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【黒ウィズ】アレス・ザ・ヴァンガード3 Story2

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作成者: にゃん
最終更新者: にゃん



目次


Story1 INTRODUCTION

Story2 FALL HEROES

Story3 SUPPORTER

Story4 ESCAPE




story1 INTRODUCTION



n10市民のみんな、元気にしてる?ぼくも身体は元気☆身体だけはね☆

Vども~。客席で飲んでいたら、急に連れてこられた、暇そうだからってただのおっさんです。

n10さて、1stステージが終わって、ザコがふるい落とされたね。なんのために参加してたんだろう☆

Vナンバーズの不参加者、なんか多いね。ヘラⅢ、デメテルV、アルテミスⅧは、開催中の治安維持に回るんだっけ?

n10ポセイドンⅡじいちゃんも不参加だし、ハデスⅣは欠番で、行方不明のアテナⅦと、指名手配中のⅪも当然に不参加。

ちなみにこのぼく、ヘルメスXも不参加だよ☆だって、カーニバルのMCをするという、大事な使命があるもんね☆

Vほとんど不参加じゃん。これじゃ、今回のカーニバル、盛り上がらないんじゃないの?

n10期待通りの浅はかなコメント、ありがとう☆さて、それじゃお待ちかね。注目の選手を紹介していくよ☆


アポロンⅥ

n10光明の貴公子、アポロンⅥ!今年は本厄ってホントですかぁ?

Vま~、妥当な結果だよね。戦闘力、知識量、判断力、ついでに人気。総合力では飛び抜けてるもん。

n10え、なんか思ったよりまともにコメントしてる。ぼくより目立たないで欲しい……。死ねばいいのに……。

Vじゃ、なんで連れてきたのよ?

n10まあ、おじさんの言う通り、あらゆる種目に対応できるアポロンⅥは優勝候補筆頭。面白くないから次いくね☆

Vいま絶対、みんなブーイングしてるからね?

n10お次もやっぱりナンバーズ!口調はあーし、中身はジャッジ!曲がった正義はあーしが正す!

アフロディテⅨ

審判の美闘姫、アフロディテⅨもっとぼくに優しくして欲しい!

「前衛、指揮、サポートまでなんでもござれ。全体的な能力は高いものの、万能過ぎて決め手に欠けるという評判もあります」

Vカンペ、もうちょっと隠した方がいいんじゃないかなあ。

アフロディテⅨもねえ。あれでもう少し、おっさんにもわかる言葉遣いだったらいいんだけど。

n10おじさんは会話する価値がない生物なので、そこは別にいいかなってぼくは思います。

Vさっきとのあわせ技で、この放送見てる人のほとんどを敵に回した気がするけど、大丈夫?

n10さて、続くのもやっぱりナンバーズ。傍若無人、傲岸不遜。それがなに?英雄庁のトラブルメーカー、ここに推参!

ゼウスⅠ

太万物を抱く天空神、ゼウスⅠ!この男の辞書に、恥じらいという文字はない☆

VホントにゼウスⅠが参加するとはねえ。規則無視の常習犯でしょ?大丈夫?最後までちゃんといる?

n10ぼくに訊かれても困るよね。Ⅰに言うこと聞かせられる人とか、見たことないし。

ちなみにゼウスⅠ。1stステージでは最後でクイズに答えず攻撃したため、大幅減点でギリギリ通過でした☆

Vダメそうだこりゃ。

しっかし、やっぱり優勝候補はゴッド・ナンバーズばっかりになっちゃうね。

n10そう言われると思って、有能なぼくは面白い選手に注目したんだよね。これはなかなかビックリすると思うよ。

経歴素性ー切不明!流星の如くあらわれし謎のヒーロー!その素顔に隠された秘密とは!?

マスクド・アテナ

疑惑の戦女神、マスクド・アテナ敵かな?味方かな?

