【白猫】オレリア・思い出
帝国の楽士 オレリア・バレリアーノ cv.小松未可子 帝国の軍楽隊に所属するチューバの楽士。 元陸軍であり、軍人としての心得を持つ | ||
2015/09/15 |
思い出1
……? なにかしら、この音楽……
重たく響くかんじの音色ね。誰かが演奏してるのかしら?
<飛行島の一角――
そこには、凛とした女性が大きな楽器を手に、一心に演奏していた。>
……あら、あなたたち、この島の人かしら?
そうよ~。アンタは見たところ旅の演奏家ってかんじ?
あたしは、オレリア。こう見えて軍楽隊の楽士なの。よろしくね。
軍楽隊……軍人さんなんですか?
そうね、帝国軍の所属になるわ。
あたしの仕事は、帝国の行事や軍隊のパレードで演奏することなの。
へぇ~、帝国の人ならウチでもたまに見かけるけど、アンタみたいな人は珍しいかも。
そうかもね。あたしは楽士だけど、今は任務で帝国を離れている身だから。
任務ですか?
まあ、そこはおいおい話すわ。別に秘密ってわけでもないしね。
あ、しばらくここにいるのね。
こういう空の上だと障害物がなくて音がよく通るかんじがするのよ。演奏しててとても気分がいいわ。
今のはただのリハーサルだけど、演奏会も開く予定だから、ぜひ聴きにきてね。
演奏会かぁ~。なんだか賑やかになりそうね!
ふふ、楽しみにしてますね。オレリアさん。
思い出2
オレリアって、ずっと一人で旅してたんだよね?
ええ、そうよ。
このご時世、丸腰じゃ危険でしょ? よく今まで無事でいられたわね。
うん? 丸腰じゃないわよ? ちゃんと武器は持ってるわ。
へ? どこに? 見た感じどこにもないけど……
コレよ。
……まさか、そのチューバがオレリアさんの武器なんですか?
えぇ!? でもそれ、武器じゃなくて楽器じゃん!
ん~、まあそれが普通の反応か。……あなた、ちょっといいかしら?
モノは試しってね。その剣であたしに打ち込んでみて。遠慮はいらないわよ。
だ、大丈夫? 主人公?
楽器が剣を弾き返した……? う、ウソでしょぉ~……
このチューバは、軍楽隊の楽士に代々継承されてきた特別製なの。
だからちょっとやそっとじゃ傷もつかないし、演奏に支障をきたすこともないわ。
なんかもう武器なのか楽器なのかわかんなくなってきたわね……
それに、あたしたちは時として戦場で演奏任務につくこともある。軍の士気高揚のためにね。
だから万が一に備えて、いつでも戦えるようにしないといけないの。
なるほど……
ちなみに、あたし以外の楽士たちの楽器も、武器としての機能や仕掛けがあったりするのよ。
ふ~ん、たとえばどんな?
あたしが知る限りだと……チェロの中に火器を仕込んでたり、他にも軍刀を隠してたり……
あ、ギターとかもなかなかの切れ味で、かなり強力らしいわよ。
さすが軍人さんね……
思い出3
ふぅ……いい香りだわ。
なになに、お茶会? アタシも交ざりた~い!
もう、キャトラったら……
ふふ、もちろんいいわよ。今、カップを用意するわね。
おしゃれなティーセットですね。紅茶がご趣味なんですか?
帝国にいる元同僚の影響でね。演奏の休憩にちょうどいいのよ。
『元』同僚……? それって楽隊の人じゃないってこと?
彼女は、帝国陸軍所属の軍人なの。あたしも……昔はそこにいたのよ。
あれ、そうだったんだ。
あたしの家は代々軍人の家系で、親も兄弟も軍人になるための教育を受けてきた。もちろんあたしもね。
でも、子供の頃のあたしは貧弱で、軍人の素養なんてこれっぽちもなかったの。
それはまた……
きっと大変だったんでしょうね。
ええ……でも、そんなときだった。兄に連れられて帝国軍の凱旋パレードを見に行ったのは。
そこで一番目を引いたのが軍楽隊で一際大きい金色の楽器……チューバだったのよ。
それが、その楽器との出会いだったんですね。
子供ながらにカッコいいと思ったんでしょうね。帝国の軍楽隊はパレードの華だから。
それからあたしは、軍人の教育を受けるかたわら、両親には内緒で吹奏楽を独学で学んだの。
……でも結局、家の言いつけには逆らえなかったわ。
そのまま軍人さんになっちゃったわけね。
やっぱり色々厳しくて、ね。それで陸軍の所属になって……あたしは彼女と出会ったの。
さっき言ってた元同僚って人ね。
彼女の趣味で、紅茶の園遊会に招待されて、そのお礼にってことで余興に演奏を披露したのだけど――
それがことのほか好評を得てね。演奏が終わって多くの拍手を受けたとき、あたしは気づいたの。
やっぱり自分は音楽が好きで、これがあたしにできる一番のことなんだってね。
それじゃあ……
そう。あたしの演奏の原点――軍楽隊への転属を志願したの。
当然、両親とはかなりもめたわ。でも、あたしの演奏を気に入ってくれた彼女が各所に掛けあってくれてね。
あら、いいお友達じゃないの。
ええ、そんな彼女の尽力もあって、あたしは楽士になることができた。
その方がオレリアさんの夢を叶えてくれたんですね。
そういうことになるわね。彼女には本当に世話になりっぱなしで……正直申し訳ないくらいだわ。
だからあたしは、彼女の恩義に報いる意味でも、絶対に任務を達成しないといけないの……!
