……まったく。人の時代の刀というものは」

其の151:鋼の先に

  • 刀剣:笹貫・大慶直胤
  • 時代:維新の記憶 地域:函館
ネタバレ注意
大慶直胤「おおー、甲鉄艦!」
笹貫「そんなにはしゃぐもんかな」
大慶直胤「あれは叡智の塊ー!蒸気船で、鉄甲板で、カノン砲まで付いてるんだから」
笹貫「あれの前では、人間も刀も一溜りもない」
大慶直胤「んーと、薩摩の刀が言う?」
笹貫「はは、確かに」
笹貫「薩摩は九州の南端にあって幕府の目が届きにくいわ、密貿易で外国の技術を取り入れて倒幕の機会を伺っていたわで、あの力をいち早く引き込みはしたよ」
大慶直胤「でもまー、幕府側が外国の技術を持ってなくて薩摩に遅れを取っていたわけでもないし、それぞれに戦う力があった。それで、この戦争は北の大地に至ってるから」
大慶直胤「火砲を前にしても、薩摩の兵は勇ましく、鬼のような存在だったな」
笹貫「褒めてくれるねぇ」
笹貫「だけれど、いくら勇ましく鬼のような薩摩隼人であろうと火砲の前ではただの人間。その勇ましさを発揮することなく、機械的に排除されて死ぬ」
大慶直胤「刀工大慶直胤は、反射炉に希望を掛けたんだよね。この研究が国の為になるって」
大慶直胤「鋼は機械化の末にあんなにも強い武器になったんだ。大砲にも、軍艦にもなれた」
大慶直胤「でも、どれだけ機械化されようと鋼の行きつく形として、刀だけは人の手からしか生み出せない。……そう、揺らぎが必要なんだ」
大慶直胤「そして、俺たちは刀としてここに呼ばれた」
笹貫「機械化とは、往々にして人間性の排除を言う……」
笹貫「この時代があの鋼を選んだ。だが、その先の時代でこうしてまた刀という鋼が選ばれた」
大慶直胤「え……、……ええっ!?なにそれ、讃美ー!」
大慶直胤「じゃあさ、その違いをしっかりと目に焼き付けないと。ちょっと近くまで行ってくるー!」
笹貫「刀は武器として逆行し、人間性を受容するための鋼となる……」

其の152:新々刀の秘め事

  • 刀剣:南海太郎朝尊・大慶直胤
  • 時代:武家の記憶 地域:鎌倉(元弘の乱)

※回想其の74「新々刀の系譜」を回収済

ネタバレ注意
大慶直胤「朝尊って、自制心、強い方?」
南海太郎朝尊「おや、どうしてかな?」
大慶直胤「さっきから俺、刀工大慶直胤の血が騒いで仕方ない。この時代の戦場には、彼らが喉から手が出るほど欲しかった鋼がごろごろ転がってるんだから」
南海太郎朝尊「刀工の血が騒ぐとは、面白い例えだね」
大慶直胤「だって、見てみなよー!この刀剣は実に良き鋼を使ってる。この色、鍛え、十中八九、相州伝!こっちは備前伝!俺たちが打たれた時代ではこういった良き刀はあんまり見る機会なかった」
南海太郎朝尊「ああ、ここで失われることがもったいないほどだ」
南海太郎朝尊「だがこれは、歴史上ではすでに死を迎えている。この後に語られることはなく、人知れず朽ち果てていくだけの。在るが無い。君が今、踏みつけている石ころと変わりないものだよ」
大慶直胤「なら、どのようにしてもいいよねー?」
南海太郎朝尊「ここは特命調査の地ではないからね。慎重に行かなくては」
大慶直胤「やっぱり、朝尊はわかってるんだ。俺たちにとって大切なもの」
南海太郎朝尊「刀剣男士は刀剣そのものから離れることでしか、強くなれないのかもしれない。と答えておこうか」
大慶直胤「そっかー」
大慶直胤「……なら、細かいことはいいや。同じ師を仰ぐ友伴、仲良くやってこー!」
南海太郎朝尊「実際に弟子だった刀工、大慶直胤の血が騒がないかい?」
大慶直胤「騒がしたほうがいいなら騒がすけど。いつかの誰かが吹かした業は、既に俺たちの血肉になっている。ここにある石と、同じこーと?」
大慶直胤「水心子先生は……、ちょっとわからないけどさー。刀剣男士水心子正秀は、そんな細かい事を気にするような奴じゃないから」
南海太郎朝尊「それはそれで、心配なのだけれどね」
大慶直胤「確かにー!」