V……ねえ、これツッコんだら負けのやつ?

n101stステージの成績はなんと2位!いやあ、こんなヒーローが隠れていたなんて、オリュンポリスもまだまだ広いね。

Vいやいや、だからどこからどう見てもアテナ――

n10謎のヒーローなので詳細なデータはなし☆活躍に要注目ということで、次いくよ☆

あ、その前に、いったんCM入りま~す。


 ***


wヒーローってカッコイイなあ。なりたいなあ。でも、神話還りじゃない僕には、ムリだよね。

n6そんなことはないぞ、少年。

wあっ!アポロンⅥ!

n6英雄庁にはいろんな仕事があって、みんなで協力してヴィランと戦っているんだ。

もちろん神話還りじゃない人もたくさんいる。戦う力が強いだけでは、悪には勝てない。みんなの力が必要なんだ。

wへえ~!そうなんだ!大切なのはだれかを守りたいという気持ちなんだね!

n6どうだい、少年。私といっしょに、正義のために戦わないか?

wうん!戦う!僕も大人になったら、英雄庁で働くよ!

n6英雄庁では、我々と共に戦ってくれる仲間を、いつでもお待ちしています。必要なのは、あなたの勇気だけ。

WE NEED A HERO。英雄庁です。


 ***


n10はい、CM明けたし、どんどん行くよ。次の注目選手はこの人です。はい、じゃん☆

ハデスD962

「私じゃないの」の言葉を呑んで、書いた始末書、星の数。ヴァンガード隊のお母さん、今日も今日とてお世話を焼くか。

背負う数字も苦労人、ハデスD962みんなの涙を誘って登場です!

Vへ~、エウちゃん、成績良かったんだ?

n10ミスの少なさと丁寧な立ち回りで好成績だったとか。あとこの子にはちょっとした秘密が……。

言っちゃおうかなあ……チラッ、チラッ。あ~、言えない。言えないなあ。これ匂わせって叩かれちゃうなあ。

V話題のヴァンガード隊からの出場ってことで注目が先行してるけど、地力もある子だし、もしかするかもよ?

ちなみに実はおいらもヴァンガ――

n10あ、なんか時間押してるみたいだから次いくよ。はいはい。次もヴァンガードからの出場だね。

血筋の良さならナンバーワン噛んだセリフもナンバーワンご存知、天下の箱入り娘!

ポセイドンOJ03

n10カミカミお嬢様、ポセイドンOJ03☆ナンバーズの家族って秘密なの、知ってた?

この子もいまはヴァンガード所属なんだよね。なんだか急成長してるとかなんとか。ホントかなあ。

V若い子ってのは成長が早いからねえ。それに、才能は父親であるポセイドンⅡの折り紙つきよ?

n10とりあえず、まずカミカミを直すべきだと広報のプロであるXちゃんは思うのでした。

はい、じゃあどんどんいくね。次はこのヒーロー。うわあ、これテンションあがらないなあ。

ディオニソスⅫ?

なんか乱入してきた、黒猫連れた人。自称ディオニソスⅫです。信じる人いないよね。

Vえ、あれ、ディオニソスⅫじゃないの?ほら、マスクもかぶってるしさ。

n10……いま入ってきた情報によると、あの黒猫の人もヴァンガード所属なんだって。あとは詳細不明なので次いくね。

VディオニソスⅫだってば、絶対。……ダメ?

n10さて、注目選手の紹介も次で最後だよ。トリを飾るのはやっぱりこの子!ついに誕生した!3人目のナンバーズ!

アレスちゃん

合言葉はだっしゃしょかみんなのヒーロー!アレスちゃんだぁぁぁぁ!

アレスちゃん!アレスちゃん!アレスちゃん!アレスちゃん!アレスちゃん!アレスちゃん~!

いいよねアレスちゃん。ぼくは断然アレスちゃん推し。英雄庁的にはアレス零が正式名称だけどぼくはやっぱりアレスちゃんと呼びたい!

