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調味料・物語

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一 幸福の色・壱

◆主人公【男性】の場合◆

(逆の場合の差分は募集中)

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調味料

「~♪~♪~♪」


双皮ミルク

「わあああああ!」


調味料

「わぁ――!!」


双皮ミルク

「新しくきた調味料ちゃんだね、びっくりさせちゃったかなとめないで素敵な鼻歌だったよ!ちょうどすこし疲れてやすもうとしたんだから続けて続けて!」


双皮ミルクは手にある牛乳がいっぱい入ったバケツを降ろしてから、おでこの汗を拭いた。

調味料は彼が暑さと疲労で赤くなってしまった顔を見つめて、何か考え始めたようだ――


調味料

「う……て、手伝うよ!」


双皮ミルク

「だだだめだよ背が小さいんだからこのバケツはあなたには無理なんだからぼくがやるよ!!」


調味料

「シュシュシュッシュ!」


調味料が手を伸ばすと、輝く光は小鳥のように彼の手から飛び出し、双皮ミルクの懐へと潜り込んだ――


双皮ミルク

「ん?」

「すごいねつかれが取れたよあなたは食魂を強くさせる方法を持っているのは本当だったんだ!ありがとう!一気にこの牛乳を厨房まで運ぶぞ!」


双皮ミルクはバケツを持ち上げ、たくましい仔牛のように走っていった――


調味料

「ふふっ~ど、どういたしまして~」





餃子

「うー!!」


餃子

「自分の腰っときたら、年には敵わんな……」


餃子

「貴方は……調味料ちゃん?いいところに来てくれた、だれかよんでくれないかね?

 うっかり腰をいわしてしまったのでな!」


調味料

「ここが……痛いの?」


調味料

「シュシュシュッシュ!」


調味料は彼の小さな手を餃子の腰に重ねる。

暫くすると、餃子の眉間のしわが取れたようだ――


餃子

「う、もうそんなに痛くないよ。体も軽くなったし、まるで若返ったみたいだ!管理司が言っていたのは本当なんだね、空桑に食魂の潜在能力を引き出せる子が来たとか……」


餃子

「あはは、まさに後生畏るべしだね!」


調味料

「うん~餃子の爺ちゃん……まだ努力しないと、もっと強くさせる!」


餃子

「お?謙遜でいい子だね!」


調味料

「んへへ~」






調味料

「は、はい、若様~」


調味料

「ふふっ~ど、どういたしまして!」


調味料が持って来てくれた胡椒を手に取ると、鵠羹が笑いながら話し出した――


鵠羹

「調味料ちゃんは来て間もないけど、もうずいぶんと君の善行を聞いてるよ。」

【選択肢】

・いいこだね

・こんなに早くみんなと仲良くなれるなんて

選択肢

いいこだね

調味料

「うん~恥ずかしい~」


鵠羹

「恥ずかしがることはないさ、調味料ちゃん。若は本心で褒めてるんだから。」


こんなに早くみんなと仲良くなれるなんて

調味料

「やぁやぁ~」


調味料

「僕……若様が好き、みんなが好き!」


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符離集焼鶏

「くそ!全部当てることはできなかったか――」


調味料

「僕……符の兄ちゃんを手伝ってくる!」


鵠羹

「調味料ちゃん、待って――」


鵠羹

「若、今年の人助け賞にまた一人候補が増えましたね!」


二人がついていくと、調味料は符の前で、少し困惑した顔をしていた……


調味料

「あれ?」


調味料

「シュシュシュッシュ!」


符離集焼鶏

「どうした、小僧?なにをする気だ?」


調味料

「うわあ……!」


その困惑は驚きや悲しみの感情に変わった。

その子は大きな声で叫び、彼に背を向けてどこかへ飛んでいってしまった――


鵠羹

「調味料ちゃん?!」


符離集焼鶏

「どうした?あの小僧大丈夫か……」


符離集焼鶏

「ちっ!そんな目で見るなよ。言っておくが、いじめたりしてないからな!」


符離集焼鶏

「あいつが手伝うって言って、俺の前でしばらくヒュヒュってしてから、叫んで去ったんだよ!