其の153:江戸紫花合 花菖蒲

  • 刀剣:水心子正秀・大慶直胤
  • 時代:指定なし 地域:指定なし
ネタバレ注意
大慶直胤「正秀はさー、いつまでその感じで行くの?」
水心子正秀「こ、こら直胤、うかつなこと言うな!誰が聞いてるかわからないだろ!?」
大慶直胤「でも、それが正秀なんだから」
水心子正秀「……私は新々刀の祖として、それらしくある必要があるんだ」
大慶直胤「誰もそこまで気にしてないと思うんだけどなー」
水心子正秀「私が気にする。私は強く、気高い刀剣男士でありたいんだ」
大慶直胤「それはよく知ってるけど……」
大慶直胤「しんどいときは言ってよね。新々刀である前に、友でありたいなって思ってるからさ」
水心子正秀「…………」

其の154:江戸紫花合 雪割草

  • 刀剣:源清麿・大慶直胤
  • 時代:指定なし 地域:指定なし

※回想其の153「江戸紫花合 花菖蒲」を回収済

ネタバレ注意
大慶直胤「清麿くんはさー、正秀はあれでいいって思ってる?」
源清麿「何を突然言い出すかと思えば。僕は水心子を応援している」
大慶直胤「あー、そーいうのでその気になっちゃうからさー」
源清麿「理想に向かって努力しているのを邪魔したいのかい?」
大慶直胤「そういった正秀の資質は好ましくはあるけど、潰れたら元も子もないって話だよー」
源清麿「まずは水心子の意志を優先したい。……簡単に口を出せることじゃないよ」
大慶直胤「正秀の友としての話、してるんだけどー!?」
源清麿「僕も水心子の親友として言っているつもりだ」
大慶直胤「むぎゅー!清麿くんわからんちんだー!」
源清麿「こうなるから困るんだ……」

其の155:江戸紫花合 朝顔

  • 刀剣:源清麿・大慶直胤
  • 時代:江戸の記憶 地域:江戸

※回想其の154「江戸紫花合 雪割草」を回収済

ネタバレ注意
大慶直胤「せっかく江戸に来たんだし、ちょっと寄り道してこ!」
源清麿「あっ!ああ……。行っちゃった」
源清麿「寄り道するって言っても……」
源清麿「……?」
源清麿「……これは、刀を打つ槌の音」
源清麿「ここに居たのか……」
大慶直胤「やっぱりこの時代の鋼は弱いよね」
大慶直胤「でも、この時の江戸は活気があっていいよー」
源清麿「大慶は江戸の町が好きなんだね」
大慶直胤「うん?江戸三作なんて大層な括りで呼ばれるからかなー」
大慶直胤「刀工大慶直胤はいろいろなところに行って、刀を打って、気ままな放浪旅をしていたけど、一番地に足が着いている感触があるのが江戸なのかも」
源清麿「そうか」
大慶直胤「清麿くんは?山浦環の故郷は信濃でしょ」
源清麿「考えたことなかった。四谷正宗とも呼ばれるし、江戸……、なのかもね」
源清麿「でも、驚いたよ。君から山浦環……、刀工源清麿のかつての名前が出てくるなんて」
大慶直胤「それこそ、江戸三作だしー?」
大慶直胤「それに、俺たちが打たれたのは海の外から来る脅威と戦わんと皆が躍起になって斬れる刀を求めていた時代だよ。折れず、曲がらず、よく斬れる。その上で刃が欠けず、こぼれず、手に合うもの。四方詰めの源清麿は時代に求められた刀だった」
源清麿「どうかな」
大慶直胤「源清麿の刀の実と熱、あれが才だよ。時代を魅了する」
大慶直胤「大慶直胤も水心子正秀も随分貧乏をして刀工になったし、源清麿のように若くして注目もされなかったしねー」
源清麿「よほど君の方が知っているね」
大慶直胤「それって、刀工のこと?刀のこと?それとも……」
源清麿「僕は君に嫉妬している」
源清麿「……君たちはとてもよく似ているよ」
大慶直胤「そっか。……うん、この間はごめんね」
源清麿「……え?」
大慶直胤「所詮、与えられたものかもしれないけど、俺たちの行動次第で少しは融通が利くみたい……だよね?」
大慶直胤「集めて、丹念に織り込めば、強くて斬れる鋼になる」
大慶直胤「そうでしょ、清麿」
源清麿「……」
源清麿「だから、君が来るのが嫌だったんだけど」
大慶直胤「むぎゅぎゅぎゅー」
源清麿「ははっ、嘘。嘘だよ、大慶」

其の156:モテモテが世を救う?