強くて可愛くてカッコよくて、もう優勝だよね。負けたとしてもすでに優勝してるよね。今大会はアレスちゃんのためにあるのでした☆

……というわけで、これらの注目選手を含む24名によって、2ndステージが競い合われるよ。

Vなんか、息切れしてるけど、大丈夫?

n10大丈夫だよ☆ちょっと興奮しすぎて心臓が痛いだけ☆

Vあんま大丈夫じゃないよね。ところで、今回も優勝者には、アレ、あるんだよね?

n10もちろん☆みんなも知っての通り、優勝者には特典としてヒーローのルールをひとつ、追加する権利が与えられるよ。

V前回、アポロンⅥが優勝した時は、「全てのヒーローは己の胸に正義を抱くこと」というルールが追加されたんだったよね。

n10ビックリするほどなんの意味もなかったよね。さて、今年はだれがどんなルールを追加するのかな?

あ、ちなみにゴッド・ナンバーズは神器があるから有利じゃん、って思ったそこのキミ。安心していいよ。

カーニバルの間、神器はメインスタジアムの特別展示室に預けられて、みんな統ー規格の人造神器を使用しているからね☆

といったところで、選手紹介はおしまい☆もうすぐはじまる2ndステージで、また会おうね~☆

Vおっさんはこれでお役ごめんで~す。ばいば~~い。



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story2 FALL HEROES



 2ndステージに進出した24名のヒーローは、メインスタジアムのフィールドに集められていた。

n6零、それにヴァンガードの者たちも、無事に2ndステージに進出したようだな。まずは祝福するとしよう。おめでとう。

Aあ、アポ兄さん!正々堂々、戦おうね!

n6うむ。望むところだ。私もまだまだ若い者には負けられぬからな。

ところで、さきほど放送されていた、ヴァッカリオの名解説は聞いたか?あれは昔からなにをやらせても上手で……。

 ひとしきり、君たちに弟自慢すると、アポロンⅥは去っていった。

EさすがアポロンⅥ様ね。カーニバルでも全然緊張していないみたい。

Nあら?あちらにはアフロディテⅨ様がいらっしゃるわね。

Aあ、ホントだ。リベッさ~ん!負けても恨みっこなしでいこうね~!

 アレイシアの声に、アフロディテⅨは鋭い視線を君たちに向けた。

n9悪いけどさ、負けるつもりないんだ。あーし、今日はマジだから。

 アフロディテⅨはそれだけを告げると、馴れ合いを嫌うように、君たちから距離を置いた。

E……すごい真剣な顔だったわね。どうかされたのかしら?

n1おや、嬢ちゃんたち。ちゃんと勝ち残れたのかい?嬉しいねえ。そんなにオレと再会したかったわけだ。

 両手を広げ、ゼウスⅠが近づいてきた。相変わらず、全身からは謎の自信が満ち溢れている。

AⅠさん!おなじナンバーズ同士、がっぷり四つで……。

 勢いよく叫ぼうとするアレイシアの口を、エウブレナが両手でふさいで、下がっていく。

E申しわけありません、ゼウスⅠ様。私たち、試合前に作戦会議があるので、失礼します。

Aえ?ボク、そんなの聞いてないけど……。

Nいいから、いきますわよ!

 ふたりがアレイシアの両脇を抱えて離れていくので、君もなんとなくゼウスⅠから離れた。

Aどうしたの、ふたりとも?作戦会議なんてあったっけ?

Eほら、そろそろ試合じゃない?長話してたら準備運動の時間がなくなると思って。

Aおお!そうだった!よぉぉし、ヒーロ一体操第!じゃあぁぁぁぁ!まずは片膝を地面につけて着地のポーズ!

