【白猫】ウォルター(クリスマス)・思い出
総合商社社長 ウォルター・スズキ・十七世 CV:小西克幸 総合商社<ヴェスタWSC>代表取締役社長。 クリスマスの時期もやっぱり忙しい。 |
2016/11/30
メインストーリー
思い出1
お世話になっております。
お世話になっております。
みな様、その節は並々ならぬご高配を賜り、誠にありがとうございました。
その節?
ほら、あれよ。アタシを飛行島のマスコットとしてプロデュースしたときの。
こちらといたしましても、何かと勉強させていただきました。
マァ、アタシも楽しかったし、ビジネスがなんたるかぐらいはわかったからね。
お互いにウィンウィンだったってことで、ここはひとつ。
恐縮でございます、キャトラ様。
最近はどーなの? たしか、会社をやめてシャチョーになったんだっけ?
ええ。男一匹ウォルター・スズキ、この度、一念発起いたしました。
<ウォルターは洗練された手つきで名刺を取り出し、主人公たちに差し出した。>
えーっと……<ヴェスタWSC>代表取締役社長……
どーゆう会社なの?
前に勤めていた会社と同じ、総合商社でございます。
一本のペンから大国の飛行艇まで、ニーズに合わせてあらゆる物資を企画・販売する。
それが私の会社、<ヴェスタWSC>なのです。
……時代は日々、流れる雲のように変化していきます。時代が何を求めているのか、自分が何を求められているのか――
それを見きわめるのが、社長である私の仕事だと思っております。
幸運な事に……前の会社、<ネプチューンPLC>の人間も、何人か私についてきてくれました。
へえ……慕われているんですね。
彼らと一丸となって会社を大きくしていきたいと、
これ以上ないやる気に満ちあふれているところなのですよ。
超一流企業でもまれた男の、腕の見せどころね。……期待してるわよ。
ありがとうごさいます、キャトラ様。
お子さんたち……マサミちゃんとユウマくんは元気ですか?
ええ、それはもう。
<ウォルターは、かつて生活が噛みあわないという理由で妻と別れ、それからは男手ひとつで二人の子供を育てていた。
とはいえ、その別れた妻との関係は今でも良好らしい。>
そーいえば、もうすぐクリスマスね。ウォルター、ちゃんと一緒にすごせそうなの?
…………
え……まさか?
いえ……タスク管理を徹底しておりますので、クリスマスは毎年一緒に過ごす事ができるのですが……
……どうにも、いま一つなのです。
何といいましょうか……こう、盛り上がりに欠けるといいますか……
シズル感が足りないといいますか……
よーするにアレね。
『最高のクリスマスを提供したい!』
ということね。
私にとって、今年は転機の年です。子供たちにも、色々と心配をかけてしまいました。
ですから今度のクリスマスは、一生の思い出に残るようなものにしたいと考えているのです。
いわば、クリスマスのドラスティックなイノベーションーなのです。
オッケ、メイクセンスしたわ。アンタのそのプロジェクト、アタシたちも参加するから。
おお……! ありがとうございます!
じゃー、さっそくキックオフといきますか。
承知しました。まずはブレストベースで参りましょう。
(相変わらず……わからないわ!!)
思い出2
<とある街。暗かった空が白み始める、早朝――
ウォルター・スズキは……並んでいた。>
……想定外です。この時間であれば確実にいけると踏んでいましたが……
――まさか、徹夜組が!? くっ、それならば私も……
いやいや、駄目です。それは駄目。ご近所の方にご迷惑をおかけしてしまいます。コンプライアンスは守らなければ。
<少し離れたところから、主人公たちがウォルターの様子を見守っている。>
うーん、まさかこれほどなんて……
パティシエ界のきょしょー、<オーベル・アルノー>のおみせのクリスマスケーキ……
5年連続で世界三大コンテストを制覇しちゃったから、いっそう人気店になったんだよね。
整理券……ウォルターさん、手に入れられるといいんだけど。
『最高のクリスマス』プロジェクトのキックオフ以降、何度もMTGを重ねたウォルターと主人公たち。
内容が固まったいま、彼らはその準備に取りかかっていたのであった。
――第一フェーズは、最高のクリスマスケーキの用意である!