  • 刀剣:包丁藤四郎・丙子椒林剣
  • 時代:指定なし 地域:指定なし
ネタバレ注意
包丁藤四郎「ねえねえ、聖徳太子ってさー、やっぱモテモテだった?」
丙子椒林剣「ええ、もてもてでしたよ」
包丁藤四郎「即答っ!え、え、それって人妻にも?」
丙子椒林剣「もちろん。老若男女問わず、人間以外の生き物たちにも大層好かれておられました」
丙子椒林剣「太子は救世観音の化身。この世のあらゆる苦しみから救ってくださる観世音菩薩ですから」
包丁藤四郎「へえー。ねえねえ、どうやって?どうやって人妻に好かれたの?」
丙子椒林剣「どう……とは?」
包丁藤四郎「なんかコツとか極意みたいなの」
包丁藤四郎「誰も教えてくれないんだよなー。だから、教えてほしいなー」
丙子椒林剣「極意……、そこにおられるだけで常に好かれていましたね」
包丁藤四郎「え!そこにいるだけ!?ホントに!?」
丙子椒林剣「ええ」
包丁藤四郎「モテモテ大権現だー!すーごーすーぎーるー……!」

其の157:太子の話

  • 刀剣:七星剣・丙子椒林剣
  • 時代:江戸の記憶 地域:大阪(大阪冬の陣)
ネタバレ注意
丙子椒林剣「荒陵で、また人が死にますよ」
七星剣「全ては死へ還りゆく。今も、昔も、これからも」
丙子椒林剣「七星剣、卿の耳には届かないのか。人々の望みが」
七星剣「届いたとして、おれに何が出来るのか」
丙子椒林剣「人の望みを聞きそれを叶える救世観音は、この世を導く天子たる聖徳太子の……」
七星剣「そうあろうとされていた。だが、あの方は人だ。遥か西方から知識を得て、この国を秩序ある国にしようと苦心した人」
七星剣「政治闘争を戦い、改革を成し遂げ、病で死んだ、ただの人だ」
丙子椒林剣「……。卿と私は共に救世観音の下にあった。この場所で、それも、とても長い時間」
丙子椒林剣「そして、今、またこうして出会った。けれど、今の卿と私は、あまりに違い過ぎる」
七星剣「星の巡りは変えられぬ」
丙子椒林剣「……私は、人々に心を寄せられ、救世観音となられた太子しか知らない」
丙子椒林剣「厩戸皇子と繋がる名と物語は、人の手によって付け加えられ、人の手によって剥がされた」
丙子椒林剣「だというのに、卿は、この場所で、私の目の前で、太子を否定する。よりにもよって、太子に似通うその姿で……」
七星剣「……」
丙子椒林剣「……これはただの八つ当たりだ。救世の手となり、菩薩心を持てという私こそが、この有様を受け入れられずにいる」
七星剣「……またここから知ることはできる。おれも、おまえも」
七星剣「宇宙と身の内は相対する。宇宙が変われば、見え方も在り様も変わる」
丙子椒林剣「ははっ!……これ以上何に変われと」
七星剣「身の内とする星は己で選べる」

其の158:正宗の役目

  • 刀剣:石田正宗・九鬼正宗
  • 時代:指定なし 地域:指定なし
ネタバレ注意
九鬼正宗「石田の兄ぃ!九鬼正宗、只今合流じゃー!」
石田正宗「来てくれたか、九鬼」
九鬼正宗「もちのろんじゃ!ちいとばかし足止めを食らってしもうたみたいじゃが」
石田正宗「……」
九鬼正宗「おおっと、兄ぃの眉間に渓谷ができとる!もみもみするけぇかがんで」
石田正宗「……かがみついでに。お前の見たものを、私にも分けてくれないか」
九鬼正宗「見たもの?……ああ、はっきりとは覚えとらんのじゃけど。それに、うちのなかにどれくらい残っているのかもわからんしのう」
石田正宗「それで構わない。正宗は公に使われることは少ないが、人から人へ、贈られ託される刀。だから、その瞳に多くを映し、多くを乗せて行く」
石田正宗「お前の瞳が映したものが、虚構の渦の中であればなおのこと」
石田正宗「ほら、よく見せておくれ……」
九鬼正宗「いつかの船出のためにも、かのう」
石田正宗「正宗は、人の為に……」

