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餃子・物語

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作成者: ユーザー
最終更新者: めのり

一 済世聖典・壱

◆主人公【男性】の場合◆

(逆の場合の差分は募集中)

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若が幼い頃


湘江の水面はいつものように穏やかで、真っ赤な客船が通り過ぎると、遠くまでさざ波が広がる。


語り部

「昔の物語をお聞かせいたしましたが、今の時勢についても語らなければなりませぬ。

 「白骨露于野、千里無鶏鳴。」の一言だけで言い尽くせるでしょう――」


語り部は「バン」と驚堂木を机に叩いた。

客たちはみな、話の続きを聞こうと船頭に集まる。


語り部

「今、魏呉蜀は鼎立し、戦乱が続いている。この瀟湘の地にも、小さな医仙が現れた!」


語り部

「噂では、白い衣装を身にまとい、仙人のような顔立ちをしている。人を見れば病因が分かり、手で触れば病が治せる。なんと枯れた木をも生き返らせる!」


語り部

「そして医聖と呼ばれる張仲景が一生かかって完成した『傷寒雑病論』も彼が持っている。

 通りで枯木逢春の医術で救世済民ができるわけ!」


観客たちは歓声をあげたり、質問したり、興味津々に舞台を見ている。そんな中で一人だけ、白衣の青年が舟から手を伸ばし、枯れた芦を弄りながら、淡々と微笑んでいる。


青年(餃子)

「……」




船の向こうで、西湖酢魚は薬を手にして、焦りながらも言い聞かせようとしている。


西湖酢魚

「チビ、あまり興奮するな!お前は若いからまだ分からないだろうが、あれはただの子供だましなんだよ。」


西湖酢魚

「ほれ、大人しく薬を飲め……さもないと――

 埠頭についたらお前の父ちゃんに尻を叩かせてやる!」


西湖酢魚

「待て、窓際に行くな!お前風邪がまだ――」


青年

「……あいやや。」


青年

「いきなりぶつかって来てびっくりしたよ。君、大丈夫かい?」

【選択肢】

・彼の後ろに隠れる

・彼の足に抱きつく

選択肢

彼の後ろに隠れる

すごい剣幕で向かってくる酢魚のおっさんを前に、青年は本能的に白い袖を広げ、子供を守ろうとする。


青年

「……おせっかいかもしれないけど、薬を飲ませるのにもやり方が大事だよ。力づくでは、思い通りにならん事もあるからねぇ。」


青年

「君、飴は好きかい?」


彼の足に抱きつく

青年

「ちょっと君、あまり力を入れないでおくれ――こ、腰が。」


子供を振り落とすと同時に、彼からいくつか飴のようなものが落ちた。


青年

「こ……これでいいかな。君は大したもんだね、こんなにも漁ってたのか。」

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西湖酢魚は子供を無理やり連れ出そうとしたが、青年が医者のように子供の脈を診始めた。


青年

「この子、手足は冷たいねぇ。肺が冷えたのか……もしかして溺れた経験があるのかい……?」


西湖酢魚

「……その通りだ。それに薬が苦いせいでちっとも飲んじゃくれねえ。はあ、困ったな!」


青年

「ちょうどいいねぇ、私は最近「甘ちゃん」という風邪薬を作った。

 まさに「甘ちゃん甘ちゃん、病よ飛んでいけ」――」


彼は色とりどりの丸薬を取り出した。子供が好きな飴のように見える。


西湖酢魚

「気持ちはありがたいが、そう上手くいくわけが……わ、若!もう飲んだってのか!」


西湖酢魚

「こっちに来い、残りの薬を兄ちゃんに返すんだ。え?その手…………それにおでこも!なんでいきなり汗びっしょりなんだ?」


西湖酢魚の顔色が変わり、冷ややかな目で青年を睨んでいる。

青年はただ微笑みながら、首を振っている。


青年

「ちゃんと薬が効いているようだねぇ。あと少しで治りますよ。」


青年

「あいやや、そんな目で睨まないでくださいよ。

 医術は抜群とは言えませんが、子供の風邪なら心得があるものでねぇ。」


青年

「私はここにいるし、水に隠したりしないし。

 もしものことがあってから、怖い顔しても間に合うよ。」




西湖酢魚

「人は見かけによらずだな……」


西湖酢魚

「あの兄ちゃん、あんなに飄々としてたのに、くれた薬に効き目があるな!

