ビート・思い出
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思い出1
キャトラ
うう~、最近寒いわね……
ハ、ハ、ハクションッ!
アイリス
風邪引いちゃうから、
早く中にーーひゃあっ!?
キャトラ
ちょっと、
アイリスってば大丈夫!?
キャトラ
……って、大変!
血が出てるじゃない!
アイリス
大丈夫、
軽くすりむいただけだから……
???
――うおおおおおっ!
突如、目にも留まらぬ速さで
何者かがアイリスの前に滑り込んだ。
キャトラ
ゲホッ!
ちょっと! 速すぎて
砂ぼこりたってるんだけどぉ!
???
赤く腫れ、擦り切れた皮膚に
傷口からの出血……間違いない!
これは擦過傷――擦り傷です!
キャトラ
いや、見ればわかるし!
……って、アンタ誰ぇ!?
ビート
紹介が遅れました、僕はビート。
今日から、この島の主治医として
働かせてもらいます!
キャトラ
主治医って……
どう見ても医者には
見えないんだけど……
キャトラ
ハッ! その格好……
まさか医者の皮を被った
戦闘兵器じゃ!?
ビート
そんなに警戒しないで。
僕は治療を専門とする
アンドロイドで
戦闘用じゃないんだ!
ビート
それよりも、これ以上ケガを
放っておいたら危険だ!
一刻も早く治癒をしなければ!
アイリス
大したケガじゃないので、
大丈夫ですよ。
ビート
擦過傷は土や砂等が傷口に付着し、
感染源となることが多いんです!
僕なら治せる……
いや、絶対に治してみせます!
ビート
―――うおおおおおっ!
ビートの腕から放たれた光が
傷口全体を包む。
――気が付くと、
傷は跡形もなく消えていた。
アイリス
あれ、痛みがなくなって……
傷が治ってる……!
キャトラ
すごい、本当に医者……
ううん、お医者さん以上だわ……!
ビート
よかった、本当に……!
本当によかった……ッ!
キャトラ
ちょ、ちょっと、
何で泣いてんのぉ!
ビート
一つの命が無事でいてくれた、
それだけでもう、
僕は……僕はッ……!
アイリス
ビートさん、
ありがとうございます。
キャトラ
すり傷ひとつで大げさねぇ。
ビート
僕はあらゆる生命体の傷を
癒すために旅をしている。
傷の大小は関係ない!
ビート
どんな傷であろうとも
絶対に治す……それが、
僕のモットーです。
ビート
―――大変だっ!
花が踏まれてしおれかけている!
うおおおおおっ!
キャトラ
ゲホッ、ゴホッ!
だから砂ぼこりひどいってばぁ!
キャトラ
……って、行っちゃった……
思い出2
ビート
――よし、これで大丈夫だ。
アイリス
うわぁ、
さっきの傷が嘘みたいですね。
治療した小鳥を撫でながら、
ビートは悲しげに目を伏せる。
ビート
僕はもともと、
研究施設のメンテナンスを
目的として開発されたんです。
ビート
でも、忘れもしないあの日……
僕は機械だけではなく、
生命を救いたいと願った。
いや、救い続けると誓ったんだ!
ビート
癒すことが、僕の存在意義……
だから、だから……
ビート
皆さん、どこか治療するところは
ありませんか!?
アイリス
そういえば、
最近肩こりがひどくて……
ビート
肩こり!? それはいけない!
肩こりは放っておくと固まっていき、
次第に痛みまで麻痺させる
恐ろしい病……
ビート
さぁ、肩を出してください!早く!
アイリス
は、はい!
ビート
うおおおおおおおっ!
キャトラ
な、なにこれ……
マッサージが速すぎて、
手の動きが見えないわ!
ビート
ハァ、ハァ……
肩こり解消プログラム、終了!
アイリス
すごい、肩が軽くなりました!
ビート
さぁ、次の方は!?
キャトラ
はいは~い!
アタシ、猫舌を
治したいんだけど~。
ビート
猫の舌!?
それは……キャトラさんが、
猫だからでは……?
キャトラ
アンタもしかして……
猫舌知らないの?