其の159:夢を運ぶ船

  • 刀剣:陸奥守吉行・九鬼正宗
  • 時代:指定なし 地域:指定なし
ネタバレ注意
陸奥守吉行「おんしゃあ、船に詳しいと聞いたが」
九鬼正宗「おおっと、何やら親近感のある」
陸奥守吉行「わしは陸奥守吉行。土佐にゆかりがあってのう」
九鬼正宗「土佐かぁ!うちはあちこち行って言葉はすっかりちゃんぽんじゃが、伊予には長くあった」
九鬼正宗「それで、船の話をしに来たようじゃが」
陸奥守吉行「ああ、元の主が船で貿易することを夢見よったがじゃ。でっかい鉄の船で世界を巡る言いよったがよ」
九鬼正宗「でっかい鉄の船か!それなら、元の主の中に鉄の船を作ったもんがおった。鉄甲船言うて、織田信長の命令でな」
陸奥守吉行「おお、その伝説は知っちゅう!伊勢の九鬼水軍じゃ」
九鬼正宗「九鬼の名は伝説になっとるかぁ」
陸奥守吉行「あれは海を征するもんが、戦を制するとも言われよった時代。」
九鬼正宗「わかっとるのう!空を飛ぶ乗り物が出ようと、船に勝る輸送手段なし。陸の営みを支えるんは、海よ」
陸奥守吉行「繋いで、大きく運ぶ交易が世界を作る。時代が移り変わっても、そればっかりは変わらん」
九鬼正宗「……にゃは!あんた、変わった刀じゃ。陸の刀がどこまで見据えとる?」
陸奥守吉行「がはははは!おんしゃあとは、面白い話が出来そうじゃ」

其の160:三本の矢の刀たち

  • 刀剣:毛利藤四郎・九鬼正宗
  • 時代:指定なし 地域:指定なし
ネタバレ注意
毛利藤四郎「……」
九鬼正宗「……?」
毛利藤四郎「百万……」
九鬼正宗「一心」
毛利藤四郎「はああ……、両川にあった刀の小さいほうって聞いていたので楽しみにしていたのに……」
九鬼正宗「なんじゃ、うちじゃ不満か?指、絞めるでぇ」
毛利藤四郎「九鬼正宗、そういうところです!」
九鬼正宗「ほいじゃ、あっちの狐さんのほうが良かったかぁ?」
毛利藤四郎「あれは大きいですからねえ……。いえ、そういうことではなくて!」
九鬼正宗「ほいじゃ、どういうことじゃろ?」
毛利藤四郎「おほん、いいですか?知行合一、そして到良知です。ここが我が政道と思うからこそ、主さまの側でこの本丸を守り、小さい子を守る。くれぐれも西国の田舎侍の刀などと侮られてはならぬと」
九鬼正宗「……ずいぶん頭隠して尻隠さずなようじゃが」
毛利藤四郎「それはしょうがないでしょう。可愛いには抗えません」
九鬼正宗「また都合のええ到良知じゃのぉ」
毛利藤四郎「……うぐ」
九鬼正宗「でも、舐られたらいけんっていうのは同意じゃ。こういうときこその百万一心、三本の矢」
毛利藤四郎「九鬼、理解が早くて……!少々可愛げがない以外は百点満点ですね。百万一心で、小さい子を大切にしていきましょう!」
九鬼正宗「あー?やっぱ、指絞めとかんやらぁ?」