お待たせいたしました! これより、クリスマスケーキのご予約をご希望のお客様に、整理券を配布いたします!
来ましたね……!
リサーチによれば、毎年配られる配布券は50枚から60枚……
……私の見える範囲では、前に並んでいる方は恐らく32人……
角の向こうに28人以上並んでいたら、確実にアウト……ですね……!
<やがて、曲がり角の向こうから、整理券を配る店員が姿を現す!>
く……! 何枚ですか!? あと何枚残っているのですか!?
「やったあ! オーペルさんのケーキ、ゲット~♪」
「はい、どうぞ。」
「ふがふが! やったぞい!」
「はい、整理券です。」
「あ~、よかった~!」
もう少し、あともう少しです……
――ああっ! どうか……
……ウォルターさん、ひざまずいて祈りはじめちゃった……
<店員は、ウォルターのすぐ前までやってきた!>
……はっ!?
<列からひょっこりと首を出し、店員の手元をのぞき込む!
そしてその目が、大きく見開かれ――>
……神よご照覧あれえええ!
<ウォルターは整理券を握りしめ、満面の笑みで空を仰いだ――>
あぶなかったわね~。
でも、なんとかゲットできてよかったですね!
……私……
どっと疲れました。
思い出3
<とある島のとある山。さんさんと太陽の光が照りつける中――
ウォルター・スズキは……登っていた。>
ここはまだ勾配がゆるやかです。ぬるりと進むのが良いでしょう。
とはいえ、だいぶ登りましたね。
空気もうすくなってきた気がする。
<プロジェクトは第二フェーズに移行。
すなわち、最高のクリスマスツリーを仕入れる事である。>
それにしても……りっぱなモミの木の情報なんて、どっから仕入れてくるのよ。
世界中を飛び回る商人には、色々な知り合いがいるものなのですよ。
さあ、みな様! 私についてきてください!
……歌でも歌いながら行きますか?
元気ねえ……
***
なんてこと……
<――土砂崩れで道がなくなっている!>
これは……リスケかしら?
いえ……恐らく回り道できるかと。オンスケでお願いします。
御意。
(ここでも……ビジネスなの……!?)
<その後、大雨に降られたり、魔物に襲われたりと散々な目にあいながらも――
主人公たちはモミの木の群生地へと到着した!>
では早速。
<ウォルターは手ごろな大ささの木の前に立ち、槍を構えた。>
……はああっ!
<そして、その槍で木の周りの地面を掘りはじめた!>
あれ……切らないの?
ええ。クリスマスが終われば、またここへ植え直しますので。
……そぉい!
<握り起こしたモミの木を、ウォルターは肩に担ぐ。>
さ、日が暮れる前に下山しましょう。
この辺りはクマが出るそうですし。
アンタのそのワイルドな姿を見たら、クマだって逃げ出すかもね。
思い出4
<昼下がりのとある街。中央にある広場で――
ウォルター・スズキは……謝っていた。>
申し訳ありません……!
アタシに謝ったってしょうがないでしょ!
……あらゆるリスクヘッジを考えてはいたけれど!
それ以前のケアレスミスだなんてね!
……言葉もございません……
キャトラ、落ち着いて。……ウォルターさんも頭を上げてください。
<……プロジェクト・第三フェーズ。最高のクリスマスプレゼント。
ウォルターは、<星たぬブジョー>の超合金ロボットを手に入れんと画策していた。
<星たぬブジョー>……ウォルターの子供・マサミとユウマが熱中している、大人気のSFセンゴクバトルマンガである。
その人気と熱量が最高点に達したタイミングでの、ロボットの発売。売り切れは必至だった。
……マーケティング・リサーチは完璧なはずだった。彼はあらゆる情報を徹底的に分析・予測――
入手できる可能性が最も高いおもちゃ屋へとやってきたのだった。
ケーキの時と同様、早朝から彼は店に並んだ。……しかし、<星たぬブジョーロボ>は手に入らなかった。
あろうことか……ウォルターは発売日を、一日勘違いしていたのだ……>
マサミのプレゼントは、大丈夫なのね!?