 アレイシアがヒーロ一体操を始めるのを見て、ホッと息をつくエウブレナに、どうしてゼウスⅠと会話させたくないの、と君は訊いた。

Eそれは……アレイシアにはちょっと、まだ早いかなって思って……。

そもそも、あのゼウスⅠというのは、どういうヒーローにゃ。

N先ほどの放送でも言っていた通り、英雄庁の問題児ですわ。本部の命令をまったく聞きませんの。

「指図もルールもいらねえ。オレが救う相手は、オレが決める。」

それがゼウスⅠの口癖らしいですわ。本部も頭も悩ませているって、お父様が言っていましたわ。

E以前のプロメテウスとの戦いの時も、出動せずにどこかへ消えていたそうね。

Nゴッド・ナンバーズの行動が、ある程度は自主性に任せられているとはいえ、限度がありますわ。けれども……。

Eいま、私たちが懸念しているのは、あの方が引いているゼウス神の特性……というよりも性格よ。

 宿している神の力に、性格も影響受けるってこと?と君は問う。

Eええ。神々には様々な側面があるのだけれど、どの性質が強く出るかは神話還りによって異なるわ。

N中でも、ゼウス神には様々な性質がありますの。神々の王としての性質。オリュンポス最強の戦士の性質――

ところが今のゼウスⅠ様に色濃く出た性質は――ゼウス神の好色でしたの。

Eゼウス神は美女や美少年を手に入れるためなら、手段を選ばないことで知られているの。

Nあの方は歴代ゼウスⅠの中で、その性質がもっとも強い神話還りですの。お父様にも近づかないように言われましたわ。

Eアレイシアって、ほら、そういうことに疎いでしょう?だからあまり近づけたくなくて……。

 なるほど、と君が納得すると共に、なんとも言えない沈黙が落ちる。

 と、そこで巨大モニターに、MCの姿が映った。

n10それじゃ、みんなお待ちかね2ndステージをはじめるよ☆

Aおおっ!いよいよだね!よぉぉぉし、種目はなんじゃぁぁい!

n10それじゃ、ゲスト入場~☆

 ゲスト?と君が思っていると、スタジアムの通路から子供たちがあらわれた。

 子供たちは迷うことなく、ヒーローたちのもとへ駆けてきて、それぞれのそばに立った。どうやら競技者とおなじ数がいるようだ。

n10みんな、ちゃんとペアになったよね?それじゃ、2ndステージ、はじめるよ~☆

 次の瞬間、地面が消失した。

 ぼふ、と音がして、着地する。どうやら子供といっしょにクッションの上に落ちたようだ。



ここ……まるで迷宮にゃ。

 周囲にアレイシアたちの姿はない。どうやら全員バラバラになったようだ。

n10みんな、子供たちは無事だったかな?そこはダイダロスの造った迷宮を模しているんだよ。

n9あ~、ラピリュントスね。てことは、今回の種目は――

 神話の時代、ダイダロスが造ったという迷宮。それは牛頭人身の怪物を封じ込めるためのものだった。

n102ndステージは、ミノタウロスの迷宮で~す。子供を守って、迷宮から脱出してね。

ちなみに、それぞれの脱出のヒントは子供たちが知っているから、仲良くなって聞き出してね☆

ゴールはこのスタジアム。先着12名が3rdステージ進出になるよ。それじゃ、みんな、がんばってね~☆

n7子供を守って脱出、か。

n1このゼウスⅠにガキのお守りを押し付けるかい。面白いじゃないか。

Aよ~し!それじゃボクといっしょに、地上までダッシュだ!

迷宮のどこかから物音が間こえるにゃ。どうやらみんな動き出したみたいにゃ。キミ、私たちも急いで脱出するにゃ。

 君はうなずき、傍らに立つ少年の手を取り、地上を目指して歩きだした。


 ***


 君は襲いかかってくる機械を倒しながら、迷宮を進んでいた。

 しかし、問題がひとつあった。

wお前、なんでこんな変なマント着てんだよ。猫のくせに生意気だぞ。

やめ……やめるにゃ!マントを引っ張るんじゃないにゃ!

