カティア・思い出

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思い出1

キャトラ

ここね……妙な奇声が

聞こえるっていう現場は……

アイリス

うう……なんだか

ちょっと怖いね……変質者かな？

？？？

おっほォーーーー！！

アイリス

きゃああ！

キャトラ

で、でたわね！　変質者！

このアタシがとっちめて……んん？

？？？

きたわァー！　降りてきたわァー！
新たな理論がパラダイムって
シフトしてきたわァーん！

？？？

やはり私は天才……！
この新理論を完成できるのは、
史上最強の頭脳を持つ私だけッ！

？？？

おっほォーーーー！！
メモよッ！　この一瞬のひらめきを
紙にメモるのよォーーーー！

謎の変質者は、
奇声をあげながら、
もの凄い勢いでメモをとっている！

キャトラ

な、なにあれ……変質者？

いえ……なんかそれ以上に

危険な匂いがプンプンするわ……！

アイリス

あんなに嬉しそうに

メモとる人、初めて見た……

？？？

ふひひ……はァ……はァ……あら？

アイリス

あ……目が合っちゃった……

？？？

そこの凡人！
ちょうどいいわ！
私のパトロンになってちょうだい！

キャトラ

はあ！？　なんで！？

ヤブからボウになによ！？

アイリス

あの、その前に、

どちらさまですか……？

カティア

はいィ！？

人類史上最高の頭脳を持つ、

このプロフェッサー・カティアを

知らないですってェ！？

キャトラ

ご丁寧に自己紹介どーも……
なんだかよくわからないけど。

アイリス

えっと……学者さんですか？

カティア

天・才・よ！

アイリス

きゃあ！

び、びっくりした……

カティア

そんなことより！

ちょうど前のパトロンが失踪して、

研究費が底をついてたのよォ～！

カティア

この天才の偉大な発明のために、

協力してちょうだい！

主に金銭的な意味でッ！

キャトラ

はい～！？

なんで見ず知らずのアンタに、

そんなことしなきゃ……

カティア

パトロンになってくれるって？

ありがとォ～！　ま、当然よねェ！

だって私、天才ですものォ～！

キャトラ

まずいわ……この変質者、

人の話をまったく

聞かないタイプだわ……！

カティア

これで研究を再開できるわァ～！

ふひ、ふひひひ……♪

キャトラ

こ、こら！
待ちなさいよぅ！！

思い出2

カティア

あ～ら、坊やにお嬢ちゃん！

それに……実験動物？

キャトラ

なによそれぇ！
アタシにはキャトラっていう
キュートな名前があるんだから！

アイリス

あ、あの、どうも……

カティア

そんなに怯えなくても大丈夫よォ。

まあ、天才のオーラに当てられて

震えちゃうのはわかるけど！

アイリス

は、はい……

キャトラ

あのさ……もう行っていい？

カティア

ツレないわねェ……

今日は、坊やたちのために、

戦闘に役立つ薬品を調合したのよ？

そう言うとカティアは、
サイケな色をした薬瓶を
ズラリと並べた。

カティア

パトロンは大事にしないとねェ！
ああ、私ってば、よくできた天才！

キャトラ

なった覚えはないし……

というか、ヤバそうな色の

薬ばっかなんですけどー……

カティア

私の専門は、

薬学に生物工学、錬金術などなど。

薬の調合なんて目をつぶってても

できちゃうわ！

キャトラ

いや、それはダメでしょ！

アイリス

……えっと、

どんな効能があるんでしょうか？

カティア

たとえば～、こっちの青い薬は、

アクーア種の体液が原料のヤツ。

飲むと痛みを感じなくなるわ。

カティア

そっちのはハチ種の毒から

高揚成分を抽出したヤツ。

飲むと一時的に筋力が３倍に……

キャトラ

そんなモン飲めるかー！

カティア

飲む？　いいえ、違うわ。

カティア

打つのよォ！

カティアは、注射器を構えた！

キャトラ

ひいいい！
こ、来ないでぇー！

ブスリ！

キャトラ

ぎゃう！

アイリス

キャ、キャトラー！

カティア

安心なさいってェ～♪

効果も検証済みの安全な薬よォ～。

ほらほら、力が湧いてこない？

キャトラ

――？

―――！？

――――！！

アイリス

キャトラ、どうしたの？

だいじょうぶ！？

キャトラ

――！―――！！

