ダリル・思い出

ダリルの思い出とボイス

思い出1

ダリル

俺の手は油とドロまみれッ！

愚にもつかねえ～たわごとを……

バカみたいに繰り返しながら、

俺は転がっていく～！

ダリル

HEYいかした光景だな。

兄弟。YEAH!こいつはバカげた

決まり文句。

ダリル

さあドブネズミども、カーニバルの
始まりだ！！

キャトラ

主人公……

誰よこの人。

ダリル

俺が～俺が、誰かだなんて～
そんなこたぁ、どうだって～いい！

キャトラ

どうだっていいって……

ダリル

実際～俺が～誰か……

だなんて、どうだって～いいだろ？

子猫ちゃん。

アイリス

歌いながらしゃべってる？

ダリル

俺は歌っちゃいねえ。
叫んでいるのさ！！

キャトラ

どっちでもいいけど、アンタ

いったい誰なのよ。

ダリル

ダリルだ。

ダリルは、ガッチリと
主人公の手を握った。

キャトラ

普通にあいさつできるんじゃない！

ダリル

あいさつ……HEY。

たしかに今のがこの俺の挨拶。

ダリル

こいつが俺の決まり文句。
明日が来るなんて、誰が決めた？
ここでくたばるか、それとも叫ぶか！

ダリル

もう知ってるだろ？　リストの中に
答えはねえ。お前は飛ぶしか
ねえんだってよ！

キャトラ

意味わかんない！
なによ勝手にやってくれちゃって！

ダリル

俺は、どこでだって！
勝手にやってやるんだよ！

ダリルは突然倒れた！

ダリルは白目をむいている……？

アイリス

ダリルさん！？

キャトラ

ど、どうしたのよー！！

ダリル

ぐがー、ぐがー。

アイリス

寝てるわ……！？

ダリルさん、寝てる！？

キャトラ

な、なんなのー！？

思い出2

キャトラ

いきなり来て騒いで

寝ちゃうなんてヘンな奴。

アイリス

三日三晩寝ないでずっと

歩いてたっていってたわね。

キャトラ

ムチャな奴だわね。

ダリル

今日もゴキゲンで最低な～

一日が始まるぜ……

ダリル

わかってる。そうお前はいう――

これじゃあ繰り返しだ……

ダリル

俺は何もできず～。ただ壁を殴るッ！
安い酒に溺れながら～ッ！！

キャトラ

おはようダリル。

よく眠れた？

ダリル

ああ、おかげさまでな。

キャトラ

やっぱり、普通に

しゃべれるんじゃない。

ダリル

普通っていうけど～。

子猫ちゃんよ。普通って、ナンだ？

キャトラ

普通かどうか、悩む必要のない

ことが『普通』よ。

ダリル

子猫ちゃんは物知りだ。

きっと、この世の全てを

知ってるんだろうぜ～。

アイリス

まあ。

キャトラ

それほどでもないわ？

アタシだって知らないことくらい

あるもの。

キャトラ

アンタがどこの何者か、とか。

ダリル

俺はただのダリルさ。

仕事は、ライブで女の子に

悲鳴をあげさせることだ。

アイリス

ダリルさん、歌手なんですか？

ダリル

イエスだ。

歌うっていうより、

叫ぶことが多いがな。

ダリル

俺は叫んでる……
それしかできないッ！
ああそうだ、全部でたらめなんだッ！

キャトラ

アンタ、歌うのが嫌になったの？

ダリル

最初はたった一人の、

ために……歌ってた～。

ダリル

だがいつしか、俺は～ステージで
奴らに向けてェ……叫んでたッ！

ダリル

嫌になった？

いいや、ちがうね。

……こうじゃないって思ったんだよ。

ダリル

そう、何かが違う……
だからこそ、俺は……！
転がってるのさッ！！

キャトラ

ところで、ヒマだったら

大工仕事手伝ってよ。

ダリル

お安い御用だ。

