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春巻・物語

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一 梢の春・壱

◆主人公【男性】の場合◆

(逆の場合の差分は募集中)

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道には花が咲き乱れ、蝶々が空を舞う。いつ春巻の花畑に来てもこの美しい景色が見れる。ここの春は永遠に終わらないようだ。

そして彼にも花のような笑顔が咲く。

でも、今日は……


双皮ミルク

「ねえねえ、春巻春巻!一緒に遊ぼうよぉ!」

「……春巻?」


春巻

「……」


双皮ミルク

「○○、春巻がぼくの呼びかけが聞こえなかったみたい!

 わあ!もしかして彼の耳に何か問題でもあったかなぁ?早く餃子を呼んで診てもらおう~!」


春巻

「はぁ……」

体の任意の位置に触れる

触れ合い

頭に触れる(彼の頭を撫でる)

春巻

「ん?」

「若様でしたか。蝶々が頭に止まったのかと思いました……」

「えっと?わたしがため息を吐いていたから、わたしの頭を撫でて元気付けようとしたんですか?」

体に触れる(後ろから襲う)

春巻

「わぁ――!!」

「若様でしたか。びっくりしました。危なかったです……シャベルを若様に投げるところでした!」

「えっと?わたしがため息を吐いてたから、わたしをからかって元気付けたいと思ったんですか?」

手に触れる(彼の手を握る)

春巻

「若様でしたか、花を見に来たんですか? 見てください、パンジーが咲きましたよ!」

「どうして突然わたしの手を握るのですか?

 幸せになれる魔法をわたしにかけて、楽しくないことを全部取り除きたいって……え?」

「そうですか、さっきのため息、聞こえていたんですか……」

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春巻

「すみません、なんとなく……はぁ……」

「あっ!またため息を吐きました?はぁ……」

「……」


双皮ミルク

「わわっ!春巻、それじゃあ、またため息をついたじゃなく、またまたため息をついただよ!一体どうしたの?」


春巻

「若様、双皮ミルクお兄さん、ご、ごめんなさい。わざと心配をかけるつもりはありません!

 ただ、最近どうすればいいのか分からないことがあって――」


双皮ミルク

「ぼくたちに心配させたくないなら、早くぼくと○○に教えてよぅ!どうすればいいかわからないよ?なんとかしてあげるから!こんなことわざがあったじゃん!三人の……三人の……えっと……なんだっけ?」


春巻

「えっと、双皮ミルクお兄さん、あれは確か「下手な職人も三人寄れば諸葛亮になる」です……」


双皮ミルク

「そうだ!それだ……そっか!でもぼくたち、職人じゃないし……

 大変大変、それじゃあぼくたち何もできないじゃん!」

「むぐっ、んむむー!」


双皮ミルクの口を塞いで、春巻に話を続けるよう合図をした――


春巻

「は、はい。それでは続けますね。

 これはわたしの友達のことなんですが……」





春巻

「盼さん、はい、これあげます!」


「春ちゃんか?また見に来てくれたんだ!

 キレイな花だ。もう冬なのに、どこから持ってきたの?」


春巻

「えへへ!それは秘密です!」

「あれ?絵を描いているんですか?」

「わあ!オウバイですか!私が持ってきた花よりずっとキレイです!

 えっと、盼さんの目……大丈夫ですか?」


「はは!心配しないで、だいぶ治ったよ!

 もうすぐ戻ってみんなと一緒に遊べるんだ……みんな、僕のことを忘れてないよね?」


春巻

「そんな!みなさんは盼さんを待っていますよ!

 盼さんが治って、春が来たら一緒に山に花見に行きましょう!」

「そのときには、盼さんはもっともっとキレイな花が描けますよ!」


「春か……」

「……」


春巻

「えっ!ど、どうして泣いているんですか?

