【白猫】オレリア(クリスマス)・思い出
クリスマスを彩る楽士 オレリア・バレリアーノCV:小松未可子 クリスマスを音楽で華やかに彩る楽士。 誰の記憶にも残る、特別な一夜を奏でる。 |
2016/11/30
思い出1
<オレリアの奏でる演奏が、気持ちよく空へと響いてゆく。>
あいかわらず、やってるわねぇ。
こんにちは、オレリアさん。
あら。みんなでどうしたの?もしかして、あたしの演奏を聞きにきてくれた?
邪魔じゃないなら、全然聞きにくるけど、今日は違うわよ。
今日は、オレリアさんをお誘いに来たんです。
お誘い?
そうよ。せっかくのクリスマスなんだから、みんなでパーティーしましょって。
美味しい料理も作るわよ!アイリスが!
ああ……ありがと、誘ってくれて。でもごめん。あたしはいいわ。
……ご迷惑でしたか?
あ、違うのよ。誘ってくれたのは嬉しいわ。でも、今はもっと演奏してたいの。もっと、もっとね♪
ふ~ん。なんか楽しそうじゃない。
そう見える?
私にもなんだか、嬉しくて……楽しくてしかたないって風に見えます。
そう。ま、正解かな。今は、すごく楽しい……すごく充実してるの。
なんかあったの?
ええ。とても素敵なことがあったわ。他の人からみたら、たいしたことじゃないかもしれないけどね。
へ~。でもアンタは嬉しそうだし、なにがあったのか、ちょっと聞かせてよ。
私もお話聞いてみたいです。
わかったわ。それじゃ、聞かせてあげる。
あの日のことを――
思い出2
(これは……酷いわね。どれだけ大規模な軍が衝突したのよ……)
――リア?オレリア、聞いてる?
え、あっ……ごめん。なんだっけ?
今回の曲目だけど、あんまり激しいのは止めて、明るい曲を中心にしようかって。
そうね。あたしも、それでいいと思うわ。
うん。オレリアもオッケーなら――
あ、そうだ。一曲は葬送曲……鎮魂歌にしましょ。
……そうね。今回は戦火で焼けた町の復興支援任務だし、その配慮は必要ね。
<軍楽隊の一同は口と瞳を閉じ、黙祷を捧げる。
オレリアたちは、この地で起こった戦闘について詳しくは知らされていない。
しかし、帝国と連邦が絡む戦闘で、町が戦火にまかれたことは承知していた。
その復興救済のため、炊き出しと音楽での慰安を行う目的で、この地へ訪れていた。>
正直……あまり気持ちのいい話じゃないわね。
私たちの戦争に巻き込まれて、こうなったんだもんね。気持ちはわかるよ。
そうね。でも、今回は戦場で人を殺すために奏でるわけじゃないわ。
生き残った人たちを救うための演奏、か……たしかに、少しはマシね。
そうそう。今回はいい仕事だって考えよ。
(音楽をこんな風に使うのは、やっぱり慣れないけどね……)
***
……やっぱり、あんまり歓迎されてないみたいね。
仕方ないんじゃないかな。私たちが帝国軍なのは変わらないんだし。
そう言われると――
――きゃっ!
あっ!?あなた、大丈夫?!
<ぶつかって転んだ女の子に、オレリアが慌てて手を差し伸べる。しかし――>
ッ!!ご、ごめんなさい!ごめんなさい!
っ……。あたしの方こそ、ごめんなさい。
<オレリアは女の子の前にしゃがみ、いたわる様に立ち上がらせた。>
……え……?
怪我はない?大丈夫?
あ、あ、う……うん……だいじょうぶ。
そう。よかったわ。
……あの……
なに?
……おねえちゃんたちは……
あたし達は軍楽隊の楽士。
がくし……?兵隊さんじゃないの……?
う~ん……ちょっとだけ違うかな。あたしたちは、ここへ音楽を奏でにきたの。
おん……がく?
そう、音楽。みんなを楽しく……幸せにするものよ。
幸せになるの……?おなか……いっぱいになる?
……お腹空いてるのね。
うん……あ、わたし……たべものさがさないと……
聞きにくれば、そこで食べ物も貰えるわよ。
っ!ほんとうっ!?
ええ。明日、この先の広場で演奏するから、いらっしゃい。
うんっ!わかった!
……そうよね。まずは食べ物よね。
いいじゃない。炊き出しでお腹いっぱいにして、音楽で心も満たしてあげましょ。
そうね。そうよね……よーし、みんな。明日からの準備に取りかかるわよ!