思い出3

ダリル

鼻のたれたガキどもが～
騒がしいステージでェ～
ピカピカのおもちゃを
ためしているぅッ！

ダリル

サーカスが始まるんだ。
奴らが待ってるゼ～！
さあ、引き金を引け！

ダリル

汚れたマネキンどもが～
はらわたをぶちまける～！

キャトラ

ダリルったら、いつもこんな

調子で、疲れないの？

ダリル

HEY!! HEY!!
YEAH!!
炎を吹きあげろッ！

キャトラ

なんか……魔物と戦うときも

この調子よね、アンタって……

ダリル

いかれてるぐらいが丁度いい。

俺たちはそれぐらいズレてるんだ。

違うか？　子猫ちゃん。

キャトラ

微妙に会話が通じたわ。

ダリル

次のパーティーにも誘ってくれ、

赤髪。

キャトラ

魔物討伐が、あんたには

パーティってワケなの？

ダリル

毎日がパーティーさ。

アイリス

助かりました、ダリルさん。

ダリル

白いひと。礼はいらないぜ。

俺は俺で、救われてるんだ。

ダリル

そう、拳は嘘をつかない。
言葉はいつも嘘だらけ。
唇を歪めながらッ、
奴らの看板をブチ破るッ！！

ダリル

ガキどもは～ハリボテでできた、

アイドルを……崇めてる。

ダリル

でも奴らだって知っているんだ。

ハリボテの後ろで、笑う奴らの

顔を……！！

キャトラ

アンタ……？

ねえ、そのアイドルって、

誰のことなの？

ダリル

誰でもいいのさ。

持ち上げられれば、

どんな奴でもな。

ダリル

俺たちは、どうしようもなく、

誰かを信じたい。そうじゃないか？

アイリス

……そうかも、しれませんね。

ダリル

誰でもいいんだ～俺たち、は……

そいつが全てを背負って、

くれるなら……

キャトラ

お昼……一緒に食べる？

ダリル

食べるぜ。

キュウリのサンドウィッチな。

思い出4

ダリルが飛行島の端に立ち、
空を眺めている。

キャトラ

あ、危ないわよダリル！

ダリル

雲が……俺を追い越していく～

実に～いい気分だ。

キャトラ

何やってるの？

ダリル

ああ、子猫ちゃん。

空を飛んでる気分を

味わってるところさ。

キャトラ

あれね。アタシたちもよくやるわ。

アイリス

そんな端っこじゃ、危ないですよ。

ダリル

いいのさ……俺はここがいい。

ダリル

ここだったら、空と雲以外は、

目に入らないだろう～

まるで風になったみてえ、だ～。

アイリス

主人公。

危なくなったらすぐ

島を止めてね？

ダリル

心配するなよ赤髪。

俺は……飛ぶのにゃ慣れてるんだ。

キャトラ

ホントに？

ダリル

ステージから飛ぶのには、な。

キャトラ

そっちか。

ダリル

俺は飛ぶ……

いつか落ちると知って……

でも本当は、飛んでいる夢を……

ダリル

見ている、だけかも、

しれない……

キャトラ

たまーに元気がないことを

いうのねアンタって。

ダリル

さあ、スピードを、上げていけ！
全て振り払って……
行ける～ように～！

ダリル

もっと、スピード出るだろ？

キャトラ

出るけど危ないでしょ！

ダリル

行こうぜ～太陽を～！
追い越して～やるのさ！

ダリル

……だめか。

キャトラ

ダメに決まってるでしょ。

ダリル

じゃ、いくぜ。

ダリル

ハッ！

ダリルは島を飛び降りた！

キャトラ

なっ、なっ……なんなのー！？

思い出5

キャトラ

いきなり飛び降りるなんて！
下が海だったからよかったけど！

ダリル

スピードが必要だった。

いかれた世界に追いつく

ために～YEAH!

