ラクア・思い出

思い出まとめへ戻る

ラクアへ戻る

思い出1

？？？

ここが飛行島……

なかなか良きところのようね。

キャトラ

ん～？　アンタ、みない顔ね。

アイリス

新しいお客様ね。いらっしゃい。

？？？

ええ。よろしくね。

キャトラ、アイリス。

それにあなたも。

キャトラ

あ、あれ？

アタシ、名前言ったっけ？

アイリス

ううん、言ってないはずよ……？

キャトラ

なら、なんで

アタシたちの名前知ってんのよ？

？？？

なにも知ってるのは、

名前だけじゃないわ。

キャトラ

どういうこと？

？？？

言葉通りの意味よ。

カニカマが大好きなキャトラさん。

キャトラ

あ、アンタ、なに者よ！

ラクア

そういえば、

名乗ってなかったわね。

私はラクアよ。

アイリス

ラクアさんね。よろしく。

ラクア

ええ。これからお世話になるわね。

キャトラ

世話になるって、どういうこと？

ラクア

これから私も飛行島で過ごすのよ♪

キャトラ

え！？　そんなの――

ラクア

『聞いてないわ？！』

キャトラ

――聞いてないわ？！

って、なにこれ？！

ラクア

ふふふ♪

アイリス

今の……キャトラが言うことが、

わかったみたい……

ラクア

ええ。その通り。

ちなみに『みない顔ね』

の第一声からわかってたわ。

キャトラ

はぁ？？　そ――

ラクア

『そんなわけないでしょ！』

キャトラ

――んなわけないでしょ！
って、なんでわかるのよ！

ラクア

話してもいいけど今日は時間切れ。

そろそろ行かないと。

キャトラ

ちょっとぉ！？
このままだと気持ち悪いんだけど！

ラクア

ごめんね。

もうタイムリミットだから。

キャトラ

ならせめて、その理由だけでも
言っていきなさいよ！

ラクア

宿のチェックインの時間なの。

じゃあね。

キャトラ

……な……なんなの、あのコ……

アイリス

とっても個性的だけど、

いい子みたいだし、

きっとすぐに馴染むわよ。

キャトラ

う、うん。そうね……

思い出2

キャトラ

見つけたわよ、ラクア！
今日はキッチリ話してもらうわよ！

ラクア

ふふ♪　いいわよ。

ならもう一度、自己紹介からね？

ラクア

私の名前はラクア。未来樹

＜リラビスウルスノ＞の精霊よ。

キャトラ

精霊？！

アイリス

それに……未来樹ですか？

ラクア

未来樹は、過去や未来に根と枝を

伸ばし続ける、時の大樹。

ラクア

私はその樹の精霊だから、

未来のことを『予知』として

知ることができるのよ。

キャトラ

それで色々知ってたのね……

ラクア

あら……私の話、

すんなり受け入れたわね？

キャトラ

まぁね。アタシはふところが

でっかい女だから！

ラクア

そっか……そうなんだ、ふふ♪

キャトラ

ところでラクア。

アタシも知りたいことが

あるんだけど！

ラクア

知りたいのは、未来のことね。

こたえてもいいわよ。

キャトラ

本当！？

ラクア

でも、なにかをお願いするなら、

頼み方が……あると思うのよね♪

キャトラ

頼み方？

ラクア

ええ。やっぱり＜おねだり＞は、

可愛くだと思うの♪

キャトラ

オッケー。アンタが悶絶するほど

可愛いアタシのおねだりを

見せてあげるわ！

キャトラ

とう！
ころりん・ざ・きゃとらさん！

キャトラが可愛く寝転がると、
上目遣いで見上げてくる。

ラクア

ふふ♪　そこで小首をかしげて、

『お・ね・が・い♪』よね。

うん。かわいいカワイイ♪

キャトラ

お・ね・が・い♪　って、

予知なんてされたら、

インパクトが下がるじゃない！？

ラクア

大丈夫よ。十分可愛かったわ。

でも……

アイリス

ラクアさん、お願い♪

ラクア

アイリスのほうが勝ってるかもね。

アイリス

あっ、私のことも知って……

ラクア

ええ♪

ごめんね、意地悪なこと言って。

ラクア

ちょっとだけ、お友達みたいな

気軽なお喋りっていうのを

してみたかったの♪

キャトラ

このコ、わりと面倒くさいコね……

ラクア

だけど未来を知るのは、

良いことばかりじゃないわよ。

キャトラ

そう？　便利だと思うけど……

ラクア

人は便利なだけで、

幸せになれるわけじゃないから……

アイリス

ラクアさん……

なにかあったんですか？

ラクア

心配しなくても大丈夫よ、

アイリス。でも……

ラクア

気にしてくれて、ありがと♪

アイリス

