蓮花血鴨・物語
一 浮上夢の如し・壱
◆主人公【男性】の場合◆
(逆の場合の差分は募集中)
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霧が消えた後、山々の緑ははっきりと映るようになってきた。穏やかな川の流れは、まるで凍った鏡のようだった。
茂る林からはセミの声がしていて、ジーン、ジーン、ジーン、
三日前と比べても、メロディは全く同じで、まったく変わり映えがしない。
かにみそ湯包
「おいおい、なあおれたちはいったいどこに行ってんだ?
もう3日間ここを歩き回ってんだぞ」
餃子
「あいや~湯包ちゃんはイライラしているようだね~。
後で火を焚きつけて、リラックスできるお茶を淹れるかい?」
餃子
「ふむ、やはり佛跳牆が帰って来てからまた作ろうかねぇ。
どこへ野菜と果物を探しに行ったか知らないけど、こんなに時間が経っているのに、まだ戻ってこないんだねぇ…」
佛跳牆
「美人のお腹を空かせるなど、できると思いますか?
ご安心ください、すぐに食べ物をたくさん持って帰ってきますよ。」
蓮花血鴨
「木に痕跡をつけることを忘れるなよ。」
佛跳牆
「ふふ、蓮花頼みましたね。
美人今後はよろしくお願いします。」
しかし、彼は行ったまま帰ってこなかった。
音信不通どころか、途中で見かけた木にも、何の痕跡も残っていなかった。
かにみそ湯包
「はぁ、あいつは多分美しいものでも見かけて、すぐ帰るって言ったことすら忘れてんだろ。わかってる――」
蓮花血鴨
「誰かに殺されたかもしれない。」
蓮花血鴨は手を伸ばし、沼に落ちそうになったかにみそ湯包を引き留めた。
蓮花血鴨
「もしこれ以上いい加減なことをするようなら、次はお前の番かもしれないぞ。」
かにみそ湯包
「な、何を言ってるんだ!?」
餃子
「ああ、みんな騒がないでよ~。この沼は今朝通ったことがあるみたいだねぇ…」
餃子
「携帯糧秣も全部食べてしまったし、どうしたらいいんだろうねぇ~。
このまま道に迷っていたら、もう…」
かにみそ湯包
「おい、ほら!あの石橋の奥に木の小屋がある!」
波風の立たない川水が沿岸の土を侵食したため、近くに水に囲まれた中洲ができた。
苔むした石橋が、木造小屋に通る唯一の道だった。
餃子
「よかった、早く中に入って食べ物がないか探そうよ~。
ついでに体を休ませてくれないかい…」
蓮花血鴨
「だめだ。この小屋の周り――」
かにみそ湯包
「ダメか?ふん、入らないならどうするんだ、ずっとここを回るのか?
瀛州を出るどころか、明日、太陽を拝めるかすらわからねえじゃねえか!」
【選択肢】
・中で少し休みましょう
・根拠地が必要だ
選択肢
中で少し休みましょう
餃子
「そうだよ、みんな何日間も外で泊まっているからね。
蓮花血鴨は私たちに比べて、行軍や戦争で慣れているからねぇ~」
蓮花血鴨
「…俺は別に」
根拠地が必要だ
餃子
「○○の言う通りだよ~。
根拠地で休憩している間は、佛跳牆の戻りを待っていようねぇ。」
蓮花血鴨
「…こんなところで?は、面白い」
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餃子の手伝いもあって、かにみそ湯包はよろよろと石橋から這って出てきた。蓮花血鴨は何も言わず長槍をしっかり握ったまま、後方から皆を守っている。
餃子
「あいや~蓮花血鴨、どうして中に入らないんだい?
湯包ちゃんが部屋に一人でいるから心配だよ。」
蓮花血鴨
「この小屋の周りには…懐かしいにおいがする…俺とよく似たにおいだ…」
餃子
「うん?何を言っているんだい?
そうだ、庭にたくさんの野菜と果物が植えられていたから、採りに行くねぇ~。
これで食材の心配はしなくてもいいよ。」
餃子はどこからか拾ってきた竹籠を背負って、楽しそうに出発した。
蓮花血鴨
「……○○。」
蓮花血鴨
「お前の服から布を少し借りてもいいか?