 チビはもう完全に治ったよ。」

【選択肢】

・白衣のお兄さんにお礼を言う

・美味しい薬をもっと貰う

選択肢

白衣のお兄さんにお礼を言う

焦先生(餃子)

「結構結構、礼儀正しい子だねぇ。」


焦先生

「一期一会の縁とは言え、人を救うのは医者の本分だからねぇ。気にしなくていいんだよ。」


美味しい薬をもっと貰う

焦先生

「あいやや……それは無理だねぇ。」


焦先生

「いくら「甘ちゃん」が美味しいとはいえ、薬は薬。たくさん食べちゃダメだよ。」

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舵取り

「長沙、長沙につきました――ここで降りるお客様は、しっかりと手すりを掴んで降りてください!」


焦先生

「ではこれで、縁があったらまた会いましょう。元気でいてくださいねぇ!」


焦先生は一礼して、ゆっくりと人ごみに溶け込んだ。


西湖酢魚

「チビ!若――○○!おい、さっさと戻れ!俺たちゃまだついてねぇよ――」




焦先生

「おや?君もここで降りるのかい?」

【選択肢】

・ここに用がある

・ついて行く

選択肢

ここに用がある

焦先生

「用事?これは失礼。一体何の御用かな?」


焦先生

「つまり……どうしても美味しい薬の作り方を知りたいのかい?」


ついて行く

焦先生

「あいや~、どうやら只者ではないねぇ!」


焦先生

「普通は患者が治ったら、二度と医者の顔は見たくないはずなのにねぇ。わざわざついてくるなんて、君は本当におかしいというか……」


焦先生

「では言ってごらんなさい、一体何のおつもりなんだい?」


焦先生

「美味しい薬の作り方を勉強したい……て?」

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焦先生

「君とは気が合いそうだから、教えるのはやぶさかではないけどねぇ……」


焦先生

「ただ……これは簡単に説明できないし、今の状況では……」


街に駆けるのは晩秋の落ち葉だけ、長沙の街はすでに昔の繁栄を失っている。


店の扉はほとんど閉じていて、ときどき行き倒れた人も見られる。残りの数少ない住民は遠くから渡航客を見るやいなや、次々と窓を閉めた。


焦先生

「長沙のことを心から愛していた師匠がまだ生きておられたら、さぞや悲しむでしょうねぇ……」

【選択肢】

・きれいなのに、そんな顔もったいないよ

・どうして眉をしかめているの?

選択肢

きれいなのに、そんな顔もったいないよ

それを聞いた青年は頭を下げて無理に笑った。


焦先生

「君の言葉は、「甘ちゃん」よりも甘いねぇ」


どうして眉をしかめているの?

焦先生

「別に、昔のことを少々……」


焦先生

「よかったら聞いてくれるかい?」

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焦先生

「今の長沙城はね、とっても恐ろしい疫病が流行っていてねぇ。」


焦先生

「医者である以上、それを見過ごすわけにはいかないんだよ。師匠ゆかりの地であれば尚更ね。」


焦先生

「船で聞いた、小さな医仙と『傷寒雑病論』の伝説の源がここのようだね。」


焦先生

「でも、赤の他人である君を巻き込むのは……忍びなくてねぇ。」


焦先生

「だから、どうか船に戻っておくれ。」


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二 済世聖典・弐 

◆主人公【男性】の場合◆

(逆の場合の差分は募集中)

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説得に応じずにいると、白衣の青年はただ河岸を歩き回った。


街の向こうから、顔がテカったデブが向かってきた。

標尺を手にした彼は、人を測りまくっている。


焦先生

「あいやや、私は生地商人ではないし、新しい服を作るつもりはないよ。」


デブ

「あらかじめ作っておいた方がいいぞ。さもないと、死んでから後悔するぞ!」


デブ

「長沙城で棺桶屋を経営しているのはウチだけだ!ここに来た以上、どうせあんたもそう長くは生きられないぞ。」


デブ

「さきに死装束を用意した方がいいぜ、へへ!あの世の悩みがない方が、この世の悩みだって解決しやすいだろう!」


西湖酢魚

「アホか!俺はあと数千年は生きられるんだ!」


酢魚のおっさんは船から降りて手を軽く振っただけで、嫌みなデブを追い払った。


焦先生

「いいところに来たね、城のことはもう聞いているんだよねぇ?」


焦先生

「いらぬ災いに巻き込まないように、この子を連れ戻しておくれ。」

【選択肢】

・自分は大丈夫だ

・あなたは?