――――ッ！！？？

カティア

……あ、間違えた。

これ、口答えする馬鹿を

黙らせる沈默薬だった。

キャトラ

――ッ！―――！

カティア

だァいじょうぶよォ～！

３０分で効果は切れるから～！

キャトラ

――！！

――――！！！！

カティア

え？

こんなスゴイ薬を作るなんて、

天才過ぎて尊敬しちゃうって？

カティア

おほほォーー！
そんなことあるわァー！
もっと褒めてもいいのよォ？

キャトラ

――――――ッッ！！！！

思い出3

カティア

あー……

インドア天才の私に

肉体労働はキツいわァ……

カティアは愚痴をこぼしつつ、
様々なガラクタらしき物を
運び込んでいた……

キャトラ

ちょっと！
こんなに散らかして……
今日は粗大ゴミの日じゃないわよ！

カティア

ゴミ！？　失礼ねェー！

それは私が昔が（※）作った試作品よ！

※原文ママ

アイリス

これは……点滴台？

それに大きな注射器……？

カティア

あの頃は私も若かったわァ……

とにかく研究に夢中で、

衝動のままに作ったものよォ～。

キャトラ

若かったぁ？

アンタ今いくつなのよ？

カティア

永遠の十代、

とだけ言っておくわァ！

ちなみにハッタリじゃないわよ。

カティア

見なさいィ、この少女のような肌！
この天才が開発した美容薬で、
私の肌は十代の頃のように
しっとり艶やかなままッ！

キャトラ

え、なにそれ！？

その話、ほ……

アイリス

その話、本当なんですか！？

キャトラ

ア、アイリス……？

カティア

あらァ～？

お嬢ちゃんも女の子だから、

やっぱり気になっちゃう～？

アイリス

えっと、その、まあ……はい。

カティア

おほほ！　そうよねェ！
だって、この超絶天才が作った
とっておきの秘薬だものねェ！

カティア

特別に作ってもいいけどォ、

研究費の予算をもう３桁くらい

アップしないと難しいわねェ～。

アイリス

え、それは……

う、うーん、でも……

キャトラ

こらこらこらー！
そんなウソかホントかもわからない
話を信じちゃだめよ！

カティア

ホントに決まってるでしょォ～？

神級天才の私の頭脳にかかれば、

なんだって作れるのよォ！

カティア

……時間と予算があれば。

キャトラ

聞こえてるわよ。

思い出4

カティア

カ……カ……カ……！

カティア

完成したわァー！
とっておきの新薬がァー！
おっほォーーー！！

カティア

早く臨床実験を……！

被験者を探さなきゃ！

被験者……被験者……！

カティア

はッ！

見ィつゥけェたァ～……！

キャトラ

ひいい！

なんか狙われてる！？

カティア

ちょうどよかったわァ！

新しく調合した薬の効能を試そうと

思ってたところなのよォ～！

キャトラ

いやだー！
またヒドイ目にあわされるー！

カティア

おっほォーーー！
それじゃあ、早速ゥーーー！！

キャトラ

ぎにゃあああーー！

カティア

この仕様書に

目を通してちょうだい。

キャトラ

ぎにゃ……え？

カティア

その仕様書を読んで、

新薬の効能と副作用を確認したら、

この実験同意書にサインして。

キャトラ

え？　え？　……えええ？

カティア

どうしたのかしらァ？

まるで信じられないモノを

見るようなマヌケ面をして。

キャトラ

いや……てっきり、

また注射器でブスリと

されるのかと思って……

カティア

……ああ～。

だって、あの時の薬は実験済みの

安全な既製品だったし。

カティア

開発中の新薬の場合は、

被験者の同意を得ないとダメなのよ。

いろいろと。

キャトラ

……奇天烈変人のアンタは、

そーゆールール的なの

気にしないと思ってたわ。

カティア

バカ言わないでちょうだいッ！
そんなことしたら
私の華麗な天才遍歴に
傷がつくじゃないのォ！

キャトラ

て、天才遍歴？

カティア

天才っていうのは客観的な評価よ！
つまり、世間から天才と呼ばれて、
初めて天才を名乗れるのッ！

カティア

だから遍歴に傷なんて以ての外！

不祥事なんて絶対NG！

世間に認められてこその天才ッ！

おわかりいただけたかしら！？

キャトラ

へ、へえ……アンタにも

そういうプライドみたいなのが

あったのね……

カティア

私がただの自称・天才

