エリオット・思い出
神の童 エリオット・ヘインズ cv.小林ゆう 軍の士官学校を14歳で卒業した神童。その実態はただのスケベ小僧。 |
思い出1
「男ひとり、女ひとり、猫いっぴき。なるほど飛行島ってワケか。」
「なるほどアンタはだーれ?」
うわさには聞いていたが……ここは、想像以上だな。
何と整然とした街並み。どうやらここには<ルーン地理学>に詳しい者がいるらしい。
<ルーン気象学>や<ルーン海洋学>にも明るい人間がいるな?
飛行する島を運用する際には必要不可欠だろうからな。
まあ、そんな事はどうでもいいんだけど。
まだまだ世の中の真理をひも解いている最中さ。一人前にはほど遠いよ。
いや……この若さだから、任官まで特別に猶予をもらったんだ。よって今の僕は崇高なる探求者――
コスモを追い求める求道者、さ。
そう――スカートの向こう側というコスモがね。
思い出2
探すのよーー!!
***
「なるほど……ヘレナさんはパイ作りが趣味なんですね。ぜひ一度、食べてみたいものです。」
「あら、それはちょうど良かったわ。さっき焼き上がったばかりのものがあるの。
待ってて、いま持ってくるから。」
(コルセットスカートか……難易度高いな。
……キッチンから僕が座っているテーブル席までの動線は視認済みだ。
彼女の歩行速度、歩幅、特有のクセ……そこから導き出される結論は……)
「――ささくれ、だな。スカートの生地からして引っかかりやすいだろう。彼女もよくわかっているらしい。
テーブルやイスの手入れ具合がそれを物語っている。……過去にやらかしているな?
よし、いまのうちにささくれを……」
「お待たせ、エリオット君。さあ、私の自慢のパイを――
……あら? あららら?」
ヘレナのスカートがテーブルのささくれに引っかかり、徐々にめくれ上がってゆく!
(よし、もう少しだ……!)
「させるかーーー!!!」
「ぐわーー!」
この少し無理な体勢も計算済みだ! ふふ、あとは3秒だけ待てばいい! そうすれば僕は……っ!
***
僕は女の子のパンツが見たいんだ。
いかに手を使わずに見るか……これこそが僕の至上命題なんだ。<覗く>ことこそ、真理への道。コスモヘの長く険しい旅路なんだ。
生きること、それはつまりパンツを見ること。そしてそのパンツ――コスモは、無限の可能性を僕に提示する。
僕はコスモに問う。僕が僕であるならば、君は君であり続けるのか? パンツはパンツであり続けるのか?
思い出3
「キャーー!」
「やーりぃ! 水玉パンツをはいけ~ん!」
「み……みんなー! <スカートめくりのエリオット>が出たわ! ひなんしてー!」
「「「きゃーきゃーきゃー!」」」
「逃げても無駄だよ?
はははははっ! みんないい色してるじゃないか!」
***
「…………またかい。」
「今日はピンクが多かったです。」
「んなこと聞いてないわ! わしがどれだけ先生に絞られたと思う!