選択肢

自分は大丈夫だ

焦先生

「危険をおかしてまで、無理をするものではないよ。」


焦先生

「自分の体を大切しておくれ。もしものことがあったら、きっと後悔するよ!」


あなたは?

焦先生

「結果がどうであろうと、もう考えはあるからねぇ。」


焦先生

「あいやや、あまり心配しなくていいよ――」


焦先生

「安心しておくれ。今度会うときは、一番美味しい薬の作り方を教えるからねぇ。」

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西湖酢魚

「チッ、俺はお節介が一番嫌いだ――」


西湖酢魚

「けど、船が行っちまった以上、突っ立てもしょうがねぇ、いい店を探して腹ごしらえだ!」


白衣の青年は嘆いて、ついに苦笑しながら頷いた。


焦先生

「西街の大きな柳の近くに、餃子の店があるよ。衛生状況が良くて常連だったんだけどねぇ……」




焦先生

「すみません、こちら三人ですが……」


話が終わらないうちに、客たちが次々と慌てて店内から逃げ出しはじめた。


焦先生

「これは……一体?」


女将

「お客さん、早く離れておくれ!娘が倒れたばかりで……」


焦先生が中を覗くと、襤褸を着た一人の少女が震えながら床に倒れている。

周りには料理が散乱している。


焦先生

「酩酊している様に、白目をむいて体が震えているね……」


女将

「そんな――お客さん、娘にそんなに近づいて、もし疫病がうつったら……!」


焦先生

「すでに彼女の経脈は断たれていて、肺が冷え切ってるねぇ。これは疫病ではなく、急性の寒毒だよ――」


彼は箱の中からいくつかの金製の針を取り出して肩の「肩井穴」と足の下の「湧泉穴」などに差し込んだ。

そして陳苾で火を焚き、その陰肺経に灸をすえる。


少女は咳をしながら、ゆっくりと目を開けた。


女将

「こ……このご恩は、一生忘れません!」


焦先生

「これは寒石水一皿、菖蒲二銭、天花粉三銭と麦冬五銭で調合した丹薬だよ。

ここでまず服用して、話せるようになったら、もう一度飲ませてね。」


焦先生

「……。」


焦先生

「あいや~、ちょっと待っておくれ!間違えた、それでは急性の下剤になるねぇ!」


西湖酢魚

「褒めようとしたのに、なんだこのざまは……」




奮闘した末、少女はだんだんと目が覚めて、顔色も良くなってきた。


焦先生

「もう大丈夫だよ。これからはよく休ませて、毎日薬を飲めばいいからねぇ。」

【選択肢】

・お兄さんすごい!

・少し分けて

選択肢

お兄さんすごい!