ビート
猫舌、猫舌……ねこ……舌……
アイリス
ビ、ビートさん?
ビート
………ネコ……ガガ、ガガガ……
キャトラ
ちょっと、頭から
煙で照るんですけどぉ!?
ビート
……治療データ、検出デキマセン。
治療データ、検出デキマセン……
キャトラ
えええええっ!?
ね、猫舌は不治の病なの!?
アイリス
キャトラ、猫舌はあきらめよう……
キャトラ
そ、そんなぁ~!
思い出3
アイリス
う~ん……
キャトラ
どうしたの、アイリス?
アイリス
実は、最近太ってきちゃって……
キャトラ
ああ~、最近美味しいもの
たくさんもらったもんね……。
ビート
アイリスさん、昨日の夜、
お菓子をつまみ食いしましたね?!
キャトラ
ひぃっ!?
アンタいつからそこに!?
ビート
しかも、おとといの夜には
ポリッツを……
アイリス
ど、どうして知ってるの?
キャトラ
えええっ!?
ポリッツ、楽しみにしてたのに~!
ビート
これは危険です!
間食は生活習慣病のもと!
そして何よりの原因は……
ビート
運動不足です!
アイリス
う、運動不足……
ビート
これは深刻だ、全身の筋力が衰え、
全ての病気の元凶となる……
どうすればいい、
どうしたら救えるんだ……!?
ビート
そうだっ!
さぁ、アイリスさん、
僕に続いてください!
アイリス
は、はい!
ビート
ワン、トゥー、スリー、ヤァーッ!
キャトラ
なに、この踊り……
ビート
これは世界で静かなブームを
呼び起こす予定になっている、
僕が独自に開発した
ビートザブートキャンプです!
キャトラ
なんかツッコミどころ
満載なんですけどぉっ!?
ビート
さぁ、もっと腕を高くあげて!
ビート
ワン、トゥー、スリー、
ハァアアアッ!
アイリス
ワン、トゥー、スリー、
ヤァアアアッ!
ビート
そう、どんどん
早くしていきますよ!
ビート
ヘイ! ワンモアッ!
ヘイ! ヤァーッ!
キャトラ
……アイリス、こ、怖い……
思い出4
アイリス
主人公、大丈夫?
顔色が悪いけど……
キャトラ
ボーッとしてて、
角に頭ぶつけたんだって。
ドジよねぇ。
ビート
た、大変だ!すぐに治療を――
アイリス
よし、私に任せて!
アイリス
痛いの、痛いの、飛んでけ~!
ビート
!?
アイリス
ふふ、良くなったみたい。
ビート
すごい、アイリスさんは
医者だったんですか!?
キャトラ
違うわよ。
アイリスのおまじないが
効いたのよね~?
ビート
……おま、じない……?
キャトラ
そう、相手に念を贈ってあげるの。
そうすると、痛みが消える……
こともあるのよ。
ビート
そ、そんな、ウソだ!
念とは無形のものであるはず……
キャトラ
病は気からって言うでしょ?
そう思い込むことが大事なのよ、
きっと!
ビート
くっ、世の中にはまだまだ
知らないことがいっぱいだ!
キャトラさん、僕にありったけの
医療知識を与えてください!
キャトラ
え、えええええっ!?
ビート
僕はあらゆる生命体の命を
救いたい……!
お願いしますっ!
キャトラ
そんな、アタシに医療の
知識なんてないし……
キャトラ
あ、そうだ!
足がしびれたときは、
おでこにツバつけると
治るらしいわよ~!
キャトラ
……なぁ~んてね!
そんなまさか――
ビート
……ふむふむ。
データ入力完了。
キャトラ
え。
ビート
わかりました!
それでは、皆さんの足が
痺れたときには、僕のツバを
オデコにつけますね!
キャトラ
ちょっと待っ……
ビート
足が痺れたときには、いつでも
言って下さい! あ、キャトラさん
は普段から四速歩行だから疲れる
はず! 早速この治療法を……
キャトラ
じょ、冗談だってばぁ~!
いやぁ~っ!
ビート
ハァ、ハァ、
こんなんじゃ足りない、
もっと勉強しなければ……っ!