この小屋の門の上にかけておきたい。それを見た佛跳牆が、気づくかもしれないからな。」
【選択肢】
・どこの布がいい?選んで
・これはよくないかも…
選択肢
どこの布がいい?選んで
蓮花血鴨
「ほう、俺のような悪鬼でさえからかうのか?」
蓮花血鴨
「これにしよう。この色は、ひどい霧にも見えるからな。」
これはよくないかも…
蓮花血鴨
「…俺のミスだ。俺のマントの布を結びつけたほうがいいな。」
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かにみそ湯包
「おい、おまえたち…」
かにみそ湯包は小屋の前に立ち、震えながら竹かごの野菜と果物を抱きしめている。
なぜかはわからないが、彼はずっと驚いた表情をしている――
かにみそ湯包
「おまえたち…餃子を見なかったか…」
かにみそ湯包
「お、おれが探しに行ったら!
竹かごがあっただけで…餃子はいなかった…」
かにみそ湯包
「餃子が何も言わずにいなくなるなんてありえない!
きっとなにかと会って、それで竹かごが転がってたんだ…」
かにみそ湯包
「お、おれたち、一人ずつ消えんのか!?
次は、おれの番!?」
かにみそ湯包はしどろもどろでおかしな発言を繰り返している。一度も見たことがないくらい、パニックになっていた。
【選択肢】
・怖くないよ、守ってあげるから
・怖くないよ、蓮花血鴨が守ってあげるから…
選択肢
怖くないよ、守ってあげるから
かにみそ湯包
「なんでだよ!だ、誰が、おれが怖がってるって言った!
お前に守ってもらう必要もないんだぞ!だから、自分のことちゃんと守れよ!」
蓮花血鴨
「面白いことを言うな。」
怖くないよ、蓮花血鴨が守ってあげるから…
蓮花血鴨
「フン、この悪鬼を恐れぬというなら、子供を守るぐらいたやすいことだ。」
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蓮花血鴨
「…霧が出てきたな。お前たちは部屋に戻っていろ。」
外の沼沢からは霧がかかり、夜空のわずかな光すらさえぎられている。
雨がしきりに渡り廊下を叩いているが、静かで何も聞こえない。
かにみそ湯包
「おかしい、これは何もかもおかしいだろ!
…お、おれ、この部屋に一人はいやだ!」
かにみそ湯包
「わ、若を守らなきゃ!」
かにみそ湯包はフードを少し引っ張り、急いで長廊に通した。
若の部屋に走っていこうとして、誰かがもうドアの前に立っていることに気づいた。
蓮花血鴨
「○○、俺だ、お前に相談したいことがある。」
蓮花血鴨の姿は門の後ろに消えていった。
かにみそ湯包
「あいつらは深夜…」
かにみそ湯包
「ふん、将軍といっても、結局は臆病者かよ!
お、俺はそんな弱くない…お、おれ一人で、大丈夫…」
かにみそ湯包
「お、おれ、一人でも、大丈夫…」
二 浮上夢の如し・弐
◆主人公【男性】の場合◆
(逆の場合の差分は募集中)
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蓮花血鴨
「ここはどこだ…?なぜこんなにも懐かしい…」
兵卒甲
「報告――!敵軍の西南方の米蔵はもう破れた!
統率の乱れている今こそ、奇襲のチャンスだ。」
劉徳林
「ほう、いいニュースばかりだが、宋の国を取り戻すにはまだまだだ…
文相が生死不明のまま捕らえられ、それ以来情報がない、そんな中で兵士たちはどこまでできるのか…」
劉徳林
「我らの兵士も、長いこと肉を食べていない…」
回想の蓮花血鴨
「俺達の軍隊はもう千人を超えた。最近では、失った土地をまた一つ取り戻した。
城の壁の葦を焼いた時、文相が兵馬司に連れられて行くのが見えたが、敵は多く、藪をつついて蛇を出す様な真似を、俺はしなかった。」
回想の蓮花血鴨
「「宋皇帝」の名の下で、何年間も戦ってきたのは、我が宋国を復興させ。文相を故郷へ迎え入れるためだろう。」
回想の蓮花血鴨
「戦士たちよ、かつて、文相が俺達と血盟を組んだことを忘れたのか?