其の161:友だち、あらためて

  • 刀剣:火車切・九鬼正宗
  • 時代:指定なし 地域:指定なし
ネタバレ注意
九鬼正宗「うち、どうしても言わんといけん気がするんよ」
火車切「……いい、俺に言われても」
九鬼正宗「目、見せてくれるかい?」
火車切「やめときなよ」
九鬼正宗「しゃーなーよ」
火車切「……」
火車切「……あの時も、そう言ったんじゃないの?」
九鬼正宗「にゃは、疑われとる」
火車切「ふざけるなら、いい……」
九鬼正宗「ふざけとらんよ、な?」
火車切「……」
火車切「……っ!」
九鬼正宗「んーーー!やっぱり猫ちゃんじゃー」
九鬼正宗「ありがとうくらい言わしてくれても、ええと思うが。……律儀じゃのぉ」

其の162:翼をもとめて

  • 刀剣:秋田藤四郎・雲生
  • 時代:指定なし 地域:指定なし
ネタバレ注意
秋田藤四郎「雲生さんはいつも空を見上げているんですね」
雲生「ええ。いつか空を飛びたいと思っています」
秋田藤四郎「え、空って飛べるんですか?」
雲生「もちろんこの身だけでは飛べませんが、『飛行機』という技術を使えば、飛べるようになります」
秋田藤四郎「ひこうき……?」
雲生「私たちと同じ、鉄で作られた機械です。鳥のように翼を広げ、自由自在に飛び回ることができるのです」
秋田藤四郎「自由、自在に?」
雲生「それはもう思うがままに。ああ、でも、空には空の決まり事があります」
秋田藤四郎「それは、誰でもはできないことですか?」
雲生「飛行機を操縦するためには、訓練が必要ですね。それと、私も学びの最中ではありますが、異国の言葉を多少覚える必要があります」
秋田藤四郎「そうなんですね……」
雲生「ええ。それでも私は同じ志を持つ皆の力を合わせれば、いつかきっと、この空を越えられると思っています」
秋田藤四郎「!あ、あの、僕も一緒に……いいですか?」
雲生「もちろん。同志が増えることは、心強い限りです」
秋田藤四郎「わ……、へへ、空かあ……」

其の163:一家一線

  • 刀剣:姫鶴一文字・道誉一文字
  • 時代:指定なし 地域:指定なし
ネタバレ注意
道誉一文字「お姫!会いたかった。……ダァだよ」
姫鶴一文字「は?誰?爆笑」
道誉一文字「おお、お姫が雛だった頃、そう呼んでくれたじゃないか」
姫鶴一文字「記憶ねーっし。ちーっす、叔父貴ぃ」
道誉一文字「……」
道誉一文字「ノォー!いただけない。せめて、叔・父・さ・まと呼んでくれ。プレゼントも用意してある。お姫が気に入りそうな香も」
姫鶴一文字「道誉くんさ、相変わらず茹で上がってんね。そーいうのが、ほんっと無理」
道誉一文字「ノォ~……」
姫鶴一文字「で?」
道誉一文字「ノォ~……、ン?」
姫鶴一文字「何しに?おれに会いに、とか余計なのはいいから」
道誉一文字「……ンフン?」
姫鶴一文字「絞めとこか」
道誉一文字「ああ、ウェイ!ウェイ!」
道誉一文字「ンフー、……言うなれば、バランスを取りに」
姫鶴一文字「続けて?」
道誉一文字「信じるということは、弱点にもなり得る」
姫鶴一文字「一文字に居て言う?」
道誉一文字「一文字だからさ」
道誉一文字「我々は線の外に居る。だからこそ、何事も、バランスが大事だと知っている。ビジネスにおいても、この世界においても」
姫鶴一文字「ふーん。まあいいけど……」
姫鶴一文字「おれ、けっこうここ、気に入ってっから」
道誉一文字「……ハ?」
姫鶴一文字「おれの目が黒いうちは、余計なことさせねーから」
道誉一文字「ハ……、ハッハァ!流石、それでこそお姫だ!」
姫鶴一文字「今夜、いい夢見れるといーね」
道誉一文字「……オ、オーマイガッ!」