はい……<星たぬクノイチ>の等身大ぬいぐるみは、無事に手に入れています。
どうしましょう……店員さんの話では、あと一か月は入荷しないって……
やるべきことは決まっています。
商人にとって、昔から変わらない本質があるのをご存知でしょうか。
――足で稼ぐ。
***
「お世話になっております。こちらのお店には、星たぬブショーの超合金ロボットはまごだざいますでしょうか?」
「ごめんなさい、売り切れです。」
***
「お世話になっております。星たぬブジョーロボを買わせていただきたいのですが。」
「昨日の午前中ならまだあったんだがねえ。」
***
「はあ、ふう……お世話になっております。星たぬブショーの――」
「この島にはあると思ったかい!? 残念、ないんだなー!!」
***
「はあ、はあ、はあ……お世話に、なっております……星たぬ……ブショー……」
「あ、ロボットかい? まだまだ残ってるから、二個でも三個でも買っておくれ。
「………
………遊園地…………穴場……でした……」
***
「……私……
どっと疲れました。」
思い出5
<最高のクリスマスを過ごすための準備はその後も順調に進み――
いよいよ、クリスマス前日を迎えていた。>
お世話になっております。
ウォルターさん。……明日、ですね。
色々トラブったりしたけど、なんとか全ての準備がととのったわね。
ええ。これもひとえに、みな様のお力添えのおかげでごさいます。
……失礼。
<ウォルターは<ルーンスマホ>を耳にあて、話しはじめた。>
ええ、ええ。……なんですって!?
<ウォルターの表情が、見る見るくもってゆく。>
……わかりました。私が出向きましょう。あなたは会社に残っていてください。
スキームを見直さねばなりません。アレン君とチョウ君が帰杜次第……
……トラブルのよかん……
***
はっはっはっ。困った事になりました。
一体、なにが……
現在弊社で進めている、あるプロジェクトで問題が起きまして。
今すぐ、クライアントの元へと参らねばならなくなりました。
え……ちょ、ちょっと待って。クリスマス、明日よ?
問に合います……よね?
……
……マサミ……ユウマ……
<ウォルター・スズキ。
総合商社の社長、そして二児の父親。この大ピンチに、彼は――
不敵な笑みを浮かべた。>
さて……腕の見せ所ですね。
思い出6 (友情覚醒)
ありがとうございます、主人公様。
……いくのね。
はい。男一匹ウォルター・スズキ、
身命を賭して仕事と家庭を両立させてみせましょう。
ウォルターさん……! かっこいいです……!
では……失礼いたします!
……申し忘れておりました。
今回、私のクリスマスプロジェクトにご尽力いただきましたみな様のために、借越ではございますが一席設けさせていただきたいと考えております。
スケジュ―ルをご確認の上、調整していただけますと幸甚でございます。
何卒よろしくお願いいたします。
それは、ごていねいにどうも……
……ではっ!
***
「まったく、お互い困った事になったもんだね……
……これはもう、白紙に戻すしか……」
「……私に考えがございます。
いかがでしょう? 御社と弊社で、ピンチをチャンスに変えてみませんか?」
「…………ふむ……」
***
「…………」
ウォルター・スズキは――
間に合った。
両手には、子供へのプレゼントと、クリスマスケーキ――
「星たぬブジョーロボよし。星たぬクノイチよし。クリスマスケーキよし。
クリスマスツリーの搬入までは、あと5分……
……フフフ、完璧です。二人の喜ぶ顔が、目に浮かぶようですよ。
……三人、ですね。
――参りましょう。」
二人の子供が、歓声をあげながらウォルターの元へと駆けよってくる。
「おとーさーん!」
「おとうさん! おかえり!」
「マサミ、ユウマ……ただいま!」
そして、キッチンから姿を見せたのは――
「…………」
「…………」
「おかえりなさい。」
「……ああ。」
三人の顔を見て、ウォルターは思う。
(……私にとっては…………いえ、きっと子供たちにとっても……
みんなで楽しく過ごす事こそが最高のクリスマスなのかもしれませんね……)
「「おとうさん! おかあさん! メリークリスマス!」」
「「――メリークリスマス。」」
スズキ家の大黒柱 ウォルター・スズキ・十七世
その他