纏花雲夢肉・手紙
半分風雅
主人公名:
拝啓。
あなたが空桑に志怪軒を建てて以来、私はずいぶん忙しくなりました。今ではいつも人界と空桑の間を奔走し、疲れ果てています。でも志怪物語に興味を持つ聴衆がこんなにたくさんいることで、報われたような気持ちもあります。
しかしご存じのように、私は独りの生活に慣れています。いつか世界の片隅に流れ着き、完全に姿を消すかもしれません。私が空桑を離れる日が来ても、どうかお許しください。
志怪軒の主
同袍同沢
主人公名:
ご機嫌いかがですか?
最近は空桑の志怪軒へ物語を聞きに来る人が増えました。その中に、面白いお客がいました――髪絲百葉です。彼はもう1人の肌のあさ黒い人に、強引に連れて来られたようでした。でも彼の頭の角や、絹糸を引く枝は、印象深かったです。私は志怪物語を創作するためのヒントを、たくさん得ることができました。空桑はやはり変わったところです。
聴衆が増えるのは、私にとってよいことです。私もどうやって幻術能力を高め、もっとすばらしい物語を聞かせられるかを、考え始めています。
でも幻術を使って、物語を紡ぐのは骨が折れるもの。あなたは空桑の若様として、健康的な食事療法にも精通しています。体の疲れを取る方法を教えてくれませんか?
纏花雲夢肉
以心伝心
主人公名:
しばらくあなたに会えていません。お客さんからの話で知りましたが、あなたは空桑の日常の雑用のほかに、三界の各領域の業務も処理しなければならないと。私は業務に詳しくなくて、役に立てそうもありません。でもあなたが疲れて休みたくなったら、私はあなたのために、最高の物語を準備し、志怪軒で待っています。あなたが来ないと、私はいつも何か物足りない。
ここ数日、私は各地を渡り歩き、新しい志怪物語をたくさん集めました。あなたも聞いたことがないでしょう。もしあなたが求めるなら、私は何日かけてでも、語って差し上げます。
でも、その代わり、あなたも私にこれまでの数奇な人生について教えてください。私はそれらの貴重な素材をすべて保存し、あなただけの志怪物語集を編纂し、あなたにプレゼントします。
どうですか?興味がわきましたか?できるだけ早く帰ってきてください。
纏花雲夢肉
金蘭之契
主人公名:
前略。
この前あなたに書いた志怪物語は、気に入ってもらえましたか?
私が空桑に滞在して、ずいぶん時間が過ぎました。当初、あなたは私を引き止めるために、あっという間に志怪軒を再建し、私を驚嘆させました。でも私は人の世の変幻無常を常に見てきたので、あなたの行為も、ただの気まぐれだと……まさか、あなたと、この地で過ごす中で、いつの間にか、こんなにも空桑に溶け込むことになるとは。いつも側にいるよ、というあなたの約束……戯言ではありませんでした。
この世には千年も生きる妖怪がいて、あまりにも多くの悲歓離合を見てきたため、自分の「心」を閉ざしました――彼は感情が招く悲劇的な結末を恐れたのです。しかし彼はある人と出会いました。その人は彼の心の枷を解き、これまでは得られなかった、集団への温かい帰属意識のようなものを、持たせてくれました。孤独だった妖怪にも、徐々に変化が……
考えても、考えても、あなたにどう恩返しをすればいいか、わかりません。できるのは、この未完結の物語を贈ることくらい。これからの日々、あなたが私と一緒に、この物語の続きを紡いでくれることを願って……
纏花雲夢肉