……はあ……お前のスケベっぷりには困ったもんじゃのう……」
「老師……男ってのは、女の子のパンツを見るために生きているんですよ。」
「まあ確かにそうじゃ……そうじゃないわい! まったくお前というやつは……」
「明日はどの子のパンツを見ようかなー。」
「…………のう、エリオットよ。――お前は実に浅はかじゃのう。」
「え?」
「そのめんこいオテテはスカートをめくる為にあるのではない。――真理をたぐり寄せる為にあるのだぞ?」
「真理……?」
「コスモじゃ、エリオット。コスモじゃあ……」
「コスモ……空の上の空、無限大に広がっているという、あの……!?」
「そうじゃ。……スカートの向こう側にはそれがある。広がっておる。
スカートの中は宇宙なのじゃ。」
「……めくっているようじゃ、コスモには出会えないと……?」
「……手など要らぬのだエリオット。ただ頭脳さえあれば良い。さすればお前は……この世の理を見るじゃろう。
そしてそれが出来たら……わしはお前を一人前と認めよう。」
「ろ、老師……!」
(なんか適当に言ってしもたが……これで少しはマシになるじゃろ……)
***
僕は試練を与えられたと同時に、この世界の崇高なる真実へと至る事の出来る、<選ばれし者>として認められたのだ。
答えようなどないだろう。しかし、逆にいくらでも答えようがある、とも言える。
スカートとは、キャンディだ。または谷底のハイヒール。または雨の日の蝶。
パンツとは、天使の羽。または夏の太陽。または寂れた街の街灯。
僕たちが一歩、また一歩と大地を踏みしめる度、スカートとパンツはその観念的な意味合いと根源的な価値を変容させていく。
そして僕たちに告げるのだ。『だから何だ?』と。『関係ないだろ』と。そうだ。そうなんだ。
スカートの中は宇宙なんだ。
「「「…………」」」
思い出4
従属値を設定……<ルーンベクトル値>を代入……
……士官学校時代に、色々と論文を発表していたからね。ちらほらと依頼がやってくるのさ。
……人は、学ぶという行為を止めてはいけないんだ。常に向上心を持って生きていかなければならない。
これ、老師の言葉ね。
<言いながら、学術書に視線を落としたエリオットの動きがピタリと止まった。>
これらはルーンの効果測定条件と一見、無関係に見えるが……もしかすると……!
<エリオットは猛烈な勢いで、ノートに鉛筆を走らせる。……かと思いきや!>
<荒々しく本棚へと歩み寄り、ブ厚い本を抜き出す!>
<ルーン解析学>からのアプローチも必要だ! 空間を変化させ、変化に空間をコミットする!
<膨大な計算式で、瞬く間にノートが埋まってゆく――>
ふ、ふふ……ふふふふふ……! ふはははははは……!
みんな、聞いてくれ! いまここに――
パンツをこの目に焼き付ける為の新たなる知略が産声をあげた!!
偉大なるコスモよ! 僕はもうすぐ――
思い出5
<学術講演当日。エリオットは大勢の学生や研究者を前に熱弁をふるっていた。>
兵をいかに効率よく運用するか――私が学んできた事です。そしてそれはつまり――
死なずに済む兵をいかに増やせるかを学んできた、という事でもあります。……要するに、です。
今回の研究の成果は、軍事的観点から見ても非常に有用なのであります。特に、局地的な戦闘における――
各魔術の運用やオペレーションなどに。
***
1エリオットさん、素晴らしい講演をありがとうございました。本当に勉強になりました!
暇があれば、また研究室に顔を出してくれ。院生たちが何とも頼りにならなくてな。
***
なんだか怪しい動きをしてたと思ったら……スカートを覗くためだったのね!
でなきゃ、何のために講師なんてやってるんだ!君たちはバカじゃないのか!?
いつになったら見れるんだろう! 女の子のパンツ! おなごパンツ!
スカートの中はパンツ!!
思い出6 (友情覚醒)
その光は……君は……君は……!!
君も! 僕と同じく……真理を追い求める者なのか!
同志よ――
<エリオットは主人公に抱きついた。>
ともにコスモを見つけに行こう!
アタシ、あーきらーめたー。
1あ……エリオットさん!
その時であった。
……自然とは、何と慈悲深く、また何と残酷なのだろう。
猫はただ驚く。その愛嬌ある瞳が、徐々に見開かれてゆく。温かな平穏が永遠に続いていくのだと頑なに信じていた、哀れな楽園の民のように。
少女は慌てふためき、悲鳴とも嘆息ともつかぬ声を上げる。それは可憐なる乙女の美徳であった。――無力で儚い美徳であった。
少年は動揺し、立ち尽くす。駄賃を失くした子供のような顔。刹那の迷いが恒惺たる後悔に変わる。
――風だ。気まぐれに彼らを取り巻き、すり抜け、弄ぶ、烈々たる突風だ!
女学生の、奇をてらわず、上品で、しかしモダンなスカアトが、彼女を嘲笑うかのように上へ横へと転婆に翻る。
神童はその天才的な思考能力と燦然たる叡智を失ったかのように、これ以上ないほど間抜けに□を開いた。
はるかなるコスモ
その他