 信じてなかったらあいつに聞いてみろよ!」





しかしその者たちは空桑のあっちこっちを探し、日が暮れる時になっても、あの子を見つけ出すことができなかった。

他の食魂たちもこの事を聞くと、みな焦りだし、調味料の姿を探し出した。


鵠羹と二人で裏山に到着する頃は、月が暗雲に隠されていた。

見上げる夜空は重たい鉄の塊のようで、漆黒で冷たい微光を放っていた……


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二 幸福の色・弐

◆主人公【男性】の場合◆

(逆の場合の差分は募集中)

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鵠羹

「調味料ーー調味料ちゃんーー!!」


鵠羹

「符たちは調味料を見つけてくれたかな……」


鵠羹

「うん?若、あちらから……何やら音がします!」


後ろの茂みからカサカサと音がしてきて、二人で振り返った。弱い光がその茂みを照らし、葉っぱの隙間からは植物のものではない輝かしい光が薄ら見えてきたのだった。

息を殺して接近すると、探しても見つからなかったあの子が木の後ろにかくれていた。彼は両手で膝を抱え、ビンの中でまるとなっていた――彼はとても小さく見えた、普段よりも小さく。


調味料

「ここは誰もいない……誰もいない……」

「見つからないから……若様は僕のこと見つけられないから……」

【選択肢】

・ふふんっ~見つけた~

・私に見つかって欲しくないのは、私のことが嫌いになったからなの?

選択肢

ふふんっ~見つけた~

調味料

「わぁ――!!」

「若……様!」


鵠羹

「そうだ。若は前回の空桑かくれんぼ大会の優勝者だった」

「調味料ちゃん、もう勝手にどこかに行っちゃったらだめだよ。若もみんなも、心配したんだからね」


調味料

「鵠羹……の兄ちゃん!」

私に見つかって欲しくないのは、私のことが嫌いになったからなの?

調味料

「わぁ――!!」

「若……様!」

「若様……嫌いじゃない!若様……好き!」

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その子は目を丸くして、涙溢れる目で目の前の二人を見つめていた。

彼は力強く頭をふって、何かを言いたそうにしているが、最後はやはり目を閉じたのだった。

太くて小さな手で服の裾を引っ張りながら、顔も真っ赤になっていた――


鵠羹

「調味料ちゃん、泣かないで……何があったの?言ってみて」


その子は口をへの字にすると、金の豆があちらこちら地面に落ちてきた――


調味料

「うう、能力なくなった……人助け……うう、できない……ごめん!」


調味料

「……」


調味料

「ん……?」


???(辛味使い-辛懿)

「私たちの研究は成功した」


???(酸味使い-蘇安)

「お?世界のあらゆる味の集合体が子供の姿に化霊するとはな、これは面白い~」


???(甘味使い-玲瓏)

「わぁ~かわいいな~」


???(苦味使い-枯無)

「とどのつまり、人間の形をした道具にすぎない」


???(甘味使い-玲瓏)

「そんなことをいわないでよ、枯無――」

「ほら!熙顔姉ぇ、彼の好奇心にあふれる表情、面白いよね!」


???(塩味使い-熙顔)

「おいで、お姉さんが抱っこしてあげる!」


???(甘味使い-玲瓏)

「いこういこう~私たちと一緒に愛しの若様に会いに行こう~」


部屋から離れた瞬間、陽の光が滝のようにその子に降り注いだ。それがとても温かい。

「温かい」も「陽の光」も、その子が後に覚える言葉であったが。

そのときの感触は、ずっと覚えていた。

その後、違う声がこう言ってきた――


???(若)

