詩礼銀杏・手紙
半分風雅
同袍同沢
主人公名:
以前、君が弟子入りしたばかりのとき、兄弟弟子に「歴史を習う目的」について尋ねたことを私は知っている。先生ならば「過去のことを遡るのが歴史を習う意味である」と答えるだろう。歴史を熟知している学者は、過去から現在までずっと生きているようだ。
先生は『春秋』や『周易』といった書籍から、夜空にきらめく銀河が見える。もし興味があるのなら、君の精神的な案内人になっても良い。
<追伸:交流と実践を重視、これは君が言っていた新時代の孔子学院の教育法か?>
詩礼銀杏
以心伝心
主人公名:
『蘭は深い森に育ち、観客がいなくても香りを放つ。』これは蘭の潔白を謳う詩だが、ときどき、観客がいない森に咲いたり枯れたりする、自分の生きる場所を選べない蘭は……悲しいと思うようになったが、どうだろうか?
この手紙を兄弟子に共有しないように。恥ずかしながら、最近経書の整理に疲れいるのだ。だから、先生は変なことを言ってしまったのだろう。
詩礼銀杏
金蘭之契
主人公名:
<封筒から一枚のイチョウの葉が落ちた。>
昔、孔子の門前に生い茂っている木の下から、書を読む声が聞こえてきた。今はみんな塵になってどこへ飛んていってしまったのか……
足がないから永遠に飛ばないといけない鳥が存在すると聞いた。ひとり、部屋で読書する者は、足を持っていても、自分を小さい椅子に縛ったことに等しいと言えるな。
ふぅ、今はもう君に教えられることがない。だから、こんなことを言っても無意味だな。多分先生は君と別れることが忍びなく、一緒に広い大空へと羽ばたきたいのだろう。
詩礼銀杏