【非人類学園】老君（ロウクン）のデータ

　　三界融合と発展に力を注ぐリーダー的な存在、時代とともに進んで業務を広める老君宮の管理人、教育事業に全力を注ぐ新界第三中学校校長、個人のコレクションを大量に寄付する慈善家、名利に淡白なパンダマニア…

　　天下に関心しながら、策略が嫌いである。老君は従来みんなの手本として仰ぐ存在。数多い功績の中で一番称賛されているのは三界の各種族を全部三中に入学させることである。「教えありて類なし•対象に応じて異なる教育を施す」という方針の下、三中は多くの優秀な人材を育て、三界の発展のために新しい息を吹き込んだ。

　　でも、本当の老君はみんなの想像とちょっと違います。「学校を運営するのは慈善事業だね…来学期の校舎の増築には大金が必要だね。このままじゃまた宝庫の中のものを出して質屋に売ることになるんだ。」老君は帳簿で三中よ四半期支出明細をめくりながら、「うん、美顔丹シリーズの包装をアップグレードすれば、販売価格をあげられるよな。」

　　それぞれの役目を果たし、自分の意見を述べる。これは老君理想の世界の動く状態だ。

　　「みんな頑張らなければならない」行動力が強い老君は自ら実行するだけではなく、周りの人々を励まして自分の価値を実現させようとしている。

　　真っ先に影響を受けたのは老君の弟子達だ。金角、銀角と肆季は、老君宮に入ってから、その年相応の楽しみである冬休みと夏休みを失った。心を込めて育てた優秀なコンロ焼き労働者三人は老君宮の練り薬、菓子、新型花火など事業の発展に、大きく寄与した。「充実した休み•生活を手に入れた上に履歴に残せる実習経験もできて、さらに美意識を向上させ人格を磨くこともできた。コスパ最強じゃないか。」浮かぬ顔の弟子を、老君は優しく労った。

　　働かせたのは弟子三人だけではなく、同じく仙族の文曲星も努力して世界に貢献する運命(無理やり)から逃れることができなかった…。三中の宿題システム「白昼夢」を立ち上げ、老君が長年集めてきた山ほどの書籍をすべて電子版に切り替えた。

　　「蔵書を全部共有してくれることに免じてだからね。でなきゃ私みたいなオタクは横のものを縦にもしないよ！」文曲星はカリカリとポテチを食べる、「ふんっ、一銭も払ってくれないんだもんね、老君のケチ！」

　　「ケチ！ハムスター！」文曲星は不満げに老君に文句を言う。何日間もこき使われてきた文曲星は流石に突っ込んでも良いと思った。

　　「曲ちゃん、僕のことをケチって言うのは侮辱にあたるのでは？私の蔵書を共有してあげる代わりに、君に少し働いてもらう。それは君もすでに承知の上のはず。言うなら、こっちこそ損したなぁ。まったく、これほどの貴重な古書だぞ、お金で計れるもんか。」老君はパンダを撫でながら、淡々と前のデカい労働力(労働スペックが高い意味で、決して文曲星がデブになった意味ではない)に訴えた。

「あのハムスターが言ったのは本当でしょう。君の収集癖ったら怖いもん！仙丹•宝具•漫画•模型•石…コレクションは自分さえ数え切れないほど多くなったでしょ。おまけに、山海経の異獣を全部巡る「奇珍異獣見物計画」とやらを打ち出しちゃってさ！」

「コレクションはただの趣味さ。」老君は軽く頭を振り、「仕事以外にも楽しみを作りたいんだよ。」 「ふん、まあいいや…」文曲星の怒りに立った髪の毛がぺったんこになった。

　　　　　　　　　……………

　　強者には民をより良い世界に導く責任がある。

　　　　ーーこれは彼が物心がついてから自分の中に仕込まれた責任感である。

　　世界の広さ、無常さへの感知を、極めるべし。

　　　ーーこれは彼の生まれつきの知的欲求である。

三中の運営と援助の各種研究プロジェクトを維持するために、老君はいつも資金繰りに勤しむ、よく頑張ってる。

　　　「それと引き換え、あの嫌な金持ちの二代目のやつは、学校を作るかと思いきや金儲けのための貴族学校なんて立ち上げやがって。」老君はまだ開発段階の新しい味の菓子を噛みながら、我慢しきれず文句をこぼした。「あ、塩辛い。」

　　　ちょうどその時電話が鳴った。噂をすれば、あの金持ちからだ。老君に見かけ倒しと言われる声が聞こえた。「もしもし、老君さん？」老君さん？まだ寝ているのか？せっかくお日様にこにこいいお天気で、雲がベールのように薄く、こんなに爽やかな朝に……

　　　　いつも穏やかな老君もさすがにうんざりした。「カチカチ(噛む声)……なんか用事あるのか？ないならじゃまた。」

「三中はやけに金がかかると聞いたのだが。」いきなり話題が変わった。「ああ、だが君とは関係ないだろ？君は天高のことだけ心配すりゃいい。」

「ご関心あずかる、天高は無事だ。お兄さんの会社はさ、従業員へのボーナスで、老君宮の夏対策セットはどうかって話が来てるんだ。それで……」金持ちの二代目はわざと間をためる。

　　　　「最近原材料の値段が上がったからコストも5%増だ。古い馴染みだから特別に1セットあたり6888で、これ以上は負けられない。」老君のうんざり顔が和らいだ。

　　　　「それじゃ、2万セットね、[玉]本部まで送ってくれるかな。小さい商売で、ごめんな。」

「おぉ！これほど量が多けりゃ、少しは負けてやるよ。」老君は「小さな商売」との言葉が心に刺さった。

　　　　「いやいや負けてくれるなんてさ？老君さんみずくさいくないかい？」

「100000円のお買い上げで5円還元。」

「………」

コメントに困る相手の顔を想像するだけで、老君の気持ちはすっきりした。