思い出3
たくさん来てるわね。あまり待たせる前に、配り始めましょ。
ええ。――みなさん、どうか順序よく、ならんでください!
<指示に従って列が作られると、楽士たちによって温かな料理が配られ始めた。>
ありがとう……ありがとう……
いいえ。熱いので、気をつけて召し上がってください。次の方、どうぞ。
あ……あの……
あ、昨日の。
ごはん……
ええ。熱いから気をつけてね。慌てて食べなくても、まだまだあるから。
あ……うんっ!ありがとう、お姉ちゃん!
いい笑顔もらっちゃったわね。これは私たちも負けてられないわ。
ええ、そうね。ここからがあたしたちにとっての本番。さあ、聞いてもらいましょ。
<食事をする住人たちの中、オレリアたちの演奏か始まった。
初めは戦死者の魂を慰める、静かな葬送曲……そして演奏は次第に明るさを増し――>
ケッ……いい気なもんだぜ……
俺たちは、こんな状況なのに……やっぱり帝国の軍人さんは、余裕があるねぇ……
……音楽なんか、なんの腹の足しにもなりゃしねぇよ……
(それはわかってる。あたしたちの演奏で、お腹は満たせない。でも……それでも、あたしたちは……)
***
あっはっは。言われちゃったね。ま、事実だし、仕方ないんだけどさ。
……そうね。
あ、あの……
あ、あなた……お腹はいっぱいになった?
うん。ごちそうさまでした!
満足できたならよかったわ。これからしばらくは、ここで炊き出しをするから、また食べにきなさい。
うん。あのね……本当だった。
え、なにが?
お姉ちゃんたちのおんがくね、楽しい気持ちになったよ。
あ……
お腹じゃなくて、お胸の中がね?ぽかぽかして、あったかくなったの♪
……そう。ありがとう。
もらったの、わたしなのに、なんでお姉ちゃんかお礼いうの?
え……あ……
へんなの♪あはは♪
そうね。おかしいわね。フフッ♪
いや~、いいチップもらっちゃったね、オレリア。これは頑張らないとたよ。
ええ。わかってるわ。明日の演奏も気合いいれていきましょ。
思い出4
はぁ、はぁ、おねーちゃーーん!
来たわね。もう食べ物はもらった?
うん!あのね、お姉ちゃんにお願いがあるの!
そうなの?あ、でも、もう演奏を始めるから、それは後でね。今日はどんなのが聞きたい?
んと、んと……元気になるのがいい!
わかったわ。みんな、リクエストもらったわ。元気になる曲から始めましょ!
おおー!!
<オレリアたちの演奏が始まると、その周囲に人が集まりだす。
最初の頃は、食べ物さえ手に入れれば、すぐ立ち去っていた者たちも――
このひと月ほどの間に、オレリアたちの演奏を最後まで聞いていくようになった。>
(それだけ、町の人たちに余裕がでてきたってことよね)
<多くの人たちが浮かべる、穏やかな――楽しげな顔。
それを見られるだけで、オレリアたちにも笑顔が広がる。それは、オレリアたちの任務が終わりを迎えたということ――>
おねえちゃん!あのね!今日もね、すごく楽しかったよ!
そう。最後まで喜んでもらえたみたいでよかったわ。
え……さいご?
あ、心配させちゃったわね。大丈夫よ。食べ物はこれからも貰えるわ。あたしたちの演奏が、これで終わりってだけよ。
なんで……?もうえんそうしてくれないの?
……見て。回りで聞いてくれてた、みんなの顔。笑ってるでしょ。
……うん。みんな優しい顔してる。
あたしたちが演奏してきたのは、みんなに今の顔をしてほしかったからなの。みんなに、笑顔になってほしかった。あなたにもね。
わたしにも……
みんなに笑顔が戻ってきたら、もう大丈夫。
これからは町の人たちが、自分たちで笑顔を作れるわ。だから――
あたしたちの役目は終わり。そして次の……元気が必要な人たちのところへいくの。
そっか……元気がないの、わたしたちだけじゃないんだ……
ええ。だから、今日で最後なの。聞いてくれてありがとう。
あ、そうだ。お願いがあるんだったわよね。なにかしら?あたしに出来ることならいいけど。
わたし……わたしね!お姉ちゃんに、えんそうを教えてほしいの!
え……演奏を?
お姉ちゃんみたいになりたいの!楽士さまになって、みんなを元気にしたいの!