 どこか痛いんですか?今すぐおばさんを呼んできます!」


「春ちゃん……戸を閉めてくれないか? こんな姿を母さんに見せたくないんだ」


春巻

「盼さん、あなたは――」


「ごめんね、来年の春、みんなと一緒に山に花見に行くことはできないんだ。僕はもう……

 二度とこんな花を描けないんだ……」


春巻

「え?どうして?」


「さっき嘘を吐いた。僕の目は、多分もう、治らないんだ」

「ある夜、廊下で母さんが泣きながら父さんに言ってた――

 来年の春が来る前に、僕の目が見えなくなるって」


春巻

「――!!」


「分かってたよ……これはどうにもならないことだから……」

「で、でも……!」

「でも、この物寂しい景色を心の中に残したくないんだ。

 もう一度見たかった、緑の木、赤い花、そして可愛い燕が!」

「もう一度……もう一度だけ、春が見たいんだ!」


春巻

「……見れますよ!」


「春ちゃん、慰めてくれるの? ありがとう、春ちゃんは優しい子だね。

 現実を受け入れるから大丈夫。心配しないで……」


春巻

「盼さん……」





春巻

「最後、彼は笑顔でわたしの頭を撫でてくれました」

「笑っていましたが、その笑顔は何処か諦めているように感じました……

 盼さんは本当にいい人です。いつもわたしが優しいと言っていましたが、本当は彼が一番優しい人なんです」

「彼はこんなに春を愛して、春のすべてを愛しているのに、もうすぐ見えなくなると思ったら、とても悲しくなります……盼さんを助けて、彼の願いを叶えてあげたいんです――

「春を、早く彼の窓辺に持って行ってあげたいです!」


双皮ミルク

「ううう!○○、もうぼくの口を塞がないで、思い切り泣きたいよぅ!

 大顔、尾短、あなたたちも泣きたいの~?一緒に泣こう……うわぁー!」

【選択肢】

・何か方法を思いついた

・力を貸してあげるよ

選択肢

何か方法を思いついた

春巻

「方法は……未だに思いつきません……」

「本当はわたしが植えた春の花を彼の窓辺に置きたかったんですが、人間界では今は冬だから、花は寒さに耐えれずに凍死しちゃいます!」

「もう時間がないです。一体どうすれば……はぁ……

 すみません!またため息吐いちゃって!」

力を貸してあげるよ

春巻

「若様、わたしが困っている時にいつもそばにいてくれて、ありがとうございます。

 若様はとても……優しいですね!」

「ただ、実現可能な方法をまだ思いつけていません……一日を無駄にしちゃって……もう時間が……はぁ……すみません!またため息を吐きました!」

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双皮ミルク

「またまたまたため息をついたよ……ぐぅ……」


春巻

「え?若様、もう方法を思いついたって、本当ですか――」


双皮ミルク

「さすが○○、ぼくたちが思いつかないことを簡単に思いつくなんて!

 本当利口で賢く、才知に長けてて――むむ……なんでまた口を塞ぐの……むむ!」


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二 梢の春・弐

◆主人公【男性】の場合◆

(逆の場合の差分は募集中)

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双皮ミルク

「ほらほら!早くぼくと○○を手伝ってぇ、重すぎるよ――」


春巻

「わあ!この絹…… きれいですね。触り心地もよくて、まるで繊細な花びらみたいです!」


双皮ミルク

「そう言ってくれたら、ぼくと○○が市場で絹を選ぶために目まで痛くした甲斐があったよ! ははは!これらの絹で一緒に盼に春を作ってあげよう!」


春巻

「え?「春を作る」ってロマンチックですね!もしかして……」


双皮ミルク

「そうそう、これらの絹で美しい春の花と春の幡を作って、庭の木を飾るんだよ! そうしたら、庭が春景色になって春の気分に溢れてるし、春景色が人を誘って――」


糖葫芦

「もう!双皮ミルクお兄さんはうるさいよ――」


青団子

「えへへ~青が作った白木蓮、きれいかな~」


糖葫芦

「わー!青はもう始めたんだね…… わたしたちも時間を無駄にしないで、さっさとやろう!」


みんなはハサミと針を手に取った。部屋から小刻みな裁つ音が聞こえて、まるで春草が芽生える時の音みたいだ……


春巻

「今日は一旦ここまでにしましょう。みなさん、お疲れ様でした!」

双皮ミルク

「わあっ!このスピードで進んだら、あと五日ぐらいで終わりそうだよ~!」


糖葫芦

「手作りがこんなにおもしろいなんて知らなかった!またやりたいね~!」


青団子

「青もみんなと一緒に手作りしたい~!」


春巻

「……」

【選択肢】

・心配事がある?