何をぐずぐずしている?今こそ戦う時だ。」
兵卒たち
「国は故郷を忘れ、元と宋に抵抗する!」
兵士B
「蓮将軍は忠義堅節であり、堂々たる人であり…昔の文相と似ている…」
蓮花血鴨
「そうだ…文相は俺を作ってくれた人だから。
俺にとって、彼は俺の実の父親だ。…」
蓮花血鴨
「なんだ、この懐かしい場面は…俺は…夢でも見ているのか…」
都虞侯
「蓮花将軍――!」
都虞侯は機密文書を持って、青ざめた顔でそばに立っていた。
都虞侯
「文、文相、文相は…」
回想の蓮花血鴨
「何があった?早く言え!」
都虞侯
「中書平章、阿合马政治官の家で…」
都虞侯
「文相は…お亡くなりになりました。」
回想の蓮花血鴨
「な、なんだと――!!」
蓮花血鴨は機密文書を奪い取り、その震える指先で紙を破ってしまった。兵士たちはテントで静かに彼の決定を待っている。
【選択肢】
・この文書に書いてあることは事実なのか?
・この文書はどこで手に入れたのか?
選択肢
この文書に書いてあることは事実なのか?
都虞侯
「確かな者からです、おそらく嘘ではないでしょう。」
この文書はどこで手に入れたのか?
都虞侯
「阿合马の屋敷に潜入している我が軍の駅使から届きました、彼はちょうど…」
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回想の蓮花血鴨
「……」
回想の蓮花血鴨
「お前の情報は早いから、この事件の関係者リストを書いてくれ。」
回想の蓮花血鴨
「今回のことはテント内の誰にも言うな、もしバレたら、軍法で処分する。
宋校尉、右後方からの敵は、お前に任せる。」
劉徳林
「蓮華、これは…」
回想の蓮花血鴨
「大丈夫だ、すぐに戻るから。
劉、その間の食材はお前に任せた。」
突然の事件に直面しても、蓮花血鴨はすぐに冷静さを取り戻した。
彼は落ち着いて、全ての説明をし終えると、鏡に向かい身綺麗にしてからテントの扉を開けて、離れていった。
庭は広く、屋敷や屋根の装飾は全て美しく、よく出来ていた。
窓から内側を除くと、酒を飲み、歌ったり踊ったりする光景がぼんやりと見えた。
阿合马
「おいおい、もう無理だ、飲めないぞ。
俺は…少しトイレに行ってくる。」
阿合马が足早にエンジュの森を通り過ぎようとしたとき、その後ろに何者かの影が近づいてきて――辺りがより暗くなったことに気づかなかった。
???
「晁错、卫鞅、彭仲、どれがいい。」
阿合马
「お、お前は誰――」
鎧に包まれた手が彼の口を塞ぐ。更に声は重くなり、言葉を続けた。
回想の蓮花血鴨
「答えろ、晁错、卫鞅、彭仲、どれがいい…どうやって死にたい?」
阿合马
「お前はれ、蓮…助けてく――ぐああああ――!」
蓮花血鴨は阿合马の首元に突き付けた七首を横にすべらせた。その勢いは激しく、刃は額についた赤い色を強く映し出していた。
回想の蓮花血鴨
「答えられないようなので、俺が選んでおいたぞ。」
役人
「だ、誰か、刺客だ!!」
回想の蓮花血鴨
「ほう?お前は…リストに載ってないな。」
回想の蓮花血鴨
「別にいいさ。ちょうどここに…「インク」が十分。
俺宋を侵略する者は、全員ぶっ殺す――!」
蓮花血鴨
「…太陽が…いつの間に昇ったんだ?フ、俺はどうやって街まで来たのか。」
民衆が街の向こうからゆっくりと歩いてきた。皆目を腫らし、中には咽び泣く女性や子供もいた。
回想の蓮花血鴨
「……」
【選択肢】
・どこから来た?
・なぜ泣いている?
選択肢
どこから来た?
中年女性
「もちろん柴市口だ…こんな時だ、それ以外の場所があるか!」
なぜ泣いている?
