龍鳳配・手紙

主人公名：

　前略　私と呂泓のために、色々ありがとうございました。私たちは、これまで長い放浪生活を送っていました。今ではこのように若様と巡り合い、素晴らしい荘園に住んでいます。これこそ食魂としての本望でしょうね。

　何かお手伝いできることがあれば、何でも言ってくださいね。リュウくんは特にお金好きですし、ホウちゃんもお菓子大好きな食いしん坊ですので、いつもご迷惑をかけてしまいましたね。あなたへの感謝を伝えるには、雑事をお手伝いすることくらいしか、思いつかないのです。

　それから、もう一つお願いがあるのですが……あの人、えっと……裴鳳のことなんですが、ちょっと変な性格とは言え、どうか彼を許してください。私も…時間を作って彼とちゃんと話し合いますから。どうか、彼のことはよろしくお願いいたします。

龍鳳配

主人公名：

＜文字は整っているが、何か異様でわざとらしい＞

先日、姻縁塢では、お世話になったよ。本当に感謝する。アイツとの仲直りは、一朝一夕に成し遂げられることじゃないからね。だが、いつも突拍子もない動きをするお前に助けてもらったもの、悪い事じゃないな。

　ここ数日空桑の中を散歩してみたが、ここは確かに風水の良い、宝のような土地だな。山を背に川に臨み、兵力とも言える優秀な食魂たちもたくさんいるじゃないか。空桑の若様のお前が誤った歴史を覆し、正しい王朝を建てようと思えば、簡単に成し遂げられるんじゃないか？

　どう？俺と一緒にあの時代に戻り、デカいことでもやってみたら？

　フフ、冗談ですよ。本気にしないでね。まぁ、返事、待ってるよ。

裴龍

主人公名：

＜文字が、乱暴になり始めた。＞

　さすがは空桑の若様だな。この前の手紙の書き手が俺だったことを見破り、巧妙に返事を濁すとは。質問の答えを待っていたんだぞ。もし俺がもう一度聞くのなら、お前はどう答えるのかな？

　お前のやりかたはずいぶん変わってるからね、からかってやりたくなるんだ。もっと早く、姻縁塢を統率してたあの頃にお前と出会ったら、新たな「桃園の義」になってたかもな。

　まぁ、裴龍に入らせるつもりはねぇな。アイツいつも俺の身体を乗っ取って、俺の悪口ばかり言いやがって。俺が知らねぇとでも思ってるのか！お前もアイツの戯言を聞くな。俺がいなけりゃ、アイツはあの乱世で生き残ることもできなかったくせに！

　性格の軟弱なアイツがやりたがらないことは、いつも俺がやらなきゃならねぇ……今の状況は昔とは違うとはいえ、アイツの性格は相変わらずだ。もし、アイツがまた何か面倒なことに会ったら、必ず俺に教えてくれよ。アイツが弱いせいで、俺の身体をめちゃくちゃにされたくねぇからな。

裴鳳

主人公名：

＜乱暴な文字だが、どれも判で押したように筆跡が一致している。＞

　お前は本当に面白いな。前回の返事で、義の結び方や、互いの呼び名まで真面目に考えてくれるとかさ。まったく、今の俺は、なぜもっと早くお前に出会わなかったのかと、そればかり悩んでるんだぞ。

　俺はずっとアイツの偽善を憎み、俺こそがこの身体に相応しいと思ってたな。だから敢えて違う道を選び、自分の存在意味を証明しようとした。だがお前に出会ってから、俺の考えが少しずつ変わってきたな。もっと早くお前に出会ったら、俺はこんなに苦しみながら、自分の存在意味を追い求めなくてもよかったんじゃないかって。

＜手紙には、一枚の紙が添えられている。その文字は散漫で適当だ。＞

　　アイツの戯言を信じるな！アイツ、よくも俺のフリをしてこんなくらだねぇことを書き残したんだな。フッ、アイツはいつも道徳や、礼儀なんかに縛られたから、こんな回りくどいことをしやがったんだ。まぁ、俺を装るまでお前に伝えたいことは大体わかるよ。つまり、お前が「大事」ってことを言いたいんだろう？俺はこんな手紙なんか頼りにしねぇな、欲しいものはすべて自らの行動で手に入れる。ましても、お前を独り占めにできるから、そのほうが好都合だな。

　なぜアイツがそんなことをしたかって知りたいのか？アイツの言うことはでたらめばかりだが、一つだけ俺も納得できるぜ。お前と過ごしてきた日々のことは、全部心に残してあるぞ。お前はいつも、俺とアイツを独立した存在として、公平に扱ってくれたな……俺はやっと、自分の存在意味を見付けた気がするぞ。

龍鳳配