・疲れた?

選択肢

心配事がある?

春巻

「え?大丈夫ですよ……少しぼーっとしていました。若様はそれほど心配する必要はないですよ!」

「若様とみなさんが手伝ってくれて、本当に嬉しいです! もう心配することはありません。今夜はきっとよく眠れると思います!」

疲れた?

春巻

「え?疲れていませんよ」

「若様こそ、今日は資材を買ったり、絹花を作ったりして、疲れていませんか? 待っていてください、疲れを取る花草茶を入れてあげます!」

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春巻

「あの日から盼さんとは会っていませんが、今はどうしているのでしょうか……」

「確認したらすぐ空桑に戻ります。若様とみなさんには心配をかけられません!」


周りは物静かで、男の子はそっと窓の下に来て、顔を出して辺りを見回す――


春巻

「うぅ、もう休んでしまったでしょうか?」

「わっ!どうしてここに石が?」


???

「誰だ……誰か外にいるのか?」


春巻

「しまった!早く隠れないと……」


「ふっ……目はもうすぐ見えなくなるのに、もしかして耳も悪くなってきたか?」

「最近ますます寒くなってきたな。一つ目の雪片が落ちる時に、僕は見えなくなるんだろうな? そう考えると、こんな物寂しい冬の朝も貴くなってきたな」

「春は、やっぱりまだ遠いか……もう二度と春風に揺れるヤマツツジが見れないのだと思ったら、いっそ死んだ方がましだ……」


淡い月明かりの下、霜のような不安が少年の頬を伝っていく……


「あれ?僕……僕はどうしてこんな……」


春巻

「……」


二日後


もう丑の刻になる。暗い夜の中、春巻の部屋に微かな光が点々と灯る。

彼はゆらゆらと座ったまま体を揺らし、机にある色とりどりの絹と糸に苦労していた――


春巻

「ふーふー……ね、眠い…… でも……早くしないと……」

【選択肢】

・布団をかける

・自分の腕の中に寄りかかってもらう

選択肢

布団をかける

春巻

「あ……春の芝生だ……」


彼は無意識のうちにふわふわな布団に潜り込んだ。だが、すぐに何か気付いたかのように、足搔き始めた――

自分の腕の中に寄りかかってもらう

春巻

「暖かい……春の太陽だ……」


小さな体が無意識に寄りかかってくる。だが、すぐに何かに気付いたかのように、足搔き始めた――

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春巻

「う、ダメ……まだ寝ちゃダメです…… 花……春……まだ……」

「……」


ぼんやりとした視界の中、彼はうわ言を呟き、暫くして夢の中へと落ちていった。

彼は机に置いた糸と針を手に取り、縫いかけの絹花を縫い始めた。

窓の後ろから急に音が聞こえると、数人の頭が出てきた……


春巻

「……」

【選択肢】

・おはよう

・よく寝れた

選択肢

おはよう

春巻

「おはようございます……」

「朝目を覚ましてすぐに、若様のひまわりのような笑顔が見れて、幸せです……」

よく寝れた

春巻

「よく眠れましたが、目が少し痛いです……」


青団子

「本当? きっと春巻が暗い灯りの下で裁縫しすぎたから~」

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春巻

「あれ?」

「痛っ!机の角にぶつけてしまいました!」

「違います!どうしてわたしが……若様の膝で寝ているんでしょう?」

「そうだ、昨日の夜、絹花と春の幡を縫っていた時に寝てしまったんです。それで……それで……」


双皮ミルク

「春巻、道理でここ数日あなたの目の下にクマがあった。頑張りすぎだよ~!ほら、これはぼくが春巻のために調合した水牛ミルクだよ!早く飲んでカルシウム、鉄、亜鉛、セレン、そしてビタミンABCDEを補充するんだ!」