「こんにちわ、空桑へようこそ!」


陽の光の中にいる少年が微笑みを見せながら手を差し伸べてくる姿は、その子の心のなかでは太陽より暖かかった。

そして、その子もあの人と同じ表情になる――


調味料

「……えへへ~」


その後、その子は「若様」と呼ばれた少年とともに空桑へとたどり着いた。食魂のお兄ちゃんたちと若様がいつも彼の傍にいてくれた、それがとても幸せだった。

あの銀髪の五味使いの言通り、彼は管理司が食魂たちの成長を手助けするために、作られた「道具」だった――「道具」という言葉の意味も、その子は後に知ってしまった。

彼がこのような能力を持っていなかったら、この小さな幸せは続くのだろうか?


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三 幸福の色・参

◆主人公【男性】の場合◆

(逆の場合の差分は募集中)

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調味料

「若様、すき、みんな、好き……」

「嫌われ……たくない!」


夜はとても静かになり、風ですら息を潜めているようだった。

その子はしくしくしながらも、途切れ途切れだけど、彼なりの言葉で自分の思いを表した――

【選択肢】

・君は道具なんかじゃない!

・絶対に君のことを嫌いになったりしないから

選択肢

君は道具なんかじゃない!

調味料

「――!!」

「若様……?」


鵠羹

「調味料ちゃん、安心して、若はあなたに怒ってるわけじゃないよ」

「若の今の気持ちは多分私と同じなんだよ。なぜもっと早くあなたの気持に察してあげられなかったのにいらいらしているんだよ。もしそれに気づいていたら、あなたはそのような寂しい思いをしなくって済んだのに……」


調味料

「若様、鵠羹兄ちゃん、悪くない!僕が怖かった、言わなかった……」


鵠羹

「調味料ちゃん、若様の言葉をよく覚えといて。あなたは道具なんかじゃない、あなたは私たちの友達で家族なんだ」

「「友だち」……「家族」……その言葉は、知っているよね?」


調味料

「うん!知ってる!」


鵠羹

「なら覚えておいて。たとえあなたが能力を失ったとしても、変わらぬ愛をあげるみんなと若が、あなたの友達と家族なんだ。これからは、どんどん心の中に隠したものを私たちに言っていいからね」


調味料

「……わ、わかった!」

絶対に君のことを嫌いになったりしないから

調味料

「若様……?」


鵠羹

「うん、私も絶対に調味料のことを嫌いになったりしないから」

「みんな調味料ちゃんのことがすきなのは、能力とかがあがるからじゃないよ。強くしてくれる能力がいようとなかろうと、君は無邪気で可愛く、みんなに笑顔をもたらす調味料ちゃんなんだよ。私たちの友達にして家族なんだよ」

「若様も、きっとそう思ってるよ」


頭を縦に振り、肯定の眼差しをその子に向けた……


調味料

「う、うう……!」

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前に出て、調味料を軽く抱きしめてあげた。すると彼は段々と泣き止んでくれた――

【選択肢】

・行こう!みんなあなたを待っているよ!

・一緒に帰ろう……空桑へ帰ろう!

選択肢

行こう!みんなあなたを待っているよ!

調味料

「……はい!」

「みんなに会う!友達……家人と会に行こう!」

一緒に帰ろう……空桑へ帰ろう!

調味料

「……はい!」

「共に帰ろう!友達……家人と会に行こう!」

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調味料は涙を拭き去り、頭を上げると、とうとう彼の顔に素敵な笑顔が浮かび上がった……