ビート
思い出5
ビート
次だ、次の患者の
治療をしないと……
キャトラ
ちょ、ちょっと!
もうやめときなさいよ!
フラフラじゃない!
アイリス
そうです。
これ以上したら倒れちゃいますよ!
ビート
……いいんです、
ほうっておいてくださいっ!
アイリス
ビートさん……
キャトラ
どうしてそんなに頑張るのよぉ
ビート
……そ、それは……
ビート
……僕の、傷がうずくんです。
キャトラ
……ビートの傷?
ビート
僕を開発した博士は不治の病でした。
自分がいなくなっても、機械を
メンテナンスできるように
僕を開発したんです。
ビート
でも僕はそんな博士を救いたかった。
あらゆる医療知識をつめこんで、
僕の全プログラムを駆使して
手術を行いました。
ビート
でも、博士は死んでしまった……
僕の技術が、知識が……
足りなかったせいで。
ビート
僕が、博士をこの手で……ッ!
ビート
ビートさん……
ビート
あれから、傷を見ると、
博士の顔が浮かんで
離れないんだ……
ビート
胸が、痛くて痛くてたまらない!
どこを探しても、
傷なんて見当たらないのに……
ビート
どうすればいいんですか!?
どうしたら……いつまでも消えない
この痛みは消えるんですか!?
ビート
探しても探しても、
治療法がわからないんです!
自分の傷さえも癒せない僕は、
医者でいていいんでしょうか!?
ビート
僕は……僕は本当に、
誰かを癒せるんでしょうか……!?
思い出6
ビート
こ、この光は……ルーンの光……?
???
<ビート……>
ビート
ッ!? こ、この声は……博士!?
どうして……
キャトラ
ルーンの力が、博士を……!
博士
<すまない。
私のせいで、お前を苦しめる結果に
なってしまった……>
ビート
違う、違うんだ!僕のせいだ!
僕の努力が足りなかったから……!
博士
<どんな命にも終焉は訪れる……
私にとってのその刻は、
あの日だったというだけだ。>
ビート
博士……!
でも、僕はどうしても、
自分を許せない……ッ!
博士
<君は私のために、必死に頑張って
くれた。その想いは、死へと向かう
私を励ましてくれた。私は君に、
心を救われたのだ。>
博士
<ビートや、覚えておいてほしい。
人を救う道は、身体の傷を治療する
だけではない。心を癒すことが、
何よりの救いとなる時もある。>
博士
<そして、患者を想う気持ちこそが
何よりも人の心を癒すのだ……>
ビート
心を、癒す……
博士
<さて、そろそろ時間のようだな。
……また合おう、息子よ。>
ビート
……
アイリス
ビートさん、大丈夫ですか?
ビート
――もう大丈夫です。
ありがとう、主人公。
ビート
心の傷は、
心によって癒すことができる――
そう気付くことができました。
ビート
僕はこれからも治し続けます!
全ての生命を癒せるように!
アイリス
ビートさんなら、
絶対に大丈夫ですよ。
キャトラ
よかった~!
アタシなんだか感動しちゃって……
ぐずっ。
ビート
キャトラさん、
もしかして泣いてるんですか!?
キャトラ
な、何言ってんのよ!
目にゴミが入っただけよ!
ビート
ゴ、ゴミですって!?
目を見せてください!
僕に治療させてくださあああい!
キャトラ
ひぃぃぃぃっ!
ウソ、ウソだから来ないでぇ~っ!
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冒険者さん
62015年10月23日 14:13 ID:ndu849ee思い出5でビートが ビートさん……って言ってるんですけどアイリスじゃないんですか?
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冒険者さん
52015年09月02日 22:15 ID:dt3t2lym欲しかったなぁ…
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冒険者さん
42015年04月25日 17:54 ID:t4tspcu2ビートザブートキャンプwww
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冒険者さん
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冒険者さん
22015年02月22日 15:07 ID:s63u3p7z思い出4に「足が痺れたときには、いつでも
逝って下さい!」って暴言がありますよ。
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冒険者さん
12015年02月11日 16:34 ID:maxcakpd思い出感動したわ(;_;)
ビートくんまぢほしかったわ(;_;)