春巻

「ご、ごめんなさい……ありがとうございます……わたし……」


双皮ミルク

「あらららら!どうしてしどろもどろになっているの?今やってることが終わったら、ぼくと一緒に練習すればどんなに長いセリフでもペラペラ喋れるようになるよ!」


春巻

「実は数日前にこっそり盼さんのことを見に行ったんです。彼の状態は……あまりよくありません……

 このままじゃ、彼は見えなくなるだけじゃなく、死んじゃうかもしれない……」

「だから、もっと早く絹花と春の幡を完成させて、盼さんに出来るだけ早く春を送れたらなって」

「でもみなさんは昼間手伝ってくれたから、これ以上は……うう!」


糖葫芦

「ほら!春巻、泣かないで、こっち見て――」


春巻

「――!!」


春巻が机の方を見ると、色とりどりの絹花と春の幡が一面に広がっていた――


春巻

「これは……昨日の夜に縫ってくれたんですか? 若様、みなさん……ありがとうございます!」


糖葫芦

「ふふん!お礼なんていらないよ!でも、春巻もわかもずるい~!どうして部屋に隠れてこそこそやるの?一緒にするって言ったじゃん!」


青団子

「そうだよ~、一緒に春を作るって約束したのに!」


春巻

「わ、わたし……」


双皮ミルク

「は!「私が私が」になっちゃだめだよ~。早く佛跳牆兄さんを探して、この絹花をいい匂いに染めよう!」

「そしてこの春を、早く盼のところに送ってあげよう!」


春巻

「……はい!」


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三 梢の春・参

◆主人公【男性】の場合◆

(逆の場合の差分は募集中)

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「⋯⋯。」


少年は目を開けると、自分がまだ見えることを喜ばしく思った。


窓を開け、たとえ彼を迎えるのが物寂しい枯れ枝だとしても、彼は満足していた。


すると、柔らかいものがゆらゆらと彼の鼻先を落ちていく――


「雪?もう雪が降る時期なのか⋯⋯」

「違う、これは雪じゃない。

 全く冷たくないし、逆に⋯⋯淡い香りがする?」

「あれは――」


少年が外に目をやると、何もないはずの枝に一晩の内に春の花が満開に咲きこぼれ、春の幡で覆われている。


荒れ果てた庭も明るい色で染められていた。

彼は深呼吸をし、自分の体内にある死にかけたものがだんだんと蘇ってきたように感じた。


「春、春だ!

 まさかもう一度こんな景色が見れるなんて!もしかして⋯⋯」

「ん?春の幡に文字がある⋯⋯」

「『春はいずれやってくる。どうか諦めないでください。』」

「⋯⋯。」

「ありがとう⋯⋯

 僕のためにしてくれて、ありがとう。僕は⋯絶対に諦めないから!」


双皮ミルク

「おいおいおい!大顔、あなたの頭は大きすぎるよ、もうちょっと端に寄って、見えなくなっちゃうよ――

 こんなに人の心を奮い立たせることは絶対に見逃しちゃいけないんだ!」

「春巻、〇〇、盼は私たちが書いてるものを見たかな?

 喜んでる?」


春巻

「盼さん、笑っています⋯⋯」

「分かります、あれは心からの、まるで春に咲いた花のような笑顔です。

 他人を慰めるために無理矢理作った笑顔じゃない」

「若様、彼は元気になりますよね?」

【選択肢】

・黙ったまま笑う

・もちろん

選択肢

黙ったまま笑う

春巻

「あっ、若様も笑いましたね!」

「わたしにとって、若様の笑顔は暖かい春風です⋯⋯

 その笑顔を見れば、心の中の疑問や心配も全て消えてしまいます⋯⋯」

もちろん

春巻

「若様がそう言うなら安心しました。若様がわたしを騙したことはないですから!」

「わたしにとって、若様の言葉は優しい春雨です⋯⋯

 その声を聞けば、胸の中の焦りは落ち着くんです⋯⋯」

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春巻

「そうだ、若様。はい、これ、若様にあげます!