……オレリアさん?
――っと、そろそろ頃合いね。はい、これが帝国自慢の紅茶よ。冷めないうちに飲んでみて。
わーい、いただきまーす!
…………
思い出4
オレリアは、金属の部品を並べて、一つずつ丁寧にみがいている――
なにしてるの~?
チューバの手入れよ。分解して中身を掃除しているの。
そうなんですね……あら? この部品って……ルーンですか?
それは<響のルーン>ね。チューバに内蔵されているものよ。
前に、このチューバは軍楽隊で代々受け継がれてきたって説明したわよね。
うん、特別製って話よね。
実は、本当の意味で受け継いできたのは、楽器じゃなくて、このルーンのほうなの。
だから、いくら演奏ができても、ルーンの力を引き出せないと一人前とはいえないのよ。
ルーンの力って?
チューバは重厚で響くような低音が特徴なのだけど、<響のルーン>はその音を最大限に引き出すの。
空気と、大地と、そして心を揺るがすような、雄壮な音をね。
このルーンの力を使いこなせるようになること……それがあたしに課せられた任務なのよ。
修行中の身ってわけなのね。
なかなか難しいところなのよね。技量の問題ってわけでもないし。
特別なルーンとなると誰でも使えるわけじゃありませんからね……
アタシたちにできることがあったら協力するわよ。おもに聴く方でね!
ふふ、ありがとう。楽士にとって観客の感想はなにより糧になるわ。
…………
思い出5
主人公たちは、オレリアの淹れた紅茶を飲みながら彼女の演奏を聴いていた。
最初会ったときも感じたけど、ほんとすごい重低音よね~。
うん、まるで胸の奥に響いてくるみたい……
……ふぅ、だめね。
えっ、なんで? 別に変なところはなかったけど……
先代のチューバはこんなものじゃなかったわ。
ただ音を響かせるだけじゃない。まるで魂にまで伝わるような……とにかくすごかったのよ。
チューバの奏者なら、誰だってあんな音を出せるようになりたいって思うわ。
それもルーンの力なんでしょうか?
きっとそうでしょうね。でも、あたしの演奏じゃルーンはなにも反応を示さない……
そんなあせらなくてもいいじゃん。気楽にいきましょうよ~。
……あたしは軍楽隊に入るために、彼女と、それからいろんな人に助けられたわ。
だから、早く一人前の楽士になってみんなの恩に報いたいの。
きっと彼女もあたしに期待してる。ちゃんとこの任務を終えて、本物の演奏を届けたいの……
ごめん。ちょっと無神経だったわ。
っと、あたしもごめんなさい。観客を暗くさせちゃうなんて、楽士にあるまじきことだったわ。
……オレリアさん、よければもっと演奏を聴かせてくれませんか?
あ、アタシも聞きたーい!
……ありがとう、みんな。もう少しがんばってみるわね。
っと、その前に……紅茶のおかわりはいかがかしら?
あ、いつの間にか空だったわ。おかわりちょうだ~い。
ありがとうございます。いただきます。
了解よ、少し待っててね。
(……そういえば、この状況、まるであのときの園遊会みたいね……
彼女が気に入ってくれたあの演奏……今のあたしにできるかしら
あたしに音楽を思い出させてくれたあの演奏を……)
思い出6 (友情覚醒)
え!? チューバが光ってる……?
これは……<響のルーン>が反応してるんだわ!
オレリア! 今ならいけるんじゃない?
ええ、そんな気がするわ! よし……
光り輝くチューバを抱え、オレリアは演奏をはじめる――
おおお……なにこれ……! なんだか身体で音楽を聴いてるみたい!
チューバの音色が飛行島全体に響いてるんだわ……!
やがてルーンの光が収まると、オレリアはおもむろにチューバを口許から離した――
できたわ……今のは間違いなく、先代の奏でた音色と同じものだったわ!
やったじゃない、オレリア!
でも、どうして急にルーンが使えるようになったのかしら。
……あたし、今まではきっと楽しんでなかったんだと思う。
ん、どういうこと?
楽士になる前は、ただひたすらチューバを弾く音楽が好きで、その思いを伝えるのに必死だった。
でもそんな演奏を彼女は好きだって言ってくれたわ。……そのときの気持ちを思い出したの。
……きっとその純粋な気持ちに、ルーンは応えてくれたんですね。
まあ、これでオレリアの任務も無事完了ってわけね!
……うーん、そう思いたいけど、まだ自由にルーンの力を使いこなせたわけじゃないわ。
あ、あれ、そうなんだ。
けれど、手応えは確かに感じたわ。この感覚を忘れないうちに演奏を続ければ、きっと……!
それじゃあ、アタシたちは観客としての役目を果たしましょうかね。
ふふ、ありがとう、みんな。それじゃあ、あたしのチューバ、ぜひ聴いてちょうだいね。
(この演奏を、飛行島のみんなと、帝国にいる彼女に捧げるわ
そして、次に会ったときは……あたしが奏でるチューバを、直接、あなたの前で――)
凱旋行進の響音
その他
Missing Symphony Story
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