中年女性
「こんな時に泣かないでいられるわけがない。宋…宋は本当に死んだ!」
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中年女性
「文相…文相は柴市口で首を切られたところだった!彼、彼は南を向いて三回叩いて、国に報いて死んでいった――!」
官吏
「官府の親戚から聞いた話だが、現皇帝は文相を尊敬しているから、彼を殺す気はなかったそうだ…」
官吏
「しかし、彼の権威の高さから、近年では数えきれないほどの旧臣達が反旗を翻した…
ある者は「宋皇帝」の名で脱獄を援助し、ある者は城の壁の葦を焼き、またある者は…」
官吏
「昨日の夜は中書平章政治阿合馬を暗殺された――!!
これは今の皇帝にどうすればいいのか――」
中年女性
「よくそのようなことが言えたものだ…あの旧臣たちも血の気だけは多い…」
官吏
「いずれにせよもう決まったことだ…どうしようもない」
回想の蓮花血鴨
「……」
回想の蓮花血鴨
「………………」
回想の蓮花血鴨
「ハハ…ハハハハ......アアハハハハハ――!!!!」
やっと聞こえた…あの声。
とても、とても軽くて、うっかり聞き逃してしまいそうな声…
元朝軍官
「おい、そこの褐色の鎧を着た男!何を街中で大笑いしている?」
回想の蓮花血鴨
「褐色?」
回想の蓮花血鴨
「ああ、知っているぞ。お前は脱歓察児だな、俺のリストの中でも有名人だ。」
槍が馬の腹を貫き、狂気に満ちた笑い声が空を切る。
兵卒
「何?刺客か!早く囲め――」
騙された?誤報か?国のための犠牲になった?それとも…俺が…
これではもう貴方と会えない…
もしやり直させるなら、
もしやり直させるなら!
あの声はもう聞きたくない…
蓮花血鴨
「あの声はもう聞きたくない......」
回想の蓮花血鴨
「あの声はもう聞きたくない......!」
回想の蓮花血鴨
「あの声はもう聞きたくないあああああハハハハハハハハ――!!!」
回想の蓮花血鴨
「文相、俺は、あなたの流した血を無駄にはしない!
このリストの人間を全部始末したら、あなたの元に行きましょう――」
回想の蓮花血鴨
「全部……死ねえええぇぇ!アハハハハハハハハ――!!!」
かにみそ湯包
「あ、ああ――!れ、蓮花血鴨、おまえ…」
かにみそ湯包
「若に何をしたんだ!」
かにみそ湯包
「なんでこいつはひどい怪我をしてベッドに寝かされてんだ!なんで…お前…」
かにみそ湯包
「なんで、こいつは血まみれなんだ…おまえは一体…何をしたんだよ!?」
三 浮上夢の如し・参
◆主人公【男性】の場合◆
(逆の場合の差分は募集中)
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濃い霧が立ち込め、石橋のそばには血まみれの蓮花血鴨が立っている。
彼の前には、震える箸があった。
かにみそ湯包
「お、おまえ、逃げるな!
若を傷つけんなら、死ぬまで戦う!」
蓮花血鴨
「死ぬまで?
ハ、○○も動けないというのに、どうしようと言うのだ?」
かにみそ湯包
「出口を探して、若を連れて家に帰んだよ!
おまえ、若がおまえを空桑に連れてきたってのに、こんなに傷つけられて…お、俺は絶対ゆるさねぇからな!」
蓮花血鴨
「お前、ずいぶんとうぬぼれているな。
お前と俺とじゃ戦力に差がありすぎる。○○は今の状況から見て、今すぐ帰ったとしてても治せないだろう。」
蓮花血鴨
「○○に少しでも忠誠心があるなら、俺が戻るまでここで待っていろ。」
かにみそ湯包
「おまえの話は信じないぞ!槍を出して逃げるな!」
蓮花血鴨は軽々と彼の武器を避け、一気に川の向こうへと跳んだ。
蓮花血鴨
「俺を信じる必要などない。元々悪鬼だからな。だが、覚えていてくれ――」
蓮花血鴨
「○○を連れてどこかに行けば、結果はこれと同じだ。」
天高くまで届くような轟音が響き、石橋は槍に砕かれ真っ二つになってしまった。
かにみそ湯包
「お、おまえ、知ってるんだろ…くそ、わざとやったんだろ!?帰ってこい!」
蓮花血鴨
「やはり、前はずっとあの小屋の周りを回っていたか。」
蓮花血鴨はひどい霧に邪魔されながらも、ようやく新しい山の姿を見つけた。
それと同時に、そう遠くはない場所からかすかな音が聞こえた。
蓮花血鴨
「これは、俺たちがずっと探していた青玉膏山。ならばこの水の音は玉醴泉に違いない!」
蓮花血鴨
「彼の傷は、おそらくこの仙泉だけで。…」
蓮花血鴨は跡を残して、その場を離れた。
蓮花血鴨が小屋の前に戻ると、かにみそ湯包が中で人と話しているのが聞こえてきた。とても興奮しているようだ。
窓から中を覗くと、見覚えのある姿があった――
???