其の164:対極の好敵手

  • 刀剣:小竜景光・道誉一文字
  • 時代:指定なし 地域:指定なし
ネタバレ注意
道誉一文字「ハッハァ!刀剣男士として顕現すれば、宿命のライバルと相まみえることもあると聞いていたが、本当だったようだ」
小竜景光「佐々木道誉の刀か。楠木公の刀である俺とは、ここで巡り会う宿命だったって?」
道誉一文字「ああ。裏切り、裏切られ、禍根が渦巻いていたあの時代に、純粋に敵であり続けた」
小竜景光「生憎、俺は運命論者じゃないし、一人の主にこだわりは抱いていない。昔話がしたいなら、他を当たりなよ」
道誉一文字「ダウトだ」
小竜景光「ダウト?」
道誉一文字「君は佐々木道誉のような男が嫌いだろう?あのような裏切りを繰り返す男を主としなくて良かったとすら思っている」
道誉一文字「対して、楠木正成は忠義を貫き、清廉潔白な誠の武士の象徴」
道誉一文字「対照的だが、過去の全てはイマジネーションだ」
小竜景光「……妙な横文字は止めてくれないか。頭が痛くなりそうだ」
道誉一文字「おや、それはすまなかった。頭が回りすぎるのも考えものだね」
小竜景光「もういいかい?」
道誉一文字「小竜景光、知己こそ宝。君は俺を無視しなかった。それが答えの全てだ」
小竜景光「……ははっ」
小竜景光「昔話は、好きじゃないんだ」

其の165:目に見えぬ束縛

  • 刀剣:亀甲貞宗・道誉一文字
  • 時代:指定なし 地域:指定なし
ネタバレ注意
道誉一文字「ハッハァ!亀甲貞宗か」
亀甲貞宗「君は……、一文字の?」
道誉一文字「失礼。俺は道誉一文字。金二百枚分の相方との縁は、君がくれたものだ。と言えばわかるかな」
亀甲貞宗「ぼくが贈った縁……。フフフ、縛られる相手がいるということは幸せなことだよ」
道誉一文字「フンー、こちらは二振りで金二百枚、君は一振りで金二百枚。貞宗さんは余裕っぷりが違う」
道誉一文字「ただし、アーヤがいたら今頃君は海に沈んでいる」
亀甲貞宗「金二百枚か……。君はそういうことを気にする性質なのかい?」
道誉一文字「当然。ブランドにとってバリューは大事さ」
亀甲貞宗「ぼくに付いた折紙は武器としての価値ではなく、ただの演出だよ」
亀甲貞宗「人の儀礼というものは実に理解不能だけれど、人を縛るものとして目に見えないところに存在してる。折紙は便宜上統一された価値感にすぎない」
道誉一文字「刀は権力者にとって実に都合のいい演出道具。長い年月をかけて武器からシンボルだけを取り出したとも言えるからな」
亀甲貞宗「そうだね、ぼくら貞宗は天下三作の一つ正宗の系譜で、正宗に類する評価を受けることもあって、支配と被支配の関係を誇示する品としての適性が高い……」
亀甲貞宗「見栄っ張りな演出家の、ちょうどいい立役さ。明かりが真正面から当たるね」
道誉一文字「ハッハァ!実にドライだ」
亀甲貞宗「ぼくは、ぼく自身の世間的な価値というものには興味がないし、無銘のぼくを縛り付けてくれるものは他にある」
亀甲貞宗「貞宗は、一振り一振りが思う貞宗であればいいんだよ」
道誉一文字「今の主にはだいぶご執心のようだが」
亀甲貞宗「ああ。ぼくは、ぼくが愛するものに縛られることで強くなる」
亀甲貞宗「けれどそれは、ぼくだけではないはずだ。悔しいけれど。それは君も感じ取っているんじゃないかな?」
道誉一文字「さて、どうかねえ……」

其の166:婆娑羅の深層

  • 刀剣:京極正宗・道誉一文字
  • 時代:指定なし 地域:指定なし
ネタバレ注意
京極正宗「道誉の叔父さま!」
道誉一文字「ハッハァ!これはこれは、真紅の薔薇よ!」
京極正宗「ここでお目に掛かれるとは思っていませんでした。とても嬉しい」
道誉一文字「それはこちらの台詞さ」
京極正宗「ふふ。ここでの暮らしは楽しくて、時があっという間。叔父さまも、そうでしょう?」
道誉一文字「その笑顔を見られるのであれば更に、と言ったところかな」
京極正宗「……」
京極正宗「……そう、事情がおありのよう」
道誉一文字「どうしてだい?」
京極正宗「だって、京極ではなく、あちらの……、お仕事の顔をしていらっしゃるもの」
道誉一文字「薔薇はなにもかも、お見通しのようだ」
道誉一文字「しかし、往生際の悪い泥臭いド根性こそ、我ら京極の根。それは忘れてはいない。望郷は心の内に留めるのみでいいのさ」
京極正宗「そう。では、たまにお庭でお茶をしましょう。それくらいはいいでしょう?」
道誉一文字「ふふ、絡めとられないようにしなくてはだ」
京極正宗「あら、ふふふ」