焦先生

「これはとても変わった寒毒だよ。普通の医者なら治療法が分からないだろうねぇ。」


焦先生

「ちょうど傷寒は自分の得意分野だったから、運が良かったね~」


少し分けて

焦先生

「いけないよ――薬物と食物は全くの別ものなんだからね!」


焦先生

「そんなにがっかりする事はないよ。君にはまだたくさんの薬が待っているからねぇ!」

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焦先生

「女将さん、ここ最近長沙では、激しい嵐や戦争などあったのかい?」


女将

「今ちょうど秋になりましたから、嵐なんてありませんよ。

それに呉が長沙を治めて以来、治安もよくて、大きな喧嘩もほとんど起きていませんよ。」


焦先生

「天気や戦争が関係ないのであれば、何故いきなり寒毒なんか……?怪しいねぇ。」


女将

「その神業のような医術、きっと神様が我々を救うためにあなたを遣わしたのでしょう。

もし城内に残って調査をするなら、是非ともうちの店に泊ってくださいな。」


餃子

「ありがたいねぇ。それと、もしよかったら、お店の餃子を借りたいのだけれど――」


数週間後

焦先生

「目を瞑って、壺から石を一つ取り出してね。白い石を取った方は、先に餃子湯を貰いに来てねぇ。」


小さな餃子屋の外で、大勢の人が集まっている。長い行列ができていたが、待っている人は一つも文句を言わなかった。ここの餃子が命を救うのだと、みんなして称えている。


焦先生

「最初は無料で薬を配ろうと思ったけど、疑われる恐れがあるからねぇ。」


焦先生

「だからこうして解毒剤を餃子に入れて、みんなに食べさせているんだよ。」


焦先生

「どうやら、大成功だねぇ。街にもだんだんと元気が戻っているようだよ。」

【選択肢】

・自分も手伝う

・薬の作り方を教えて

選択肢

自分も手伝う

焦先生

「あいやや、ずっと頑張っていたせいで、もう汗びっしょりではないかい。」


焦先生

「棚に冷やした梅水が置いてあるから、それを飲んでくるといいよ。」


薬の作り方を教えて

焦先生

「四書を知らぬ者が儒者とは言えぬ、傷寒論を知らぬ者が医者にはなれぬ。」


焦先生

「『黄帝内径』と孫思邈の『千金方』の抜粋は読んだかい?」


焦先生

「目を逸らすなんて、やましい気持ちが表れているねぇ~」


焦先生

「まあいいよ、君に料理の才能があるから。その才能で、まずは薬餃子を試しに作ってみよう。」

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そのとき、外で騒ぎが起こった。すごい剣幕の男たちが、ある人を運び込んだ。

目を赤くしてブツブツ言っているあの者は、なんと先ほど埠頭で棺桶を売り込んできたデブである。


デブ

「焦先生ってか?貴様汚いぞ!世を救済する看板を掲げておきながら、その正体は性根が腐ったペテン師だとはな!」


焦先生

「ペテン師?私が?私が何をしたというんだい?」


デブ

「ふん、俺がこのザマになったのは、貴様が餃子に毒を入れたせいじゃないか!」


その真っ青な顔がいかにもな演技ではなさそうに見えた周りの人々が、

次々に箸を止めて議論し始めた。


そして悪漢どもはそれをいいことに椅子を蹴っ飛ばしたり料理をひっくり返したり。店内で大暴れし始めた。


焦先生

「治療が一番大事なことだからねぇ。診てあげるから、こちらへ。」


その平然とした態度を前に、デブは一層腹を立て、彼を捕まえるように悪漢どもに命じた。

男たちに押さえつけられた焦先生はあっという間につぶされてしまいそうだ……


西湖酢魚

「まずい!このままだと、あの兄ちゃんじゃ耐え切れねぇ!」

【選択肢】

・お兄さんならきっとなんとかできる

・そうとは限らないよ!

選択肢

お兄さんならきっとなんとかできる

焦先生

「○○、私の薬箱を投げてきて~」


そうとは限らないよ!

焦先生

「その通りだよ。神は公正だから、天はきっと私たちの味方をする。」


焦先生

「○○、私の薬箱を持ってきてくれないかい。」

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彼は攻撃を押し返したり避けたりながら、少しずつデブに近づいている。


焦先生

「さぁ、かかってきなさい~。」


焦先生は男たちの影に身を潜め、素早く一粒の丸薬を彼の口に放り込んだ。

デブは全く気付かずに、それを飲み込んだ。


デブ

「うん?」


デブはいきなり立ち上がり、元気あふれる姿を見せた。先ほどまでのぐったりした様子はまるで嘘のようだ。


焦先生

「私は死人と違って、汚名を着せられたら黙っていられないよ。」


焦先生

「こんなに元気いっぱいの様子で、中毒とは考えにくいんだけどねぇ?」


デブ

「あ、あれ?俺は確かに毒を飲んだ……いや毒に当たったはず、なんだこの気分は……こんなに気分が良いのは初めてだ……」


デブがあまりに滑稽だったので、見ていた人たちは思わず吹き出した。


デブ

「わ、笑うな――さもないとこの店を壊してやるぞ!」


???

「できるものなら、やってみろ!?」


威厳のある男の声が響き、野次馬たちは道を開けた。

白装束を身に纏った中年は、なんだか焦先生によく似ている。


客A

「あれは……岳麓薬荘の白荘主じゃないか?」


客B

「長沙に移り住んだばかりで、なんと張仲景の弟子みたいだぜ!

俺はずっと彼に診てもらってたんだ……」


白荘主

「ああ……焦くん。君は優しいから、こういう事を見過ごせるわけがないのだろうが。

何も無実の罪を負わなくても……」


白荘主

「久しぶりで、元気か?」


焦先生

「せ……」


焦先生

「先輩?」


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三 済世聖典・参

◆主人公【男性】の場合◆

(逆の場合の差分は募集中)