…………

思い出3

キャトラ

そういえばラクアは、

なんで飛行島に来たの？

ラクア

私がここに来たのは、

＜未来樹の未来を守るため＞よ。

アイリス

……未来樹の未来を守る？

ラクア

あるとき、未来樹が予知したの。

自分は枯れてしまうかもって。

キャトラ

……かも？　それって、

まだわからないってこと？

ラクア

そう。だけど未来樹は、その未来を

変えるために私を生んだわ。

ラクア

そして私は、ここへやって来た。

キャトラ

ふ～ん。アンタが飛行島に来たら、

未来樹は枯れなくなるの？

ラクア

来ただけじゃ無理ね。

でも、これも必要なプロセスなの。

キャトラ

よくわかんないんだけど……

本当に未来なんて変えられるの？

ラクア

ええ。できるわ。

ただ、簡単じゃないだけよ。

アイリス

……もし、失敗したら

……どうなるんですか？

ラクア

そのときは……

私が次の樹になるの。

アイリス

次の……樹……？

ラクア

この姿を捨て、新しい樹になる。

私は苗木でもあるから。

キャトラ

アンタ、けっこう大変な

立場だったのねぇ……

ラクア

大変だけど、私は幸せよ。

キャトラ

どうしてよ？

ラクア

だって理由はどうあれ、

私は生まれて、今この姿で

世界を感じられているもの。

アイリス

世界を感じる……？

ラクア

そう……感じるの。

心と体の……両方でね。

ラクア

美味しいものを食べたり、

歌をうたったり、

人と触れ合ったり……

ラクア

本当に……人の器は素晴らしいわ♪

キャトラ

いい話に聞こえたけど、

そうでもなかったわね……

ラクア

別にいいでしょ。

感じ方なんて、人それぞれよ。

ラクア

だから私は未来樹を守るの。

私を私にしてくれた感謝を込めて。

アイリス

あのラクアさん、私達に何か

手伝えるなら、言ってくださいね。

ラクア

協力してくれるの？

アイリス

私の力が役に立つかは……

わかりませんけど……

ラクア

ありがと、みんな♪

ラクア

やっぱり……私、

人の姿になれてよかったわ♪

思い出4

ラクア

ねぇ、キャトラ。ちょっとお話が

あるんだけど、いい？

キャトラ

なになに？　なんの話？

ラクア

落ちついて聞いてね……

実は、キャトラに不幸が

訪れるってわかったの。

ラクア

この不幸は……

絶対に避けられないわ……

キャトラ

ちょ、ちょっとぉー！？
なんてこと言い出すのよ！

アイリス

あの……なにが起こるんですか？

ラクア

大丈夫よ。騒ぐほどじゃないわ。

ラクア

少しトイレから出られなくなるくらい、

お腹を壊すだけよ。

キャトラ

大騒ぎするレベルじゃない！

アイリス

キャトラ……なにか

おかしなものでも食べた？

キャトラ

食べてないわよ！

食べてない……はずよ！

うん、たぶん……

ラクア

心配ないわ。

まだ原因のモノは食べてないから。

キャトラ

よねっ！　アタシが、そんなもの
食べるわけないのよ！

アイリス

それでラクアさん、

その原因のものって、なんですか？

ラクア

キャトラが、おやつに

食べるつもりのカニカマよ。

キャトラ

っ！？　な、なんですって！！

アイリス

なら食べずに処分すれば――

キャトラ

待ってアイリスぅ！！

キャトラ

カニカマを処分するなんて、

もったいないわよぉ。ね？　ね？

アイリス

でも、お腹を壊すって

ラクアさんが……

キャトラ

よ、予知って言っても、

全部当たるかわからないし！

ラクア

そう、キャトラが言うのも

知ってたから……ほら。

そう言うとラクアは、
一本のカニカマを取りだした。

キャトラ

そ、それ、もしかしてアタシの？！

ラクア

正解。それじゃ、いただきます。

キャトラ

ぎにゃ―――ッ！！！

ラクア

ん～……美味しいけど、

やっぱり傷んでるわね。

食べなくて正解よ。

キャトラ

ウソよ！！　傷んでたなら、
アンタがお腹を壊すはずじゃない！

アイリス

ラクアさん、大丈夫なんですか？！

ラクア

ええ。私は平気なの。

キャトラ

なんでよ！　やっぱり傷んで
なかったんでしょ？！
そうだと言いなさいよぉー！

ラクア

残念だけど違うわ。私は精霊。

お腹を壊すなんて現象とは、

無縁なだけよ♪

アイリス

……だって、キャトラ。

キャトラ

なるほどね……って、
納得できるか――！！

思い出5

ラクア

…………

アイリス