 守るべき子供が、わりとクソガキだった。ヒントを教えてくれないだけではなく――

 ウィズを乱暴に触ろうとするわ、君のローブで鼻水を拭こうとするわ、ひとりで走り出そうとするわ……。

 とにかく、迷宮を移動するのに邪魔でしょうがなかった。おかげで、想定の半分も移動できていない。

 このままでは、この勝負、勝てないかもしれない。君は焦りながら、勝手に走り出した子供のあとを追う。

 ――だが、苦戦しているのは君だけではなかった。


Eこ、こら、やめなさい!どこ触って……!く、くすぐったい……。

も、もうダメ!あはははははは!あははははははははははははははは!


Nは、早口言葉ができれば、ヒントを教えてくれるんですのね?楽勝ですわ。せーの……。

赤巻紙青巻黄巻紙!~~~~~~!


Aえっ、ボクがうるさい?それに先の見えない迷宮で走ったら人にぶつかるかも?た、たしかに……。


n10それぞれのヒーローについた子供は、実は他のヒーローの熱烈なファンなんだ☆つまり、子供たちにとっては推しのライバル☆

守るべき相手がいつでも協力的とは限らない☆さあ、ヒーローたちはこの難題にどう立ち向かうのかな?

 だが、このわずかな後、早くも迷宮からの脱出に成功しようとしているヒーローがあらわれた。


n6ほら、出口が見えてきたよ。もう少しでゴールだ。よくがんばったね。

 アポロンⅥに預けられた少年も、はじめは彼に反発していた。だが――

n6元気でいいね。好きにするといい。少年時代はそうあるべきだ。私の勝ち負けなど、些細なことだよ。

 万物を温めるアポロンⅥの笑顔に、少年はまたたく間に陥落。ヒントを提供し、協力して迷宮からの脱出を目指した。

 そしてわずかな後には、日の光の差す迷宮の出ロへとたどり着いていた。

n6ありがとう。君ががんばったおかげだ。

 手を携える少年に笑いかけ、アポロンⅥはゴールヘと向かい、歩きだす――



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story3 SUPPORTER



 ヒーローたちが地下の迷宮をさまよっているころ、スタジアムでもまた、戦うものたちがいた。

アレスちゃんの~!勝利を願って~!三三七びょ~~し!

アレスちゃん!アレスちゃん!みんなのヒーローアレスちゃん~!

 店長(あだ名)改め、団長(ガチ)である。

 彼はカーニバルの開催が決定するなり、溜まりに溜まっていた有給休暇を全取得。(アルバイトでも有休は労働者の権利である)

 有志とアレスちゃん応援団を結成し、今日という日に備えて、厳しい特訓の日々を送っていた。

 集まったアレスちゃんファンの同志たちが、いつしか団長と呼ぶようになっていたのも自然なことであった。

いいですよ!その調子です!たとえ地下に声が届かなくても、私たちのHEARTはきっと彼女に届きますからね!

よ~し、もういっちょいくぞぉ~!ア・レ・ス!ア・レ・ス!A・R・E・S、ア・レ・ス~!

 無論、声援を飛ばしているのは彼らだけではない。スタジアムに詰めかけた市民たちは、各々が支持するヒーローを応援している。

 いや、スタジアムだけではない。放送を見ているオリュンポリス中の市民が、モニターの前でヒーローの名を叫んでいた。

 ジャスティス・カーニバルとは、まさしくオリュンポリス全てがー丸となる大祭なのだ。

 そんなスタジアムの片隅に、柱に隠れるようにして、モニターに熱い視線を送るひとりの男がいた。

n11ネルヴァちゃん……がんばれ君ならできるよ……!

 かつてヘパイストスⅪと呼ばれた男――アイスキュロスである。

 視線の先にあるモニターに映っているのはマスクド・アテナ。なにを隠そう、その正体はアテナⅦことネルヴァである。

 かつてふたりはプロメトリックに味方し、アレイシアたちと戦った。そしてその後、自らの正義を探す旅に出た。

 アテナⅦの裏切りは市民には知られていない。すべての罪が自分にかぶるよう、ヘパイストスⅪが工作しておいたのだ。

 公式には、アテナⅦは騒乱の際に負傷したため、ゴッド・ナンバーズを辞し、いずこかで静養していることになっている。

 今回、カーニバルの開催を知り、自らの力と心を試すため、ネルヴァは正体を隠して参加することに決めたのだった。

 ならば、アイスキュロスがするべきことはただひとつ。その勇姿を見守るだけだ。

n11君ががんばっていたことは、この僕がだれよりも知っている。君こそがヒーローだよ……!