「早く行け、餃子と佛跳牆が外で待っている。
グズグズしてたら、若の怪我はひどくなる一方だ。」
かにみそ湯包
「お、おれは、まだおまえが信じられない!まずあいつらを連れてくるんだ!」
蓮花血鴨は一足で、廊下から部屋に入った。
かにみそ湯包
「お、お、おおお、おまえは誰だ!?」
かにみそ湯包は呆然と目の前にいる姿がそっくりな二人の食魂を見ている、この二人のどちらが本物でどちらが偽物なのか区別がつかないのだ。
???
「おまえは誰だ?なぜ俺のフリをしている!」
???
「かにみそ湯包、この悪鬼に惑わされるなよ。
俺が本物の蓮花血鴨だ。もし疑うなら、お前は――」
ずっと黙っていた蓮花血鴨は、突然槍を振り回し、彼をいくつかの幻影に切った。
「ぐあああ――お、おまえ――!!」
蓮花血鴨
「将軍?
フ、この蓮花血鴨は、ただの悪鬼だ。」
かにみそ湯包
「お…おまえは本物の…」
突然攻撃を受けた食魘は、倒れこんだ。
ずっと漂っていた霧も消えていった――
蓮花血鴨は消えゆく食魘の霊体のそばでうずくまり、その手を掴んだ。
その指先にはまだ黒い血痕がついている――
蓮花血鴨
「俺の鎧に鶏の血をかけるとはな…
笑わせるな。人間の血の匂いは、お前よりもよく知っている。」
かにみそ湯包
「とっくに知ってたのか?
なら、なんで弁明しないんだ!自分が濡れ衣を着せられたとわかってたくせに!」
蓮花血鴨は少し黙って、死に瀕している○○をおぶった。
蓮花血鴨
「行くぞ。」
かにみそ湯包
「早くおれを下ろせ!
も、もう川は渡ったし、二人も背負っていたら疲れないのか?」
蓮花血鴨
「足があるなら自分で降りろ。」
かにみそ湯包はすぐに飛び降り、そしてふくれ面をして蓮花血鴨のあとをついていった。
かにみそ湯包
「どこに行くんだよ?霧も消えたし、空桑に帰るならこの方向は違うだろ!
勝手に他のとこにでも行ったりでもしたら容赦しないぞ…」
かにみそ湯包
「ん?また霧かよ…」
蓮花血鴨は、何かがおかしいと感じていた。
山脈に入ったときから、ずっと温い液体が、その足に落ちていた――
蓮花血鴨
「かにみそ湯包、今俺の上にいる○○はどうなっている?」
蓮花血鴨
「かにみそ湯包?」
ヌンチャクを持っていたあの少年の姿はいつの間にか見えなくなっている。
そして蓮花血鴨に背負われていた人が、ゆっくりと言い出した――
劉徳林
「蓮花。下ろしてくれ…もう歩かなくていい…」
蓮花血鴨
「!?」
劉徳林
「文丞相が亡くなった時から、もう何百回と一緒に戦ってきた…
蓮花、俺も年を取った、こうしておまえを見守ってやることはもうできない…」
劉徳林
「その恨みは…いつになれば消えるだろう…」
蓮花血鴨
「お、お前は誰だ!?劉は…とっくに死んだ!」
バカな、これはきっと夢だ…
だがなぜだ、なぜ…一番思い出したくない光景が夢に現れるというのか…!
劉徳林
「はぁ……」
劉徳林
「下ろしてくれ。背中をたくさんの矢に射られたから、じきに死ぬだろう。
もし来世があるなら…軍人じゃなく、今度は食事処の料理人になりたいなぁ…」
劉徳林
「そうしたら…蓮花血鴨をもっとおいしく作ってやれるだろうなぁ…
い、いや、来世ではうっかり血の酒をチリソースに間違えて入れたりしない…」
劉徳林
「おまえが化霊したなら、心の苦しみと痛みは…きっと今よりは少ないだろう…ゴホゴホ!」
蓮花血鴨
「何を言っている?