其の167:雲居なす予報図

  • 刀剣:雲生・雲次
  • 時代:指定なし 地域:指定なし
ネタバレ注意
雲生「……」
雲次「まーたしかめっ面してる。そんな顔してると他の刀に怖がられちゃうよ」
雲生「……正確な管制のためだと理解してくれれば、怖がられなどしません」
雲次「どうかなあ。そもそも、正確かどうかわかってもらうまでが大変じゃない?」
雲生「その点は心配無用です。実力を見れば通じ合えるのが刀剣男士だと私は考えています」
雲次「それは一理あるね。……でも、戦場で想定外が起きた途端に顔を青くしてるようじゃねえ」
雲生「……!……誰からそれを?」
雲次「お。図星だ」
雲生「雲次……」
雲次「ごめんごめん。大丈夫だよ、これは僕の予測だからさ。でも僕が予報したってことは……わかるよね?」
雲生「近いうちにそこから崩れる、と」
雲次「まあ、これまでのデータを見た感じ、そういうことになるかな」
雲生「それなら、その前提を崩せばいいだけです。この先はあなたのフライトプランを頼りにできるんでしょうから」
雲次「わかってるじゃないか。僕がいれば、君の管制に穴はなくなるさ」

其の168:蛍火と陽炎

  • 刀剣:蛍丸・面影
  • 時代:指定なし 地域:指定なし
ネタバレ注意
蛍丸「おーい、国行ー?国行ってば」
面影「……ん?」
蛍丸「国行、追いついたー!」
蛍丸「あれ?国行違いだ」
面影「明石くんですか?」
蛍火「そ。すぐサボるから、俺、お目付け役。見かけたら教えて、面影」
面影「そうですか。では、手分けして探しましょうか」
蛍火「ねえねえ、その陽炎にじゃーんって映って、見つけられたりしない?」
面影「残念、そんな便利になんでもかんでも映るものじゃないのです」
蛍丸「ふーん、そーなんだ」
面影「貴方の蛍のほうがはるかに有能ですよ」
蛍丸「へへへ、まあねえ」

其の169:陽炎にゆらめく

  • 刀剣:明石国行・面影
  • 時代:指定なし 地域:指定なし

※回想其の168「蛍火と陽炎」を回収済

ネタバレ注意
面影「こんな簡単に見つかるんじゃ、本気で隠れるつもりはないんでしょうけど」
明石国行「なんや、面影はんか」
面影「任務はともかく、蛍丸をほったらかしでおサボりとは」
明石国行「蛍丸の名前出すんは反則ですやろ」
面影「反則もなにも、実際そうですし」
明石国行「はいはい、おおきに、おおきに」
面影「……ふーん」
明石国行「……なん?」
面影「知られたくないなら、もうちょっと繕ったほうがいいんじゃないですか?」
明石国行「おっそろしい。あんたさん、何が見えてはるん?」
面影「今のところ秘密のほうが都合がいいと思いますけど。お互いに」
明石国行「……」
面影「私、口は堅いほうなので。ご心配なく」
面影「遠く越えてやって来たという物語もある来国行の刀にはうってつけ、かもしれませんね、とだけ」
明石国行「……、……ほな、お先」

其の170:蛍火に明からむ

  • 刀剣:明石国行・蛍丸
  • 時代:指定なし 地域:指定なし

※回想其の169「陽炎にゆらめく」を回収済

ネタバレ注意
蛍丸「あ、国行!」
明石国行「あちゃー、見つかってしもうた」
蛍丸「もー、俺の保護者なんだからさ」
明石国行「すいまっせん」
蛍丸「探し疲れちゃったな」
明石国行「すまん、すまんて」
蛍丸「どこでサボっててもいいけど、俺か国俊からちゃんと見える所に居てくれないと、困る」
明石国行「ほた……」
蛍丸「あと、面影にも謝って」
明石国行「あぁ、あれにはもう……」
蛍丸「え、何したの?ちゃんと仲良くしてよね」
明石国行「なんもしてへんて」
明石国行「……むしろ、釘を刺されましたわ」