 ――様々な者の思いを乗せて、カーニバルは進んでいく。



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story4 ESCAPE



 言うことを聞いてくれない子供たちを預けられたヒーローたちだったが、それぞれが前へ進み出していた。

n1迷宮に、ヒントねえ。ルールを押し付けられるってのは、気持ちが良くねえなあ。

 ゼウスⅠは傍らの少年をひょいと抱き上げると、まっすぐに歩きだす。

n1安心しろ。ヒントなんぞいらねえ。オレは迷わないからな。

w正解の道が、わかるの?

n1オレの選んだ道に間違いはない。オレが選んだ時点で正解なのさ。なぜならオレは、ゼウスⅠだからだ。

w(絶対に迷子になるやつだ……)


n7どうしたのだ?なにを泣いている?怪我はしていないだろう?

……そうか、暗闇が怖いのだな。私も幼いころはそうであった。

 マスクド・アテナは膝をつき、少女と目線の高さを合わせると、優しくその手を取った。

n7大丈夫だ。私がついている。なにも怖くないよ。


Aうぉぉぉぉぉ!少年!次はどっちじゃぁぁぁい!

w右だっしゃしょかぁぁぁ!

 アレイシアの熱いHEARTは少年の柔軟な心にたやすく火を点け、ふたりは迷宮を駆け回っていた……。


 ー方、君も順調であった。少年のわがままぶりに、はじめこそ手を焼いたが――

 無理難題を言う相手に振り回されることは慣れている。君は少年のご機嫌を取り、見事にヒントを聞き出していた。

さあ、キミ、早く出口を目指すにゃ!ここで負けたらタダではおかないにゃ!

 一番慣れ親しんだ無理難題の相手にうなずき、君は迷宮を進む。


 ***


n10そろそろ迷宮から脱出したヒーローが、このスタジアムに戻ってくるころだね。ぼくもいやいやフィールドに降りてきました☆

と、言っているそばから、迷宮の出口から出てきたのは――


n9あれ?あーしがトップ?ま、それに越したことはないけど。

n10アフロディテⅨです!Ⅸがトップで、2ndステージをクリアしました!

Ⅸちゃん、Ⅸちゃん。勝利の秘訣はなに?ぼくにこっそり教えてごらんよ。

n9別に。真面目にやっただけだし。もういい?余計な体力使いたくないんだよね。

n10あ、あ……。ぼく、冷たくされると辛い……。帰りたくなってきた……。

Ⅸちゃんと組んでたキミ。どうやって協力したのかな?

wなんか……逆らえなくて……。

n10わかるがすぎるよ……Ⅸちゃん、逆らえないなにかがあるよね……。

 そうしている内に、二番手がゴールにたどりついた。それは――

n7ほら、着いたぞ。よくがんばったね。怖くなかった?

wうん、お姉ちゃんがいるから、全然怖くなかった!

n10謎のヒーロー、マスクド・アテナ!子供との絆をバッチリ築いたようです!2ndステージ突・破☆

n11マスクド・アテナ、最高~~~そのまま優勝だよ~~~!

n10早くも熱烈なファンがついているみたいだね。それもまたヒーローの証。正体が気になる気になる☆

おっと、そうこうしているうちに、3位と4位が続けて到着だよ。

n1ゼウスⅠ・イズ・ナンバー1、どうやら、またしてもオレがトップのようだな。

Aうおおおぉぉぉ!走りきったぁぁぁぁぁ!気持ちいいぞぉぉぉぉぉ!

n10第3位はゼウスⅠ!第4位はアレスちゃんことアレス零!どちらも腕に子供を抱きかかえてのゴール!