岳麓楽荘

焦先生

「もしあの日、先輩が来てくれなかったら、私はそう簡単にあそこから離れらなかったでしょうなぁ。」


白荘主

「いやいや、久しぶりだが、依然にその小さな白衣努力家に見える。」


焦先生

「あいやや。貴方にとって私は、いつまでたっても、医書を歩き読みして、池に落ちた後輩なんですねぇ。」


二人は大笑いして、木の実を採ったことや薬草を探した昔話に花を咲かせた。


焦先生

「今回の長沙城の寒毒は、ただの偶然ではないと考えましてね。」


焦先生

「師匠の長沙でこんな真似を……まさに挑発ですね。私が作った解毒餃子だけでは、根本的な問題の解決にはならないでしょうなぁ。」


焦先生

「先輩、私たちは師匠の孫弟子として、協力してこの件を調べるべきだと思うよ。」



それから数日、焦先生は兄弟子の書斎にこもって、一意専心に病の原因を研究していた。


一日中ほとんど焦先生に会えない酢魚たちは、花園でウロウロして過ごすしかなかった。


白荘主も、人脈を駆使して、やっと酢魚たちを長沙から離れるように、薬荘から客船を借りてきた。



西湖酢魚

「いくら医術に通じない俺たちがここに居ても役に立たないとはいえ、

このまま出ていくってのは、なんか気分が悪いな。」


西湖酢魚

「あの兄ちゃんこそ語り部が話した医仙だと思っていたが、なんだかその先輩のほうがさらにそれっぽいな!」


西湖酢魚

「いったい誰があの伝説の『傷寒雑病論』の持ち主なのか、神のみぞ知るようだな!」

【選択肢】

・まだお兄さんにお別れの挨拶をしていない

・まだ薬の作り方を教わってもらってない

選択肢

まだお兄さんにお別れの挨拶をしていない

西湖酢魚

「チビ、良いこと言うじゃねぇか!その通りだ、あの兄ちゃんとは一時でも仲間だったから、挨拶無しで別れるなんて気分が悪いな!」


まだ薬の作り方を教わってもらってない

西湖酢魚

「ハハ、さすが空桑の若だ、まだそんなこと考えてたのか!」


西湖酢魚

「焦さんが約束したから、それを守ってもらわないとな!さあ、薬荘へ戻るぞ。処方の一枚二枚くらいは貰えるだろう!」

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西湖酢魚

「別れの挨拶をして、ついでに……医仙の正体が、どうしても気になるんだ!」



西湖酢魚は軽功を駆使して薬荘に侵入し、書斎の付近で足を止めた。


不思議なことに、普段は静かな書斎からは喧嘩の声が聞こえていた。


白荘主

「もう一度聞く、師匠は『傷寒雑病論』をどこに隠した?

貴様は師匠が最も信頼する弟子だから、知らないわけがないだろう!」


西湖酢魚

「これの聞きたい事じゃねぇか……チッ、なんかおかしいな!」


中を覗くと、室内はひどく散らかっていた。焦先生は手を胸に当てて床に座り、凶悪な表情をした白荘主や毒キノコのような食魔たちと向かい合っている。


倩͡菇麽

「イ……イヒヒ。共食いはいい観物だね~」


焦先生

「不思議な病の原因を、もっと早く気付くべきだったねぇ。貴方は毒キノコの粉を……水源に入れたんだね。」


焦先生

「医仙や『傷寒雑病論』の噂も、貴方が流したね?」


白荘主

「ああそうだ!貴様は相変わらず分かりやすいな、師匠に関わる事を聞くと、到底は罠に飛び込む。」


焦先生

「一冊の本のために、街全体の命を人質にとるなんて、なんて残酷な……。」


白荘主

「ふん、人はもともと残酷な存在なんだ。」


白荘主

「医者になったばかりの頃は、俺にも優しい心があった。

なのに、何度も何度も、この手で治した患者に裏切られた!」


白荘主

「貴様のように誹謗中傷で苦しんだ時は…俺に味方がいなかったんだ!

見る見る名誉を失い、家族も失った…」


白荘主

「世界中を歩き回った俺は、再び長沙に戻ったときにようやくわかった――」


白荘主

「世の救済?民を救う?そんなものがお払い箱となる時代が来てる!至高の医術を身に付けているのに、それをもって至高の権力を手に入れないとおかしい!」


焦先生はただただ首を横に振っている。そして倩菇蛛がニコニコしながら彼に近づき、毒の粉を散布している――

【選択肢】

・悪者め、お兄さんを離して!

・戦闘用意!魚さん出撃!

選択肢

悪者め、お兄さんを離して!

焦先生

「若、なんでここにいるんだい?」


西湖酢魚

「こりゃお節介じゃねぇぞ!あの不気味なやつが気に食わねぇだけだ!」

戦闘用意!魚さん出撃!