あら。私たちの演奏を聞いて、そう思ってくれたのは嬉しいわね。ね、オレリア。
いい後輩ができたじゃ~ん♪
後輩って……気軽に言ってくれちゃって……
でも、そう言ってもらえたのは、とても嬉しいわ。ありがとう。
えへへ、だってお姉ちゃんたちのえんそう、すッごくステキだったから!
まあ!この子いいこだわ!
いいこですっ!!
ちょっと黙ってて。だけど、あたしたちと同じとなると、軍人になるっていうこと。
それは普通の人生よりも、大変な道よ。それでも――
なりたいです!
……わかったわ。ようこそ、我らが軍楽隊へ。
あたしはオレリア。これからよろしくね。
名前、教えてくれる?
はいっ!わたしは――
思い出5
――と、いうことがあったの。
ふ~ん。なるほどね。アンタががんばるのも、ちょっとわかるわね。
あの……その子は今、どうしてるんですか?
軍が運営する学校……訓練校に通ってるわ。
訓練校?
ええ。あの子には演奏を習う前に、読み書きなんかを覚えさせないと。
なるほど。たしかにそうですね……
ふ~ん。つまりアンタ、そのコは助けてきたのね。
……なかなかキツいわね。でも、あたしたちは、なにもかもを救う力はないのよ。
え……あっ、ちがうわよ?非難してるんじゃないから!
子供ひとり救うだけでも、すっごく大変なの想像できるから、やるわねって思っただけだから!
そう……ごめんなさい。自分の無力さを思い知ったところだったから、ついね。
あ、でも『あたし』が救ったわけじゃないわ。正しくは『あたしたち』ね。
どういうこと?
仲間が気に入っちゃって、みんなで支援しようってことになったの。
いいじゃない。後輩のめんどうを見るのは、先輩たちの役目だしね。
まあね。でもだからこそ、今はもっと演奏して腕を磨かないといけないのよ。あたしの音は、先代の音に、まだまだとどいていないわ。
先代って、オレリアさんの前にチューバを演奏してた人でしたよね?
ええ。あたしに<響のルーン>と楽器を託して、軍楽隊をお辞めになった方よ。
入隊した時、あたしの目標になり、いろいろ面倒もみてもらったわ。だから次はあたしの番。
あの子が正式に軍楽隊へ入った時、あたしの音で、がっかりさせるわけにはいかないでしょ。
それはがんばらなきゃだわね♪
でも、あまり根を詰めすぎるのは……
そうそう。ほどほとにはしなさいよ?
それはわかってるわ。だから、ここで練習をしているのよ。
どういうこと?
ここで……飛行島でなら、あなたたちに協力をお願いできるもの。
せっかく注意してくれたんだから、もちろんあたし自身も気をつけてるわ。
でも、無理しても大丈夫なように、あなたたちなら協力――してくれるでしょ?
思い出6 (友情覚醒)
……ええ。そう。
この感じ……<響のルーン>とひとつになる感覚……ありがとう。また大切なことを教えられた気分だわ。
いちおう言っておくけど、主人公のコレは、お手軽癒やしグッズじゃないから。
わかっているわ。そんなつもりはないわよ。
……ほんとにぃ?
本当よ。お手軽だとか思ってないわ。とても感謝しているし、それに……
それに……なんでしょう?
主人公のことは、尊敬している。
ソンケイ?なんで?
ルーンの光を浴びてわかったのよ。これは人を癒やす力があるって。先代の演奏にもね、あったのよ。人を癒やす力が。
そうなんですか?
ええ。いい演奏なだけじゃない、楽しくさせるだけじゃない。聞く人を心から癒やせる音色を奏でられる人だった。
本当に尊敬してるんですね……
もちろんよ。先代はあたしの目標だもの。
それと同じこと……いいえ。それ以上のことができる相手を、お手軽になんか扱えないわ。
なるほどね。
だけど、これからあたしも努力するわ。先代みたいに……あなたみたいになれるようにね。
燃えてるわね。ま、追いかけてくる後輩もいることだし、がんばらないとね。
言ってくれるじゃない。――でも、その通りだわ。
今までは前だけ向いて演奏してきたけど、これからは後ろも見ないと。
オレリアさんなら大丈夫です。これからも、ステキな音色を奏でていけますよ。
ありがと。その期待には応えないとね。
見ていて……ううん。聞いていて?
私はきっと、この音色で人々を癒やすことも出来る、最高の楽士になってみせるから♪
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