じゃないってことが

わかってもらえたかしら？

キャトラ

まあ、なんとなく……

カティア

それじゃあ、同意書にサインを……

キャトラ

やだ。

思い出5

カティア

むきィィーーー！！

キャトラ

まーたはじまった……

アイリス

でも、いつもと叫び声が

違うような……？

カティア

連邦の凡夫どもォ～！

この究極天才を犯罪者扱い

しよってからにィー！

キャトラ

ちょっと、一体なにごとよ……ん？

カティアの手には、
凶悪犯の指名手配書が
握られていた……

アイリス

指名手配書……？

でも、この顔写真って、

カティアさんじゃ……

キャトラ

ア、アンタまさか……！

変質者ならぬ犯罪者に……！？

カティア

ご、誤解だからァ！
私をはめようと企む
権力者の陰謀なのよォー！

キャトラ

陰謀～？

アイリス

あの……

一体なにが起きてるんですか？

カティア

……昔、連邦っていう諸国同盟が

設立した科学研究所に

いたことがあってねェ……

カティア

でもォ、この天才の偉大な発明を

勝手に兵器に転用しやがったから、

研究費だけごっそりいただいて、

エスケープしたのよォ～。

キャトラ

……やっぱり

犯罪の匂いがするんですけど……

カティア

いーえ、私は間違ってないわ！

この天才頭脳を好きにできるのは、

この世界で私一人ッ！

カティア

その私を利用しようだなんて、
たかが国ごときが
調子に乗りすぎなのよォ！

キャトラ

調子に乗ってるのは
アンタのほうでしょお！

カティア

あァーん！

世間が認める真の天才を目指して、

完全無欠のキャリアを

積み上げてきたのにィー！

カティア

私の努力と我慢をよくもォ～！

……こうなったら連中に

目にモノ見せてやるわァ！

キャトラ

ちょ！　一体なにする気！？

カティア

この私が調合した特製幻覚薬よ！
これを使うと、すべての人間が
私に見えるという悪夢の効能ッ！

カティア

コイツをバラ撒いて、

捜査をかく乱してやるわァ！

この私を指名手配したことを

後悔させてやるゥ！

キャトラ

ぎゃー！　やめんかー！

アイリス

お、落ち着いてください……！

カティア

むきィィーーー！！

思い出6

[主人公]と
カティアの間に、不思議な光が
淡く輝く――

カティア

この化学発光……はッ！

な、何かが私の頭で

ひらめいて……

おお……おお……おおお……

カティア

おっほォーーー！！

カティア

きたわァー！　降りてきたわァー！
かつてない発明のひらめきがッ！

カティア

こうしちゃいられないわッ！
メモ！　メモ！　メモォーーー！！

カティアは、
奇声をあげながら、
もの凄い勢いでメモをとっている！

アイリス

な、なんとか

思い止まってくれたみたいね……

キャトラ

いやこれ……ただ単に興味が

それただけじゃない？

カティア

ふう……なるほどねェ。

坊やは、どうしてもこの私の至高の

頭脳を手放したくないわけね。

キャトラ

なんでいきなり

そんな話になるのよ！

カティア

しょうがないわねェ！
坊やたちは優良パトロンだし、
特別サービスで協力してあげるわ！

キャトラ

話を聞けーー！

って、もういいわ……

なんか疲れた……

カティア

あ、そういえば……はい、コレ。

アイリス

薬瓶……？

あの、これって……

カティア

それ、最近流行ってる

疫病の特効薬。

忌々しい指名手配の一件で

すっかり忘れてたわ。

キャトラ

え！　特効薬って……

これがあれば病気が治るってこと？

カティア

その疫病限定だけどね。

誰も治せないみたいだったから、

私が薬を作っちゃったわ。

アイリス

そ、それって、なにげに

とてもすごいことなんじゃ……

カティア

あは！　驚いてるようねェ！

でもォ、天才ならこれくらいの薬は

作れて当然なのよねェ～！

キャトラ

アタシはどっちかっていうと、

そんな薬を他人のために

アンタが作ったことが驚きだわ……

アイリス

……ちょっと叫び声が怖いけど、

本当は良い人なのかも……？

カティア

おっほォーーー！！
脳内閃光きたァーー！
またまたきたァーー！！

カティア

やはり私は天才ィーー！
この調子でェー！
どんどん発明してくわよォー！

キャトラ

……やっぱりただの変人だわ……