焦先生

「……若、君なのかい?早く私を掴んであっちに避難して!」


西湖酢魚

「チッ、あの君子面している野郎は俺に任せろ!」

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白荘主はニヤリと笑って、袖に隠していた竹筒を開いた。

すると一匹の蛇が牙をむいて頭を出した。


焦先生

「気をつけるんだ!彼は手に毒蛇を……!」


その瞬間、焦先生が西湖酢魚を突き飛ばした。

そして白荘主と揉み合っているうちに、蛇がふたりに噛み付いた!


焦先生

「……う!」


焦先生

「医者たるもの……毒で人に害をもたらすなんて。こういう結末も当然だねぇ。」


白荘主

「はっ、善人である貴様も一緒に噛まれているじゃないか。あと少しで蛇の毒が全身に回り、瞬く間に血が凍って、もう助からないぞ!」


焦先生

「あいやや、私は医者なんだよ。助けを求める必要なんてないけどねぇ?」


焦先生

「どんなに私の体が冷たくなっても、君がそばにいるから、心は暖かいんだよ。」

体の任意の位置に触れる

触れ合い

頭に触れる

焦先生

「昔に教えた……頭の経穴はまだ覚えているかい?」


焦先生

「手で天突穴の付近を押さえると、私は……しばらくの間意識を保てるよ。もう少し、君と話がしたいねぇ。」


身体に触れる

焦先生

「ふふ……その通り、手で……」


焦先生

「この優しい心を忘れないでね……」


手に触れる(左手)

焦先生

「君の手は本当に……医者に向いているよ。」


焦先生

「出来ることなら、私が学んだ全てを君に教えたいねぇ……」


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焦先生

「まあまあ、人はいずれ……終焉を迎えるものだよ。そんなに悲しまなくても……」


まばらな日差しが焦先生の顔を照らす。彼は力いっぱい目を見開き、呼吸はますます弱くなっている。


夕日の中で、懐かしい姿が彼の瞳に映っている――


古琴を奏でる老人は、仙人のような形相をしている。


焦先生

「師匠……私を連れて行くのですね?」


???

「お主は並外れた知恵で民の命を救い、同門に唆されても医者の良心を忘れぬ。」


???

「昔雪の中で倒れていた少年が、ついには卓越した医者になったのか。」


???

「わしが此度出向いたのも、最後の師命を伝えるため――」


???

「餃子、お主はもう卒業だ。これからは自由に生きるがよい。」


???

「わしが学んだ全てをお主に伝授してやる、永遠に忘れるんじゃないぞ……」


???

「医者たるものの、優しい心をな…」




餃子は農場に座り、ある大河RPGゲームの導線動画を見ている。

船首に立っている語り部が、医仙の物語を語っている。


語り部

「原因を究明した小さな医仙は不意打ちを受け、猛毒に掛かられ命が尽きる寸前――」


語り部

「仙人になった張仲景が夢の中に姿が現れ、その毒を取り去った。

まさに「因果応報」である――」


語り部

「彼は目覚めると、妖魔たちが師匠に連れていかれたことに気が付いた。さらにあの伝説の『傷寒雑病論』がすでに自分の手にある!」


西湖酢魚

「おーかしいな、なんか見たことあるシナリオだな。餃子、俺たちは昔も……こうして知り合った、よな?」


餃子

「あいやや、そういえば確かにそうだねぇ。」


餃子

「若様が私の薬は美味しいって、完成するたびに食べさせてくれと……」

【選択肢】

・美味しい薬なんてない

・そんなことない!

選択肢

美味しい薬なんてない

餃子

「あいや~、あのうっとうしく薬を求めてくる子供は、どこに行ったのかねぇ?」


そんなことない!

餃子

「うむ、最近私が作った薬が若様の口に合わないなんて、どうやら反省しなくてはいけないね。」


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西湖酢魚

「そういえば、嵐を呼んだあの『救世の聖典』は、結局どこに行った?」


餃子

「まだあるよ~。記憶が間違っていなければ、一ページだけ箱に残っているはずだねぇ。」


西湖酢魚

「―……一ページだと?!あの本に何をした?」


餃子

「この千百年もの間、私はその知識を少しずつ民間に伝えてきたんだよ。」


彼は箱を開け、黄ばんだ表紙を取り出した。そこには大きな文字で――


餃子

「「進めば世を救い、退ければ民を救う。優秀な丞相に成らずとも、優れた医者になれる。」」


それは医聖が残した最後の教訓だった。

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