キャトラ

もう、いったい何考えてんのよ
アンタは！

ダリル

何も考えちゃいないさ。

俺はいつだって～

思いつきで生きてきた。

アイリス

夢とかはなかったんですか？

ダリル

ふわふわ漂ってたら、

いつの間にかこうなってた。

まあ、そんな……もんさ。

キャトラ

実は先日、こんな雑誌を見つけたの。

雑誌の表紙は、ダリルだ。

キャトラ

堕ちた偶像、ダリルだって。

アンタ……いろいろ問題

起こしたんだって？

ダリル

俺は問題を起こしてるんじゃない。

俺そのものが問題なんだ。

キャトラ

この記事を読んでると、

アンタって……

相当悪い人みたいだけど。

ダリル

らしいな。

アイリス

本当なんですか、ダリルさん。

ダリル

信じたいものを信じればいい。

そう、どんなデタラメだって

選び～放題～じゃないか？

キャトラ

アンタに聞いてんのよ。

ダリル。

ダリル

ウソもありゃ、本当のこともある。

キャトラ

こっちの記事はどうなのよ。

ひどいじゃない。

ダリル

アートの学校に行ってたのは

本当だな。パントマイムを

やってたのも。

ダリル

だが、犯罪組織のボスってのは

ウソだ。シュミじゃない。

ダリル

ギャングで変態でいかれていて、

革命家で狂信者。

戦争大好きな平和主義者。

これはウソだ。こっちもウソ。

デタラメ。まさに俺だYEAH!

アイリス

……よかった。

キャトラ

ね、ねえ……この雑誌見ると、

もうアンタの歌う場所は

この世にないって……

ダリル

業界から追っ払われたって

だけだ。死ぬまでは俺は

ただのダリルさ。

キャトラ

追っ払われたって……

大事じゃないの。

記事ではアンタが契約を

破ったって書いてあるけど？

ダリル

曲が気に入らなかった。

だから白紙に戻した。

俺がしたのはそれだけさ。

ダリル

だが連中、未完成の曲を

世に出しやがった。

まあ戦争だよな。

ダリル

……奴らは俺の首輪に、鎖を

つないんだんだってよ。

笑えるじゃねえか？

思い出6

ダリル

ルーンの光か。

いかれた仕掛けだぜ。

ダリル

しっかし、ずいぶんと……

切ない光だな。

キャトラ

ソイツはアンタの心が～
輝かせてんのさッ！！　BABY!

アイリス

キャトラ！？

キャトラ

ダリルならこういうと思って。

ダリル

なるほどそいつはご機嫌だなッ！

ルーンの光は、
ベースギターに変わる！
ダリルはベースギターを
つかみ取った。

ダリル

いつだって、計画なんかなかった。

だから今度も、勝手気ままに

やらせてもらうぜ。

アイリス

ダリルさん、歌うんですね。

ダリル

ちがうぜ。叫ぶのさ。

…………

……

島の特設ステージには、
ものすごい数の人が
つめかけている。

アイリス

ここが、ダリルさんの

いっていた、ロックフェスの会場ね。

キャトラ

ものすごい人だわ！

ダリルの奴ここで

何をしようっての？

…………

……

プロデューサー

ようやくイベントも大トリか。
フフン、本来ここに立つはずだった
男はもういない……
どうしてか？　この俺に
逆らったからだ！

プロデューサー

何がミュージシャンだ、
アーティストだ。
誰がステージに立つのか
決めるのは、この俺だ！

ダリル

いつだってそうさ～。
めかしこんだ奴らにゃ～、
理解はできないッ！！

ダリル

叫ぶぜ……そうだ。

俺の出る幕じゃねえ。

つまりはベストタイミングだろ？

プロデューサー

……い、いつの間に！？
おい、警備員！　こいつらを
つまみ出せッ！！

キャトラ

ダリル！？
乱暴はダメよ！

プロデューサー

お、おい……！？
なんで見てるんだッ！

警備員

ダリル……帰ってきて

くれたのかい。

ダリル

待たせたな。

プロデューサー

な、なにをやってるッ！！
早くこいつを……！！
おいお前ら、俺に逆らうのか！

ダリル

時間があったら聞いていけ。

主人公。

ダリル

行くぜッ！！！
最初からHELLぶっ飛ばす！！

ボイス

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