n10ゼウスⅠはどうやって子供と仲良くなってヒントを聞き出したんだい?

n1ちょいとわがままだったんでね。無理やり抱いてやったのさ。嫌がっていても、抱かれりゃ素直なもんだ。

n10抱っこね、抱っこ。放送してるんだから、言い方ね。あとさっきも今回もトップじゃなかったから。

wこの人、絶対、道わからないのに、偶然ゴールに着いただけだと思う。こんな大人になっちゃいけないと思いました。

n10続いてアレスちゃん!おめでと~~~!アレスちゃんもこの子を無理やり抱っこして連れてきたのかな?

Aこの子はちょっと前まで自分で走ってたぞ。だからこれはぼくらふたりのゴールなんだ。ね!

wだっしゃあ!ワシらの勝利じゃあ!

n10すっかりアレスちゃんが伝染っちゃってる……。

いいぞ!いいぞ!アレスちゃん~!

n10観客席も大盛りあがり☆さすがぼくらのアレスちゃん!これは優勝間違いなし!

さあ、残りの席は8つ!勝ち取るのはどのヒーローかな?

 その後、順調にヒーローたちがゴールにたどりつき、勝ち抜きを決めていった。

 君もまた、7位でゴールし、3rdステージヘの進出を決めた。

 その後、8位から10位までもゴール。そして11位と12位が――

n1011位、ハデスD962!続いて12位、ポセイドンOJ03!滑り込み~☆

Eよ、よかった……間に合った……。

n10はい、そこの子。どうして協力できたんだい?

wリアクションが良くて楽しかったから、協力してあげなきゃって思ったの。

n10勝因は、くすぐったがりでした☆もうヒーロー関係ないでしょこれ。ぼくでも勝てそう。はい、次。

N12位……ということはギリギリですわね。ま、まあ勝ちは勝ちですわ。余裕でしたこと。

n10はいそこの君、この残念なお姉ちゃんに、どうして協力してあげたのかな?

w想像の100倍くらい、カミカミだったから、なんか悪い気がしてきて……。

n10みんな聞いた!?残念さもまた強さ!そういう世の中、ぼくはいいと思います。

と、そんなわけで、3rdステージに進出する12人のヒーローが決定しました☆

 だが、その言葉に、スタジアムには歓声よりもざわめきが広がった。無理もない。

 アポロンⅥがゴールしていないのだ。


 2ndステージ開始よりわずかな後。だれよりも早く迷宮の出口を発見したアポロンⅥはゴールに歩を進めようとした。

 だが、共にいる少年の足が止まった。

n6どうしたんだい?疲れたのかな?ゴールすれば、休めるよ。

w弟と……。弟といっしょにゴールするって約束したんだ。でも、あいつ、まだ来てないから……。

 アポロンⅥには、それだけで充分だった。

n6いいお兄ちゃんだ。それじゃ、ここで弟くんを待とうか。

 それからアポロンⅥは、競争相手が目の前を通り過ぎていくのを、笑顔で見送った。

 申し訳無さそうに見上げる少年の頭を優しく撫で、笑顔のまま、待ち続けた。

n10あ、キタキタ。やっと来たよ、アポロンⅥなんと23位!

 結局、少年の弟を連れたヒーロー、イリスA109は最下位であらわれた。

 幼い兄弟は手をつないでゴールに走り、アポロンⅥは申し訳無さそうにするイリスA109と肩を組みゴールした。

z申しわけございません。私がもっと早くゴールできれば、Ⅵ様にご迷惑をおかげしなかったものを……。

n6迷惑なものか。兄は弟のヒーローでなくてはならない。あの兄弟の笑顔の方が、勝負よりもずっと価値がある。

 そう言い切るアポロンⅥの顔には、ー点の曇りもない笑顔だけがあった。

 アポロンⅥ、まさかの2ndステージ敗退。だが、光明神の化身を讃える声は陰ることなく、いや増してオリュンポリスに響きわたった――






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