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コメント (【刀剣乱舞】回想の発生条件と刀剣男士の組み合わせ一覧【とうらぶ】)
  • 総コメント数183
  • 最終投稿日時 2018年08月01日 16:41
    • とある本丸の審神者
    183
    6年まえ ID:ft9iipxx

    岩融と今剣の回想が泣ける…

    • とある本丸の審神者
    182
    7年まえ ID:ffzh56yl

    其の47:命を果たすのは俺だ

    刀剣:へし切長谷部、巴形

    時代:なし

    会話

    長谷部:巴形といったな。貴様、何を企んでいる!

    巴形:企み?何のことだ

    長谷部:貴様、顕現してから、主の側にべったりではないか!

    巴形:なるほど。素性の分からぬ刀剣が主のすぐ側にいるのは気に食わぬか

    長谷部:あぁ。俺はお前のことを信用しきれてないのでな。

    巴形:長谷部。逸話を持たぬ俺は、今代の主しかいないのだ。だがお前はそうではないのだろう

    長谷部:……だから?

    巴形:譲れ

    長谷部:断る!……コホン、それに、それは俺ではなく主が決めることだ

    • 陽雨
    181
    8年まえ ID:eqjhmsmn

    なんで、千子さんは脱ぎたがるの?

    • とある本丸の審神者
    180
    8年まえ ID:pc3zkg9s

    其の46:困った癖

    刀剣:蜻蛉切、千子村正

    時代:なし

    会話

    村正:huhuhu。久しぶりデスね、蜻蛉切

    蜻蛉切:この間あった気もするが

    村正:せっかく会ったのです。脱ぎマスか

    蜻蛉切:脱ぐな。だからお前は誤解されるのだ

    村正:構いません。言わせておけばいいのデス

    • 無銘の刀さん
    179
    8年まえ ID:i4s72oum

    其の44:じっちゃんと一緒

    刀剣:師子王、小烏丸

    時代:指定なし 地域:指定なし

    • 無銘の刀さん
    178
    8年まえ ID:gau9a6jc

    >>177

    獅子王「俺、じっちゃん大好きなんだよなー」

    子烏丸「ほうほう。その心とは」

    獅子王「じっちゃんはすべすべで、ふわふわで、ほこほこなんだ。色んな事知ってるし」

    子烏丸「年の功と言うやつよな。ならば父こそじっちゃんとして崇めるに値するぞ」

    獅子王「いや、好きなの人間だし。お前骨董品だし」

    子烏丸「いかんいかん。年長者への敬意が足らんぞ。反抗期か」

    獅子王「へ?なんでだよ、こんな子供みたいなじっちゃんが居るかよ!」

    子烏丸「内実より見た目を取るか。ああそうよな。内実を取ればお前自身がじっちゃんになってしまう」

    獅子王「やめろーっ!」

    • 無銘の刀さん
    177
    8年まえ ID:gau9a6jc

    回想其の44 じっちゃんと一緒獅子王と子烏丸でかくにんしました。

    スクリーンショットはちょっとやり方わかんないです。

    下に会話の中身だけ書きます。

    • 無銘の刀さん
    176
    8年まえ ID:epgbzlf5

    回想はno.で表示しており、その後に書いてある刀剣男士の名前はその回想に必要なものの名前です

    no.38 刀剣男士 燭台切光忠・小夜左文字 no .39 刀剣男士燭台切光忠・小夜左文字・太鼓鐘貞宗 no .40 燭台切光忠・小夜左文字 no.41燭台切光忠・小夜左文字・鶴丸国永 no.42 大俱利伽羅・歌仙兼定  no.43歌仙兼定・小夜左文字

    • 無銘の刀さん
    175
    9年まえ ID:tby6dnhp

    >>168

    6

    • 無銘の刀さん
    174
    9年まえ ID:tby6dnhp

    >>168

    5

新着スレッド(刀剣乱舞攻略まとめWiki【とうらぶ】)
ゲーム情報
タイトル 刀剣乱舞ONLINE
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  • シミュレーション
    乙女・恋愛系ゲーム
ゲーム概要 刀剣育成シミュレーションゲーム「刀剣乱舞ONLINE」。個性豊かな刀剣男士を集めて育てて、あなただけの最強の部隊を結成しよう!

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