 若様はこの花が大好きですから、作りました。」

「その後で空桑の花畑にこの花がいっぱい植えられていることを思い出しました⋯⋯」

「でも、この絹で作られた花は枯れませんから、記念として保存することができます―」

「わたしと若様、そしてみなさんと一緒に作った春を記念して!」




春巻

「若様!双皮ミルクお兄さん!盼さんから贈り物を受けました。中身は⋯⋯絵です!」


双皮ミルク

「本当に本当に?早く開けて、見せて!」


春巻がゆっくりと絵巻を開くと、視界に移るのは色とりどりの花が美しく咲き乱れる景色だ―


春巻

「彼は前より上手になったみたいです。緑の木、赤色の花、可愛い燕。

 それに柳の枝を手に持って、翼が生えた春の使者が大地に生気を与えています。」


双皮ミルク

「わあ!これが春の使者?なんかどこかで見たような⋯⋯

 あ!よく見たら、春の使者は春巻じゃない?」


春巻

「え?そ、そうですか⋯⋯」


双皮ミルク

「〇〇、見て!

 この鼻、そしてこの目、見れば見るほど似ているよ!」

【選択肢】

・そっくりだ

・春巻の方が可愛い

選択肢

そっくりだ

春巻

「わ、若様もそう思いますか?

 えっと、違うところはあると思いますが⋯⋯」


双皮ミルク

「春巻の言う通りだよ!

 違うところはあるよ、例えば、本人が絵より可愛いとか〜!」


春巻

「えっ!双皮ミルクお兄さん、わわわわたしはそういう意味じゃなくて!」

「ふえ⋯⋯」

春巻の方が可愛い

春巻

「わ、若様!?」

「どうしたんですか?突然そんなことを言うなんて。

 手先が器用だと褒められたら嬉しいですが、可愛いと褒められたら、わたしは⋯⋯わたしは⋯⋯わあー!」

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双皮ミルク

「あははっ!春巻の顔は一瞬で真っ赤になって、絵に描いているヤマツツジより赤くなってるよ〜!」

「これから『春花花』って呼んであげるね!」

「あれあれ?中に手紙が入ってるよ――」

「うわわわわわー!!」


春巻

「え?どうしたんですか?まさか何か悪いことが⋯⋯」


双皮ミルク

「いやいやいやいや!とてもいいお知らせだよ――

 とても大きくて、大顔の頭より大きないいお知らせだよぅ!」

「あれから、盼の目がまただんだんと見えるようになったって!

 彼の体に奇跡が起きたって医者さんが言ってるよ!」

「火のようなヤマツツジが彼に病魔と戦う闘志を燃やさせたかもしれないし、芽生えた枝が彼の命に対する情熱を呼び覚ましたかもしれないし――とにかく、めでたい結果だね!」


春巻

「本当ですか!素晴らしいことですね!万物が蘇る春に奇跡は⋯⋯相応しいですね⋯⋯」


双皮ミルク

「おや!ここにオウバイで作られた花の冠があるよ⋯⋯」

「ちょっと、尾短!それは食べちゃダメだよ!動くな、ウマゴヤシで交換するからね!」

「よしよし⋯⋯手紙によると一―」

「『この花の冠は春の使者へのお返しです。

 物寂しい冬の中に春の生気を見せてくれて、ありがとう。』」

「あははは、聞いた聞いた?」

 では、『春の使者』さん、この花の冠をかぶってよ!」


春巻

「いえ、この方法を考えたのは若様で、みなさんも手伝ってくれましたし⋯⋯」

「ずっと言ってるじゃないですか?この盼さんにあげる春はみなさんで作ったもの!

 だから、『春の使者』という肩書きはみなさんのものだと思います――」

「若様、双皮ミルクお兄さん、今――

 春も人間界に戻ってきたし、一緒に山へ花見に行きませんか?」

「ここに新しく作った春の幡もあるので、みなさんに、そして春の中を歩く人々にあげることができます

 春風にみなさんの希望と願いを乗せて神様のところに届けましょう!」



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