調味料

「た、ただいま!」


餃子

「おや!やっと帰ってきたか、流石は若様。うむ……調味料ちゃんも元気そうだし、大丈夫じゃ!」


符離集焼鶏

「ちっ。よくもまあ帰ってきたな! 大勢を騒がしてお前を探すのは楽しいのか?」


餃子

「そうだね!符は貴方を探すために、裏山を何周もしてきて、すごい疲れてたんだよ――

 調味料ちゃん、ちゃんと抱っこさせてあげないとね!」


符離集焼鶏

「餃子お前――」


調味料

「符の兄ちゃん、ごめんなさい~」


その子は符離集焼鶏の懐に潜り込んだ――


符離集焼鶏

「その手に乗るか……うわぁーー!」

「○○!なんでこいつをしっかり抑えてくれねぇんだ?それどころかこっちに押しつけて……」

「ちくしょう!お前ら笑うんじゃねぇ!」


餃子

「符が調味料ちゃんを抱いてる姿も、若干兄らしく見えてきたようで、良きかな良きかな! 徳州が巡察に行ってなかったら、きっとその姿を見たら感動するでしょうね」


符離集焼鶏

「……ちっ!」


双皮ミルク

「ううう若様と羽の兄ちゃんがやっと調味料ちゃんを連れ戻してくれたよ――」

「ぎゃ――!!」


餃子

「双ちゃん気を付けるんだぞ。自分のように腰をすねるんじゃないぞ!」


双皮ミルク

「もうこれは安心したからじゃないの。調味料ちゃんが帰ってこなかったら心配して死んじゃうところだったよ!」

「だからなんで一人こっそり隠れようとしたの?」


調味料

「……」


すこしの躊躇いのあと、調味料は自分が能力を失ってしまったことを、みんなに伝えた――


符離集焼鶏

「なに?結局お前、そんなことで家出してたのかよ?」


調味料

「え、あれ……?」


双皮ミルク

「でも、符さんもこの前家出――」

「う、ううう!」


符離集焼鶏

「ちっ!俺は強くなりたい。だが調味料の能力に頼ることもねぇ! お……お前らが無事なら、能力なんてなくってもいいさ!」


餃子

「符の言う通りだ。調味料ちゃんの可愛さは能力からのものではないじゃ。こんな心が温かい子なんだ、誰が嫌いになれようか?」


調味料

「うんうん~」


双皮ミルク

「そうそう調味料ちゃんの鼻歌も素敵だし好きだよ!」


鵠羹

「ほらね、調味料ちゃん。若様の言う通りでしょう?」


調味料

「そ、そうだね!」


双皮ミルク

「ね、知ってるその鼻歌を全部聴きたいからここでしてくれないかな? 寝る前の安眠の音楽だと思って!」


調味料

「うん!い、今から歌うね!」


みんなの微笑む顔の視線の中、その子は昼間で最後まで歌えなかったメロディーを鼻歌で軽く歌い出した。

見上げると空は溶け、白い月の光へとなり、黒い夜に優しく溶け込んだのだった……


夜も段々と深くなり、皆自分の部屋へと戻った。空桑の屋根の上には二人の影が立っていて、庭の中で起きたことを全てその目で見ていた――


甘玲瓏

「調味料ちゃんの鼻歌上手いね~これからえび餃子のようなスターになれるかもよ~

 辛懿、君が彼を作る時、こっそり他のものを入れたんじゃないの?」


辛懿

「ないぞ」


甘玲瓏

「冗談だって、そんなにガリガリするなよ~

 そうだ、能力をあの子に返すのを忘れないでね~」


辛懿

「うん、私は君みたいにいい加減ではないからな」


辛懿は彼の手の中にある透き通る水晶の玉を見つめた。

その中で光る者こそ、数時辰あの子の体内から取り出した力――

彼が袖を振ると、その光はまるで翼が生えたかの如く、ぐっすり眠っているその子の体へと帰って行った……


辛懿

「よし」


甘玲瓏

「よかった。これでやっと調味料ちゃんも愛しい若様たちと本物の家族になれたんだよね~

 私たちも影からこっそりそれを手伝ってたんだよね?こういうのは人知れずにいいことをしたうちにはいるのかな?」

「辛懿、ほら見て、夜空がとっても優しい色をしてるよ。見てたらこっちも幸せを感じるいろだよ~

 若様と調味料ちゃんも、幸せな夢を見てくれてるのかな?」


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