スピカ・思い出
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思い出1
スピカ
……ふわあぁぁぁ……
キャトラ
でっかいあくびねえ。
アイリス
ふわ……
うつっちゃった。
スピカ
ごめんなさい、
あまり寝ていないものですから……
キャトラ
夜更かしはお肌に悪いわよ～？
スピカ
仕方ないのです、
それが私の宿命ですから。
スピカ
私は占星学者のスピカ。
星を詠み、
星の導きを伝えることが使命。
スピカ
以後、よろし……
ふわあぁぁぁ……
キャトラ
寝不足は職業病ってわけ……
ふわあぁぁぁ……
思い出2
スピカ
ふわあぁぁぁ……
キャトラ
おーい、ねぼすけー。
スピカ
不名誉なあだ名で呼ぶのは
やめていただけますでしょうか？
スピカ
夜更かしして遊んでるわけでは……
ふわあぁぁぁ……
……ないので……
アイリス
星を詠む、と言ってましたけど、
それってどういうことなんですか？
わかりやすくお願いします。
スピカ
光の強弱や星同士の距離などから、
これから先の未来を予知している、
ということになるでしょうか。
キャトラ
星なんか毎日同じじゃない？
スピカ
いいえ、季節でも変化しますし、
何十年という周期で訪れる
現象もあります。
スピカ
完全に同じ夜空など、
二度と現れないと言っても
過言ではないでしょう。
キャトラ
それでどうして未来がわかるの？
スピカ
似ている夜空はある、
ということでしょうか。
キャトラ
う～ん……？
スピカ
簡単に言いましたが、
非常に奥の深い学問なのですよ。
スピカ
興味が沸きましたら
一度私の星見台に
足を運んでみてください。
キャトラ
う～ん……
気が向いたらね……
アイリス
（あ、これ行かないやつだ）
思い出3
キャトラ
もー、
どうしてアタシがこんなこと！
アイリス
そうプリプリしないで、
そうだ。カニカマ食べる？
スピカ
ふわあぁぁぁ……
どうしたんです？
キャトラ
あっ！ スピカ！
どういうわけだかアタシがね、
資材の管理をすることになって。
スピカ
ふわあ。
キャトラ
あくびで返事しないで！
で、これが資材リストなんだけど、
何日で補給が必要か計算しろって。
スピカ
現在の飛行島の
住民リストあります？
キャトラ
うん、これだけど。
スピカ
ふわ……
いまのままで三日半もちます。
水と食料を一割減らすと四日です。
キャトラ
え！？
いまの一瞬でわかったの！？
スピカ
はい。
キャトラ
すごい、
ただのお寝坊さんじゃ
なかったんだ……
スピカ
そうですよ、占星学には
複雑な計算も、
必要なんですふわぁら。
アイリス
あくびばっかで偉く見えないけど、
本当はすごいんですね。
思い出4
スピカ
ふわあぁぁぁ……
……ふふふふふ……
キャトラ
スピカ？ なんで
あくびしながら笑ってんの？
スピカ
！
な、なんでもありません……
キャトラ
？
どうしたのよ本当に？
いいことでもあったの？
スピカ
なんでもありませんから……
補給で島に寄ったついでに、
占星学で未来を予知して、
スピカ
カジノで大勝ちしてきた
なんてことありませんから……
アイリス
ス、スピカさん……？
キャトラ
それは結構ダメなんじゃ……
スピカ
違います、これも、占星学の
実用性を確認するためであり、
研究の一環で……
スピカ
ともかく違うんです、
私は、あくまで学問として……
賭博もある種文化であり……
おろおろしたまま、
スピカは去って行った……
キャトラ
……まさかあの子が、
悪に手を染めるとは……
思い出5
スピカ
……
スピカの両目に、
深淵を想起させるような
真っ黒いクマが浮き出ている……
キャトラ
どうしたのアンタ？
ちゃんと寝なきゃダメよ！
スピカ
……星が、
詠めなくなってしまいました……
アイリス
そんなことあるんですか？
スピカ
資料と照らし合わすだけではなく、
直感や閃きも
星詠みには必要なんです……
スピカ
うう、罰が当たったんです……
占星学を私的に悪用したから……
キャトラ
そうだったら自業自得だね。
スピカ
猛省しています。
ずっと星を詠んでるんですけど、
スピカ
何もわからない……
私はもうこのまま
なんでしょうか……？
アイリス
あなたの運命は
これからどうなるのか。
アイリス
その答えこそ、
星にあるかもしれませんよ？
スピカ
え……？
思い出6
スピカは空の一点を見つめている。
青空であろうとも、彼女の瞳には
星々がありありと映るのだろう。
目を凝らすとスピカが光り輝く。
心に宿るルーンの光と、
昼間の星の不思議な光だ。
スピカ
……出来心から、罰を受けるが、
困難を乗り越えた先、
再び……
スピカ
詠めました……！
また星が詠めるように……！
アイリス
よかったですね。
キャトラ
スピカ、これに懲りたら……
スピカ
わかっています、
二度と占星学を悪用はしません。
スピカ
睡眠も、
これからは三日に一度は取ります。
キャトラ
え？
スピカ
思えばあのときも、
一週間寝ておらず、
ハイになってしまいまして、
スピカ
それで魔が差したんです。
スピカ
ですからこれからは、
変になる直前には
ベッドに入ろうと思います。
キャトラ
睡眠は毎日とっていいから！
思い出7 (神気解放)
スピカ
っ！ これは……
アイリス
ス、スピカさん？
望遠鏡でなにか見えたんですか？
スピカ
……どうやら＜その時＞が
来たようです。
キャトラ
その時？
スピカ
はい、あの星位置は兆しです。
私の星詠みとしての未来に
転機が訪れようとしています。
アイリス
転機……？
一体なにが起きるんでしょうか？
スピカ
……まだわかりません。
すべては、占星の導くままに……
思い出8
スピカ
っ！ 今確かに、
私の未来に大いなる転機が
訪れたのを感じました。
スピカ
この転機がもたらす結果は未知数。
ですが、星の導きに従えば、
きっと良い未来になると思います。
スピカ
……あ！ もしかして……
スピカ
えーっと……やっぱり！
宝くじがあたっていました！
まさに大いなる転機です、ふふふ！
スピカ
……あ、すみません、
私ったらまた……
スピカ
このお金は、みなさんの冒険に
有効活用させていただきます。
スピカ
……ほんとですよ？