お前のことは昔から知っているぞ…まさか、あの蓮花血鴨はお前が――」
劉徳林
「馬鹿者…文丞相が、テントの中でつまみを作るなど…するものか…
ゴホゴホ…少し痛いな…」
蓮花血鴨
「その体の傷跡はあの時の…どうして、俺を矢の攻撃から守ったんだ!
なんで俺なんかを守ったりしたんだ!!」
蓮花血鴨
「劉、しっかりしてくれ。すぐに侍医校尉を連れてくるから!
お前は死んだりしない、信じろ!」
蓮花血鴨は自分の腕が人に握られているように感じた。
見上げた劉徳林の目には輝きがあふれていたが、また同時に果てしない悲しみもたたえていた。
劉徳林
「もうやめてくれ、蓮華。
お前が何人を殺そうとも、何回戦おうとも……」
劉徳林
「宋はすでに滅んだ。俺も文丞相と一緒に逝くから…
だがおまえは、まだ長く生きることになる…」
劉徳林
「残りの時間を、俺がいないこれからの日々を…
こんな恨みを持って生きてはいけない…」
蓮花血鴨
「いやだ…」
劉徳林
「俺を信じてくれ、いつかおまえは違う人生を送ることになる…」
劉徳林
「痛みと復讐を忘れれば…おまえは穏やかに生きることができる…」
劉徳林
「東から登って西へ沈む太陽のように、冬の雪と夏の日差しのように…俺の子よ…」
劉徳林
「おまえの人生の中で…きっと何か新しいものが…おまえを待っている…」
いやだ、いやだ――俺から離れないでくれ!
もうあの声を聞きたくない…あの永遠に救われることがない声を…!!
嫌だ――!!!
蓮花血鴨
「○○!!!」
目を覚ました蓮花血鴨は、霧が消えていることに気づいた。
彼は腕の中にいる人を抱えて、よろめきながら泉の方へ歩き出した。
蓮花血鴨
「あの声だけは…もう二度と聞きたくない…」
蓮花血鴨
「泡がはじけるように…「ポン」という音がした。
それは大事な人が…消えていった音だ…」
蓮花血鴨
「○○、早く飲んでくれ。
これは玉醴泉、お前が空桑に持ち帰ってみんなに飲ませたがっていた聖なる泉だ。早く飲んで、早く治してくれ!」
佛跳牆
「蓮花血鴨?
随分探しましたよ。てっきり隙を見て、美人と一緒に駆け落ちしたのかと思いましたよ。」
餃子
「あいや~無事に戻ってこれてよかった。
瀛州の霧は、人の執念を引き出して苦しませるらしいから、心配していたよ~」
かにみそ湯包
「おい、若に何したんだ?なんで若がおまえの腕で寝てんだよ?」
蓮花血鴨
「……」
【選択肢】
・蓮花血鴨、助けてくれてありがとう。
・蓮花血鴨、そばにいてくれてありがとう
選択肢
蓮花血鴨、助けてくれてありがとう。
蓮花血鴨
「起きたのか?体の傷が消えている…
これは泉のおかげなのか…それとも全て夢だったのか?」
蓮花血鴨、そばにいてくれてありがとう
「いや、お前がいつもそばにいてくれたから。あんなひどい悪夢の中でも…」
共通
蓮花血鴨
「まあいい。無事で…よかった。」
餃子
「あいや~泉は入れたから、みんなは片付けて空桑に帰ろう~」
【選択肢】
・一緒に帰ろう
・すべてうまくいく
選択肢
一緒に帰ろう
佛跳牆
「今回の探索にだいぶ時間がかかりましたし、そろそろ空桑に帰らないとみんなが心配してしまいますね。」
すべてうまくいく
かにみそ湯包
「は?若は何で急にそんなこと言いだしたんだ?」
共通
蓮花血鴨は立ち上がって、山の向こうを眺めた。
穏やかな黄昏の中に、ゆっくりと沈んでいく夕日がそこにあった。
蓮花血鴨
「家に帰るぞ。」
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