あ、ラクアさん、おかえりなさい。

どこへ行って――っ！？

キャトラ

ちょ、ちょっと、アンタ
泥だらけじゃない！
どうしたのよ？！

ラクア

……これは……ちょっとね。

でも、大丈夫。

たいしたことはないから。

キャトラ

たいしたことないわけないでしょ！

アイリス

背中や髪にも……

これ、転んだとか、そういう

汚れ方じゃありませんよね？

ラクア

アイリスはよく見てるわね。

ラクア

……これは、さっき立ち寄った

街の人達に、

泥や石を投げられたの。

アイリス

……そんな……

街で何があったんですか？

ラクア

私は、これから街に起こる

未来を予知しただけ。

キャトラ

……それだけ？

ラクア

そうよ。でも、街の人達は

気に入らなかったみたい。

キャトラ

なんでよ？

ラクア

私が『あなた達の街に、
これから不幸が訪れる』

って告げたから。

ラクア

気分を悪くする人はいると思うわ。

キャトラ

だからって、こんなことすること
ないじゃない！

ラクア

……そうね。何も起こらなければ、

私が笑われて終わりだったわね。

アイリス

え……

ラクア

でも、予知した通り……

街は魔物に襲撃された……

キャトラ

でも、アンタが教えたんだから、

みんな無事なんでしょ？

ラクア

……いいえ。被害は出たわ。

アイリス

どうして……未来は変えられる、

そうラクアさんも……

ラクア

あの人達は、私の言葉を

信じなかったもの。

ラクア

だから、少しは時間があったのに、

無防備なままで襲われたの。

キャトラ

ならソイツら自業自得じゃない。

アンタを責める理由ないでしょ。

ラクア

あの人達は、

私が原因だと思っているから。

キャトラ

なんでよ！　アンタはみんなに
おしえてあげただけでしょ！

ラクア

そうだけど……あの人達は、

私が不幸を告げたから、

不幸になったと思ってるのよ。

ラクア

今では＜災いを告げる魔女＞

って呼ばれてるわ。

アイリス

……そんな……

ラクア

ごめんね。こんな話を聞いたら、

私をここに受け入れるのは

嫌かもしれない。

ラクア

でも私は、飛行島を

離れる訳にはいかないの。

ラクア

お願い……今までどおりでなくて

かまわない……

私をここにいさせて……

思い出6

ラクア

これ……ルーンの光……

あの、みんな……

キャトラ

いらない心配してんじゃないわよ。

ラクア

え……

キャトラ

そんなことでアタシたちが、

アンタを追い出すわけないでしょ。

ラクア

キャトラ……

アイリス

そうですよ。もう私たちは、

仲間じゃないですか。

ラクア

ふたりとも……

そっか。仲間、か……ふふ♪

ありがとう、みんな。

キャトラ

なにホッとした顔してるのよ。

アンタ、こうなること

知ってたんでしょ。

ラクア

……いいえ。知らなかったわ。

キャトラ

別に隠さなくてもいいわよ。

その程度のことを、

アタシたちは気にしないし。

ラクア

隠しても、ごまかしてもないわ。

本当に知らなかったのよ。

キャトラ

え、だって予知で分かるでしょ？

ラクア

……知りたいと思えばね。

でも、この未来を予知するとか……

そんな……

ラクア

そんな野暮なことできないわ！

ラクア

未来樹の未来を守るために、

私はこの飛行島で

みんなと出会う必要があった。

ラクア

だから私は人の形をして、

この世界に生まれたわ。

ラクア

けどね、使命だってだけで、

仲間になりたかったんじゃないの。

ラクア

私はみんなが、私のことを知っても

受け入れてくれたから

仲間になりたかったのよ。

アイリス

……ラクアさん……

ラクア

避けるのでもなく、そしるのでもなく、

まして利用しようとも考えずに、

ただ私を受け入れてくれた。

ラクア

それが嬉しかったから思ったのよ、

みんなの仲間になりたいって♪

キャトラ

アンタ……

ラクア

だから予知を使って『正解』を

知って行動するとか、

そんな無粋なマネできないわ。

ラクア

私はみんなのことを信じて、

仲間になりたかったのよ。

アイリス

そうだったんですね……

キャトラ

決めつけてて、ごめんなさい……

ラクア

気にしてないわ♪

アイリス

でも、信じてくれてたってわかって、

なんだか嬉しいです♪

ラクア

じゃあ、改めて言うわね。

これからもよろしくね、みんな♪

キャトラアイリス

よろしく♪

ボイス

---